JP3665769B2 - セル分割型燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アウトドア、行楽、家庭用あるいは事務機器等の電源、発電機としてさまざまな用途に使用することができ、軽くて静かな無公害の固体高分子型電池を用いた薄型にされたセル分割型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、一般に、水素を主燃料とし、この水素が酸素と化学反応した時のエネルギーとして取り出すものである。そして、燃料電池にはいくつかの種類があるが、その一つとして、固体高分子電解質型燃料電池がある。この固体高分子電解質型燃料電池は、運転温度が低く、また出力密度が高いという特性を有している。
【0003】
このような従来の固体高分子型燃料電池を用いた燃料電池の一例として、米国特許第5,595,834号明細書、あるいは本願出願人の先願である特許出願第2001−66109号に記載されているものがある。そのようなものとして、図に示すように、固体高分子電解質膜12の両面にアノード(燃料極)13aおよびカソード(酸素極)13bの両電極を備え、酸素極13bに隣接して酸素流路板18を備えていて、それらの両側に配置されたセパレータ板34によって一体にされることにより単セル10を形成し、この単セル10を複数個積み重ねている。なお、セパレータ板に発電した電力を取り出すための端子が設けてあるものを集電板35a、35bとする。さらに、燃料極13aに連通された親水性合繊糸のスリーブからなる燃料分配マニホルド32を単セル10の中央孔を通して備え、スリーブの中心を通されるタイ・ボルト26の両端にエンドプレート24をさらに設けることによって挟み、ワッシャ、Oリング36を介してナット40,50によって一体に締付固定した構造を有したものがある。このような燃料電池は、低パワーの燃料電池に適しているために、小型で軽量のものとすることができる。
【0004】
また、この高分子電解型燃料電池では、酸素極13aへ一方のナット40の中心部から燃料が供給され、燃料分配マニホルドの親水性スリーブ32を通して分配されるような構成にされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の固体高分子電解質型燃料電池の用途として、小型機器などの電源とするために、高電圧、低電流の特性をもちながら、さらに小型、薄型化する必要があった。
【0006】
高電圧を得る必要がある場合には、セルを多く積み重ねる必要があり、燃料電池の薄型化が困難となる。その用途として事務機器等の電源とするには、高電圧で、低電流を得る必要があり、セル部の形状を小さくする必要があり、外形の形状が小さくなると、燃料である水素の供給が中心軸部分から行われるために、製作上困難を伴うものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、小型で軽量化することによる製造上の問題も解決することができるセル分割型燃料電池を提供することを目的とするものである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、薄型にすることにより高電圧、低電流の小型機器に対応することができるセル分割型燃料電池を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第一の手段によるセル分割型燃料電池は、高分子電解質膜の同一面において互いに電気的に絶縁された複数の区画が形成されていることを特徴とする。
【0010】
この第一の手段によれば、以下のような作用を奏する。
(1)第一の手段による複数の区画がそれぞれ単セルとして機能するので、各区画が高電圧、低電流を得ることができる単セルとして機能し、従来の単セルの大きさのままで得ることができ、その分同一面に位置する単セルを増やすことによりセル部自体の個数を減らすことができ、薄型の電池とすることができる。
【0011】
(2)また、高電圧、低電流の燃料電池とすることは、燃料分配マニホルドを中心部において燃料を供給する単セルにおいて、従来のままでは高分子電解質膜、燃料極、酸素極、セパレータ板等の面積を小さく、かつ多数の単セルを設ける必要があったが、本発明の同一面のセル部に単セルを複数個設けることにより、製作上の問題を解消することができる。
【0012】
本発明の第二の手段は、高分子電解質膜の一方側に隣接した燃料極とセパレータ板および他方側に順次隣接した酸素極と、酸素流路板とセパレータ板が互いに電気的に絶縁された複数の区画に分割されて形成されていることを特徴とする。
【0013】
この第二手段により、
(3)高分子電解質膜を除く、燃料極、酸素極、酸素流路板、セパレータ板が分割されているので、分割されたそれぞれの区画部分が単セルとして機能するために、必要に応じたサイズにすることで、高電圧、低電流の性能の電池が容易に得られる。
