JP3679937B2 - 非晶質シリコン太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

非晶質シリコン太陽電池及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に太陽電池発電システムで使用される非晶質シリコン太陽電池及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、pin型a−Si太陽電池としては、図3に示す構成のものが知られている(特公平5−10835号)。
図中の符番1はガラス基板(又は透明フィルム)である。このガラス基板1上には、SnO2 からなる透明電極2が形成されている。ここで、透明電極2の表面Sは、光閉じ込め効果を向上させる目的でヘイズ率10%程度の凹凸を有している。この透明電極2上には、p層3,i層4及びn層5からなる非晶質シリコン層6がプラズマCVD法により形成されている。この非晶質シリコン層6上には、真空蒸着などの手段により金属電極7が形成されている。
【0003】
こうした構成の太陽電池において、光はガラス基板1側から入射された後、透明電極2,p層3を通過してi層4に達し、このi層4で光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
【0004】
ところで、上記太陽電池において、生産性向上による低コスト化を図るためには、最も膜厚の厚いi層4の高速成膜化が必須である。そして、非晶質シリコン成膜方法であるプラズマCVD法において成膜速度を増大させるには高周波電力を増大させ、プラズマ密度を高める方法が最も一般的かつ直接的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の太陽電池によれば、下記の問題点を有していた。
(1) 高速成膜のためにプラズマを発生させる高周波電力を増大させると、プラズマ中のイオンエネルギーも増大する。i層4成膜初期に高エネルギーイオンがp層3/i層4界面に衝突すると、欠陥準位を生じ、キャリア再結合損失が増大するため、短絡電流が増大する。
【0006】
(2) 高速成膜したi層4は表面の凹凸が大きいため、i層4とn層5の密着性が低下し、隙間を生じ、電池としての有効面積が減少する。
【0007】
(3) 凹凸を有する透明電極2上に高速でa−Si太陽電池を構成すると、透明電極2を構成する結晶粒間の谷からi層5の膜厚方向に微細な亀裂が生じ、キャリアの再結合中心となるため短絡電流が低下する。
【0008】
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、透明電極上のp層上に低欠陥密度のi層初期膜及びi層バルク膜からなるi層を設けることにより、p層/i層界面付近の欠陥準位を低減させ、短波長感度を改善して短絡電流を増大しえる非晶質シリコン太陽電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、透明電極上のp層上にi層バルク膜及び低欠陥で表面被覆性に優れたi層後期膜を有するi層を設けることにより、i層/n層界面の密着性を向上し、長波長感度を改善して短絡電流を増大しえるとともに、n層も膜厚分布を改善しi層内の内部電界の均一性を向上して開放電圧を増大しえる非晶質シリコン太陽電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
更に、本発明は、透明電極上のp層上に低欠陥密度のi層初期膜及び低欠陥で表面被覆性に優れたi層後期膜を設けることにより、i層の膜厚方向の亀裂発生を抑制し、i層内でのキャリア再結合を低減し、短絡電流を増大しえる非晶質シリコン太陽電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願第1の発明は、透明基板と、この透明基板上に形成された透明電極と、この透明電極上に形成されたp層と、このp層上に順次形成された、i層初期膜、高速成膜されたi層バルク膜、及びi層後期膜を有したi層と、このi層上に形成されたn層と、このn層上に形成された金属電極とを具備し、該i層初期膜は、成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成され、その膜厚が5〜50nmの範囲であり、その欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、前記i層後期膜は、成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成され、前記i層バルク膜の膜厚方向の亀裂発生を抑制するように設けられており、その欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、その表面粗さが200〜300nmの範囲であることを特徴とする非晶質シリコン太陽電池である。
