JP3706737B2 - 炭化水素ガスの貯蔵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関あるいは燃料電池のエネルギ源等に使用される炭化水素ガスを貯蔵するための炭化水素ガスの貯蔵装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素ガスには、従来より高圧貯蔵、冷却液化等の様々な貯蔵法があるが、特に車両等の動力源である内燃機関用においては、高圧タンクによる貯蔵が一般的である。しかし、高圧貯蔵においては法規制上圧力制限があり、十分な貯蔵量を確保することができない。
【0003】
このため、活性炭にホストとなる化合物とともに吸着させる貯蔵方法が近年提案されている。このような貯蔵方法の例が、特開平9−210295号公報に開示されている。本従来技術においては、比表面積の大きい多孔質材料を吸着材として使用するとともに、水等のホストとなる化合物を共存させてメタン等の炭化水素ガスの包接化合物を形成し、この包接化合物を吸着材に吸着貯蔵するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術においては、吸着材へ炭化水素ガスを吸着させる際のホストとなる水が吸着材の表面で凝縮する場合がある。このような水の凝縮が吸着材表面に発生すると、炭化水素ガスの吸着材への接触が阻害され、炭化水素ガスの吸着が困難になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、吸着材表面における水の凝縮を抑制でき、炭化水素ガスの吸着を安定して行える炭化水素ガスの貯蔵装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、貯蔵タンク内に収容された吸着材に予め水を吸着させてから炭化水素ガスを吸着させる炭化水素ガスの貯蔵装置であって、前記貯蔵タンクと前記貯蔵タンク中から流出したガス中の水を分離するための分離器とが設けられたガス循環路を有することを特徴とする。
【0007】
また、上記炭化水素ガスの貯蔵装置において、前記ガス循環路では、前記貯蔵タンクから流出したガスは、前記分離器にて水分が分離され、そののち前記貯蔵タンクの入口側に戻されることを特徴とする。
【0009】
また、上記炭化水素ガスの貯蔵装置において、貯蔵タンク内の湿度を検出し、所定値以上の湿度の検出時に還流を実施することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0011】
実施形態1.
図1には、本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の実施形態1の構成図が示される。図1において、貯蔵タンク10には、炭化水素ガスを吸着貯蔵するための吸着材12が収容されている。この吸着材12としては、例えば活性炭等が好適である。本実施形態においては、吸着材12に予め水を吸着させてから炭化水素ガスを吸着させる。
【0012】
図1に示されるように、貯蔵タンク10の入口側には、水供給槽14が設けられており、この水供給槽14から水蒸気状の水を貯蔵タンク10に供給する。これにより、吸着材12に水を吸着させる。また、貯蔵タンク10は、ガス循環路中に配置されている。この循環路には、貯蔵タンク10中のガスを入口側に還流させるためのポンプ16及びガス中の水を分離するための分離器18が設けられている。このような構成により、貯蔵タンク10の中をガスが循環している状態で水蒸気または炭化水素ガスの吸着を行うことができる。これにより、水蒸気または炭化水素ガスは貯蔵タンク10への充填中に常に吸着材12に対して流れている状態となる。
【0013】
一般に、吸着材12に水蒸気または炭化水素ガスを吸着させると吸着熱が発生するが、このために吸着材12に吸着されている水が部分的に蒸発する。この吸着材12から蒸発した水蒸気あるいは水供給槽14から供給された水蒸気は、他の吸着材12等の温度の低い部分に移動し、ここで凝縮する。吸着材12の表面に一旦凝縮が生じ、水滴がつくと、これが核となってここに水蒸気がさらに凝縮していき、吸着材12の表面での凝縮が拡大していく。この現象は、吸着材12の表面にガスの流れがないときに特に顕著となる。これに対して、本実施形態のように貯蔵タンク10をガス循環路中に配置し、常にガスを貯蔵タンク10中に通過させながら吸着、充填を行えば、吸着材12の表面では常にガスが移動している状態となる。このため、吸着材12表面での水の凝縮を抑制することができる。
【0014】
貯蔵タンク10に炭化水素ガスを貯蔵する手順は以下の通りとなる。まずバルブa,cを開とし、その他のバルブを閉として図示しない真空ポンプにより貯蔵タンク10内を減圧する。次にバルブa,b,d,e,fを開とし、バルブc,gを閉として、水供給槽14から水蒸気状の水を貯蔵タンク10に供給する。この場合、ポンプ16を駆動し、貯蔵タンク10に供給された水蒸気を循環させるのも好適である。この場合には、分離器18の温度を、貯蔵タンク10に供給される水蒸気の温度と同温に設定しておく。これは、分離器18中の水温が水供給槽14から供給される水蒸気の温度よりも高くなると、吸着材12の温度は水供給槽14から供給される水蒸気の温度とほぼ等しくなっているため、吸着材12の表面で水の凝縮が発生するおそれがあるためである。なお、水蒸気の供給時には必ずしもガスの循環をかける必要はなく、ポンプ16を起動するか否かは、ポンプ16の動力損等を考慮して決定する。
【0015】
次に、バルブc,fを閉とし、バルブa,b,d,e,gを開とし、メタン等の炭化水素ガスを貯蔵タンク10に供給する。この場合には、ポンプ16を起動し、貯蔵タンク10に供給された炭化水素ガスを循環させる。貯蔵タンク10に炭化水素ガスを導入すると、吸着材12で吸着熱が発生するので、吸着材12の温度が上昇し、吸着していた水の一部が蒸発する。この水蒸気は、ポンプ16によって貯蔵タンク10から引き出された炭化水素ガスに同伴しているので、分離器18の水中を通過させることによりその一部を凝縮させる。このように、同伴している水蒸気の一部が凝縮され除去された炭化水素ガスは再び貯蔵タンク10の入口側に還流され貯蔵タンク10へ戻される。このように、本実施形態では、炭化水素ガスに同伴されてきた水蒸気は分離器18で凝縮されるので、この点でも吸着材12の表面での水の凝縮を抑制することができる。
