JP3733007B2 - ウエビング巻取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の緊急時にウエビングの緩みを除去するプリテンショナ機構及び車両の緊急時にウエビングによる乗員への荷重を一定量以下に制限するフォースリミッタ機構を備えたウエビング巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウエビング巻取装置においては、衝突等による車両の緊急時にウエビングの緩みを除去するプリテンショナ機構を備えたものがある。
【0003】
このようなプリテンショナ機構のうち、例えば、所謂ラック&ピニオン方式のものを備えたウエビング巻取装置では、ウエビングを巻き取る巻取軸にピニオンが連結されており、ピニオンは巻取軸と常に一体に回転する。また、ピニオンの近傍には略筒状のシリンダが設けられており、シリンダ内には車両の緊急時にガスが供給される。
【0004】
シリンダ内にはピストンが移動可能に設けられており、ピストンの下部には嵌合部が設けられている。嵌合部はシリンダの内壁に略嵌合されており、車両の緊急時にはピストンが嵌合部の下方から上記ガスの圧力を受けてシリンダ内を上昇する。また、ピストンの上部にはラックが設けられており、ピストンが上昇されることで、ラックがピニオンに歯合してピニオンをウエビング巻取方向へ回転させる。これにより、車両の緊急時には巻取軸にウエビングが巻き取られ、ウエビングの緩みが除去される構成である。
【0005】
さらに、上記ウエビング巻取装置には、車両の緊急時にウエビングによる乗員への荷重を一定量以下に制限するフォースリミッタ機構を備えたものがある。
【0006】
このようなフォースリミッタ機構では、例えばエネルギー吸収部材を備えており、車両の緊急時にウエビングへの乗員の荷重によりエネルギー吸収部材が変形することで、巻取軸がウエビング引出方向へ回転される。これにより、車両の緊急時には巻取軸からウエビングが引き出され、ウエビングによる乗員への荷重が一定量以下に制限される構成である。
【0007】
しかしながら、このようなウエビング巻取装置では、フォースリミッタ機構が作動する際に巻取軸がウエビング引出方向へ回転されるため、これに伴いピニオンがウエビング引出方向へ回転されて、ラックを介してピストンがシリンダ内を下降される。このため、シリンダ内(嵌合部の下方)のガスの圧力が上昇して、ピストンの下降が阻害され、これにより、ラック及びピニオンを介して巻取軸のウエビング引出方向への回転に荷重が掛かって、ウエビングの引き出しが阻害される。
【0008】
したがって、図7に示す如く、所謂フォースリミッタ荷重(車両の緊急時にウエビングが引き出されるための荷重に等しい)は、エネルギー吸収部材が変形するための荷重に、シリンダ内のガスの圧力(ピストンの下降により上昇された圧力)による荷重(図7のAの部分の荷重)が追加されたものとなる。これにより、フォースリミッタ荷重の設定の自由度が狭くなるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、フォースリミッタ荷重の設定の自由度を広げることができるウエビング巻取装置を得ることが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のウエビング巻取装置は、一方向へ回転されることでウエビングを巻き取ると共に他方向へ回転されることで前記ウエビングを引き出す巻取軸と、車両の緊急時に前記巻取軸を前記一方向へ回転させることで前記ウエビングを巻き取るプリテンショナ機構と、変形可能なエネルギー吸収部材を有し、車両の緊急時に前記ウエビングへの乗員の荷重により前記エネルギー吸収部材を変形させることで前記巻取軸を前記他方向へ回転させて前記ウエビングを引き出すフォースリミッタ機構と、を備えたウエビング巻取装置であって、前記巻取軸に設けられ、前記巻取軸と常に一体に回転するスリーブと、略円筒状の周壁を有して前記スリーブを前記周壁で取り囲んだ状態で設けられ、前記プリテンショナ機構により前記一方向へ回転される駆動部材と、前記駆動部材の周壁に形成され、前記周壁の内部と外部とを連通させる中空部と、前記中空部内に設けられ、前記スリーブ側及び反スリーブ側へ配置自在とされたカムプレートと、前記中空部内における前記カムプレートと前記スリーブとの間に設けられ、前記駆動部材が前記一方向へ回転される際に前記カムプレートが前記スリーブ側に配置されると前記カムプレートに押圧されて