JP3710075B2 - 溶接ロボットのウィービング制御装置 - Google Patents

溶接ロボットのウィービング制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、多関節溶接ロボットのウィービング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
産業用ロボットを用いて溶接を行う場合、ロボット先端に溶接トーチを持たせるが、このときウィービングと呼ばれる、トーチを左右に振動させながら溶接する方法がよく用いられる。
【0003】
ウィービング動作を実現するためには、ロボットに、溶接線の始点及び終点、そしてウィービング相対量を教示する必要がある。ウィービング相対量とは、トーチを溶接線に対して、どの方向にどの程度の量揺動させるかを表すベクトル量である。
【0004】
ウィービング動作を行う場合、ロボット各軸はこれら教示されたデータ(溶接線の始点及び終点、ウィービング相対量)に基づいて動くことによってウィービングを実現するのであるが、この際各軸をどのように動作させるかについては、従来より様々な方法がとられてきた。
【0005】
ある従来手法では、全ての軸を振動動作させることでトーチの揺動動作を実現するようにしているが、ロボットには構造上剛性の低い軸やイナーシャの大きな軸があり、全軸を動かしてウィービングを行う場合、こうした軸の影響を受けるため、満足する軌跡精度が得られない、高い周波数でのウィービングを行う事ができないなどの問題があった。
【0006】
そこで、特開平5−73130号公報,特開平1−273674号公報などにおいては、ロボット軸のうち根元側の数軸を用いて溶接線を辿るように制御するとともに、剛性が高くイナーシャの低い先端側の数軸をウィービング相対量だけ動くように動作させることで、ウィービング動作を行うようにしている。
【0007】
特開平5−73130号公報では、根元側の基本3軸は溶接線に沿った軌跡を保つための動作を行わせ、先端側の手首3軸のみを使用してウィービングパターンを生成するとともに、図11に示すように、ウィービングのための回転軸中心P1とトーチ先端Peを結ぶベクトルV1が、回転軸中心P1と真の目標位置Pwとを結ぶベクトルV2に重なるように振り角θを求め、該円弧状に変化していく各トーチ位置を目標位置としてこれを手首軸3軸の各軸の位置に逆変換するようにしている。
【0008】
しかしこの従来手法では、トーチ先端の軌跡は円弧となるので、トーチ先端点Peが真の目標位置Pwには一致しない。すなわち、ウィービングは本来、振幅中心位置からPw位置までを直線で動かさなくてはならないので、上記従来手法では充分な溶接品質が得られないという問題がある。
【0009】
つぎに、特開平1−273674号公報では、トーチの単振動ウィービングを手首軸による制御としかつ溶接線倣いの動作制御をアーム軸による制御とするとともに、図10に示すように、溶接トーチの延長線X−X´が手首軸の各軸α,β,γの交点Oに交わるように手首軸を位置させてウィービングを行うようにしている。
【0010】
しかし、この従来手法では、溶接トーチの延長線X−X´が手首軸の各軸α,β,γの交点Oに交わるように手首軸を位置させるというように溶接トーチの姿勢に制限があるので、実用に供しない。また、この従来技術では、手首軸の1つの軸に関しては、この軸を回転させてもトーチ先端を動かすことができず、このためこの従来手法では、手首3軸でウィービングするといっても、実質は2軸でのウィービングとなり、任意の方向へのウィービングは不可能である。
【0011】
そこで、特開平8−155647号公報においては、6軸ロボットにおいて、溶接トーチ先端側の第4軸、第5軸、第6軸からなる3軸、あるいは第3軸、第4軸、第5軸からなる3軸を用いて溶接トーチ先端を単振動動作させるとともに、前記選択した3つの軸について、当該軸のみが微小距離回転したときにトーチ先端の動く方向を各別に求め、ウィービング相対量を前記求めた3つの軸の方向に分解することにより該3軸の変化量を求め、これら求めた変化量に基づいて前記選択した各3軸の目標角度を求めることによりウィービング制御の前記単振動動作を行わせるようにしている。
