JP3635501B2 - 光学素子の研削方法とその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ガラス、セラミックスなどの高脆材料を球面形状に加工する手段に係わり、詳しくは光学素子の研削方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学素材を研削加工により、カップ型ホイールを用いて、粗研削から仕上げ研削までを一貫して単一加工機上で行う手段としては、特開平4−223859号公報所載の技術が開示されている。
【0003】
図11は上記従来技術における研削装置の主要部を示す。101は第1環状砥石、102は第2環状研削砥石を示し、図示を省略した回転駆動軸に同心に取り付けられている。第2環状砥石102は、加工初期状態において第1環状砥石101の砥石先端部101aよりもスペーサ104により前方へ突出した状態で取り付けられている。また、第2環状研削砥石102はネジ103を介して回転駆動軸の軸方向に移動可能な構造となっている。また、第2環状研削砥石102は粗研削用砥石、第1環状研削砥石101は仕上げ研削用砥石として構成されている。
【0004】
上記構成における研削加工は、回転駆動軸を回転させながら、第1環状研削砥石101または第2環状研削砥石102を被加工物に当接しながら行う。第2環状研削砥石102による粗研削加工が完了したのち、図示を省略した工具をカニメ穴105に挿入して第2環状研削砥石を取り外し、第1環状研削砥石101により、仕上げ研削加工が行われる。なお、この従来技術には、第2環状研削砥石をシリンダー機構により軸方向に出没させて、粗研削加工と仕上げ研削加工との切り換えを行う技術も開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、粗研削加工が完了した後、加工を一時中断して、環状研削砥石を取り外す操作を行う必要があること、また、環状研削砥石を軸方向に出没させるシリンダー機構が複雑で、所定の球面形状を得るために微調整が必要であることなどにより、その操作に時間が掛かり、加工能率が低下するという問題点がある。
【0006】
また、仕上げ研削ではできるだけ高メッシュの砥粒工具を用いたほうが高精度な仕上げ面を得ることができるが、工具の目つぶれが発生し易く、加工面精度が悪化する。この影響を少なくするために、高メッシュ砥粒工具に対しては、バネ圧やエア圧によるラッピング加工を適用する。従って、従来技術のように、粗研削工程も仕上げ加工工程も同様な加工手段を用いて、精度の高い加工を高能率に安定して行うことは困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、請求項1または2に係る発明の目的は、粗研削から仕上げ研削までを一貫して高能率で、高精度に安定して加工ができる光学素子の研削方法を提供することである。
請求項3、4、5、または6に係る発明の目的は、粗研削から仕上げ研削までを一貫して高能率で、高精度に安定して加工ができる光学素子の研削装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1または2に係る発明は、工具軸の回転中心に対して同心に配設された複数の研削工具によって球面形状にワークを研削する光学素子の研削方法において、前記複数の研削工具は、円盤型研削工具と総型研削工具とからなり、円盤型研削工具は工具軸の外周に、総型研削工具は工具軸の端面に配設し、ワークを強制回転させながら円盤型研削工具をワークの端面から接近させて粗研削した後、工具軸を回動した後、総型研削工具上にワークを押圧して従属回転させながら仕上げ研削することを特徴とする。
【0009】
