JP3701083B2 - 浮体構造物用単位構造体およびそれを用いた浮体構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浮き桟橋等の浮体構造物を構築するために使用される単位構造体、および、その単位構造体によって構築される浮き桟橋等の浮体構造物に関し、特に高乾舷であって、復元力に優れた浮体構造物用単位構造体および浮体構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
港湾、河川等において、船の接舷、繋船等に使用される浮き桟橋は、通常、芯材として発泡ポリスチレンを使用し、その芯材をコンクリートによって被覆したフロートによって構築されている。このようなフロートは、芯材として使用される発泡ポリスチレンが独立気泡型になっているために、コンクリートにクラックが発生した場合にも、フロート自体が沈没するおそれがない。しかも、発泡ポリスチレンのみによって構成されたフロートに比べて重量があるために、吃水が50%以上になり、優れた安定性を有している。
【0003】
しかしながら、最近では、船からの積み荷の揚げ下ろしが容易になるように、高乾舷の浮き桟橋が要望されており、このように、発泡ポリスチレンをコンクリートにて被覆した大きな吃水のフロートを使用して高乾舷の浮き桟橋を得るためには、発泡ポリスチレンを大型化して浮力を増加させなければならず、その結果、フロートが大型化するとともに、経済性が損なわれるという問題がある。
【0004】
特開平7−108982号公報には、発泡ポリスチレンによって構成された複数の浮力体上に、繊維強化合成樹脂(FRP)製の枠を取り付けて、その枠上に樹脂製の床材を敷設した浮き桟橋が開示されている。また、実開平1−109495号公報には、浮体上に金属製枠を取り付けて、繊維強化合成樹脂製の床板を枠内に配置した浮き桟橋が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの公報に開示された浮き桟橋は、いずれも、浮力体または浮体上に枠を直接取り付けているために、高乾舷を安定的に得ることができず、しかも、乾舷の調整が容易でないという問題がある。
【0006】
特開平5−147582号公報には、コンクリート槽が被覆された発泡ポリスチレン製の浮体に対して、浮力調整用浮体を昇降可能に設けて、この浮力調整用浮体の昇降によって乾舷を調整するようになったポンツーン(浮き桟橋)が開示されている。また、特開平6−146217号公報には、合成樹脂製の浮体の四隅にバラスト保持具を設けて、各バラスト保持具によって、重量の調整が可能になったバラストを保持することによって、浮体のバランスを調整するとともに、乾舷の調整も行うようになった浮き桟橋が維持されている。
【0007】
しかし、これらの公報に開示されたいずれの浮き桟橋も、浮体自体の重量が大きくなり、設置することが容易ではなく、また、高乾舷を得ることができないという問題もある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、軽量であって安定した高乾舷を容易に得ることができ、しかも、乾舷高さの調整も可能になった浮体構造物用単位構造体およびそれを使用した浮体構造物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の浮体構造物用単位構造体は、合成樹脂発泡体製の芯材を有し、水面上に浮遊するように水密状に構成された下部構造部と、下面が開放され上面が閉塞された中空の箱状であって前記下部構造部の上面を覆うように配置されて接合された上部被覆体と、この上部被覆体の内部における上面の周縁部に沿って配置された枠状のフレーム体と、前記上部被覆体における内面に沿ってそれぞれ配置された板状の補強材とを有する上部構造部とを具備することを特徴とする。
【0010】
前記上部構造部の内部には、垂直に配置された複数の区画用補強材によって複数の空間に分割されている。
【0011】
前記上部構造部は、各端部に配置された空間内にバラスト材充填用の貫通孔が設けられている。
【0012】
前記上部構造部のそれぞれの補強材および区画用補強材は、それぞれ、板状をした合成樹脂発泡体製の補強材本体部と、この補強材本体部を被覆する合成樹脂製のオーバーレイとによって構成されている。
【0013】
前記補強材および区画用補強材のそれぞれのオーバーレイが、熱硬化性の繊維強化合成樹脂で構成されている。
【0014】
前記上部被覆体が熱硬化性の繊維強化合成樹脂で構成されている。
【0015】
前記フレーム体が合成樹脂製のオーバーレイによって被覆されており、前記補強材のオーバーレイが、フレーム体のオーバーレイと一体化されている。
【0016】
