JP3666936B2 - にじみ防止用処理剤及びこれを含有する塗布容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用可能性】
本発明は、織物や不織布といった布、および紙類等の繊維よりなる板状物に油性マーカー、水性マーカー、墨汁等で筆記したときの筆跡のにじみ、裏抜けを簡易に防止する処理剤とそれを好適に適用できる塗布容器に充填されてなる処理具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、織物や不織布といった布、および紙類で、特にその表面ににじみ防止の表面処理をしていない物に、油性マーカー、水性マーカー等で筆記した場合、筆記時筆跡のにじみが大きくなり、小さな文字を記入することが、実際上不可能になることがあった。
【0003】
紙類には、にじみ止めのサイジングを施されたものも多いが、特に布類はこのにじみが大きく、筆記描線に耐水性や、速乾性があることから、学童の下着等の布用品に対する名前書き等には、油性インクを使用したマーカーを使用することが多く、一部名前書き用ペンとしても存在するが、これらは確かに耐水性や、洗濯時の色落ち等において工夫はなされているが、種々な布に対するにじみだけは充分に防止できず、満足できるものではなかった。
【0004】
また、布についても、名前書き用の布の小片も販売されているが、これは、例えば布表面ににじみ防止処理が予めなされ、適当に切ってアイロン等で衣類に張り付けるタイプのものである。
しかし、これらの多くのものは、布自体にごわつく感があり、肌に触れるような場所には不適当である等、張り付ける場所を選択する必要があり、また、その手間が煩雑で、かつそれ自体高価である。さらにこれらは、その強いにじみ防止処理により、油性マーカーのインク自体ののりが悪く、鮮明な筆記描線が得られない、色落ちしやすい等の問題点がある。
【0005】
また、紙類は比較的にじまないが、空孔や繊維類の多い、また薄い一部の紙は水性マーカー、油性マーカーどちらもにじむし、またにじみが殆ど問題ない程度であっても、いわゆる筆記描線の裏抜け等が発生し、例えば、辞書等に蛍光ペン等でマーキングした場合等の問題点がある。
【0006】
特開昭60−195169号公報には、マーキングインクに反応性を有する線状シリコーン重合体と分枝状シリコーン重合体との混合物またはこれらの反応生成物を0.05〜10重量%を添加してなるマーキングインク組成物が開示されている。
この分枝状シリコーン重合体はR1aR3bSiO0.5単位(R1は水素原子、炭素数1〜5の非置換または置換1価炭化水素基、水酸基、ハロゲン原子以外の加水分解可能な基、アミノ基またエポキシ基を含む炭化水素基から選択される同種または異種の原子または基であり、R3はアミノ基、またはエポキシ基を含有する炭化水素基、aは0〜3、bは0〜3、a+b=3)とSiO2単位とのモル比が0.5〜2.0:1であるシリコーン樹脂であり、実施例には(OH)3SiO0.5単位37モル%、SiO2単位63モル%からなるシリコーン樹脂を縮合反応させて得た重合体が記載されている。
このマーキングインク組成物は、その上に記載した場合に、はじかれ易いシリコーンまたはフッ素樹脂を含有する成形品表面上にマーキングを施して、はじかれたり、描線をこすった時とれたりすることのないマーキングインクであって、塗膜を形成するものであるから、当然分子量も大きいシリコーン樹脂である。
【0007】
特開平4−325576号公報には、着色剤と溶剤に造膜用樹脂として、シリコーン系粘着剤を添加した油性インキが開示されている。
これも、表面張力が低く、濡れ性が悪い材料の表面に対して、密着性の優れたマーキングペンなどに使用される油性インキである。
このシリコーン系粘着剤としては
〔(CH3)3SiO1/2〕X・〔SiO2〕Y