請求項3または4に係る発明は、工具軸の回転中心に対して同心に配設された複数の研削工具によって球面形状にワークを研削する光学素子の研削装置において、前記複数の研削工具は、カップ型研削工具と総型研削工具とからなり、総型研削工具はカップ型研削工具の内側に配され、互いに相対的に出没できるように工具軸に沿って進退自在に嵌装され、ワーク軸は、その軸方向に進退自在であり、ワークを着脱自在にしかつ強制回転させるチャック機構とワークを開放してワーク軸方向に押圧する押圧機構とを備え、前記工具軸はその軸心と前記ワーク軸の軸心とにその交点にて直交する軸を中心として回動する回動機構を備えて構成したことを特徴とする。
請求項5または6に係る発明は、工具軸の回転中心に対して同心に配設された複数の研削工具によって球面形状にワークを研削する光学素子の研削装置において、前記複数の研削工具は、円盤型研削工具と総型研削工具とからなり、円盤型研削工具は工具軸の外周に、総型研削工具は工具軸の端面に配設し、ワーク軸は、その軸方向に進退自在であり、ワークを着脱自在にしかつ強制回転させるチャック機構とワークを開放してワーク軸方向に押圧する押圧機構とを備え、前記工具軸はその軸心と前記ワーク軸の軸心とにその交点にて直交する軸を中心として回動する回動機構を備えて構成したことを特徴とする。
【0010】
【作用】
請求項1または2に係る発明の作用では、円盤型研削工具による粗研削が終了すると、工具軸を回動させ、総型研削工具により仕上げ研削を直ちに行うので、一貫した作業が連続して行える。また、総型研削工具の上に、ワークを押圧して従属回転させながら仕上げ研削を行うので、面精度のよい仕上げ面となる。
請求項2に係る発明の作用では、上記作用に加え、総型研削工具を球心揺動させながら仕上げ研削を行うので、より高精度の仕上面となる。
【0011】
請求項3または4に係る発明の作用では、総型研削工具はカップ型研削工具の内側に配され、互いに相対的に出没できるように工具軸に沿って進退自在に嵌装され、かつ、工具軸はその軸心と前記ワーク軸の軸心とにその交点にて直交する軸を中心として回動する回動機構を備えて構成しているので、粗研削時には、カップ型研削工具と回動機構とによる相対運動によりワークに球面を創成し、仕上げ研削時には、総型研削工具をカップ型研削工具から突出させてカップ型研削工具への干渉を回避し、回動機構により総型研削工具に揺動運動を与える。また、ワーク軸はその軸方向に進退自在であり、ワークを着脱自在にしかつ強制回転させるチャック機構とワークを開放してワーク軸方向に押圧する押圧機構とを備えているので、粗研削時には、チャック機構によりワークを把持して強制回転させ、かつ軸方向に送りを与え、仕上げ研削時には、チャックを開放してワークを総型研削工具の上に押圧する。
請求項4に係る発明では、上記作用に加え、総型研削工具の曲率半径がワークの仕上げ曲率半径と一致しているので、高精度に球面を仕上げる。
【0012】
請求項5または6に係る発明の作用では、円板型研削工具は工具軸の外周に、総型研削工具は工具軸の端面に配設し、かつ、工具軸はその軸心と前記ワーク軸の軸心とその交点にて直交する軸を中心として回動する回動機構を備えているので、粗研削時には、円盤型研削工具の外周面によりワークに球面を整形し、仕上げ研削時には、回動機構により工具軸を回動させてから、総型研削工具に揺動運動を与える。またワーク軸はその軸方向に進退自在であり、ワークを着脱自在にしかつ強制回転させるチャック機構とワークを開放してワーク軸方向に押圧する押圧機構とを備えているので、粗研削時には、チャック機構によりワークを把持して強制回転させ、かつ軸方向に送りを与え、仕上げ研削時には、チャックを開放してワークを総型研削工具の上に押圧する。
請求項6に係る発明の作用では、上記作用に加え、円盤型研削工具の縦断面曲率半径は、ワークの仕上げ曲率半径より仕上げ代分加減してなり、前記総型研削工具の曲率半径は、ワ−クの仕上げ曲率半径と一致しているので、粗研削時には正確な仕上げ代が残り、仕上げ研削時には高精度に球面を仕上げる。
【0013】
【実施例1】
