JP3673365B2 - アルカリ電池用セパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルカリ電池用セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、アルカリ電池の正極と負極とを分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起電反応を円滑に行なわせるために、正極と負極との間にセパレータが使用されている。
【0003】
近年、電子機器の小型軽量化に伴って、電池の占めるスペースも小さくなっているにもかかわらず、電池には従来と同程度以上の性能が必要とされるため、電池の高容量化が要求されている。そのためには、電極の活物質量を増やす必要があるため、必然的に前記セパレータの占める体積が少なくならざるを得ない。つまり、セパレータの厚さを薄くする必要がある。しかしながら、従来のセパレータを単純に薄くしたのでは電解液の保持性が悪くなったり、繊維のバラツキが生じやすいため、分割して線密度60μg/m以下程度の極細繊維を発生可能な分割繊維を使用し、湿式法により繊維ウエブを形成する(例えば、特開平7−29561号公報や特開平8−138645号公報)ことにより、電解液の保持性を向上させたり、繊維の分散性を向上させていた。このようなセパレータは電解液の保持性や繊維の分散性の点においては効果があるものの、電池(極板群構成)を製造する段階の張力によって破断したり、極板のバリがセパレータを突き抜けて極板同士でショートする場合があるため、歩留まりの悪いものであった。また、これら以外にも引き裂き強度や剛軟度が低いなどの問題があり、歩留まりのより悪いものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は分割繊維を使用し、繊維ウエブを湿式法により形成したものであり、安定して電池を製造できるアルカリ電池用セパレータを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のアルカリ電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」ということがある)は、物理的作用によりポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、又はエチレン−ブテン−プロピレン共重合体を1種類以上含むポリオレフィン系極細繊維のみを発生可能な分割繊維を45mass%以下と、単繊維強度が5g/d以上の高強度繊維、及び、該分割繊維構成樹脂成分及び該高強度繊維構成樹脂成分の融点よりも低い融点を有する樹脂成分を、少なくとも繊維表面に有する融着繊維を含む、湿式法により形成した繊維ウエブを、分割繊維の分割処理、繊維の絡合処理、及び該融着繊維の融着処理により形成した不織布を、親水化処理したものであり、該不織布構成繊維の平均繊維長が10mm以上のものである。
【0006】
このように、本発明のセパレータは構成繊維の平均繊維長が10mm以上と、従来よりも長く、分割繊維の分割処理を効率的に行なうことができるため、電解液の保持性に優れている。また、平均繊維長が長いため、絡合処理により高度に絡合でき、しかも高度に絡合した状態で融着繊維が融着しているため、引張強さ、引き裂き強度、及び剛軟度に優れ、安定して電池を製造することができる。また、高強度繊維を含んでおり、この高強度繊維も高度に絡合しているため、極板のバリがセパレータを突き抜けて極板同士でショートすることもない。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のセパレータを構成する不織布は電解液の保持性に優れるように、ポリオレフィン系極細繊維を含んでいる。このポリオレフィン系極細繊維は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体などの樹脂成分を1種類以上含んでいる。これらの中でも耐アルカリ性に優れているポリプロピレン極細繊維を含んでいるのが好ましい。
【0008】
なお、極細繊維の線密度は小さければ小さい程、電解液の保持性に優れ、しかもデンドライトの防止性に優れているため、45μg/m以下であるのが好ましく、ある程度の強度を有するように、1μg/m以上であるのが好ましい。より好ましい線密度は2.5μg/m〜35μg/mである。
【0009】
このようなポリオレフィン系極細繊維は、物理的作用により分割可能な分割繊維を分割することにより発生させることができる。この物理的作用としては、例えば、水流などの流体流、ニードル、カレンダー、或はフラットプレスなどがある。これらの中でも、流体流は後述の分割繊維の分割処理と絡合処理を同時に行なうことができるため、好適な物理的作用である。