【0012】
しかし、上記従来技術において、溶接トーチ先端側の第4軸、第5軸、第6軸によって単振動動作を行わせるようにした場合、溶接トーチ先端を第6軸の回転軸上に一致するよう装着した際には、第6軸を回転させてもトーチ先端を動かすことができず、このような場合には、ウィービングで動くことのできる軸が2軸に減るので、動けない方向がでてくる。すなわち、実際の産業用ロボットでは溶接トーチ先端は第6軸の回転軸上に一致するよう装着することが多くあるが、このような装着形態の場合には、上記従来技術の場合は、任意の方向へウィービングさせることができなくなる。
【0013】
また、この従来技術において、6軸ロボットで、第3軸、第4軸、第5軸からなる3軸を用いて単振動動作を行わせるようにした場合は、3軸というイナーシャの高い軸を用いており、高い周波数でのウィービングには限界があった。
【0014】
この発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、理想的な軌跡による任意方向への高周波でのウィービング制御を高精度に実現できる溶接ロボットのウィービング制御装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
この発明では、少なくとも6自由度を有しかつ隣合う2つの軸が直交する手首3軸を有する多関節溶接ロボットの各軸を用いて溶接トーチ先端を溶接線に沿って移動させるとともに、前記手首軸のうちの最先端の軸を除く2つの軸を用いて溶接トーチ先端を溶接線に対し左右にウィービング相対量だけ単振動させることによりウィービング平面上でウィービング動作を行う溶接ロボットのウィービング制御装置であって、溶接に先立ち、前記手首軸のうちの最先端の軸の回転軸の方向がウィービング相対量と垂直になるように、溶接時の溶接トーチの位置及び姿勢を設定する設定手段と、溶接時、前記手首軸のうちの最先端の軸を除く2つの軸について、当該軸のみが微小角度回転したときにトーチ先端の動く方向ベクトルをそれぞれ求める第1の演算手段と、溶接時、前記ウィービング相対量を前記求めた2つの軸についての方向ベクトルに分解することにより該2軸の変化量を求める第2の演算手段と、溶接時、これら求めた変化量に基づいて前記2つの軸の前記単振動分の目標角度を逐次求める第3の演算手段とを具えるようにしている。
【0016】
本発明によれば、手首3軸を有する6軸ロボットにおいて、根元側から先端側に向かって第1軸、第2軸、…、第6軸とするならば、溶接に先立ち、第6軸の回転軸の方向がウィービング相対量と垂直になるように溶接時の溶接トーチの位置及び姿勢を設定し、溶接時には、前記ウィービング相対量を第4軸および第5軸がそれぞれ微小回転したときの方向ベクトルに分解することにより第4軸および第5軸の角度の変化量を求め、この変化量に基づいて求めた第4軸及び第5軸の目標角度に従って第4軸及び第5軸を振動動作させて、ウィービングの際の単振動動作を実現するようにしている。
【0017】
このようにこの発明によれば、ロボットの手首3軸の内の最先端側の軸を除く2軸が微小回転したときにトーチ先端が動く平面上に、ウィービング相対量が含まれるように教示し、これら2つの軸でウィービング動作の単振動を実現するようにしたので、理想的な軌跡による任意方向への高周波でのウィービング制御を高精度に実現することができる。また、この発明は、溶接トーチ先端を手首3軸の最先端軸の回転軸上に一致するように装着するような場合、すなわち最先端軸を回転させてもトーチ先端を動かすことができないような溶接トーチの姿勢がとられたような場合においても、手首3軸の内の最先端側の軸を除く2軸のみを用いて、高精度且つ高周波でのウィービング動作を実現することができる。
【0018】
