JP3677800B2 - 移動体の走行制御方法及び走行制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自動倉庫に備えられたスタッカクレーンなどの移動体を走行制御させる移動体の走行制御方法及び走行制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば特公平4−27127号公報には、自動倉庫において、スタッカクレーンの走行時の速度パターンをその移動距離に応じて決定し、その速度パターンに合致するようにスタッカクレーンを走行させる走行制御方法が開示されている。この走行制御方法では、図9に示す速度パターンMが予め設定されている。ここで、加速過程の走行距離Sa 、減速開始点P1 からクリープ速度Vc に減速するまでの走行距離Sb 、クリープ速度Vc での走行距離Sc 、ブレーキ開始点P2 から停止までの走行距離Sd は、それぞれ図9の斜線部の面積で表される。これらの総和をSA (=Sa +Sb +Sc +Sd )(図9の斜線部の総面積)とする。すなわち、距離SA は、設定された最高速度Vmax まで加速することができる最小の走行距離である。また、加速度α1、減速度β1、β2、クリープ速度Vc 、クリープ速度Vc での保持時間tc は予め設定された定数であることから、加速することができる最高速度VM は、その走行距離Sx に応じて決まり、関数式Sx =f(VM )が成立する。
【0003】
スタッカクレーンは目標位置が決まると、現在位置と目標位置との差から求まる走行距離Sx と距離SA との大小を比較する。そして、Sx ≧SA の場合にはMの速度パターンを設定し、Sx <SA の場合にはNの速度パターンを設定する。すなわち、走行距離Sx が速度Vmax まで加速することができる距離である場合には、設定最高速度Vmax まで走行し、走行距離Sx が速度Vmax まで加速することができない距離である場合には、目標位置にて停止できるように加速過程途中の速度VM から減速過程に移行するようになっていた。Nの速度パターンにおける最高速度VM は、Sx =f(VM )より求められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、走行距離Sx が比較的短く、Sx ≦SA の場合には、Nの速度パターンに沿うように、加速度α1で加速されたスタッカクレーンは最高速度VM に達すると加速過程から直ぐさま減速過程に移行される。このとき、スタッカクレーンには、加速(加速度α1)から減速(減速度β1)への急激な加速度変化に伴い衝撃が加えられる。その衝撃により走行輪がスリップした場合には、スタッカクレーンの停止位置精度が劣化するという問題があった。また、その衝撃によりスタッカクレーンが揺れ、その揺れがスタッカクレーンの停止後まで続く場合には、その揺れの静止を待ってフォークを作動させねばならず、その分だけサイクルタイムが長くなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は移動体の走行距離に拘わらず、加速から減速への移行を緩やかな加速度変化とすることにより、その加速度変化時に移動体に加わる衝撃を小さくすることができる移動体の走行制御方法及び走行制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため請求項1に記載の発明では、移動体の現在位置と目標位置との差に基づいて、予め設定された加速度にて加減速させる速度パターンを、走行距離に拘わらず加速完了後の速度で少なくとも所定時間維持されるように作成し、該速度パターンに合致するように該移動体を走行させる移動体の走行制御方法であって、前記速度パターンを作成する際、前記移動体の現在位置と目標位置との差で決まる走行距離より、予め設定された設定最高速度で前記所定時間以上保持し得るか否かを判断し、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持し得ると判断された場合には設定最高速度を設定し、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持できないと判断された場合には、所定時間保持し得るその走行距離に見合った最高速度を設定するようにした。
【0007】
