JP3670890B2 - 密閉型回転圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気調和機或いは冷凍機などに搭載される密閉型回転圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種密閉型回転圧縮機100を図14〜図16を用いて説明する。各図において、101は密閉容器であり、内部の上側に電動要素として電動機(例えばDCブラシレスモータ)102、下側にこの電動機102で回転駆動される圧縮要素103が収納されている。密閉容器101は、上端が開口する円筒状のシェル部101Aと、このシェル部101Aの上端開口を閉塞するエンドキャップ部101Bとから成る2分割構成であり、シェル部101A内に電動機102および圧縮要素103を収納した後、エンドキャップ部101Bをシェル部101Aに被せ、高周波溶着などによって密閉することにより構成されている。また、この密閉容器101のシェル部101A内の底部がオイル溜まりBとなる。
【0003】
電動機102は、密閉容器101の内壁に固定された固定子104と、この固定子104の内側に回転軸106を中心にして回転自在に支持された回転子105とから構成されている。そして、固定子104は略ドーナッツ状の固定子鉄板を複数枚積層して構成された固定子鉄心174と、この固定子鉄心174の内周に形成された複数の歯部175・・・に分布巻方式にて装着され、回転子105に回転磁界を与えるための固定子巻線(駆動コイル)107とから構成されている。そして、この固定子鉄心174の外周面が密閉容器101のシェル部101Aの内壁に当接して固定されている。
【0004】
この場合、固定子鉄心174の外周面には複数の切欠176が形成されており、この切欠176はシェル部101Aの内壁から離間しており、そこに通路177を構成している。
【0005】
圧縮要素103は中間仕切板108で仕切られた第1のロータリー用シリンダ109及び第2のロータリー用シリンダ110を備えている。各のシリンダ109、110には回転軸106で回転駆動される偏心部111、112が取り付けられており、これら偏心部111、112は偏心位置がお互いに180度位相がずれている。
【0006】
113、114はそれぞれシリンダ109、110内を回転する第1のローラ、第2のローラであり、それぞれ偏心部111、112の回転でシリンダ内を回る。115、116はそれぞれ第1の枠体、第2の枠体であり、第1の枠体115は仕切板108との間にシリンダ109の閉じた圧縮空間を形成させ、第2の枠体116は同様に仕切板108との間にシリンダ110の閉じた圧縮空間を形成させている。また、第1の枠体115、第2の枠体116はそれぞれ回転軸106の下部を回転自在に軸支する軸受部117、118を備えている。
【0007】
119、120はカップマフラであり、それぞれ第1の枠体115、第2の枠体116を覆うように取け付られている。尚、シリンダ109とカップマフラ119は第1の枠体115に設けられた図示しない連通孔にて連通されており、シリンダ110とカップマフラ120も第2の枠体116に設けられた図示しない連通孔にて連通されている。121は密閉容器101の外部に設けられたバイパス管であり、カップマフラ120の内部に連通している。
【0008】
122は密閉容器101の上に設けられた吐出管であり、123、124はそれぞれシリンダ109、110へつながる吸入管である。また、125は密閉ターミナルであり、密閉容器101の外部から固定子104の固定子巻線107へ電力を供給するものである(密閉ターミナル125と固定子巻線107とをつなぐリード線は図示せず)。
【0009】
126は回転子105の回転子鉄心であり、厚さ0.3mm〜0.7mmの電磁鋼板から図15、図16の如き形状に打ち抜いた回転子用鉄板を複数枚積層し、お互いにかしめて一体に積層されている。
【0010】
この場合、回転子鉄心126の回転子用鉄板は、四極の磁極を構成する突極部128〜131が形成されるように電磁鋼板から打ち抜かれており、132〜135はそれぞれの突極部128〜131間に突極部が形成されるように設けられた凹状部である。
【0011】
141〜144は磁性体145(永久磁石)を挿入するためのスロットであり、各突極部128〜131に対応し、回転子鉄心126の外周側において、回転軸106の軸方向に沿って同心円上に穿設されている。