また、この発明では、少なくとも6自由度を有しかつ隣合う2つの軸が直交する手首3軸を有する多関節溶接ロボットの各軸を用いて溶接トーチ先端を溶接線に沿って移動させるとともに、前記手首軸のうちの最先端の軸を除く2つの軸を用いて溶接トーチ先端を溶接線に対し左右にウィービング相対量だけ単振動させることによりウィービング平面上でウィービング動作を行う溶接ロボットのウィービング制御装置であって、
溶接に先立ち、前記手首軸のうちの最先端の軸の回転軸の方向がウィービング相対量と垂直になるように、溶接時の溶接トーチの位置及び姿勢を設定する設定手段と、溶接時、前記手首軸のうちの最先端の軸を除く2つの軸について、当該軸のみが微小角度回転したときにトーチ先端の動く方向ベクトルをそれぞれ求める第1の演算手段と、溶接時、前記求めた2つの方向ベクトルから形成される平面を求める第2の演算手段と、前記溶接線の方向とウィービング相対量からウィービング平面を求める第3の演算手段と、溶接時、前記第2の演算手段によって求められた平面と第3の演算手段で求められたウィービング平面との交線を求め、前記ウィービング相対量の方向が前記交線方向に一致するようにウィービング相対量を補正する第4の演算手段と、溶接時、前記補正されたウィービング相対量を前記求めた2つの軸についての方向ベクトルに分解することにより前記2つの軸の変化量を求める第5の演算手段と、溶接時、これら求めた変化量に基づいて前記2つの軸の前記単振動分の目標角度を逐次求める第6の演算手段とを具えるようにしている。
【0019】
本発明では、手首3軸を有する6軸ロボットにおいて、根元側から先端側に向かって第1軸、第2軸、…、第6軸とするならば、溶接に先立ち、第6軸の回転軸の方向がウィービング相対量と垂直になるように溶接時の溶接トーチの位置及び姿勢を設定するとともに、溶接時に、ウィービング相対量を、第4軸及び第5軸がそれぞれ微小角度回転したときにトーチ先端の動く各方向ベクトルから形成される平面とウィービング平面との交線上にくるように補正し、この補正したウィービング相対量を第4軸および第5軸がそれぞれ微小回転したときの方向ベクトルに分解することにより第4軸および第5軸の角度の変化量を求め、この変化量に基づいて求めた第4軸及び第5軸の目標角度に従って第4軸及び第5軸を振動動作させて、ウィービングの際の単振動動作を実現するようにしている。
【0020】
このようにこの発明によれば、初期設定されたウィービング相対量の方向が、第4軸及び第5軸によって溶接トーチ先端が実際に動くことができる方向に補正されてウィービングが行われるようになるので、第6軸の回転軸の方向がウィービング相対量と垂直になるような教示設定が正確に行われないような場合においても、良好な溶接品質を確保できるようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を添付図面に示す実施例に従って詳細に説明する。
【0022】
図2は、本発明が適用される溶接ロボットの外観を示している。この図2に示す溶接ロボットは、6軸の垂直多関節ロボットであり、第1軸J1、第2軸J2および第3軸J3から成る基本軸と、第4軸J4、第5軸J5および第6軸J6から成る手首軸とを有し、その先端に溶接トーチ10が取り付けられている。また、以下の実施例において、ロボットは直交座標系X−Y−Zによって制御され、トーチ先端の位置やウィービング相対量はこの座標系で表現される。この場合、溶接トーチ10は、トーチ取付体11を介してその先端10aが第6軸J6の回転軸上12に一致するように取り付けられている。したがって、この場合、第6軸J6を回転させても、溶接トーチ先端10aの位置は変化しない。
【0023】
図3は、溶接トーチ10の姿勢変化を示すものである。
【0024】
すなわち、溶接トーチ10は、姿勢パラメータA,B,Cを有しており、溶接トーチ10をA方向、B方向またはC方向に回転させることで、その姿勢を変化させることができる。なかでも、C方向の姿勢パラメータCは、トーチ10自体の回転姿勢の変化であり、この姿勢パラメータCを変化せることで、溶接対象ワークに対する溶接トーチの向きは変えないで、ロボットの各軸J1〜J6の角度を変化させることができる。