請求項2に記載の発明では、移動体の現在位置と目標位置との差に基づいて、予め設定された加速度にて加減速させる速度パターンを、加速完了後の速度で少なくとも所定時間維持されるように作成する速度パターン作成手段と、前記速度パターン作成手段により作成された速度パターンに合致するように前記移動体の走行駆動源を駆動制御する制御手段とを備えた移動体の走行制御装置であって、前記速度パターン作成手段は、前記移動体の現在位置と目標位置との差で決まる走行距離より、予め設定された設定最高速度で前記所定時間以上保持し得るか否かを判断する距離判断手段と、前記距離判断手段により、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持し得ると判断された場合には設定最高速度を設定し、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持できないと判断された場合には、所定時間保持し得るその走行距離に見合った最高速度を設定する最高速度設定手段とを備えた。
【0009】
請求項3に記載の発明では、前記移動体が加速又は減速される速度変化過程には複数段の加速度が設定されており、前記速度パターン作成手段は、前記最高速度決定手段により決定された前記最高速度に対して所定比の速度となるように、前記速度変化過程における加速度変化時期を設定する加速度変化時期設定手段を備えた。
【0010】
請求項4に記載の発明では、前記速度パターン作成手段により作成される速度パターンに、目標位置に到達する手前で保持されるクリープ速度を設定した。
【0011】
【作用】
従って、請求項1に記載の発明によれば、移動体を予め設定された加速度にて加減速させたとき、その走行距離に拘わらず加速完了後の速度で少なくとも所定時間維持されるように、移動体の現在位置と目標位置との差に基づいて速度パターンが作成され、移動体は該速度パターンに合致するように走行する。そのとき、移動体は加速完了後に一定速度に保持されてから減速を開始する。従って、加速から減速へ大きな加速度変化を伴わず緩やかに移行される。そのため、移動体に加速度変化による大きな衝撃が加わらない。また、前記速度パターンを作成する際、移動体の現在位置と目標位置との差で決まる走行距離が、予め設定された設定最高速度で所定時間以上保持し得る距離であるか否かを距離判断手段により判断する。そして、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持し得ると判断された場合には前記最高速度として設定最高速度を設定し、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持できないと判断された場合には、その走行距離に見合った所定時間保持し得る最高速度を設定する。従って、設定最高速度で移動体を走行させると、加速完了後の速度で所定時間保持できなくなる走行距離の場合も、加速完了後の速度で所定時間保持されてから減速が開始される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、移動体を予め設定された加速度にて加減速させたとき、加速完了後の速度で少なくとも所定時間維持されるように、移動体の現在位置と目標位置との差に基づいて速度パターンが速度パターン作成手段により作成され、移動体はその走行駆動源が制御手段により駆動制御されることにより、該速度パターンに合致するように走行する。
【0014】
また、移動体の現在位置と目標位置との差で決まる走行距離が、予め設定された設定最高速度で所定時間以上保持し得る距離であるか否かを距離判断手段により判断する。そして、距離判断手段により、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持し得ると判断された場合には前記最高速度として設定最高速度を設定し、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持できないと判断された場合には、その走行距離に見合った所定時間保持し得る最高速度を設定する。この最高速度の設定は最高速度設定手段により行われる。従って、設定最高速度で移動体を走行させると、加速完了後の速度で所定時間保持できなくなる走行距離の場合も、加速完了後の速度で所定時間保持されてから減速が開始される。