近年、映像信号又は音声信号の伝送において、高品質で波数利用効率が高いディジタル変調が開発されている。特に、移動体通信においては、マルチパス干渉に強い直交周波数分割多重(以下、OFDM[orthogonal frequency division multiplex ]という)変調の採用が検討されている。更に、OFDMを用いたディジタルテレビジョン(TV)放送も研究されている。このOFDMについては、非特許文献1等に詳述されている。
OFDMは、伝送ディジタルデータを互いに直交する多数(約256乃至1024)の搬送波(以下、サブキャリアという)に分散し、夫々変調する方式である。OFDMはマルチパス干渉の影響を受けにくいという特徴の外に、周波数利用効率が高く、また、他に妨害を与えにくいという利点も有する。
OFDMの各サブキャリアはQPSK又は多値QAM等のシンボルデータによって変調される。この変調は逆高速フーリエ変換(以下、IFFT)回路により行われ、各サブキャリアに夫々対するN個のシンボルデータをIFFT演算することでOFDM被変調波の1シンボル(以下、OFDMシンボルともいう)が作成される。
OFDMシンボルを伝送する場合には、受信側における誤り訂正を考慮して、複数のOFDMシンボルによって伝送フレームを構成し、フレーム単位で伝送路特性補正用の基準となるOFDMシンボル(以下、基準シンボルという)を挿入して伝送する。
図8はこのフレーム単位の伝送方式を説明するための説明図であり、非特許文献2に記載されたものである。
図8に示すように、OFDMの伝送フレームは周波数方向(キャリア単位)及び時間方向(OFDMシンボル単位)の組みのデータによって構成される。フレームの各時間スロットは各OFDMシンボルを示している。1OFDMシンボルのサブキャリア数は448であり、1フレームのOFDMシンボル数は300である。なお、サブキャリアの数は使用するIFFT回路のポイント数によって決定される。図8では、1フレームは周波数方向に448個で、時間方向に300個のデータによって構成される。
フレームの1番目の時間スロットのOFDMシンボルは受信同期用のヌルシンボルであり、448個の全サブキャリアが振幅0のシンボルデータによって変調されて作成される。2番目の時間スロットは各サブキャリアの位相基準となる基準シンボルであり、3番目の時間スロットのOFDMシンボルは伝送制御用の固定データである。4番目以降の時間スロットのOFDMシンボル(情報シンボル)によって情報シンボルデータが伝送される。
なお、情報シンボルデータについては周波数方向及び時間方向でインターリーブを行うことがある。インターリーブによって、特定の周波数スロット及び時間スロットが妨害を受けた場合でも連続的なデータの誤りを防止することができ、受信側における誤り訂正により、データを復元することができる可能性が高くなる。
次に、OFDMの等化技術について説明する。
OFDM伝送においては、マルチパスによる符号間干渉を防止するためにガード期間が設けられている。図9はOFDM信号のガード期間を説明するための説明図である。図9においては、説明を簡略化するために1つのサブキャリアによるOFDM信号を示してある。
図9に示すように、OFDMの1シンボルの信号は、ガード期間と有効シンボル期間とによって構成される。ガード期間は有効シンボル期間の後半の信号が巡回的に複写されて形成される。マルチパス干渉の遅延時間がガード期間以内である場合には、復調時において有効シンボル期間の信号のみを復調することで、遅延した隣接シンボルによる符号間干渉を防止することができる。
図10はこのようなガード期間による等化を説明するための説明図である。
いま、図10(a)に示すOFDMシンボルの直接波の信号波形に対して、マルチパス干渉波の信号波形の遅延時間が図10(b)に示すようにガード期間内であるものとする。受信側では図10(a)のOFDMシンボルと図10(b)の干渉波との和信号が得られる(図10(c))。この場合には、干渉波の遅延時間がガード期間以内であるので、有効シンボル期間における受信信号(和信号)は、OFDMシンボルと同一周波数で位相及び振幅が変化したものとなる。即ち、図10(a)のOFDMシンボルが例えば図11のシンボルデータS0 によって変調されたものである場合には、受信信号を復調すると、例えば図11のシンボルデータS1 が得られることを示している。