図1〜図5は第1実施例を示し、図1は粗研削時の研削装置の正面断面図、図2は仕上げ研削時の研削装置の正面断面図、図3は研削装置の工具軸の横断面図、図4は総型研削工具を進退させる出没機構の配管系統図、図5は変形例の総型研削工具を進退させる出没機構の配管系統図である。
【0014】
本実施例の光学素子の研削装置を説明する。図1において、研削装置は大別してワーク軸1と工具軸7とからなる。工具軸7は、円筒形の工具軸本体8の一端にカップ型研削工具23をネジ部8cにて工具軸7の軸心Bと同心に螺着し、そのゆるみ防止のためにナット21がカップ型研削工具23に嵌着されている。また、カップ型研削工具23の内周にはフランジ2に貼付された総型研削工具11が嵌装されている。フランジ2の外周には、ストッパー9が配設され、フランジ2を進退自在に保持する。ストッパー9は中継ぎ20の一端に固着されている。中継ぎ20は工具軸本体8の中心部に嵌装され、そのもう一方の端部はネジ部8dにて工具軸本体8に螺着され、ゆるみ防止のためにナット22が中継ぎ20に嵌着されている。
【0015】
総型研削工具11およびフランジ2は、ストッパー9をガイドとして軸心B方向に対して進退自在に構成されている。その範囲は、フランジ2の底面2bと中継ぎ20とが接触し、カップ型研削工具23が突出して総型研削工具11が埋没する位置(図1)から、フランジ2の突起部2aとストッパー9の突起部9aとが接触し、総型研削工具11が突出してカップ型研削工具23が埋没する位置(図2)までである。工具軸7には、エアー(圧縮空気)を流体とする総型研削工具11の進退移動のための出没機構(図4)が図示を省略したロータリージョイントを介して連結されている。図4に示すように、この出没機構はコンプレッサー51と、真空ポンプ52と、それぞれの電磁弁53、54とから構成されている。フランジ2とストッパー9は互いに気密的に嵌合しているので、エアーは電磁弁53が開かれたとき、コンプレッサー51から工具軸7の中継ぎ20の孔20aに送られ、フランジ2の底面2bを押圧して総型研削工具11を突出させる。また電磁弁53が閉じられ、電磁弁54が開かれたとき、エアーは真空ポンプにより吸引され、総型研削工具11は埋没する。
【0016】
工具軸本体8は図示を省略した駆動源装置と連結され、軸心Bを中心に回転駆動自在な構成となっている。また、工具軸本体8が回転すると、カップ型研削工具23が回転する。さらに、図3に示すように、ストッパー9のキー部9bとフランジ2の溝部2cとが嵌め合うことにより、工具軸本体8の回転方向に対して相対移動がないようになっている。そのため、工具軸本体8の回転は、ストッパー9、フランジ2を介して総型研削工具11に伝達されるように構成されている。さらに、工具軸本体8は、ワーク軸1の軸心Aと工具軸7の軸心Bとにその交点にて直交する軸を支点O0 として回動する図示を省略した回動機構により、旋回運動および球心揺動(α方向)ができるようになっている。
【0017】
カップ型研削工具23および総型研削工具11は、ダイヤモンド粉末、CBN、アルミナ、炭化珪素、酸化セリウム、ジルコニアなどの砥粒をメタルボンド、レジンボンド、メタルレジンボンドまたはビトリファイドボンドなどで結合したものである。カップ型研削工具23の加工面23aは凸面で、曲率半径R1 はワーク3の仕上げ曲率半径R0 より仕上げ代分小さく形成され、曲率中心O1 が工具軸7の回動機構の支点O0 と合致するように工具軸本体8のネジ部8cにより設定されている。さらに、総型研削工具11の加工面11aは凸面で、仕上げ曲率半径R0 に等しいR2 に設定されている。
【0018】
図1において、ワーク軸1は、ワーク軸本体5と、その端部に設けられたコレットチャック4と、ワーク軸本体5の中心部に設けられたカンザシ6とにより構成される。ワーク軸本体5は軸心Aを中心として回転自在に、かつ、矢印C方向に移動自在に構成されている。ワーク3は円板状のガラス素材であり、最終的には図3の破線で示す凹球面3bに仕上げられる。ワーク3の上面は皿12に貼付されており、皿12の上面中央部には凹部が形成され、凹部には棒状でその先端が球形のカンザシ6が嵌合し得るようになっている。カンザシ6の上端は、ワーク軸本体に取り付けられた加圧装置(図示省略)に接続されている。さらに、ワーク3および皿12の外周面には、ワーク軸本体5に取り付けられたコレットチャック4の先端部があり、ワーク3の外周面の把持および開放を行うようになっている。
