JP3640621B2 - 誘電加熱装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、肉・魚等の冷凍食品を誘電加熱によって解凍する高周波解凍装置、電子レンジの解凍用治具等の複合調理器といった誘電加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高周波解凍装置等の誘電加熱装置では、加熱電極間に高周波高電圧を印加し、その間に誘電体である被解凍物を挟んで誘電加熱が行われる。このような誘電加熱装置において、加熱電極に加える高周波高電圧を発生する高周波発振回路の共振回路には、共振用コンデンサと共振用コイルを直列関係に接続し、直列共振回路を形成することにより、共振用コンデンサと共振用コイルの整合定数を調整して整合が行われている。
【0003】
また、特開昭58−7788号公報には、大容量で固定値の容量安定用コンデンサを負荷と並列に接続することで、整合を容易にした高周波解凍装置が開示されており、特公昭61−41107号公報には、負荷に対して並列に容量可変のフィルターコンデンサを接続して、フィルターコンデンサの容量を可変することにより高周波出力を変える高周波解凍装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術において、被解凍物との負荷の整合を行う際に、直列共振回路による方法では、共振回路の形成が簡単になる反面、解凍が進行するにつれて共振回路の被解凍物の誘電体損失の値が変化するため、負荷との整合がずれるという欠点があった。また、容量安定用コンデンサを並列接続する場合では、整合の調整範囲が小さくなるという欠点があった。また、従来整合を行う際には高周波高電圧を入力した状態で負荷との整合を行うため、高周波高電圧を発生させる発振回路および増幅回路において無効電力による損失が発生するなどの欠点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑み、連続的にかつ簡単に誘電体との負荷整合が可能で、エネルギー損失の低い誘導加熱装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、高周波電源部と共振回路とを備え、この共振回路は、該高周波電源部の出力端子に接続された共振用コイルと、誘電体を挟んだ状態で誘電加熱する加熱電極とからなり、前記加熱電極は平行に対向配置された固定電極板および可動電極板からなり、前記固定電極板は、前記可動電極板を挟むように配置された2つの電極板からなり、前記高周波電源部を駆動することにより、前記固定電極板と前記可動電極板の間には高周波高電圧が誘起され、誘電体は高周波高電圧により生ずる電界に対する誘電体損失により加熱される誘電加熱装置において、前記高周波電源部の出力を可変する出力可変手段が設けられ、負荷の不整合状態のとき負荷への高周波電圧の入力が低くなるように前記高周波電源部からの出力が調整される構成とする。
【0007】
また、好ましくは、前記共振回路と直列に接続される可変コンデンサをさらに備え、前記出力可変手段は、前記可変コンデンサの値を調整することにより、前記加熱電極に印加する高周波高電圧の出力を制御する構成とする。
【0008】
これにより、負荷整合を行っているときに不整合であった場合には高周波電源部6に負担がかかるため、低入力にて負荷整合を行うことにより、負担を与えることなく高周波電源部6における不必要な電力消費を抑えるとともに、負荷との整合を行うのに最適な条件を最小限の電力損失で検知することができ、負荷整合を容易にすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第一実施例)
本発明の第一実施例の高周波解凍装置は、図2の如く、その筐体1が、金属製で接地されたオープンキャビティ2と、高周波発振回路室3とからなる。オープンキャビティ2内には加熱電極が収納され、加熱電極は、下側の固定電極板4とその上方に配された可動電極板5とからなる。固定電極板4はオープンキャビティ2内に固定され、可動電極板5は、オープンキャビティ2内に上下動自在に案内支持され、モータによって固定電極板4と平行関係を維持したまま上下動される。そして、各電極板4,5はそれぞれ高周波電源部6に接続される。