【0014】
さらに、本発明の第三の手段は、燃料極とセパレータ板を電気絶縁材料からなるアウターシールによって、そして、酸素極と酸素流路板とセパレータ板を電気絶縁材料からなるインナーシールによってそれぞれの区画に分割されていることを特徴とする。
【0015】
(4)この第三の手段により各区画が互いに電気絶縁材料からなるシールによって分割されているので、シールを従来のインナーシールおよびアウターシールを外方および内方に延長させて境界部に挿入することによって作られる各区画が単セルとして確実に予め設定された機能で作用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るセル分割型燃料電池の分解された状態を示す斜視図であり、そして、図2は、従来の燃料電池と本発明によるセル分割型燃料電池との性能を比較するための線図である。このセル分割型燃料電池は、水素等の燃料を使用した固体高分子型燃料電池と称されるものであり、他の構成部材より大きな直径を有する厚さ0.3mmのステンレス製のセパレータ板であるセパレータ板34の間に、厚さ0.05mmのパーフルオロカーボンスルフォン酸ポリマー材からなる固体高分子電解質膜12、この固体高分子電解質膜12の両側に配置されるシート状のカーボン素材からなり厚さ0.5mm、内径15mm、外径45mmの寸法を有する燃料極13a、厚さ0.5mm、内径19mm、外径55mmの寸法を有する酸素極13b、この酸素極13bの外側に配置される厚さ3.5mm、内径19mm、外径55mmの寸法を有するカーボン素材板からなる酸素流路板18、燃料極13aの外周部を密封するためのEPDMのような合成ゴムからなる幅5mmの環状をした電気的絶縁性を有するアウターシール16、および酸素極13bと酸素流路板18との内周部を密封するEPDMのような幅2mmの寸法を有する同時に電気的な絶縁性を有するインナーシール22によって分割されたセル部10を含むものである。
【0018】
上記のような燃料電池において、固体高分子膜12を挟んで、両側面において複数の分割された区画が形成され、水素が供給される燃料極13a側は、この燃料極13aとセパレータ板34aとが4分割され、分割された部分の境界部分にはアウターシール16からの延長部分である一体のシールが電気絶縁材として維持するように挿入されている。一方、酸素極13b側の面においては、燃料極13aと対応するように、酸素極13b、酸素流路板18およびセパレータ板34bが4分割されていて、分割された部分のそれぞれの境界にはインナーシール22から延長する電気絶縁材からなるシールが挿入されて区画を形成している。このように4分割された燃料極13a、酸素極13b、酸素流路板18、セパレータ板34bは、同一面に配置されてセル部10を形成し、それぞれ分割された区画が単セルとして機能し、高電圧、低電流の出力性能を有することができる。
【0019】
上記のような実施の形態では、主として燃料は水素であり、酸素は空気中の酸素であって、空気として送られるものである。また、固体高分子電解質膜12は、化学反応のための触媒を被着したものである。以下に、燃料の供給は説明されるが、ナット40,50を利用して供給することができるが、図1に示すように、タイ・ボルト26の中心に設けられた連通孔を介して直接供給することもできる。
【0020】
このように構成されたセル部10には、一体にするために、中央部分が開口されていて、直径6mm、適宜の長さの寸法を有するタイ・ボルト26がその外側に芳香族ポリアミド:ケブラー(KEVLAR)(商品名)からなる親水性合成繊維糸によって軸線方向に配置された燃料分配マニホルドを包囲して取り付けられて貫通されている。そして、セル部10の最も外側のセパレータ板34a,34bとエンドプレート24a,24bとの間にEPDMのような合成ゴム製のエンドガスケット28a,28bが挟まれており、タイ・ボルト26の両端部に切られたねじに対してステンレス製のナット40、50がエポキシ樹脂製の厚さ10mm、内径15mm、外径55mmの寸法を有するエンドプレート24a、24bのそれぞれに対向してねじ込まれ、セル部10を一体に固定することができる。
【0021】
このようなセル部10を一体にするための一方のナット40は、従来例を示す図3に示すように、中心部に中空孔42が形成され、その反対側には軸線方向中央部まで内ねじ46が切られていて、タイ・ボルト26をねじ込むことができるとともに、内ねじ46の外側には、燃料の流路44が少なくとも2箇所設けられ、中空孔42と連通されていて、燃料分配マニホルドへの燃料供給を可能にする燃料供給孔をなしている。そして、エンドプレート24aに接する面には、Oリング36が嵌め込まれる円形状の溝48が形成されている。
【0022】
