JP3662668B2 - 光ファイバ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信用の光ファイバに関し、特にマルチモード形の光ファイバにおける伝送情報量の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信に用いられる光ファイバには、モードに関してシングルモード形とマルチモード形があり、また屈折率分布の形態に関してステップインデックス形とグラディエントインデックス形があるなど種々のタイプがあり、その各々に特徴がある。中でもマルチモード・ステップインデックス形は、例えば数百μm〜1mm程度のコア径とすることが可能で、光源や受光器との接続やファイバ−ファイバ間の接続などにおける取扱いが容易であり、また同じく大きなコア径が可能なグラディエントインデックス形に比べ低コストであることなどから、比較的短距離の通信や器機内でのデータ伝送手段として多用されている。
【0003】
しかしマルチモード・ステップインデックス形の光ファイバには、伝搬する光線のモードによる伝搬速度が異なる効果、いわゆるモード分散が大きく、これによって入射光パルスの時間幅が伝搬距離の増大に応じて広がり、パルス形状が崩れ易いという現象がある。このためマルチモード・ステップインデックス形の光ファイバは、シングルモード・ステップインデックス形やグラディエントインデックス形に比べ、同じ伝送距離における伝送帯域が数百分の1程度と狭く、単位時間に伝送可能な情報量が格段に少ない。もっともマルチモード・ステップインデックス形の光ファイバでも、コアとクラッドの屈折率差を小さくすることで伝送帯域を広くさせることが可能である。しかしこのようにすることは、開口数が減少して伝送効率の悪化を招き、実用的でない。
【0004】
ただ伝送距離が短かければモード分散による伝送帯域の低下は比較的小さいこと、またマルチモード・ステップインデックス形が多用されている近距離通信などの分野で今まで必要とされた伝送帯域があまり大きくなかったなどの理由から、上記のようなモード分散がそれほど問題にされていなかった。ところが最近における情報処理器機はその処理速度がますます高速化する傾向にあり、これに伴って近距離通信でもより広い伝送帯域が求められ、マルチモード・ステップインデックス形における伝送帯域の限界が問題になって来ている。
【0005】
ところでグラディエントインデックス形の光ファイバは、上記のようにマルチモード・ステップインデックス形の光ファイバに比べ数百倍の伝送帯域を持ち、しかも接続などの取扱いを容易とする大きなコア径が可能である。したがってこのグラディエントインデックス形の光ファイバを用いることで、上記のような高速化に対応することができる。しかし、グラディエントインデックス形は、例えば特開平4−97302号公報や特公表平5−808488号公報などで知られるように、屈折率分布用の物質を拡散させることで放物線分布の屈折率分布を与えて形成するなどのため、ステップインデックス形に比べてその製造工程などが大幅に複雑になり、コストアップを伴うという問題があること、それにその可能な伝送帯域が現在の一般的な通信システムにあっては過剰性能となることなどから、近距離通信系にグラディエントインデックス形の光ファイバを全面的に用いることは必ずしも適切な対応とはならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情を背景になされたのが本発明で、従来のマルチモード・ステップインデックス形の光ファイバと同様な製造の容易性や接続などについての取扱いの容易性を持ち、しかも従来のマルチモード・ステップインデックス形における伝送帯域の限界を超えて、情報処理器機の高速化により求められる伝送帯域を可能とする新たな光ファイバの提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的のために本発明では、光ファイバにおけるコアを、クラッドに内接させて設け且つクラッドより大きな屈折率を与えた円形断面形状のアウターコアと、このアウターコア内に設け且つアウターコアとは異なる屈折率を与えたインナーコアとで形成することを基本とし、これに加えて、インナーコアの断面形状を楕円形とし、このインナーコアをアウターコアと同心的に、つまりインナーコアの中心をアウターコアの中心に一致させるようにして設けて、これらアウターコアとインナーコアとでマルチモード伝送を行うようにしている。
