JP3663845B2 - 水晶の表面加工方法及び水晶片の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶の表面加工に関し、例えば音叉型水晶振動子、縦振動水晶振動子や水晶センサ、水晶フィルタなどの水晶デバイスの製造において、特にフォトリソグラフィ技術を用いて水晶ウエハをエッチング加工により所望の形状に成形して、水晶片を製造するのに適した水晶の表面加工技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、水晶(人工水晶)は、携帯電話、ページャなどの通信機器、コンピュータ、ワープロなどの情報機器や各種電子制御装置、電子時計やビデオカメラなどの民生機器を含む様々な電子機器の分野において、振動子、発振器、フィルタ、センサなどの各種デバイスに使用されている。その中で、音叉型水晶振動子は、これら電子機器のクロック源として広く採用されている。一般に音叉型水晶振動子の製造は、先ず水晶原石をブロック状に切断し、かつこれを所定厚さのウエハ状に切り出した後、その表面を最終的に鏡面仕上げし、かつ所望の厚さに加工するウエハ加工の工程と、フォトリソグラフィ技術を用いてエッチングすることによりウエハを音叉形状に形成し、かつその上に電極及び配線パターンを成膜するエッチング加工の工程と、このようにして得られた水晶振動片を例えばハーメチック端子からなるプラグにマウントし、かつ周波数調整した後に真空ケース内に封止する工程とから構成される。
【0003】
前記ウエハ加工の工程では、図9のフロー図に示すように、ブロックから切り出した水晶ウエハの両面を、その際に生じた切断加工層を除去しかつ所定の板厚にするために、砥粒の粒径を順次細かくしながらラッピング加工する。これにより、前記ウエハの表面は、すりガラス状の比較的粗い所謂ラップ加工面になる。次に、このウエハをフッ化アンモニウム(NH4F)水溶液でエッチング加工することにより、そのラップ加工面の加工変質層を除去しかつ洗浄すると同時に、所望の厚さに調整する。これにより、前記ウエハ表面には、非常に細かい凹凸は存在するが光の乱反射が比較的少ない所謂梨地状の面(以下、梨地面という)が得られる。
【0004】
この場合のエッチング量は、前記加工変質層を除去するために、例えばGC#2000程度の砥粒で加工する場合、ウエハの片面につきそれぞれ約10μmまたはそれ以上が必要とされる。しかしながら、このようにNH4F水溶液によるエッチング量を多くすると、前記ウエハの表面には、図10に示すような水晶の結晶面の向きに対応した三角錘状のヒロックと呼ばれる突起3が多数発生し、エッチング時間に応じて大きく成長すると共にその数も増す。このため、ウエハ表面を均質な梨地面に維持することができず、後の工程で耐食膜をウエハ表面に形成して音叉形状にエッチング加工するのに十分な品質の表面粗さが得られなくなる。
【0005】
そこで従来は、次にシリカ、酸化セリウムなどのより微細な砥粒やエッチング液を混合した研磨剤を用いてポリッシング加工を行い、ヒロックを除去してウエハ表面を高品質の鏡面状に加工する。更にウエハを洗浄した後、弗酸とフッ化アンモニウムとの混合水溶液(以下、緩衝弗酸という)で軽くエッチングして(片面につきエッチング量約0.5〜1μm)、ポリッシング加工による加工歪みを除去し、かつ前記ウエハを最終的に所望の高品質な鏡面、平坦度及び厚さに仕上げる。その後、このウエハをリンスして仕上げし、汚れ、傷、クラックなどを検査する。これにより、後の音叉形状へのエッチング加工工程で、ウエハ表面とその上に成膜される耐食膜との間に十分な密着性が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の水晶の表面加工技術を用いた音叉型水晶振動片の製造方法は、ウエハ加工工程において、ウエハのポリッシング加工に要する時間が非常に長く、またNH4F水溶液によるエッチングでウエハの厚さが既に薄くなっているので、ポリッシングの際にウエハに割れや欠けなどの損傷を生じ易く、加工作業がデリケートかつ面倒で多大の労力が要求されると共に、歩留まりが低下し、製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水晶材料の表面を平滑に加工する場合に、該水晶材料の用途や使用条件などの要求に応じて、ポリッシング加工を行うことなく、しかもそれに見合うような、実質的にヒロックや微小突起が無い良好な表面粗さ及び平坦度を、簡単に得ることができる水晶の表面加工方法を提供することにある。
