JP3634480B2 - モジュール内への液体冷媒の封止方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モジュール内への液体冷媒の封止方法に係り、特に、電子計算機等に使用されている電子回路部品を収納するモジュール内への液体冷媒の封止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子計算機に使用されるモジュールは、IC(集積回路)を多数実装したセラミック基板をキャップで封止した構造となっており、このモジュール内に、Heガスを封入して、ICの周囲を伝熱効果のあるHeガス雰囲気としていた。ICからの発熱は、Heガス及び放冷部品を介して、外部に放熱されていた。
【0003】
しかしながら、電子計算機のコンパクト化及び処理速度の向上のニーズと共に、モジュール内に実装されるICは、高密度化、高集積化され、それとともに、ICの発熱量が増大してきている。その結果、Heガスを用いる方式では、十分な冷却を行うことができないため、冷媒として、Heガスに代えて液体冷媒を使用する方式が考えられている。
【0004】
液体冷媒を使用する方式としては、例えば、特開平4ー314358号公報や特開平4ー147656号公報に記載されているように、モジュール内にクロロフルオロカーボンのような液体冷媒を流通させるものが知られている。
【0005】
しかしながら、液体冷媒を流通させる方式では、モジュール内のICの故障等により、モジュール全体の交換が必要な際、モジュールからの液体冷媒の流出の防止を講じる必要があることや、複数のモジュールの内の一つのモジュールを交換する際交換が容易でない等のモジュールの保守性の点で問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、モジュール内に液体冷媒を流通させる方式に対しては、モジュール内に、気体冷媒であるHeガスを封入した方式と同様にして、液体冷媒を封入する方式が好ましいが、この方式にあっては、以下に述べるような気泡の問題が発生する。
【0007】
即ち、IC等は、基板上に取り付けられるが、このICと基板の間には隙間が形成され、また、ICからの放熱を促進するフィン状の放冷部品と、この放冷部品からの熱をモジュールの外部に伝熱するための別の放冷部品の間にも隙間が形成される。液体冷媒を封入する際には、これらの隙間に液体冷媒を完全に重点することは難しく、隙間に気泡が巻き込まれた状態となる。
【0008】
気泡は、液体冷媒に比べて、熱伝導率が低いため、気泡と接触する部分の放熱が十分に行えなくなる。モジュール内の温度、即ち、液体冷媒の温度を、例えば、70℃となるように温度制御したとしても、気泡のある部分は、この温度以上になるため、モジュール内の温度分布にアンバランスが生じることになる。電子計算機用のICは、所定温度以上になると、処理速度が低下するため、気泡と接触するICの中の一部における処理速度の低下を引き起こすことになる。
【0009】
本発明の目的は、モジュール内の隙間に気泡が巻き込まれることなく、液体冷媒を確実に充填することのできるモジュール内への液体冷媒の封止方法を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、電子回路部品を収納した上部の開口したモジュール内に液体冷媒を注入し、このモジュールを密閉したチャンバー内に収納し、このチャンバー内の圧力を第1の圧力まで低下させ、その後、上記チャンバー内に不活性ガスを導入して、上記チャンバーの内部圧を大気圧と上記第1の圧力の中間の圧力とした状態で、上記モジュールの上部に蓋を載置し、その後、さらに、上記チャンバーの内部の圧力が大気圧になるまで戻して、上記モジュール内に液体冷媒を封止するようにしたものであり、かかる方法とすることにより、モジュール内の気泡の除去して、液体冷媒をモジュール内に封止し得るものとなる。
【0011】
上記モジュール内への液体冷媒の封止方法において、好ましくは、上記中間の圧力は、上記モジュール内に収納された電子回路部品が動作して上記モジュール内の上記液体冷媒の温度が上昇した時点で、上記モジュール内の圧力が大気圧以下となるように、設定するようにしたものであり、かかる方法とすることにより、電子回路動作時のモジュール内部からのリークを防止し得るものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法について、図1乃至図7を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法によって液体冷媒の封止されたモジュールの断面図である。
【0013】
セラミック配線基板10の上には、電子回路部品である複数のIC20が、半田等の接続部22によって接続固定されている。配線基板10の裏面には、図示しない入出力ピンが設けられており、これらの入出力ピンは、配線基板10内の配線を通じてIC20に電気的に接続されている。セラミック配線基板10のICが搭載されている面の外周部には、枠状のフレーム30が載置されている。フレーム30の下部と配線基板10は、半田32によって接合されている。フレーム30の上方は、外側に広がっており、フランジ部34を形成している。
【0014】
冷却構造体40は、その内部に冷却水の流れる冷却通路42を有している。冷却通路42は、冷却構造体40の中央部内に設けられており、それぞれが連通している。冷却構造体40の上部には、冷却水流入口44及び冷却水流出口46が設けられており、冷却水流入口44から流入した冷却水は、冷却通路42を経て、冷却水流出口46から流出する。冷却構造体40の外周部は、フランジ部48となっている。フレーム30のフランジ部34と冷却構造体40のフランジ部48とは、ゴム製のOリング等のシール部材50を介して、ボルト52により締結されている。
【0015】
IC20の上部には、フィン状の放冷部品60が固定されている。放冷部品60の上には、放冷部品60のくし歯と係合するように、フィン状の放冷部品62が載置されている。
【0016】
フレーム30の内部の空間には、液体冷媒70が充填されている。液体冷媒70としては、熱伝導性があるとともに絶縁性を有するオイルが使用され、例えば、鉱物油が使用される。液体冷媒70は、放冷部品60及び放冷部品62と接する位置まで充填されている。また、放冷部品62と冷却構造体40の間は、液体冷媒72を介して密着している。
【0017】