【0010】
本発明で使用することのできる分割繊維としては、2種類以上の樹脂成分からなり、例えば図1〜図4に示すような、繊維断面がオレンジ状の繊維、図5に示すような、繊維断面が多重バイメタル型の繊維を使用できる。これらの中でも、どの方向から物理的作用を施しても分割しやすい、繊維断面がオレンジ状の繊維を好適に使用できる。
【0011】
この分割繊維は前述のように、2種類以上の樹脂成分からなるが、ポリオレフィン系極細繊維を発生する必要があることから、1種類はポリオレフィン系樹脂成分からなる。なお、本発明のセパレータはアルカリ電池用のものであるため、耐アルカリ性により優れるように、ポリオレフィン系樹脂成分のみからなる分割繊維を使用するのが好ましい。
【0012】
この分割繊維を構成する樹脂成分は、前述のポリオレフィン系極細繊維の樹脂成分の適当な組み合わせからなるのが好ましいが、特に、ポリエチレンとポリプロピレン(特に高密度ポリエチレンとポリプロピレン)とを組み合わせた分割繊維は、容易に紡糸して製造することができ、しかも物理的作用により容易に分割してポリエチレン極細繊維とポリプロピレン極細繊維とを発生させることができ、これら極細繊維は同一条件下における後述の親水化処理の程度が異なるため、電解液の保持分布状態が多少異なることにより、密閉型二次電池でガスが発生した場合であっても、速やかに他極に透過させることができるため、内部圧が上昇して破裂する危険がないので、好適な組み合わせである。
【0013】
本発明においては、不織布構成繊維の平均繊維長を10mm以上とすることにより、後述の分割繊維の分割処理を効率的に行なうと共に、絡合処理による絡合度を高くすることが可能になった。そのため、分割繊維の繊維長が5mm以上であれば、不織布構成繊維の平均繊維長を10mm以上とすることも可能であるが、分割繊維から発生する極細繊維も高度に絡合するように、分割繊維の繊維長は10mm以上であるのが好ましく、12mm以上であるのがより好ましく、14mm以上であるのが最も好ましい。なお、湿式法により均一な繊維ウエブを形成できるように、繊維長25mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましい。
【0014】
なお、本発明における平均繊維長とは、セパレータ(不織布)から無作為に選んだ100本の繊維の繊維長の平均値をいう。また、分割繊維の線密度は、前述のような線密度を有するポリオレフィン系極細繊維を発生できるのであれば、特に限定するものではない。
【0015】
このような分割繊維は電解液の保持性に優れるように、35mass%以上使用するのが好ましい。他方、後述の高強度繊維及び融着繊維の配合量との関係から、50mass%以下であるのが好ましい。より好ましい配合量は35〜45mass%である。
【0016】
本発明のセパレータは電池を製造する際に、極板のバリがセパレータを突き抜けて極板同士がショートしないように、単繊維強度が5g/d以上の高強度繊維を含んでいる。単繊維強度が5g/d未満ではショート防止効果がないためで、より好ましくは7g/d以上の高強度繊維を使用する。なお、この単繊維強度はJIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)によって測定した値をいう。
【0017】
この高強度繊維も耐アルカリ性に優れるように、前述のポリオレフィン系極細繊維と同様のポリオレフィン系樹脂成分(特にポリプロピレン)を、少なくとも繊維表面に含んでいるのが好ましい。この高強度繊維の線密度は、電解液の保持性を低下させないように、線密度40〜650μg/mであるのが好ましい。
【0018】
この高強度繊維は繊維長が5mm以上であれば、不織布構成繊維の平均繊維長を10mm以上とすることも可能であるが、高強度繊維自体も高度に絡合するように、高強度繊維の繊維長は10mm以上であるのが好ましい。なお、湿式法により均一な繊維ウエブを形成できるように、繊維長25mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましい。
【0019】
この高強度繊維はショート防止性に優れるように、30mass%以上含んでいるのが好ましい。他方、分割繊維及び後述の融着繊維の配合量との関係から、45mass%以下であるのが好ましい。より好ましい配合量は30〜40mass%である。
【0020】