【0008】
更に、本発明の目的は、エッチング加工により水晶ウエハを所望の形状に成形する水晶片の製造方法において、ウエハ加工工程における従来のポリッシング加工を省略することができ、それによりウエハ加工に要する時間を短縮し、作業を簡単にしかつ労力を軽減し、歩留まりの向上及び製造コストの低減を図ることができ、しかも従来のポリッシング加工に見合うような、実質的にヒロックや微小突起が無い良好な表面粗さ、平坦度及び厚さに水晶片を加工することができる、簡単で安価な方法を提供することにある。特に、本発明は、音叉型水晶振動片の製造に好適な方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の水晶の表面加工方法は、上述した目的を達成するためのものであり、水晶材料の表面をラッピングする過程と、ラッピングした前記水晶材料の表面を弗酸でエッチングする過程とを含むことを特徴とする。
【0010】
弗酸は、NH4F水溶液と同様にエッチング剤として常温常圧下で水晶を溶解し得ることは周知である。NH4F水溶液及びNH4F系のエッチング液がエッチング面にヒロックを発生させ、かつこれがエッチング時間に応じて大きく成長するのに対し、弗酸は、エッチング面がエッチング量の多少によらず略一定の状態に維持されるという特徴がある。このため、本発明によれば、前記ラッピングによる水晶材料のラップ加工面を、弗酸エッチングにより凹凸が非常に細かく光の乱反射が比較的少ない梨地面にすることができ、しかもそのエッチング量によらず、常にヒロックのない略一定品質の良好な梨地面の状態を維持できる。従って、水晶材料のエッチング加工のみで、ラッピングによる加工変質層を除去し、該水晶材料の用途、使用条件などの要求に応じた高品質の平滑性を有する面状態が得られる。
【0011】
この弗酸による水晶材料表面のエッチング過程において、界面活性剤を添加した弗酸をエッチング液として使用すると、その表面張力が下がって、より均一なエッチング処理が行われ、全体としてより均質な面状態が得られるので好都合である。
【0012】
更に、本発明の水晶の表面加工方法は、弗酸による前記エッチング後に、水晶材料を緩衝弗酸により仕上げエッチングする過程を更に含むことを特徴とする。一般に弗酸によるエッチングでは、水晶材料のエッチング面に乳頭状の微小突起が発生し易く、梨地面の平滑性を損なう虞がある。そこで、緩衝弗酸によりヒロックが発生しない程度に軽い仕上げエッチングを行うことによって、前記微小突起を取り除き、かつ梨地面より更に平滑で高品質な所謂艶消し面を得ることができる。
【0013】
また、本発明によれば、所定寸法の水晶ウエハをラッピングする過程と、このラッピングした水晶ウエハを弗酸により所望の厚さにエッチングする過程と、この弗酸によりエッチングした水晶ウエハをエッチングにより所望の形状に成形する過程とを含むことを特徴とする水晶片の製造方法が提供される。
【0014】
ラッピングした水晶ウエハは、弗酸のエッチング加工のみにより、ラップ加工面からラッピングによる加工変質層を除去し、所望の厚さに調整すると共に、後の所望形状へのエッチング成形工程で要求される平滑性を満足する高品質の梨地面が得られる。この場合にも、弗酸による水晶ウエハのエッチング過程において、界面活性剤を添加した弗酸をエッチング液として使用すると、より均一なエッチング処理によってより均質な面状態が得られるので好都合である。
【0015】
また、ウエハ表面に、上述したような弗酸エッチングによる乳頭状の微小突起が発生すると、この水晶ウエハを後の成形工程でエッチングする際に、前記微小突起の部分が耐食膜やレジスト保護膜で十分に覆われず、そのためにエッチピットが発生する虞がある。本発明によれば、水晶ウエハを弗酸中で揺動させながらエッチングを行うと、前記微小突起の発生を抑制できるので好都合である。
