JP3661705B2 - 燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置に係り、特に再始動時の空燃比を適正に維持して再始動性を向上し得る燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2サイクルエンジンは、クランク軸の1回転によりピストンが2行程し、この行程を繰り返すことによって動力を発生するものであり、自動二輪車や船外機、そしてスノーモービルと称される雪上車等に搭載されている。
【0003】
このような燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置としては、例えば、特開平3−172551号公報、特開平3−172552号公報に開示されている。これら公報に記載のものは、再始動に燃料噴射量がリッチ化しないようにクランキング時間に応じた補正係数値を考慮し、再始動を容易に行わせるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来、2サイクルエンジンにおいては、完全暖機状態で走行してエンジンを停止し、そして、エンジン停止後に再始動する時、つまり冷却水温度がある程度低下しているがクランクケース内の雰囲気温度がまだ高い状態で、まだ暖機状態の際に、冷却水温度に基づく燃料噴射量が必要以上に多くなり、よって、空燃比が過リッチ化となり、このため、失火し易く、再始動が困難になるという不都合があった。
【0005】
また、冷却水温度とクランクケース内温度とが同一となる箇所に水温センサ及びエンジン温度センサを設置すればよいが、レイアウト上、水温センサとエンジン温度センサとを同一箇所に設置できず、よって、水温センサの取付位置が制約されるとともに、空燃比の過リッチ化を回避することができなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、雪上車に搭載される2サイクルエンジンであって、始動時の燃料噴射量を制御する燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置において、前記2サイクルエンジンの冷却水温度を検出する水温センサを設け、前記2サイクルエンジンの雰囲気温度を検出するエンジン温度センサをフライホイールマグネト近傍に配設し、冷却水温度に応じて始動時の燃料噴射量を決定するとともに、冷却水温度とエンジン雰囲気温度との大小関係を求め、エンジン雰囲気温度が冷却水温度よりも高い場合には、前記始動時の燃料噴射量を減量補正する制御手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
【作用】
この発明の構成によれば、雪上車に搭載される2サイクルエンジンにおいて、冷却水温度に応じて始動時の燃料噴射量を決定するとともに、冷却水温度とエンジン雰囲気温度との大小関係を求め、エンジン雰囲気温度が冷却水温度よりも高い場合には、始動時の燃料噴射量を減量補正するので、完全暖機状態で走行後に、2サイクルエンジンを停止し、そして、放置した後に、2サイクルエンジンの雰囲気温度が冷却水温度よりも高い場合に、制御手段が噴射する燃料の減少量を正確に演算するので、過リッチ化を防止して空燃比を適正にし、再始動性を向上するとともに、水温センサの取付位置が制約されず、水温センサの取付位置の自由度を大とすることができる。
【0008】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。
【0009】
図1〜図9は、この発明の実施例を示すものである。図8、9において、2は雪上車、4は舵取り用スキー、6はフード、8は2サイクルのエンジン、10はウインドシールド、12はハンドル、14はシート、16はトラックである。
【0010】
前記雪上車2は、軽量化を図ることによって接雪圧を少なくし、且つ単位重量当りの出力を大とし、新雪や深雪をも走破できるように構成されているとともに、小形軽量で且つ寒冷時の始動の容易な2サイクルのエンジン8が搭載されている。
【0011】
図1に示す如く、このエンジン8は、本体18とクランクケース20と底部22と頭部24とクランク軸26と燃焼室28とを有している。また、本体18には、吸気ポート30と排気ポート32と冷却水通路34とが形成されている。更に、本体18には、ウォータポンプ36が付設されている。このウォータポンプ36には、ウォータバイパス管38が連結されている。このウォータバイパス管38には、冷却水温度を検出する水温センサ40が付設されている。また、前記頭部24には、点火プラグ42が付設されている。
【0012】