従って、IC20からの発熱は、放冷部品60,液体冷媒70,放冷部品62,液体冷媒72,冷却構造体40を介して、冷却通路42を流れる冷却水によって外部に放熱される。冷却水流入口44から、常温の冷却水を流すことにより、IC20の温度は、最高で70℃程度に押さえられるように、冷却通路42を流れる冷却水の流量や放冷部品60,62の形状は設計されている。
【0018】
フレーム30の内部の空間に充填される液体冷媒70は、所定量となるように定量されて充填されており、フレーム30の内部の空間には、一部気体80が封入されている。ここで気体80としては、不活性ガス、例えば、窒素を使用している。不活性ガスを用いることにより、鉱物油等の液体冷媒70の酸化を防止するとともに、IC20の温度が上昇し、液体冷媒70の体積が膨張した時に、この液体冷媒の体積膨張分を気体によって吸収し、フレーム30の膨張を防止している。フレーム30の内部空間における液体冷媒70の充填時および気体80の封入時の液体冷媒70と気体80の体積比率は、例えば、8:2となっている。
【0019】
また、以上のような構造を有するモジュールは、図1に図示するように、水平状態で用いられるだけでなく、一般には、垂直状態で、電子計算機本体の内部に実装されるが、そのときには、液体冷媒70の量は、一番上部側に位置するIC20の放冷部品60とその放冷部品60と係合する放冷部品62の間隙の一部が液体冷媒70と接触するような量となるようしてある。そのような液体冷媒の量とすることにより、放冷部品60と放冷部品62との間隙から毛細管現象によって液体冷媒70が上昇し、放冷部品60と放冷部品62とを液体冷媒70によって密着させ、放冷部品60から放冷部品62への熱伝達を確保している。
【0020】
また、フレーム30の内部の空間に封入される気体80の封入時の圧力は、大気圧よりも低い圧力となっている。気体80の封入は常温で行われ、一方、IC20への通電時には、IC20の温度は約70℃に上昇する。従って、気体80の温度も約70℃に上昇し、気体80の圧力が上昇し、また、液体冷媒70の温度上昇による体積膨張の影響でも気体80の圧力が上昇する。しかしながら、この時のフレーム30の内部空間の圧力が、大気圧よりも低くなるように、封入時の気体の圧力を規定している。封入時の気体の圧力は、大気圧(760Torr)に対して、例えば、532Torr(=760×0.7)としてある。
【0021】
封入時の気体の圧力が大気圧相当であると、IC20への通電時、フレーム30の内部圧力が大気圧よりも高くなり、内部に封止された気体80や液体冷媒70のリークの問題が発生するが、IC20への通電時のフレーム30の内部空間の圧力が、大気圧よりも低くなるように、封入時の気体の圧力を規定することにより、かかるリークの問題が発生することはない。
【0022】
図2は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入される前の状態を示すモジュールの断面図である。
【0023】
セラミック配線基板10の上には、複数のIC20が、半田等の接続部22によって接続固定されている。セラミック配線基板10のICが搭載されている面の外周部には、枠状のフレーム30が半田32によって接合されている。
【0024】
IC20の上部には、放冷部品60が固定されており、放冷部品60の上には、放冷部品62が組み込まれている。また、フレーム30のフランジ部34の溝には、シール部材50が係合している。
【0025】
図3は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入される状態を示すモジュールの断面図である。図2と同一符号は、同一部品を示している。
【0026】
フレーム30の内部の空間には、デイスペンサー90を用いて、液体冷媒70が一定量注入される。
【0027】
ここで、液体冷媒70の注入は、フレーム30の上方の、配線基板10とほぼ同じ大きさを有する開口から行えるので、液体冷媒の供給も簡単な操作で行える。モジュール内に液体冷媒を注入する方法としては、注入口を設ける方法も考えられるが、モジュールの側壁等に注入口を設ける必要があるため、モジュールの構造が複雑化する。
【0028】
それに対して、フレームの上方を大きく開口した状態で液体冷媒を注入する本方式では、特別な注入口は不要となり、構造も簡単となる。
【0029】
なお、図3に示したように、フレームの内部空間に液体冷媒を注入しただけのモジュールの状態では、例えば、矢印Aで示す配線基板10とIC20の間の隙間や、矢印Bで示す放冷部品60と放冷部品62の間の隙間内に、気泡を残したままの状態となっているが、これらの気泡は、後述する方法で除去される。
【0030】
図4は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入されたモジュールをチャンバー内に設置した状態を示す断面図である。図2と同一符号は、同一部品を示している。
【0031】
チャンバー100は、密閉された空間を形成している。チャンバー100には、真空ポンプ110が接続されており、チャンバー100の内部空間を真空排気できる。真空ポンプ110としては、例えば、油回転真空ポンプを用い、チャンバー100の内部空間を約1分で、0.2Torrの圧力まで真空引きできる。
【0032】
また、チャンバー100には、バルブ122を介して、不活性ガスである窒素ボンベ120が接続されており、チャンバー100の内部圧力を監視しながら、窒素ガスを導入することができる。
【0033】
チャンバー100の内部に固定された取付台130の上には、図3で示したフレームの内部に液体冷媒の注入されたモジュールが位置決めされて載置される。チャンバー100の上部には、上下機構140が取り付けられている。上下機構140の保持部142は、ベローズ144を介して、チャンバー100内に上下動可能に支持されている。保持部142は、冷却構造体取付部146によって、モジュールの上方の所定位置に、冷却構造体40を保持している。
【0034】
この状態で、真空ポンプ110を動作させ、チャンバー100の内部を、例えば、0.2Torrの真空状態に真空排気することにより、配線基板10とIC20の間の隙間や、放冷部品60と放冷部品62の間の隙間内に残存する気泡を除去する。
【0035】