【0016】
なお、図1に示された例では、貯蔵タンク10から流出したガスは、ポンプ16により再び貯蔵タンク10の入口側に還流させる構成となっているが、貯蔵タンク10の中を炭化水素ガスが移動できる構成であればこれに限定されるものではない。
【0017】
図2には、本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の実施形態1の変形参考例が示される。図2において、貯蔵タンク10から取り出されたガスは、熱交換器20で冷却され、再び貯蔵タンク10の入口側に還流される。この熱交換器20は、冷却水槽22との間でポンプ24により冷却水が循環される。これにより、貯蔵タンク10中の吸着材12への炭化水素ガスの吸着により発生する吸着熱を除去することができる。このため、貯蔵タンク10中の温度上昇を小さくすることができ、貯蔵タンク10内での温度を均一化することができる。吸着材12への炭化水素ガスの吸着量は温度に依存するため、貯蔵タンク10内の温度を均一化することにより吸着量のばらつきを小さくすることができる。また、吸着材12への水の吸着量は、炭化水素ガスの吸着量に大きく影響を与えるが、この水の吸着量も均一化することができるので、炭化水素ガスの吸着を効率的に行うことができ、結果的に炭化水素ガスの吸着量を向上させることができる。更に、貯蔵タンク10内の温度が均一化されるので、局部的な温度上昇が抑制され、高温部分で蒸発した水が低温部分に移動して凝縮するという現象を抑制でき、吸着材12の表面での水の凝縮を大幅に抑制することもできる。
【0018】
また、図2に示されるように、熱交換器20は貯蔵タンク10の外部に設けられているので、貯蔵タンク10内の有効容積を減らすことなく冷却を行うことができる。
【0019】
この熱交換器20の冷却効果を調査するために、吸着材12として粒状椰子殻活性炭1kgを使用し、これに水蒸気及び炭化水素ガスを吸着した場合に、熱交換器20の有無により温度差がどうなるかを調べた。その結果、水蒸気導入時においては、熱交換器20がない場合に活性炭温度が35℃上昇したのに対し、熱交換器20を使用した場合には温度上昇は10℃に留まった。この場合の冷却水温度は25℃であった。また、炭化水素ガスとしてメタンを使用し、これを吸着させた場合には、熱交換器20がないときに27℃の温度上昇となったのに対し、熱交換器20を使用した場合には8℃の上昇に留まった。
【0020】
以上のとおり、本実施形態に係る熱交換器20は吸着材12の温度上昇を抑制する効果が大きいことがわかった。
【0021】
図1及び図2に示された例においては、水蒸気あるいは炭化水素ガスの充填初期において還流用のポンプ16の出力を上昇させ、貯蔵タンク10を通過するガスの流速を上げることも好適である。これは、図3に示されるように、一般に吸着材12への吸着により発生する吸着熱は、吸着の初期段階で最も大きくなる。この充填初期段階で、ポンプ16の出力を通常の2〜10倍程度に上昇させ、流速を上げれば、吸着材12に吸着している水あるいは炭化水素ガスの脱離量も多くすることができる。このため、脱離により奪われる潜熱も多くなるが、吸着材12への吸着速度は温度が低いほど高くなるので、ガスの吸着速度を上げることができるからである。
【0022】
例えば、吸着材12に水蒸気を吸着させる場合、始めの10分間で通常は最高10℃程度温度上昇するのに対し、ポンプ出力を5倍とした場合には温度上昇を最高7℃に抑制することができる。
【0023】
また、貯蔵タンク10内に湿度センサを設けておき、検出される湿度が所定値以上となったときのみ還流用のポンプ16が起動するように構成しておくことも好適である。これにより、ポンプ16の動力を節減できるとともに、タンク10内の湿度が高くなり、吸着材12の表面で水が凝縮しやすくなった場合のみポンプ16を起動してこの凝縮を防止することができる。
【0024】
実施形態2.
図2に示された例において、貯蔵タンク10の温度が上昇するのは、貯蔵タンク10に水蒸気及び炭化水素ガスを吸着貯蔵する際と貯蔵タンク10が直射日光にさらされた場合である。しかし、図2に示された本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置を自動車に適用する場合には、フォークリフト等の特殊用途を除いて通常貯蔵タンク10が直接太陽光に照射される可能性は非常に小さい。したがって、水蒸気あるいは炭化水素ガスのガス充填時以外に貯蔵タンク10の温度が上昇する可能性も非常に小さい。
【0025】
以上の通りであるので、図2に示されたポンプ16、熱交換器20、冷却水槽22、ポンプ24等は、ガス充填時のみ使用されることになる。このため、車両側には、貯蔵タンク10とこれにガスを供給するためのガス供給口及びガスを排出するためのガス排出口のみ設けておけばよい。この場合、バルブaが本発明に係るガス供給口に相当し、バルブbがガス排出口に相当する。
【0026】
また、上述したポンプ16、熱交換器20、冷却水槽22、ポンプ24等は、ガス供給口であるバルブa及びガス排出口であるバルブbに接続され、本発明に係るガス還流手段を構成する。また、ガス供給口であるバルブaに接続される水供給槽14、バルブc,e,f,gは本発明に係るガス供給手段を構成する。これらのガス供給手段とガス還流手段とは車両の外に設置することができる。なお、前述したガス供給手段とガス還流手段とにより本発明に係るガス供給設備が構成される。
【0027】
以上のようなガス供給設備は、例えば燃料スタンド側に設置すればよい。このような構成により、車両側には、コンパクトでシンプルな設備のみ搭載すればよくなる。また、還流用のポンプ16を駆動するための動力エネルギを車両のバッテリから供給する必要がなくなるので、バッテリの早期劣化を防止することもできる。
【0028】
実施形態3.