と通常のシリコーンオイルまたはガム成分とを混合または部分的に縮合したものであるが、造膜用樹脂であるから、当然分子量は大きく、実施例では、上記一般式において、X=19,Y=25で示されるシリコーンレジンが例示されているる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、種々の布類および紙類の筆記描線のにじみを、その場で簡易に防止するにじみ防止処理剤液およびその処理剤を含んだ塗布具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来の問題点を解決するため鋭意研究を行った結果、トリメチルシロキシ珪酸を有機溶剤に溶解した液がにじみ防止効果にすぐれ、又エチルアルコールなど無害な溶剤にも溶解し得るなど優れた性質を有することを見い出し本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は有機溶剤とトリメチルシロキシ珪酸とを少なくとも含む液をにじみ防止用途に用いることを特徴とする処理具であり、これを以下に列記するような種々の形態の塗布容器に充填せしめ、例えば、中綿に含浸させて、フェルトや合成繊維を樹脂でかためたものやプラスチック成型体などで作られたペン体と称される筆記ないし塗布部分と接触させるか、内部タンクに充填して、流出を開放、閉止するバルブを介してペン体に接触させたり、スプレー塗布器に連結してスプレーすることによって筆記具のインク等のにじみを防止するための筆記具インクにじみ防止用処理具を提供する。
【0011】
本発明で使用するトリメチルシロキシ珪酸(英名 Trimethylsiloxysilicate)は、シロキサン構造を主骨格とした架橋構造をもつ化合物で
〔(CH3)3SiO1/2〕X・〔SiO2〕Y
X:1〜3
Y:0.5〜8
これは、白色粉末で、例えば信越化学工業(株)のX−40−2134などがこれに相当する。
【0012】
前記トリメチルシロキシ珪酸の一般式で、X、Yが大きくなると、溶剤への溶解性が低下してくる。特に安全な溶剤であるアルコール類への溶解性が悪くなり、溶解粘度も高くなる。
本発明のトリメチルシロキシ珪酸を添加する目的は、前記公知文献のように造膜してはじかれ易い塗布面にマーキンクをするためではなく、にじみ防止用途に用いるものであるから、トリメチルシロキシ珪酸の一般式のX:1〜3、Y:0.5〜8と極めて低分子のものである。従って、このトリメチルシロキシ珪酸の20重量%エタノール溶液の粘度は約2cp〔コーンプレート型粘度計ELD{東京計器(株)製}〕と低い。
後記の実施例1では1cp、実施例2でも2.5cpである。
【0013】
このように本発明の溶液は粘度を低く調製できるので、素早く布、紙類に浸透する。そして、この液を本発明の塗布用容器に収容し、塗布部であるペン体を被塗布面にふれるだけで素早く浸透させることができる。
このような特性をもたせるためには、にじみ防止処理剤液の粘度を30cp以下に調製することがのぞましく、特にマーキングペン型塗布容器に収容する場合は、10cp以下がより好適である。
【0014】
本発明のトリメチルシロキシ珪酸では、X:1〜3、Y:0.5〜8であるため、有機溶剤に素早く溶解するため、一般の油性マーカー類で処理面上を筆記して、油性マーカーのペン先にトリメチルシロキシ珪酸が付着してもペン先を目詰まりさせることもない。
また、本発明のトリメチルシロキシ珪酸ではX:1〜3、Y:0.5〜8であるため。ほとんど僅かな粘着性しかなく、従って塗布面にほこり等が付着することもなく、また、布の場合、洗濯等で簡単に除去できる。この際、本発明の処理塗布面は、完全に被覆しているわけではないので、マーカーの描線は繊維ににじむことなく固着しており、洗濯堅牢性を損なうことはない。
【0015】
前記有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、トルエン、キシレン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の芳香族および炭化水素系溶剤、揮発性シリコーンオイル等が使用できる。
これら有機溶剤は前記トリメチルシロキシケイ酸を溶解するものであればよく、さらに布、紙類に塗布後、速やかに揮発するものが望ましい。特に好ましい溶剤としては、この処理剤は、家庭や事務所等の一般的な場所で使用を目的とするため、揮発性、低臭性、低毒性であるアルコール系溶剤で、エチルアルコールを主溶剤とする事が望ましい。
【0016】