また、他方のナット50は、図3に示すように、一方のナット40と同様に、タイ・ボルト26の端部ねじがねじ込まれるようにほぼ軸線方向中央部分までは内ねじ56が切られ、その半径方向外側には燃料分配マニホルドへの連通孔54が形成されている。内ねじ56の軸線方向反対側には始動時に残留した空気をワンタッチ操作でパージすることによって燃料のチャージが可能となるステンレス製のブリーダバルブ52が取り付けられ、連通孔54を介して燃料分配マニホルド、燃料極13aへの燃料の給排を行うことにより充填を補助することができる。そして、エンドプレート24bに接する面には円形状溝58が形成され、Oリングが嵌め込まれている。
【0023】
また、燃料分配マニホルド32は、燃料の供給と発生した水の吸収保持のために、筒状のハウジングの両端に設けたフランジに、親水性の合成繊維糸を係止することにより筒体表面上に張り渡して軸線方向に配置して形成されたものである。
【0024】
上記のような構成を有するセル分割型燃料電池は、以下のように組み立てることができる。
【0025】
まず、タイ・ボルト26の一端に一方のナット40を予め取り付けた状態で、好ましくは垂直に立てた状態で、燃料分配マニホルド32を被せるように取り付ける。このように燃料分配マニホルド32を被せたタイ・ボルト26が燃料電池の中心軸を構成する。
【0026】
この中心軸に対して、最も外側のエンドプレート24a、エンドガスケット28aが順次その中心孔に挿入されて準備され、セル部10を構成するように、4分割されたセパレータ板34a、燃料極13aの半径方向外側に位置するとともに半径内方向に延長して分割された境界部分に挿入されるシール部分16’を有するアウターシール16、4分割された燃料極13a、固体高分子電解質膜12、4分割された酸素極13b、酸素極13bの半径方向外側に延長するシール部分22’が4分割部分の境界部分に挿入されるインナーシール22、4分割された酸素流路板18、そしてセパレータ板34bがそれぞれ一体にされて、一体にされたそれらの中心孔に挿入されて順次積み重ねることによって組み立てられる。このとき、セパレータ板がエンドガスケット28a、28bと接する位置にある場合、それぞれ集電板35a、35bとなる。
【0027】
その際に、セパレータ板34a,34bは、燃料極13a、酸素極13bおよび酸素流路板18と同様に分割されていて、それぞれ分割部分34a’、34b’が燃料極13a、酸素流路板18の分割された区画部分13a’、18’に対向して配置されるように位置されて組み立てられる。
【0028】
この後、もし必要であれば,次のセル部10のために、前の単セル10の最後のセパレータ板34bに対して、前のセル部10と同様に、燃料極13a、酸素極13aの半径方向外側に位置するアウターシール16、燃料極13a、固体高分子電解質膜12、酸素極13b、インナーシール22、酸素流路板18、およびセパレータ板34が中心軸に挿入された状態で分割された部分を一平面上に組み立てられる。このセル部10は、セル分割型燃料電池の規定の出力に応じた数だけ順次繰り返されて、積み重ねられて組み立てられてもよい。
【0029】
最後に、最も外側の単セル10のセパレータ板34に対してエンドガスケット28bを挟んで、エンドプレート24bがその中心孔に中心軸が通されて積み重ねられる。この単セル10の積層体にされたスタックは、所定の圧力、例えば、約15MPa、で押さえられる。この状態で、中心軸のタイ・ボルト26の端部のねじにブリーダバルブ52を取り付けた他方のナット50がねじ込まれて、スタックの全体を所定トルク、例えば、6.8Nm、で締め付けて固定する。
【0030】
以上のように組み立てられた燃料電池には、セル分割型燃料電池として、一方のナット40に水素発生装置等からの燃料が供給されるようにチューブ等がさらに接続される。水素等の燃料は、図3に示す一方のナット40の燃料供給孔をなす中空孔42、燃料流路44を通って燃料分配マニホルド32に供給され、タイ・ボルト26に沿った燃料分配マニホルドによって、セル部10の4分割された燃料極13aの各々の内端部に送られる。燃料極13aは、区画を形成するように分割されたシート状のカーボン素材からなるために、その多孔性の材料の空隙を通して、特別に燃料流路板を設けることなく半径方向に送ることができ、そして外周部および各区画をアウターシール16、そこから半径内方向に延びるシールによって密封しているので、固体高分子電解質膜12へ供給するように送ることができる。この固体高分子電解質膜12の反対側には、酸素極13bと酸素流路板18が同様に分割された部分が対向して設けられているので、酸素流路板18の多孔性材料の空隙によって外側から空気が送られ、空気中の酸素が酸素極13bの分割された区画部分に供給される。
【0031】