本発明のセパレータは引張強さや剛軟度が向上するように、融着繊維も含んでいる。この融着繊維は分割繊維から発生する極細繊維による保液性や、高強度繊維の強度を低下させないように、分割繊維構成樹脂成分及び高強度繊維構成樹脂成分の融点よりも低い融点を有する樹脂成分(以下、「低融点成分」ということがある)を、少なくとも繊維表面に有する融着繊維を使用する。融着繊維を構成する低融点成分は、分割繊維構成樹脂成分及び高強度繊維構成樹脂成分のいずれの樹脂成分よりも、10℃以上低い、好適には15℃以上低い融点を有するのが好ましい。
【0021】
この融着繊維も耐アルカリ性に優れるように、前述のポリオレフィン系極細繊維と同様の樹脂成分1種類以上からなるのが好ましい。なお、分割繊維を構成する樹脂成分として、ポリエチレンとポリプロピレンとを含むのが好ましいため、この分割繊維を構成するポリエチレンとして高密度ポリエチレンを使用し、融着繊維の低融点成分として低密度ポリエチレンを使用するのが好ましい。なお、融着繊維は単一成分からなっていても良いし、2種類以上の樹脂成分からなるものであっても良いが、後者の方が、セパレータの引張強さをより向上させることができるため、好適に使用できる。この2種類以上の樹脂成分からなる場合、どのように配置していても良いが、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型のものを使用できる。
【0022】
この融着繊維の繊維長が5mm以上であれば、不織布構成繊維の平均繊維長を10mm以上とすることも可能であるが、融着繊維自体もより高度に絡合して融着できるように、融着繊維の繊維長は10mm以上であるのが好ましい。なお、湿式法により均一な繊維ウエブを形成できるように、繊維長25mm以下であるのが好ましく、25mm以下であるのがより好ましい。この融着繊維の線密度は電解液の保持性を低下させないように、100μg/m〜450μg/mであるのが好ましい。
【0023】
このような融着繊維は引張強さや剛軟度が向上するように、20mass%以上含んでいるのが好ましい。他方、分割繊維及び高強度繊維の配合量との関係から、35mass%以下であるのが好ましい。より好ましくは20〜30mass%である。
【0024】
本発明のセパレータは、上述のようなポリオレフィン系極細繊維、高強度繊維、及び融着繊維、更に場合により未分割の分割繊維を含むものであるが、必要であれば、これら繊維以外の繊維を含んでいても良い。この他の繊維も耐アルカリ性に優れるように、極細繊維を構成する樹脂成分と同様のポリオレフィン系の樹脂成分を1つ以上含む繊維であるのが好ましい。この他の繊維も絡合性に優れるように、また湿式法により均一な繊維ウエブを形成できるように、繊維長は10mm〜25mmであるのが好ましく、15mm〜20mmであるのがより好ましい。また、他の繊維の配合量は、分割繊維、高強度繊維、及び融着繊維の配合比率との関係から、15mass%以下である。
【0025】
本発明のセパレータは上述のような分割繊維、高強度繊維、及び融着繊維を含む繊維ウエブを、繊維が均一に分散するように、湿式法により形成する。この湿式法は従来公知の方法により形成できる。
【0026】
次いで、分割繊維の分割処理、繊維の絡合処理、及び融着繊維の融着処理により不織布を形成する。この分割処理、絡合処理、及び融着処理はどのような順序で行なっても良く、また、何度行なっても良い。例えば、分割処理、絡合処理、融着処理の順に行なっても良いし、融着処理、分割処理、絡合処理の順に行なっても良いし、融着処理、分割処理、絡合処理、融着処理の順に行なっても良い。本発明においては、湿式法により形成した比較的繊維長の短い繊維を使用しているため、個々の繊維の自由度が高く、分割処理及び絡合処理により、分割繊維の分割及び繊維の絡合が生じにくい傾向にあるため、融着処理を行なって繊維の自由度を低くした後に分割処理及び絡合処理を行なうのが好ましい。なお、分割処理と絡合処理とは別々に行なっても良いが、後述の流体流により処理する場合のように、分割処理と絡合処理を同時に行なうのが好ましい。
【0027】
本発明で適用できる分割処理としては、例えば、水流などの流体流、ニードル、カレンダー、或はフラットプレスなどがある。これらの中でも、流体流による分割処理は分割繊維の分割処理と繊維の絡合処理を同時に行なうことができるため、好適である。
【0028】
本発明で適用できる絡合処理としては、例えば、流体流、特に水流による処理がある。この流体流による絡合処理は繊維ウエブ全体を均一に絡合することができるため、好適である。
【0029】
この好適である流体流による分割及び絡合条件、又は絡合条件としては、例えば、ノズル径0.05〜0.3mm、ピッチ0.2〜3mmで一列又は二列以上にノズルを配置したノズルプレートから、圧力1MPa〜29MPaの流体流を噴出すれば良い。このような流体流は1回以上、繊維ウエブの片面又は両面に対して噴出する。なお、流体流で処理する際に、繊維ウエブを載置するネットや多孔板の非開孔部が太いと、得られる不織布も大きな孔を有するものとなり、短絡が生じやすくなるので、非開孔部の太さが0.25mm以下の支持体を使用するのが好ましい。