【0016】
更に、本発明の水晶片の製造方法は、弗酸によりエッチングした前記水晶ウエハを、前記所望の形状に成形する前に、緩衝弗酸によりエッチングする過程を更に含むことを特徴とする。ヒロックが発生しない程度の緩衝弗酸による軽い仕上げエッチングを行うことによって、水晶ウエハの表面に生じた微小突起を取り除きかつ該ウエハ表面をより平坦に加工して、前記梨地面より更に平滑な艶消し面を得ることができる。
【0017】
好ましくは、弗酸によりエッチングした前記水晶ウエハを、前記緩衝弗酸による仕上げエッチングの前に洗浄する。これにより、弗酸によるエッチング後に水晶ウエハ表面に析出したり付着した異物や汚れを予め除去できるので、より一層高度な仕上げエッチングを効果的に行うことができる。特に、純水を用いた超音波洗浄を行うことにより、緩衝弗酸によるエッチングでも容易に除去できない微小な析出物や異物、汚れを水晶ウエハ表面から除去することができる。
【0018】
本発明によれば、このようにして所望の形状に成形した前記水晶ウエハの表面に、フォトリソグラフィ技術を用いて電極及び配線パターンを成膜することによって、水晶振動子、水晶センサ、水晶フィルタなどの水晶デバイスを構成する水晶素子片を得ることができる。特に、水晶ウエハを音叉形状に成形することによって、音叉型水晶振動子のための水晶振動片が得られる。
【0019】
水晶ウエハを音叉形状その他所望の形状にエッチング加工する場合、本発明によれば、上述した工程により得られた平滑な水晶ウエハ表面に成膜されるCr膜とその上に積層されるAu膜との2層構造の耐食膜を形成すると好都合である。更に、本発明によれば、前記耐食膜の上にフォトレジスト膜を厚く形成すると、ヒロックや微小突起の部分もフォトレジスト膜で十分に覆われて保護されることになり、前記エッチピットの発生を防止できるので好都合である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について添付図面を参照しつつ好適な実施例を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明による音叉型水晶振動片の製造工程の好適な実施例を示している。先ず、図9に関連して上述した従来の工程と同様に、人工水晶の原石を所定寸法・形状のブロックに切断し、面取り、研磨などにより外形を整えた後、例えばマルチブレードソーを用いて所定の板厚のウエハに切り出す。このときの水晶ウエハの板厚は、後のラッピング加工のための研磨代及びエッチング加工におけるエッチング量を考慮して決定する。次に、両面研磨機を用いて前記水晶ウエハの表面をラッピングし、粗い砥粒から徐々に細かい砥粒(例えば、GC#2000程度)に移行しながら、ウエハ切断時の加工層を取り除き、かつ所定のウエハ厚さ及び表面状態に加工する。このときに得られるすりガラス状の比較的粗い表面状態は、上述したようにラップ加工面と呼ばれる。
【0021】
本実施例によれば、前記ラッピング加工を終えた水晶ウエハは、洗浄した後に弗酸を用いて粗エッチングする。このとき、弗酸に僅かな量の界面活性剤を添加してエッチング液の表面張力を下げかつその温度を約45℃前後に調整すると、前記ウエハのラップ加工面を均一にエッチングすることができる。この粗エッチングにより、前記水晶ウエハの表面から加工変質層を除去しかつ更に該ウエハを所望の厚さに調整する。エッチング量は、前記ラッピング加工の際に生じた加工変質層が除去できるように設定され、通常例えばGC#2000の砥粒で加工した場合、片面につき約10μmまたはそれ以上が必要である。
【0022】
次に、本実施例では、前記ウエハ表面を洗浄した後、従来と同様に緩衝弗酸によりエッチングを行い、仕上げ加工する。特に水晶振動片の製造では、その性質上純水を用いた超音波洗浄が好ましい。別の実施例では、純水に代えてエタノール、イソプロピルアルコールなどを用いることができる。緩衝弗酸は、NH4F系のエッチング液であるので、エッチング量は、ヒロックが発生しないように片面につき数μm、例えば5μm程度が好都合である。
【0023】