【0025】
図4は、ウィービング軌跡を示すもので、始点P1から終点P2に至る溶接線に沿った軌跡に、各時刻におけるウィービング相対量Wを加えたものがウィービング軌跡となる。点Peは或る時刻における溶接線上の位置を示し、点Pwは同時刻におけるウィービング軌跡上の目標位置を示している。つまり、ウィービング軌跡は始点P1と終点P2とを結ぶベクトルとウィービング相対量Wとで形成される平面上にあり、この平面をウィービング面という。
【0026】
次に、図5および図6に従ってこの発明の第1実施例を示す。
【0027】
図5は溶接を行う際のロボット先端付近を示すもので、a4は第4軸J4を微小角度だけ回転させたときにトーチ先端の動く方向を示し、a5は第5軸J5を微小角度だけ回転させたときにトーチ先端の動く方向を示している。よって、第4軸J4及び第5軸J5をウィービング軸として用いた場合に、ウィービング動作でトーチ先端が動ける範囲は、ベクトルa4とベクトルa5とで形成される平面上にあり、言い換えればこれは第6軸J6の回転軸12に垂直な平面上となる。
【0028】
したがって、ウィービング相対量Wがこの平面内にあるように、すなわちウィービング相対量Wが第6軸J6の回転軸と垂直になるように教示するようにすれば、第4軸J4と第5軸J5との2つの軸だけでウィービング動作を行うことができる。
【0029】
すなわち、ティーチングボックスを操作してトーチの先端位置を溶接線の始点及び終点に位置させて溶接線を教示した後、この始点及び終点位置において、溶接トーチ10を先の図3に示すA方向,B方向に動かして溶接トーチ10の向きを決定し、最後に溶接トーチを先の図3のC方向に回転させることで(トーチの向きは変化しない)、ロボットの各軸J1〜J6を回転させ、この状態中に第6軸の回転軸12の方向が所望のウィービング相対量W(ウィービング平面)と垂直になるようなロボットの各軸J1〜J6の姿勢を見つけだす。そして、このロボット各軸の姿勢を溶接始点及び終点における各軸J1〜L6の姿勢として教示設定する。
【0030】
以上の教示設定動作が第1の実施例の前提である。
【0031】
次に、図6を用いてウィービング制御を行う制御構成を示す。
【0032】
図6において、教示データ保存部1には、前述した方法で教示された溶接線の始点位置データ、溶接線の終点位置データ、溶接始点および終点で各軸J1〜J6がとるべき角度データなどが予め保存されている。ウィービングデータ保存部2には、ウィービング相対量Wを決定するためのパラメータ(補助点あるいは傾き角)や、ウィービング振幅、ウィービング周波数などが予め設定されている
逆変換部3は、教示データ保存部1に記憶された教示データを用いて各時刻における溶接線上の位置に対応する第1軸J1〜第6軸J6の目標角度θ1〜θ6を求める。ウィービング相対量計算部4では、ウィービングデータ保存部2に記憶された前記ウィービングデータから各時刻におけるウィービング相対量Wを計算する。
【0033】
ウィービング動作演算部5では、ウィービング相対量Wおよび目標角度θ1〜θ6から各時刻における第4軸J4と第5軸J5の角度変化量Δθ4、Δθ5を求める。ロボット動作指令部6では、逆変換部3から入力される目標角度θ1〜θ6のうちのθ1〜θ3およびθ6をそのまま第1軸J1〜第3軸J3および第6軸J6の指令角度Θ1〜Θ3およびΘ6としてロボットに出力するとともに、逆変換部3から入力される目標角度θ4,θ5に、ウィービング動作演算部5で求めた変化量Δθ4、Δθ5をそれぞれ加算し、該加算結果(θ4+Δθ4)、(θ5+Δθ5)を第4軸J4および第5軸J5の指令角度Θ4,Θ5としてロボットに出力する。
【0034】
以下、上記図6の構成の動作を図1のフローチャートにしたがって詳細に説明する。なお、このフローチャートは、或る時刻におけるウィービング軌跡上の目標位置Pw(図4参照 )に対応する各軸J1〜J6の目標値Θ1〜Θ6を演算する場合について示しており、このような動作が溶接開始から終了まで繰り返し実行される。