前記補強材の補強材本体部は、嵩比重が0.02〜0.1 g/ccの合成樹脂発泡体である。
【0017】
前記下部構造部の芯材は、嵩比重が 0.001〜0.03g/ccの合成樹脂発泡体である。
【0018】
前記下部構造部は、上面が開放されて底面が閉塞された中空の箱状をした下部被覆体と、この下部被覆体の底部に充填されたバラストとを有し、前記芯材が、前記下部被覆体内のバラスト上に充填されており、前記下部被覆体の開放された上面が被覆板によって水密状に覆われている。
【0019】
前記下部被覆体が熱硬化性の繊維強化合成樹脂で構成されている。
【0020】
前記上部被覆体および下部被覆体が一体的に固定されている。
【0021】
前記上部被覆体および下部被覆体の相互に近接した部分が同一の形状に構成されている。
【0022】
前記下部構造部の高さが 400〜600 mm、前記上部構造部の高さが 400〜1000mmであり、下部構造部の吃水が30〜60%になっている。
【0023】
本発明の浮体構造物は、このような1または複数の浮体構造物用単位構造体によって構築されていることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の浮体構造物用単位構造体によって構築された浮体構造物としての実施の形態の一例を示す浮き桟橋の一部破断斜視図である。この浮き桟橋は、図1に示すように、岸壁41に沿って長く延びる直方体状の複数の単位構造体10を長手方向に連結して構成されており、岸壁41に垂直に設けられた一対の係留用ガイドレール42に対して、各単位構造体10がそれぞれ昇降可能に係留されている。
【0026】
図2は、その浮き桟橋に使用される単位構造体10の一部破断平面図、図3は、その単位構造体10の一部破断側面図、図4はその単位構造体10の正面図、図5は、その単位構造体の横断面図である。
【0027】
各単位構造体10はそれぞれ同様の構成になっており、下部構造部20と上部構造部30とをそれぞれ有している。
【0028】
下部構造部20は、図5に示すように、熱硬化性のガラス繊維強化合成樹脂によって上面が開放された直方体形状の中空箱状に構成された下部被覆体21と、下部被覆体21内の底部にそれぞれ配置された鉄筋コンクリート製のバラスト22と、そのバラスト22上に位置するように下部被覆体21内に充填された合成樹脂発泡体製の芯材23とを有している。
【0029】
下部被覆体21は、水平になった平坦な底面21aを有しており、底面21aの長手方向に沿った各側縁部からは、一対の外側側面21cがそれぞれ上方に延出するとともに、底面21aの各端部における幅方向に沿った各端縁部からは、各端面21d(図1および図3参照)がそれぞれ上方に延出している。下部被覆体21の高さは、例えば 500mmになっている。
【0030】
下部被覆体21の各外側側面21cと各端面21dとは、下部構造部20の外周面をそれぞれ構成しており、それぞれが底面21a近傍の下部が垂直であって、上部が外側に向かって傾斜した状態になっている。下部被覆体21における各外側側面21cおよび各端面21dの上端縁には、内方に水平に突出した上縁部21fが全周にわたって水平に設けられている。
【0031】
下部被覆体21における各外側側面21cの傾斜状態になった部分には、垂直方向に延びる複数の凹部21gが等しい間隔をあけて設けられており、また、各端面21dの傾斜状態になった部分にも、垂直方向に延びる複数の凹部21gが等しい間隔をあけてそれぞれ設けられている。各凹部21gは、図5に示すように、内奥面がそれぞれ垂直になっており、その上端縁は、外側に水平に突出した張出部21hによって覆われた状態になっている。
【0032】
下部被覆体21の幅方向の中心部には、下部被覆体21を幅方向に二分する隔壁部21bが長手方向に沿って垂直に設けられている。
【0033】
下部被覆体21における隔壁部21bによって二分されたそれぞれの底部には、バラスト22がそれぞれ充填されている。バラスト22は、例えば、メッシュ鉄筋によって補強された鉄筋コンクリートによって、下部被覆体21における二分された底部全体にわたって、それぞれ、厚さ50mm程度にわたって充填されている。バラスト22は、上部構造部30が接合された下部構造部20が、その全体の高さ 500mmに対して、30〜60%程度の吃水を安定的に得られるように、下部被覆体21の底部に充填されている。
【0034】
なお、バラスト22としては、鉄筋コンクリートに限らず、鉄筋によって補強されていないコンクリート、石、水等であってもよい。
【0035】
