JP3708003B2 - ピストン・シリンダ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂材料で形成されたシリンダ部材を有するピストン・シリンダ装置に関する。さらに特定すれば、本発明は上記のピストン部材の内面に耐薬品性または耐熱性の樹脂材料からなるピストンカバー部材を嵌合したピストン・シリンダ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、小形の噴霧器において、ピストル型と称される噴霧器がある。このピストル型の噴霧器は、使用者がレバーを握ることにより、このレバーに連動されたピストン・シリンダ機構により液を加圧し、この加圧された液がノズルから噴霧されるように構成されている。このようなピストン・シリンダ機構は、一般に小形のものであり、また合成樹脂材料で形成されている。
【0003】
ところで、最近ではこのような噴霧器で噴霧すべき液が多様化しており、たとえば殺虫液、農薬、洗浄液等では、合成樹脂材料を膨潤させるような成分を含むものがある。このような噴霧器のピストン・シリンダ機構は、小形とはいえ相当の高圧に液を加圧するものであり、また可動部品でもあり、高い精度を維持する必要がある。したがって、上記のように、このピストン・シリンダ機構を構成する部品が膨潤すると、その寸法精度が低下し、作動不良を起こす不具合がある。
【0004】
また、このようなピストル型の噴霧器の使用態様によっては、湯等の温度の高い噴霧液を使用する場合が考えられ、このような場合にはピストン・シリンダー機構の樹脂製部品の耐熱が不十分となることも予想される。
【0005】
もちろん、このピストン・シリンダ機構のうち噴霧液に接触する部品を耐食性や耐熱性の高い金属材料等で形成すれば上記の不具合は解消されるが、このような金属製の部品を製造して合成樹脂製の噴霧器に組み込むと製造コストが大幅に上昇するばかりでなく、金属と合成樹脂とでは熱膨張率、剛性等が大きく相違するため、このピストン・シリンダ機構の設計が困難となり、また信頼性も低下する。
【0006】
このため、このような合成樹脂製のピストン・シリンダ機構のうち、噴霧液に接触する部分の表面のみ、金属材料で被覆することが検討された。このような金属による被覆としては、たとえば合成樹脂製の部品の表面に金属メッキを施す等の手段が考えられる。
【0007】
ところで、上記のような噴霧器のピストン・シリンダ機構のピストンは、カップ状をなしており、その開口縁部が弾性的にシリンダ部材の内周面に密着し、シール性を維持している。また、噴霧液の加圧の際には、その圧力がこのカップ状のピストン部材の内部に作用してこれをより拡径し、開口縁部をより強くシリンダ部材の内周面に密着する。したがって、このピストン部材は、適切な弾性を必要とする。このため、このピストン部材を構成する合成樹脂材料は、比較的軟質の材料ものを使用することが多く、また前記のように材質的な制約があり、上記のような金属メッキを施すのは困難である。
【0008】
また、このようなピストン部材の内面に薄肉金属板からなるカップ状の内張部材を嵌合することも検討された。しかし、このピストン部材は上記のようにある程度の弾力性を必要とするため、剛性の高い金属製の内張部材を嵌合することは困難であった。
【0009】
さらに、このピストン部材全体を耐薬品性、耐熱性の高い合成樹脂材料で形成することも検討された。しかし、このような耐薬品性、耐熱性の高い合成樹脂材料は、硬質のものが多く、このピストン部材の材料として適当なものがない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の事情に基づいてなされたもので、合成樹脂製のピストン・シリンダ機構において、耐薬品性、耐熱性などの化学的な耐性が高いとともに、適度な弾力性等の機械的な特性にも優れ、かつ構造が簡単なピストンを有するピストン・シリンダ装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、合成樹脂材料からなるシリンダ部材と、このシリンダ部材内に密封を維持して摺動自在に嵌合したピストン部材とからなるピストン・シリンダ機構において、上記のピストン部材はカップ状の形状をなし、またその内面にはカップ状をなし、耐薬品性または耐熱性を有する合成樹脂材料からなるピストンカバー部材が嵌合されており、また、上記のピストンカバー部材の開口縁部にはテーパ状に拡径したフレア部が形成されており、このフレア部は上記のピストン部材の開口内周縁部に密着していることを特徴とするものである。
【0012】