【0015】
本願第2の発明は、透明基板上に透明電極を形成する工程と、この透明電極上にp層を形成する工程と、このp層上に成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成されるi層初期膜、高速成膜されるi層バルク膜、及び該i層バルク膜の膜厚方向の亀裂発生を抑制するように設け、成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成されるi層後期膜を有したi層を形成する工程と、このi層上にn層を形成する工程と、このn層上に金属電極を形成する工程とを具備し、前記i層初期膜の膜厚が5〜50nmの範囲であり、その欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、前記i層後期膜の欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、その表面粗さが200〜300nmの範囲であることを特徴とする非晶質シリコン太陽電池の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例に係る非晶質シリコン太陽電池について図1を参照して説明する。
図中の符号11は、透明基板としてのガラス基板を示す。このガラス基板11上には、酸化スズからなる表面粗さ400〜500nmの透明電極12が形成されている。この透明電極12上には、p層13と、バッファ層14と、膜厚5〜50nmのi層初期膜15と、i層バルク膜16と、膜厚10〜50nmのi層後期膜17と、n層18からなる非晶質シリコン層19が形成されている。
【0017】
なお、i層初期膜15の膜厚が5nm未満の場合、p層/i層界面特性を改善する効果が小さい。一方、i層初期膜15の膜厚が50nmを超えると、p層/i層界面特性を改善する効果は飽和する。また、i層後期膜17の膜厚が5nm未満の場合、i層/n層界面特性を改善する効果が小さい。一方、i層後期膜17の膜厚が50nmを超えると、i層/n層界面特性を改善する効果は飽和する。
【0018】
前記i層初期膜15の欠陥密度は、8×1014個/cc以下である。ここで、i層初期膜15の欠陥密度が8×1014個/ccを超えると、i層初期膜としてのp層/i層界面特性を改善する効果が低減する。前記i層後期膜17の欠陥密度は、8×1014個/cc以下である。ここで、i層後期膜17の欠陥密度が8×1014個/ccを超えると、i層後期膜としてのi層/n層界面特性を改善する効果が低減する。前記非晶質シリコン層19上には、Alからなる金属電極20が形成されている。
【0019】
上記した構成の非晶質シリコン太陽電池は、図2に示す製造装置を用いて形成される。図中の符番21は反応容器であり、内部に基板加熱用ヒータ22,アース線23に接続された放電用電極24が対向して配置されている。前記放電用電極24には、高周波電源25がインピーダンス整合器26を介して接続されている。前記基板加熱用ヒータ22には、基板27が支持されている。この基板27と前記放電用電極24間には、製膜表面ヒータ用電源28に接続されたメッシュ状の製膜表面ヒータ29が配置されている。前記反応容器21には、放電用電極24周辺に反応ガスを導入する反応ガス導入管30が接続されている。また、前記反応容器21には、排気管31を介して真空ポンプ32が接続されている。
【0020】
次に、図2の製造装置を用いて図1の非晶質シリコン太陽電池を製造する方法について説明する。
まず、ガラス基板11上に透明電極12を形成した。つづいて、この透明電極12上に、p層13と,バッファ層14と,膜厚5〜50nmのi層初期膜15と,i層バルク膜16と,膜厚10〜50nmのi層後期膜17と,n層18からなる非晶質シリコン層19を形成した。前記i層初期膜15の形成に際しては、成膜速度0.1〜0.4nm/s,製膜表面ヒータ電力150〜200W,放電周波数27〜100MHzの少なくともいずれかの条件を満たしながら、欠陥密度8×1014個/cc以下とした。また、i層バルク膜16は、i層初期膜15を形成後、放電を維持したまま形成した。さらに、i層後期膜17はi層バルク膜16を形成後、放電を維持したまま形成した。
【0021】
i層初期膜15の成膜速度を上記のように設定したのは、0.1nm/s未満では、放電が不安定となって品質の安定した太陽電池の製造が困難になるからであり、0.4nm/sを超えると、欠陥密度の小さい高品質膜が得られないため、i層初期膜としてのp層/i層界面特性の改善効果が小さいからである。
【0022】
