JP3640562B2 - 光ピックアップ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種光学式情報記録媒体の読み取り(または書き込み)を行う光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学式情報記録媒体には、LD(Laser Disc),CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disc)と称される如き種々の光ディスクが知られている。このような光ディスクでは、その基板厚さなど、個々に異なる仕様で規格化されている。また、DVD仕様に含まれる多層構造の光ディスクでは、各記録層毎に実効上の光ディスクの厚みが異なる。さらに、異なる光ディスクにおいては、それぞれ読取用対物レンズの最適な開口数(NA)も異なっている。
【0003】
当然、CDとDVDのどちらからも記録情報を読み取ることのできるコンパチブルプレーヤが求められるが、CDを読み取る場合の光学系と、DVDを読み取る場合の光学系とでは、次のような違いがある。
開口数NAの違い:DVDの場合0.6に対してCDの場合は0.45である。光ディスク表面から記録(反射)面までの基板の厚みの違い:DVDの場合0.6mmに対してCDの場合は1.2mmである。
【0004】
最適読取光の波長の違い:DVDの場合650nmに対してCDの場合は780nmである。従って、CD/DVDコンパチブルプレーヤの光ピックアップを実現するためには、これらの相違を吸収する必要がある。
【0005】
かかるコンパチブルプレーヤの実現に際しては、各ディスクに適合した波長の光源を複数個用いることにより光ピックアップを構成するのが無難である。かかる構成を有する光ピックアップは、例えば特開平10−269608号公報により既に公知となっている。この一例を図8に示す。
【0006】
図8は、従来のコンパチブルプレーヤに用いられる光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図である。図8において、光ピックアップP0には、DVDに適する例えば波長650nmの光ビームを発射する第1のレーザダイオード11と、CD及びCD−Rに適する例えば波長780nmの第2のレーザダイオード12とが設置されている。
【0007】
一方、書き込み及び読み取りの対象のディスク記録面の法線に沿って、該ディスク記録面から集光光学系たる対物レンズ20、楔型の一体型プリズム21が順に配置される。対物レンズ20は、ディスク記録面に正対している一方、一体型プリズム21の図8における集光光学系側表面(面A及び面B’)は、かかる法線に対して傾斜している。
【0008】
レーザダイオード11、12並びに一体型プリズム21は、レーザダイオード11の発射光が一体型プリズム21の面Aに所定の角度で入射しこの入射光が当該面Aで反射して対物レンズ20を介しディスク記録面へと導かれるとともに、レーザダイオード12の発射光が面B’に所定の角度で入射しこの入射光が一体型プリズム21の面Bで反射し面Aを透過した光が対物レンズ20を介しディスク記録面へと導かれるように配置されている。
【0009】
対物レンズ20によって集光された光ビームは、ディスク記録面において光学変調を受けつつ反射し、戻り光として再び対物レンズ20に達する。対物レンズ20を経た戻り光は、再びディスクへの入射光と同様の光路にて一体型プリズム21に導かれる。ディスク記録面からの反射光は一体型プリズムの面Aから入射して透過し面Bを透過する。面Bを透過したディスクからの反射光は受光素子30へ到達する。
【0010】
一体型プリズム21は、第1のレーザダイオード11及び第2のレーザダイオード12から選択的に発射される光ビームをそれぞれ一体型プリズム21により略無収差にて対物レンズ20を経てディスク記録面の法線に沿って入射させる。そして、対物レンズ20を経た戻り光は一体型プリズム21に入射し当該一体型プリズムを透過する際に非点収差を付与されて光学素子30へ導かれる。上記各レーザダイオードからの光ビームの各々につき光学素子30での受光強度及び非点収差が十分得られるように一体型プリズム21の形状及び光学特性が定められ、その詳細内容は、特開平10−269608号公報に既に開示されている。
【0011】