このピストンカバー部材は、耐薬品性や耐熱性の高い合成樹脂材料で形成されているので、比較的硬質ではあるが、金属材料と比較してはるかに弾力性があり、ピストン部材に要求される弾力性等の機械的特性を阻害することがない。
【0013】
また、長期間の使用によっては、このピストン部材の内周面とピストンカバー部材の外周面との間に噴霧液が浸透し、ピストン部材の材料が膨潤し、その機械的な特性を損なう可能性がある。しかし、本発明のものは、ピストンカバー部材の開口端部にフレア部が形成され、これがピストン部材の開口内周縁部に密着してシール作用をなすので、上記の噴霧液の浸透を防止することができる。
【0014】
また、このフレア部はテーパ状に拡径しているので、噴霧液の加圧の際に内圧により拡径してピストン部材の開口縁部により強く密着してシール作用を確実とするとともに、このピストン部材の開口縁部も拡径してシリンダ部材の内周面に密着させるので、このピストン部材のシール特性等を阻害することがない。
【0015】
また、請求項2に記載の本発明は、前記のピストン部材の開口端部の内周面に、この開口端部を弾性的に拡径するように付勢し、前記のピストン部材の開口端部を前記のシリンダ部材の内周面に密着させる金属製の弾性リング部材が嵌合されていることを特徴とするものである。
【0016】
上記のように、このピストン部材の内周面とピストンカバー部材の外周面との間は、上記のフレア部によりシールされているが、長期間の使用によってはこれらの間に噴霧液が浸透し、ピストン部材が多少膨潤する可能性がある。しかし、このような場合でもこの金属製の弾性リングによりこのピストン部材の開口端部を拡径するように弾性的に付勢するので、このピストン部材とシリンダ部材の内周面とのシール特性の低下等を招くことをより確実に防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施形態を説明する。この実施形態は、たとえば小形のピストル型の合成樹脂製噴霧器のピストン・シリンダ機構に本発明を適用した場合のものである。
【0018】
図1には、このピストル型の噴霧器の全体の概略的な構成を示す。図中の1は、容器本体であって、合成樹脂材料のブロー成形によって形成され、この容器本体1内に噴霧すべき噴霧液が収容される。そして、この容器本体1の口部には、合成樹脂製のキャップアセンブリ2が着脱自在に螺装されている。
【0019】
そして、このキャップアセンブリ2内には、ピストン・シリンダ機構3が内蔵され、このキャップアセンブリ2に枢着されたレバー4によりこのピストン・シリンダ機構3が作動される。
【0020】
このピストン・シリンダ機構3は、上記の容器本体1内の噴霧液(図示せず)を吸込管5を介して吸込み、これを加圧してノズル6から噴霧するように構成されている。
【0021】
次に、図2を参照して上記のピストン・シリンダ機構3の構成を説明する。図中の10はシリンダ部材であり、このシリンダ部材10は前記のキャップアセンブリ2から一体に突設された合成樹脂製の筒状の部材である。そして、このシリンダ部材10の基端部は、連通孔7を介してキャップアセンブリ2内に形成された噴霧液通路8に連通している。この噴霧液通路8は、逆止弁機構(図示せず)を介して前述の吸込管5に連通し、また前記のノズル6に連通している。
【0022】
そして、このシリンダ部材10内には、ピストン11が液密をもって摺動自在に挿入されている。そして、前記のレバー4を操作することにより、このピストン11がこのシリンダ部材10内を往復移動し、上記の連通孔7を介して噴霧液を吸入し、またこの噴霧液を加圧して連通孔7を介して前記のノズル6に供給する。なお、このピストン11の戻り作動はスプリング17の付勢力により行う。
【0023】
次に、上記のピストン11の構成を説明する。このピストン11は、ピストンホルダ12を備え、その先端部には凹部13が形成され、この凹部13内には前記のレバー4から突設された突部14が嵌合し、このレバー4を引くことにより、このピストンホルダ12が押圧される。
【0024】
また、このピストンホルダ12内には、このピストン11の本体部分を構成するピストン部材15が形成されている。このピストン部材15は、カップ状をなし、かつ適切な弾性を有する合成樹脂材料で形成され、その開口縁部が前記のシリンダ部材10の内周面に適切な弾性力で密着してシール作用をなし、また噴霧液の加圧の際に内圧により膨張してシリンダ部材10の内周面により強く密着し、漏洩を防止してシール作用を確実なものとしている。
【0025】