即ち、予め位相及び振幅が既知の基準シンボルを復調し、元のシンボルデータと復調シンボルデータとの位相及び振幅の変化分(オフセット)を相殺するように、復調シンボルデータを補正することにより、マルチパス干渉の影響を受けないデータ伝送が可能となる。なお、マルチパス干渉の影響は各サブキャリア毎に相違するので、基準シンボルは各サブキャリア毎に設定されている。なお、サブキャリア毎に補正のための係数を切換えることにより、オフセットの補正は1個の複素乗算器によって実現することができる。
しかし、受信状態によっては遅延時間がガード期間を越えるようなマルチパスが存在することが考えられる。マルチパスの遅延時間がガード期間を越えると、基準シンボルを用いても復調シンボルを等化することができない。図12はこの問題点を説明するための説明図である。
図12(a),(b)に示すように、マルチパス干渉波の遅延時間がガード期間を越えると、所定のOFDMシンボルの有効シンボル期間に隣接した前OFDMシンボルの後半の部分がマルチパスとして加えられ、復調出力に符号間干渉がが生じる。従って、基準シンボルを用いてもマルチパスを完全に除去することはできない。更に、マルチパスの遅延時間がガード期間を越えた場合には、等化用の基準シンボルも符号間干渉によって劣化することから、等化後の復調シンボルの劣化が大きくなってしまう。基準シンボルは1フレームに1回しか伝送されないので、基準シンボルが妨害を受けた場合には復調信号が極めて劣化してしまうという問題があった。
なお、ガード期間を長く設定することにより等化範囲を拡大することができるが、伝送レートが低下してしまうという欠点がある。なお、図12の例では、1シンボル期間を80μ秒とすると、ガード期間は16μ秒に設定されている。
OFDMを用いた移動体ディジタル音声放送(NHK発行、VIEW 1993年5月)
Le Floch et al, "Digital Sound Broadcasting to Mobile Receivers", IEEE Transactios on Consumer Electronics, Vol.35, No.3, pp.493-530 1989.
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は本発明に係るOFDM伝送方法の一実施例を示す説明図である。なお、図1では、1乃至Mの各時間スロットは各OFDMシンボルを示している。
1OFDMシンボルのサブキャリア数はNである。OFDMの伝送フレームはM個のOFDMシンボルによって構成される。即ち、1伝送フレームは、周波数方向にN個で時間方向にM個のデータによって構成される。
図1に示すように、伝送フレームの先頭の時間スロットは受信同期用のヌルシンボルであり、全サブキャリアに振幅0のシンボルデータが割当てられる。本実施例においては、第2及び第3番目の時間スロットは、各サブキャリアの等化基準信号として基準シンボルA、基準シンボルBが割当てられている。4番目の時間スロット以降は情報シンボルが割当てられている。
図2は図1中の基準シンボルA,Bの具体的な伝送方法を示す説明図である。なお、図2では、説明を簡略化するために、1つのサブキャリアのみの波形を示している。
基準シンボルAはガード期間G1 及び有効シンボル期間R1 を有している。ガード期間G1 は有効シンボル期間R1 の後半部分の波形が複写されたものである。また、基準シンボルBはガード期間G2 及び有効シンボル期間R2 を有している。ガード期間G2 は有効シンボル期間R2 の後半部分の波形が複写されたものである。本実施例においては、図2に示すように、基準シンボルAの終端の波形に基準シンボルBの波形が連続するように、有効シンボル期間R1 、R2 の波形の振幅及び位相を設定するようになっている。これにより、これらの2つの基準シンボルA,Bは、等価的にガード期間が長くなった1つの基準シンボルとみなすことができる。