その後、バルブ122を開いて、窒素ガスボンベ120から窒素ガスをチャンバー100内に導入する。この時、チャンバー100の内部の圧力を監視して、その圧力が大気圧よりも低い、例えば、532Torrになるまで、窒素ガスを導入する。この時点で、一旦、バルブ122を閉じ、窒素ガスの導入を停止する。チャンバー100内は、真空排気された後、窒素ガスが導入されるため、窒素ガス雰囲気となっている。この状態で、上下機構140を動作させ、冷却構造体40を下降して、フレーム30の上に載置される。ここで、上述したように、冷却構造体40とフレーム30は、それぞれ、チャンバー100内で、位置決めされており、冷却構造体40のフランジ部48とフレーム30のフランジ部34がシール部材50を介して対面する。冷却構造体40とフレーム30によって囲まれるモジュールの空間内には、液体冷媒70および窒素ガスが存在し、窒素ガスの圧力は532Torrである。
【0036】
上下機構140により、冷却構造体40をフレーム30の上に載置した状態で、再度、バルブ122を開き、窒素ガスを導入して、チャンバー100内を大気圧に戻す。冷却構造体40とフレーム30によって囲まれるモジュールの空間内の窒素ガスの圧力は532Torrであり、外部の空間は大気圧となるため、この圧力差によって、冷却構造体40は、フレーム30に密着する。
【0037】
この圧力差が大きすぎると、モジュール内の電子回路部品にかなりの応力が加わることになるが、228Torr(=760Torr−532Torr)程度であれば、モジュールへの応力の影響はないものである。また、モジュール内への液体冷媒および窒素ガスの封止作業は、常温下で行われるのに対して、電子回路部品に通電し、電子計算機等を動作させた状態では、モジュール内の液体冷媒の温度は、70℃程度まで上昇する。従って、窒素ガスの温度も上昇し、窒素ガスの体積膨張と、液体冷媒の体積膨張の影響で、内部圧力も上昇する。しかしながら、封入時の圧力を532Torrとしておくことにより、電子回路部品への通電時にも、モジュールの内部圧力を大気圧よりも低く維持し、モジュール内部からのリークを防止できる。なお、封入時のガス圧力は、モジュール内部空間の体積や、電子回路動作時のモジュール内部の温度に応じて、適宜変え得るものである。
【0038】
その後、モジュールをチャンバー100より取出し、冷却構造体40とOリング等のシール部材50の気密性が確保されているかを、冷却構造体40を人手にて持ち上げることで確認する。
【0039】
さらに、一定時間が経過した後に上述作業を行っても気密性が維持されていれば、図1に示されるように、冷却構造体40のフランジ部48とフレーム30のフランジ部34を、最終のネジ52の締結を行い、作業を終了する。もし、Oリング部等の傷発生により、圧力がリークした場合は、冷却構造体40を持ち上げた際に、冷却構造体40が簡単に外れることから、モジュールを組立ながらにして、容易に気密性の確認も可能となる。
【0040】
次に、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法の一連のシーケンスについて、図5乃至図7を用いて説明する。
図5は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法のシーケンスの前半部分を示すフロー図であり、図6は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法のシーケンスの後半部分を示すフロー図であり、図7は、図5及び図6に示したフロー図を圧力と時間(ステップ)の関係で示す図である。なお、図5及び図6において、図1及び図4と同一符号は、同一部品を表している。
【0041】
図5及び図7において、最初に、モジュール及び冷却用部品が用意される。モジュールは、図5(イ)に示すように、セラミック配線基板10の上には、IC20が接続部22によって接続固定され、IC20の上には、放冷部品60が固定され、その外周部には、フレーム30が半田32によって接合されて構成されている。また、モジュールの一部として、冷却構造体が別途用意されている。冷却用部品としては、フィン状の放冷部品が用意されている。
【0042】
ステップ200において、冷却用部品のモジュールへの組込みが行われる。この組込みは、図5(ロ)に示すように、IC20側の放冷部品60の上に、放冷部品62を載置することにより行われる。セラミック配線基板10の上には、数十個のIC20が固定されており、それぞれの放冷部品60の上に、放冷部品62が載置される。また、Oリング等のシール部材50が、フレーム30のフランジ部34に形成された環状の溝の中に挿入される。
【0043】
次に、液体冷媒が用意され、液体冷媒は、デイスペンサー90によって定量される。ステップ202において、図5(ハ)に示すように、デイスペンサー90による所定量の液体冷媒であるオイルのモジュール内への注入が行われる。また、同時に、放冷部品62の上面に液体冷媒が、所定間隔毎に滴下され、オイルのポッテイングが行われる。ポッテイングされたオイルは、後述するように、放冷部品62の上に冷却構造体40が密着載置された時、放冷部品62と冷却構造体40の間隙に広がり、放冷部品62から冷却構造体40への熱伝達を向上させる。
【0044】
なお、以上のステップ200および202の作業は、チャンバー装置外で行われる。
【0045】
次に、治具取付け及び装置内セットが行われ、チャンバー100の内部に固定された取付台130の上には、ステップ202でフレームの内部に液体冷媒の注入されたモジュールが位置決めされて載置される。チャンバー100の上部の上下機構140の保持部142には、モジュールの上方の所定位置に、冷却構造体40を保持される。
【0046】
ステップ204において、真空引きによる部材間の気泡除去が行われる。チャンバー100は、外気から遮断された状態で、真空ポンプ110を動作させ、チャンバー100の内部の大気を排気する。
【0047】
図7に示すように、時間T0において、チャンバー100の内部の圧力は、体気圧P0であるが、真空ポンプにより排気することにより、時間T1には、チャンバー100の内部の圧力は、P1となる。圧力P1を0.2Torrとすると、チャンバー100の内部容積にもよるが、時間T1は、約1分程度の短時間である。チャンバー100内の圧力低下とともに、配線基板10とIC20の間の隙間や、放冷部品60と放冷部品62の間の隙間内に残存する気泡が次第に除去される。内部圧力がP1となった後、その圧力のまま、時間T2まで圧力を維持し、部材間の気泡除去の完璧化を図る。ここで、圧力P1に維持する時間(T2−T1)は、約1分である。
【0048】
次に、図5に続くフローである図6及び図7において、ステップ206のおいて、不活性ガスの導入及び封止圧コントロールが行われる。図5(ホ)に示すように、不活性ガスボンベ120から不活性ガスである窒素ガスがチャンバー100内に導入される。
【0049】
