JP3660746B2 - 防寒作業衣 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防寒作業衣に関し、更に詳しくは寒冷環境下での作業時に着用するのに適した、耐候性に優れた防寒作業衣に関する。
【0002】
【従来の技術】
冬季における林業、漁業、港湾荷役、鉄道保線などに加えて、極寒期の電源開発、石油堀削、消防、保安作業などや、一年を通じての冷凍、冷蔵倉庫内での作業など、産業構造の多様化によって、苛酷な低温条件や特殊な低温労働環境下での作業が急速に拡大している。
【0003】
従来、低温環境下で作業する際に着用する衣服としては、羽毛やウールなどの含気性に富んだ素材からなる厚手の衣服が用いられており、更に、近年では、軽量で作業性が良いことから、ポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維からなる表地、裏地に、(中空)合成繊維綿、金属複合シート、発泡合成樹脂などを組み合わせたものが開発されている。
【0004】
しかしながら、従来のポリエステルやポリアミドなどの合成繊維を用いた防寒作業衣は、5℃〜−5℃程度の比較的穏やかな条件下で使用するには問題がないが、−10℃〜−15℃程度の作業環境下では硬化してしまい、保温性(防寒性)も不十分であり、長時間の作業が困難であるという問題がある。また、羽毛やウールは、−20℃〜−30℃までの温度では十分使用に耐えるが、−30℃よりも低くなると、脆化するという問題があり、最も致命的な欠点は、重くて作業性が悪く、強度的に弱いと言うことである。
【0005】
一方、アラミド繊維は、耐熱性、防炎性に優れ、強度も高いことから、火炎に曝される可能性のある人々が着用する衣服として、広く用いられており、この際、他の防炎性繊維と混用したり、メタ―アラミド繊維とパラ―アラミド繊維とを混用したりすることも知られている。
【0006】
しかしながら、アラミド繊維が保温性(防寒性)に優れていること、即ち低温環境下における保温性に優れていることについては、これまで知られておらず、アラミド繊維を防寒作業衣の保温(防寒)素材として用いることは行われていなかった。一方、アラミド繊維は、耐候性に劣るため該用途として戸外での長期間使用に際してはその改良工夫も必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来の防寒作業衣の問題点を解消し、低温作業環境下、特に−10℃以下、さらには−30℃レベルあるいは−60℃レベルといった極めて低温の作業環境下でも硬化、脆化することなく、作業性、保温性(防寒性)耐候性に優れており、低温作業環境下での長時間の戸外作業を可能ならしめる防寒作業衣を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、保温性(防寒性)に優れるアラミド繊維を含む繊維と耐候性に優れるポリエステル素材とを組み合せることによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明によれば、(1)アラミド繊維を50重量%以上含み、かつ全繊度30〜300デニールのフィラメントまたは全繊度80〜20番手の紡績糸から構成されている、経密度100〜150本/インチ、緯密度50〜100本/インチの高密度織物からなり、該織物の表面には、さらにポリエステルよりなる基質が、該織物の重量に対して、高々15%積層され、且つ該積層面が表地面として配されていることを特徴とする耐候性に優れた防寒作業衣、(2)高密度織物が、メタ−アラミド繊維50〜99重量%、パラ−アラミド繊維1〜10重量%、及び他の難燃繊維0〜40重量%から構成されている上記(1)記載の防寒作業衣、(3)ポリエステルよりなる基質が、ポリエステル布帛である上記(1)または(2)に記載の防寒作業衣、(4)ポリエステルよりなる基質が、アラミド繊維とポリエステル繊維との二重織高密度織物の片面である上記(1)または(2)に記載の防寒作業衣、(5)ポリエステルよりなる基質が、ポリエステルフイルムである上記(1)または(2)に記載の防寒作業衣、(6)ポリエステルよりなる基質に紫外線遮蔽剤が含有されている上記(3)〜(5)のいずれかに記載の防寒作業衣が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の防寒作業衣において使用される高密度織物は、アラミド繊維を50%以上含む織物であることが必要である。アラミド繊維を50%以上含まない織物、例えば、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などを主体とする織物では、−10℃以下の低温作業環境下での耐寒性が劣り、硬化、脆化して、作業性が低下し、さらには十分な保温性が得られず、−10℃以下の低温作業環境下での長時間の作業が不可能になり、ウールを主体とする織物では、重くて作業性が悪く、強度が弱い。
【0011】
アラミド繊維には、メタ―アラミド繊維とパラ―アラミド繊維とがあり、本発明ではどちらを用いてもよいが、保温性の点で、メタ―アラミド繊維が好ましく、更に強度を高めるうえで、メタ―アラミド繊維とパラ―アラミド繊維とを混用するのが好ましい。この場合、メタ―アラミド繊維を50〜99%、パラ―アラミジ繊維を1〜10%混用するのが望ましい。これに加えて、更に、他の難燃繊維を全体の40%以下混用してもよい。
【0012】