下部被覆体21の各内部に充填されたバラスト22上には、合成樹脂発泡体製の芯材23が充填されている。この芯材23は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、アクリル樹脂等の合成樹脂を、嵩比重が、0.001 〜 0.030g/cc、好ましくは 0.018〜 0.025g/cc程度の高い独立気泡率に発泡されたものが使用される。このような芯材23は、各下部被覆体21内のバラスト22上にて、各下部被覆体21の内部全体にわたって充填された状態になっている。
【0036】
内部に芯材23が充填された下部被覆体21は、熱硬化性の繊維強化合成樹脂によって構成された1枚の被覆板26によって水密状態で覆われている。被覆板26は、下部被覆体21の上縁部21f上に載置された状態になっている。下部被覆体21における隔壁部21b上には、長手方向の全体にわたって、ポリエステル樹脂製の接続マット25が取り付けられており、この接続マット25に、ガラス繊維強化合成樹脂製の被覆板26の幅方向中央部が接着されている。
【0037】
下部構造部20上に設けられる上部構造部30は、上面が閉塞されて下面が開放された直方体形状の中空箱状に構成されたガラス繊維強化合成樹脂製の上部被覆体31と、この上部被覆体31内の上端部に配置されたフレーム体32と、上部被覆体31の内面に沿って配置された合成樹脂発泡体製の複数の補強材33とを有している。
【0038】
上部被覆体31は、水平になった平坦な上面31aと、その周縁部から下方に垂下された長手方向に沿って延びる一対の側面31bおよび幅方向に沿って延びる一対の端面31c(図1および図3参照)とによって、下面が開放された中空の直方体形状に構成されている。上部被覆体31の上面31aは、下部被覆体21の底面21aと同様の形状および大きさになっている。上面31aの上側の表面には、複数の突条が設けられた滑り止め加工が施されている。
【0039】
上部被覆体31の各側面31bおよび各端面31cは、上面31aに対して垂直に下方に延出し、その下部において、外側に向かって傾斜した状態になっている。各側面31bおよび各端面31cの下端部には、内方に水平に延出する下縁部31dが設けられている。上部被覆体31の各側面31cは、各下部被覆体21のそれぞれの各外側側面21cとは、相互に近接した部分が、同様の形状になっている。
【0040】
上部被覆体31における各側面31bおよび各端面31cには、垂直方向に延びる複数の凹部31eが水平方向に等しい間隔をあけて設けられている。各凹部31eは、内奥面がそれぞれ垂直になるように、各側面31bおよび31cに連続してそれぞれ凹状に窪んだ状態になっている。各凹部31eの上端縁は、外側に水平に突出した張出部31fによって覆われた状態になっている。
【0041】
このような上部被覆体31は、不飽和ポリエステル、ポリエポキシ等の熱硬化性樹脂をガラス繊維によって強化した合成樹脂によって一体的に成形されている。なお、上部被覆体31としては、このような熱硬化性のガラス繊維強化合成樹脂に限らず、ポリプロピレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂をガラス繊維によって強化したもの、あるいは、熱硬化性および熱可塑性の樹脂を炭素繊維で強化したもの、さらには、ガラス繊維や炭素繊維によって強化されていない熱硬化性および熱可塑性合成樹脂等を使用してもよい。
【0042】
上部被覆体31の上端部内には、上面31aにおける内面に接するように、フレーム体32が設けられている。このフレーム体32は、図2に示すように、長手方向に沿った一対の長枠材32aと幅方向に沿った一対の短枠材32bとによって、上部被覆体31の上面31aにおける周縁部に沿った長方形の枠状に構成されている。また、このフレーム体32には、各短枠材32bとは適当な間隔をあけて平行になった一対の補強枠材32cが長枠材32a間に架設されているとともに、長手方向の中央部にて各補強枠材32cとは平行な1本の補強枠材32cが、長枠材32a間に架設されている。
【0043】
フレーム体32を構成する各長枠材32a、各短枠材32b、各補強枠材32cは、それぞれ、断面四角形状になった鉄鋼製の角パイプによって構成されている。なお、各枠材は、このような角パイプに限らず、断面コ字状の溝型鋼、断面L字状のアングル鋼等によって構成してもよい。
【0044】
図6は、フレーム体32の長枠材32aの横断面図である。フレーム体32は、ガラス繊維強化合成樹脂製のオーバーレイ32dによって全体にわたって被覆されており、このオーバーレイ32dが、ガラス繊維強化合成樹脂製の上部被覆体31に一体化されている。オーバーレイ32bは、ハンドレイアップ法によって、フレーム体32を全体に被覆するように形成されている。
【0045】