弗酸が、上述したNH4F水溶液と同様に常温常圧下で水晶を溶解し得るエッチング剤であることは、当業者に周知である。前記粗エッチングにより得られるウエハの表面状態は、非常に細かい凹凸が存在する上述した梨地面であるが、従来のNH4F水溶液によるエッチングの梨地面よりも、幾分光の乱反射が少なく平滑で良好な面である。これは、NH4F水溶液によるエッチングの場合には、上述したようにエッチング時間に応じてヒロックが大きくなり、エッチング面の状態が粗くなるからである。これに対し、弗酸の場合には、エッチング面の状態がエッチング量の多少によらず略一定である。このため、前記粗エッチング加工において、そのエッチング量がウエハ毎に異なっても、常に略一定品質の面状態が得られ、しかもその得られた梨地面の状態を維持できる利点がある。
【0024】
しかしながら、弗酸によるエッチングの場合、水晶ウエハのエッチング面1に図2A、Bに示すような乳頭状の微小突起2が発生することがある。この微小突起2は、前記エッチング面に三角錘状に表れる水晶の結晶構造の頂点から突出するように形成される。このため、後の工程において音叉形状にエッチング加工するために耐食膜をウエハ表面に形成すると、この耐食膜が前記微小突起の部分では薄くなりまたは成膜しないために、この部分がエッチング液に浸食されて、ウエハ表面にエッチピットが発生する虞がある。本願発明者は、前記粗エッチングを弗酸中で水晶ウエハを揺動させながら行うと、前記微小突起の発生を抑制できることを確認した。
【0025】
更に、本発明によれば、弗酸による粗エッチング後に緩衝弗酸による仕上げエッチングを行うことによって、水晶ウエハの表面に生じた微小突起を取り除き、かつ該ウエハ表面をより平滑に加工することができる。これにより得られるウエハの表面状態は、従来のポリッシング加工による鏡面状程ではないが、前記梨地面から更に凹凸が減って光の乱反射がより少ない、後の音叉形状へのエッチング加工で要求される平滑度を十分に満足する所謂艶消し面である。
【0026】
特に本実施例では、緩衝弗酸による仕上げエッチングの前に水晶ウエハ表面を洗浄することにより、仕上げエッチングの際のウエハ表面に存在する微小な異物や汚れに起因する微小突起の発生が防止されることを、本願発明者は確認した。これは、弗酸による粗エッチング後にウエハ表面に析出したり付着した異物や汚れで、緩衝弗酸によっても容易に除去し得ない微小なものまでが除去されたからと考えられ、より確実により高品質で十分な平滑度の艶消し面が得られる。
【0027】
図3は、実際に図2の水晶ウエハに対して緩衝弗酸によりエッチング量1.0μmの仕上げエッチングを行った後の表面状態を示している。この時点では、前記微小突起が実質的に除去されてはいるが、平滑性は前記粗エッチング後の梨地面と略同程度で、それほど高くなっていない。図4は、更に緩衝弗酸で仕上げエッチングを続け、エッチング量が3.5μmになったときの表面状態を示している。前記微小突起は完全に解消し、かつ表面全体がより平滑になっている。小さなヒロックが若干発生しているとはいえ、実用上問題無い程度のものであり、後の音叉形状へのエッチング加工でエッチピットの発生原因になるような大きさのヒロックは、全く認められない。
【0028】
本願発明者は、緩衝弗酸で水晶ウエハをエッチングした場合に、そのエッチング量に対するウエハ表面の粗さを測定する実験を行った。図5は、エッチング量に対する表面粗さ即ち凹凸の最大値(Rmax )の変化を示し、図6は、同じくエッチング量に対する凹凸の平均値(Ra )の変化を示している。また、本願発明者は、緩衝弗酸でエッチングした水晶ウエハを後の工程で音叉形状にエッチング加工した場合に、そのエッチング量に対するエッチピットの発生を測定する実験を行った。図7は、エッチング量に対する単位面積(1mm2 )当たりのエッチピット数の変化を示している。これらの実験結果から、エッチング量が約1.5〜4μmの範囲で、凹凸が最も小さくなり、エッチピット数が最も少なくかつそのばらつきが最も小さくなり、好ましいことが分かった。
【0029】