不活性ガスの導入は、図7に示すように、時間T2から始まり、チャンバー内部の圧力がP1から封止圧P2になるまで行われ、時間T3で完了する。封止圧P2は、ここでは、532Torrとしてあり、封止圧戻しに要する時間(T3−T2)は、数秒である。
【0050】
次に、ステップ208において、上下機構による冷却構造体であるジャケットの下降が行われ、モジュールの封止を行う。図6(ヘ)に示すように、上下機構140を動作させ、冷却構造体40を下降して、フレーム30の上に載置される。
【0051】
ジャケット下降に要する時間(T4−T3)は、1分間程度である。冷却構造体40とフレーム30は、それぞれ、チャンバー100内で、位置決めされているため、冷却構造体40のフランジ部48とフレーム30のフランジ部34がシール部材50を介して対面させるには、単に、上下機構140により、冷却構造体40を所定距離下降するだけでよいため、短時間に作業を行える。
【0052】
ステップ210において、チャンバー内へ不活性ガスを導入し、大気圧への戻しが行われる。これは、図6(ヘ)に示すように、冷却構造体40をフレーム30の上に載置した状態で、窒素ガスボンベ120から窒素ガスを導入して、チャンバー100内を大気圧に戻すことにより行われる。大気圧戻しは、時間T5に終了する。
【0053】
冷却構造体40は、モジュールの空間内の圧力(532Torr)と外部の空間の圧力(大気圧)との圧力差によって、フレーム30に密着する。
【0054】
以上説明したステップ240,206,208及び210の作業は、チャンバー装置内で行われる。
【0055】
次に、ステップ212において、モジュールをチャンバー100から取出し、治具を外す。
【0056】
さらに、ステップ214において、モジュールの封止のリークチェックを行う。リークチェックは、冷却構造体40とOリング等のシール部材50の気密性が確保されているかを確認するもので、冷却構造体40を人手にて持ち上げることで行う。
【0057】
さらに、ステップ216において、一定時間が経過した後に、冷却構造体を人手で持ち上げる作業を行っても気密性が維持されていれば、図5(ト)に示されるように、冷却構造体40のフランジ部48とフレーム30のフランジ部34を、最終のネジ52の締結を行い、作業を終了する。
【0058】
ステップ212,214及び216の作業は、チャンバー装置外の作業となる。
【0059】
放冷部品の組み込み、液体冷媒の注入及びネジ締結といった複雑な作業が全て装置外での作業となり、設備面でも低コストな封止ができる。封入口から液体冷媒を注入させ、その後、この封入口を封止する方法を採用すると、液体冷媒の注入やネジの締結といった作業を所定圧に維持したチャンバー装置内で行う必要があり、非常に手間がかかり、作業時間がかかるとともに、液体冷媒の注入や封入口の封止を自動的に行うための設備も必要であり、設備が大型化、複雑化するが、上述した本実施の形態では、かかる問題も解消される。
【0060】
本実施の形態によれば、液体冷媒を注入した際に発生する部材間の気泡を真空排気によって除去し、気泡を残さない液体冷媒の封入ができるので、気泡によるモジュールの冷却性能の低下を防止できる。
【0061】
また、モジュール内外での圧力差を持たせるようにキャップを封止することでモジュールの気密性を組み立てながらにして容易に確認することができる。
【0062】
さらに、モジュール内は、液体冷媒で充満させることなく、一部に気体層を設けることにより、電子回路部品の動作時の液体冷媒の温度上昇によるモジュール内部の液体冷媒の体積膨張に対して、気体層がダンパーとして作用するので、モジュールの内部圧の上昇による電子回路部品への応力を緩和できる。
【0063】
また、モジュール内への気体の封入圧は、電子回路部品の動作時の温度上昇により、気体の圧力が上昇したときでも、大気圧以下となるように設定しているので、モジュール内圧力の上昇による内部からのリークを防止できる。
【0064】
また、冷却構造体からなるジャケットをシール部材を介してフレームに封止する構造としたため、液体冷媒を注入する注入口を不要にできる。その結果、放冷部品の組み込み、液体冷媒の注入及びネジ締結といった複雑な作業が全て装置外での作業となり、設備面でも低コストな封止ができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、モジュール内への液体冷媒の封止方法において、モジュール内の隙間に気泡が巻き込まれることなく、液体冷媒を確実に充填することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法によって液体冷媒の封止されたモジュールの断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入される前の状態を示すモジュールの断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入される状態を示すモジュールの断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入されたモジュールをチャンバー内に設置した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法のシーケンスの前半部分を示すフロー図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法のシーケンスの後半部分を示すフロー図である。
【図7】図5及び図6に示したフロー図を圧力と時間(ステップ)の関係で示す図である。
【符号の説明】
10…セラミック配線基板
20…IC
22…接合部
30…フレーム
32…半田
34,48…フランジ部
40…冷却構造体
42…冷却通路
44…冷却水流入口
46…冷却水流出口
50…シール部材
52…ボルト
60,62…放冷部品
70…液体冷媒
80…気体
90…ディスペンサ
100…チャンバー
110…真空ポンプ
120…窒素ガスボンベ
122…バルブ
130…取付台
140…上下機構
142…保持部
144…ベローズ
146…冷却構造体取付部
【発明の属する技術分野】
本発明は、モジュール内への液体冷媒の封止方法に係り、特に、電子計算機等に使用されている電子回路部品を収納するモジュール内への液体冷媒の封止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子計算機に使用されるモジュールは、IC(集積回路)を多数実装したセラミック基板をキャップで封止した構造となっており、このモジュール内に、Heガスを封入して、ICの周囲を伝熱効果のあるHeガス雰囲気としていた。ICからの発熱は、Heガス及び放冷部品を介して、外部に放熱されていた。