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、移動体が加速又は減速される速度変化過程には複数段に加速度が設定されており、この速度変化過程における加速度変化時期が、最高速度決定手段により決定された最高速度に対して所定比の速度となるように加速度変化時期設定手段により設定される。従って、加速過程や減速過程において、常に最高速度に対して所定比の速度に達したときに加速度が変化される。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、移動体は、目標位置に到達する手前で保持されたクリープ速度から常に制動される。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を自動倉庫におけるスタッカクレーンに具体化した一実施例を図1〜図7に基づいて説明する。
【0018】
図7に示すように、移動体としてのスタッカクレーン1は台車1aの底部に設けられた複数の走行ローラ2を介してレール4上に走行可能に載置されている。走行ローラ2は駆動ローラと被動ローラとからなり、駆動ローラは台車1a上に設けられたモータ5の駆動軸と作動連結されている。モータ5が正逆転駆動されることにより、スタッカクレーン1は両側に立設された棚6(片側のみ図示)間をレール4に沿って走行するようになっている。棚6には多数の収納部(図示せず)がマトリクス状に配置されている。台車1aの底部には、計測輪3がレール4の上面に押圧された状態で転動可能に設けられている。
【0019】
台車1a上に立設されたマスト1bの頂部に設けられた滑車7には、ウィンチ8aから延びるワイヤ9が掛装され、そのワイヤ9の先端部にキャリッジ10が吊下状態に支持されている。ウィンチ8aを駆動するモータ8が正逆転駆動されることにより、キャリッジ10がマスト1bに沿って昇降するようになっている。キャリッジ10には水平方向(図7の紙面直交方向)に出退可能なフォーク11が装備され、棚6を構成する所定の収納部に対してキャリッジ10を対向配置した状態でフォーク11を出退させることにより、その収納部との間で荷の出し入れが行われるようになっている。
【0020】
棚6の最下段には走行レーン方向(図7の左右方向)に沿う各収納部毎にドグ6aが設けられており、台車1aにはドグ6aを検知可能なセンサ12が配設されている。センサ12が目標停止位置に対応するドグ6aを検知すると、スタッカクレーン1は制動されるようになっている。
【0021】
スタッカクレーン1は図2に示す制御装置CTを備えている。制御装置CTにはマイクロコンピュータMCが内蔵されている。図2に示すように、マイクロコンピュータMCは、中央処理装置(以下、CPUという)13と、読出し専用メモリ(ROM)よりなるプログラムメモリ14と、読出し書替え用メモリ(RAM)よりなる作業用メモリ15とを備えている。CPU13はタイマ16及びカウンタ17に接続されており、プログラムメモリ14に記憶されたプログラムデータに基づいて動作する。
【0022】
CPU13は入出力インタフェース18に接続されている。入出力インタフェース18に接続されたモータ駆動回路19,20にはインバータ21,22を介して各モータ5,8がそれぞれ接続されている。各モータ5,8は誘導モータであり、インバータ21,22の出力周波数に基づき速度制御される。入出力インタフェース18に接続された励消磁回路23には、モータ5の駆動軸に配備された電磁ブレーキ24が接続され、CPU13からの励磁信号に基づき作動されてモータ5の駆動軸を機械的に制動する。
【0023】
また、入出力インタフェース18にはセンサ12及びエンコーダ25が接続されている。エンコーダ25は計測輪3に接続されており、計測輪3の回転量に比例したパルス数を有するパルス信号を出力する。CPU13はエンコーダ25から入力したパルス信号のパルス数をカウンタ17に計数させる。カウンタ17には、スタッカクレーン1がホームポジションに配置された位置を基準(例えば計数値「0」)とする計数値(パルス値)が計数され、カウンタ17のパルス値からスタッカクレーン1の位置が認知されるようになっている。また、CPU13は単位時間当たりにエンコーダ25から入力される信号のパルス数によりスタッカクレーン1の走行速度を演算する。CPU13はセンサ12から目標停止位置のドグ6aを検知した検知信号を入力すると、励消磁回路23に励磁信号を出力し、電磁ブレーキ24を作動させるようになっている。
【0024】