【0019】
ワーク3とカップ型研削工具23および総型研削工具11との加工時の接触部には、図示を省略したクーラント供給装置に連結されたノズル10よりクーラントが供給されるように構成されている。
【0020】
本実施例の研削装置を用いた研削方法について説明する。図1は粗研削加工の状況を示している。ワーク軸1では、皿12に貼付されたワーク3をコレットチャック4により把持する。工具軸7では、総型研削工具11を埋没させ、カップ型研削工具23を突出させておく。工具軸7およびワーク軸1を回転させる。ノズル10よりクーラントを供給し、工具軸7をα方向に旋回(少なくともカップ型研削工具23の加工面23aがワーク3の中心3aに達するまで)させることにより、ワ−ク3の外周から球面を創成する粗研削加工を行う。
【0021】
なお、カップ型研削工具23の加工面23aにおける曲率半径R1 の中心O1 が、工具軸7の回動機構の支点O0 と一致するように、カップ型研削工具23の高さ調整を行う。その調整はナット21をゆるめ、カップ型研削工具23を回して、工具軸本体8のネジ部8cでの軸心B方向への移動により行う。それ故、ワーク3はカップ型研削工具23の加工面23aの曲率半径R1 に合致した凹球面3b(図1の破線で示す面)を得る。
【0022】
また、総型研削工具11は、その出没機構(図4)により、フランジ2および総型研削工具11を吸引し、フランジ2の底面2bが中継ぎ20に接触する位置まで後退させてある。それ故、カップ型研削工具23が突出しているので、総型研削工具11とワーク3とが接触することはない。
【0023】
図2は仕上げ研削の状況を示す。ワーク軸1を上方(C方向)に移動させた後、工具軸7をθ1 (ワーク軸の軸心Aから総型研削工具11による球心揺動の中央までの角度)に傾斜させる。総型研削工具11の出没機構(図4)により、フランジ2および総型研削工具11を前進させ、ストッパー9の突起部9aにフランジ2の突起部2aが接触する位置で空気圧により保持する。この状態で、総型研削工具11はカップ型研削工具23より突出している。
【0024】
つぎに、コレットチャック4を開放し、カンザシ6を加圧装置(図示省略)により押し出し、ワーク3を総型研削工具11の加工面11aに押圧する。ノズル10よりクーラントを供給させ、工具軸7を回動機構の支点O0 を中心として球心揺動させることによりワーク3の仕上げ研削を行う。このとき、粗研削後のワーク3の凹球面3bの曲率半径R1 は総型研削工具11の加工面11aの曲率半径R2 (=R0 )より仕上げ代分だけ小さいので、仕上げ研削の初期にはワーク3と総型研削工具11との接触は外当り(ワーク3の外周部分から当たる)になる。それ故、ワーク3は総型研削工具11の回転により連れ回り(従属回転)が良好となる。
【0025】
なお、予め総型研削工具11の加工面11aにおける曲率半径R2 の中心O2 が工具軸7の球心揺動(α)の支点O0 と一致するように、総型研削工具11の高さ調整を行う。その調整はナット22をゆるめ、ストッパー9を回して、工具軸本体8のネジ部8dでの軸心B方向への移動により行う。
【0026】
以上、本実施例によれば、高能率に粗研削から仕上げ研削までの加工を一貫して行うことができ、かつ総型研削工具の上にワークを押圧して従属回転させながら仕上げ研削を行うので、安定した仕上げ研削加工により高精度の光学素子を得ることができる。
【0027】