このようにして前記粗エッチング加工及び仕上げエッチングを終えた水晶ウエハは、リンスによりエッチング液を洗い流した後、図8に示すような工程に従って音叉形状にエッチング加工する。先ず、ウエハ表裏両面にCr膜とAu膜とをスパッタリングにより積層して耐食膜を形成する。前記Cr膜及びAu膜は、真空蒸着により形成することもできる。次に、前記耐食膜の上にレジスト膜を塗布し、これをプリベークした後、フォトマスクを用いて表裏両面を同時に露光し、現像し、所定の温度でポストベークして、所定の音叉形状にパターニングする。このレジスト膜を保護膜として前記耐食膜をエッチングし、前記音叉形状にパターニングする。本発明によれば、前記レジスト膜を耐食膜上に通常より厚く、例えば約1〜2μmの膜厚に形成すると好都合である。これにより、次の工程で水晶ウエハを音叉形状にエッチングする際に、前記ヒロックや微小突起の部分における前記Cr膜及びAu膜が厚いレジスト膜で保護されるので、エッチピットの発生が防止される。
【0030】
次に、弗酸をエッチング液として前記水晶ウエハをエッチングし、音叉形状に形成する。更に、ウエハ上に残存する前記レジスト膜、Cr膜及びAu膜を剥離し、洗浄すると、所望の音叉形状を有する水晶ウエハが得られる。最後に、前記音叉形状の各素子片にCr層とAu層とをスパッタリングにより成膜して電極膜を形成し、従来と同様にフォトリソグラフィ技術を用いて所定の電極及び配線パターンを形成する。このようにして得られた各水晶振動片は、ハーメチック端子からなるプラグにマウントされ、周波数調整を行った後に、円筒形の金属ケース内に真空封止されて、音叉型水晶振動子が完成する。
【0031】
以上、本発明についてその好適な実施例を用いて詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において上記実施例に様々な変形・変更を加えて実施することができる。また、当然ながら、本発明は、音叉型水晶振動子だけでなく、縦振動水晶振動子や水晶発振器、水晶センサ、水晶フィルタなどの各種水晶デバイスの製造において、フォトリソグラフィ技術を用いて水晶ウエハをエッチング加工により所望の形状に成形して、水晶片を製造する場合に、同様に適用することができる。更に本発明は、水晶を材料として、その用途に応じて、上述したヒロックや微小突起のない高品質の表面加工が必要とされる様々な分野に応用することができる。弗酸によるエッチング後で緩衝弗酸による仕上げエッチング前に行う洗浄は、水晶の加工条件、用途などにより、上述した純水の超音波洗浄以外に、純水を水晶表面に、必要に応じて衝撃的に、吹き付ける方法など、様々な洗浄方法を用いることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明の水晶の表面加工方法によれば、ラッピング加工した水晶材料に、弗酸によるエッチング加工を行うことによって、更にポリッシング加工を施すことなく、ラッピングによる加工変質層を除去すると共に、ヒロックのない平滑な梨地面が得られる。更に、必要に応じて、弗酸によるエッチング後に、緩衝弗酸による仕上げエッチングを行うことによって、ヒロック及び弗酸エッチングにより発生する乳頭状の微小突起を解消し、より平滑な艶消し面が得られる。このように水晶材料の用途、使用条件などの要求に応じて、これを満足する面状態を比較的簡単に得ることができるので、表面加工に要する時間の大幅な短縮、労力の軽減、及びコストの低減を達成することができる。
【0033】
また、本発明の水晶片の製造方法によれば、水晶ウエハのラッピング加工後に、従来のNH4F水溶液に代えて、弗酸により所望の厚さにエッチングすることによって、従来のポリッシング加工を省略することができ、水晶ウエハのエッチング加工のみで、ラッピングによる加工変質層を除去し、所望の厚さに調整すると同時に、後で所望の音叉形状などへのエッチング加工に要求される平滑度を満足する表面が得られるので、ウエハ加工に要する時間を大幅に短縮し、その作業を簡単にしかつ労力を軽減し、歩留まりの向上及び製造コストの低減を図ることができる。
【0034】
更に本発明によれば、弗酸でエッチング加工した水晶ウエハを緩衝弗酸でヒロックが発生しない程度にエッチングして仕上げ処理を行うことにより、又は洗浄した後に前記仕上げ処理を行うことにより、弗酸エッチングにより得られた梨地面をより平坦に加工することができ、後の所望形状へのエッチング工程でウエハ表面にエッチピットが発生するのを防止できるので、歩留まりをより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により水晶ウエハを加工する工程を示すフロー図である。