【0003】
しかしながら、電子計算機のコンパクト化及び処理速度の向上のニーズと共に、モジュール内に実装されるICは、高密度化、高集積化され、それとともに、ICの発熱量が増大してきている。その結果、Heガスを用いる方式では、十分な冷却を行うことができないため、冷媒として、Heガスに代えて液体冷媒を使用する方式が考えられている。
【0004】
液体冷媒を使用する方式としては、例えば、特開平4ー314358号公報や特開平4ー147656号公報に記載されているように、モジュール内にクロロフルオロカーボンのような液体冷媒を流通させるものが知られている。
【0005】
しかしながら、液体冷媒を流通させる方式では、モジュール内のICの故障等により、モジュール全体の交換が必要な際、モジュールからの液体冷媒の流出の防止を講じる必要があることや、複数のモジュールの内の一つのモジュールを交換する際交換が容易でない等のモジュールの保守性の点で問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、モジュール内に液体冷媒を流通させる方式に対しては、モジュール内に、気体冷媒であるHeガスを封入した方式と同様にして、液体冷媒を封入する方式が好ましいが、この方式にあっては、以下に述べるような気泡の問題が発生する。
【0007】
即ち、IC等は、基板上に取り付けられるが、このICと基板の間には隙間が形成され、また、ICからの放熱を促進するフィン状の放冷部品と、この放冷部品からの熱をモジュールの外部に伝熱するための別の放冷部品の間にも隙間が形成される。液体冷媒を封入する際には、これらの隙間に液体冷媒を完全に重点することは難しく、隙間に気泡が巻き込まれた状態となる。
【0008】
気泡は、液体冷媒に比べて、熱伝導率が低いため、気泡と接触する部分の放熱が十分に行えなくなる。モジュール内の温度、即ち、液体冷媒の温度を、例えば、70℃となるように温度制御したとしても、気泡のある部分は、この温度以上になるため、モジュール内の温度分布にアンバランスが生じることになる。電子計算機用のICは、所定温度以上になると、処理速度が低下するため、気泡と接触するICの中の一部における処理速度の低下を引き起こすことになる。
【0009】
本発明の目的は、モジュール内の隙間に気泡が巻き込まれることなく、液体冷媒を確実に充填することのできるモジュール内への液体冷媒の封止方法を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、電子回路部品を収納した上部の開口したモジュール内に液体冷媒を注入し、このモジュールを密閉したチャンバー内に収納し、このチャンバー内の圧力を第1の圧力まで低下させ、その後、上記チャンバー内に不活性ガスを導入して、上記チャンバーの内部圧を大気圧と上記第1の圧力の中間の圧力とした状態で、上記モジュールの上部に蓋を載置し、その後、さらに、上記チャンバーの内部の圧力が大気圧になるまで戻して、上記モジュール内に液体冷媒を封止するようにしたものであり、かかる方法とすることにより、モジュール内の気泡の除去して、液体冷媒をモジュール内に封止し得るものとなる。
【0011】
上記モジュール内への液体冷媒の封止方法において、好ましくは、上記中間の圧力は、上記モジュール内に収納された電子回路部品が動作して上記モジュール内の上記液体冷媒の温度が上昇した時点で、上記モジュール内の圧力が大気圧以下となるように、設定するようにしたものであり、かかる方法とすることにより、電子回路動作時のモジュール内部からのリークを防止し得るものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法について、図1乃至図7を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法によって液体冷媒の封止されたモジュールの断面図である。
【0013】
セラミック配線基板10の上には、電子回路部品である複数のIC20が、半田等の接続部22によって接続固定されている。配線基板10の裏面には、図示しない入出力ピンが設けられており、これらの入出力ピンは、配線基板10内の配線を通じてIC20に電気的に接続されている。セラミック配線基板10のICが搭載されている面の外周部には、枠状のフレーム30が載置されている。フレーム30の下部と配線基板10は、半田32によって接合されている。フレーム30の上方は、外側に広がっており、フランジ部34を形成している。
【0014】
冷却構造体40は、その内部に冷却水の流れる冷却通路42を有している。冷却通路42は、冷却構造体40の中央部内に設けられており、それぞれが連通している。冷却構造体40の上部には、冷却水流入口44及び冷却水流出口46が設けられており、冷却水流入口44から流入した冷却水は、冷却通路42を経て、冷却水流出口46から流出する。冷却構造体40の外周部は、フランジ部48となっている。フレーム30のフランジ部34と冷却構造体40のフランジ部48とは、ゴム製のOリング等のシール部材50を介して、ボルト52により締結されている。
【0015】
IC20の上部には、フィン状の放冷部品60が固定されている。放冷部品60の上には、放冷部品60のくし歯と係合するように、フィン状の放冷部品62が載置されている。
【0016】
フレーム30の内部の空間には、液体冷媒70が充填されている。液体冷媒70としては、熱伝導性があるとともに絶縁性を有するオイルが使用され、例えば、鉱物油が使用される。液体冷媒70は、放冷部品60及び放冷部品62と接する位置まで充填されている。また、放冷部品62と冷却構造体40の間は、液体冷媒72を介して密着している。
【0017】
従って、IC20からの発熱は、放冷部品60,液体冷媒70,放冷部品62,液体冷媒72,冷却構造体40を介して、冷却通路42を流れる冷却水によって外部に放熱される。冷却水流入口44から、常温の冷却水を流すことにより、IC20の温度は、最高で70℃程度に押さえられるように、冷却通路42を流れる冷却水の流量や放冷部品60,62の形状は設計されている。
【0018】
フレーム30の内部の空間に充填される液体冷媒70は、所定量となるように定量されて充填されており、フレーム30の内部の空間には、一部気体80が封入されている。ここで気体80としては、不活性ガス、例えば、窒素を使用している。不活性ガスを用いることにより、鉱物油等の液体冷媒70の酸化を防止するとともに、IC20の温度が上昇し、液体冷媒70の体積が膨張した時に、この液体冷媒の体積膨張分を気体によって吸収し、フレーム30の膨張を防止している。フレーム30の内部空間における液体冷媒70の充填時および気体80の封入時の液体冷媒70と気体80の体積比率は、例えば、8:2となっている。