作業用メモリ15には走行レーン方向における各停止位置のパルス値が記憶されており、カウンタ17から読込んだ現在位置(パルス値)と、作業用メモリ15から読出した目標位置(パルス値)との差から走行距離Lが算出される。
【0025】
作業用メモリ15にはスタッカクレーン1を走行させるための図3に示す速度パターンが予め記憶されている。図3に示すように、速度パターンは、加速過程、定速過程および減速過程からなる。加速過程では3段階の加速度α1 ,α2 ,α3 が設定され、減速過程では3段階の減速度β1 ,β2 ,β3 が設定されている。また、定速過程での速度Vmが最高速度となる。
【0026】
図3において、加速度α1 ,α2 ,α3 が変化する変曲点速度V1 ,V2 、減速度β1 ,β2 ,β3 が変化する変曲点速度V3 ,V4 は、それぞれ最高速度Vmに対する比率(所定%)で設定されている。すなわち、
V1 =a1 ・Vm … (1)
V2 =a2 ・Vm … (2)
V3 =a3 ・Vm … (3)
V4 =a4 ・Vm … (4)
ここで、a1 ,a2 ,a3 ,a4 は、0<ak <1;(k=1〜4)を満たす定数である。
【0027】
図3の速度パターンから、時刻t1 ,t2 ,…,t7 にて区分された各速度領域における走行距離L1 ,L2 ,…,L7 は、図3の各速度領域の面積で表され、それぞれ以下のように示される。
【0028】
L1 =V1 2 /2・α1 … (5)
L2 =(V2 −V1 )・(V2 +V1 )/2・α2 … (6)
L3 =(Vm−V2 )・(Vm+V2 )/2・α3 … (7)
L4 =Vm(t4 −t3 ) … (8)
L5 =(Vm−V3 )・(Vm+V3 )/2・β1 … (9)
L6 =(V3 −V4 )・(V3 +V4 )/2・β2 … (10)
L7 =V4 2 /2・β3 … (11)
ここで、ΔT=(t4 −t3 )は最高速度Vmでの保持時間であり、一定時間が設定されている。全走行距離Lは、 (5)〜 (11) 式から次のようになる。
【0029】
よって、走行距離Lは最高速度Vmの関数となり、L=F(Vm)とおける。
【0030】
スタッカクレーン1には予め最高速度Vmax が設定されている。最高速度Vmax で所定時間ΔT保持できる最小の走行距離L0 は、L0 =L(Vmax )である。これを基準距離L0 とおく。本実施例では、加速完了後の速度で少なくとも所定時間ΔT以上保持されるように、その走行距離Lx に応じて最高速度Vmが決定される。すなわち、走行距離Lx と基準距離L0 とを比較し、Lx ≧L0 である場合には最高速度Vmax を、Lx <L0 である場合には、Lx =F(VM )を満たす速度VM を、それぞれ最高速度Vmとして設定するようになっている。
【0031】
プログラムメモリ14には、図4に示すように走行距離Lx と最高速度VM との関係を示すマップデータMD1 が記憶されている。マップデータMD1 は、関数式Lx =F(VM )を用いて作成されたものであり、走行距離Lx がLx <L0 を満たす条件下における走行距離Lx と最高速度Vmとの対応関係が、速度Vm「0.1m/sec.」刻みで設定されている。
【0032】
また、減速開始点PD (図3に示す)は、目標位置までの距離SD (以下、減速開始距離という)で示されている。減速開始距離SD は、時刻t4 〜t7 までの走行距離であり、(9) 〜 (11) 式から次のようになる。
【0033】
この関数式SD =G(Vm)を用いて、最高速度Vmと減速開始距離SD との関係が、図5に示すマップデータMD2 としてプログラムメモリ14に記憶されている。これも速度Vm「0.1m/sec.」刻みに設定されている。CPU13は定速過程で目標位置までの残りの走行距離LR を演算し、その残り距離LR が減速開始距離SD に一致した(正確にはLR ≦SD を満たす)時に、減速指令信号を出力して減速を開始させるようになっている。
【0034】
次に、図1のフローチャートに従ってスタッカクレーン1の走行制御について説明する。CPU13は、ステップS1でクレーン制御盤(図示せず)から走行指令信号を入力すると、ステップS2で走行指令信号より目標位置データPgを取得し、ステップS3で現在位置P0と目標位置Pgとの差をとって走行距離Lx(=|P0−Pg|)を算出する。ステップS4では、走行距離Lxが最高速度Vmaxを出せる基準距離L0以上であるか否かを判断する。すなわち、Lx≧L0を満たすか否かを判断する。