この一体型プリズム21を用いると、第1レーザダイオード11から発射された光ビームは一体型プリズム21の面Aで反射し略無収差で対物レンズ20へ導かれる。ディスク記録面からの反射光は一体型プリズム21の面A及び面Bを透過し受光素子30へ導かれる。一体型プリズムの面Aから面Bを透過する際に所望の非点収差が付与されることになる。第2レーザダイオード12から発射された光ビームは一体型プリズム21の面B’を透過し、面Bで反射される。面Bを反射した光ビームは面Aを透過し略無収差で対物レンズ20へ導かれる。ディスク記録面からの反射光は、第1レーザダイオード11から発射された光ビームと同様に、一体型プリズム21の面A及び面Bを透過し受光素子30へ導かれる。一体型プリズムの面A及び面Bを透過する際に所望の非点収差が付与されることになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ディスク記録面からの反射光が一体型プリズム21の面A及び面Bを透過する際に非点収差以外の収差(主にコマ収差)を発生する。コマ収差は受光素子30上での戻り光の光軸を中心とする光量分布を非対称に歪ませる。
【0013】
例えば受光素子30を4分割の受光部で構成した場合は非点収差法を用いたフォーカスエラーがコマ収差の影響で正確に検出することが出来ない場合があり、プレーヤがディスクのフォーカスサーボを良好に行えず、ディスクの記録情報を正確に読み取ることができないといった問題が生じる。
【0014】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、独立した異なる複数の光ビームの照射を行い、非点収差を含み良好な光量分布(光量が光軸を中心に軸対称となる分布)を有する戻り光の受光を行うことのできる、光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、独立した異なる複数の光ビームの発射を行い、非点収差を含み良好な光量分布を有する戻り光の受光を行うことのできる光ピックアップ装置であって、少なくとも2つの独立した光ビームを供給するビーム発射手段と、ビーム発射手段からの光ビームを記録媒体へ向けて集光させる共通の光学系と、ビーム発射手段からの光ビームの各々が入射し略無収差のまま当該光ビームの各々を集光光学系へ導くとともに、記録媒体からの戻り光の各々が入射し受光素子へ導くための一体型プリズムと、受光素子と一体型プリズムとの間に戻り光のコマ収差を除去するための収差除去手段として光学プリズムと、を設けるように構成した。
【0016】
収差除去手段は、一体型プリズムなどによって上記記録媒体からの戻り光に付与されたコマ収差を除去するので、その結果、受光素子は、非点収差を含む良好な光量分布を有する戻り光を受光することができ、良好なフォーカスサーボを行うのに必要なフォーカスエラーを正確に検出することができる。
【0019】
また、請求項2記載の発明は、独立した異なる複数の光ビームの発射を行い、非点収差を含み良好な光量分布を有する戻り光の受光を行うことのできる光ピックアップ装置であって、少なくとも2つの独立した光ビームを供給するビーム発射手段と、ビーム発射手段からの光ビームを記録媒体へ向けて集光させる共通の光学系と、ビーム発射手段からの光ビームの各々が入射し略無収差のまま当該光ビームの各々を集光光学系へ導くとともに、記録媒体からの戻り光の各々が入射し受光素子へ導くための一体型プリズムと、受光素子と一体型プリズムとの間に戻り光に非点収差を付与する非点収差付与手段として光学プリズムと、を設けたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【0020】
非点収差付与手段は、一体型プリズムから受光素子に向けて発射される戻り光に非点収差を付与して受光素子に導くので、その結果、受光素子は、非点収差を含む良好な光量分布を有する戻り光を受光することができ、良好なフォーカスサーボを行うのに必要なフォーカスエラーを正確に検出することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(1)第1の実施形態
次に、本発明における好適な各実施形態について図面をもとに以下に説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図であり、ここでは異なる2波長の光源を用いた光ピックアップP1で示している。なお、図1において、先に示した図8における従来の光ピックアップの各部の構成と同等の構成部分については、同一の符号を付している。
【0031】
図1において、光ピックアップP1は、ビーム発射手段としてのDVDなどの高記録密度の光ディスクを記録再生するための波長650nmの第1のレーザダイオード11及びCD、CD−Rなどの低記録密度の光ディスクを記録再生するための第2のレーザダイオード12と、これらレーザダイオードからの光ビームをCDやLD、DVDなどの記録媒体に向けて集光させる共通の集光光学系としての対物レンズ20と、一体型プリズム21と、収差除去手段としてのホログラム1と、受光素子30と、を備えて構成される。
【0032】