また、このピストン部材15の内面には、ピストンカバー部材16が嵌合されている。上記のように、ピストン部材15は上記のように適切な弾性を備えている必要があるため、使用する合成樹脂材料の種類に制約がある。このため、噴霧液による膨潤等に対する十分な耐性を備えていない合成樹脂材料を使用せざるを得ない場合が多い。このピストンカバー部材16は、この不具合を防止するため、噴霧液による膨潤に対して十分な耐性を備えた合成樹脂材料、たとえばポリプロピレン樹脂等から構成されている。
【0026】
このピストンカバー部材16は、上記のピストン部材15の弾性その他の所定の特性を損なわないように、その肉厚などが適宜設定される。そして、このピストンカバー部材16の開口縁部の外周面と、ピストン部材15の開口縁部の内周面との間には、
また、長期間の使用中には、噴霧液がこのピストンカバー部材16の外周面とピストン部材15の内周面との間に浸透する可能性がある。そして、これを防止するために、上記のピストンカバー部材16の開口縁部にはテーパ状に拡径したフレア部22が形成されている。このフレア部22は、ピストン部材15の開口の内周縁部に密着し、この部分でもシール作用をなすように構成されている。したがって、このフレア部22によるシール作用より、噴霧液がこのピストンカバー部材16の外周面とピストン部材15の内周面との間に浸透するのを確実に防止するように構成されている。
【0027】
また、上記のピストンカバー部材16のフレア部22は、テーパ状に拡径しているので、噴霧液を加圧する場合にその圧力により拡径してピストン部材15の開口内周縁部により強く密着するので、噴霧液の浸透をより確実に防止する。
【0028】
また、上記のピストン部材15の内周面とピストンカバー部材16の外周面との間は、上記のフレア部22によりシールはされているが、長期間の使用によってはこれらの間に噴霧液が浸透し、このピストン部材15にある程度の膨潤が生じる可能性があり、このピストン部材15の開口端部とシリンダ部材10の内周面との密着力が弱くなることがある。この実施形態では、これを防止するために、このピストン部材15の開口端部の内周面に弾性リング部材21が嵌合されている。
【0029】
この弾性リング部材21は、金属材料から形成されたCリング等と称されている部品が使用され、弾性力により拡径し、このピストン部材15の開口端部を拡径するように付勢し、シリンダ部材10の内周面に確実に密着させる。この弾性リング部材21は金属製であるため、噴霧液の影響は受けない。なお、この弾性リング部材21は、上記のようなCリングに限らず、Eリングと称されている部品、または短く切断したコイルスプリング等を使用してもよい。
【0030】
また、上記の弾性リング部材21の近傍、好ましくはこの弾性リング部材21の径方向の延長線位置上におけるピストン部材15の外周面には、環状のシール突条23が一体に突設されている。このシール突条23は、たとえば断面が半円型の幅の狭いもので、このシール突条23の先端面がシリンダ部材10の内周面に接触するように構成されている。
【0031】
このシール突条23はその接触面積が小さいので、上記のピストン部材15の弾性力、および弾性リング部材21の弾性力により、大きな面圧によりシリンダ部材10に摺接し、シール性をより確実とする。また、この実施形態では、このシール突条23は上記の弾性リング部材21の径方向の線上に配置されているので、この弾性リング部材21の拡径方向の弾性力が直接的に作用し、より大きな荷重でシリンダ部材10の内周面に押圧され、より確実なシール性を発揮する。
【0032】
上記のようなピストン11は、長期間の使用によっても噴霧液の膨潤等の影響を受けず、そのシール性、加圧特性等を長期間にわたり確実に維持することができる。また、このピストンカバー部材16は合成樹脂材料から構成されているので、ピストン部材15の弾性等の特性に影響を与えることがない。
【0033】
次に、上記のシリンダ部材10の構成を説明する。このシリンダ部材10の内周面、すなわち噴霧液に接触する部分には、金属製のシリンダ内筒18が圧入され、噴霧液がこのシリンダ部材10の内周面に接触して膨潤等を生じることを防止するように構成されている。また、このシリンダ部材10の基端部内周面とシリンダ内筒18の端部の外周面との間には、Oリング等のシール部材31が介在され、このシリンダ内筒18の外周面とシリンダ部材10の内周面との間に噴霧液が侵入するのを防止している。
【0034】
また、このシリンダ内筒18は金属製であるので、噴霧液の影響を受けることはないが、合成樹脂製のシリンダ部材10との熱膨張率、弾性率等の機械的特性が大きく相違している。しかし、このシリンダ内筒18は圧入され、機械的に固定されているので、このシリンダ内筒18の固定が緩むことはない。
【0035】
また、上記のようにシール部材31が介在されてはいるが、長期間の使用により、このシリンダ内筒18の外周面とシリンダ部材10の内周面との間に噴霧液が浸透し、シリンダ部材10が膨潤し、シリンダ内筒18の固定が緩む可能性がある。