【0012】
また、146は回転子鉄心126の中心に形成され、回転軸106が焼バメされる孔である。147〜150は後述するかしめ用のリベット151・・が通される大きさと形状の貫通孔であり、各スロット141〜144の内側に対応して穿設されている。更に、161〜164は各貫通孔147〜150間に穿設されたオイル通路を形成するための風孔である。そして、各回転子用鉄板は複数枚積層した後、相互にかしめて一体化することにより回転子鉄心126を形成する。
【0013】
一方、磁性体145は、例えばプラセオジウム系磁石、若しくは表面にニッケルメッキを施したネオジウム系磁石等の希土類系磁石材にて構成されており、その外形は断面長方形状の全体としては矩形状とされている。そして、各スロット141〜144は、この磁性体145が挿入される大きさとされている。
【0014】
次に、166、167は回転子鉄心126の上下端に取り付けられる平板状の端面部材であり、ステンレスや黄銅等の非磁性材料により、略円盤状に成形されている。この端面部材166、167にも前記貫通孔147〜150に対応する位置に貫通孔が穿設されている。
【0015】
尚、172は端面部材166の上方に位置して回転子105に取り付けられた円盤状のオイル分離用のプレートであり、173はプレート172と端面部材166間に取り付けられたバランスウエイトである。
【0016】
係る構成で、電動機102の固定子104の固定子巻線107に通電されると、回転磁界が形成されて回転子105が回転する。この回転子105の回転により回転軸106を介してシリンダ109、110内のローラ113、114が偏心回転され、吸入管123、124から吸入された吸入ガスは圧縮される。
【0017】
圧縮された高圧のガスは前記連通孔を介してシリンダ109からカップマフラ119内に吐出され、このカップマフラ119に形成された図示しない吐出孔から密閉容器101内に吐出される。一方、シリンダ110からは前記連通孔を介してカップマフラ120に吐出され、バイパス管121を経て密閉容器101内に吐出される。
【0018】
吐出された高圧ガスは電動機102内の隙間を通過して吐出管122に至り、外部に吐出される。一方、ガス中にはオイルが含まれているが、このオイルは吐出管122に至るまでにプレート172などにより分離され、遠心力で外側に向かい、通路177などを経てオイル溜まりBに流下するものであった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の密閉型回転圧縮機100は電動機102の固定子104を構成する固定子巻線107が分布巻き方式であったため、図14に示す如くこの固定子巻線107は固定子鉄心174から上下に比較的大きく突出するかたちとなる。そのため、密閉容器101の上下寸法も拡大され、密閉型回転圧縮機100全体の寸法が大型化してしまう問題があった。
【0020】
また、固定子巻線107が分布巻き方式とされた固定子104内部の隙間は図15に示す如く狭くなるため、ここを上昇するガスの流速が速くなる。更に、回転子105の凹状部132〜135の上下端は端面部材166、167やプレート172によって塞がれてしまっているので、この凹状部132〜135もガス流速の緩和に寄与しない。
【0021】
このガス流速が速くなるとオイルが分離し難くなるため、吐出管122からオイルが流出し易くなる。更に、プレート172の外側で固定子巻線107が図14に示す如く高く起立することになるので、遠心力が作用してもオイルが通路177側に行き難くなり、これによってもオイル分離効果が低下する。
【0022】
そこで、従来では図14に示す如く固定子104の固定子巻線107から上方の密閉容器101内空間を大きく確保しなければならず、これによっても密閉型回転圧縮機100の大型化が促されてしまっていた。
【0023】
一方、オイル溜まりBへのオイルの流下を促進するためには、オイル戻り用の通路177を十分な寸法で形成しなければならないが、切欠176が大きくなると、固定子鉄心174の外周面と密閉容器101(シェル部101A)との当接面積が縮小され、固定子鉄心174が当接していない部分の密閉容器101の強度が低下する。そのため、切欠176において密閉容器101が内側に凹む変形が生じる問題もあった。そこで、切欠によらず固定子鉄心174の外周部に貫通孔を形成することも考えられるが、密閉容器101の内壁を伝わる場合に比して、オイルの流下が円滑に行われなくなる。