前記スリーブに係合するローラと、前記カムプレートに対応して前記駆動部材の周壁外周に設けられ、前記プリテンショナ機構により前記駆動部材を前記一方向へ回転させる際には前記カムプレートを前記スリーブ側へ配置させて前記ローラを前記スリーブに係合させることで前記駆動部材と一体に前記スリーブを回転させる一方、前記フォースリミッタ機構により前記巻取軸を介して前記スリーブを前記他方向へ回転させる際には前記カムプレートを前記反スリーブ側へ配置させることで前記スリーブの前記駆動部材に対する相対回転を許可するクラッチ手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載のウエビング巻取装置では、プリテンショナ機構が設けられている。プリテンショナ機構により車両の緊急時に駆動部材が一方向へ回転されると、クラッチ手段により駆動部材周壁の中空部内のカムプレートがスリーブ側へ配置されることで、カムプレートとスリーブとの間のローラがカムプレートに押圧されてスリーブに係合される。これにより、駆動部材と一体にスリーブが回転されて、巻取軸が一方向へ回転される。したがって、車両の緊急時には巻取軸にウエビングが巻き取られ、ウエビングの緩みが除去される。
【0012】
さらに、請求項1に記載のウエビング巻取装置では、フォースリミッタ機構が設けられており、車両の緊急時にウエビングへの乗員の荷重によりエネルギー吸収部材が変形されることで、巻取軸が他方向へ回転される。これにより、車両の緊急時には巻取軸からウエビングが引き出され、ウエビングによる乗員への荷重が一定量以下に制限される。
【0013】
ここで、フォースリミッタ機構により巻取軸が他方向へ回転されると、スリーブが他方向へ回転される。この際、クラッチ手段によりカムプレートが反スリーブ側へ配置されることで、カムプレートによるローラの押圧が解除されて、スリーブの駆動部材に対する相対回転が許可される。したがって、フォースリミッタ機構により巻取軸が他方向へ回転される際には、巻取軸の回転が駆動部材に伝達されず、これにより、駆動部材の他方向への回転に荷重が掛かる場合でも、巻取軸の他方向への回転が阻害されてウエビングの引き出しが阻害されることを防止することができる。
【0014】
このため、フォースリミッタ荷重(車両の緊急時にウエビングが引き出されるための荷重)をエネルギー吸収部材が変形するための荷重のみによって決定することができ、これにより、フォースリミッタ荷重の設定の自由度を広げることができる。
【0015】
請求項2に記載のウエビング巻取装置は、請求項1に記載のウエビング巻取装置において、前記クラッチ手段は、前記駆動部材の周壁外面に周方向に沿って形成され、前記駆動部材内側へ窪んだ形状とされた係止谷と、略円筒状とされて前記駆動部材の周壁を取り囲んだ状態で設けられたリングクラッチと、前記係止谷に対応して前記リングクラッチの内周面に形成され、前記リングクラッチ内側に突出した形状とされて前記係止谷内に挿入された係止山と、前記カムプレートに対応して前記リングクラッチの内周面に外側に窪んだ形状とされて形成され、前記係止谷の前記一方向側端部が前記係止山に係合された際に前記カムプレートを挿入可能とされた窪み部と、前記リングクラッチに設けられ、前記リングクラッチの前記他方向への回転を制限する制限手段と、を有し、かつ、前記プリテンショナ機構により前記駆動部材を前記一方向へ回転させる際には前記係止谷の前記他方向側端部が前記係止山に係合することで前記駆動部材と前記リングクラッチとを一体に回転させた状態で前記カムプレートを前記リングクラッチの内周面に係止させて前記カムプレートを前記スリーブ側へ配置させる一方、前記フォースリミッタ機構により前記スリーブが前記他方向へ回転される際には前記制限手段により前記リングクラッチの前記他方向への回転が制限された状態で前記ローラを介して前記駆動部材が前記他方向へ所定角度回転されて前記係止谷の前記一方向側端部が前記係止山に係合することで前記カムプレートを前記窪み部に挿入させて前記カムプレートを前記反スリーブ側へ配置させる、ことを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載のウエビング巻取装置では、プリテンショナ機構により駆動部材が一方向へ回転される際に、駆動部材の係止谷の他方向側端部がリングクラッチの係止山に係合することで、駆動部材とリングクラッチとが一体に回転された状態でカムプレートがリングクラッチの内周面に係止されてカムプレートがスリーブ側へ配置される。これにより、容易かつ確実に駆動部材と一体にスリーブを回転させて、巻取軸を一方向へ回転できる。