【0019】
また、以上のような構造を有するモジュールは、図1に図示するように、水平状態で用いられるだけでなく、一般には、垂直状態で、電子計算機本体の内部に実装されるが、そのときには、液体冷媒70の量は、一番上部側に位置するIC20の放冷部品60とその放冷部品60と係合する放冷部品62の間隙の一部が液体冷媒70と接触するような量となるようしてある。そのような液体冷媒の量とすることにより、放冷部品60と放冷部品62との間隙から毛細管現象によって液体冷媒70が上昇し、放冷部品60と放冷部品62とを液体冷媒70によって密着させ、放冷部品60から放冷部品62への熱伝達を確保している。
【0020】
また、フレーム30の内部の空間に封入される気体80の封入時の圧力は、大気圧よりも低い圧力となっている。気体80の封入は常温で行われ、一方、IC20への通電時には、IC20の温度は約70℃に上昇する。従って、気体80の温度も約70℃に上昇し、気体80の圧力が上昇し、また、液体冷媒70の温度上昇による体積膨張の影響でも気体80の圧力が上昇する。しかしながら、この時のフレーム30の内部空間の圧力が、大気圧よりも低くなるように、封入時の気体の圧力を規定している。封入時の気体の圧力は、大気圧(760Torr)に対して、例えば、532Torr(=760×0.7)としてある。
【0021】
封入時の気体の圧力が大気圧相当であると、IC20への通電時、フレーム30の内部圧力が大気圧よりも高くなり、内部に封止された気体80や液体冷媒70のリークの問題が発生するが、IC20への通電時のフレーム30の内部空間の圧力が、大気圧よりも低くなるように、封入時の気体の圧力を規定することにより、かかるリークの問題が発生することはない。
【0022】
図2は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入される前の状態を示すモジュールの断面図である。
【0023】
セラミック配線基板10の上には、複数のIC20が、半田等の接続部22によって接続固定されている。セラミック配線基板10のICが搭載されている面の外周部には、枠状のフレーム30が半田32によって接合されている。
【0024】
IC20の上部には、放冷部品60が固定されており、放冷部品60の上には、放冷部品62が組み込まれている。また、フレーム30のフランジ部34の溝には、シール部材50が係合している。
【0025】
図3は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入される状態を示すモジュールの断面図である。図2と同一符号は、同一部品を示している。
【0026】
フレーム30の内部の空間には、デイスペンサー90を用いて、液体冷媒70が一定量注入される。
【0027】
ここで、液体冷媒70の注入は、フレーム30の上方の、配線基板10とほぼ同じ大きさを有する開口から行えるので、液体冷媒の供給も簡単な操作で行える。モジュール内に液体冷媒を注入する方法としては、注入口を設ける方法も考えられるが、モジュールの側壁等に注入口を設ける必要があるため、モジュールの構造が複雑化する。
【0028】
それに対して、フレームの上方を大きく開口した状態で液体冷媒を注入する本方式では、特別な注入口は不要となり、構造も簡単となる。
【0029】
なお、図3に示したように、フレームの内部空間に液体冷媒を注入しただけのモジュールの状態では、例えば、矢印Aで示す配線基板10とIC20の間の隙間や、矢印Bで示す放冷部品60と放冷部品62の間の隙間内に、気泡を残したままの状態となっているが、これらの気泡は、後述する方法で除去される。
【0030】
図4は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入されたモジュールをチャンバー内に設置した状態を示す断面図である。図2と同一符号は、同一部品を示している。
【0031】
チャンバー100は、密閉された空間を形成している。チャンバー100には、真空ポンプ110が接続されており、チャンバー100の内部空間を真空排気できる。真空ポンプ110としては、例えば、油回転真空ポンプを用い、チャンバー100の内部空間を約1分で、0.2Torrの圧力まで真空引きできる。
【0032】
また、チャンバー100には、バルブ122を介して、不活性ガスである窒素ボンベ120が接続されており、チャンバー100の内部圧力を監視しながら、窒素ガスを導入することができる。
【0033】
チャンバー100の内部に固定された取付台130の上には、図3で示したフレームの内部に液体冷媒の注入されたモジュールが位置決めされて載置される。チャンバー100の上部には、上下機構140が取り付けられている。上下機構140の保持部142は、ベローズ144を介して、チャンバー100内に上下動可能に支持されている。保持部142は、冷却構造体取付部146によって、モジュールの上方の所定位置に、冷却構造体40を保持している。
【0034】
この状態で、真空ポンプ110を動作させ、チャンバー100の内部を、例えば、0.2Torrの真空状態に真空排気することにより、配線基板10とIC20の間の隙間や、放冷部品60と放冷部品62の間の隙間内に残存する気泡を除去する。
【0035】
その後、バルブ122を開いて、窒素ガスボンベ120から窒素ガスをチャンバー100内に導入する。この時、チャンバー100の内部の圧力を監視して、その圧力が大気圧よりも低い、例えば、532Torrになるまで、窒素ガスを導入する。この時点で、一旦、バルブ122を閉じ、窒素ガスの導入を停止する。チャンバー100内は、真空排気された後、窒素ガスが導入されるため、窒素ガス雰囲気となっている。この状態で、上下機構140を動作させ、冷却構造体40を下降して、フレーム30の上に載置される。ここで、上述したように、冷却構造体40とフレーム30は、それぞれ、チャンバー100内で、位置決めされており、冷却構造体40のフランジ部48とフレーム30のフランジ部34がシール部材50を介して対面する。冷却構造体40とフレーム30によって囲まれるモジュールの空間内には、液体冷媒70および窒素ガスが存在し、窒素ガスの圧力は532Torrである。
【0036】