【0035】
ロボット動作中、逆変換部3では、教示データ保存部1に記憶された教示データを用いて或る時刻における溶接線上の点Peの座標(Xe,Ye,Ze)を求め、さらにこのPe座標(Xe,Ye,Ze)を各軸の角度θ1〜θ6に変換する(ステップ100)。
【0036】
次に、ウィービング相対量演算部4は、ウィービングデータを用いて点Peに対応するウィービング相対量W(Wx,Wy,Wz)を計算する(ステップ110)。
【0037】
次に、ウィービング動作演算部5では、ウィービング動作を行わせる2つの軸、すなわち第4軸及び第5軸について、当該軸のみが微小角度回転したときにトーチ先端10の動く方向を各別に求める(ステップ120)。詳細は以下の通りである。
【0038】
まず、第4軸J4に関しては、第4軸J4の軸方向の単位ベクトルをi4とし、第4軸J4とトーチ先端を結ぶベクトルをv4とするとき、第4軸J4のみが回転したときトーチ先端が動く方向ベクトルa4は次式のようになる。
【0039】
a4=i4*v4 (*はベクトル積) …(1)
図7は、図2に示した6軸多関節ロボットを模式的に示すものであり、この図7に示した各部の寸法や角度を用いると、上記単位ベクトルi4やベクトルv4は、次式のように示される。
【0040】
Figure 0003710075
Figure 0003710075
Figure 0003710075
Figure 0003710075
第5軸J5に関しても同様であり、第5軸J5の軸方向の単位ベクトルをi5とし、第5軸J5とトーチ先端を結ぶベクトルをv5とするとき、第5軸J5のみが回転したときトーチ先端が動く方向ベクトルa5は次式のようになる。
【0041】
a5=i5*v5 (*はベクトル積) …(4)
つぎに、ウィービング動作演算部5は、ウィービング相対量計算部4で求めた点Peにおけるウィービング相対量Wを前記求めた2つの方向ベクトルa4,a5に分解することにより第4軸と第5軸の角度変化量Δθ4,Δθ5を求める(ステップ130)。
【0042】
具体的には、全てのベクトルが3次元であることを考慮して、まず方向ベクトルa4,a5のベクトル積a45を作成する。
【0043】
a45=a4*a5 …(5)
つぎに、これら3つのベクトルa4,a5,a45の単位ベクトルを求める。
【0044】
e4=e4/|e4| …(6)
e5=e5/|e5| …(7)
e4=e45/|e45| …(8)
このとき、ウィービング相対量Wは
Figure 0003710075
と表すことができる。
【0045】
ここで、Δθ45はe45方向への移動量であり、ロボットの軸の角度変化量には対応しないが、計算上便宜上導入した。
【0046】
e4,e5,e45を
Figure 0003710075
Figure 0003710075
とすれば、上記(9)式は下式(11)のようになるので、
Figure 0003710075
Figure 0003710075
上記(11)式を変形して下式(12)のように逆行列を掛けることにより、第4軸と第5軸の変化量Δθ4,Δθ5を求めることができる。
【0047】
Figure 0003710075
Figure 0003710075
なお、教示の際に、ウィービング相対量Wはベクトルa4とベクトルa5とで形成される平面に含まれるようにロボットの姿勢が教示されているので、理想的には、Δθ45は零になり、ウィービング動作には関係がない。
【0048】
ロボット動作指令部6は、逆変換部3から入力される目標角度θ1〜θ6のうちのθ1〜θ3およびθ6をそのまま第1軸J1〜第3軸J3および第6軸J6の指令角度Θ1〜Θ3およびΘ6としてロボットに出力するとともに、逆変換部3から入力される目標角度θ4,θ5に、ウィービング動作演算部5で求めた変化量Δθ4、Δθ5をそれぞれ加算し、該加算結果(θ4+Δθ4)、(θ5+Δθ5)を第4軸J4および第5軸J5の指令角度Θ4,Θ5としてロボットに出力する(ステップ140)。
【0049】