メタ―アラミド繊維としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミドやこれに第三成分を共重合したものからなる繊維を挙げることができる。ポリメタフェニレンイソフタルアミド共重合体の一例として、下記式で示される共重合体を挙げることができる。
【0013】
【化1】
Figure 0003660746
【0014】
また、パラ―アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンフタルアミドやこれに第三成分を共重合したものからなる繊維を挙げることができる。ポリパラフェニレンフタルアミド共重合体の一例として、下記式で示される共重合体を挙げることができる。
【0015】
【化2】
Figure 0003660746
【0016】
更に、他の難燃繊維としては、難燃レーヨン、防炎加工綿、防炎加工ウール、難燃ポリエステル繊維、難燃アクリル繊維等を挙げることができるが、難燃レーヨンが特に好ましい。
【0017】
また、高密度織物の織密度は、経密度が100〜150本/インチ、緯密度が、50〜100本/インチであることが必要であり、これよりも密度が低い場合は、低温環境下での保温性が不十分となり、低温環境下での長時間の作業が行えなくなる。またこれよりも密度が高い場合製織性が不良となり、得られる織物の品位が不良となる。
【0018】
上記高密度織物の製織には、例えば、全繊度が30〜300デニールのフィラメント糸や80〜20番手の紡績糸が用いられ、このフィラメント糸や紡績糸は、上記アラミド繊維のみからなるものでもよいが、50%以上のアラミド繊維と他の繊維からなる混繊糸や混紡糸とであってもよい。
【0019】
このように、アラミド繊維、特にメタ―アラミド繊維を50%以上含む高密度織物、あるいは、メタ―アラミド繊維と共に、10%以下のパラ―アラミド繊維と40%以下の他の難燃繊維を含む高密度織物を用いた場合に、意外にも、低温環境下で好ましい保温効果が得られる。
【0020】
本発明の防寒作業衣においては、上記高密度織物の表面に、さらにポリエステルよりなる基質が、該織物の重量に対して高々15%積層されていることが必要である。一般にアラミド繊維は波長450nm以下の紫外線領域の光線によって劣化する欠点を有する。たとえば自然光の波長領域は300nm以上であるから本発明の防寒作業衣を屋外で使用すると該繊維は劣化されることになり、かかる劣化を防止するには、波長300〜450nmの領域の光線を十分に遮蔽することが重要である。
【0021】
本発明の防寒作業衣では、アラミド繊維を50%以上含む高密度織物の表面にさらにポリエステルよりなる基質を積層することにより耐候性を改善するものである。その際、積層の割合は該織物の重量に対して高々15%とすることが必要であり、15%を越えるとポリエステル素材が−10℃以下の低温作業環境下で硬化、脆化して作業性が低下するので好ましくない。又ポリエステルよりなる基質を該織物に積層するには、ポリエステルよりなる織物、編物又は不織布などの布帛やフイルムを該織物に接着剤を介在して接着させる方法、あるいはアラミド繊維とポリエステル繊維との二重織高密度織物の片面とする方法を使用することができる。この際、該ポリエステルよりなる基質に顔料や紫外線吸収剤のような紫外線遮蔽剤が含有されていることが好ましい。
【0022】
本発明の防寒作業衣においては、上記アラミド繊維を主体とする高密度織物の表面に、さらにポリエステルよりなる基質の積層された面が表地面として配されている必要がある。このような防寒作業衣の構造をとることにより、屋外にさらされて使用されても、その表地側は耐候性に優れ、一方その裏地側は、保温性に優れ、防寒作業衣として有用なものとなるのである。さらに防寒作業衣として快適性を向上させるには、表地面のポリエステル基質に撥水加工が施されているのが好ましい。この撥水加工は、水が付着して氷結するのを防止し、さらには汚れの付着を防止するために行うものである。この撥水加工は、特に限定されず、従来公知の方法を任意に採用することができるが、フッ素樹脂又はシリコーン樹脂を3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上付着させる方法が好ましい。 更には、裏地側の高密度織物は、起毛加工されているのが着用時のソフトな風合いを付与するので好ましい。
【0023】
更に、本発明の防寒作業衣には、ボア生地で構成した襟部を取り付けるのが、保温効果を高めるうえで好ましい。この襟部には、−30℃レベルの低温環境下で使用する防寒作業衣の場合は、通常の防寒衣に用いられるアクリル繊維等のボア生地でもよいが、−60℃レベルの低温環境下で使用する防寒作業衣の場合は、アラミド繊維からなるハイパイルボア生地を用いるのが好ましい。
【0024】
本発明の防寒作業衣は、上着だけでもよいが、上下が一体となった、いわゆる上下続きの「ツナギ」作業衣でもよい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0026】
なお、実施例中の作業性及び保温性は、次のようにして評価した。
【0027】
(1)作業性
−30℃又は−60℃の雰囲気下で作業衣を着用した際の作業のし易さを官能判定し、極めて良好を◎、良好を○、表地が硬化、脆化したり、身体の動きが制限される場合を×で示した。
【0028】
(2)保温性