【0030】
本発明における融着処理としては、無圧下で行なっても良いし、加圧下で行なっても良いし、或は無圧下で融着させた後に加圧しても良いが、厚さを調整する意味で、同時又は融着後に加圧するのが好ましい。この融着装置としては、例えば、熱カレンダー、熱風貫通式熱処理器、シリンダ接触型熱処理器などがある。なお、加熱温度としては、加熱と加圧を同時に行なう場合には、融着繊維の低融点成分の軟化温度から融点までの範囲内の温度であるのが好ましく、加熱後に加圧を行なう場合には、融着繊維の低融点成分の軟化温度から融点よりも20℃以上高い温度までの範囲内で行なうのが好ましい。また、加圧条件としては、線圧力5〜30N/cmであるのが好ましい。
【0031】
このようにして形成した不織布は引張強さ、ショート防止性、引き裂き強度、及び剛軟度の優れるものであるが、耐アルカリ性に優れるように、ポリオレフィン系の繊維を主体としているため、電解液の保持性に優れるように、親水化処理を施して、本発明のセパレータを形成する。この親水化処理としては、例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合、界面活性剤処理、放電処理、或は親水性樹脂付与処理などがある。
【0032】
スルホン化処理としては、特に限定するものではないが、例えば、発煙硫酸、硫酸、三酸化イオウ、クロロ硫酸、又は塩化スルフリルなどによる処理がある。これらの中でも、発煙硫酸によるスルホン化処理は、反応性が高く、比較的容易にスルホン化できるため、好適である。
【0033】
フッ素ガス処理についても、特に限定するものではないが、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)で希釈したフッ素ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、及び二酸化硫黄ガスなどの中から選んだ少なくとも1種類のガスとの混合ガスによる処理を挙げることができる。なお、不織布に二酸化硫黄ガスをあらかじめ付着させた後に、フッ素ガスを接触させる方法は、より効率的で、恒久的な親水化処理方法である。
【0034】
ビニルモノマーのグラフト重合としては、ビニルモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、或いはスチレンを使用することができる。なお、スチレンをグラフト重合した場合には、電解液との親和性を付与するために、スルホン化するのが好ましい。これらの中でも、アクリル酸は電解液との親和性に優れているため、好適に使用できる。
【0035】
これらビニルモノマーの重合方法としては、例えば、ビニルモノマーと重合開始剤を含む溶液中に不織布を浸漬して加熱する方法、不織布にビニルモノマーを塗布した後に放射線を照射する方法、不織布に放射線を照射した後にビニルモノマーと接触させる方法、増感剤を含むビニルモノマー溶液を不織布に含浸した後に紫外線を照射する方法などがある。なお、ビニルモノマー溶液と不織布とを接触させる前に、紫外線照射、コロナ放電、プラズマ放電などにより、不織布表面を改質処理すると、ビニルモノマー溶液との親和性が高いため、効率的にグラフト重合できる。
【0036】
界面活性剤処理としては、例えば、アニオン系界面活性剤(例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸塩、もしくはスルホコハク酸エステル塩など)、又はノニオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、もしくはポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルなど)の溶液中に不織布を浸漬したり、この溶液を不織布に塗布、散布、又はコーティングして付着させることができる。
【0037】
放電処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、沿面放電処理、又は電子線処理などがある。
【0038】
親水性樹脂付与処理としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、架橋可能なポリビニルアルコール、又はポリアクリル酸などの親水性樹脂を付着させることができる。これらの親水性樹脂は適当な溶媒に溶解又は分散させた後、この溶媒中に不織布を浸漬したり、この溶媒を不織布に塗布、散布、又はコーティングし、乾燥して付着させることができる。なお、親水性樹脂の付着量は、通気性を損なわないように、セパレータ全体の0.3〜1mass%であるのが好ましい。