図2および図3に示すように、フレーム体32の各長枠材32aの下側には、上部被覆体31の長手方向に沿った各側面31bの内面に沿って、長い板状の補強材33がそれぞれ垂直状態で配置されるとともに、フレーム体32の各短枠材32bの下側にも、上部被覆体31の各端面31cに沿って、一対の板状の補強材33がそれぞれ垂直状態で配置されている。
【0046】
また、フレーム体32における各補強枠材32cの下側にも、各補強枠材32cに沿った垂直状態で区画用補強材34がそれぞれ配置されている。そして、各短枠材32bに近接して配置された各補強枠材32cに沿って配置されたそれぞれの区画用補強材34と、長手方向の中央部に配置された補強枠材32cに沿って配置された区画用補強材34との間には、1つの板状の区画用補強材34が、各補強枠材32cに平行な垂直状態で、かつ、上端部がフレーム体32の各長枠材32a間を通って上部被覆体31の上面31aに当接した状態で配置されている。これらの垂直状態になった各区画用補強材34は、上部被覆体31の内部の空間を、長手方向に6つに分割している。
【0047】
さらに、上部被覆体31の内部の6つの空間は、各区画用補強材34および上部被覆体31の各端面31cに沿って配置された各補強材33の間に、長手方向に沿った垂直状態で配置された区画用補強材34によって、幅方向に二等分されている。長手方向に沿った各区画用補強材34は、上部被覆体31の上面31aにそれぞれ当接した状態になっている。
【0048】
フレーム体32内には、上部被覆体31の上面31aにおける内面に沿って、複数の板状の補強材33が配置されている。上面31aに沿って配置された各補強材33は、長手方向および幅方向に沿った状態でそれぞれ垂直に配置された各補強材33と、フレーム体32における各長枠材32aと、各短枠材32cと、各補強枠材33cとによって囲まれた空間内に位置されている。
【0049】
各補強材33および各区画用補強材34は、合成樹脂発泡体によって板状に構成されており各補強材33および各区画用補強材34が全体にわたってガラス繊維強化合成樹脂製のオーバーレイ33bによって被覆されている。オーバーレイ33bは、ガラス繊維強化合成樹脂製の上部被覆体31における内面と一体化されるとともに、フレーム体32を被覆するオーバーレイ32dとも一体化されている。オーバーレイ33bも、ハンドレイアップ法によって、各補強材33および各区画用補強材34を被覆するように形成されている。
【0050】
図2に示すように、上部構造部30の内部における各端部にそれぞれ形成された4つの空間は、上部被覆体31の各側面31bおよび各補強材33を貫通する貫通孔30aによって、外部に連通した状態になっており、各空間には、単位構造体10全体のバラストを調整するためのコンクリート等のバラスト材が、各貫通孔30aを通して充填されるようになっている。
【0051】
各補強材33および各区画用補強材34は、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂等の一種または複数種を基材樹脂とした発泡体によって構成されている。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体等のポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹脂が挙げられる。これらポリエチレン系樹脂およびプロピレン系樹脂は、架橋構造を有していてもよい。
【0052】
ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−αメチルスチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクレル酸共重合体等のスチレン系樹脂が挙げられる。これらのスチレン系樹脂は、架橋構造を有するものであってもよい。
【0053】
一種の基材樹脂を使用する場合には、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0054】
基材樹脂として複数種類を使用する場合には、ポリオレフィン系樹脂に芳香族系ビニルモノマー単独で、あるいは、この芳香族系ビニルモノマーを主成分として共重合可能なモノマーの混合モノマーを吸収させて重合したポリオレフィン−スチレン系複合重合体が挙げられる。この複合重合体も架橋構造を有するものであってもよい。この場合のポリオレフィンの含有率は、30%以上であることが好ましく、35%以上がより好ましい。ポリオレフィンの含有率が30%以下になると、補強材33および区画用補強材34にガラス繊維強化合成樹脂製のオーバーレイ33bを被覆する際に使用するスチレン系モノマーに侵されるおそれがあり好ましくない。
【0055】
ガラス繊維強化合成樹脂製のオーバーレイ33bが被覆される補強材33およ区画用補強材34としては、ガラス繊維強化合成樹脂製のオーバーレイ33bとの接着性を考慮すると、ポリオレフィン−スチレン系複合重合体樹脂が特に好ましい。