本実施例の変形例について説明する。まず、図5に総型研削工具の出没装置の変形例を示す。コンプレッサー55はコンバム56のイン側56aに接続し、コンバム56のアウト側56c、吸引側56bが電磁弁57、58を介して中継ぎ20の孔20aと接続している。電磁弁57、58の開閉によりフランジ2の底面2bを押し出しまたは吸引し、総型研削工具の出没を行う。この利点は装置が簡略になることである。
【0028】
また、本実施例では、仕上げ研削するとき工具軸を球心揺動させてワークのラジアル方向に総型研削工具の加工面を摺動させているが、若干球面精度の点に差はあるものの、球心揺動は必ずしも必要ではなく、球心揺動をせずとも、ワークが従属回転するので、仕上げ研削を行うことができる。
さらに、本実施例では、カップ型研削工具を工具軸本体に固定し、総型研削工具を軸心方向に出没させる構成としたが、これに替えて、総型研削工具を工具軸本体に固定し、カップ型研削工具を出没させることもできる。その場合の研削装置は、カップ型研削工具を出没機構と連結する構造とする。
【0029】
【実施例2】
図6〜図7は第2実施例を示し、図6は粗研削時の研削装置の正面断面図、図7は仕上げ研削時の正面断面図である。本実施例はワークを凹形状から凸形状に変更した点と総型研削工具の出没機構の構造とが第1実施例と異なる。その他は第1実施例と同様であり、同一の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
図6において、フランジ2はシリンダー24のピストン部24aとベアリング25を介して回転自在かつ進退自在に連結されている。また、カップ型研削工具23の加工面23aは凹面で、曲率半径R1 はワーク3の仕上げ曲率半径R0 より仕上げ代分大きく形成され、総型研削工具11の加工面11aは凹面で、曲率半径R2 は仕上げ曲率半径R0 と同一に形成されている。その他の研削装置の構造は第1実施例と同様である。
【0031】
本実施例の研削装置を用いた研削方法について説明する。図6は粗研削加工の状況を示している。ワーク軸1では、皿12に貼付されたワーク3をコレットチャック4により把持する。工具軸7では、総型研削工具11を埋没させ、カップ型研削工具23を突出させておく。工具軸7およびワーク軸1を回転させる。ノズル10よりクーラントを供給し、工具軸7をα方向に旋回(少なくともカップ型研削工具23の加工面23aがワーク3の中心3aに達するまで)させることにより、ワ−ク3の外周から球面を創成する粗研削加工を行う。
【0033】
なお、カップ型研削工具23の加工面23aにおける曲率半径R1 の中心O1 が、工具軸7の回動機構の支点O0 と一致するように、カップ型研削工具23の高さ調整を行う。その調整はナット21をゆるめ、カップ型研削工具23を回して、工具軸本体8のネジ部8cでの軸心B方向への移動により行う。それ故、ワーク3はカップ型研削工具23の加工面23aの曲率半径R1 に合致した凸球面3b(図6の破線で示す面)を得る。
【0034】
また、総型研削工具11は、シリンダー24により、フランジ2および総型研削工具11を引き戻し、フランジ2の底面2bが中継ぎ20に接触する位置まで後退させてある。それ故、カップ型研削工具23が突出しているので、総型研削工具11とワーク3とが接触することはない。
【0035】
図7は仕上げ研削の状況を示す。ワーク軸1を上方(C方向)に移動させた後、工具軸7をθ1 (ワーク軸の軸心Aから総型研削工具11による球心揺動の中央までの角度)に傾斜させる。総型研削工具11に連結したシリンダー24により、フランジ2および総型研削工具11を前進させ、ストッパー9の突起部9aにフランジ2の突起部2aが接触する位置で空気圧により保持する。この状態で、総型研削工具11はカップ型研削工具23より突出している。
【0036】