前記吸気ポート30側の本体18には、スロットルバルブ44を有するスロットルボディ46が連設されている。スロットルバルブ44には、該スロットルバルブ44の開度状態を検出するスロットルポジションセンサ48が連絡されている。このスロットルボディ46の上流側には、エアボックス50が設けられている。このエアボックス50には、吸気温度を検出する吸気温センサ52が付設されている。
【0013】
前記スロットルボディ46には、スロットルバルブ44の下流側に燃料を噴射する燃料噴射弁54が取付けられている。前記エンジン8は、気筒が2つあるので、燃料噴射弁54が各気筒に対応して夫々設置されている。この燃料噴射弁54には、燃料供給通路56の一端側が連絡されている。この燃料供給通路56の他端側は、例えば、燃料タンク58内に設置した燃料ポンプ60に連絡されている。ここで、燃料ポンプ60を燃料タンク58の外に設置する場合には、図1の破線で示す如く、燃料供給通路56途中には、燃料タンク58側から順次に、燃料ポンプ60と燃料フィルタ62とを介設する。
【0014】
また、燃料噴射弁54への燃料圧力を一定に維持するために、燃料噴射弁54に連絡して燃料圧調整弁64が設けられ、この燃料圧調整弁64には燃料タンク58に連通する燃料戻り通路66が連絡されている。
【0015】
また、前記クランク軸26の端部には、フライホイールマグネト68が取付けられている。このフライホイールマグネト68の周辺で近傍には、クランク位置とエンジン回転数とを検出するクランク角センサ70と、どの気筒が上死点(TDC)の次にくるのかを判別する気筒判別センサ72と、エンジン8の雰囲気温度であるクランクケース20内の温度を検出する非接触型のエンジン温度センサ74とが配設されている。
【0016】
このフライホイールマグネト68には、CDIユニット76が連絡されている。このCDIユニット76には、イグニションコイル78を介して前記点火プラグ42が連絡されている。
【0017】
前記燃料噴射弁54には、ドロップングレジスタ82を介して制御手段(ECU)82に連絡されている。よって、この燃料噴射弁54は、この制御手段82からの駆動信号パルスによって作動制御される。
【0018】
また、この制御手段82には、燃料ポンプリレー84を介して燃料ポンプ60が連絡されているとともに、水温センサ40とスロットルポジションセンサ48と吸気温センサ52とクランク角センサ70と気筒判別センサ72と非接触型のエンジン温度センサ74とCDIユニット76とEFIリレー86とが連絡されている。
【0019】
前記EFIリレー86には、イグニションスイッチ88と第1フューズブルリンク90と前記CDIユニット76に連絡したEFIリレー回路(点火オフ回路)92とが連絡している。
【0020】
前記第1フューズブルリレー90は、バッテリ94に連絡されている。また、このバッテリ94には、燃料ポンプリレー84に連絡した第2フェーズブルリンク96が連絡されている。
【0021】
また、前記バッテリ94には、フライホイールマグネト68に連絡したDCRR回路98が連絡されている。このDCRR回路98には、チャージランプ100が連絡されている。
【0022】
前記フライホイールマグネト68には、ACレギュレータ102とヘッドランプ104とが連絡されている。
【0023】
更に、前記制御手段82には、大気圧センサ106が内蔵されている。
【0024】
前記制御手段82は、各種センサの検出信号を入力し、冷却水温度(TW)とエンジン雰囲気温度であるクランクケース20内の温度(TC)とに応じて始動時の燃料噴射量を制御するものである。
【0025】
このため、制御手段82のプログラムには、図4に示す如く、冷却水温度(TW)に応じた一発噴射量(TAONIJ)のマップと、図5に示す如く、冷却水温度(TW)に応じた始動時基本噴射量(TiLNTK)のマップと、図6に示す如く、エンジン回転数に応じた回転補正係数(KLN)のマップと、図7に示す如く、クランキング時間に対応した時間補正係数(KLT)のマップとが組込まれている。
【0026】
次に、この実施例の作用を、図2のブロック図に基づいて説明する。
【0027】
制御手段82において、クランク角センサ70からの検出信号が入力されると、CDIパルスとクランク位置とエンジン回転数の算出とをし(202)、また、気筒判別パルスと気筒判別の設定をする(204)。
【0028】
スロットルポジションセンサ48からの検出信号が入力されると、基本燃料噴射量の設定(206)を、基本燃料噴射量マップ(208)から行う。
【0029】
水温センサ40と大気圧センサ106と吸気温センサ52の各検出信号が入力されると、各センサにおける増量補正係数の設定を行い(210)、そして、補正燃料噴射量の算出を行う(212)。
【0030】