一体型プリズム21は、ビーム発射手段の各々に対応してこれら光ビームが入射される少なくとも2つの入力表面面A、面Bと、これら光ビームの各々が対物レンズ20によってディスク記録面に集光することにより生成される戻り光に対し非点収差を付与して出射する出力表面B’とを有する。入力表面の一方の面Aは、集光光学系側に形成され、入力表面の他方の面Bは、集光光学系側とは反対側に形成され、出力表面B’は、集光光学系側に形成され、入力表面の一方の面Aと入力表面の他方の面Bとは、互いに非平行である。また、入力表面の一方の面Aと出力表面B’とは、山形形状を呈する角度をなすように構成されている。
【0033】
対物レンズ20及び一体型プリズム21は、ディスク記録面に対し図8と同様の位置に配置される。
【0034】
従って、図1では、レーザダイオード11、12並びに一体型プリズム21は、レーザダイオード11の発射光が一体型プリズム21の面Aに所定の角度で入射し、この入射光が面Aで反射して対物レンズ20を介しディスク記録面へと導かれる。レーザダイオード12の発射光が面Bに所定の角度で入射しこの入射光が一体型プリズム21の面Aを透過して対物レンズ20を介しディスク記録面へと導かれるように配置されている。各レーザダイオードからの発射光は、従来技術と同様に、略無収差でディスク記録面へ導かれる。上記各レーザダイオードからの光ビームの各々につき光学素子30での受光強度及び非点収差が十分得られるように一体型プリズム21の形状及び光学特性が定められ、その詳細内容は、特開平10−269608号公報に既に開示されている。
【0035】
対物レンズ20によって集光された光ビームは、ディスク記録面において光学変調を受けつつ反射し、戻り光として再び対物レンズ20に達する。対物レンズ20を経た戻り光は、再びディスクへの入射光と同様の光路にて一体型プリズム21に導かれる。ディスク記録面からの反射光は一体型プリズムの面Aから入射し面Bで反射して面B’から出射する。ディスク記録面からの反射光は一体型プリズム21を透過する際に所定の非点収差を付与される。面B’を出射した反射光はホログラム1へと導かれる。
【0036】
ホログラム1は、一体型プリズム21の集光光学系側に配されて、且つ、一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中に設けられている。このホログラム1は、一体型プリズム21からのかかる戻り光に対し、一体型プリズム21を透過することにより発生してしまう非点収差以外の収差(例えばコマ収差など)を除去する処理を行う。ホログラム1を透過した戻り光は受光素子30へ到達する。
【0037】
このホログラム1のホログラムの波面は、コマ収差を含んだ一体型プリズム21方向からの光と、受光素子30方向からの良好にフォーカスエラーが検出できる非点収差のみを含んだ光とを干渉させることにより設計される。
【0038】
第1のレーザダイオード11から発射される光ビームは、レーザダイオード11→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって対物レンズ20→面A→面B→面B’→ホログラム1の光路を経て受光素子30に導かれる。
【0039】
また、第2のレーザダイオード12から発射される光ビームは、レーザダイオード12→面B→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって対物レンズ20→面A→面B→面B’→ホログラム1の光路を経て受光素子30に導かれる。
【0040】
この場合に、ディスク記録面からの戻り光は、一体型プリズム21を通過する際に、非点収差が付与され、且つ、非点収差以外の収差(コマ収差など)を発生してホログラム1へと導かれるが、ホログラム1がかかる戻り光の非点収差以外の収差を除去して受光素子30へと導くので、受光素子30が受光する光には非点収差以外の収差による歪みが含まれない。従って、受光素子30は、非点収差を含み、且つ、非点収差以外の収差を含まない良好な光量分布を有する戻り光を受光することができ、その結果、良好なフォーカスサーボを行うのに必要なフォーカスエラーを正確に検出することができる。
【0041】
なお、第1のレーザダイオード11及び第2のレーザダイオード12からなるビーム発射手段は、かならずしも一体型プリズムの両側(つまり、集光光学系側及び集光光学系側とは反対の側)に配置する必要はなく、一方の側に配置しても良い。このような例を以下の第2の実施形態により説明する。
【0042】
(2)第2の実施形態
図2は、本発明の第2の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図であり、ここでは異なる2波長の光源が共に一体型プリズム21の集光光学系側に配置されている光ピックアップP2で示している。なお、図2において、先に示した図1における光ピックアップP1の各部の構成と同等の構成部分については、同一の符号を付している。
【0043】