このように上記実施例によれば、第4軸および第5軸がΔθ4およびΔθ5だけ変化することで、溶接トーチ10の先端がウィービング相対量Wだけ移動することになる。すなわち、本実施例によれば、2つの軸、第4軸および第5軸のみを振動動作させることにより、所望のウィービング軌跡を実現することができる。
次に、図8、図9および図10に従ってこの発明の第2実施例を示す。
【0050】
先の第1の実施例では、教示の際に、ウィービング相対量Wがa4とa5で形成される平面に含まれるようにトーチ先端の位置や姿勢を教示したが、こうした教示を厳密に行うことは非常に困難であり、そのような教示をしたつもりでも実際にはウィービング相対量Wはa4とa5とで形成される平面から多少なりとも離れている。すなわち、先の第1の実施例の方法で第4軸と第5軸とを振動動作させてもトーチは所望のウィービング面上を動かず、結果として良好な溶接品質が得られない場合がある。
【0051】
この第2実施例はこの問題点を考慮してなされたもので、ウィービング相対量Wを、a4とa5とで形成される平面と、ウィービング面との交線上にくるように修正することで、教示を厳密に行わなくとも、トーチを所望のウィービング面上で動かせ、良好な溶接品質を得ることができるようにしている。
【0052】
図8は、ウィービング相対量Wと溶接線方向を示すベクトルf(始点P1から終点P2に向かうベクトル)とから形成されるウィービング面Swとベクトルa4,a5から形成される平面S45との関係を示したものである。
【0053】
この図からも判るように、通常の教示では、ウィービング相対量Wは平面S45上にはなく、このような場合に先の実施例に従ってウィービングを行うと、溶接トーチ先端はWd方向にウィービングすることになる。つまり、この場合には所望のウィービング面上を動く事ができず、良好な溶接品質を得ることはできない。
【0054】
そこで、この第2実施例では、ウィービング相対量Wをウィービング平面Swと平面S45との交線C上にあるように補正し、この補正したウィービング相対量W45に従ってウィービング動作させることで、第4軸及び第5軸の2つの軸の振動動作によってウィービング面Sw上を溶接トーチ先端が動くようにしている。すなわち、この実施例では、ウィービング相対量Wの方向を、第4軸及び第5軸によって溶接トーチ先端が実際に動くことができる方向W45に補正することで、教示が正確に行われないような場合においても、良好な溶接品質を確保できるようにしている。
【0055】
図9は、第2の実施例の制御構成を示すブロック図である。この図9において、ウィービング動作演算部7以外の各構成要素の動作機能は先の図6に示したものと全く同じであり、重複する説明は省略する。
【0056】
ウィービング動作演算部7においては、ウィービング相対量計算部4で求めたウィービング相対量Wと、溶接線の始点及び終点から求めた溶接線の方向を示すベクトルfとからウィービング平面Swを求めると共に、第4軸及び第5軸について当該軸のみが微小角度回転したときにトーチが動く方向a4とa5とから形成される平面S45を求め、これら平面SwとS45との交線上にあってウィービング相対量Wと同じ大きさを持つウィービング相対量の補正値W45を求め、この補正値W45を用いて先の実施例と全く同じ方法で第4軸と第5軸の変化量Δθ4,Δθ5を求めるよう動作する。
【0057】
以下、上記図9の構成の動作を図10のフローチャートにしたがって詳細に説明する。なお、このフローチャートは、或る時刻におけるウィービング軌跡上の目標位置Pw(図8参照 )に対応する各軸J1〜J6の目標値Θ1〜Θ6を演算する場合について示しており、このような動作が溶接開始から終了まで繰り返し実行される。
【0058】
なお、この第2実施例においても、実際の溶接を行う前に、先の第1実施例と同様の教示動作を行う。すなわち、第6軸の回転軸の方向がウィービング相対量Wと垂直になるように、溶接時の溶接トーチの位置及び姿勢を教示する。
【0059】
つぎに、溶接時の動作を説明する。
【0060】