バッテリ94の電圧状態が入力されると、燃料噴射弁54の電圧補正増量が設定され(214)、そして、第1の燃料噴射量(NO.1)を算出するとともに(216)、第2の燃料噴射量(NO.2)を算出する(218)。ここで、第1の燃料噴射量>第2の燃料噴射量の関係がある。これら第1、第2の燃料噴射量には、上述の補正燃料噴射量(212)が加えられ、そして、第1燃料噴射量又は第2燃料噴射量の比較をする(220)。
【0031】
エンジン温度センサ74からの検出信号が入力されると、冷却水温度(TW)とエンジン8の雰囲気温度、つまりクランクケース20内の温度(TC)とが、TW≧TCの関係かを求め(222)、また、TW<TCの関係かを求める(224)。
【0032】
TW≧TCでの比較(222)による判断は、上述の第1燃料噴射量又は第2燃料噴射量の比較(220)に送られる。
【0033】
また、TW<TCでの比較(224)による判断は、第1の補正燃料噴射量の算出に送られる(226)。
【0034】
前記CDIパルスとクランク位置及びエンジン回転数(202)は、基本燃料噴射量の設定(206)とエンジン回転数の設定(228)とに加えられる。また、このエンジン回転数の設定(228)には、第1燃料噴射量又は第2燃料噴射量の比較(220)と第1補正燃料噴射量(226)とが加味される。
【0035】
エンジン回転数が設定(228)されたならば、この設定されたエンジン回転数と上述のCDIパルスとクランク位置とエンジン回転数(202)とによって、総合燃料噴射量を設定し(230)、そして、気筒判別パルスと気筒判別設定(204)を加えて、燃料噴射弁54の駆動を設定し(232)、そして、第1気筒の燃料噴射弁54(134)と第2気筒の燃料噴射弁54(136)とを夫々作動する。
【0036】
次いで、燃料噴射量の設定制御を、図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0037】
制御手段82のプログラムがスタートすると(ステップ302)、先ず、始動か否か、つまり、イグニションスイッチ78がオンか否かを判断する(ステップ304)。
【0038】
このステップ304でYESの場合には、冷却水温度(TW)とエンジン雰囲気温度(TC)とで、TW≧TC又はTW<TCか否かを判断する(ステップ306)。
【0039】
このステップ306でTW≧TCの場合には、冷却水温度(TW)に対応させて図4のマップから一発噴射量(TAONIJ)を決定する(ステップ308)。
【0040】
そして、冷却水温度(TW)に応じて図5のマップから始動時基本噴射量(TiLNTK)を決定し(ステップ310)、また、エンジン回転数(N)に応じて図6のマップから回転補正係数(KLN)を決定し(ステップ312)、さらに、クランキング時間(T)に応じて図7のマップから時間補正係数(KLT)を決定する(ステップ314)。
【0041】
そして、一発噴射量(TAONIJ)+始動時噴射パルス幅(TiLN1 )を算出する(ステップ316)。ここで、始動時噴射パルス幅(TiLN1 )=始動時基本パルス幅(TiLNTK)×回転補正係数(KLN)×時間補正係数(KLT)である。
【0042】
一方、前記ステップ306で、TW<TCの場合には、、冷却水温度(TW)に対応させて図4のマップから一発噴射量(TAONIJ)を決定するとともに、一発噴射量(TAONIJ)×減量補正係数(KE)の計算をする(ステップ318)。
【0043】
そして、冷却水温度(TW)に応じて図5のマップから始動時基本噴射量(TiLNTK)を決定するとともに、始動時基本噴射量(TiLNTK)×減量補正係数(KE)を計算し(ステップ320)、また、エンジン回転数(N)に応じて図6のマップから回転補正係数(KLN)を決定するとともに、回転補正係数(KLN)×減量補正係数(KE)を計算し(ステップ322)、さらに、クランキング時間(T)に応じて図7のマップから時間補正係数(KLT)を決定する(ステップ324)。
【0044】
そして、一発噴射量(TAONIJ)×減量補正係数(KE)+始動時噴射パルス幅(TiLN2 )を算出する(ステップ326)。ここで、始動時噴射パルス幅(TiLN2 )=始動時基本パルス幅(TiLNTK)×減量補正係数(KE)×回転補正係数(KLN)×減量補正係数(KE)×時間補正係数(KLT)である。
【0045】
一方、前記ステップ304でNOの場合には、通常の総合噴射量(Ti)の演算を行う(ステップ328)。
【0046】
そして、各噴射量の計算が終了したならば、リターンさせる(ステップ330)。
【0047】
この結果、エンジン雰囲気温度が非接触で且つフライホイールマグネト68近傍のエンジン水温センサ74で検出されるので、エンジン雰囲気温度、つまり、クランクケース20内の温度を正確に検出し、そして、エンジン8が完全に暖機状態になって走行後に、エンジン8を停止して放置した後で、まだ、クランクケース20内温度が冷却水温度よりも高い場合で始動する際に、燃料噴射量を適正に減量して空燃比の過リッチ化を防止し、再始動を容易とすることができる。