ところで、各サブキャリアは直交条件を満足しているので、各サブキャリアの波数は有効シンボル期間において整数となる。例えば、図2に示すサブキャリアは、有効シンボル期間の波数が2であることが示されている。従って、基準シンボルBを基準シンボルAに連続させるためには、ガード期間の長さに対応する位相だけ基準シンボルA,Bの開始位相をずらせばよい。例えば、図2では、ガード期間G1 ,G2 の長さが有効シンボル期間R1 ,R2 の1/4であるので、基準シンボルA,Bの相互の開始位相を180度ずらせばよい。
いま、図3に示すように、OFDMシンボルのN本のサブキャリアのキャリア番号kを周波数順に−N/2〜0〜(N/2)−1とする。また、有効シンボル期間の長さを1とした場合におけるガード期間の長さをxとする。そうすると、k番目のサブキャリアにおけるガード期間分の位相差Δθk は下記(1)式によって表わされる。
Δθk =x・k・2π …(1)
k番目のキャリアにおける基準シンボルA,Bの位相を夫々θ1k,θ2kとすると、2つの基準シンボルA,Bを連続させるためには、下記(2)式を満足する必要がある。
θ1k=θ2k−Δθk
=θ2k−x・k・2π …(2)
なお、基準シンボルA,Bの振幅は等しくする。
例えば、図4では、有効シンボル期間の波数が1のサブキャリアについて示してある。即ち、k=1である。また、ガード期間の間隔は有効シンボル期間の1/4に設定されている。従って、これらの条件を上記(2)式に代入すると、下記(3)式が得られる。
θ1k=θ2k−1/4・1・2π
=θ2k−π/2 …(3)
この(3)式から明らかなように、この場合には、基準シンボルBの位相を基準シンボルAよりも90度だけ進めればよい(図4参照)。
次に、本実施例のOFDM伝送方法の作用について説明する。
1OFDMシンボルはN本のサブキャリアを有している。各サブキャリアは例えば0シンボルデータ、所定の基準データ又は情報シンボルデータによって変調される。M個のOFDMシンボルによって伝送フレームを構成する。0シンボルデータで変調されたOFDMシンボル(ヌルシンボル)は伝送フレームの先頭の時間スロットにおいて伝送される。各時間スロットはガード期間及び有効シンボル期間によって構成されており、ガード期間の波形は有効シンボル期間の後半の波形が複写されたものである。
次の2番目の時間スロットでは、サブキャリアが所定の基準データによって変調された基準シンボルAが伝送される。次の3番目の時間スロットにおいては、基準シンボルBが伝送される。基準シンボルBの位相は基準シンボルAの位相に対して上記(3)式を満足する。これにより、各サブキャリア毎に、基準シンボルAのガード期間G1 及び有効シンボル期間R1 の波形に連続して基準シンボルBのガード期間G2 及び有効シンボル期間R2 の波形が伝送される。即ち、基準シンボルBのガード期間が等価的にガード期間G1 +有効シンボル期間R1 +ガード期間G2 だけ長くなったことに相当する。4乃至M番目の時間スロットでは、情報シンボルデータによって変調された情報シンボルが伝送される。
いま、マルチパス干渉波の遅延時間がガード期間よりも長いものとする。しかし、この場合でも、遅延時間がガード期間G1 +有効シンボル期間R1 +ガード期間G2 よりも短い場合には、基準シンボルBの有効シンボル期間R2 におけるマルチパス干渉波は、有効シンボル期間R2 と同一波形となる。従って、この場合の受信波は、基準シンボルBと同一周波数で位相及び振幅が変化したものとなる。基準シンボルBの位相及び振幅は既知であるので、復調信号を変化分だけ補正することによって、マルチパスの影響を受けない基準データを再生することができる。
次に、復調した基準データを用いて、情報シンボルの復調シンボルを各サブキャリア毎に等化する。基準信号がマルチパスの影響を受けていないので、復調シンボルの劣化を抑制することができる。
このように、本実施例においては、連続した2つの時間スロットにおいて基準シンボルを伝送すると共に、これらの基準シンボルの位相及び振幅を調整することにより、2つの基準シンボルが連続するように設定しており、等価的にガード期間を十分に延長することができる。このため、基準シンボルについてはマルチパスの影響を受けない復調が可能であり、マルチパスによる復調シンボルの劣化を抑制することができる。