上記に示したトリメチルシロキシケイ酸の使用量は、処理剤液全量に対して1〜20重量%添加する事が望ましい。1重量%より少ないと本発明の目的とするにじみ防止処理剤液としての機能が達成されず、また、20重量%より多く使用してもその機能に変化が少なく、むだである。
そして、このトリメチルシロキシケイ酸は上記のような処理剤液全量に対し必要量添加しても処理剤液の粘度は低粘度であるため、布・紙類に速やかに浸透する。
【0017】
またこれらの成分のほかに、トリメチルシロキシケイ酸の布、紙類への一時的な定着性を補助する前記有機溶剤に可溶な樹脂を必要に応じて添加しても良い。またその他、この処理剤液を塗布するための容器の必要に応じて、ペン先耐乾燥性向上のための添加剤、防腐剤、防黴剤、湿潤剤、粘度調節剤、凍結安定剤、消泡剤、界面活性剤など種々の添加剤を適宜選択して使用することもできる。
【0018】
請求項3,4,5に記載の発明は、容器自体は一般のマーキングペンに使用され公知のものであるが、内部に、にじみ防止用処理剤を含有させて、にじみ防止処理用途のみに使用することに特徴がある。
即ち、前記にじみ防止用処理剤液を塗布容器に含有させたにじみ防止用処理具であることを要旨とする。
にじみ防止用処理具のために供される塗布容器の態様として、塗布部として少なくともペン体部品構成を持つマーキングペン型塗布容器が挙げられる。
ここでペン体とはフェルトや合成繊維を樹脂でかためたものや、プラスチック成型で作られたもの、繊維を束ねたものや、樹脂に気泡をもたせ、その気泡の間に塗布液がにじみ出るものなどがある。(文研社発行「現代筆記具読本188〜189頁参照」)
【0019】
本発明に利用可能な塗布容器としては、いわゆるマーキングペンなどの筆記具に使用されているマーカー類のペン体同様のものをペン先として先端にとりつける。
筆記用マーキングペンと同様に布類、紙類のマーキングの際の細かい部分に、このにじみ防止処理剤液を塗布でき、また塗布する際には、前記にじみ防止処理剤液は溶媒として有機溶剤を使用しているので、ペン先を布類、紙類の処理部位にあてるだけで、ペン体に含まれているにじみ防止処理剤液が速やかに布類、紙類に浸透するため、処理部位を何度も塗布するような操作が少なくなり、にじみ防止処理を家庭や事務所等の一般的な場所で簡単に操作できる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項3の塗布容器のにじみ防止処理剤液貯蔵部が中綿で構成されているものであり、これによれば、筆記具と同様に塗布を繰り返し行う際にペン体に順次にじみ防止処理剤液が供給されるため、手軽ににじみ防止処理ができる。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項3の塗布容器のにじみ防止処理剤液が貯蔵タンクに入れられ、その塗布液の流出を開放、閉止するバルブおよびペン体とで少なくとも構成されているものである。バルブを開放させれば、ペン体に多量のにじみ防止処理剤液が流れるので、例えば厚地の布等のにじみ防止処理には必要充分な量がたやすく確保され、手軽ににじみ防止処理ができる。
【0022】
請求項6記載の発明は、にじみ防止処理剤液をスプレー塗布する塗布器で構成され、スプレー容器ポンプ部につながる部位を手で押圧して内容液を出す、いわゆる霧吹きのようなもの、あるいは、プロペラント用ガスを内蔵したスプレー容器等(公知の物でよい)に充填してなる。このスプレー式のにじみ防止用処理具を用いると、にじみ防止処理剤液を、布、紙類の広範囲に塗布できるので、例えば色紙等の広範囲のにじみ防止処理には好適である。
【0023】
また、このにじみ防止処理剤液および、その処理剤液を含んだにじみ防止処理具の使用方法としては、処理の必要な部位に前記にじみ防止処理剤液を塗布し、乾燥後、一般に市販されている筆記具マーカー類で名前等を記載する。
【0024】
【作用】
本発明に係るにじみ防止処理剤液の防止作用は詳しくは、定かではないが、以下のように推察する。