【0035】
例えば、指令された目標位置A1までの走行距離LA が基準距離L0 より短い場合(LA <L0 )、CPU13はステップS5に進み、図4のマップデータMD1 からその走行距離LA に応じた最高速度VA を引出して設定する。そして、ステップS7で最高速度VA から (1),(2) 式を用いて加速時の変曲点速度VA1,VA2を算出し、ステップS8で最高速度VA から (3),(4) 式を用いて減速時の変曲点速度VA3,VA4を算出する。算出した値VA1,VA2,VA3,VA4は各変曲点速度として設定される。
【0036】
こうして最高速度VA 及び各変曲点速度VA1,VA2,VA3,VA4が決まると、CPU13は、ステップS9で、走行開始指令信号を出力するとともに、スタッカクレーン1の速度軌跡が設定値VA1,VA2,VA3,VA4通りの各変曲点速度にて加速度変化するようにインバータ21を介してモータ5を速度制御する。
【0037】
すなわち、CPU13はモータ駆動回路19に対してまず加速度α1、速度VA1の指令を出力し、スタッカクレーン1がその停止位置から加速度α1で加速される。走行速度Vが速度VA1に達すると加速度α2、速度VA2を出力指令し、さらに走行速度Vが速度VA2に達すると加速度α3、速度VA を出力指令する。走行速度Vが速度VA に達すると、スタッカクレーン1はその速度VA に保持される。こうして定速過程に入ると、CPU13は図5のマップデータMD2 を用いてそのときの速度VA から減速開始距離SA を求める。定速過程では、CPU13はその時々の目標位置A1までの残り距離LRAを逐次演算し、その残り距離LRAが減速開始距離SA に一致(正確にはLRA≦SA )すると(点PA )、モータ駆動回路19に対して加速度β1、速度VA3の指令を出力し、スタッカクレーン1の減速が開始される。走行速度Vが速度VA3に達すると加速度β2、速度VA4を出力指令し、さらに走行速度Vが速度VA4に達すると加速度β3、速度0を出力指令する。そして、センサ12から入力される目標位置A1のドグ6aを検知した検知信号に基づき電磁ブレーキ24を作動させてスタッカクレーン1を目標位置A1にて停止させる。こうしてスタッカクレーン1は図6に示す速度パターンAに沿って走行制御される。
【0038】
走行距離Lx <L0 のとき、スタッカクレーン1が常に定速過程の最高速度VM にて所定時間ΔTだけ保持されるように変曲点速度V1〜V4が設定される。よって走行距離LB (≠LA かつ<L0 )の場合にも、図4のマップデータMD1 から求まる速度VB まで、その速度VB から求めた変曲点速度VB1,VB2にて加速度変化するように加速される。そして、その速度VB で所定時間ΔT保持された後、残り距離LRBがその速度VB からマップデータMD2 にて求まる減速開始距離SB に一致すると(点PB )、その速度VB での変曲点速度VB3,VB4にて減速度変化するように減速される。スタッカクレーン1は、最高速度VB にて所定時間ΔTだけ保持されるように図6に示す速度パターンBに沿って速度制御される。このように走行距離Lx <L0 のときには、加速度α3にて最高速度VM に到達後、一定速度すなわち加速度「0」の状態で所定時間ΔTだけ保持された後に減速度β1での減速が開始される。つまり、Lx <L0 では、最高速度VM での保持時間ΔTが等しく、加速過程及び減速過程での速度パターン形状が相似となる。
【0039】
また、指令された走行距離LがLx ≧L0 を満たす場合には、ステップS4における判断によりCPU13はステップS6に進み、最高速度「Vmax 」を設定する。そして、この最高速度Vmax から (1)〜(4) 式を用いて変曲点速度V1 ,V2 ,V3 ,V4 を算出するとともにその算出値を設定する(S7,S8)。スタッカクレーン1は最高速度が「Vmax 」となるように各変曲点速度V1 ,V2 ,V3 ,V4 及び減速開始点PC にて加速度制御される(S9)。例えばLx =L0 のときには、図6の速度パターンCを描くように速度制御され、最高速度Vmax で所定時間ΔTだけ保持される。また、L>L0 のときには、図6の速度パターンCにおいて、最高速度Vmax での保持時間TがT>ΔTとなる。
【0040】