なお、基準シンボルAのガード期間として基準シンボルBのガード期間G2 及び有効シンボル期間R2 を用いることができるので、前ゴーストにも対応することができるという利点もある。
図5は本発明に係るOFDM送信装置の一実施例を示すブロック図である。
入力端子1を介して入力された2ビットの情報データはS/P変換回路2に与えられる。S/P変換回路2はシリアルデータをパラレルデータに変換してシンボルマッピング回路3に与える。シンボルマッピング回路3は、例えばPSK変調又はQAM変調等によって、情報データを情報シンボルデータ(Iデータ,Qデータ)に変換する。シンボルマッピング回路3からの情報シンボルデータはマルチプレクス回路4に与えられる。
マルチプレクス回路4にはROM5,6,7の出力も与えられるようになっている。ROM5,6,7には夫々0シンボルデータ、基準データA及び基準データBが格納されている。なお、基準データA,Bはこれらの基準データA,Bに基づいて作成されたOFDMシンボル(基準シンボルA,B)の波形が連続するように、値が設定されている。マルチプレクス回路4はシンボルマッピング回路3の出力及びROM5乃至7の出力を伝送フレームの各時間スロットに対応して選択してインターリーブ回路8に出力する。インターリーブ回路8は、入力されたデータをインターリーブさせてIFFT回路9に出力する。
IFFT回路9は入力されたN個のデータを用いてIFFT処理することにより、OFDM被変調波(OFDMシンボル)を作成してガード期間付加回路10に出力する。
ガード期間付加回路10はマルチパスの影響を低減するために、OFDM被変調波にガード期間を付加し、I軸,Q軸の信号を夫々D/A変換器11,12に出力する。D/A変換器11,12は入力されたディジタル信号をアナログ信号に変換してローパスフィルタ(以下、LPFという)13,14に出力する。LPF13,14は夫々入力信号出力の高調波成分を除去して直交変調回路15の乗算器18,19に出力する。
直交変調回路15は、局部発振器16、移相器17、乗算器18、19及び加算器20によって構成されている。局部発振器16は所定周波数のキャリアを発生して移相器17に出力すると共に、乗算器18に同相軸キャリアとして出力する。移相器17は局部発振器16の発振出力を90度移相させて直交軸キャリアを作成して乗算器19に出力する。乗算器18はLPF13の出力と同相軸キャリアとの乗算によって同相軸変調出力を得て加算器20に出力する。乗算器19はLPF14の出力と直交軸キャリアとの乗算によって直交軸変調出力を得て加算器20に出力する。加算器20は乗算器18,19の出力を加算して、直交変調出力を周波数変換回路21に出力する。
周波数変換回路21はバンドパスフィルタ(以下、BPFという)22、増幅器23、乗算器24、局部発振器25及びBPF26によって構成されている。直交変調出力はBPF22に与えられ、BPF22は直交変調出力を帯域制限して増幅器23を介して乗算器24に与える。局部発振器22は中間周波数帯に周波数変換するための所定周波数の局部発振出力を乗算器24に与える。乗算器24は増幅器23の出力と局部発振出力との乗算によってOFDM被変調波の直交変調出力を高周波数帯に変換してBPF26に出力する。BPF26は乗算器24の出力を帯域制限してRF信号として出力する。
なお、入力端子27を介してタイミング回路28にクロックが供給されるようになっている。タイミング回路28は、入力されたクロックに基づいて、所定周波数のクロックを発生すると共に、各種タイミング信号を発生して各回路に供給する。
次に、このように構成された実施例の動作について説明する。
入力端子1を介して入力された情報データはS/P変換器2によってパラレルデータに変換された後、シンボルマッピング回路3によってIデータ及びQデータから成る情報シンボルデータに変換される。シンボルマッピング回路3からの情報シンボルデータはマルチプレクス回路4に供給される。マルチプレクス回路4にはROM5,6,7から夫々0シンボルデータ、基準データA及び基準データBも入力されており、マルチプレクス回路4は、図1の伝送フレームの各時間スロットに対応させて情報シンボルデータ、0シンボルデータ及び基準データA,Bを切換えてインターリーブ回路8に与える。インターリーブ回路8は入力されたデータをインターリーブした後IFFT回路9に出力する。