【0056】
補強材33および区画用補強材34を構成する合成樹脂発泡体の嵩密度は0.02〜0.10g/ccが好ましい。合成樹脂発泡体の嵩密度が0.10g/cc以上になると、経済性が損なわれるとともに、軽量化が図れない。合成樹脂発泡体の嵩密度が、0.02g/cc以下になると、ガラス繊維強化合成樹脂製のオーバーレイ33bによって被覆された際に、所定の強度を得るために、オーバーレイ33bを厚くする必要があり、軽量化することができなくなるおそれがある。より好ましい合成樹脂発泡体の嵩密度は、0.033 〜0.08g/ccである。
【0057】
上部構造部30の上部被覆体31には、図1および図2に示すように、岸壁41の遠方側の側面31bに防舷材35が取り付けられている。この防舷材35は、図6に示すように、上部被覆体31における岸壁41の遠方側の側面31bの上端部に水平に配置されている。防舷材35は、例えば、発泡ネオプレーンゴムによって、中空の断面半円筒状に構成されており、上部被覆体31の側面31bを挿通するボルト35bおよびナット35cによって、フレーム体32の長枠材32aに取り付けられている。
【0058】
また、上部構造部30の上面には、図1および図2に示すように、複数の係船環36aが設けられている。各係船環36aは、上部被覆体31の上面31aにおける岸壁41の遠方側に位置する側縁部に、それぞれが適当な間隔をあけて設けられている。各係船環36aは、図7に示すように、上部被覆体31の上面31aを挿通して、フレーム体32の長枠材32aを貫通するアイボルト36bに取り付けられた状態になっており、アイボルト36bは、フレーム体32の下面に当接するボルト36cにて止められている。
【0059】
さらに、図4および図5に示すように、上部構造部30における岸壁に対向した側面31bには、岸壁41に設けられた各係留用ガイドレール42に沿ってそれぞれ転接する一対の碇けいローラー37が、それぞれ、回転可能に設けられている。
【0060】
このような構成の上部構造部30は、下部構造部20上に重ねられて、上部被覆体31の各凹部31eと、下部被覆体21の各凹部21gとが、相互に突き合わされた状態とされる。このとき、補強材33および区画用補強材34の下端面は、ポリエステル樹脂製の接続マット34aを介して被覆板26に接続されている。そして、上部被覆体31における各凹部31eの張出部31fと、下部被覆体21における各凹部21gの張出部21hとが、被覆板26を挟んだ状態で、ボルト止めされる。これにより、上部構造部30が下部構造部20と一体的に接合れる。
【0061】
なお、上部構造部30および下部構造部20とを接合するボルトは、プラスチック製であってもよく、また、組立時にポリエステル樹脂接着剤を併用するようにしてもよい。
【0062】
また、ボルトを使用することなく、例えば、上部被覆体31の下部外周面と下部被覆体21の上部外周面とにわたって、ポリエステル樹脂接着剤層を全周にわたって設けて、このポリエステル樹脂接着剤層によって両者を固定するようにしてもよい。この場合には、上部被覆体31および下部被覆体21には、各凹部31eおよび21gが不要になるために、上部被覆体31の各側面31bおよび各端面31c、下部被覆体21の各側面21bおよび各端面21cを、それぞれ垂直にすることができる。また、上部被覆体31と下部被覆体21との間にポリエステル樹脂製のマットを設けて、そのマットとポリエステル樹脂接着剤層とを一体化するようにしてもよい。なお、ポリエステル接着剤層は、水密状態になっていないことが好ましく、透孔等を設けるようにすることが好ましい。
【0063】
さらに、上部被覆体31の下縁部31dと下部被覆体21の上縁部21fとの間にポリエステル樹脂接着剤層を全周にわたって設けて、そのポリエステル樹脂接着剤層によって、両者を固定するようにしてもよい。この場合には、ポリエステル樹脂接着剤層の一部を上部被覆体31の下縁部31dと下部被覆体21の上縁部21fとの間から外方に延出させることにより接着強度が増加する。
【0064】
このようにして構成された単位構造体10は、図1に示すように、複数が、長手方向に連結されることによって、浮き桟橋を構築する。図8は、長手方向に連結された一対の単位構造体10の上部の断面図である。各単位構造体10の上部被覆体31における各端面31cには緩衝体37がそれぞれ設けられており各単位構造体10同士が連結された際に、各単位構造体10の緩衝体37同士が相互に当接されるようになっている。各緩衝体37は、上部被覆体31の各端面31cにおける上端部に水平に配置されて、複数のボルト37aによって、各上部構造部30におけるフレーム体32の短枠材32bに取り付けられている。
【0065】