【図2】A図は弗酸による粗エッチング後の水晶ウエハの表面状態を3500倍に拡大した写真、B図はその表面状態を側方から模した図である。
【図3】図2の水晶ウエハに対して緩衝弗酸によりエッチングを1.0μm行った後の表面状態を3500倍に拡大した写真である。
【図4】図2の水晶ウエハに対して緩衝弗酸によりエッチングを3.5μm行った後の表面状態を3500倍に拡大した写真である。
【図5】ウエハの緩衝弗酸によるエッチング量に対する表面粗さの最大値(Rmax )の変化を示す線図である。
【図6】ウエハの緩衝弗酸によるエッチング量に対する表面粗さの平均値(Ra )の変化を示す線図である。
【図7】ウエハの緩衝弗酸によるエッチング量に対する単位面積当たりのエッチピット数の変化を示す線図である。
【図8】図1の工程に継続して、本発明の方法により水晶ウエハに音叉形状を形成する工程を示すフロー図である。
【図9】従来の水晶ウエハを加工する工程を示すフロー図である。
【図10】A図はNH4F水溶液による粗エッチング後の水晶ウエハの表面状態を3500倍に拡大した写真、B図はその表面状態を側方から模した図である。
【符号の説明】
1 エッチング面
2 微小突起
3 突起(ヒロック)
Claims (11)
- 水晶材料の表面をラッピングする過程と、ラッピングした前記水晶材料の表面を弗酸でエッチングする過程と、弗酸によりエッチングした前記水晶材料の表面を緩衝弗酸により1.5〜4μmのエッチング量でエッチングする過程とを含むことを特徴とする水晶の表面加工方法。
- 弗酸による前記エッチング過程において、界面活性剤を添加した弗酸をエッチング液に使用することを特徴とする請求項1記載の水晶の表面加工方法。
- 所定寸法の水晶ウエハをラッピングする過程と、ラッピングした前記水晶ウエハを弗酸により所望の厚さにエッチングする過程と、弗酸によりエッチングした前記水晶ウエハを緩衝弗酸により1.5〜4μmのエッチング量でエッチングする過程と、緩衝弗酸によりエッチングした前記水晶ウエハをエッチングにより所望の形状に成形する過程とを含むことを特徴とする水晶片の製造方法。
- 弗酸によりエッチングした前記水晶ウエハを、前記緩衝弗酸によりエッチングする前に、洗浄する過程を更に含むことを特徴とする請求項3記載の水晶片の製造方法。
- 前記洗浄が純水を用いた超音波洗浄であることを特徴とする請求項4記載の水晶片の製造方法。
- 弗酸による前記エッチング過程において、弗酸中で前記水晶ウエハを揺動させながらエッチングを行うことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか記載の水晶片の製造方法。
- 弗酸による前記エッチング過程において、界面活性剤を添加した弗酸をエッチング液に使用することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか記載の水晶片の製造方法。
- フォトリソグラフィ技術を用いて、前記所望の形状に成形した前記水晶ウエハの表面に電極及び配線パターンを成膜することを特徴とする請求項3乃至7のいずれか記載の水晶片の製造方法。
- 前記所望の形状が、音叉型水晶振動片の音叉形状であることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか記載の水晶片の製造方法。
- 前記水晶ウエハを前記所望の形状に成形する前記過程において、前記水晶ウエハ表面に成膜されるCr膜とその上に積層されるAu膜とからなる耐食膜を形成する過程を含むことを特徴とする請求項3乃至9のいずれか記載の水晶片の製造方法。
- 前記水晶ウエハを前記所望の形状に成形する前記過程において、前記耐食膜の上に厚いフォトレジスト膜を形成することを特徴とする請求項10記載の水晶片の製造方法。
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