なお、入力端子27にはクロックが入力されており、タイミング回路28はこのクロックに基づいて所定周波数のクロック及び各種タイミング信号を発生して各回路に供給している。
IFFT回路9は、入力されたN個のシンボルを用いてIFFT演算を行う。これにより、N個のシンボルに対するOFDM変調が行われて、OFDM被変調波の実部Re及び虚部Imがガード期間付加回路10に出力される。
マルチプレクス回路4がROM5を選択することにより、IFFT回路9からはヌルシンボルが出力される。また、マルチプレクス回路4がROM6,7を選択することにより、夫々基準シンボルA,BがIFFT回路9から出力される。同様に、マルチプレクス回路4がシンボルマッピング回路3の出力を選択することにより、情報シンボルが得られる。マルチプレクス回路4が図1の伝送フレームの時間スロットに対応して選択を行うことにより、IFFT回路9からは図1に示す伝送フレームが出力される。
ガード期間付加回路10は入力されたOFDM被変調波の実部Re及び虚部Imに夫々マルチパスの影響を低減するためのガード期間を付加して、D/A変換器11,12に出力する。基準データA,Bは、サブキャリア周波数及びガード期間の長さに基づいて設定されており、基準シンボルAのガード期間及び有効シンボル期間の波形に連続して基準シンボルBのガード期間及び有功シンボル期間の波形が続く。
D/A変換器11,12は入力された信号をアナログ信号に変換して夫々LPF13,14に与え、LPF13,14はOFDMシンボルを帯域制限して夫々直交変調回路15の乗算器18、19に出力する。局部発振器16は所定周波数のキャリアを発生しており、移相器17はこのキャリアを90度移相させる。局部発振器16からの発振出力は同相軸キャリアとして乗算器18に供給され、乗算器18は同相軸キャリアとLPF13の出力との乗算によって同相軸変調出力を得て加算器20に出力する。乗算器19は移相器17からの直交軸キャリアとLPF14の出力との乗算によって直交軸変調出力を得て加算器20に出力する。乗算器18、19の出力は加算器20によって加算されて直交変調出力が得られる。
直交変調回路15の直交変調出力は、周波数変換回路21のBPF22によって帯域制限された後、増幅器23によって増幅されて乗算器24に与えられる。乗算器24には局部発振器25から局部発振出力が与えられており、乗算器24は直交変調出力を高周波数(RF)帯の信号に周波数変換する。乗算器24の出力はBPF26によって帯域制限されてRF信号として出力される。
このように、本実施例においては、伝送フレームを構成する場合に、2番目の時間スロットで基準シンボルAを伝送し、次いで3番目の時間スロットで基準シンボルBを伝送するようにしている。基準シンボルA,Bの各サブキャリアを変調する基準データA,Bは、各サブキャリア周波数及びガード期間付加回路10によるガード期間の長さに基づいて設定されており、基準シンボルA,Bは各サブキャリア毎に波形が連続する。
図6は本発明に係るOFDM受信装置の一実施例を示すブロック図である。
入力端子31にはN本のサブキャリアを有するOFDM被変調波(OFDMシンボル)が伝送フレーム単位で入力される。伝送フレームの先頭の時間スロットではヌルシンボルが伝送され、2番目の時間スロットでは基準シンボルAが伝送され、3番目の時間スロットでは基準シンボルBが伝送される。4乃至M番目の時間スロットにおいて情報シンボルが伝送されるようになっている。また、基準シンボルA,Bは連続した波形となっている。これらのOFDMシンボルは、所定のキャリア周波数で直交変調された後にRF帯に周波数変換されて入力されるようになっている。
このRF帯のOFDMシンボルはBPF32に供給される。BPF32は帯域外の雑音を除去して増幅器33に出力する。増幅器33はBPF32の出力を増幅して乗算器34に出力する。局部発振器35はRF帯の信号を周波数変換するための局部発振出力を乗算器34に出力する。乗算器34は増幅器33の出力と局部発振出力との乗算によってOFDM被変調波を所定の周波数に周波数変換してBPF36に出力する。BPF36はOFDMシンボルの高調波成分を除去して利得可変増幅器37に出力する。