この場合、単位構造体10に各緩衝体37を配置する構成に替えて、図9に示すように、一方の単位構造体10に、渡し板37cを取り付けるようにしてもよい。渡し板37cは、連結される各単位構造体10間の上部を覆うようになっている。
【0066】
各単位構造体10の上部被覆体31における各端面31cには、図1に示すように、各側部にそれぞれ一対の連結具38が、水平方向に適当な間隔をあけて、それぞれ水平に配置されている。各連結具38は、単位構造体10を、他の単位構造体10と長手方向に沿って連結する際に、他の単位構造体10の各連結具38と連結されるようになっている。各連結具38は、前記防舷材35と同様に、例えば、発泡ネオプレーンゴムによって、中空の断面半円筒状に構成されており、対をなす連結具38同士が、各連結具38の長さ分だけ間隔をあけた状態になっている。そして、相互に対向状態とされる各単位構造体10の対をなす連結具38同士が、水平方向に交互に配列された状態になるように、それぞれの取付位置が、各単位構造体10において水平方向にずれた状態になっている。
【0067】
図10は、長手方向に連結された一対の単位構造体10の上下方向の中程の断面図である。各連結具38は、ボルト38aによって、各単位構造体10の上部被覆体31における端面31aに取り付けられている。水平方向に交互に配列されて一直線状になった4つの連結具には、1本の連結棒39が挿通されるようになっている。
【0068】
なお、各連結具38は、ボルト38aによって固定する方法に限らず、ステンレスベルトによって固定するようにしてもよい。
【0069】
上部構造部30と下部構造部20とが一体化された単位構造体10は、下部構造部20が水密状になっており、しかも、その吃水線は、下部構造部20の高さの30〜60%になっているために、上部構造部30は、常時、全体が水面上に位置しており、高乾舷が得られるとともに、優れた安定性が得られる。上部構造部30と下部構造部20とは、水密状態になっていないために、上部構造部30の内部空間内に浸入した水は、内部に溜まるおそれがなく、円滑に排水される。従って、単位構造体10の吃水が変化せず、所定の高乾舷が常時、確保される。
【0070】
下部構造物20は、水面上に浮遊し得るために、上部構造部30全体が水面よりも上方に位置することになり、単位構造物10自体は高乾舷になる。下部構造物20は、バラスト22および芯材23がそれぞれ充填された一対の下部被覆体20を一体化して構成されているために、安定性に優れている。しかも、下部構造部20自体が、底部に設けられたバラスト22によって優れた復元性を有している。下部構造部20は、芯材23が合成樹脂発泡体によって構成されているために、軽量であり、設置等が容易である。
【0071】
上部構造部30は、単位構造体10によって形成される浮き桟橋等の用途に応じて、その高さが変更される。この場合、上部被覆体31の垂直状態になった部分の上下方向長さを変更するだけで、上部構造部30の高さを変更し得る。従って、浮き桟橋等の用途に応じた乾舷を容易に得ることができる。しかも、ガラス繊維強化合成樹脂によって構成された上部構造部30の上部被覆体31および下部構造部20の下部被覆体21は、相互に突き合わされる部分が同形状になっているために、その部分を同一の金型を使用し、上部被覆体31における垂直方向長さを変更すればよいために、上部被覆体31の高さを容易に変更することができる。
【0072】
また、上部構造部30の各端部にそれぞれ設けられた各一対の空間内に、各貫通孔30aによって、バラスト材を注入することができるために、設置された単位構造体10の乾舷の調整も容易に行うことができる。
【0073】
上部構造部の高さは 400〜1000mmとすることが好ましい。 400mm以下になると、高乾舷を得ることができなくなり、1000mm以上になると、乾舷が高くなりすぎる。
【0074】
【発明の効果】
本発明の浮体構造物用単位構造体は、このように、軽量であるために、高乾舷であって安定性に優れた浮体構造物を容易に構築することができる。しかも、乾舷の調整も容易に行えるために、浮体構造物に適した乾舷を容易に得ることができる。このような単位構造物によって構築された浮体構造物は、高乾舷であって安定性に優れており、軽量であるために構築も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浮体構造物用単位構造体によって製造された浮体構造物の実施の形態の一例を示す浮き桟橋の一部破断斜視図である。
【図2】その浮き桟橋に使用される単位構造体の一部破断平面図である。
【図3】その単位構造体の一部破断側面図である。
【図4】その単位構造体の正面図である。
【図5】その単位構造体の横断面図である。