図4には、本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の実施形態3の構成図が示される。図4において、貯蔵タンク10に水蒸気及び炭化水素ガスを導入する際には、導入されるガスの一部を回収タンク26に流しながら行う。炭化水素ガスを貯蔵タンク10に導入する場合には、レギュレータ28により貯蔵タンク10内の圧力を管理しながら上記ガス導入を行う。
【0029】
このような構成により、図1、図2に示された実施形態と同様に、貯蔵タンク10に収容された吸着材12への水蒸気あるいは炭化水素ガスの吸着を、吸着材12に対してガスを流しながら行うことができる。このため、前述したように、吸着材12の表面での水の凝縮を抑制することができる。また、炭化水素ガスの導入時には貯蔵タンク10の圧力をレギュレータ28で管理しているので、貯蔵タンク10の圧力を高くする必要がある場合にも本実施形態に係る充填方法を適用することが可能である。
実施形態4.
【0030】
図5には、本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の実施形態4に使用される貯蔵タンク10の例が示される。図5において、貯蔵タンク10は回転しない外部ケース30と、外部ケース30に回転可能に収容された回転ドラム32とで構成されている。この外部ケース30及び回転ドラム32は円筒形状となっているが、回転ドラム32が回転できる構成であれば形状はこれに限られるものではない。
【0031】
回転ドラム32の軸方向の両端には、多孔質板34が設置され、内部に吸着材12が収容されている。この吸着材12の収容量は、回転ドラム32を100%充填する量ではなく、およそ80〜90%程度の充填量となっている。したがって、回転ドラム32が回転した場合、中に収容された吸着材12が流動可能な状態となっている。なお、外部ケース30は、炭化水素ガスの高圧充填を可能とするため、耐圧容器とするのが好適である。
【0032】
回転ドラム32は、軸36を介しモータ38に接続されており、モータ38によって図5に示された矢印A方向に回転される。軸36が外部ケース30の壁を通過する部分には耐圧用のシール40が施され、ガス漏れを防止している。また、外部ケース30には、ガス導入口42が設けられており、このガス導入口42から水蒸気及び炭化水素ガスが導入される。
【0033】
このような構成により、水蒸気及び炭化水素ガスをガス導入口42から導入する際に、モータ38により回転ドラム32を回転させると、前述したように吸着材12の充填量が100%となっていないので、吸着材12が流動しながらガスの吸着が行われる。このため、吸着材12に対してガスを流しながら吸着させる場合と同じ効果を得ることができる。したがって、水蒸気及び炭化水素ガスを吸着材12に吸着させる際に、吸着材12の温度分布等に起因して発生する吸着材12の表面の水の凝縮を抑制することができる。
【0034】
図6には、図5に示された回転ドラム32の参考例の断面図が示される。図6において、回転ドラム32の内部には、吸着材12を攪拌するための羽根44が設けられている。この羽根44により、回転ドラム32の回転に伴い内部に収容された吸着材12の攪拌効果を高めることができる。
【0035】
図7には、図5に示された外部ケース30の変形参考例の断面図が示される。図7において、外部ケース30には回転ドラム32が収容されていない。この代わりに、モータ38によって回転される軸36に回転体46が取り付けられている。回転体46は、軸36の回転とともに外部ケース30内で回転し、中に収容されている吸着材12を攪拌する。なお、この回転体46には、図7に示されるように、熱交換用のフィン48を取り付けるのも好適である。
【0036】
図6及び図7に示されるように、貯蔵タンク10内に収容された吸着材12は、回転ドラム32の羽根44あるいは回転体46で攪拌されるので、水蒸気及び炭化水素ガスの充填時に、ガスと吸着材12とが相対的に移動する状態となるので、図1に示されたようにガスを吸着材12に対して流しながら吸着を行う場合と同じ効果を得ることができる。なお、回転ドラム32及び回転体46が本発明の参考例に係る攪拌手段を構成する。
【0037】
参考実施形態1.
図8には、本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態1に使用される貯蔵タンク10の例が示される。図8において、貯蔵タンク10には複数の通気性容器50が設けられている。図8に示された例では、通気性容器50は、重力方向(図の上下方向)に二段に配置されている。この通気性容器50は、重力方向の上下の壁が通気性を有する材料で構成されており、この方向にガスを流せるようになっている。
【0038】
また、通気性容器50の上下には、図8に示されるように、ガスを通すためのマニホールド52が形成されている。通気性容器50の下側に形成されたマニホールド52にはガス入口管54が接続されており、通気性容器50の上側に形成されたマニホールド52にはガス出口管56が接続されている。
【0039】
本参考実施形態において、ガス入口管54から水蒸気あるいは炭化水素ガスを供給すると、通気性容器50中を図の矢印方向にガスが流れ、ガス出口管56から排出される。本参考実施形態では、通気性容器50の内部にその重力方向上部に空間を残した状態で吸着材12が収容されている。したがって、ガスを吸着材12に吸着させる際に、通気性容器50中に収容された吸着材12をガスの流れによって流動させることができる。すなわち、各通気性容器50が流動床と同様に機能することになる。これにより、吸着材12へのガスの吸着中に、ガスと吸着材12とが相対的に移動することになるので、図1に示されたガスを流しながら吸着する場合と同様の効果を得ることができる。
【0040】
なお、通気性容器50のガス通過長さ及び断面積は、吸着させるガスの流速によって吸着材12を十分流動できるような寸法とする必要がある。このため、使用する吸着材12の重量、形状等によりガス通過長さ及び断面積を決定する。例えば、吸着材12として関西熱化学社製の粉末状の活性炭マックスソーブを使用した場合には、通気性容器50の断面積を3cm2とし、ガス通過長さを10cmとし、また通気性容器50の上部空間高さが0.5〜1cmとなるように上記活性炭を充填すれば好適な流動性を得ることができた。また、活性炭としてキャタラ製粒状椰子殻活性炭を使用した場合には、通気性容器50の断面積を3cm2とし、ガス通過長さを1cm以内とし、上部空間高さを0.2〜0.5cmとすると良好な流動性を得ることができた。
【0041】
参考実施形態2.