図2において、光ピックアップP2において、一体型プリズム21は、ビーム発射手段の各々に対応してこれら光ビームが入射される少なくとも2つの入力表面A、B’と、これら光ビームの各々が対物レンズ20によって記録媒体の記録面に集光することにより生成される戻り光に対し非点収差を付与して出射する出力表面Bとを有する。入力表面の一方の面A及び他方の面B’は、集光光学系側に形成され、出力表面Bは、集光光学系側とは反対側に形成され、入力表面の一方の面Aと出力表面Bとは、互いに非平行である。また、入力表面の一方の面Aと他方の面B’とは、山形形状を呈する角度をなすように構成されている。
【0044】
対物レンズ20と一体型プリズム21との配置関係は、ディスク記録面に対し図8と同様の位置である。
【0045】
図2では、レーザダイオード11、12並びに一体型プリズム21は、レーザダイオード11の発射光が一体型プリズム21の面Aに所定の角度で入射しこの入射光が当該面Aで反射して対物レンズ20を介しディスク記録面へと導かれるとともに、レーザダイオード12の発射光が面B’に所定の角度で入射しこの入射光が一体型プリズム21の面Bで反射し面Aを透過して対物レンズ20を介しディスク記録面へと導かれるように配置されている。各レーザダイオードから発射光は、従来技術と同様に、略無収差でディスク記録面へ導かれる。
【0046】
対物レンズ20によって集光された光ビームは、ディスク記録面において光学変調を受けつつ反射し、戻り光として再び対物レンズ20に達する。対物レンズ20を経た戻り光は、再びディスクへの入射光と同様の光路にて一体型プリズム21に導かれる。ディスク記録面からの反射光は一体型プリズムの面Aから入射し面Bから出射する。ディスク記録面からの反射光は一体型プリズム21を透過する際に所定の非点収差を付与される。面Bを出射した反射光はホログラム1へと導かれる。
【0047】
ホログラム1は、一体型プリズム21の集光光学系側とは反対側に配されて、且つ、一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中に設けられていてる。このホログラム1にて、一体型プリズム21を透過することにより発生してしまう非点収差以外の収差(例えばコマ収差など)を除去する処理を行う。ホログラム1を透過した戻り光は受光素子30へ到達する。このホログラム1は前述した第1の実施形態で説明したものと同様の波面及び作用を有している。
【0048】
第1のレーザダイオード11から発射される光ビームは、レーザダイオード11→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって対物レンズ20→面A→面B→ホログラム1の光路を経て受光素子30に導かれる。
【0049】
また、第2のレーザダイオード12から発射される光ビームは、レーザダイオード12→面B’→面B→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって対物レンズ20→面A→面B→ホログラム1の光路を経て受光素子30に導かれる。
【0050】
この場合に、上記各レーザダイオードによるディスク記録面からの戻り光は一体型プリズム21を通過する際に非点収差以外の収差(コマ収差など)を発生してホログラム1へと導かれるが、ホログラム1がかかる戻り光の非点収差以外の収差を除去して受光素子30へと導くので、受光素子30が受光する光には非点収差以外の収差による歪みが含まれない。
【0051】
従って、受光素子30は、非点収差を含み、且つ、非点収差以外の収差を含まない良好な光量分布を有する戻り光を受光することができ、その結果、良好なフォーカスサーボを行うのに必要なフォーカスエラーを正確に検出することができる。
【0052】
又、上述した第1、第2の実施形態では、収差除去手段としてホログラム1を用いたが、本発明における収差除去手段はこれに限らず、光学プリズムを用いて構成しても良い。このような例を以下の第3、第4の実施形態により説明する。
【0053】
(3)第3の実施形態
図3は、本発明の第3の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図であり、ここでは異なる2波長の光源を用いた光ピックアップP3で示している。図3(a)は光ピックアップP3の主要光学部品の配置関係を光路と共に示した図であり、図3(b)は、図3(a)に示す矢印Cの方向から光ピックアップP3を見た図である。
【0054】
光ピックアップP3は、先述した図1における光ピックアップP1の構成中のホログラム1を収差除去手段としての直角プリズム2に代えて構成したものである。なお、図3において、先に示した図1における光ピックアップP1の各部の構成と同等の構成部分については、同一の符号を付している。
【0055】