ロボット動作中、逆変換部3では、教示データ保存部1に記憶された教示データを用いて或る時刻における溶接線上の点Peの座標(Xe,Ye,Ze)を求め、さらにこのPe座標(Xe,Ye,Ze)を各軸の角度θ1〜θ6に変換する(ステップ200)。
【0061】
次に、ウィービング相対量演算部4は、ウィービングデータを用いて点Peにおけるウィービング相対量W(Wx,Wy,Wz)を計算する(ステップ210)。
【0062】
次に、ウィービング動作演算部5では、ウィービング動作を行わせる2つの軸、すなわち第4軸及び第5軸について、当該軸のみが微小角度回転したときにトーチ先端の動く方向a4とa5を各別に求める(ステップ220)。これらの、詳細は先の実施例と同様である。
【0063】
続いて、教示データ保存部1に記憶された溶接線の始点P1および終点P2を用いて溶接線の方向を示すベクトルfを次式(13)により求める(ステップ230)。
【0064】
Figure 0003710075
つぎに、a4とa5とから形成される平面S45と、ウィービング面Swとの交線を求める。まず、a4とa5とから形成される平面S45は次式(14)によって表わされる。
【0065】
a4*a5…(14)また、ウィービング面Swに垂直なベクトルは、前記求めたウィービング相対量Wと溶接線の方向を示すベクトルfを用いて次式(15)で表される。
【0066】
Figure 0003710075
よって、2つの平面の交線Cを次式(16)によって求める。
【0067】
Figure 0003710075
さらに、CはWに近い方向に向くように、次式(17)で補正してCwを求める。
【0068】
Figure 0003710075
つぎに、ウィービング相対量Wからその大きさが同じで、方向が交線方向Cwに一致するようなウィービング相対量の補正値W45を次式(18)によって求める。
【0069】
Figure 0003710075
次に、ウィービング相対量の補正値W45を前記求めた2つの方向ベクトルa4,a5に分解することにより、第4軸及び第5軸の変化量Δθ4,Δθ5を求める(ステップ260)。
【0070】
その詳細は、先の実施例と同様である。
【0071】
ロボット動作指令部6は、逆変換部3から入力される目標角度θ1〜θ6のうちのθ1〜θ3およびθ6をそのまま第1軸J1〜第3軸J3および第6軸J6の指令角度Θ1〜Θ3およびΘ6としてロボットに出力するとともに、逆変換部3から入力される目標角度θ4,θ5に、ウィービング動作演算部7で求めた変化量Δθ4、Δθ5をそれぞれ加算し、該加算結果(θ4+Δθ4)、(θ5+Δθ5)を第4軸J4および第5軸J5の指令角度Θ4,Θ5としてロボットに出力する(ステップ270)。
【0072】
このようにこの第2の実施例によれば、ウィービング相対量Wの方向を、第4軸及び第5軸によって溶接トーチ先端が実際に動くことができる方向W45に補正することで、教示が正確に行われないような場合においても、良好な溶接品質を確保できるようにしている。
【0073】
なお、上記各実施例では、図5に示すように、溶接トーチ10の先端が第6軸の回転軸に一致するように溶接トーチを取り付けるようにしたが、本発明はこれに必ずしも限るわけでなく、そうでない場合にも適用することができる。
【0074】
また、上記実施例では、本発明を6軸多関節ロボットに適用するようにしたが、本発明を7軸以上の多関節ロボットに適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の作用を示すフローチャート。
【図2】6軸多関節溶接ロボットの外観構成を示す図。
【図3】溶接トーチの姿勢パラメータを示す図。
【図4】ウィービング軌跡を示す図。
【図5】実施例の作用を説明するために溶接トーチ先端付近を示した図。
【図6】この発明の第1実施例の制御構成を示すブロック図。
【図7】6軸多関節ロボットの動作演算のための各種パラメータが記入された模式図。
【図8】第2実施例の原理を説明する図。
【図9】この発明の第2実施例の制御構成を示すブロック図。