以上詳述したように本実施例によれば、スタッカクレーン1は所定加速度で加速されて最高速度Vmに到達後、一定速度すなわち加速度「0」の状態で少なくとも所定時間ΔT保持されてから所定減速度で減速が開始される。そのため、加速から減速へ移行するときの加速度変化が緩やかとなり、その加速度変化時にスタッカクレーン1に加わる衝撃を小さくすることができる。よって、加速度変化時の衝撃に起因する走行ローラ3のスリップを回避して、スタッカクレーン1を目標位置に位置精度良く停止させることができる。また、加速度変化時の衝撃が小さいので、その衝撃によるスタッカクレーン1の揺れは小さく、停止後直ちにもしくは停止後にフォーク11が作動されるまでにスタッカクレーン1を静止状態とすることができる。そのため、従来のようにスタッカクレーンの静止を待ってフォークを作動させる必要がないので、スタッカクレーン1のサイクルタイムを短くすることができる。
【0041】
また、予め設定した最高速度Vmax でスタッカクレーン1を所定時間ΔT保持できない場合には、所定時間ΔT保持できるようにその走行距離Lに応じた最高速度Vmが設定されるので、スタッカクレーン1を走行距離Lに応じたできるだけ高速度で走行させることにより、短い移動時間を実現することができる。
【0042】
さらに、加速過程や減速過程における加速度の変化は、最高速度に対して所定比の速度に達したときに段階的に行われ、速度パターンが速度変化過程において走行距離に拘わらずほぼ相似をなすので、スタッカクレーン1をスムーズに加速変化させ、安定走行を実現させることができる。また、走行距離Lに応じた最高速度VM を、作業用メモリ15に記憶したマップデータMD1 から引出すようにしたので、所望する最高速度VM を直ちに求めることができる。そして、演算処理が不要な分だけ、CPU13の処理負担を軽減させることができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次のように構成することもできる。
(1)図8に示す速度パターンのように、目標位置に到達する手前で保持されるクリープ速度Vc を設定してもよい。スタッカクレーン1は常にクリープ速度Vc から制動されるので、目標位置に位置精度良く停止させることができる。
【0044】
(2)関数式VM =F-1(L)を作業用メモリ15などの記憶媒体に記憶させておき、この式を用いて走行速度Lに応じた最高速度VM を算出してもよい。
(3)加速過程及び減速過程における速度パターンの形状は特に限定されない。各過程において加速度や減速度が一定であってもよい。
【0045】
(4)移動体はスタッカクレーンに限定されない。急激な加速度変化を回避する必要があるその他の移動体に本発明を適用することができる。例えばキャリッジ10の昇降制御に本発明を適用してもよい。この構成によれば、キャリッジ10の滑らかな速度変化が実現され、載置された荷に衝撃を与えずに済む。
【0046】
(5)減速開始距離SD を、スタッカクレーン1の始動前に最高速度Vmから予め算出しておいてもよい。
(6)減速開始時期を最高速度Vmに達した後、タイマ16が所定時間(≧ΔT)を計時した時に設定してもよい。
【0047】
前記実施例から把握される発明を、その効果とともに以下に記載する。
(イ)前記最高速度設定手段は所定時間保持し得る最高速度が走行距離毎に設定されたマップを記憶する記憶手段を備え、該記憶手段に記憶したマップを用いてその走行距離に見合った最高速度を求めるようにした。直ちに所望する最高速度を求めることができる。また、演算処理を不要とすることもできる。
【0048】
(ロ)前記移動体は自動倉庫に装備されたスタッカクレーンである。スリップや大きな揺れの防止によりスタッカクレーンを目標位置に精度良く停止させることができ、サイクルタイムも短縮できる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、移動体はその走行距離に拘わらず、少なくとも加速完了後の速度で所定時間保持されてから減速されるので、加速から減速への移行が緩やかな加速度変化となり、移動体に加速度変化時に加わる衝撃を小さくすることができる。
【0050】
また、設定最高速度で移動体を走行させると、加速完了後の速度で所定時間保持できなくなる走行距離の場合には、その最高速度が加速完了後の速度で所定時間保持し得るように設定されるので、移動体を高速度で走行させ、その移動時間を比較的短くすることができる。
【0051】