以上に説明した各実施形態及び参考実施形態では、吸着材12中を吸着ガスを流したり攪拌手段を用いて吸着材12を攪拌する等の方法により吸着材12と吸着させるガスとを相対的に移動させるように構成されている。このように、吸着材12と吸着されるガスとを相対的に移動させる手段として、貯蔵タンク10に振動を与える方法も考えられる。このような振動付与手段としては、例えば超音波振動発生装置が考えられる。発生される超音波振動の強度しては、貯蔵タンク10に収容された吸着材12にほぼ均等な振動を与えることができる程度のものが望ましい。実験の結果、貯蔵タンク10に超音波振動を与えた場合、水蒸気及び炭化水素ガスを吸着材12に吸着させる際に、吸着材12の表面に発生する水の凝縮を防止する効果が十分確保されることがわかった。
【0042】
参考実施形態3.
図9には、本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態3に使用される貯蔵タンク10の例が示される。図9において、貯蔵タンク10には、吸着材12を収容するためのハニカム構造体58が収容されている。このハニカム構造体58は、図10に示されるように、断面が六角形状の空洞部分をハチの巣状に積層した構造となっている。吸着材12は、上記断面が六角形状の空洞部分に収容される。このハニカム構造体58の前後には、多孔質膜60が配置されており、ガスの吸着、脱離時に、吸着材12が外部に飛散することを防止している。
【0043】
一般に、活性炭等の吸着材12は熱伝導率が低いが、本参考実施形態のように、ハニカム構造体58の中に分散し、ハニカム構造体58を銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属で構成しておけば、吸着材12の加熱及び冷却を効率よく行うことができる。すなわち、吸着材12としては、活性炭、FSM等の粒状、粉末状、繊維状のものがあるが、上述のとおりハニカム構造体58としては、これらよりも高熱伝導率の銅あるいはアルミニウム等の金属によって構成される。
【0044】
ハニカム構造体58は、上記図10に示されるように、断面が六角形状の空洞部分をハチの巣状に積層した構造となっているが、この六角形状のd値すなわち中心からの距離が最も長い部分の長さとしては、5mm以内とするのが好適である。特に、1〜3mm程度とするのが望ましい。このd値が5mmより大きくなった場合、中に収容されている吸着材12について六角形の中心部と壁部との間で大きな温度差が生じてしまう。吸着材12に温度差が生じることにより、高温部分で吸着材12に吸着された水が蒸発し低温部分に移動して吸着材12の表面に凝縮が生じるおそれがある。
【0045】
また、ハニカム構造体58の長手方向の長さlとしては、上述のd値に対し20倍以内とすることが望ましい。この長手方向の長さlが長くなると、特に貯蔵タンク10内の圧力が0.3×105Pa〜0.5×105Pa程度まで上昇した場合、水蒸気あるいは炭化水素ガスがハニカム構造体58の奥まで拡散せず、十分に吸着を行わせることができないという問題が生じる。
【0046】
上述のとおり、吸着材12は、ハニカム構造体58中に収容されており、水蒸気又は炭化水素ガスがガス入口管54から多孔質膜60を介してハニカム構造体58に供給されると、ここで吸着材12へのガスの吸着が行われる。なお、余剰のガスはガス出口管56から排出される。したがって、本参考実施形態においても、ガスが吸着材12に吸着される際には、吸着材12に対してガスが流れる状態を維持することができる。これにより、吸着材12の表面での水の凝縮を抑制することができる。
【0047】
また、ハニカム構造体58には、冷却及び加熱を行うための冷却水、温水供給配管62が接続されている。この冷却水・温水供給配管62により供給された冷却水又は温水は、ハニカム構造体58の周囲側を流れ、ハニカム構造体58と熱交換した後冷却水・温水出口配管64から排出される。
【0048】
図11には、図10に示されたハニカム構造体58を貯蔵タンク10に収容し、加熱、冷却を実施する場合の例が示される。図11において、ハニカム構造体58は円筒形状の収容管66中に収容され、この収容管66が断面六角形状のハニカム収容管68中に収容されている。したがって、収容管66とハニカム収容管68との間には隙間70が生じている。このため、図9に示された冷却水・温水供給配管62から供給された冷却水あるいは温水は、この隙間70を流れることができる。前述したように、ハニカム構造体58は、吸着材12よりも熱伝導率が高いので、隙間70に冷却水あるいは温水を流せば、ハニカム構造体58の六角形状の壁を伝熱し、中に収容された吸着材12の加熱あるいは冷却を十分に行うことができる。
【0049】
以上のようなハニカム構造体58を採用した場合、ハニカム構造体58の材料としてアルミニウムあるいは銅を使用し、壁の厚さを0.1〜0.3mm程度とした場合、ハニカム構造体58全体での熱伝導率は、10W/℃・m程度を確保することができる。この場合、ハニカム構造体58の占める容積は全体の2%程度であり吸着材12の充填率として98%程度を確保することができる。
【0050】