【0010】
可動電極板5の下面には、電極板表面の保護等を目的として非金属製で誘電体損失の小さい(tanδの小さい)保護板7が装着され、また固定電極板4の直上には同じく非金属製で誘電体損失の小さい載置板8が配置されており、載置板8上に誘電体としての被解凍物9が載置される。
【0011】
図3は高周波電源部6とその加熱電極への接続の状態を示している。高周波電源部6は、コルピッツ発振回路等の高周波発振回路と、信号増幅トランジスタによる1段もしくは数段の電力増幅回路によって構成されている。高周波電源部6の出力端子には、高周波トランス11が接続され、高周波トランス11と並列に可変コンデンサ12と共振用コイル13と被解凍物9を挟んだ状態の加熱電極からなる共振回路部14とが接続され、高周波トランス11をタップにより切り替えることによって共振回路部14と高周波電源部6とのインピーダンスのマッチングを行っている。
【0012】
そして、載置板8の上に被解凍物9を置いて可動電極板5を上下に動かし、被解凍物9の上面と保護板7の下面が接触しないように近接した位置に可動電極板5を移動する。こうした後に、高周波電源部6を駆動すると、両電極板4,5の間には高周波高電圧が誘起され、被解凍物9は高周波高電圧により生ずる電界に対する誘電体損失により加熱される。被解凍物9が加熱解凍されていくと、被解凍物9の誘電体損失の大きさが変化して、加熱電極のキャパシタンスおよびQ値が変化するので、これらの変数の変化を小さくして、回路の整合を容易に行えるようにするため、本実施例では以下に示すようにしている。
【0013】
すなわち、図1に示すように、可動電極板5の上方に、容量安定用の第3電極板20を設置し、固定電極板4と第3電極板20を電気的に接続する。これによって、可動電極板5と第3電極板20とで容量安定用コンデンサ21が形成され、加熱電極と被解凍物9によるキャパシタンスと、容量安定用コンデンサ21とが並列に接続された状態となる。
【0014】
ここで、可動電極板5の位置を上下させると、加熱電極と被解凍物9による合成キャパシタンスと、容量安定用コンデンサ21の各容量は、一方が減少すれば他方が増加するといった互いに逆の関係で増減する。合成キャパシタンス容量の大きさの変化量は、図4に示す第3電極板20がないときより第3電極板20を設けたときには図5に示すように小さくなる。なお、これらのデータは、10cm×10cmの銅製電極板を用い、被解凍物9から第3電極板20までの間隔は5cmとし、可動電極板5を被解凍物9から0〜5cmの間で変化させたとき、合成キャパシタンスの容量をC=εε0A/d(ε:空気の比誘電率、ε0:真空の誘電率、A:面積、d:誘電体から可動電極板までの距離)で求めてシミュレーションを行ったときの結果である。
【0015】
この曲線の傾き具合からキャパシタンスの変化量に対するリアクタンスの変化量が小さくなるところが整合をとるのに最適な領域となり、使用領域となる(以下、図中に示された使用領域はこれと同じように設定されている)。すなわち、加熱が進行して被解凍物9の誘電体損失が変化しても、容量安定用コンデンサ21の容量の大きさを被解凍物9を挟んだ加熱電極による合成キャパシタンス容量より大きく設定することにより、整合定数自体の変化を小さくすることができるため、被解凍物9との負荷整合の調整が容易になる。
【0016】
このように、加熱電極間に載置された被解凍物9の形状によって可動電極板5の位置が変わり、キャパシタンスの容量の大きさは大きく変化するため、第3電極板20を設けると、加熱電極間の距離と容量安定用コンデンサ21を形成する電極板間の距離が互いに逆の関係になり、電気的に絶縁された状態にすると、各コンデンサ容量は互いに逆の関係になる。容量安定用コンデンサ21の容量を共振回路部14に比べて大きく設定して並列接続することにより、共振回路部14の容量変化を吸収することができ、コンデンサの合成容量は全領域で値の変化が小さくなるので、負荷整合を行う際に整合定数を大きく変えることなくマッチングを行うことができる。
【0017】
(第二実施例)
第二実施例では、図6に示すように、第一実施例と同じ第3電極板20を設け、容量安定用の第3電極板20と固定電極板4との間に高周波高電圧を印加するようにし、二つの固定された電極板4,20の間を移動可能な可動電極板5(容量安定用の移動電極板と併用)が上下に移動するようにする。この構造により、加熱電極と被解凍物9による合成キャパシタンスと容量安定用コンデンサ21が直列に接続された状態となる。