利得可変増幅器37は後述するエンベロープ検出回路50に制御されて、BPF36の出力を一定振幅に変換して直交検波回路38に出力する。直交検波回路38は乗算器39,40、局部発振器41及び移相器42によって構成されている。局部発振器41は後述するキャリア再生回路43に制御されて、所定周波数の再生キャリアを発生して乗算器39及び移相器42に出力するようになっている。局部発振器41の出力は同相軸キャリアとして乗算器39に供給される。移相器42は局部発振出力を90度移相して直交軸キャリアを再生して乗算器40に与える。乗算器39は可変利得増幅器37の出力に同相軸キャリアを乗算して同相軸検波出力を得、乗算器40は可変利得増幅器37の出力に直交軸キャリアを乗算して直交軸検波出力を得る。乗算器39,40の出力は夫々LPF44,45に与えられる。
LPF44,45は夫々乗算器39,40の直交検波出力であるベースバンドのOFDM被変調波の実部Re及び虚部Imの帯域を制限してA/D変換器46,47に出力する。A/D変換器46,47は夫々LPF44,45の出力をディジタル信号に変換してガード期間除去回路48に出力する。ガード期間除去回路48はガード期間の信号を除去してFFT回路49に出力する。FFT回路49は、ガード期間除去回路48からのOFDM被変調波をFFT処理することによりOFDM復調を行って、N本のサブキャリアから0シンボルデータ、基準データA,B及び情報シンボルデータのI,Qデータを得る。FFT回路49からのIデータ及びQデータは等化回路55に出力されると共に、キャリア再生回路43にも出力される。
キャリア再生回路43は復調されたIデータ及びQデータが与えられ、キャリアを再生して直交検波回路38の局部発振器41に出力する。これにより、局部発振器41の発振出力に基づいてキャリア同期が得られるようになっている。また、A/D変換器46,47の出力は、同期再生回路51にも入力される。同期再生回路51はA/D変換器46,47の出力からヌルシンボルを検出することによりフレーム同期及びシンボル同期のための信号を再生してタイミング回路52に出力する。タイミング回路52は入力された信号に基づいて、所定周波数のクロック及び各回路へのタイミング信号を発生するようになっている。また、A/D変換器46,47の出力はエンベロープ検出回路50にも与えられる。エンベロープ検出回路50はA/D変換器46,47の出力のエンベロープを検出して可変利得増幅器37の利得を調整して一定振幅が得られるようにしている。
等化回路55は基準データ検出回路56、誤差検出回路57、ROM58、複素乗算器59、メモリ60及び平均回路61によって構成されている。FFT回路49の復調出力は基準データ検出回路56に入力される。基準データ検出回路56は復調シンボルから基準データBを検出して誤差検出回路57に出力する。誤差検出回路57にはROM58に格納されているデータも与えられる。ROM58には送信側の基準データBと同一データが格納されており、誤差検出回路57はマルチパス及び雑音によって発生した各サブキャリアの振幅及び位相のずれによる復調基準データBの振幅及び位相誤差を検出して平均回路61に出力する。平均回路61は数フレームに亘って誤差検出回路57の出力を平均化することにより、雑音による誤差分を除去してS/Nを改善し、マルチパスによる誤差を誤差信号としてメモリ60に出力する。メモリ60は誤差信号を各サブキャリア毎に記憶し、記憶した誤差信号を複素乗算器59に出力する。複素乗算器59はFFT回路49からの復調シンボルとメモリ60からの誤差信号とを複素乗算することにより、マルチパスによる誤差を補正してデインターリーブ回路62に出力する。
デインターリーブ回路62は等化された復調シンボルをデインターリーブしてデマルチプレクス回路63に出力する。デマルチプレクス回路63は入力された復調シンボルをデマルチプレクスして、情報シンボルデータをシンボルデマッピング回路64に出力する。シンボルデマッピング回路64は情報シンボルデータを復調して情報データをP/S変換器65に出力し、P/S変換器65は入力されたパラレルデータを2ビットのシリアルデータに変換して出力するようになっている。