このようなハニカム構造体58に対して、図11に示されたような冷却方法を使用した場合、ハニカム構造体58の中心部にある吸着材12の温度は、吸着熱の大きい炭化水素ガスの吸着時で、最高冷却水温度に対して11℃上昇することが確認された。この程度に温度差が生じた場合、吸着材12への炭化水素ガスの吸着量のばらつきが生じ、結果として吸着量を低下させる原因となる可能性がある。したがって、このようなハニカム構造体58に対し、図2に示されたインタークーラータイプの熱交換器20をあわせて使用すれば、更に冷却効率を上げることができる。実験の結果、ハニカム構造体58の中心部分の吸着材12の温度を冷却水温度に対して3℃以内の上昇に抑えることができた。
【0051】
なお、吸着材12の表面で水の凝縮が生じやすいのは、特に再充填時における水導入の初期段階及び炭化水素ガス導入の初期段階である。これは、水蒸気あるいは炭化水素ガスの導入初期では、図3に示されるように発生する吸着熱が大きいので、この吸着熱により吸着材12に吸着している水の一部が蒸発し、これが低温部分に移動して凝縮するためと考えられる。
【0052】
したがって、吸着熱の発生量の大きい水蒸気及び炭化水素ガスの導入初期段階において、前述した冷却能力を大きくすることが望ましい。すなわち、図11に示された隙間70に冷却水を流す方法及び図2に示されたインタークーラーである熱交換器20を使用する方法を併用する場合には、上記吸着の初期段階において最も冷却能力が高くなるように運転するのがよい。図12は、吸着材12への水蒸気及び炭化水素ガスの吸着脱離の1サイクル目及び2サイクル目以降すなわち再充填時における、隙間70へ冷却水の供給の有無及び熱交換器20へ冷却水を循環させるためのポンプ24の起動状況の一例を示したものである。図12において、1サイクル目の水蒸気導入時においては、隙間70への冷却水の供給は行わず、ポンプ24のみ起動している。また、炭化水素ガス導入時においては、隙間70への冷却水の供給も行うが、吸着量が30%を越えた時点以降は吸着熱の発生量が低下するので隙間70への冷却水の供給を停止する。これに対して、2サイクル目以降では、水蒸気導入時及び炭化水素導入時とも初期段階では隙間70への冷却水供給及びポンプ24の起動を行っている。ただし、隙間70への冷却水供給はそれぞれ吸着量が30%を越えた時点以降で停止している。これは、上述したように吸着熱の発生量が低下するためである。
【0053】
このように、特に2サイクル目以降において、水蒸気および炭化水素ガスの導入初期段階で系の冷却能力を高くし、吸着材12の表面への水の凝縮を防止している。一方、吸着量が一定レベルを越えた時点以降においては、吸着熱の発生が減るので隙間70への冷却水供給を停止している。このような方法により、吸着材12の温度を均一化でき、吸着材12の表面での水の凝縮を抑制できるとともに、隙間70へ供給する冷却水製造用エネルギを節減することもでき、全体としてエネルギコストを30〜40%低減することが可能となる。
【0054】
図13には、図10に示されたハニカム構造体の変形参考例が示される。図13においては、ハニカム構造体58は金属製であり、その長手方向の一端側と他端側に電極72が設けられている。この電極72に通電することにより、電流が金属製のハニカム構造体58中を流れ、これにより発熱させることができる。このため、ハニカム構造体58中の吸着材12を急速に加熱することができ、炭化水素ガスの脱離を促進させることができる。
【0055】
なお、本参考実施形態に係るハニカム構造体58は、長手方向に伸ばすことが可能であるので、一般的に円筒形状である貯蔵タンク10に収容するには好適な形状となっている。
【0056】
参考実施形態4.
図14には、本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態4に使用されるハニカム構造体58の例が示される。図14において、ハニカム構造体58には、その長手方向にそれぞれ等しい間隔を隔てて複数の電極72が設けられている。図14に示された例では、その両端を含めて6箇所に電極72が設けられているが、必ずしもこれに限られるものではなく、ハニカム構造体58の長手方向の一端側と他端側を含む3箇所以上に電極72が設けられていればよい。
【0057】
参考実施形態3で説明した図13に示された例では、ハニカム構造体58の両端に電極72が設けられているので、常にハニカム構造体58の全体部分に電流を流すこととなり、エネルギコストが高くなる。これに対して、本参考実施形態の構成によれば、必要な部分にのみ電流を流すことができ、電力消費量を低減させることが可能となる。例えば、図の右側から脱離された炭化水素ガスが排出されていく場合、まず電極72のうちEとFの間に電流を流し、その間に吸着されている炭化水素ガスを脱離する。次に電極72のうちDとFの間に電流を流し、DとEとの間に吸着されている炭化水素ガスを脱離する。このように、ハニカム構造体58の長手方向の出口側から加熱を行い炭化水素ガスを脱離させていくのは、吸着材12の表面での水の凝縮を防止するためである。すなわち、もしも出口から最も遠いAとBの間で電極72に通電した場合には、AB間に吸着されていた炭化水素ガスが脱離され、このガスがC→D→E→Fの順でハニカム構造体58中を通過していく。この時、出口側に近い電極72(C、D、E、F)には通電されていないため、この部分での吸着材12の温度が低くなっている。この温度の低い吸着材12の表面で、AB間で蒸発した炭化水素ガスに同伴されてきた水が凝縮する可能性が高いからである。
【0058】
以上のような構成及び出口側の電極72から通電するという通電順序を実施することにより吸着材12の表面での水の凝縮を抑制することができるとともに電力消費量の節減も図ることができる。
【0059】
参考実施形態5.