【0018】
可動電極板5の位置が上下すると、電極板4,5に挟まれた被解凍物9のインピーダンスの虚数部は電極板間の間隔により大きく変化し、加熱電極と被解凍物9によるキャパシタンスと、容量安定用コンデンサ21の各容量は互いに逆の関係で増減するため、第3電極板20がない場合よりも合成キャパシタンス容量の変化量が図7に示すように小さくなる。また、加熱が進行して加熱電極の間の被解凍物9の誘電体損失が変化しても、直列接続であるため、容量安定用コンデンサ21の容量を合成キャパシタンスよりも小さな容量となるように使用領域を設定すれば、整合定数自体の変化を小さくすることができ、被解凍物9との負荷整合の調整が容易になる。
【0019】
したがって、この二つのコンデンサを直列接続することにより、コンデンサの合成容量はある一定の範囲では値の変化が非常に小さくなるので、負荷整合を行う際には、整合定数を大きく変えることなくマッチングを行うことができる。
【0020】
(第三実施例)
第三実施例では、加熱電極間に被解凍物9を載置し、高周波高電圧を与えて負荷整合を行う際に、共振回路全体が不整合であった場合には発振回路や電力増幅回路に負担がかかるため、負荷部への高周波の入力を低く抑えることを目的として、図8に示すように、高周波電源部6の電力増幅回路に対して出力可変手段を設ける。そして、可動電極板5を被解凍物9に近付けて、可動電極板5の位置決めが終了してから被解凍物9との負荷の整合が合うまでの調整中は、高周波入力を必要最小限に絞るようにする。
【0021】
すなわち、可動電極板5の移動により合成キャパシタンスの容量は電極板間の距離が変化することで変化する。そのため、可動電極板5が移動終了したときの位置を検知して、その大きさによりリアクタンスの大きさを制御する回路が必要になる。しかし、実際はリアクタンス分を連続的に変化させる装置を作成するのはコスト的、技術的に困難であるので、離散値的にリアクタンス成分の決定を行い、キャパシタンス成分で補足して整合を得ることになる。したがって、可変コンデンサ12により高周波の出力調整を行っているので、整合状態となったかどうかを検知する整合検知回路30を設け、可変コンデンサ12の値を調整する制御回路31により加熱電極に印加する高周波高電圧の出力が制御されている。不整合状態では入力電力が負荷で反射して発振回路または増幅回路に戻るため、大きな電力が入力されると発振回路または増幅回路が破壊する。そこで、増幅回路に出力可変回路32を設けて、負荷から反射してくる電力を電力検知回路33により検知しながら負荷の電力を一定に調整する。これらの回路によって前記出力可変手段が構成されている。
【0022】
これによって、負荷との整合を行う際には負荷への高周波の入力を低く抑えることができ、高周波電源部6と共振回路部14との整合が成立していないときに生じる共振回路部14からの反射波による高周波電源部6への不必要な電力負担をかけることをなくすことができるとともに、整合調整中に増幅回路および発振回路等によって消費される無効電力を削減することができる。
【0023】
なお、第一実施例あるいは第二実施例の装置に本実施例を適用しても同様の作用効果を奏する。
【0024】
(第四実施例)
第四実施例では、加熱電極間に被解凍物9を載置し、高周波入力を与えて共振回路部14の整合を行う際に、第三実施例のように高周波高電圧の出力を必要最小限に絞るとき、移動可能な可動電極板5の位置と高周波トランス11のタップによるインピーダンスの値により、被解凍物9との負荷と整合したときの整合定数が決まる。もし調整がずれた場合に、高周波トランス11のタップを切り替えて整合調整を行うが、解凍が進行して被解凍物9の誘電体損失が変化して、整合の徴調整を行わなければならないときにタップを切り替えねばならなくなる恐れがある。
【0025】
このため、図9に示すように、負荷との整合調整時に可動電極板5の位置を検出してその位置における最適な整合状態となる調整範囲を検知する整合調整検知回路40を設ける。そして、整合の調整範囲が大きくなる位置に可動電極板5の位置を合わせることによって、整合の調整範囲を大きくとることができ、可動電極板5の位置に関係なく整合を行った場合における共振用コイル13のタップの割り振りによって負荷整合が行える範囲が小さくなることを防止でき、解凍が進行しても負荷整合を容易に行うことができる。