【0017】
一方、フォースリミッタ機構によりスリーブが他方向へ回転される際には、制限手段によりリングクラッチの他方向への回転が制限された状態でローラを介して駆動部材が他方向へ所定角度回転されて駆動部材の係止谷の一方向側端部がリングクラッチの係止山に係合することで、カムプレートがリングクラッチの窪み部に挿入されてカムプレートが反スリーブ側へ配置される。これにより、容易かつ確実にカムプレートによるローラの押圧を解除してスリーブを駆動部材に対して相対回転させることができる。
【0018】
請求項3に記載のウエビング巻取装置は、請求項1または請求項2に記載のウエビング巻取装置において、前記カムプレートの前記スリーブ側側壁に前記他方向側に向かうに従い前記スリーブ側に接近する傾斜面を形成し、かつ、前記プリテンショナ機構により前記駆動部材が前記一方向へ回転する際には前記クラッチ手段により前記カムプレートを前記スリーブ側へ配置させた状態で前記傾斜面が前記ローラに対し前記一方向側へ回転して前記傾斜面に前記ローラが押圧されることで前記ローラが前記スリーブに係合する、ことを特徴としている。
【0019】
請求項3に記載のウエビング巻取装置では、カムプレートのスリーブ側側壁に、他方向側に向かうに従いスリーブ側に接近する傾斜面が形成されている。
【0020】
ここで、プリテンショナ機構により駆動部材が一方向へ回転する際には、クラッチ手段によりカムプレートをスリーブ側へ配置させた状態でカムプレートの傾斜面がローラに対し一方向側へ回転して傾斜面にローラが押圧されることで、ローラがスリーブに係合する。これにより、一層容易かつ確実に駆動部材と一体にスリーブを回転させて、巻取軸を一方向へ回転させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図4には、本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置10の概略構成が側面図にて示されており、図5には、ウエビング巻取装置10の主要部が断面図(図4の5−5線断面図)にて示されている。
【0022】
ウエビング巻取装置10は、フレーム12を備えている。フレーム12は車両に固定されており、フレーム12にはスリーブ14が回転自在に支持されている。フレーム12内におけるスリーブ14の外周には巻取軸としてのスプール16が一体に固定されており、スリーブ14とスプール16とは常に一体に回転する。スプール16にはウエビング18が巻き取られており、スプール16が一方向へ回転されることでウエビング18が巻き取られる一方、スプール16が他方向へ回転されることでウエビング18が引き出される。
【0023】
また、ウエビング巻取装置10は、ラック&ピニオン方式によるプリテンショナ機構20を備えている。ここで、図1には、プリテンショナ機構20の主要部の内部構造が側面図にて示されている。
【0024】
図1にも示す如く、プリテンショナ機構20は駆動部材22を有している。駆動部材22は、略円筒状の周壁24と、この周壁24に一体に設けられた略円環状の側壁26とを有している。側壁26の中央部分にはピニオン28が一体に設けられており、ピニオン28の中心部分は中空とされている。ピニオン28は中心部分においてスリーブ14の端部に回転自在に支持されると共に、駆動部材22は周壁24でスリーブ14を取り囲んだ状態でスリーブ14の端部近傍に回転自在に支持されている。
【0025】
駆動部材22の周壁24外面には、周方向に沿って所定数(本実施の形態では3つ)の係止谷30が形成されており、各係止谷30は駆動部材22の内側へ窪んだ形状とされている。
【0026】
駆動部材22の周壁24には、所定数(本実施の形態では3つ)の中空部32が形成されており、中空部32によって周壁24の内部と外部とが連通されている。各中空部32の一方向側の面には略半円状の支持孔34が形成されると共に、各中空部32の他方向側の面は円弧状とされている。
【0027】
各中空部32の内部には、カムプレート36が嵌合されている。カムプレート36の一方向側端部は支持孔34に嵌合されると共に、カムプレート36の他方向側の面は円弧状とされて中空部32の他方向側の面に嵌合されており、これにより、カムプレート36は、中空部32内において一方向側端部を中心に回動自在に支持されている。カムプレート36のスリーブ14側側壁には傾斜面38が形成されており、この傾斜面38は、他方向側へ向かうに従いスリーブ14側に接近している。また、カムプレート36は、他方向側が後記リングクラッチ44の内周面に係止されることでスリーブ14側に配置されると共に、他方向側が後記リングクラッチ44の窪み部48に挿入されることで反スリーブ14側に配置される。