【0039】
この架橋可能なポリビニルアルコールとしては、例えば、水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールがあり、より具体的には、感光性基としてスチリルピリジニウム系のもの、スチリルキノリニウム系のもの、スチリルベンゾチアゾリウム系のもので置換したポリビニルアルコールがある。この架橋可能なポリビニルアルコールも他の親水性樹脂と同様にして不織布に付着させた後、光照射によって架橋させることができる。このような水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールは、耐アルカリ性に優れ、しかもイオンとキレート形成できる水酸基を多く含んでおり、放電時及び/又は充電時に、極板上に樹枝状の金属が析出する前のイオンとキレートを形成し、電極間の短絡を生じにくいので、好適に使用できる。
【0040】
このようにして得られる本発明のセパレータの面密度は30〜100g/m2、より好ましくは40〜80g/m2である。面密度が30g/m2未満であると、引張強さが不足する場合があり、100g/m2を越えると、厚さが厚くなり過ぎるためである。
【0041】
本発明のセパレータのたて方向(長さ方向)における引張強さは、電池(極板群構成)を製造する段階の張力によって破断しないように、80N/50mm以上であるのが好ましく、100N/50mm以上であるのがより好ましい。この引張強さは、幅50mmのセパレータを引張強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)に固定し(チャック間の距離100mm)、引張速度300mm/minで測定した値をいう。
【0042】
本発明のセパレータのたて方向における引き裂き強度は、電池(極板群構成)を製造する際に、極板等のエッジによりセパレータが引き裂かれるのを防ぐために、10N/50mm以上であるのが好ましく、20N/50mm以上であるのがより好ましく、25N/50mm以上であるのが最も好ましい。なお、この引き裂き強度はJIS L 1096-1990(一般織物試験方法、トラペゾイド法)により得られる値をいう。
【0043】
本発明のセパレータのたて方向における剛軟度は、電池(極板群構成)を製造する際に、セパレータの形状を保ち、極板とセパレータとが巻きずれを生じないように、10mg以上であるのが好ましく、15mg以上であるのがより好ましい。なお、この剛軟度はJIS L 1096(曲げ反発性、A法(ガーレー法))により得られる値をいう。
【0044】
このように、本発明のセパレータは電解液の保持性に優れるのはもちろんのこと、引張強さ、ショート防止性、引き裂き強度、剛軟度も優れているため、安定して電池を製造できるものである。なお、本発明のセパレータは、例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気電池などの一次電池、ニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池などの二次電池に使用できる。
【0045】
以下に、本発明のセパレータの実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
【実施例】
(実施例1)
分割繊維として、図3に示すような、ポリプロピレン成分(図中記号12、円形状で、線密度2.2μg/mのポリプロピレン極細繊維を(融点:160℃)1本発生可能、扇状で、線密度8.9μg/mのポリプロピレン極細繊維(融点:160℃)を8本発生可能)と、高密度ポリエチレン成分(図中記号11、線密度8.9μg/mの高密度ポリエチレン極細繊維(融点:130℃)を8本発生可能)とからなる、オレンジ状断面を有する、線密度144μg/m、繊維長15mmの繊維40mass%、高強度繊維として、単繊維強度9g/d、線密度222μg/m、繊維長10mmのポリプロピレン繊維(融点:160℃)35mass%、融着繊維として、芯成分がポリプロピレンからなり、鞘成分が低密度ポリエチレン(融点:110℃)からなる、線密度222μg/m、繊維長10mmの芯鞘型繊維25mass%とを混合分散させたスラリーを、常法の湿式抄造法により繊維ウエブを形成した。
【0047】