図15には、本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態5に使用される貯蔵タンク10の断面図が示される。参考実施形態4の図14においては、ハニカム構造体58の長手方向に電極72を並べていたが、図15では、貯蔵タンク10の内部に、同心円状に電極72の取り付けられたパイプA、B、Cが配置されている。また、各パイプA、B、Cの間には、補強部材74が橋渡しされており、各パイプA、B、Cを支持している。なお、パイプA、B、Cは、必ずしも同心円状に配置される必要はなく、貯蔵タンク10の内部を分離する隔壁であればよい。このように本参考実施形態では、隔壁すなわちパイプA、B、Cにより貯蔵タンク10の内部を分離する金属製層状構造体が貯蔵タンク10に収容されており、各パイプの間の空洞部分に吸着材12が充填されている。
【0060】
このような構成とすることにより、貯蔵タンク10の長手方向については、温度を均一にしやすくなる。このため、吸着材12の表面での水の凝縮を抑制することができる。また、吸着材12を加熱して炭化水素ガスを脱離させる際には、パイプA、B、Cの順序で各々通電させ、貯蔵タンク10の外周部分から順次脱離させるか、あるいはこの逆の順序でパイプC、B、Aに通電し、ハニカム構造体58の最内周部分から炭化水素ガスを順次脱離させていく方法が好適である。これにより、図14に示した参考実施形態と同様に部分的な通電で、水の凝縮を発生させずに炭化水素ガスの脱離を行うことができるので、電力消費量の節減も図ることができる。
【0061】
参考実施形態6.
炭化水素ガスとして例えばメタンを使用した場合、特定の温度、圧力条件においては、水とメタンとがメタンハイドレートを形成し、シャーベット状の結晶となることが知られている。このようなメタンハイドレートが形成されると、炭化水素ガスの供給配管を詰まらせたり、メタンハイドレート形成時の体積膨張により、貯蔵タンク10等に加重がかかり、耐久性等に悪影響が及ぼされるという問題がある。したがって、貯蔵タンク10内の圧力を高圧として炭化水素ガスを貯蔵する場合には、このメタンハイドレートの形成を抑制する対策が必要である。
【0062】
図16には、メタンガスと水との温度及び圧力に対して、メタンハイドレートが形成される領域が示される。図16において、直線αよりも上の領域で上述のメタンハイドレートが形成される。図16に示されるように、圧力が高いほどメタンハイドレートが形成されやすく、また温度が高いほどメタンハイドレートの形成が抑制される。したがって、貯蔵タンク10中の吸着材12から炭化水素ガスを脱離させる際等には、吸着材12の温度が低下するのでメタンハイドレートがより形成されやすくなる。また、炭化水素ガスの脱離時ではなくても、例えば冬場等に貯蔵タンク10を外気温の状態で放置している場合にもメタンハイドレート形成領域に入る可能性がある。
【0063】
このため、貯蔵タンク10の温度と圧力とを検出し、図16に示されるメタンハイドレート形成領域に入る場合には、貯蔵タンク10の加熱を実行する必要がある。この加熱方法としては、図2に示された熱交換器20を使用する方法、図11に示された隙間70に温水を流す方法、図13、図14、図15に示された通電により加熱する方法等を使用することができる。
【0064】
参考実施形態7.
図9に示された貯蔵タンク10の例では、ハニカム構造体58中に充填された吸着材12の飛散を防止するために、その入口側及び出口側に多孔質膜60が配置されている。この多孔質膜60の孔径は、吸着材12の径よりも小さくする必要があるが、加工上の制約から、上記孔径は10μm程度が限界となっている。このように、多孔質膜60の孔径は非常に小さくする必要があるので、吸着材12に水蒸気を吸着させたり、あるいは吸着材12から炭化水素ガスを脱離させる際にこれに同伴される水蒸気が多孔質膜60の孔で凝縮する場合がある。これを防ぐためには、例えば上述した多孔質膜60の孔径を大きくすることが考えられるが、これに伴い吸着材12の径も大きくする必要がある。しかし、吸着材12の径を大きくするのは、炭化水素ガスの吸着量を増やす必要がある点からいって得策ではない。
【0065】
また、吸着材12の粉末をペレット状に固めて使用する方法も考えられるが、使用中にペレットが崩れ粉末状になって飛散する可能性があるので、この粉が多孔質膜60の孔を塞ぎ、かえって水の凝縮を促進してしまう場合がある。
【0066】
そこで、多孔質膜60を金属製とし、これに電極を取り付けて電流を流すことにより多孔質膜60を加熱する方法が有効である。この場合、通過するガスよりも5℃程度温度を高くすればよい。なお、図9に示された貯蔵タンク10では、その入口側及び出口側に2つの多孔質膜60があるが、凝縮が生じやすいのは特に入口側であるので、上述した対策は少なくとも入口側の多孔質膜60に実施するのがよい。
【0067】
このように、貯蔵タンク10の構成体である多孔質膜60等の少なくとも一部を加熱する方法は水の凝縮を抑制するうえで有効である。
【0068】
参考実施形態8.