つぎに、コレットチャック4を開放し、カンザシ6を加圧装置(図示省略)により押し出し、ワーク3を総型研削工具11の加工面11aに押圧する。ノズル10よりクーラントを供給させ、工具軸7を回動機構の支点O0 を中心として球心揺動させることによりワーク3の仕上げ研削を行う。このとき、粗研削後のワーク3の凸球面3bの曲率半径R1 は総型研削工具11の加工面11aの曲率半径R2 (=R0 )より仕上げ代分だけ大きいので、仕上げ研削の初期にはワーク3と総型研削工具11との接触は外当り(ワーク3の外周部分から当たる)になる。それ故、ワーク3は総型研削工具11の回転により連れ回り(従属回転)が良好となる。
【0037】
なお、予め総型研削工具11の加工面11aにおける曲率半径R2 の中心O2 が工具軸7の球心揺動(α)の支点O0 と一致するように、総型研削工具11の高さ調整を行う。その調整はナット22をゆるめ、ストッパー9を回して、工具軸本体8のネジ部8dでの軸心B方向への移動により行う。
【0038】
以上、本実施例によれば、凸形状のワークにおいても、高能率に粗研削から仕上げ研削までの加工を一貫して行うことができ、かつ総型研削工具の上にワークを押圧して従属回転させながら仕上げ研削を行うので、安定した仕上げ研削加工により高精度の光学素子を得ることができる。
【0039】
つぎに、本実施例でも、カップ型研削工具を工具軸本体に固定し、総型研削工具を軸心方向に出没させる構成としたが、これに替えて、総型研削工具を工具軸本体に固定し、カップ型研削工具を出没させることもできる。その場合の研削装置は、カップ型研削工具をシリンダーと連結する構造とする。また本実施例ではシリンダーはエアー(圧縮空気)を用いているが、油圧シリンダーやエアーハイドロシリンダーを用いることもできる。
【0040】
【実施例3】
図8〜図10は第3実施例を示し、図8は粗研削時の研削装置の正面断面図、図9は仕上げ研削時の正面断面図、図10は工具軸の変形例を示す半断面図である。本実施例は工具軸の構成のみに特徴があるので、ワーク軸の構成などは第1および第2実施例と同一であり、同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
図8において、工具軸本体8の外周面に、円盤型研削工具たるダイヤモンド砥粒の電着工具31が、加工面31aの縦断面曲率半径R1 の中心O1 と工具軸7の回動機構の支点O0 とが一致するように装着されている。また、総型研削工具11を貼付したフランジ2は、そのネジ部2cにて、工具軸本体8のネジ部8cに同軸に螺着され、ゆるみ止めにネジ部2cにナット30が嵌着されている。総型研削工具11の加工面11aの曲率半径R2 はワークの仕上げ曲率半径R0 と一致しており、ワーク3が凹形状なので、電着工具31の縦断面曲率半径R1 はワークの仕上げ曲率半径R0 より仕上げ代の分だけ小さく形成されている。また電着工具31の外径Dk は、図8のように幅Wがワーク3の外径より小さい場合には縦断面曲率半径R1 の丁度2倍に形成する。しかし、幅Wがワーク3の外径より大きい場合には、2倍未満にして電着工具31の縦断面曲率半径R1 による球面整形を干渉しないようにしてもよい。
【0042】
工具軸本体8は図示を省略した駆動源装置と連結され、軸心Bを中心に回転駆動自在な構成となっている。工具軸本体8の回転は、電着工具31および総型研削工具11伝達されるように構成されている。さらに、工具軸本体8は、ワーク軸1の軸心Aと工具軸7の軸心Bとにその交点にて直交する軸を支点O0 として回動する図示を省略した回動機構により、回動および球心揺動(α方向)ができるようになっている。
【0043】
本実施例の研削装置を用いた研削方法について説明する。図8は粗研削加工の状況を示している。ワーク軸1では、皿12に貼付されたワーク3をコレットチャック4により把持する。工具軸7では、回動機構により工具軸7の軸心Bがワーク軸1の軸心Aに対して垂直になるまで傾斜させておく。工具軸7およびワーク軸1を回転させる。ノズル10よりクーラントを供給し、ワーク軸を下方(C方向)に送ることにより電着工具31ワーク3を粗研削加工する。ワーク3の下面には、電着工具31の回転とワーク軸1の強制回転とC方向への送りとにより、凹球面3bが形成される。