【図6】その単位構造体の要部を拡大して示す断面図である。
【図7】その単位構造体の他の要部を拡大して示す断面図である。
【図8】その単位構造体と他の単位構造体とを相互に連結した際の連結部における上部の断面図である。
【図9】その単位構造体と他の単位構造体とを相互に連結した際の連結部における他の実施の形態を示す上部の断面図である。
【図10】その単位構造体と他の単位構造体とを相互に連結した際の連結部における中程の断面図である。
【符号の説明】
10 単位構造体
20 下部構造部
21 下部被覆体
22 バラスト
23 芯材
25 接続マット
26 被覆板
30 上部構造部
31 上部被覆体
32 フレーム体
32d オーバーレイ
33 補強材
33b オーバーレイ
34 区画用補強材
Claims (15)
- 合成樹脂発泡体製の芯材を有し、水面上に浮遊するように水密状に構成された下部構造部と、
下面が開放され上面が閉塞された中空の箱状であって前記下部構造部の上面を覆うように配置されて接合された上部被覆体と、この上部被覆体の内部における上面の周縁部に沿って配置された枠状のフレーム体と、前記上部被覆体における内面に沿ってそれぞれ配置された板状の補強材とを有する上部構造部と、
を具備することを特徴とする浮体構造物用単位構造体。 - 前記上部構造部の内部には、垂直に配置された複数の区画用補強材によって複数の空間に分割されている請求項1に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記上部構造部は、各端部に配置された空間内にバラスト材充填用の貫通孔が設けられている請求項2に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記上部構造部のそれぞれの補強材および区画用補強材は、それぞれ、板状をした合成樹脂発泡体製の補強材本体部と、この補強材本体部を被覆する合成樹脂製のオーバーレイとによって構成されている請求項1に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記補強材および区画用補強材のそれぞれのオーバーレイが、熱硬化性の繊維強化合成樹脂で構成されている請求項4に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記上部被覆体が熱硬化性の繊維強化合成樹脂で構成されている請求項1に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記フレーム体が合成樹脂製のオーバーレイによって被覆されており、前記補強材のオーバーレイが、フレーム体のオーバーレイと一体化されている請求項4に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記補強材の補強材本体部は、嵩比重が0.02〜0.1 g/ccの合成樹脂発泡体である請求項4に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記下部構造部の芯材は、嵩比重が 0.001〜0.03g/ccの合成樹脂発泡体である請求項1に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記下部構造部は、上面が開放されて底面が閉塞された中空の箱状をした下部被覆体と、この下部被覆体の底部に充填されたバラストとを有し、前記芯材が、前記下部被覆体内のバラスト上に充填されており、前記下部被覆体の開放された上面が被覆板によって水密状に覆われている請求項1に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記下部被覆体が熱硬化性の繊維強化合成樹脂で構成されている請求項10に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記上部被覆体および下部被覆体が一体的に固定されている請求項10に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記上部被覆体および下部被覆体の相互に近接した部分が同一の形状に構成されている請求項10に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 前記下部構造部の高さが 400〜600 mm、前記上部構造部の高さが 400〜1000mmであり、下部構造部の吃水が30〜60%になっている請求項1に記載の浮体構造物用単位構造体。
- 請求項1に記載された1または複数の浮体構造物用単位構造体によって構築されていることを特徴とする浮体構造物。
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