上下機構140により、冷却構造体40をフレーム30の上に載置した状態で、再度、バルブ122を開き、窒素ガスを導入して、チャンバー100内を大気圧に戻す。冷却構造体40とフレーム30によって囲まれるモジュールの空間内の窒素ガスの圧力は532Torrであり、外部の空間は大気圧となるため、この圧力差によって、冷却構造体40は、フレーム30に密着する。
【0037】
この圧力差が大きすぎると、モジュール内の電子回路部品にかなりの応力が加わることになるが、228Torr(=760Torr−532Torr)程度であれば、モジュールへの応力の影響はないものである。また、モジュール内への液体冷媒および窒素ガスの封止作業は、常温下で行われるのに対して、電子回路部品に通電し、電子計算機等を動作させた状態では、モジュール内の液体冷媒の温度は、70℃程度まで上昇する。従って、窒素ガスの温度も上昇し、窒素ガスの体積膨張と、液体冷媒の体積膨張の影響で、内部圧力も上昇する。しかしながら、封入時の圧力を532Torrとしておくことにより、電子回路部品への通電時にも、モジュールの内部圧力を大気圧よりも低く維持し、モジュール内部からのリークを防止できる。なお、封入時のガス圧力は、モジュール内部空間の体積や、電子回路動作時のモジュール内部の温度に応じて、適宜変え得るものである。
【0038】
その後、モジュールをチャンバー100より取出し、冷却構造体40とOリング等のシール部材50の気密性が確保されているかを、冷却構造体40を人手にて持ち上げることで確認する。
【0039】
さらに、一定時間が経過した後に上述作業を行っても気密性が維持されていれば、図1に示されるように、冷却構造体40のフランジ部48とフレーム30のフランジ部34を、最終のネジ52の締結を行い、作業を終了する。もし、Oリング部等の傷発生により、圧力がリークした場合は、冷却構造体40を持ち上げた際に、冷却構造体40が簡単に外れることから、モジュールを組立ながらにして、容易に気密性の確認も可能となる。
【0040】
次に、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法の一連のシーケンスについて、図5乃至図7を用いて説明する。
図5は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法のシーケンスの前半部分を示すフロー図であり、図6は、本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法のシーケンスの後半部分を示すフロー図であり、図7は、図5及び図6に示したフロー図を圧力と時間(ステップ)の関係で示す図である。なお、図5及び図6において、図1及び図4と同一符号は、同一部品を表している。
【0041】
図5及び図7において、最初に、モジュール及び冷却用部品が用意される。モジュールは、図5(イ)に示すように、セラミック配線基板10の上には、IC20が接続部22によって接続固定され、IC20の上には、放冷部品60が固定され、その外周部には、フレーム30が半田32によって接合されて構成されている。また、モジュールの一部として、冷却構造体が別途用意されている。冷却用部品としては、フィン状の放冷部品が用意されている。
【0042】
ステップ200において、冷却用部品のモジュールへの組込みが行われる。この組込みは、図5(ロ)に示すように、IC20側の放冷部品60の上に、放冷部品62を載置することにより行われる。セラミック配線基板10の上には、数十個のIC20が固定されており、それぞれの放冷部品60の上に、放冷部品62が載置される。また、Oリング等のシール部材50が、フレーム30のフランジ部34に形成された環状の溝の中に挿入される。
【0043】
次に、液体冷媒が用意され、液体冷媒は、デイスペンサー90によって定量される。ステップ202において、図5(ハ)に示すように、デイスペンサー90による所定量の液体冷媒であるオイルのモジュール内への注入が行われる。また、同時に、放冷部品62の上面に液体冷媒が、所定間隔毎に滴下され、オイルのポッテイングが行われる。ポッテイングされたオイルは、後述するように、放冷部品62の上に冷却構造体40が密着載置された時、放冷部品62と冷却構造体40の間隙に広がり、放冷部品62から冷却構造体40への熱伝達を向上させる。
【0044】
なお、以上のステップ200および202の作業は、チャンバー装置外で行われる。
【0045】
次に、治具取付け及び装置内セットが行われ、チャンバー100の内部に固定された取付台130の上には、ステップ202でフレームの内部に液体冷媒の注入されたモジュールが位置決めされて載置される。チャンバー100の上部の上下機構140の保持部142には、モジュールの上方の所定位置に、冷却構造体40を保持される。
【0046】
ステップ204において、真空引きによる部材間の気泡除去が行われる。チャンバー100は、外気から遮断された状態で、真空ポンプ110を動作させ、チャンバー100の内部の大気を排気する。
【0047】
図7に示すように、時間T0において、チャンバー100の内部の圧力は、体気圧P0であるが、真空ポンプにより排気することにより、時間T1には、チャンバー100の内部の圧力は、P1となる。圧力P1を0.2Torrとすると、チャンバー100の内部容積にもよるが、時間T1は、約1分程度の短時間である。チャンバー100内の圧力低下とともに、配線基板10とIC20の間の隙間や、放冷部品60と放冷部品62の間の隙間内に残存する気泡が次第に除去される。内部圧力がP1となった後、その圧力のまま、時間T2まで圧力を維持し、部材間の気泡除去の完璧化を図る。ここで、圧力P1に維持する時間(T2−T1)は、約1分である。
【0048】
次に、図5に続くフローである図6及び図7において、ステップ206のおいて、不活性ガスの導入及び封止圧コントロールが行われる。図5(ホ)に示すように、不活性ガスボンベ120から不活性ガスである窒素ガスがチャンバー100内に導入される。
【0049】
不活性ガスの導入は、図7に示すように、時間T2から始まり、チャンバー内部の圧力がP1から封止圧P2になるまで行われ、時間T3で完了する。封止圧P2は、ここでは、532Torrとしてあり、封止圧戻しに要する時間(T3−T2)は、数秒である。
【0050】
次に、ステップ208において、上下機構による冷却構造体であるジャケットの下降が行われ、モジュールの封止を行う。図6(ヘ)に示すように、上下機構140を動作させ、冷却構造体40を下降して、フレーム30の上に載置される。
【0051】
