JP3661824B2 - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性が向上された重荷重用空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、カーカスプライとインナーライナーとの間に有機酸コバルト塩を含むゴム層と有機酸コバルト塩を含まないゴム層の二層を有する重荷重用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、重荷重用空気入りタイヤのインナーライナーには、タイヤの空気圧を保持する目的でガス不透明性の高いブチルゴム系のゴム組成物が用いられ、また、インナーライナーとカーカスプライとの間には、通常、有機酸コバルト塩が配合されたスキージーゴム層(以下、内面保護層という)が配置されている。
ところで、この内面保護層は、走行やタイヤ内圧によってゴムがクリープし、薄化するために、タイヤ内側表面にプライコードが浮き出て見えるコード浮き故障、いわゆるヴァシュブレッド故障(以下、W/B性ふくれという)を防止するために重要な役割を果たす。したがって、この点からは内面保護層ゴムの特性としては耐クリープ性が良いゴムを用いることが望まれる。
また、スチールコードをカーカスプライの補強材とする重荷重用空気入りタイヤのカーカスプライコーティングゴムには、スチールコードとの接着性を向上させる目的で、通常、接着促着剤として、有機酸コバルト塩が配合されているが、コーティングゴムのスチールコードへの被覆が不完全である場合には、スチールコードとゴム間に充分な接着が得られず、タイヤ使用において重大な故障を生じることとなる。このため、一般には、インナーライナーとプライコーティングゴムの間の内面保護層には、プライコーティングゴムと配合が同一若しくは類似のゴムが用いられ、この内面保護層ゴムに接着促進剤としての有機酸コバルト塩を含有させることは不可避のこととされている。
【0003】
しかし、ゴムに有機酸コバルト塩を配合することは、ゴム劣化上からは好ましくなく、タイヤの耐久性には悪影響を及ぼす。特に、内面保護層はインナーライナーを介してタイヤ内側表面に近いところに位置しているために、それ自身、比較的ゴム劣化を受け易い部材であり、もし、ゴム劣化後のタイヤ走行において、突起物を乗り越し大変形した場合には、内面保護層内でゴム破壊を生じ、パンクなどのタイヤ故障に至る。
したがって、内面保護層ゴムの特性としては、前記の耐クリープ性と共に耐劣化性が良いゴムを用いることが望まれる。しかし、現実には、内面保護層ゴムの耐劣化性は必ずしも充分なものではなく、また、従来の重荷重用空気入りタイヤ内面保護層において、接着性を維持したままで、耐クリープ性と耐劣化性の双方をさらに改良することは困難であった。
一方、本発明者は、タイヤ製造の圧延関連技術の最近の進歩に伴い、特にゴムシートの穴空き検知精度の向上により、現在の製造工程能力において、有機酸コバルト塩を含んでいるインナーライナーのゴム層を、さらにゲージダウンすることが可能なことなども知った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、重荷重用空気入りタイヤのインナーライナーとカーカスプライとの間に位置する内面保護層のスチールコードとの接着性やW/B性ふくれ防止の程度を従来以上に維持したままで、耐久性を著しく向上させた重荷重用空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、重荷重用空気入りタイヤの内面保護層を二層とし、カーカスプライに隣接するゴム層にのみ有機酸コバルト塩を含有し、インナーライナーに隣接するゴム層には有機酸コバルト塩は含有しないゴムを使用することにより、接着性のレベルを維持したままで、内面保護層の耐クリープ性と耐劣化性の双方を改良できることを見出した。
すなわち、本発明は、トレッド部と、このトレッド部の両肩で連なる一対のサイド部と、ビード部と、ビード部にまたがるスチールコードを補強材とするカーカスプライと、インナーライナーと、カーカスプライとインナーライナーとの間に内面保護層を有する空気入りタイヤにおいて、この内面保護層は、カーカスプライに隣接し有機酸コバルト塩を含有しているゴム層Aと、インナーライナーに隣接し有機酸コバルト塩を含有しないゴム層Bの二層からなり、ゴム層Aの厚さをdA,ゴム層Bの厚さをdBとしたとき、1/2<dB/dA<2の関係にあることを特徴とする重荷重用空気入りタイヤを提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、内面保護層のうち、カーカスプライに隣接しているゴム層Aを構成するゴムは、カーカスプライコーティングゴムと配合が同一若しくは類似のゴムであり有機酸コバルト塩を含有している。ここで有機酸コバルト塩は、ゴムとスチールコードの接着の接着促進剤として、通常スチールコードを補強材とするカーカスプライコーティングゴムに配合されているものであり、特に制限はないが、例えばナフテン酸コバルト,ステアリン酸コバルト,オレイン酸コバルト,トール油酸コバルト,樹脂酸コバルトなどが挙げられる。有機酸コバルト塩の配合量は、通常ゴム100重量部に対して0.1〜2.0重量部である。