【図10】この発明の第2実施例の作用を示すフローチャート。
【図11】従来技術を示す図。
【図12】他の従来技術を示す図。
【符号の説明】
1…教示データ保存部
2…ウィービングデータ保存部
3…逆変換部
4…ウィービング相対量計算部
5…ウィービング動作演算部
6…ロボット動作指令部
7…ウィービング動作演算部
10…溶接トーチ

Claims (4)

  1. 少なくとも6自由度を有しかつ隣合う2つの軸が直交する手首3軸を有する多関節溶接ロボットの各軸を用いて溶接トーチ先端を溶接線に沿って移動させるとともに、前記手首軸のうちの最先端の軸を除く2つの軸を用いて溶接トーチ先端を溶接線に対し左右にウィービング相対量だけ単振動させることによりウィービング平面上でウィービング動作を行う溶接ロボットのウィービング制御装置であって、
    溶接に先立ち、前記手首軸のうちの最先端の軸の回転軸の方向がウィービング相対量と垂直になるように、溶接時の溶接トーチの位置及び姿勢を設定する設定手段と、
    溶接時、前記手首軸のうちの最先端の軸を除く2つの軸について、当該軸のみが微小角度回転したときにトーチ先端の動く方向ベクトルをそれぞれ求める第1の演算手段と、
    溶接時、前記ウィービング相対量を前記求めた2つの軸についての方向ベクトルに分解することにより該2軸の変化量を求める第2の演算手段と、
    溶接時、これら求めた変化量に基づいて前記2つの軸の前記単振動分の目標角度を逐次求める第3の演算手段と、
    を具えるようにした溶接ロボットのウィービング制御装置。
  2. 前記設定手段は、溶接トーチを所望の位置及び姿勢に位置決めした後、溶接トーチの回転姿勢のみを変化させて前記手首軸のうちの最先端の軸の回転軸がウィービング相対量と直角になるように溶接始点及び終点での各軸の角度を教示する教示手段であることを特徴とする請求項1記載の溶接ロボットのウィービング制御装置。
  3. 少なくとも6自由度を有しかつ隣合う2つの軸が直交する手首3軸を有する多関節溶接ロボットの各軸を用いて溶接トーチ先端を溶接線に沿って移動させるとともに、前記手首軸のうちの最先端の軸を除く2つの軸を用いて溶接トーチ先端を溶接線に対し左右にウィービング相対量だけ単振動させることによりウィービング平面上でウィービング動作を行う溶接ロボットのウィービング制御装置であって、
    溶接に先立ち、前記手首軸のうちの最先端の軸の回転軸の方向がウィービング相対量と垂直になるように、溶接時の溶接トーチの位置及び姿勢を設定する設定手段と、
    溶接時、前記手首軸のうちの最先端の軸を除く2つの軸について、当該軸のみが微小角度回転したときにトーチ先端の動く方向ベクトルをそれぞれ求める第1の演算手段と、
    溶接時、前記求めた2つの方向ベクトルから形成される平面を求める第2の演算手段と、
    前記溶接線の方向とウィービング相対量からウィービング平面を求める第3の演算手段と、
    溶接時、前記第2の演算手段によって求められた平面と第3の演算手段で求められたウィービング平面との交線を求め、前記ウィービング相対量の方向が前記交線方向に一致するようにウィービング相対量を補正する第4の演算手段と、
    溶接時、前記補正されたウィービング相対量を前記求めた2つの軸についての方向ベクトルに分解することにより前記2つの軸の変化量を求める第5の演算手段と、
    溶接時、これら求めた変化量に基づいて前記2つの軸の前記単振動分の目標角度を逐次求める第6の演算手段と、
    を具えるようにした溶接ロボットのウィービング制御装置。
  4. 前記設定手段は、溶接トーチを所望の位置及び姿勢に位置決めした後、溶接トーチの回転姿勢のみを変化させて前記手首軸のうちの最先端の軸の回転軸がウィービング相対量と直角になるように溶接始点及び終点での各軸の角度を教示する教示手段であることを特徴とする請求項3記載の溶接ロボットのウィービング制御装置。
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