ジャケット下降に要する時間(T4−T3)は、1分間程度である。冷却構造体40とフレーム30は、それぞれ、チャンバー100内で、位置決めされているため、冷却構造体40のフランジ部48とフレーム30のフランジ部34がシール部材50を介して対面させるには、単に、上下機構140により、冷却構造体40を所定距離下降するだけでよいため、短時間に作業を行える。
【0052】
ステップ210において、チャンバー内へ不活性ガスを導入し、大気圧への戻しが行われる。これは、図6(ヘ)に示すように、冷却構造体40をフレーム30の上に載置した状態で、窒素ガスボンベ120から窒素ガスを導入して、チャンバー100内を大気圧に戻すことにより行われる。大気圧戻しは、時間T5に終了する。
【0053】
冷却構造体40は、モジュールの空間内の圧力(532Torr)と外部の空間の圧力(大気圧)との圧力差によって、フレーム30に密着する。
【0054】
以上説明したステップ240,206,208及び210の作業は、チャンバー装置内で行われる。
【0055】
次に、ステップ212において、モジュールをチャンバー100から取出し、治具を外す。
【0056】
さらに、ステップ214において、モジュールの封止のリークチェックを行う。リークチェックは、冷却構造体40とOリング等のシール部材50の気密性が確保されているかを確認するもので、冷却構造体40を人手にて持ち上げることで行う。
【0057】
さらに、ステップ216において、一定時間が経過した後に、冷却構造体を人手で持ち上げる作業を行っても気密性が維持されていれば、図5(ト)に示されるように、冷却構造体40のフランジ部48とフレーム30のフランジ部34を、最終のネジ52の締結を行い、作業を終了する。
【0058】
ステップ212,214及び216の作業は、チャンバー装置外の作業となる。
【0059】
放冷部品の組み込み、液体冷媒の注入及びネジ締結といった複雑な作業が全て装置外での作業となり、設備面でも低コストな封止ができる。封入口から液体冷媒を注入させ、その後、この封入口を封止する方法を採用すると、液体冷媒の注入やネジの締結といった作業を所定圧に維持したチャンバー装置内で行う必要があり、非常に手間がかかり、作業時間がかかるとともに、液体冷媒の注入や封入口の封止を自動的に行うための設備も必要であり、設備が大型化、複雑化するが、上述した本実施の形態では、かかる問題も解消される。
【0060】
本実施の形態によれば、液体冷媒を注入した際に発生する部材間の気泡を真空排気によって除去し、気泡を残さない液体冷媒の封入ができるので、気泡によるモジュールの冷却性能の低下を防止できる。
【0061】
また、モジュール内外での圧力差を持たせるようにキャップを封止することでモジュールの気密性を組み立てながらにして容易に確認することができる。
【0062】
さらに、モジュール内は、液体冷媒で充満させることなく、一部に気体層を設けることにより、電子回路部品の動作時の液体冷媒の温度上昇によるモジュール内部の液体冷媒の体積膨張に対して、気体層がダンパーとして作用するので、モジュールの内部圧の上昇による電子回路部品への応力を緩和できる。
【0063】
また、モジュール内への気体の封入圧は、電子回路部品の動作時の温度上昇により、気体の圧力が上昇したときでも、大気圧以下となるように設定しているので、モジュール内圧力の上昇による内部からのリークを防止できる。
【0064】
また、冷却構造体からなるジャケットをシール部材を介してフレームに封止する構造としたため、液体冷媒を注入する注入口を不要にできる。その結果、放冷部品の組み込み、液体冷媒の注入及びネジ締結といった複雑な作業が全て装置外での作業となり、設備面でも低コストな封止ができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、モジュール内への液体冷媒の封止方法において、モジュール内の隙間に気泡が巻き込まれることなく、液体冷媒を確実に充填することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法によって液体冷媒の封止されたモジュールの断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入される前の状態を示すモジュールの断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入される状態を示すモジュールの断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法において、フレーム内に液体冷媒が注入されたモジュールをチャンバー内に設置した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法のシーケンスの前半部分を示すフロー図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるモジュール内への液体冷媒の封止方法のシーケンスの後半部分を示すフロー図である。
【図7】図5及び図6に示したフロー図を圧力と時間(ステップ)の関係で示す図である。
【符号の説明】
10…セラミック配線基板
20…IC
22…接合部
30…フレーム
32…半田
34,48…フランジ部
40…冷却構造体
42…冷却通路
44…冷却水流入口
46…冷却水流出口
50…シール部材
52…ボルト
60,62…放冷部品
70…液体冷媒
80…気体
90…ディスペンサ
100…チャンバー
110…真空ポンプ
120…窒素ガスボンベ
122…バルブ
130…取付台
140…上下機構
142…保持部
144…ベローズ
146…冷却構造体取付部
Claims (2)
- 電子回路部品を収納した上部の開口したモジュール内に液体冷媒を注入し、
このモジュールを密閉したチャンバー内に収納し、このチャンバー内の圧力を第1の圧力まで低下させ、
その後、上記チャンバー内に不活性ガスを導入して、上記チャンバーの内部圧を大気圧と上記第1の圧力の中間の圧力とした状態で、上記モジュールの上部に蓋を載置し、
その後、さらに、上記チャンバーの内部の圧力が大気圧になるまで戻して、上記モジュール内に液体冷媒を封止することを特徴とするモジュール内への液体冷媒の封止方法。 - 請求項1記載のモジュール内への液体冷媒の封止方法において、
上記中間の圧力は、上記モジュール内に収納された電子回路部品が動作して上記モジュール内の上記液体冷媒の温度が上昇した時点で、上記モジュール内の圧力が大気圧以下となるように、設定されていることを特徴とするモジュール内への液体冷媒の封止方法。
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