【0024】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、密閉型回転圧縮機の小型化を図りつつ、ガスからのオイルの分離を支障無く実現することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の密閉型回転圧縮機は、密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される回転圧縮要素とを収納して成るものであって、電動要素を、密閉容器の内壁に固定された固定子と、この固定子の内側において回転軸に回転自在に支持された回転子と、固定子を構成する固定子鉄心と、この固定子鉄心に形成された複数の歯部およびスロット部と、各歯部にスロット部を利用して直接巻回された固定子巻線とから成る磁極集中巻方式のモータにより構成構成すると共に、密閉容器内底部に回転圧縮要素を収納し、その上方に電動要素を配置して密閉容器の上壁に吐出管を取り付け、電動要素の固定子巻線の上端から密閉容器の上壁下面までの距離をL1、電動要素の固定子巻線の上下寸法をL2とした場合、
0.3≦L1/(L1+L2)≦0.6
の範囲に設定したことを特徴とする。
【0026】
請求項2の発明の密閉型回転圧縮機は、密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される回転圧縮要素とを収納して成るものであって、電動要素を、密閉容器の内壁に固定された固定子と、この固定子の内側において回転軸に回転自在に支持された回転子と、固定子を構成する固定子鉄心と、この固定子鉄心に形成された複数の歯部およびスロット部と、各歯部にスロット部を利用して直接巻回された固定子巻線とから成る磁極集中巻方式のモータにより構成すると共に、密閉容器は、電動要素と回転圧縮要素を収納した一端が開口するシェル部と、このシェル部の開口を閉塞するエンドキャップ部とから成り、電動要素の固定子の固定子鉄心の積厚をSH、この固定子鉄心からエンドキャップ部の端縁までの距離をTとした場合、
0.15<T/SH<0.5
の範囲に設定したことを特徴とする。
【0027】
請求項1の発明によれば、密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される回転圧縮要素とを収納して成る密閉型回転圧縮機において、電動要素を、密閉容器の内壁に固定された固定子と、この固定子の内側において回転軸に回転自在に支持された回転子と、固定子を構成する固定子鉄心と、この固定子鉄心に形成された複数の歯部およびスロット部と、各歯部にスロット部を利用して直接巻回された固定子巻線とから成る磁極集中巻方式のモータにより構成したので、係る磁極集中巻方式のモータの採用により、固定子鉄心からの固定子巻線の突出寸法が小さくなると共に、オイル分離効果も良好となる。これにより、オイル分離のための空間を密閉容器内に大きく確保する必要が無くなり、電動要素自体の小型化と合わせて密閉型回転圧縮機の全体寸法の縮小を図ることができるようになるものである。
【0028】
特に、密閉容器内底部に回転圧縮要素を収納し、その上方に電動要素を配置すると共に、密閉容器の上壁に吐出管を取り付け、電動要素の固定子巻線の上端から密閉容器の上壁下面までの距離をL1、電動要素の固定子の上下寸法をL2とした場合に、
0.3≦L1/(L1+L2)≦0.6
となるように各寸法を設定しているので、密閉容器からのオイル吐出量を従来同等としながら、密閉型回転圧縮機の高さ寸法を著しく縮小し、或いは、密閉型回転圧縮機の高さ寸法を従来同等としながら、オイル吐出量を著しく低減させることができるようになるものである。
【0029】
請求項2の発明によれば、密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される回転圧縮要素とを収納して成る密閉型回転圧縮機において、電動要素を、密閉容器の内壁に固定された固定子と、この固定子の内側において回転軸に回転自在に支持された回転子と、固定子を構成する固定子鉄心と、この固定子鉄心に形成された複数の歯部およびスロット部と、各歯部にスロット部を利用して直接巻回された固定子巻線とから成る磁極集中巻方式のモータにより構成したので、係る磁極集中巻方式のモータの採用により、固定子鉄心からの固定子巻線の突出寸法が小さくなると共に、オイル分離効果も良好となる。これにより、オイル分離のための空間を密閉容器内に大きく確保する必要が無くなり、電動要素自体の小型化と合わせて密閉型回転圧縮機の全体寸法の縮小を図ることができるようになるものである。