【0044】
図9は仕上げ研削の状況を示す。ワーク軸1を上方(C方向)に移動させた後、工具軸7をθ0 (ワーク軸の軸心Aから総型研削工具11による球心揺動の中央までの角度)まで戻す。つぎに、コレットチャック4を開放し、カンザシ6を加圧装置(図示省略)により押し出し、ワーク3を総型研削工具11の加工面11aに押圧する。ノズル10よりクーラントを供給させ、工具軸7を回動機構の支点O0 を中心として球心揺動させることによりワーク3の仕上げ研削を行う。このとき、粗研削後のワーク3の凹球面3bの曲率半径R1 は仕上げ曲率半径R2 (=R0 )より小さいので、仕上げ研削の初期にはワーク3と総型研削工具11との接触は外当り(ワーク3の外周部分から当たる)になる。それ故、ワーク3は総型研削工具11の回転により連れ回り(従属回転)が良好となる。
【0045】
なお、予め、総型研削工具11の加工面11aにおける曲率半径R2 の中心O2 が回動機構の支点O0 と合致するように、総型研削工具11の高さ調整をおこなう。その調整はナット30をゆるめ、フランジ2を回して、工具軸本体8のネジ部8eでの軸心B方向への移動により行う。
【0046】
本実施例によれば、凹形状のワークにおいて、前記第1実施例と同様な効果を得るとともに、総型研削工具の出没機構が必要ないので、研削装置の構造を簡略にすることができる。
【0047】
本実施例の変形例について説明する。まず、図10は工具軸の変形例を示し、電着工具41が工具軸7の軸心Bに対して、γの傾斜角で装着されている点に特徴がある。粗研削加工するときは、電着工具41の傾斜角γまで工具軸7を傾けて回転させ、ワーク軸1を下方(C方向)に送ることにより行う。この場合、電着工具41の加工面41aがワーク3に対して下方の端面より斜めに接触を始めるので、切込みが円滑に行われる。
【0048】
つぎに、本実施例では、円盤型研削工具にダイヤモンド砥粒の電着工具を用いたが、総型研削工具と同様に、第1実施例で記述したCBNなどの砥粒を結合した円盤型研削工具を用いてもよい。
また、本実施例では、凹形状のワ−クを研削する場合について説明したが、加工面の縦断面形状が凹面で幅がワークの外径より大きな円盤型研削工具と、凹面の加工面を有する総型研削工具とを用いれば、凸形状のワークを研削することができる。この場合、円盤型研削工具の加工面の縦断面曲率半径は、ワークの仕上げ曲率半径より仕上げ代の分だけ大きな曲率半径となる。
さらに、本実施例では、工具軸に球心揺動を与えて、総型研削工具により仕上げ研削をしているが、第1実施例と同様に、仕上がり面精度に若干の差はあるものの、球心揺動を必ずしも必要とせず、総型研削工具の上にワークを押圧して工具軸を回転させるのみでも、ワ−クが従属回転するので、仕上げ研削を行うことができる。
【0049】
【発明の効果】
請求項1〜2に係る発明によれば、高能率に粗研削から仕上げ研削までの加工を一貫して行うことができ、かつ総型研削工具の上にワークを押圧して従属回転させながら仕上げ研削を行うので、安定した仕上げ研削加工により高精度の光学素子を得ることができるとともに、総型研削工具の出没機構の必要がないので、研削装置の構造を簡略にすることができる。請求項2に係る発明によれば、上記効果に加え、総型研削工具を球心揺動させながら仕上げ研削を行うので、より高精度の仕上面となる。請求項3〜4に係る発明によれば、高能率に粗研削から仕上げ研削までの加工を一貫して行うことができ、かつ総型研削工具の上にワークを押圧して従属回転させながら仕上げ研削を行う、安定した高精度の光学素子の研削装置を提供することができる。請求項5〜6に係る発明によれば、高能率に粗研削から仕上げ研削までの加工を一貫して行うことができ、かつ総型研削工具の上にワークを押圧して従属回転させながら仕上げ研削を行う、安定した高精度の光学素子の研削装置を提供することができるとともに、総型研削工具の出没機構の必要がないので、研削装置の構造を簡略にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の粗研削時の研削装置を示す正面断面図である。