直角プリズム2は、一体型プリズム21の集光光学系側に配されて、且つ、一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中に設けられ、その入射面が一体型プリズム21からの光の進行方向に対して斜め(つまり垂直でない。)となるように配置される。
【0056】
直角プリズム2は、直角を挟む2つの平面からなる光の入射面及び出射面を有し、該入射面と出射面との間の斜面(入射面及び出射面に対し45度傾いた斜面)には、光路変更手段としてのミラーが形成されている。
【0057】
図3(a)において、第1のレーザダイオード11から発射される光ビームは、レーザダイオード11→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって先の光ピックアップP1におけるレーザダイオード11の戻り光と同様の光路、つまり、対物レンズ20→面A→面B→面B’の光路を経て直角プリズム2の入射面に導かれる。
【0058】
また、第2のレーザダイオード12から発射される光ビームは、レーザダイオード12→面B→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって先の光ピックアップP1におけるレーザダイオード12の戻り光と同様の光路、つまり、対物レンズ20→面A→面B→面B’の光路を経て直角プリズム2の入射面に導かれる。
【0059】
直角プリズム2は、上述したように、一体型プリズム21からのかかる戻り光を入射面から斜めに入射させた後、ミラーによりその光路を変更させ、しかる後に出射面から出射させて受光素子30へと導く。
【0060】
この場合に、直角プリズム2の入射面から入射する一体型プリズム21からのかかる戻り光には、一体型プリズム21によって付与された非点収差と、非点収差以外の収差(コマ収差など)を含んでいるが、直角プリズム2がかかる戻り光のコマ収差を除去して受光素子30へと導くので、受光素子30が受光する光にはコマ収差による歪みが含まれない。
【0061】
コマ収差には方向性があるため、一体型プリズム21で発生するコマ収差と同じ大きさで方向が逆極性のコマ収差を直角プリズム2で付与すれば、一体型プリズム21で発生したコマ収差と直角プリズム2で発生するコマ収差とが互いに打ち消しあい、受光素子30が受講する光にはコマ収差がほとんど含まれなくなるのである。一体型プリズムで発生するコマ収差は設計の段階で判明するため、直角プリズム2についても一体型プリズム21で発生するコマ収差と同じ大きさで方向が逆極性のコマ収差を生成するように光学特性を定めることが可能である。
【0062】
また、直角プリズム2は、一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中において、その入射面が一体型プリズム21からの光の進行方向に対して斜め(つまり垂直でない。)となるように配置されることにより非点収差を付与する非点収差付与手段としての役割を有する。これを図4により以下に説明する。
【0063】
図4は、一体型プリズム21からのかかる戻り光が直角プリズム2の入射面から斜めに入射して直角プリズム2を通過する際の光路を示した図である。図4において、一体型プリズム21からのかかる戻り光が直角プリズム2の入射面より斜めに(入射角θで)入射する場合を考えると、かかる戻り光は、入射面で屈折して入射した後、ミラーで一旦反射してその光路を変更し、しかる後に出射面で再度屈折した後、出射面より斜めに(出射角θで)出射する(図4中、実線の矢印で示す)。その結果、一体型プリズム21からのかかる戻り光は、直角プリズム2を通過することによって((π/2)−2θ)だけ光路を変更する。
【0064】
また、図4において、直角プリズム2に対し、ミラーを対称面とする仮想プリズム(図4中、点線の矢印で示す)を貼り合わせて、且つ、ミラーを取り除いた状態を考えると、直角プリズム2と仮想プリズムは、直角プリズム2の入射面と仮想プリズムの面Dが互いに平行な平行平板を構成することとなる。ここで、一体型プリズム21からのかかる戻り光は、該平行平板を構成するプリズムの入射面から斜めに(入射角θで)入射する場合は、平行平板により非点収差を付与されて面Dより出射角θで出射する。
【0065】
この出射光の光路は、図4から明らかなように、先に述べた直角プリズム2の出射面から受光素子30へ出射する場合の光路とミラー面に対し対称な光路である。言い換えれば、直角プリズム2の出射面から受光素子30へ出射する光は、上述した仮想プリズムの面Dから出射する光がミラーで光路変更した光とみなせる。従って、直角プリズム2の出射面から受光素子30へ出射する光は直角プリズム2によって非点収差が付与されることがわかる。
【0066】
以上により、一体型プリズム21からの戻り光が直角プリズム2の入射面から斜めに入射した光は、直角プリズム2によってその光路が変更されると共に、直角プリズム2によりコマ収差が除去出射面から受光素子30に導かれることになる。