【0030】
特に、密閉容器は、電動要素と回転圧縮要素を収納した一端が開口するシェル部と、このシェル部の開口を閉塞するエンドキャップ部とから成り、電動要素の固定子の固定子鉄心の積厚をSH、この固定子鉄心からエンドキャップ部の端縁までの距離をTとした場合、
0.15<T/SH<0.5
となるように各寸法を設定したので、コギングトルクが大きく、振動が大きくなりがちな磁極集中巻方式モータを採用した場合にも密閉容器自体の振動を抑制し、騒音を低下させることが可能となるものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用する圧縮機Cの縦断側面図である。この図において、1は密閉容器であり、内部の上側に電動要素として電動機2、下側にこの電動機2で回転駆動される圧縮要素3が収納されている。密閉容器1は、上端が開口する円筒状のシェル部1Aと、このシェル部1Aの上端開口を閉塞するエンドキャップ部1Bとから成る2分割構成であり、シェル部1A内に電動機2および圧縮要素3を収納した後、エンドキャップ部1Bをシェル部1Aに被せ、高周波溶着などによって密閉することにより構成されている。また、この密閉容器1のシェル部1A内の底部がオイル溜まりBとなる。
【0032】
電動機2は所謂磁極集中巻方式のDCブラシレスモータであり、密閉容器1の内壁に固定された固定子4と、この固定子4の内側に回転軸6を中心にして回転自在に支持された回転子5とから構成されている。そして、固定子4は図3に示す如く、略ドーナッツ状の固定子鉄板(珪素鋼板)を複数枚積層して構成された固定子鉄心74と、回転子5に回転磁界を与えるための固定子巻線(駆動コイル)7とから構成されている。
【0033】
この場合、固定子鉄心74の内周には6個の歯部75・・・が設けられており、これら歯部75の間に内方および上下に開放したスロット部78が形成され、歯部75の先端には回転子5の外面に沿うように拡開された先端部75Aが形成されている。そして、この歯部75にスロット部78の空間を利用して前記固定子巻線7を直接巻回することにより、所謂集中直巻方式によって固定子4の磁極を形成し、4極6スロットの固定子4を構成している。
【0034】
このような磁極集中巻方式のDCブラシレスモータを電動機2として採用したことにより、固定子巻線7が固定子鉄心74から上下に突出する寸法は従来(図14)に比して著しく縮小される。また、図3に示す如く固定子鉄心74のスロット部78の断面積も大きくなるため、図2に示す如く固定子4内部に構成される上下に貫通した隙間Gも従来(図15)に比して著しく拡大されたものとなっている。
尚、係る固定子4と密閉容器1の寸法関係については後に詳述する。
【0035】
そして、前記固定子鉄心74の外周面が密閉容器1のシェル部1Aの内壁に当接して固定されている。この場合、固定子鉄心74の外周面には円周を弦状に切り欠いた複数の切欠76(実施例では6箇所)が形成されており、この切欠76はシェル部1Aの内壁から離間し、そこに後述する如くオイル戻り用の通路77を構成している。
【0036】
一方、回転圧縮要素3は中間仕切板8で仕切られた第1のロータリー用シリンダ9及び第2のロータリー用シリンダ10を備えている。各のシリンダ9、10には回転軸6で回転駆動される偏心部11、12が取り付けられており、これら偏心部11、12は偏心位置がお互いに180度位相がずれている。
【0037】
13、14はそれぞれシリンダ9、10内を回転する第1のローラ、第2のローラであり、それぞれ偏心部11、12の回転でシリンダ9、10内を回る。15、16はそれぞれ第1の枠体、第2の枠体であり、第1の枠体15は仕切板8との間にシリンダ9の閉じた圧縮空間を形成させ、第2の枠体16は同様に仕切板8との間にシリンダ10の閉じた圧縮空間を形成させている。また、第1の枠体15、第2の枠体16はそれぞれ回転軸6の下部を回転自在に軸支する軸受部17、18を備えている。
【0038】