【0008】
このようなコアが円形のアウターコアと楕円形のインナーコアからなる楕円多層コア構造の光ファイバにあっては、光ファイバ端面への入射条件の異なる光線について以下のようなメカニズムにより伝搬速度の均一化を生じさせることができ、伝送帯域を広くすることができる。これによる伝搬速度の均一化効果は、例えばインナーコアを単層としてコア全体が2層となる構造の場合であれば、従来の同一開口数のステップインデックス形の光ファイバに比べ3倍強程度に伝送帯域を広げることができ、インナーコアを2層としてコア全体が3層となる構造の場合であれば5倍弱程度に伝送帯域を広げることができる。
【0009】
光ファイバを伝搬する光線は、実質的に全てスキューレイ、つまり光ファイバの中心軸を含むメリディオナル面から外れる光線であると見なせる。そして楕円多層コア構造の光ファイバにあっては、そのコアが、円形のアウターコアの内部に楕円形のインナーコアを設けた構造であるため、スキューレイはそのほとんどが、インナーコアないしアウターコアの何れかで、屈折率が相対的に高いコアに閉じ込めれて伝搬する光と、インナーコアとアウターコアの両方を交互に通過しながら伝搬する光の何れかであり、これらは何れも伝搬途中でアウターコアとクラッドとの界面やアウターコアとインナーコアとの界面における入射・反射のパターンを非周期的つまりランダム的に変化させる。この結果、特に後者のスキューレイは、屈折率が異なることで伝搬速度の異なる領域の通過距離を1周期(1周期は、アウターコアとクラッドとの界面でのある反射から次の反射までの周期)毎にランダムに変化させることになり、ランダム的に速度変化を生じ、このランダム的な速度変化による平均化作用により、伝搬速度に効果的な均一化を生じる。
【0010】
この形態の光ファイバの開口数は、コアにおける最も高い屈折率によって決まるため、コアにおける屈折率が低い部分の屈折率を、コアにおける屈折率が高い部分の屈折率とクラッドの屈折率とのほぼ中間の値とすることで、上記2種類の伝搬光成分による伝送帯域は同じ開口数のステップインデックスファイバの伝送帯域より極めて大きなものになる。またこの両成分の平均伝搬速度はインナーコアの形状や屈折率の調整で等しくすることが可能で、そうすることにより両成分が加え合わされた結果の伝送帯域も両成分と同程度の大きさとなる。
【0011】
本発明による多層コア構造の光ファイバは、以上のようにして広い伝送帯域を可能とするが、同時に製造の容易性も持っている。すなわち本発明による光ファイバは、基本的には従来のステップインデックス形の光ファイバで一般的に用いられているのと同様の製造方法で製造することが可能であり、したがってコアが多層であるものの、コアの多層化程度を適当な範囲とすることで、従来のステップインデックス形の光ファイバにおけるのとそれ程変わらない条件で製造することができる。
【0012】
このようにして伝搬速度の均一化を可能とする楕円多層コア構造は、インナーコアも多層にし、その層数を多くするほど均一化の程度を上げることができる。ただインナーコアの層数を多くするとそれだけ製造の困難性が増す。したがって求められる性能とコストの釣合いで最適なインナーコアの層数を決めることになるが、1〜3層(コア全体で2〜4層)とするのが最も効果的であり、製造が容易で大幅な帯域改善効果が得られる。特にインナーコアを2層としてコア全体を3層とする構造が好ましい。
【0013】
コアを3層構造とするには、インナーコアをそれぞれ楕円形の断面形状を持つ第1のインナーコアと第2のインナーコアで形成し、且つ第2のインナーコアを第1のインナーコア内に第1のインナーコアと同心的に設けるようにする。
【0014】
【実施の形態】