−30℃又は−60℃の雰囲気下で、サーマルマネキンを使用し、作業上衣の胸部及び前腕部のクロー値を測定し、その値に基づいて、極めて良好◎、良好○、不良×に区分した。
【0029】
(3)作業可能時間
−30℃又は−60℃の雰囲気下で、連続して作業が可能な時間を求めた。
【0030】
(4)耐候性
作業衣を構成する高密度織物とポリエステル基質との貼合せ布帛をJIS B7753に準じて−30℃の雰囲気下で2000時間暴露後色の変化を観察し変化の度合を3区分(大、中、小)で評価した。
【0031】
[実施例1〜3、5〜7、比較例1〜4、9]
下記の高密度織物及びポリエステル基質を用い、両者を接着剤にて、接合して布帛を得た。次いで得られた布帛のポリエステル基質を表地面として縫製し防寒作業衣を作成した。
【0032】
(1)高密度織物
表1に示す紡績糸(40番手双糸)を用い、経密度112本/インチ、緯密度57本/インチに製織した織物(2/1綾織)。
【0033】
なお、表1の紡績糸において、m―アラミド、p―アラミド、ポリエステル及び難燃レーヨンは、それぞれ、下記の繊維を示す。
【0034】
(イ)m―アラミド
下記式で示されるポリメタフェニレンイソフタルアミド共重合体の繊維、「コーネックス」(登録商標)(帝人株式会社製)。
【0035】
【化3】
Figure 0003660746
【0036】
(ロ)p―アラミド
下記式で示されるポリパラフェニレンフタルアミド系共重合体の繊維、「テクノーラ」(登録商標)(帝人株式会社製)。
【0037】
【化4】
Figure 0003660746
【0038】
(ハ)ポリエステル
ポリエチレンテレフタレート繊維、「テトロン」(登録商標)(帝人株式会社製)。
【0039】
(ニ)難燃セルロース
難燃レーヨン、「タフバン」(登録商標)(東洋紡株式会社製)。
【0040】
(2)表地面
ポリエチレンテレフタレート繊維(30de/12fil)100%よりなる平織物。この織物には、常法によりフッ素樹脂(アサヒガードLS―317(商品名)、旭硝子(株)製)を4重量%付着させて、撥水加工を施した。
【0041】
この防寒作業衣を、−30℃の低温環境下で評価した結果は、表1に示す通りである。50%以上のアラミド繊維を含む高密度織物を用い、表地にポリエチレンテレフタレート織物を高々15%用いた場合(実施例1〜3、5〜7)は、−30℃の低温環境下でも作業性、保温性共に良好で、長時間の連続作業が可能であり又耐候性も良好であった。一方表地の割合が15%を越えた場合(比較例1)ポリエステル繊維100%(比較例4)あるいはアラミド繊維を50%未満含有するポリエステル繊維(比較例2)を使用した場合は、表地が硬化して、作業性が低下し、保温性も悪く、連続して作業が行える限界は、わずか40分程度であった。また、ウールを用いた場合(比較例3)は、重くて作業性が悪く、強度も劣っていた。
【0042】
【表1】
Figure 0003660746
【0043】
[実施例8〜11、比較例5〜8]
実施例3において、織物の織密度を表2に示すように変更した。結果は、表2に示す通りであり、経密度が100〜150本/インチ、緯密度が50〜100本/インチの場合(実施例8〜11)は、保温性が良好で、長時間の連続作業が可能であって、耐候性も良好であったが、経密度が100本/インチ未満の場合(比較例5)及び緯密度が50本/インチ未満の場合(比較例6)は、保温性が悪く、長時間の連続作業が行えなかった。又経密度が150本/インチを越える場合(比較例7)及び緯密度が100本/インチを越える場合(比較例8)は、製織性が悪く得られる織物の品位も不良で実用に供するものではなかった。
【0044】
【表2】
Figure 0003660746
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、低温作業環境下、特に−10℃以下、さらには−30℃レベルあるいは−60℃レベルといった極めて低温の作業環境下でも硬化、脆化することなく、作業性、保温性、耐候性に優れており、低温作業環境下での長時間の作業を可能ならしめる防寒作業衣を提供することができる。

Claims (6)

  1. アラミド繊維を50重量%以上含み、かつ全繊度30〜300デニールのフィラメントまたは全繊度80〜20番手の紡績糸から構成されている、経密度100〜150本/インチ、緯密度50〜100本/インチの高密度織物からなり、該織物の表面には、さらにポリエステルよりなる基質が、該織物の重量に対して、高々15%積層され、且つ該積層面が表地面として配されていることを特徴とする耐候性に優れた防寒作業衣。
  2. 高密度織物が、メタ−アラミド繊維50〜99重量%、パラ−アラミド繊維1〜10重量%、及び他の難燃繊維0〜40重量%から構成されている請求項1記載の防寒作業衣。
  3. ポリエステルよりなる基質が、ポリエステル布帛である請求項1または請求項2に記載の防寒作業衣。
  4. ポリエステルよりなる基質が、アラミド繊維とポリエステル繊維との二重織高密度織物の片面である請求項1または請求項2に記載の防寒作業衣。
  5. ポリエステルよりなる基質が、ポリエステルフイルムである請求項1または請求項2に記載の防寒作業衣。
  6. ポリエステルよりなる基質に紫外線遮蔽剤が含有されている請求項3〜5いずれか1項記載の防寒作業衣。
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