【0028】
各中空部32の内におけるカムプレート36とスリーブ14との間には、略円柱状のローラ40が設けられている。各ローラ40は、上記フレーム12に固定されたケースギヤ42(図5参照)に保持(接着)されると共に、カムプレート36の一方向側端部に当接されており、各ローラ40は、スリーブ14から離間した状態とされている。
【0029】
駆動部材22の外周には、カムプレート36に対応して略円筒状のリングクラッチ44が設けられており、リングクラッチ44は、駆動部材22の周壁24に嵌合されることで周壁24を取り囲んだ状態とされている。リングクラッチ44の内周面には、上記係止谷30に対応して所定数(本実施の形態では3つ)の係止山46が形成されており、各係止山46は、リングクラッチ44内側に突出した形状とされて係止谷30内に挿入されている。さらに、リングクラッチ44の内周面には、上記カムプレート36に対応して所定数(本実施の形態では3つ)の窪み部48が形成されており、各窪み部48はリングクラッチ44外側に窪んだ形状とされている。ここで、係止谷30の一方向側端部30Aが係止山46に係合された際には、各窪み部48に各カムプレート36の他方向側が挿入可能とされている。
【0030】
リングクラッチ44の外周には制限手段を構成するギヤ50が一体に設けられると共に、ギヤ50に対応してギヤ50の外側には制限手段を構成するパウル52が回動自在に支持されており、パウル52は制限手段を構成する圧縮コイルスプリング54の付勢力によりギヤ50に噛合されている。これにより、リングクラッチ44は、一方向への回転のみが許容されて、他方向への回転はパウル52によって制限(阻止)される。
【0031】
ここで、図2に示す如く、駆動部材22が一方向へ回転される際には、係止谷30の他方向側端部30Bが係止山46に係合することで、駆動部材22とリングクラッチ44とが一体に回転された状態でカムプレート36の他方向側がリングクラッチ44の内周面に係止されてカムプレート36がスリーブ14側へ配置される。これにより、カムプレート36の傾斜面38がローラ40に対し一方向側へ回転して傾斜面38にローラ40が押圧されることで、ケースギヤ42によるローラ40の保持が解除されて、ローラ40がスリーブ14に係合する。
【0032】
一方、図3に示す如く、ローラ40がスリーブ14に係合した後にスリーブ14が他方向へ回転される際には、パウル52によりリングクラッチ44の他方向への回転が制限された状態でローラ40を介して駆動部材22が他方向へ所定角度回転されて係止谷30の一方向側端部30Aが係止山46に係合することで、カムプレート36の他端側が窪み部48に挿入されて、カムプレート36が反スリーブ14側へ配置される。これにより、カムプレート36によるローラ40の押圧が解除されて、スリーブ14の駆動部材22に対する相対回転が許可される。
【0033】
また、図4に示す如く、上記フレーム12には、シリンダ56が固定されている。シリンダ56は略円筒状に形成されており、シリンダ56の上端側は駆動部材22の近傍で開口している。シリンダ56の下端側(反ピニオン28側)には、ガス供給口(図示省略)が設けられると共に、ガス供給口にはガス発生装置(図示省略)が接続されており、衝突等による車両の緊急時には、ガス発生装置が発生したガスがガス供給口からシリンダ56内に供給される。
【0034】
シリンダ56内には略円柱状のピストン58が設けられており、ピストン58はシリンダ56内を移動可能とされている。ピストン58の下端(反ピニオン28側端部)近傍には円盤状の嵌合部60が形成されており、嵌合部60はシリンダ56の内壁に略嵌合されている。ここで、ガス供給口は嵌合部60の下方側(反ピニオン28側)に配置されており、シリンダ56内にガスが供給されると、ピストン58の下端及び嵌合部60等がこのガスの圧力を受けて、ピストン58がピニオン28側へ上昇する。
【0035】
ピストン58の上部には、ラック62が設けられている。このラック62はピニオン28に対応しており、ピストン58がピニオン28側へ上昇すると、ラック62がピニオン28に歯合する。これにより、ピニオン28を介して駆動部材22が一方向へ回転される。