次に、このように構成された実施例の動作について説明する。
入力端子31を介して入力されたRF信号はBPF32によって帯域外の雑音が除去され、増幅器33によって増幅された後乗算器34に供給される。乗算器34は局部発振器35からの局部発振出力との乗算によって、RF帯の信号を所定周波数に周波数変換してBPF36に出力する。乗算器34の出力はBPF36によって高調波成分が除去された後、可変利得増幅器37によって一定振幅に制御されて直交検波回路38の乗算器39,40に与えられる。
乗算器39は局部発振器41からの同相軸再生キャリアとの乗算によって同相軸検波出力を得てLPF44に出力し、乗算器40は移相器42からの直交軸再生キャリアとの乗算によって直交軸検波出力を得てLPF45に出力する。こうして、直交検波回路38からベースバンドのOFDM被変調波が得られる。
直交検波回路38からの同相検波軸出力及び直交検波軸出力は、夫々LPF44、45によって帯域制限された後、A/D変換器46,47によってディジタル信号に変換される。ディジタル信号に変換されたOFDM被変調波は、ガード期間除去回路48によってガード期間の信号が除去されて、有効シンボル期間の信号のみがFFT回路49に与えられる。FFT回路49はOFDM被変調波をFFT処理することにより、N個の復調シンボルを得る。復調シンボルは等化回路55に与えられる。
なお、A/D変換器46,47の出力は、同期再生回路51にも入力されており、同期再生回路51によってフレーム同期及びシンボル同期のための信号が再生される。同期再生回路51の出力はタイミング回路52に供給され、タイミング回路52は所定周波数のクロック及び各回路へのタイミング信号を生成する。また、FFT回路49の出力はキャリア再生回路43にも与えられており、キャリア再生回路43の出力に基づいて局部発振器41が局部発振出力を出力することによりキャリア同期が得られる。
FFT回路49からの復調シンボルは等化回路55の複素乗算器59及び基準データ検出回路56に与えられる。基準データ検出回路56によって復調シンボルのうちの基準データBが検出されて誤差検出回路57に供給される。一方、誤差検出回路57にはROM58に予め格納されている基準データBのデータも入力される。誤差検出回路57は復調シンボルのうちの基準データBについて、マルチパスの影響による振幅及び位相のずれを示す誤差信号(複素信号)を検出して平均回路61に出力する。平均回路61によって誤差信号は数フレームに亘って平均化され、これにより誤差信号のS/Nが改善されてメモリ60に供給される。
メモリ60は各サブキャリア毎の誤差信号を格納すると共に、複素乗算器59に出力する。複素乗算器59はFFT回路49の出力と誤差信号とを複素乗算する。これにより、復調シンボルはマルチパスによる誤差分だけ位相が回転すると共に振幅が補正され、マルチパスの影響を受けていない復調シンボルがデインターリーブ回路62に出力される。
送信側において、基準シンボルA,Bは連続した波形となっているので、基準シンボルBについては等価的にガード期間が長くなっており、基準データBについては略確実にマルチパスの影響を受けない復調データを得ることができる。
等化回路55からの復調シンボルは、デインターリーブ回路62によってデインターリーブ処理され、デマルチプレクス回路63によってデマルチプレクスされて、情報シンボルデータがシンボルデマッピング回路64に入力される。情報シンボルデータは、シンボルデマッピング回路64によって復調され、P/S変換器65によって2ビットのシリアルデータに変換されて情報データとして出力される。
このように、本実施例においては、ガード期間が等価的に長くなった基準データBを等化回路によって等化しており、基準データBについては略確実な等化を可能であることから、復調シンボルのマルチパスによる影響を抑制することができる。