【0067】
従って、受光素子30は、フォーカスエラーを正確に検出するのに十分な量の非点収差を含み、且つ、コマ収差を含まない良好な光量分布の戻り光を受光することができる。その結果、良好なフォーカスサーボを行うのに必要なフォーカスエラーを正確に検出することができる。
【0068】
また、本実施形態では、直角プリズム2は、一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中において、光路変更手段としても作用する。つまり、一体型プリズム21からの戻り光の光路を変更して受光素子30の受光面へと導くようにしたので、光ピックアップP3は、受光素子30を必ずしも図3(a)の表示面と同一平面上に配置する必要がなく、光学系を設計する際に受光素子30の配置の自由度が増す。その結果、受光素子30を光ピックアップの薄型化に適した位置に配置することができ、光ピックアップを小型、薄型に形成することができる。
【0069】
なお、第1のレーザダイオード11及び第2のレーザダイオード12からなるビーム発射手段は、かならずしも一体型プリズムの両側(つまり、集光光学系側及び集光光学系側とは反対の側)に配置する必要はなく、一方の側に配置しても良い。このような例を以下の第4の実施形態により説明する。
【0070】
(4)第4の実施形態
図5は、本発明の第4の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図であり、ここでは異なる2波長の光源が一体型プリズム21の集光光学系側に共に配置されている光ピックアップP4で示している。図5中(a)は光ピックアップP4の主要光学部品の配置関係を光路と共に示した図であり、図5(b)は、図5(a)に示す矢印Eの方向から光ピックアップP4を見た図である。なお、図5において、先に示した図3における光ピックアップP3の各部の構成と同等の構成部分については、同一の符号を付している。
【0071】
図5において、光ピックアップP4は、光ピックアップP3と同等の光学部品を用いて、且つ、互いの光学的配置を異にして構成される。
【0072】
すなわち、光ピックアップP4は、第2のレーザダイオード12が第1のレーザダイオード11と同様に、一体型プリズム21の集光光学系側に配されている。また、光ピックアップP4の第1のレーザダイオード11以外の光学部品は光ピックアップP3と同様に配される。
【0073】
つまり、第1のレーザダイオード11から発射される光ビームは、レーザダイオード11→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって対物レンズ20→面A→面B→直角プリズム2の光路を経て受光素子30に導かれる。
【0074】
また、第2のレーザダイオード12から発射される光ビームは、レーザダイオード12→面B’→面B→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって対物レンズ20→面A→面B→直角プリズム2の光路を経て受光素子30に導かれる。
【0075】
これにより、受光素子30が受光する上記戻り光には、先の光ピックアップP3と同様に、コマ収差が含まれず、且つ、一体型プリズム21によって付与されている。
【0076】
従って、受光素子30は、フォーカスエラーを正確に検出するのに十分な量の非点収差を含み、且つ、コマ収差を含まない良好な光量分布の戻り光を受光することができる。その結果、良好なフォーカスサーボを行うのに必要なフォーカスエラーを正確に検出することができる。
【0077】
尚、上述した第3及び第4の実施形態では、収差除去手段を、直角を挟む2つの平面からなる光の入射面及び出射面を有し、該入射面及び出射面に対し45度傾いた斜面には光路変更手段としてのミラーが形成されて形成される直角プリズム2を用いて説明したが、少なくとも非点収差以外の収差が除去される形状であれば、プリズムの入射面及び出射面が交差する角度は必ずしも直角である必要はなく、また、ミラー面も必ずしも入射面及び出射面に対し45度傾いている必要はない。
【0078】
尚、上述した第1〜4の実施形態では、光ピックアップの一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中にホログラム1又は直角プリズム2からなる収差除去手段を設けた光ピックアップの構成としたが、本発明はこれに限らない。すなわち、収差除去手段の代りに、一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中に収差付与手段を設けた構成としても良い。このような例を、第5、第6の実施形態によって以下に説明する。
【0079】