【0026】
(第五実施例)
第五実施例では、図10に示すように、第3電極板20を上下動自在に支持して、モータにより移動させる。そして、負荷との整合状態を検知する整合検知回路50を設けておき、加熱電極間に被解凍物9を載置し、初期の負荷整合を行い解凍動作に移行したときに、解凍動作に入った後に被解凍物9の誘電体損失が変化した場合、整合検知回路50によって検知される整合状態に応じて第3電極板20を上下させることにより、容量安定用のコンデンサ容量を可変できるようにして、被解凍物9を置いた加熱電極のキャパシタンスの変化を吸収するようにしている。容量安定用コンデンサ21は、平板電極板から構成されているため、Q値の大きな理想的なコンデンサであり、被解凍物9のインピーダンスに影響を与えることがない。
【0027】
したがって、このコンデンサを共振用コンデンサとして用いることにより、共振回路部14における実抵抗分を増やすことなく、共振用コイル13のリアクタンス値を共振回路全体のキャパシタンスと整合できる値に設定すると、図11に示すような曲線になる。これにより、共振用コイル13のタップを切り替える等の非直線的な整合定数による負荷整合を行わずに、解凍が進行して誘電体損失が変化しても、整合の徴調整を容易に行うことができる。
【0028】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。
【0029】
以上の説明から明らかな通り、この発明によると、高周波電源部の出力を可変する出力可変手段が設けられ、負荷の不整合状態のとき負荷への高周波電圧の入力が低くなるように高周波電源部からの出力が調整されるので、負荷との整合を行う際に、不整合であっても、負荷からの入力電力の反射波による高周波電源部への負担をなくすことができ、また整合中に高周波電源部におけるエネルギー損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例の共振回路部を示す図
【図2】高周波解凍装置の透視正面図
【図3】高周波解凍装置の全体回路図
【図4】第3電極板がない場合の可動電極板を移動させたときの合成キャパシタンスと共振用リアクタンスの特性図
【図5】第3電極板がある場合の可動電極板を移動させたときの合成キャパシタンスと共振用リアクタンスの特性図
【図6】第二実施例の共振回路部を示す図
【図7】可動電極板を移動させたときの合成キャパシタンスと共振用リアクタンスの特性図
【図8】第三実施例の高周波解凍装置の全体回路図
【図9】第四実施例の共振回路部を示す図
【図10】第五実施例の共振回路部を示す図
【図11】可動電極板を移動させたときの合成キャパシタンスと共振用リアクタンスの特性図
【符号の説明】
11 高周波トランス
12 可変コンデンサ
13 共振用コイル
14 共振回路部
30 整合検知回路
31 制御回路
32 出力可変回路
33 電力検知回路
Claims (2)
- 高周波電源部と共振回路とを備え、この共振回路は、該高周波電源部の出力端子に接続された共振用コイルと、誘電体を挟んだ状態で誘電加熱する加熱電極とからなり、前記加熱電極は平行に対向配置された固定電極板および可動電極板からなり、前記固定電極板は、前記可動電極板を挟むように配置された2つの電極板からなり、前記前記高周波電源部を駆動することにより、前記固定電極板と前記可動電極板の間には高周波高電圧が誘起され、誘電体は高周波高電圧により生ずる電界に対する誘電体損失により加熱される誘電加熱装置において、
前記高周波電源部の出力を可変する出力可変手段が設けられ、負荷の不整合状態のとき負荷への高周波電圧の入力が低くなるように前記高周波電源部からの出力が調整されることを特徴とする誘電加熱装置。 - 前記共振回路と直列に接続される可変コンデンサをさらに備え、前記出力可変手段は、前記可変コンデンサの値を調整することにより、前記加熱電極に印加する高周波高電圧の出力を制御することを特徴とする請求項1記載の誘電加熱装置。
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