【0048】
また、エンジン温度センサ74がエンジン雰囲気温度を検出するので、水温センサ40の取付位置の自由度が大となる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳細な説明から明かなようにこの発明によれば、雪上車に搭載される2サイクルエンジンにおいて、2サイクルエンジンの冷却水温度を検出する水温センサを設け、2サイクルエンジンの雰囲気温度を検出するエンジン温度センサをフライホイールマグネト近傍に配設し、冷却水温度に応じて始動時の燃料噴射量を決定するとともに、冷却水温度とエンジン雰囲気温度との大小関係を求め、エンジン雰囲気温度が冷却水温度よりも高い場合には、始動時の燃料噴射量を減量補正する制御手段を設けたことにより、完全暖機で走行後に、2サイクルエンジンを停止し、そして、放置した後に、2サイクルエンジンの雰囲気温度が冷却水温度よりも高い場合に、空燃比の過リッチ化を防止して空燃比を適正に維持し、再始動性を向上するとともに、水温センサの取付位置が制約されず、水温センサの取付位置の自由度を大とし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】始動装置のシステム構成図である。
【図2】燃料噴射制御のブロック図である。
【図3】燃料噴射量を求めるフローチャートである。
【図4】冷却水温度に対応する一発噴射量の関係図である。
【図5】冷却水温度に対応する始動時基本噴射量の関係図である。
【図6】エンジン回転数に対応する回転補正係数の関係図である。
【図7】クランキング時間に対応する時間補正係数の関係図である。
【図8】雪上車のエンジン部分を現出した側面図である。
【図9】雪上車の側面図である。
【符号の説明】
2 雪上車
8 エンジン
40 水温センサ
54 燃料噴射弁
68 フライホイールマグネト
74 エンジン温度センサ
82 制御手段
Claims (1)
- 雪上車に搭載される2サイクルエンジンであって、始動時の燃料噴射量を制御する燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置において、前記2サイクルエンジンの冷却水温度を検出する水温センサを設け、前記2サイクルエンジンの雰囲気温度を検出するエンジン温度センサをフライホイールマグネト近傍に配設し、冷却水温度に応じて始動時の燃料噴射量を決定するとともに、冷却水温度とエンジン雰囲気温度との大小関係を求め、エンジン雰囲気温度が冷却水温度よりも高い場合には、前記始動時の燃料噴射量を減量補正する制御手段を設けたことを特徴とする燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34333692A JP3661705B2 (ja) | 1992-11-30 | 1992-11-30 | 燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34333692A JP3661705B2 (ja) | 1992-11-30 | 1992-11-30 | 燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06167232A JPH06167232A (ja) | 1994-06-14 |
| JP3661705B2 true JP3661705B2 (ja) | 2005-06-22 |
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP34333692A Expired - Fee Related JP3661705B2 (ja) | 1992-11-30 | 1992-11-30 | 燃料噴射式2サイクルエンジンの始動装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
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| JP (1) | JP3661705B2 (ja) |
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1992
- 1992-11-30 JP JP34333692A patent/JP3661705B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPH06167232A (ja) | 1994-06-14 |
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