次いで、この繊維ウエブを125℃で熱処理することにより、融着繊維の低密度ポリエチレン成分のみを融着した。次いで、この融着した繊維ウエブを線径0.15mmのネット上に載置し、ノズル径0.13mm、ピッチ0.6mmのノズルプレートから圧力12.7MPaの水流を両面交互に2回づつ噴出して、分割繊維の分割、及び繊維を絡合した。その後、絡合した繊維ウエブを125℃で熱処理して、融着繊維の低密度ポリエチレン成分のみを再度融着し、不織布を形成した。更に、この不織布を線圧9.8N/cmでカレンダー処理した後、フッ素ガス、酸素ガス、及び二酸化硫黄ガスの混合ガスによりフッ素ガス処理を行い、面密度55g/m2、厚さ0.15mmのセパレータを形成した。
【0048】
(実施例2)
分割繊維として、繊維長が10mmであること以外は実施例1と同じ分割繊維を40mass%使用した。このこと以外は実施例1と全く同様にして、繊維ウエブの形成、融着繊維の融着、水流による分割繊維の分割及び絡合、融着繊維の再融着、カレンダー処理、及びフッ素ガス処理を行い、面密度55g/m2、厚さ0.15mmのセパレータを形成した。
【0049】
(参考例)
実施例1と同じ分割繊維、高強度繊維、融着繊維を、50:30:20の質量比で混合したこと以外は、実施例1と全く同様にして、繊維ウエブの形成、融着繊維の融着、水流による分割繊維の分割及び絡合、融着繊維の再融着、カレンダー処理、及びフッ素ガス処理を行い、面密度55g/m2、厚さ0.15mmのセパレータを形成した。
【0050】
(実施例3)
実施例1と全く同様にして形成した、面密度50g/m2の不織布に、下記の配合からなるアクリル酸モノマー水溶液を含浸した後、脱酸素条件下でポリプロピレン製の袋に入れて密閉し、不織布の両面に対して、110ワットの高圧水銀灯を2個づつ使用して、15cmの距離から1分間照射して、アクリル酸をグラフト重合した。次いで、このグラフト処理した不織布を線圧力9.8N/cmでカレンダー処理して、目付55g/m2、厚さ0.15mmのセパレータを得た。
【0051】
記
(アクリル酸モノマー水溶液の配合、重量%)
アクリル酸モノマー ・・・20.0
水 ・・・76.7
ベンゾフェノン ・・・ 0.2
ノニオン系界面活性剤 ・・・ 3.0
硫酸第1鉄 ・・・ 0.1
【0052】
(比較例1)
分割繊維として、繊維長が5mmであること以外は実施例1と同じ分割繊維を40mass%使用した。このこと以外は実施例1と全く同様にして、繊維ウエブの形成、融着繊維の融着、水流による分割繊維の分割及び絡合、融着繊維の再融着、カレンダー処理、及びフッ素ガス処理を行い、面密度55g/m2、厚さ0.15mmのセパレータを形成した。
【0053】
(比較例2)
高強度繊維として、単繊維強度4g/d、線密度222μg/m、繊維長10mmのポリプロピレン繊維(融点:160℃)を35mass%使用したこと以外は実施例1と全く同様にして、繊維ウエブの形成、融着繊維の融着、水流による分割繊維の分割及び絡合、融着繊維の再融着、カレンダー処理、及びフッ素ガス処理を行い、面密度55g/m2、厚さ0.15mmのセパレータを形成した。
【0054】
(たて方向における引張強さ)
実施例1〜3、参考例及び比較例1〜2のセパレータのたて方向における引張強さを、引張強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)に固定し(チャック間の距離100mm)、引張速度300mm/minで測定した。なお、セパレータの幅50mmにて測定した。この結果は表1に示す通りであった。
【0055】
【表1】
【0056】
(耐貫通指数)
実施例1〜3、参考例及び比較例1〜2のセパレータを各々重ねて、合計約2mmの厚さとし、その一番上のセパレータに対して、ハンディー圧縮試験機(カトーテック製、KES−G5)に取り付けられたステンレス製ジグ(厚さ:0.5mm、先端の刃先角度:60°)を、0.01cm/sの速度で垂直に突き刺し、一番上のセパレータを切断するのに要する力を測定した。この時、比較例2のセパレータを切断するために要する力を基準(100)とした時の、各セパレータを切断するために要する力の比率を、そのセパレータの耐貫通指数(%)とした。この結果は表1に示す通りであった。
【0057】
(たて方向における引き裂き強度)
実施例1〜3、参考例及び比較例1〜2のセパレータのたて方向における引き裂き強度を、JIS L 1096-1990(一般織物試験方法、トラペゾイド法)により測定した。この結果は表1に示す通りであった。
【0058】
(たて方向における剛軟度)
実施例1〜3、参考例及び比較例1〜2のセパレータのたて方向における剛軟度を、JIS L 1096(曲げ反発性、A法(ガーレー法))により測定した。この結果は表1に示す通りであった。
【0059】
(加圧保液率)