(5)第5の実施形態
第5の実施形態は、収差除去手段の代りに、非点収差を付与するための非点収差付与手段を設けたものである。
【0080】
図6は、本発明の第5の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図であり、ここでは異なる2波長の光源を用いた光ピックアップP5で示している。光ピックアップP5は、先述した図1における光ピックアップP1の構成中の収差除去手段としてのホログラム1を非点収差付与手段としてのトーリックレンズ3に代えて構成したものである。なお、図6において、先に示した図1における光ピックアップP1の各部の構成と同等の構成部分については、同一の符号を付している。
【0081】
トーリックレンズ3は、一体型プリズム21の集光光学系側に配されて、且つ、一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中に設けられている。
【0082】
図6において、第1のレーザダイオード11から発射される光ビームは、レーザダイオード11→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって先の光ピックアップP1におけるLD1の戻り光と同様の光路、つまり、対物レンズ20→面A→面B→面B’の光路を経てトーリックレンズ3に導かれる。
【0083】
また、第2のレーザダイオード12から発射される光ビームは、レーザダイオード12→面B→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって先の光ピックアップP1におけるLD2の戻り光と同様の光路、つまり、対物レンズ20→面A→面B→面B’の光路を経てトーリックレンズ3に導かれる。
【0084】
トーリックレンズ3は、一体型プリズム21からのかかる戻り光に対し新たな非点収差を発生させた後、この新たな非点収差を付与した戻り光を受光素子30へと導く。
【0085】
したがって、受光素子30が受光する上記戻り光には、先の光ピックアップP1で述べたように、一体型プリズム21によって付与された非点収差に加えて、トーリックレンズ3により付与された新たな非点収差が含まれるので、十分な量の非点収差が付与されて光量分布が良好となる。その結果、受光素子30は、十分な量の非点収差を含む良好な光量分布を有する戻り光を受光することができ、その結果、良好なフォーカスサーボやを行うのに必要なフォーカスエラーを正確に検出することができる。
【0086】
また、本実施形態では、一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中にトーリックレンズ3を設けることによって非点収差付与手段を構成したので、トーリックレンズ3のレンズ作用により一体型プリズム21から受光素子30までの距離を任意に設定した位置に受光素子30を配置することができ、光ピックアップを小型、薄型に形成することができる。
【0087】
なお、第1のレーザダイオード11及び第2のレーザダイオード12からなるビーム発射手段は、かならずしも一体型プリズムの両側(つまり、集光光学系側及び集光光学系側とは反対の側)に配置する必要はなく、一方の側に配置しても良い。このような例を以下の第6の実施形態により説明する。
【0088】
(6)第6の実施形態
図7は、本発明の第6の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図であり、ここでは異なる2波長の光源が共に一体型プリズム21の集光光学系側に配置されている光ピックアップP6で示している。なお、図7において、先に示した図6における光ピックアップP5の各部の構成と同等の構成部分については、同一の符号を付している。
【0089】
図7において、光ピックアップP6は、光ピックアップP5と同等の光学部品を用いて、且つ、互いの光学的配置を異にして構成される。
【0090】
すなわち、光ピックアップP6は、第2のレーザダイオード12が第1のレーザダイオード11と同様に、一体型プリズム21の集光光学系側に配されている。また、光ピックアップP6の第1のレーザダイオード11以外の光学部品は光ピックアップP1と同様に配される。
【0091】
つまり、第1のレーザダイオード11から発射される光ビームは、レーザダイオード11→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって対物レンズ20→面A→面B→トーリックレンズ3の光路を経て受光素子30に導かれる。
【0092】
また、第2のレーザダイオード12から発射される光ビームは、レーザダイオード12→面B’→面B→面A→対物レンズ20の光路を経てディスク記録面に集光し、その反射光が戻り光となって対物レンズ20→面A→面B→トーリックレンズ3の光路を経て受光素子30に導かれる。