本発明の第1の実施形態はコアが3層構造であるものに関し、図1に示すように、本実施形態による光ファイバのコア1は、円形断面形状としてクラッドCに内接させて設けるアウターコア2と、このアウターコア2の内部に設ける楕円形断面形状の第1のインナーコア3、及びこの第1のインナーコア3の内部に設ける同じく楕円形断面形状の第2のインナーコア4からなる3層構造である。両インナーコア3、4は、何れもアウターコア2に対し同心的にし、且つ楕円の長半径方向に関してアウターコア2の外周面と第1のインナーコア3の外周面との間隔、及び第1のインナーコア3の外周面と第2のインナーコア4の外周面との間隔を製造上で支障のない範囲で十分に狭めて設けるようにする。このようにすることにより、光ファイバを伝搬するスキューレイの伝搬路に対しこれを漏れなくカバーするように第1及び第2の両インナーコアを重ならせることができ、上記したスキューレイにおけるランダム的な速度変化による平均化作用をより効果的に得るがことができる。またこのような構造は、直交する二つの鏡面についての鏡面対称を持っているので、温度変化や吸湿による膨張、収縮量が材料によって異なることに起因するファイバの反りやねじれなどの変形の危険性を小さくできる。
【0015】
この実施形態におけるアウターコアとインナーコアのサイズやそれぞれの屈折率についての一数値例を挙げると以下のようになる。第2のインナーコアの屈折率=1.505 、第1のインナーコアの屈折率=1.500 、アウターコアの屈折率=1.495 、クラッドの屈折率=1.490 、アウターコアの半径=0.50mm、第1のインナーコアの短半径=0.35mm、第1のインナーコアの長半径=0.49mm、第2のインナーコアの短半径=0.18mm、第2のインナーコアの長半径=0.48mm。この数値条件における伝送帯域改善効果は、従来の同一開口数のステップインデックス形の光ファイバとの比較をモデルにしたがった計算から求めると5倍弱程度になる。
【0016】
本発明の第2の実施形態はコアが2層構造であるものに関し、この実施形態による光ファイバは、図2に示すように、そのコア11が、円形断面形状のアウターコア12と楕円形断面形状のインナーコア13からなる2層構造である。インナーコア13は、アウターコア12に対し第1の実施形態における第1のインナーコア3と同様にして設けるようにする。
【0017】
この実施形態における一数値例を挙げると以下のようになる。インナーコアの屈折率=1.505 、アウターコアの屈折率=1.498 、クラッドの屈折率=1.490 、アウターコアの半径=0.50mm、インナーコアの短半径=0.20mm、インナーコアの長半径=0.49mm。この数値条件における伝送帯域改善効果は、従来のステップインデックス形の光ファイバとの比較をモデルにしたがった計算から求めると、3倍強程度になる。
【0018】
ここで以上の各実施形態では、内側から外側に向けて屈折率を小さくする順方向分布としているが、例えば内側から外側に向けて屈折率を高くする分布や、その他の分布とすることも可能である。このようなものはしばしば順方向分布タイプより高い伝送帯域改善効果を示すが、形態によっては若干伝送損失が大きくなることがある。
【0019】
【発明の効果】
以上説明してきた如く、本発明によると、従来のステップインデックス形光ファイバとほぼ同様な条件で製造することが可能で、しかも従来のステップインデックス形光ファイバに比べ大幅に伝送帯域を広くすることのできる光ファイバを提供することができ、光ファイバを用いる通信システムの機能向上に大きく寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態による光ファイバの断面図。
【図2】第2の実施形態による光ファイバの断面図。
【符号の説明】
1 …… コア
2,12 …… アウターコア
3 …… 第1のインナーコア
4 …… 第2のインナーコア
13 …… インナーコア
C …… クラッド

Claims (2)

  1. クラッドに内接させて設け且つクラッドより大きな屈折率を与えた円形断面形状のアウターコアと、このアウターコア内に設け且つアウターコアとは異なる屈折率を与えたインナーコアとでコアを形成した光ファイバであって、
    インナーコアの断面形状を楕円形とし、このインナーコアをアウターコアと同心的に設けて、これらアウターコアとインナーコアとでマルチモード伝送を行うことを特徴とする光ファイバ。
  2. インナーコアをそれぞれ楕円形の断面形状を持つ第1のインナーコアと第2のインナーコアとで形成し、且つ第2のインナーコアを第1のインナーコア内に第1のインナーコアと同心的に設けた請求項1に記載の光ファイバ。
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