【図2】第1実施例の仕上げ研削時の研削装置を示す正面断面図である。
【図3】第1実施例の研削装置の工具軸を示す横断面図である。
【図4】第1実施例の総型研削工具を進退させる出没機構を示す配管系統図である。
【図5】第1実施例の変形例の総型研削工具を進退させる出没機構を示す配管系統図である。
【図6】第2実施例の粗研削時の研削装置を示す正面断面図である。
【図7】第2実施例の仕上げ研削時の研削装置を示す正面断面図である。
【図8】第3実施例の粗研削時の研削装置を示す正面断面図である。
【図9】第3実施例の仕上げ研削時の研削装置を示す正面断面図である。
【図10】第3実施例の工具軸の変形例を示す半断面図である。
【図11】従来技術の研削装置の主要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ワーク軸
2 フランジ
3 ワーク
4 コレットチャック
5 ワーク軸本体
6 カンザシ
7 工具軸
8 工具軸本体
9 ストッパー
10 ノズル
11 総型研削工具
12 皿
20 中継ぎ
21 ナット
22 ナット
23 カップ型研削工具
0 光学素子の曲率半径の球心

Claims (6)

  1. 工具軸の回転中心に対して同心に配設された複数の研削工具によって球面形状にワークを研削する光学素子の研削方法において、
    前記複数の研削工具は、円盤型研削工具と総型研削工具とからなり、円盤型研削工具は工具軸の外周に、総型研削工具は工具軸の端面に配設し、ワークを強制回転させながら円盤型研削工具をワークの端面から接近させて粗研削した後、工具軸を回動した後、総型研削工具上にワークを押圧して従属回転させながら仕上げ研削することを特徴とする光学素子の研削方法。
  2. 前記仕上げ研削は、前記総型研削工具を、光学素子の曲率半径の球心を中心として球心揺動させて行うことを特徴とする請求項1記載の光学素子の研削方法。
  3. 工具軸の回転中心に対して同心に配設された複数の研削工具によって球面形状にワークを研削する光学素子の研削装置において、
    前記複数の研削工具は、カップ型研削工具と総型研削工具とからなり、総型研削工具はカップ型研削工具の内側に配され、互いに相対的に出没できるように工具軸に沿って進退自在に嵌装され、ワーク軸は、その軸方向に進退自在であり、ワークを着脱自在にしかつ強制回転させるチャック機構とワークを開放してワーク軸方向に押圧する押圧機構とを備え、前記工具軸はその軸心と前記ワーク軸の軸心とにその交点にて直交する軸を中心として回動する回動機構を備えて構成したことを特徴とする光学素子の研削装置。
  4. 前記総型研削工具の曲率半径は、ワ−クの仕上げ曲率半径と一致してなることを特徴とする請求項3記載の光学素子の研削装置。
  5. 工具軸の回転中心に対して同心に配設された複数の研削工具によって球面形状にワークを研削する光学素子の研削装置において、
    前記複数の研削工具は、円盤型研削工具と総型研削工具とからなり、円盤型研削工具は工具軸の外周に、総型研削工具は工具軸の端面に配設し、ワーク軸は、その軸方向に進退自在であり、ワークを着脱自在にしかつ強制回転させるチャック機構とワークを開放してワーク軸方向に押圧する押圧機構とを備え、前記工具軸はその軸心と前記ワーク軸の軸心とにその交点にて直交する軸を中心として回動する回動機構を備えて構成したことを特徴とする光学素子の研削装置。
  6. 前記円盤型研削工具の縦断面曲率半径は、ワークの仕上げ曲率半径より仕上げ代分加減してなり、前記総型研削工具の曲率半径は、ワ−クの仕上げ曲率半径と一致してなることを特徴とする請求項5記載の光学素子の研削装置。
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