ゴム層Aのゴムは、通常天然ゴム70重量%以上を含有する単独又はブレンドゴムが好ましく、ここでブレンドゴムの場合の他のゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム,ポリブタジエンゴム,スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどが挙げられる。
【0007】
また、ゴム層Aに配合されるカーボンブラックは、例えばFEF,HAF,又はISAFグレードのものが用いられ、その配合量はゴム100重量部に対して40〜65重量部、好ましくは45〜60重量部である。さらに、ゴム層Aに配合される硫黄量は、通常4〜7重量部である。また、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤などが適宜配合される。
次に、インナーライナーに隣接しているゴム層Bは、有機酸コバルト塩を含有しないゴムである。特に耐劣化性向上のためには、硫黄配合量はゴム層Aの配合量より少なく、ゴム分100重量部に対して3〜5重量部とすることが好ましい。また、W/B性ふくれ防止の点から、ゴム層Bのカーボンブラッック配合量は、ゴム層Aの配合量より多くし、ゴム分100重量部に対して50〜65重量部とすることが好ましい。
【0008】
次に、本発明の一例として図面に基づき、さらに説明する。
図1は、本発明における重荷重用タイヤの右半断面図であり、ビード部3にまたがるカーカスプライ4(最内層プライのみ図示する)、トレッド部1、サイド部2、インナーライナー5及び内面保護層6から構成されている。
また図2は、サイド部2の断面詳細図であり、カーカスプライ4とインナーライナー5との中間に位置する内面保護層は、6aで示されるゴム層Aと6bで示されるゴム層Bとから構成されている。ここで、スチールコードとの接着性確保と内面保護層ゴムの耐劣化性のためには、ゴム層Aの厚さをdA,ゴム層Bの厚さをdBとしたとき、1/2<dB/dA<2の関係、さらに好ましくは、2/3≦dB/dA≦1の関係を満足していることが必要である。
【0009】
すなわち、ゴム層Aを薄くしてdB/dAの値が2以上になる場合には、ゴム層A用のシートは製造工程において局所的穴空きを生じるおそれがある。
また、逆にA層が厚くdB/dAの値が1/2以下の場合には、耐劣化性の良いゴム層Bの占める割合が少なくなるため、内面保護層全体としての耐ゴム劣化性の向上が困難となる。
また、ゴム層Aの厚さdAは、スチールコードとの接着性確保の面からは、0.5〜1.5mm程度であれば、充分である。
さらに、本発明においては、B層ゴムにW/B性ふくれ防止と耐劣化性に適合したゴムを用いることができるので、接着性,W/B性ふくれ及び耐劣化性を現在のレベル以上に維持したままで、内面保護層全体のゲージダウンにより、タイヤをより軽量化することも可能である。
【0010】
【実施例】
次に本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。
供試タイヤは、サイズ11R22.5 リブパターンのトラック・バス用タイヤであり、内面保護層の構成は第1表に記載した。ここで、接着促進剤としてのナフテン酸コバルトはゴム層Aのみに含まれており、ゴム層Bには含まれていない。ゴム層A及びゴム層Bは下記の基本配合により行った。
天然ゴム 100重量部
カーボンブラックFEF 55重量部
軟化剤 1.0重量部
ナフテン酸コバルト(ゴム層Aのみ) 2.0重量部
亜鉛華 6.0重量部
ステアリン酸(ゴム層Bのみ) 2.0重量部
老化防止剤 2.0重量部
硫黄 5.0重量部
加硫促進剤 0.8重量部
【0011】
供試タイヤの評価は、約10万kmの走行試験を行った後に、タイヤを解剖し、その内面保護層について、ゴム破断時伸び、W/B性ふくれ及びプライコードとの接着性を、以下の測定方法により行った。
(1)ゴム破断時伸び
内面保護層としてのゴム層A,ゴム層B及びゴム層A,Bの複合層の3種のゴムについてJIS♯3サンプルを採取し、インストロン引張試験機により測定した。なお、比較例3では、上記の3種のゴムは全て同一のゴムである。
(2)W/B性ふくれ(ヴァシュブレッド故障)