製膜表面ヒータ電力を上記のように設定したのは、次の理由による。即ち、電力が150W未満の場合、ラジカルに与えるエネルギーが小さいため、ラジカルの表面拡散が不十分となり、低欠陥密度膜が得られず、i層初期膜としてのp層/i層界面特性の改善効果が小さい。一方、電力が200Wを超えると、基板が高温となるため、透明電極12からp層13、p層13からi層初期膜15への不純物拡散が顕著になり、p層13及びi層初期膜15の膜質が低下するからである。
【0023】
放電周波数を上記のように設定したのは、次の理由による。即ち、放電周波数が27MHz未満の場合、プラズマの高周波数化に伴う電子温度低下の効果が小さいため、低欠陥密度膜が得られず、i層初期膜としてのp層/i層初期膜としてのp層/i層界面特性の改善効果が小さい。一方、放電周波数が100MHzを超えると、放電が局所的となり、均一なプラズマが得られないため、太陽電池特性がばらつく。
【0024】
前記i層後期膜17の形成に際しては、i層バルク膜16の形成後、成膜速度0.1〜0.4nm/s,製膜表面ヒータ電力150〜200W,放電周波数27〜100MHzの少なくともいずれかの条件を満たしながら、欠陥密度8×1014個/cc以下とした。また、i層後期膜17の表面粗さは200〜300nmとした。
【0025】
i層後期膜17の成膜速度を上記の設定したのは、0.1nm/s未満では、放電が不安定となって品質の安定した太陽電池の製造が困難になるからであり、0.4nm/sを超えると、欠陥密度の小さい高品質膜が得られないため、i層後期膜としてのi層/n層界面特性の改善効果が小さいからである。
【0026】
i層後期膜17を形成する際の製膜表面ヒータ電力を上記のように設定したのは、次の理由による。即ち、電力が150W未満の場合、ラジカルに与えるエネルギーが小さいため、ラジカルの表面拡散が不十分となり、低欠陥密度膜が得られず、i層後期膜としてのi層/n層界面特性の改善効果が小さい。一方、電力が200Wを超えると、基板が高温となるため、既に積層した層間の不純物拡散が顕著になるとともに最表面層であるi層16の熱的変質が生じるからである。
【0027】
i層後期膜17を形成する際の放電周波数を上記のように設定したのは、次の理由による。即ち、放電周波数が27MHz未満の場合、プラズマの高周波数化に伴う電子温度低下の効果が小さいため、低欠陥密度膜が得られず、i層後期膜17としてのi層/n層界面特性の改善効果が小さい。一方、放電周波数が100MHzを超えると、放電が局所的となり、均一なプラズマが得られないため、太陽電池特性がばらつくからである。
【0028】
i層後期膜17の表面粗さを上記のように設定したのは、次の理由による。400から500nmの表面粗さを有する透明電極12上にi層を積層するが、i層高速成膜条件であること及びi層の表面粗さが透明電極12の影響を受けるため、その上に積層するi層後期膜17の表面粗さは基本的には200nm以下未満に制御することは困難である。一方、i層後期膜17の表面粗さが300nmを超えた場合、n層18との密着性が低下し、隙間が多くなるため発電有効面積が減少する。
【0029】
図4は、i層初期膜〜i層後期膜における成膜速度と時間の関係を示す特性図を示す。図4において、T1 はi層初期膜15形成時間を、T2 及びT4 は移行膜形成時間を、T3 はi層バルク膜16形成時間を、T5 はi層後期膜17形成時間を示す。
【0030】
図5は、i層初期膜〜i層後期膜における製膜表面ヒータ電力と時間の関係を示す特性図を示す。図5において、T1 はi層初期膜15形成時間を、T2 はi層バルク膜16形成時間を、T3 はi層後期膜17形成時間を示す。
【0031】
図6は、i層初期膜〜i層後期膜における放電周波数と時間の関係を示す特性図を示す。図6において、T1 はi層初期膜15形成時間を、T2 はi層バルク膜16形成時間を、T3 はi層後期膜17形成時間を示す。
【0032】
このようにして製造される非晶質シリコン太陽電池によれば、以下に述べる効果を有する。
1)低欠陥密度のi層初期膜15をp層13上にバッファ層14を介して設けることにより、p層13/i層バルク膜16界面付近の欠陥準位が低減し、短波長感度を改善でき、短絡電流を増大できる。
【0033】
2)低欠陥で表面被覆性に優れたi層後期膜17をi層バルク膜16上に設けることにより、i層バルク膜16/n層18界面の密着性を向上できる。その結果、長波長が改善され、短絡電流を増大できる。また、n層18の膜厚分布が改善され、i層バルク膜16内の内部電界の均一性が向上するため、開放電圧が増大する。
【0034】
3)低欠陥密度のi層初期膜15及び低欠陥で表面被覆性に優れたi層後期膜17を設けることにより、i層バルク膜16の亀裂発生が抑制されるため、i層バルク膜16内でのキャリア再結合が向上低減し、短絡電流が増大する。
【0035】