筆記具のインクが、布・紙類でにじむ要素として、その熱力学的なぬれに加え、時間の要素と、インクの粘度、そして筆記対象物の表面の凹凸・隙間等によりそのぬれやすさ、ぬれにくさが拡大されるという事より、本処理剤液はその表面被覆効果と適度な撥水性により、にじみが防止されると考えられる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により更に詳細に説明する。本発明はこの実施例によって何等限定されるものではない。実施例中に部とあるものは重量部を示す。
尚このにじみ防止処理剤液の調製は、従来知られている撹拌機を用いて撹拌混合する事によって得られる。
(実施例1)
トリメチルシロキシケイ酸 10.0部
(X−40−2134:信越化学工業(株)製)
メチルシクロヘキサン 90.0部
【0026】
(実施例2)
トリメチルシロキシケイ酸 7.0部
(X−40−2134:信越化学工業(株)製)
ポリビニルピロリドン 1.0部
(K−30:BASF)
エチルアルコール 89.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
実施例1の液を中綿を使用した容器(油性マーカーA−50:三菱鉛筆(株)製)に充填した。
実施例2の液をペン芯−バルブ−インクタンクの構成の容器(uniポスカPC−5M:三菱鉛筆(株)製)に充填した。
【0027】
布(綿100%)と辞書用紙に実施例1,2の液をそれぞれの容器で塗布し、乾燥した処理部分と未処理部分に各種筆記具で文字を書き、その描線状態のにじみ程度および紙の場合は裏抜け度合いを観察した。
その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
本発明のにじみ防止用処理剤を布、紙などに油性マーカー、水性マーカー、墨汁等で筆記した時、筆跡のにじみや裏抜けをおこし易い多孔質表面に予め塗布、散布しておくことで、にじみ、裏抜けを簡易に防止することができる。種々の形態の塗布容器に充填させた本発明のにじみ防止用処理具を用いることにより、必要最小限の個所ににじみ防止処理をしたり、大きな表面全体ににじみ防止処理したりが任意に実施できる。
Claims (5)
- 次式
〔(CH3)3SiO1/2〕X・〔SiO2〕Y
X:1〜3,Y:0.5〜8
で表されるトリメチルシロキシ珪酸および有機溶剤とを少なくとも含んでなることを特徴とする紙類用あるいは布用の、筆記具のインクのにじみを防止するための耐筆記具インクにじみ防止用処理剤。 - 塗布部として少なくとも先端にペン体部品を有するマーキングペン型の塗布容器に、請求項1に記載のにじみ防止用処理剤が充填されてなることを特徴とする、筆記具のインクのにじみを防止するためのにじみ防止用処理具。
- 塗布部として少なくとも先端にペン体部品を有するマーキングペン型の塗布容器に、請求項1に記載のにじみ防止用処理剤が中綿に含浸されて充填されてなることを特徴とする、筆記具のインクのにじみを防止するためのにじみ防止用処理具。
- 請求項1に記載のにじみ防止用処理剤を入れておくための貯蔵タンク、及び該処理剤の流出を開放、閉止するバルブが更に具えられてなることを特徴とする、請求項2に記載の筆記具のインクのにじみを防止するためのにじみ防止用処理具。
- スプレー式の容器に請求項1に記載のにじみ防止用処理剤が充填されてなり、噴霧により塗布できることを特徴とする、筆記具のインクのにじみを防止するためのにじみ防止用処理具。
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| JP10871195A JP3666936B2 (ja) | 1995-05-02 | 1995-05-02 | にじみ防止用処理剤及びこれを含有する塗布容器 |
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|---|---|
| JPH08302330A JPH08302330A (ja) | 1996-11-19 |
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|---|---|---|---|---|
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