19、20はカップマフラであり、それぞれ第1の枠体15、第2の枠体16を覆うように取付られている。尚、シリンダ9とカップマフラ19は第1の枠体15に設けられた図示しない連通孔にて連通されており、シリンダ10とカップマフラ20も第2の枠体16に設けられた図示しない連通孔にて連通されている。そして、この実施例では下面のカップマフラ20内はシリンダ9、10、仕切板8を貫通する貫通孔79を介して上面のカップマフラ19に連通されている。
【0039】
22は密閉容器1の上に設けられた吐出管であり、23、24はそれぞれシリンダ9、10へつながる吸入管である。また、25は密閉ターミナルであり、密閉容器1の外部から固定子4の固定子巻線7へ電力を供給するものである(密閉ターミナル25と固定子巻線7とをつなぐリード線は図示せず)。
【0040】
26は回転子5の回転子鉄心であり、厚さ0.3mm〜0.7mmの電磁鋼板から図2、図3の如き形状に打ち抜いた回転子用鉄板を複数枚積層し、お互いにかしめて一体に積層されている。
【0041】
この場合、回転子鉄心26の回転子用鉄板は、四極の磁極を構成する突極部28〜31が形成されるように電磁鋼板から打ち抜かれており、32〜35はそれぞれの突極部28〜31間に突極部が形成されるように設けられた凹状部である。
【0042】
41〜44は磁性体45(永久磁石)を挿入するためのスロットであり、各突極部28〜31に対応し、回転子鉄心26の外周側において、回転軸6の軸方向に沿って同心円上に穿設されている。
【0043】
また、46は回転子鉄心26の中心に形成され、回転軸6が焼バメされる孔である。47〜50は後述するかしめ用のリベット51・・・が通される大きさと形状の貫通孔であり、各スロット41〜44の内側に対応して穿設されている。更に、61〜64は各貫通孔47〜50間に穿設されたオイル通路を形成するための風孔である。そして、各回転子用鉄板は複数枚積層した後、相互にかしめて一体化することにより回転子鉄心26を形成する。
【0044】
一方、磁性体45は、例えばプラセオジウム系磁石、若しくは表面にニッケルメッキを施したネオジウム系磁石等の希土類系磁石材にて構成されており、その外形は断面長方形状の全体としては矩形状とされている。そして、各スロット41〜44は、この磁性体45が挿入される大きさとされている。
【0045】
次に、66、67は回転子鉄心26の上下端に取り付けられる平板状の端面部材であり、ステンレスや黄銅等の非磁性材料の板材により構成され、固定子鉄心26と略同形状となるように、凹状部32〜35に対応する位置には切欠部81・・・が成形され、風孔61〜64に対応する位置にも同様の風孔82・・・が穿設されている(図5)。
【0046】
そして、この端面部材66、67にも前記貫通孔47〜50に対応する位置に貫通孔が穿設されている。
【0047】
尚、72は端面部材66の上方に位置して回転子5に取り付けられた円盤状のオイル分離用のプレートであり、73はプレート72と端面部材66間に取り付けられたバランスウエイトである(図4、図6参照)。
【0048】
係る構成で、電動機2の固定子4の固定子巻線7に通電されると、回転磁界が形成されて回転子5が回転する。この回転子5の回転により回転軸6を介してシリンダ9、10内のローラ13、14が偏心回転され、吸入管23、24から吸入された吸入ガスは圧縮される。
【0049】
圧縮された高圧のガスは前記連通孔を介してシリンダ9からカップマフラ19内に吐出され、このカップマフラ19に形成された吐出孔83、83(図7)から上方の密閉容器101内に吐出される。一方、シリンダ10からは前記連通孔を介してカップマフラ20に吐出され、貫通孔79を経てカップマフラ19内に入り、同様に吐出孔83、83から上方の密閉容器1内に吐出される。
【0050】
吐出された高圧ガスは図7に矢印で示す如く、電動機2の前記固定子4内の隙間Gや固定子鉄心74と回転子5との間の隙間、回転子鉄心26の凹状部32〜35、風孔61〜62および端面部材66、67の切欠部81・・・、風孔82・・・を通過して上昇する。そして、プレート72に当たり、遠心力で外側に向かい、ガスは吐出管22から吐出されると共に、オイルは通路77内を経て流下し、密閉容器1内底部のオイル溜まりBに帰還する。
【0051】
このように、電動機2内には固定子2内の比較的大きい隙間Gや回転子鉄心26の凹状部32〜35、風孔61〜62および端面部材66、67の切欠部81・・・、風孔82・・・が形成されているので、上昇するガスの流速は比較的低くなる。従って、ガスとオイルは分離し易い状態となる。