図7は本発明の他の実施例を示すブロック図である。本実施例は等化回路のみが図6の実施例と異なる。図7において図6と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
FFT回路からの復調シンボルは複素乗算器59に与えられると共に、基準データ検出回路70にも与えられる。基準データ検出回路70は復調シンボルから基準データA,Bを検出して誤差検出回路73及びパワー検出回路71に出力する。本実施例においては、基準データBを格納するROM58の外に、基準データAと同一データを格納するROM74も設けられている。誤差検出回路73にはこれらのROM58,74からの基準データA,Bが与えられるようになっている。
パワー検出回路71は基準データ検出回路70によって検出された基準データA,Bの全サブキャリアのパワーを検出して合計を求める。これにより、パワー検出回路71は、基準データA,Bが例えばインパルス雑音により劣化していないかを検出する。パワー検出回路71の出力は基準データ選択回路72に供給される。基準データ選択回路72は、パワーの検出結果を所定の基準値と比較することにより、基準データA,Bのうちいずれの基準データを用いて等化を行ったほうがよいかを判断し、一方の基準データを選択するための選択信号を誤差検出回路73に出力する。例えば、基準データ選択回路72は、2つの基準データのいずれも妨害を受けていない場合には基準データBを選択し、2つの基準データの一方が妨害を受けている場合には妨害を受けていない基準データを選択し、2つの基準データのいずれも妨害を受けている場合には、いずれの基準データも選択しない。
誤差検出回路73は選択信号によって指定された基準データをROM58,74から読出し、基準データ検出回路70からの基準データとの誤差を求めて平均回路71に出力するようになっている。なお、基準データ選択回路72によっていずれの基準データも選択されない場合には、誤差検出回路73は前回の誤差検出結果を出力する。
次に、このように構成された実施例の動作について説明する。
図6の実施例においては、遅延時間がガード期間を越えるマルチパスが存在する場合においても基準データを等化するために、基準データBを誤差検出に用いている。しかし、マルチパスの遅延時間がガード期間以内である場合には、基準データAを用いても同様の効果を得ることができる。また、マルチパスの遅延時間がガード期間を越えた場合に基準データAを用いても、ある程度の等化は可能である。この理由から、本実施例においては、基準データBが劣化を受けた場合、例えば、基準データBがインパルス雑音等によって妨害を受けた場合に、基準データBに代えて基準データAを用いて等化を行うことを可能にしたものである。
基準データ検出回路70は、復調シンボルから基準データA及び基準データBを検出する。パワー検出回路71は、基準データA,Bについて、全サブキャリアのパワーの合計を求める。パワー検出回路71のパワー検出結果は、基準データ選択回路72に入力されて、所定の基準値と比較される。
いま、基準データBのパワー検出結果が基準値よりも大きいものとする。この場合には、基準データ選択回路72からは基準データBを選択するための選択信号が誤差検出回路73に出力され、誤差検出回路73は、ROM58から読出したデータと基準データ検出回路70が検出した基準データBとの誤差を求める。即ち、この場合には、図6の実施例と同様の動作となる。
一方、基準データBのパワー検出結果が基準値よりも小さく、基準データAのパワー検出結果が基準値よりも大きい場合には、基準データ選択回路72は基準データAを選択するための選択信号を出力する。これにより、誤差検出回路73はROM74のデータを読出して、基準データ検出回路70が検出した基準データAとの誤差を求める。
他の作用は図6の実施例と同様である。
このように、本実施例においては、基準データBがインパルス雑音等によって妨害を受けた場合に、基準データAを用いて等化を行うようになっており、インパルス雑音等による誤差信号の誤検出によって等化性能が劣化することを防止している。
なお、上記各実施例においては、基準シンボルを2シンボル連続して伝送する例を示したが、基準シンボルを3シンボル以上連続して伝送してもよいことは明らかである。