【0093】
トーリックレンズ3は、一体型プリズム21からのかかる戻り光に対し新たな非点収差を発生させた後、この新たな非点収差を付与した戻り光を受光素子30へと導く。
【0094】
したがって、受光素子30が受光する上記戻り光には、先の光ピックアップP5で述べたように、一体型プリズム21によって付与された非点収差に加えて、トーリックレンズ3により付与された新たな非点収差が含まれるので、十分な量の非点収差が付与されて光量分布が良好となる。その結果、受光素子30は、十分な量の非点収差を含む良好な光量分布を有する戻り光を受光することができ、その結果、良好なフォーカスサーボやを行うのに必要なフォーカスエラーやを正確に検出することができる。
【0095】
また、本実施形態も第5の実施形態と同様に、一体型プリズム21と受光素子30との間の光路中にトーリックレンズ3を設けることによって非点収差付与手段を構成したので、トーリックレンズ3のレンズ作用により一体型プリズム21から受光素子30までの距離を任意に設定した位置に受光素子30を配置することができ、光ピックアップを小型、薄型に形成することができる。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、受光素子と一体型プリズムとの間に収差除去手段を設けることにより、収差除去手段は、一体型プリズムなどによって記録媒体からの戻り光に付与された非点収差以外の収差を除去するので、その結果、受光素子は、非点収差を含む良好な光量分布を有する戻り光を受光することができ、良好なフォーカスサーボを行うのに必要なフォーカスエラーを正確に検出することができる。
【0097】
また、受光素子と一体型プリズムとの間に非点収差付与手段を設けることにより、非点収差付与手段は、一体型プリズムから受光素子に向けて発射される戻り光に非点収差を付与して受光素子に導くので、その結果、受光素子は、非点収差を含む良好な光量分布を有する戻り光を受光することができ、良好なフォーカスサーボやを行うのに必要なフォーカスエラーを正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図である。
【図4】一体型プリズムからのかかる戻り光が直角プリズムの入射面から斜めに入射して直角プリズムを通過する際の光路を示した図である。
【図5】本発明の第4の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図である。
【図6】本発明の第5の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図である。
【図7】本発明の第6の実施形態における光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図である。
【図8】従来のコンパチブルプレーヤに用いられる光ピックアップの光学系の概略構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・・ホログラム
2・・・・直角プリズム
3・・・・トーリックレンズ
11・・・・レーザダイオード
12・・・・レーザダイオード
21・・・・一体型プリズム
30・・・・受光素子
Claims (2)
- 独立した異なる複数の光ビームの発射を行い、非点収差を含み良好な光量分布を有する戻り光の受光を行うことのできる光ピックアップ装置であって、少なくとも2つの独立した前記光ビームを供給するビーム発射手段と、前記ビーム発射手段からの前記光ビームを記録媒体へ向けて集光させる共通の光学系と、前記ビーム発射手段からの前記光ビームの各々が入射し略無収差のまま前記光ビームの各々を前記集光光学系へ導くとともに、前記記録媒体からの戻り光の各々が入射し受光素子へ導くための一体型プリズムと、前記受光素子と前記一体型プリズムとの間に前記戻り光のコマ収差を除去するための収差除去手段として光学プリズムと、を設けたことを特徴とする光ピックアップ装置。
- 独立した異なる複数の光ビームの発射を行い、非点収差を含み良好な光量分布を有する戻り光の受光を行うことのできる光ピックアップ装置であって、少なくとも2つの独立した前記光ビームを供給するビーム発射手段と、前記ビーム発射手段からの前記光ビームを記録媒体へ向けて集光させる共通の光学系と、前記ビーム発射手段からの前記光ビームの各々が入射し略無収差のまま前記光ビームの各々を前記集光光学系へ導くとともに、前記記録媒体からの戻り光の各々が入射し受光素子へ導くための一体型プリズムと、前記受光素子と前記一体型プリズムとの間に前記戻り光に非点収差を付与する非点収差付与手段として光学プリズムと、を設けたことを特徴とする光ピックアップ装置。
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