【0052】
また、磁極集中巻方式のモータであるため、固定子巻線7が固定子鉄心74から上方に突出する寸法は従来より低くなる。そのため、プレート72から外方に向かうオイルは固定子巻線7を容易に越え、密閉容器1の内壁に当たって通路77に向かうようになる。
【0053】
これらにより、オイル分離のための空間を密閉容器1内に大きく確保する必要が無くなり、電動機2自体の小型化と合わせて密閉型回転圧縮機Cの全体寸法の縮小を図ることが可能となる。
【0054】
ここで、図8は電動機2の固定子巻線7の上端から密閉容器1のエンドキャップ部1Bの上壁下面まで距離をL1、電動機2の固定子4の固定子巻線7の上下寸法をL2としたときに、L1/(L1+L2)を種々変更した場合における密閉型回転圧縮機1の全高Lと吐出管22からのオイル吐出量を示している。尚、各値は電動機としてACモータを使用した従来の密閉型回転圧縮機の全高Lを100、オイル吐出量を100とした場合の比率で表されている。
また、図中DCブラシレスモータとは前記図14に示した従来の密閉型回転圧縮機100の場合の各値を示している。
【0055】
この図から明らかな如く、固定子4よりも上方の密閉容器1内空間を縮小して行って、L1/(L1+L2)が0.3となると、全高LはACモータ密閉型回転圧縮機の77%まで縮小されるが、オイル吐出量は90%まで増大する(従来のDCモータ密閉型回転圧縮機100も90%である)。
【0056】
そして、逆に固定子4よりも上方の密閉容器1内空間を拡大して行って、L1/(L1+L2)が0.6となると、全高LはACモータ密閉型回転圧縮機のと同等となるが(100%)、オイル吐出量は8%まで激減する。
【0057】
そこで、実施例では0.3≦L1/(L1+L2)≦0.6となるように各寸法を設定している。これにより、密閉容器1からのオイル吐出量を従来同等としながら、密閉型回転圧縮機Cの高さ寸法を著しく縮小し、或いは、密閉型回転圧縮機Cの高さ寸法を従来同等としながら、オイル吐出量を著しく低減させることができるようになる。
【0058】
また、図8の最下段は、通路77の面積と隙間Gを加えた固定子4部分の全通路面積(上下に連通される通路面積)Xの密閉容器1の内周断面積Yに対する割合を示している。
即ち、X=通路77の面積+隙間Gの面積
Y=密閉容器1の内周断面積
図8の最下段の割合=X/Y×100(%)
【0059】
固定子4よりも上方の密閉容器1内空間を縮小していって全高Lの比率を77%まで縮小した場合、上記割合が3.8%以上5.5%以下であればオイル吐出量は従来と同等若しくは少なくなる(ACモータよりも少ない)。従って、実施例では上記割合を3.8%以上5.5%以下に設定している。
【0060】
特に、隙間Gの通路面積を通路77の面積よりも大きく設定しており、図2の例では隙間Gの面積は266.4平方ミリメートル、通路77の面積は246.0平方ミリメートルとしている。
【0061】
ここで、図9は回転子5の他の実施例を示している。この場合、回転子鉄心26にはカップマフラ19の吐出孔83、83の上方に対応する位置に、回転子鉄心26および端面部材66、67を上下に貫通する貫通孔84、84が形成されている。これにより、吐出孔83、83から吐出されたガスは図9に矢印で示す如く円滑に貫通孔61〜64に流入し、上昇できるようになるので、ガス流速を更に低下させてオイル分離性を一層改善することができるようになる。
【0062】
また、図10および図11は固定子4の他の実施例を示している。この場合、固定子鉄心74の外周面に6箇所形成された切欠76は各図に示す如く、その断面形状が固定子4の外周側で狭くくびれ、楕円状に内側が広くなった凹形状とされており、このくびれた部分以外の固定子鉄心74の外周面が密閉容器1のシェル部1Bの内壁に当接する構成とされている。
【0063】
これにより、切欠76内には断面形状が固定子4の外周側が狭く、内側が広くなる通路77が構成されることになるので、オイル戻りのための通路77の面積を広く確保しながら、固定子4と密閉容器1との当接面積を拡大できる。特に、一箇所の非当接部分の面積も縮小させられるので、密閉容器1が内側に凹むなどの不都合を未然に回避できる。
【0064】