また、請求項3に記載の発明によれば、加速過程や減速過程において、最高速度に対して所定比の速度に達したときに段階的に加速度が変化するように速度パターンが設定され、速度パターンが加速過程や減速過程でその走行距離に拘わらずほぼ相似をなすので、移動体の安定走行を実現することができる。
【0052】
また、請求項4に記載の発明によれば、移動体は、常にクリープ速度から制動されて停止するので、目標位置に精度良く停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スタッカクレーンを走行制御するためのフローチャート。
【図2】走行制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】設定速度パターン図。
【図4】走行距離と最高速度との対応関係を示すマップデータ図。
【図5】最高速度と減速開始位置との対応関係を示すマップデータ図。
【図6】スタッカクレーンの速度パターン図。
【図7】スタッカクレーンの側面図。
【図8】別例の速度パターン図。
【図9】従来技術における移動体の速度パターン図。
【符号の説明】
1…移動体としてのスタッカクレーン、5…走行駆動源としてのモータ、8…走行駆動源としてのモータ、13…速度パターン作成手段、距離判断手段、最高速度設定手段及び加速度変化時期設定手段としてのCPU、21,22…制御手段を構成するインバータ、CT…制御手段を構成する制御装置、Vm…最高速度、Vmax …設定最高速度、ΔT…所定時間、Lx …走行距離、α1〜α3,β1〜β3…加速度、V1〜V4…加速度変化時期としての変曲点速度、Vc …クリープ速度。
Claims (4)
- 移動体の現在位置と目標位置との差に基づいて、予め設定された加速度にて加減速させる速度パターンを、走行距離に拘わらず加速完了後の速度で少なくとも所定時間維持されるように作成し、該速度パターンに合致するように該移動体を走行させる移動体の走行制御方法であって、
前記速度パターンを作成する際、前記移動体の現在位置と目標位置との差で決まる走行距離より、予め設定された設定最高速度で前記所定時間以上保持し得るか否かを判断し、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持し得ると判断された場合には設定最高速度を設定し、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持できないと判断された場合には、所定時間保持し得るその走行距離に見合った最高速度を設定する移動体の走行制御方法。 - 移動体の現在位置と目標位置との差に基づいて、予め設定された加速度にて加減速させる速度パターンを、加速完了後の速度で少なくとも所定時間維持されるように作成する速度パターン作成手段と、前記速度パターン作成手段により作成された速度パターンに合致するように前記移動体の走行駆動源を駆動制御する制御手段とを備えた移動体の走行制御装置であって、
前記速度パターン作成手段は、前記移動体の現在位置と目標位置との差で決まる走行距離より、予め設定された設定最高速度で前記所定時間以上保持し得るか否かを判断する距離判断手段と、
前記距離判断手段により、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持し得ると判断された場合には設定最高速度を設定し、その走行距離により設定最高速度で所定時間以上保持できないと判断された場合には、所定時間保持し得るその走行距離に見合った最高速度を設定する最高速度設定手段とを備えた移動体の走行制御装置。 - 前記移動体が加速又は減速される速度変化過程には複数段の加速度が設定されており、前記速度パターン作成手段は、前記最高速度設定手段により設定された前記最高速度に対して所定比の速度となるように、前記速度変化過程における加速度変化時期を設定する加速度変化時期設定手段を備えた請求項2に記載の移動体の走行制御装置。
- 前記速度パターン設定手段により設定される速度パターンには、目標位置に到達する手前で保持されるクリープ速度が設定された請求項2又は請求項3に記載の移動体の走行制御装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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1995
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