貯蔵タンク10に収容された吸着材12に水蒸気を吸着させた後、炭化水素ガスを急速に導入すると、吸着材12の表面で水の凝縮が発生しやすいことが実験の結果判明した。これは、炭化水素ガスが吸着材12に吸着する際に発生する吸着熱により、先に吸着していた水が蒸発し、この水蒸気が低温部分に移動して凝縮を起こすためと考えられる。
【0069】
図17には、貯蔵タンク10中の活性炭単位重量当たりへの炭化水素ガスの吹き込み流量に対する水の凝縮を引き起こす確率の関係が示される。図17においてφは、吸着材12の最大水吸着量に対する実際に吸着している水の割合を示す。図17からわかるように、いかなるφの値においても、炭化水素ガスの吹き込み流量を30〜300cc/分・gとすれば水の凝縮が発生しないことがわかる。なお、この値は、吸着材12として活性炭を使用した場合のものであるが、使用する活性炭の種類が変わったり、あるいは他の種類の吸着材例えばFSM等を使用すれば異なった値となる。したがって、各吸着材12の種類に応じた最適値をあらかじめ測定しておき、炭化水素ガスの吹き込み速度をその値よりも小さい値に維持するようにすればよい。
【0070】
炭化水素ガスの吹き込み流量を30〜300cc/分・gとする方法としては、例えば炭化水素ガスの吹き込み時の吹き込み圧力と貯蔵タンク10の圧力との差圧を0.03〜1.0気圧(3.039×103〜1.013×105Pa)以下で導入することが考えられる。また、貯蔵タンク10の入口側にバッファタンクを設け、これに続いて焼結体フィルタを通し、この絞り効果により炭化水素ガスの吹き込み速度を抑制する方法も考えられる。
【0071】
参考実施形態9.
図18には、本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態9の構成例が示される。図18において、貯蔵タンク10内には、吸着材12の加熱をおこなうための内部熱交換器76が設けられている。内部熱交換器76には、温水槽78が接続されており、ポンプ24により温水が循環される構成となっている。これにより、貯蔵タンク10内の吸着材12を加熱し、炭化水素ガスの脱離を促進することができる。
【0072】
更に、貯蔵タンク10のガスの入口側には、空気送りポンプ80がバルブh、レギュレータ82を介して接続されている。この空気送りポンプ80により、レギュレータ82で圧力調整されながら空気が貯蔵タンク10に吹き込まれる。空気が貯蔵タンク10に吹き込まれると、空気がメタン等の炭化水素ガスよりも吸着材12に吸着されやすいため、炭化水素ガスと空気とが置換され、これにより炭化水素ガスの脱離を促進することができる。なお、空気の代わりに水蒸気を吹き込むのも好適である。水蒸気を吹き込んだ場合には、水蒸気の吸着熱により貯蔵タンク10内の吸着材12の温度が上昇し、炭化水素ガスの脱離を促進させることができる。
【0073】
以上より、ポンプ24を起動し、内部熱交換器76に温水槽78からの温水を循環させることに加え、空気による吸着材12への置換を行えば、炭化水素ガスの脱離がさらに促進される。これにより、貯蔵タンク10内を内部熱交換器76により加熱することのみの場合よりも炭化水素ガスの脱離量を増加させることができる。
【0074】
なお、内部熱交換器76で貯蔵タンク10内を加熱した場合に、貯蔵タンク10内の圧力が上昇するので、この圧力を圧力計84で監視しながらレギュレータ86で圧力調整しつつバルブbから利用システム側に炭化水素ガスを供給することになる。
【0075】
図19には、本実施形態に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の変形参考例が示される。図19においては、貯蔵タンク10内に熱交換器は設けられておらず、その代わりに空気の供給ラインに空気加熱器88が設けられている。この空気加熱器には、温水槽78からポンプ24により温水が供給され、空気送りポンプ80によって送られてきた空気を加熱する。この加熱空気は、バルブaを介して貯蔵タンク10内に吹き込まれる構成となっている。
【0076】
このような構成により、加熱された空気を貯蔵タンク10に吹き込むことにより、空気による置換作用と加熱作用とを同時に与えることができ、吸着材12からの炭化水素ガスの脱離を促進させることができる。
【0077】
以上に述べた図18及び図19の例では、貯蔵タンク10内に空気を吹き込む構成となっているので、圧力計84によって検出したタンク内の圧力に応じて、空気の吹き込み量を調整し、貯蔵タンク10から排出される炭化水素ガスを、その燃焼範囲の混合気体として取り出すことも可能である。例えば、炭化水素ガスとしてメタンを使用した場合、その燃焼範囲はメタンが5〜15%であるので、このような割合の混合ガスとなるように、空気の吹き込み量を調整する。
【0078】
このような構成により、炭化水素ガスを内燃機関に使用する場合には、キャブレターを介さずに直接貯蔵タンク10から内燃機関に炭化水素ガスを供給することが可能となる。
【0079】
また、図19の構成によれば、貯蔵タンク10内に内部熱交換器76がないので、そのぶん有効スペースを多く確保することができ、貯蔵タンク10内の炭化水素ガスの貯蔵量を増加させることもできる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、貯蔵タンクがガス循環路中に配置されることにより、炭化水素ガスの吸着中に流速が付与されるので、吸着材表面での水の凝縮を抑制することができる。また、貯蔵タンクから排出されたガスを一部貯蔵タンクの入口側に還流させ、その際に冷却を行うので、吸着材で発生している吸着熱を除去でき貯蔵タンク内の吸着材の温度を低下させることができるので、炭化水素ガスの吸着量を増加させることができる。また、吸着材の温度を均一化でき、吸着材の温度分布により生じる吸着材表面の水の凝縮も抑制できる。更に、貯蔵タンクの入口側に還流させるガスに含まれる余分な水分を除去するので、吸着材表面での水分の凝縮を一層抑制することができる。
【0081】
また、本発明の参考例では、貯蔵タンク内に攪拌手段を設け、吸着材を攪拌するので、吸着材に、水蒸気及び炭化水素ガスに対して相対的に流速が与えられ、水の凝縮を抑制することができる。また、貯蔵タンク内に通気性容器を備え、この通気性容器中に吸着材を収容するとともに通気性容器の下部からガスを導入するので、吸着材が流動して、ガスとの間で相対的に流速が付与され、これによっても水の凝縮を抑制することができる。