尚、この場合、通路77はシェル部1Bの内壁に連通しているので、この内壁を伝ってオイルは円滑に流下できる。
【0065】
次に、図12は本発明の密閉型回転圧縮機Cの他の実施例を示している。この場合、密閉容器1には外部にバイパス管21が取り付けられており、このバイパス管21は貫通孔79と電動機2の下側の密閉容器1内空間とを連通している。これにより、カップマフラ20に吐出されたガスはバイパス管21にも流入するようになり、その上端出口から電動機2の下側に水平方向で吐出されるようになる。尚、図中図1と同一符号は同一若しくは同様の機能を奏するものであり、前記L1とL2の寸法関係も図1と同様に設定されているものとする。
【0066】
但し、この場合には図1に加えて固定子4の固定子鉄心74の積厚をSH、固定子鉄心74からエンドキャップ部1Bの下端縁(1BBで示す)までの距離をTとした場合、
0.15<T/SH<0.5
となるように各寸法が設定されている。
【0067】
ここで、磁極集中巻方式のモータはスロット部の数が少ないためコギングトルクが大きく、モータ振動も大きくなる。このモータ振動は密閉容器1に伝達され、騒音となって外部に伝わるが、前記固定子鉄心74からエンドキャップ部1Bの下端縁1BBまでの距離Tが大きくなるほど密閉容器1の振動は大きくなる。
【0068】
この様子は図13に示されている。即ち、前記距離Tが大きくなりT/SH=1となると音圧レベルが増大していることが分かる。従って、実施例の如き寸法範囲に設定することにより、密閉容器1自体の振動を抑制し、騒音を低下させることが可能となる。尚、騒音低減にはエンドキャップ部1Bの高さ寸法を拡張する方法もあるが、それでは密閉型回転圧縮機Cの高さ寸法が拡大されてしまうので採用できない。
【0069】
上記下限の0.15は構造上の実用範囲で決定したものである。また、係る寸法関係は図1の実施例においても当然に適用されているものである。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述した如く請求項1の発明によれば、密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される回転圧縮要素とを収納して成る密閉型回転圧縮機において、電動要素を、密閉容器の内壁に固定された固定子と、この固定子の内側において回転軸に回転自在に支持された回転子と、固定子を構成する固定子鉄心と、この固定子鉄心に形成された複数の歯部およびスロット部と、各歯部にスロット部を利用して直接巻回された固定子巻線とから成る磁極集中巻方式のモータにより構成したので、係る磁極集中巻方式のモータの採用により、固定子鉄心からの固定子巻線の突出寸法が小さくなると共に、オイル分離効果も良好となる。これにより、オイル分離のための空間を密閉容器内に大きく確保する必要が無くなり、電動要素自体の小型化と合わせて密閉型回転圧縮機の全体寸法の縮小を図ることができるようになるものである。
【0071】
特に、密閉容器内底部に回転圧縮要素を収納し、その上方に電動要素を配置すると共に、密閉容器の上壁に吐出管を取り付け、電動要素の固定子巻線の上端から密閉容器の上壁下面までの距離をL1、電動要素の固定子の上下寸法をL2とした場合に、
0.3≦L1/(L1+L2)≦0.6
となるように各寸法を設定しているので、密閉容器からのオイル吐出量を従来同等としながら、密閉型回転圧縮機の高さ寸法を著しく縮小し、或いは、密閉型回転圧縮機の高さ寸法を従来同等としながら、オイル吐出量を著しく低減させることができるようになるものである。
【0072】
請求項2の発明によれば、密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される回転圧縮要素とを収納して成る密閉型回転圧縮機において、電動要素を、密閉容器の内壁に固定された固定子と、この固定子の内側において回転軸に回転自在に支持された回転子と、固定子を構成する固定子鉄心と、この固定子鉄心に形成された複数の歯部およびスロット部と、各歯部にスロット部を利用して直接巻回された固定子巻線とから成る磁極集中巻方式のモータにより構成したので、係る磁極集中巻方式のモータの採用により、固定子鉄心からの固定子巻線の突出寸法が小さくなると共に、オイル分離効果も良好となる。これにより、オイル分離のための空間を密閉容器内に大きく確保する必要が無くなり、電動要素自体の小型化と合わせて密閉型回転圧縮機の全体寸法の縮小を図ることができるようになるものである。