直径30mmに裁断した実施例1〜3、参考例及び比較例1〜2のセパレータをそれぞれ、温度20℃、相対湿度65%の状態下で、水分平衡に至らせた後、質量(M0)を測定した。次に、セパレータ中の空気を水酸化カリウム溶液で置換するように、比重1.3(20℃)の水酸化カリウム溶液中に1時間浸漬し、水酸化カリウム溶液を保持させた。次に、このセパレータを上下3枚づつのろ紙(直径30mm)で挟み、加圧ポンプにより、5.7MPaの圧力を30秒間作用させた後、セパレータの質量(M1)を測定した。そして、下記の式により、加圧保液率を求めた。なお、この測定は1つのセパレータに対して4回行ない、その平均を加圧保液率とした。この結果は表1に示す通りであった。
記
加圧保液率(%)=[(M1−M0)/M0]×100
【0060】
【発明の効果】
本発明のアルカリ電池用セパレータは、物理的作用によりポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、又はエチレン−ブテン−プロピレン共重合体を1種類以上含むポリオレフィン系極細繊維のみを発生可能な分割繊維を45mass%以下と、単繊維強度が5g/d以上の高強度繊維、及び、該分割繊維構成樹脂成分及び該高強度繊維構成樹脂成分の融点よりも低い融点を有する樹脂成分を、少なくとも繊維表面に有する融着繊維を含む、湿式法により形成した繊維ウエブを、分割繊維の分割処理、繊維の絡合処理、及び該融着繊維の融着処理により形成した不織布を、親水化処理したものであり、該不織布構成繊維の平均繊維長が10mm以上のものである。
【0061】
このように、本発明のセパレータは構成繊維の平均繊維長が10mm以上と、従来よりも長く、分割繊維の分割処理を効率的に行なうことができるため、電解液の保持性に優れている。また、平均繊維長が長いため、絡合処理により高度に絡合でき、しかも高度に絡合した状態で融着繊維が融着しているため、引張強さ、引き裂き強度、及び剛軟度に優れ、安定して電池を製造することができる。また、高強度繊維を含んでおり、この高強度繊維も高度に絡合しているため、極板のバリがセパレータを突き抜けて極板同士でショートすることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分割繊維の模式的な断面図
【図2】 本発明の他の分割繊維の模式的な断面図
【図3】 本発明の他の分割繊維の模式的な断面図
【図4】 本発明の他の分割繊維の模式的な断面図
【図5】 本発明の他の分割繊維の模式的な断面図
【符号の説明】
1 分割繊維
11 一成分
12 他成分
Claims (7)
- 物理的作用によりポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、又はエチレン−ブテン−プロピレン共重合体を1種類以上含むポリオレフィン系極細繊維のみを発生可能な分割繊維を45mass%以下と、単繊維強度が5g/d以上の高強度繊維、及び、該分割繊維構成樹脂成分及び該高強度繊維構成樹脂成分の融点よりも低い融点を有する樹脂成分を、少なくとも繊維表面に有する融着繊維を含む、湿式法により形成した繊維ウエブを、分割繊維の分割処理、繊維の絡合処理、及び該融着繊維の融着処理により形成した不織布を、親水化処理したものであり、該不織布構成繊維の平均繊維長が10mm以上であることを特徴とする、アルカリ電池用セパレータ。
- 不織布を構成する各繊維の繊維長が、いずれも10mm以上であることを特徴とする、請求項1記載のアルカリ電池用セパレータ。
- 分割繊維がポリエチレンとポリプロピレンからなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のアルカリ電池用セパレータ。
- 高強度繊維を30〜40mass%含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のアルカリ電池用セパレータ。
- 分割繊維が高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなり、融着繊維の分割繊維構成樹脂成分及び高強度繊維構成樹脂成分の融点よりも低い融点を有する樹脂成分が低密度ポリエチレンからなることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のアルカリ電池用セパレータ。
- 融着繊維を20〜35mass%含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のアルカリ電池用セパレータ。
- 分割処理及び絡合処理後に融着繊維の融着処理を実施することを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のアルカリ電池用セパレータ。
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