【0036】
このような不具合を防止いるため、上記のシリンダ内筒10の端部には、抜止突条30が突設されている。この抜止突条30は、このシリンダ内筒18の圧入により、シリンダ部材10の内周面に喰い込み、シリンダ部材10が多少膨潤してもこのシリンダ内筒18の固定が緩んだり、抜けたりすることがない。
【0037】
また、この抜止突条30は断面が鋸歯状をなし、抜け止め固定の効果が大きくなるように構成されている。なお、この抜止突条3の断面形状は上記のような鋸歯状には限定されず、その他の形状でもよい。
【0038】
また、この抜止突条30が形成されている端部では、このシリンダ内筒18の外周面は径が縮小した小径部33に形成され、ここに上記の抜止突条30が形成されている。また、このシリンダ内筒18の他の部分は、径の大きい大径部32に形成されている。また、上記のシリンダ部材10の内周面には、上記のシリンダ内筒18の小径部33に対応して小径部35が形成され、また大径部32に対応した部分は大径部34が形成されている。
【0039】
したがって、このシリンダ内筒18を圧入する場合には、その端部の小径部33の抜止突条30は、シリンダ部材10の大径部34を通過し、このシリンダ部材10の小径部35に圧入されてからこのシリンダ部材10の小径部35に圧入されて内周面に食い込むので、このシリンダ部材10の内周面を不必要に傷付けることがなく、また圧入作業も容易である。
【0040】
また、このシリンダ内筒18を製造する際には、金属管素材の外周面の一部のみを切削加工して小径部33を形成し、この小径部33の切削の際にその一部を切り残すことにより上記の抜止突条30を形成することができ、このシリンダ内筒18の製造が容易で製造コストを低減することができる。
【0041】
なお、本発明は上記の実施形態には限定されない。たとえば、上記の実施形態は本発明を小形のピストル型の噴霧器のピストン・シリンダ機構に適用した場合を示したが、本発明はこれには限定されず、各種の噴霧器の加圧用のピストン・シリンダ機構、またはその他の用途のピストン・シリンダ装置にも適用することができることはもちろんである。
【0042】
【発明の効果】
前述のように本発明によれば、ピストンカバー部材は、耐薬品性や耐熱性の高い合成樹脂材料で形成されているので、比較的硬質ではあるが、金属材料と比較してはるかに弾力性があり、ピストン部材に要求される弾力性等の機械的特性を阻害することがない。
【0043】
また、長期間の使用によっては、このピストン部材の内周面とピストンカバー部材の外周面との間に液体が浸透し、ピストン部材の材料が膨潤し、その機械的な特性を損なう可能性がある。しかし、本発明のものは、ピストンカバー部材の開口端部にフレア部が形成され、これがピストン部材の開口内周縁部に密着してシール作用をなすので、上記の液体の浸透を防止することができる。
【0044】
また、このフレア部はテーパ状に拡径しているので、加圧の内圧により拡径してピストン部材の開口縁部により強く密着してシール作用を確実とし、またピストン部材の開口縁部も拡径してシリンダ部材の内周面に密着させるので、このピストン部材のシール特性等を阻害することがない等、その効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のピストル型噴霧器の全体の側面図。
【図2】本発明の実施形態のピストン・シリンダ機構の部分の縦断面図。
【符号の説明】
3 ピストン・シリンダ機構
10 シリンダ部材
11 ピストン
15 ピストン部材
16 ピストンカバー部材
21 弾性リング部材
22 フレア部
Claims (2)
- 合成樹脂材料からなるシリンダ部材と、このシリンダ部材内に密封を維持して摺動自在に嵌合したピストン部材とからなるピストン・シリンダ機構において、
上記のピストン部材はカップ状の形状をなし、またその内面にはカップ状をなし、耐薬品性または耐熱性を有する合成樹脂材料からなるピストンカバー部材が嵌合されており、
また、上記のピストンカバー部材の開口縁部にはテーパ状に拡径したフレア部が形成されており、このフレア部は上記のピストン部材の開口内周縁部に密着していることを特徴とするピストン・シリンダ装置。 - 前記のピストン部材の開口端部の内周面には、この開口端部を弾性的に拡径するように付勢し、前記のピストン部材の開口端部を前記のシリンダ部材の内周面に密着させる金属製の弾性リング部材が嵌合されていることを特徴とする請求項1のピストン・シリンダ装置。
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