走行試験後のタイヤについて、インナーライナーのみ剥ぎ取り、内面保護層ゴム(比較例3以外では、ゴム層Bに相当)を露出させ、その凹凸状態を、めりこみ量(凹凸の山部と谷部の垂直長さ)の平均値により評価した。数値が大きい程W/B性が悪いことを示す。
(3)プライコードとの接着性
タイヤショールダー部の最内層プライを採取し、スチールコードとゴム間の接着力をマイナス80℃にて測定して、その際のスチールコードへのゴム付着率で比較した。
なお、上記において、各種試験の評価は、内面保護層が一層の従来のタイヤによる比較例3を100とした指数で示した。いずれの試験も数値が大きい程良好であることを示す。結果を第1表に示す。
【0012】
【表1】
Figure 0003661824
【0013】
上記の結果より以下のことがわかる。
本発明による実施例1のタイヤは、内面保護層全体としての厚さは従来のタイヤ(比較例3)と同じで、かつ有機酸コバルト塩を含有するゴム層としては従来タイヤの1/2であるにもかかわらず、比較例3と比較した場合、接着性及びW/B性ふくれは従来以上の性能を維持したままで、内面保護層におけるA,B層全体としてのゴム破断時伸びの指数は105と大幅に向上している。
また、実施例2は、ゴム層Aとゴム層Bの各厚さを増加した以外は、実施例1と同様にして製造したタイヤであり、比較例3と比較した場合、接着性を保持したままで、ゴム破断時伸びとW/B性ふくれの双方が改善されている。ただし、ゴム破断時伸びは、実施例1より劣っている。その理由は、実施例2の場合、内面保護層全体としての厚み増大により発熱が大きくなって、ゴム劣化も進んだためと考えられる。
一方、比較例1及び比較例2は、ゴム層Bの厚さdBとゴム層Aの厚さdAとの比dB/dAが、本発明で規定する関係式を満足していないために、いずれの場合にも、従来のタイヤ(比較例3)に比較してその改良効果は得られていない。
【0014】
【発明の効果】
この発明によれば、重荷重用空気入りタイヤのインナーライナーとカーカスプライとの間に配置されている内面保護層について、プライコードとの接着性に悪影響を及ぼすことなく、内面保護層の耐劣化性に関係するゴム破断時伸びと、内面保護層の耐クリープ性に関係するW/B性ふくれの双方を改善でき、その結果、重荷重用空気入りタイヤの耐久性を著しく向上させることが可能である。また、有機酸コバルト塩の配合を必要とするゴム層を薄くすることにより、タイヤ性能を損なうことなく、高価な有機酸コバルト塩の使用量を大幅に減少することができる。さらに、内面保護層全体のゲージダウンにより、タイヤをより軽量化することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるタイヤの右半断面図である。
【図2】 本発明によるタイヤのサイドウォール部の断面詳細図である。
【符号の説明】
1: トレッド部
2: サイド部
2a: サイドゴム
3: ビード部
4: カーカスプライ
5: インナーライナー
6: 内面保護層
6a: 内面保護層のうちのゴム層A
6b: 内面保護層のうちのゴム層B
7: スチールコード

Claims (3)

  1. トレッド部と、このトレッド部の両肩で連なるサイド部と、一対のビード部と、ビード部にまたがるスチールコードを補強材とするカーカスプライと、インナーライナーと、カーカスプライとインナーライナーとの間に位置する内面保護層を有する空気入りタイヤにおいて、この内面保護層は、カーカスプライに隣接し有機酸コバルト塩を含有し、ステアリン酸を含有していないゴム層Aと、インナーライナーに隣接し有機酸コバルト塩を含有せず、ステアリン酸を含有しているゴム層Bの二層からなり、ゴム層Aに配合される硫黄量がゴム100重量部に対して、4〜7重量部であり、かつゴム層Bに配合される硫黄量がゴム層Aの配合量以下であって、ゴム分100重量部に対して、3〜5重量部であり、かつゴム層Aの厚さをdA,ゴム層Bの厚さをdBとしたとき、1/2<dB/dA<2の関係にあることを特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。
  2. ゴム層Aの厚さとゴム層Bの厚さが、2/3≦dB/dA≦1の関係にある請求項1記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  3. ゴム層Aに配合されるカーボンブラック量がゴム100重量部に対して、45〜60重量部であり、かつゴム層Bに配合されるカーボンブラック量がゴム層Aの配合量以上であって、ゴム分100重量部に対して、50〜65重量部である請求項1又は2記載の重荷重用空気入りタイヤ。
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