このようにして、固体高分子電解質膜12の両側に送られた燃料と酸素は、そこで化学反応して燃料極が陰極となり、酸素極が陽極となって、図1に示すように集電板35a’、35b’間を結線されて、出力され発電作用を行う。その際、燃料極13a、酸素極13bは、4分割されて区画されているので、単セルとなる1区画部分の面積に応じた電池としての出力を得ることができ、高電圧、低電流の出力として半導体を使用した電子機器にも対応した電池として提供することができる。その特性は、図2のグラフに示すように、本発明による4分割3セルの燃料電池と、従来の分割されていない3セルの燃料電池の電圧対電流の出力特性によって明らかにされる。
【0032】
また、その際の水和作用により、水の発生、発熱を伴うが、発生した水は、燃料分配マニホルドにおいて、親水性合成繊維糸に吸収されるため、燃料分配マニホルドにおいて発生した水が溜まって燃料極13aへの燃料の供給を阻止することはない。また、発生した熱によって水が蒸発して、大気中へ放散される。また、セパレータ板34は、他の構成部材より半径が大きな寸法を有しているので、発生した熱を放熱するように他の構成部材より突出した部分を放熱フィンとして機能させることができる。
【0033】
なお、上記実施例の各構成部材における寸法および分割数は、それらに限定されるものではなく、一例に過ぎないことは言うまでもなく、用途に応じて、要求される出力に応じて、決定されるものである。また、燃料である水素のセル部10への供給は、図3のナット40を介してもよく、図1に示すタイ・ボルト26を介して供給されてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るセル分割型燃料電池は、以上説明した構成により以下のような効果を奏する。
上記のセル分割型燃料電池においては、単セルが高分子電解質膜の両面において燃料極と、酸素極および酸素流路板とがそれぞれセパレータ板とともに複数の区画に分割されているので、電池としての出力が単セルとして分割された部分の特性として、高電圧、低電流のものとして得られ、事務機器等の小型機器の電源として薄型の燃料電池を得ることができるという優れた効果がある。
【0035】
また、単セルの部品数が少なくなるだけでなく、燃料と酸素の反応区画が従来の酸素極、燃料極等を分割することにより得られるので、高電圧、低電流の出力特性の燃料電池が容易に製作することができ、セルを多く積み重ねることなく薄型の燃料電池を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態によるセル分割型燃料電池の分解斜視図である。
【図2】 図1に示すセル分割型燃料電池の出力特性を示すグラフである。
【図3】 従来の固体高分子型電解質膜燃料電池の分解説明図である。
【符号の説明】
10 単セル
12 固体高分子電解質膜
13a 燃料極
13a’ 分割部分
13b 酸素極
13b’ 分割部分
16 アウターシール
16’ シール部分
18 酸素流路板
18’ 分割部分
22 インナーシール
22’ シール部分
24a、24b エンドプレート
26 タイ・ボルト
28、28a、28b エンドガスケット
32 燃料分配マニホルド
34、34a、34b セパレータ板
34’ 、34a’、34b’ セパレータ板の分割部分
35a、35b 集電板
35a’、35b’ 集電板の分割部分
36 Oリング
40 ナット
42 中空孔
44 燃料流路
46 内ねじ
48 円形状溝
50 ナット
52 ブリーダバルブ
54 連通孔
56 内ねじ
58 円形状溝

Claims (2)

  1. エンドプレート、該エンドプレートの2つの間に位置されるセル部、該セル部の中心部に位置されてそこへの燃料を供給するための燃料分配マニホルド、これらの部材を一体にするために前記燃料マニホルドおよび前記セル部の中心部を通される一本のタイ・ボルト、および該タイ・ボルトの両端部に螺着されてOリング等を介してエンドプレート間に前記セル部を一体に締め付けるための固定用ナットを有する空気吸い込み式燃料電池であって、
    前記セル部が、高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の両側に対向して設けられた酸素極および前記燃料分配マニホルドからの燃料が供給される燃料極と、前記酸素極側に隣接した空気吸い込みによって酸素を供給するための酸素流路板と、該酸素流路板の外側および前記燃料極側の外側に隣接して設けられたセパレータ板とを含み、
    前記高分子電解質膜の一方側に隣接した前記燃料極と前記セパレータ板および他方側に順次隣接した前記酸素極と前記酸素流路板と前記セパレータ板が互いに電気的に絶縁された複数の区画に分割されて形成されていることを特徴とするセル分割型燃料電池。
  2. 前記燃料極と前記セパレータ板が電気絶縁材料からなるアウターシールによって、そして、前記酸素極と前記酸素流路板と前記セパレータ板が電気絶縁材料からなるインナーシールによってそれぞれの区画に分割されていることを特徴とする請求項1または2に記載されたセル分割型燃料電池。
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