事実、i層初期膜及びi層後期膜のいずれも設けない場合(比較例)の効率を100とした場合、既述したような条件下でi層初期膜を設けた場合、i層後期膜を設けた場合、i層初期膜及びi層後期膜の両者を設けた場合の夫々の効率は、115、120、120であることが判明した。これにより、本発明に寄る効果が確認できた。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、透明基板と、この透明基板上に形成された透明電極と、この透明電極上に形成されたp層と、このp層上に順次形成された、i層初期膜、高速成膜されたi層バルク膜、及びi層後期膜を有したi層と、このi層上に形成されたn層と、このn層上に形成された金属電極とを具備し、該i層初期膜は、成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成され、その膜厚が5〜50nmの範囲であり、その欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、前記i層後期膜は、成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成され、前記i層バルク膜の膜厚方向の亀裂発生を抑制するように設けられており、その欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、その表面粗さが200〜300nmの範囲であることにより、p層/i層界面付近の欠陥準位を低減させて短波長感度を改善し、i層/n層界面の密着性を向上させて長波長感度を改善し、i層の膜厚方向の亀裂発生を抑制して i 層内でのキャリア再結合を低減し、短絡電流を増大しえる非晶質シリコン太陽電池及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る非晶質シリコン太陽電池の断面図。
【図2】図1の非晶質シリコン太陽電池の製造に用いた製造装置の説明図。
【図3】従来の非晶質シリコン太陽電池の断面図。
【図4】図1の非晶質シリコン太陽電池において、i層初期膜〜i層後期膜の成膜における成膜速度の特性図。
【図5】図1の非晶質シリコン太陽電池において、i層初期膜〜i層後期膜の成膜におけるラジカルヒータ電力の特性図。
【図6】図1の非晶質シリコン太陽電池において、i層初期膜〜i層後期膜の成膜に
おける放電周波数の特性図。
【符号の説明】
11…ガラス基板、
12…透明電極、
13…p層、
14…バッファ層、
15…i層初期膜、
16…i層バルク膜、
17…i層後期膜、
18…n層、
19…非晶質シリコン層、
20…金属電極、
21…真空容器、
22…基板加熱用ヒータ、
23…アース線、
24…放電用電極、
25…高周波電源、
26…インピーダンス整合器、
27…基板、
28…製膜表面ヒータ用電源、
29…製膜表面ヒータ、
30…ガス導入管、
31…排気管、
32…真空ポンプ。

Claims (2)

  1. 透明基板と、この透明基板上に形成された透明電極と、この透明電極上に形成されたp層と、このp層上に順次形成された、i層初期膜、高速成膜されたi層バルク膜、及びi層後期膜を有したi層と、このi層上に形成されたn層と、このn層上に形成された金属電極とを具備し、該i層初期膜は、成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成され、その膜厚が5〜50nmの範囲であり、その欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、前記i層後期膜は、成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成され、前記i層バルク膜の膜厚方向の亀裂発生を抑制するように設けられており、その欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、その表面粗さが200〜300nmの範囲であることを特徴とする非晶質シリコン太陽電池。
  2. 透明基板上に透明電極を形成する工程と、この透明電極上にp層を形成する工程と、このp層上に成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成されるi層初期膜、高速成膜されるi層バルク膜、及び該i層バルク膜の膜厚方向の亀裂発生を抑制するように設け、成膜速度0.1〜0.4nm/sで形成されるi層後期膜を有したi層を形成する工程と、このi層上にn層を形成する工程と、このn層上に金属電極を形成する工程とを具備し、前記i層初期膜の膜厚が5〜50nmの範囲であり、その欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、前記i層後期膜の欠陥密度が8×10 14 個/cc以下であり、その表面粗さが200〜300nmの範囲であることを特徴とする非晶質シリコン太陽電池の製造方法。
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