【0073】
特に、密閉容器は、電動要素と回転圧縮要素を収納した一端が開口するシェル部と、このシェル部の開口を閉塞するエンドキャップ部とから成り、電動要素の固定子の固定子鉄心の積厚をSH、この固定子鉄心からエンドキャップ部の端縁までの距離をTとした場合、
0.15<T/SH<0.5
となるように各寸法を設定したので、コギングトルクが大きく、振動が大きくなりがちな磁極集中巻方式モータを採用した場合にも密閉容器自体の振動を抑制し、騒音を低下させることが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した一実施例の密閉型回転圧縮機の縦断側面図である。
【図2】 図1に示す密閉型回転圧縮機の平断面図である。
【図3】 図1に示す密閉型回転圧縮機の固定子鉄心と回転子鉄心の平面図である。
【図4】 図1に示す密閉型回転圧縮機の回転子の縦断側面図である。
【図5】 図1に示す密閉型回転圧縮機の回転子の下面図である。
【図6】 図1に示す密閉型回転圧縮機の回転子の上面図である。
【図7】 図1に示す密閉型回転圧縮機の電動機部分の拡大縦断側面図である。
【図8】 図1中のL1とL2を変化させた場合の密閉型回転圧縮機の全高とオイル吐出量の関係を示す図である。
【図9】 本発明の他の実施例の密閉型回転圧縮機の電動機部分の拡大断面図である。
【図10】 本発明のもう一つの実施例の密閉型回転圧縮機の平断面図である。
【図11】 図10に示す密閉型回転圧縮機の固定子鉄心と回転子鉄心の平面図である。
【図12】 本発明の更にもう一つの実施例の密閉型回転圧縮機の縦断側面図である。
【図13】 図12中のSHとTを変化させた場合の騒音値を示す図である。
【図14】 従来の密閉型回転圧縮機の縦断側面図である。
【図15】 図15に示す密閉型回転圧縮機の平断面図である。
【図16】 図15の密閉型回転圧縮機の固定子鉄心と回転子鉄心の平面図である。
【符号の説明】
C 圧縮機
1 密閉容器
1A シェル部
1B エンドキャップ部
2 電動機
4 固定子
5 回転子
6 回転軸
7 固定子巻線
26 回転子鉄心
32〜35 凹状部
66、67 端面部材
74 固定子鉄心
76 切欠部
77 通路
81 切欠部
Claims (2)
- 密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される回転圧縮要素とを収納して成る密閉型回転圧縮機において、
前記電動要素を、前記密閉容器の内壁に固定された固定子と、この固定子の内側において前記回転軸に回転自在に支持された回転子と、前記固定子を構成する固定子鉄心と、この固定子鉄心に形成された複数の歯部およびスロット部と、前記各歯部に前記スロット部を利用して直接巻回された固定子巻線とから成る磁極集中巻方式のモータにより構成すると共に、前記密閉容器内底部に前記回転圧縮要素を収納し、その上方に前記電動要素を配置して前記密閉容器の上壁に吐出管を取り付け、前記電動要素の固定子巻線の上端から前記密閉容器の上壁下面までの距離をL1、前記電動要素の固定子巻線の上下寸法をL2とした場合、
0.3≦L1/(L1+L2)≦0.6
の範囲に設定したことを特徴とする密閉型回転圧縮機。 - 密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される回転圧縮要素とを収納して成る密閉型回転圧縮機において、
前記電動要素を、前記密閉容器の内壁に固定された固定子と、この固定子の内側において前記回転軸に回転自在に支持された回転子と、前記固定子を構成する固定子鉄心と、この固定子鉄心に形成された複数の歯部およびスロット部と、前記各歯部に前記スロット部を利用して直接巻回された固定子巻線とから成る磁極集中巻方式のモータにより構成すると共に、前記密閉容器は、前記電動要素と前記回転圧縮要素を収納した一端が開口するシェル部と、このシェル部の開口を閉塞するエンドキャップ部とから成り、前記電動要素の固定子の固定子鉄心の積厚をSH、この固定子鉄心から前記エンドキャップ部の端縁までの距離をTとした場合、
0.15<T/SH<0.5
の範囲に設定したことを特徴とする密閉型回転圧縮機。
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