【0082】
更に、本発明の参考例では、貯蔵タンクを振動付与手段によって振動させても、ガスとの間で相対的に流速が付与され、同様に水の凝縮を抑制することができる。
【0083】
また、本発明を車両に応用する場合、貯蔵タンクのみを車両に搭載すればよいので、車両に搭載すべき設備をコンパクトにすることができる。
【0084】
また、吸着材を高熱伝導率材料で形成されたハニカム構造体中に充填すれば、吸着材の熱放出を促進でき、温度分布を均一にできるので、低温部分での水の凝縮を抑制することができる。
【0085】
また、ハニカム構造体の長手方向の一端側と他端側に電極を設け、通電により加熱すれば、ハニカム構造体の全体を均一に加熱でき、炭化水素ガスの脱離放出を促進することができる。このとき、電極を3個以上設け、ハニカム構造体の出口側から順次加熱することにより、加熱脱離された炭化水素ガスが低温部分を通らないようにでき、炭化水素ガスに同伴された水の凝縮を抑制することができる。
【0086】
また、貯蔵タンクに、その内部を隔壁により分離する金属製層状構造体が収容されることにより、これに通電すれば貯蔵タンクの長手方向での温度を均一化することができ、水の凝縮を抑制しながら炭化水素ガスの脱離を行うことができる。
【0087】
また、あらかじめハイドレート形成領域となる所定の条件を検出し、貯蔵タンク内を適宜加熱することにより、ハイドレートの形成を防止でき、配管の詰まりや貯蔵タンクへの有害な負荷を防止することができる。
【0088】
また、貯蔵タンクの構成体の少なくとも一部を加熱しあるいは充填時に充填ガスの流量を30〜300cc/分・gとすることにより、水の凝縮を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の実施形態1の構成図である。
【図2】 本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の実施形態1の変形参考例を示す構成図である。
【図3】 吸着材にガスを吸着させる際に発生する吸着熱の時間変化を示す図である。
【図4】 本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の実施形態3の構成を示す図である。
【図5】 本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の実施形態4に使用される貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図6】 図5に示された貯蔵タンクに設けられる回転ドラムの構成を示す断面図である。
【図7】 図5に示された貯蔵タンクに設けられる回転体の構成を示す断面図である。
【図8】 本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態1に使用される貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図9】 本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態3に使用される貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図10】 図9に示された貯蔵タンクに使用されるハニカム構造体の構成を示す図である。
【図11】 図10に示されるハニカム構造体を収容するハニカム収容管の構成を示す断面図である。
【図12】 図10に示された貯蔵タンクの使用方法の例を示す説明図である。
【図13】 図10に示されるハニカム構造体の変形参考例を示す図である。
【図14】 本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態4に使用される貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図15】 本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態5に使用される貯蔵タンクの構成を示す断面図である。
【図16】 メタンハイドレートの形成領域を示す説明図である。
【図17】 活性炭単位重量当たりへの炭化水素ガスの吹き込み流量に対する吸着材表面での水の凝縮を引き起こす確率を示す説明図である。
【図18】 本発明に係る炭化水素ガスの貯蔵装置の参考実施形態9の構成を示す図である。
【図19】 本発明に係る炭化水素ガス貯蔵装置の参考実施形態9の変形参考例を示す図である。
【符号の説明】
10 貯蔵タンク、12 吸着材、14 水供給槽、16 ポンプ、18 分離器、20 熱交換器、22 冷却水槽、24 ポンプ、26 回収タンク、28 レギュレータ、30 外部ケース、32 回転ドラム、34 多孔質膜、36 軸、38 モータ、40 シール、42 ガス導入口、44 羽根、46 回転体、48 フィン、50 通気性容器、52 マニホールド、54 ガス入口管、56 ガス出口管、58 ハニカム構造体、60 多孔質膜、62 冷却水・温水供給配管、64 冷却水・温水出口配管、66 収容管、68 ハニカム収容管、70 隙間、72 電極、74 補強部材、76 内部熱交換器、78 温水槽、80 空気送りポンプ、82 レギュレータ、84 圧力計、86 レギュレータ、88 空気加熱器。
Claims (2)
- 貯蔵タンク内に収容された吸着材に予め水を吸着させてから炭化水素ガスを吸着させる炭化水素ガスの貯蔵装置であって、
前記貯蔵タンクと前記貯蔵タンク中から流出したガス中の水を分離するための分離器とが設けられたガス循環路を有し、
前記ガス循環路において、前記貯蔵タンクから流出したガスは、前記分離器にて水分が分離され、そののち前記貯蔵タンクの入口側に戻されることを特徴とする炭化水素ガスの貯蔵装置。 - 請求項1記載の炭化水素ガスの貯蔵装置において、前記貯蔵タンク内の湿度を検出し、所定値以上の湿度の検出時に前記還流を実施することを特徴とする炭化水素ガスの貯蔵装置。
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