【0036】
さらに、ウエビング巻取装置10は、フォースリミッタ機構(図示省略)を備えており、フォースリミッタ機構はエネルギー吸収部材(図示省略)を有している。車両の緊急時には、ウエビング18への乗員の荷重によりエネルギー吸収部材が変形されて、スプール16が他方向へ回転され、ウエビング18がスプール16から引き出される構成である。
【0037】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0038】
以上の構成のウエビング巻取装置10では、プリテンショナ機構20が設けられており、車両の緊急時にガス発生装置(図示省略)によるガスがガス供給口(図示省略)からシリンダ56内(ピストン58の嵌合部60下方側)に供給されると、ガスの圧力によってピストン58がピニオン28側へ上昇してピニオン28が一方向へ回転され、このため、駆動部材22が一方向へ回転される。図2に示す如く、駆動部材22が一方向へ回転される際には、係止谷30の他方向側端部30Bが係止山46に係合することで、駆動部材22とリングクラッチ44とが一体に回転された状態でカムプレート36の他方向側がリングクラッチ44の内周面に係止されてカムプレート36がスリーブ14側へ配置される。これにより、カムプレート36の傾斜面38がローラ40に対し一方向側へ回転して傾斜面38にローラ40が押圧されることで、ケースギヤ42によるローラ40の保持が解除されて、ローラ40がスリーブ14に係合する。これにより、駆動部材22と一体にスリーブ14が回転されて、スプール16が一方向へ回転される。したがって、車両の緊急時にはスプール16にウエビング18が巻き取られ、ウエビング18の緩みが除去される。
【0039】
さらに、ウエビング巻取装置10は、フォースリミッタ機構(図示省略)を備えており、車両の緊急時には、ウエビング18への乗員の荷重によりエネルギー吸収部材(図示省略)が変形されて、スプール16が他方向へ回転される。これにより、車両の緊急時にはウエビング18がスプール16から引き出され、ウエビング18による乗員への荷重が一定量以下に制限される。
【0040】
ここで、図3に示す如く、フォースリミッタ機構によりスプール16を介してスリーブ14が他方向へ回転される際には、パウル52によりリングクラッチ44の他方向への回転が制限された状態でローラ40を介して駆動部材22が他方向へ所定角度回転されて係止谷30の一方向側端部30Aが係止山46に係合することで、カムプレート36の他端側が窪み部48に挿入されて、カムプレート36が反スリーブ14側へ配置される。これにより、カムプレート36によるローラ40の押圧が解除されて、スリーブ14の駆動部材22に対する相対回転が許可される。したがって、フォースリミッタ機構によりスプール16が他方向へ回転される際には、スプール16の回転が駆動部材22に伝達されず、これにより、本実施の形態の如くシリンダ56内のガスによってピストン58の下降が阻害されることで駆動部材22の他方向への回転に荷重が掛かる場合でも、スプール16の他方向への回転が阻害されてウエビング18の引き出しが阻害されることを防止することができる。
【0041】
このため、フォースリミッタ荷重(車両の緊急時にウエビング18が引き出されるための荷重)をエネルギー吸収部材が変形するための荷重のみによって決定することができ、これにより、フォースリミッタ荷重の設定の自由度を広げることができる。
【0042】
また、上述の如く、プリテンショナ機構20により駆動部材22が一方向へ回転される際には、リングクラッチ44の内周面及び係止山46並びに駆動部材22の係止谷30によりカムプレート36がスリーブ14側へ配置されるため、容易かつ確実に駆動部材22と一体にスリーブ14を回転させて、スプール16を一方向へ回転できる。
【0043】
さらに、上述の如く、プリテンショナ機構20により駆動部材22が一方向へ回転する際には、カムプレート36の傾斜面38によりローラ40がスリーブ14に係合するため、一層容易かつ確実に駆動部材と一体にスリーブ14を回転させて、スプール16を一方向へ回転させることができる。
【0044】
さらにまた、上述の如く、フォースリミッタ機構によりスリーブ14が他方向へ回転される際には、リングクラッチ44の係止山46及び窪み部48、駆動部材22の係止谷30並びにパウル52等の制限手段によりカムプレート36が反スリーブ14側へ配置されるため、容易かつ確実にカムプレート36によるローラ40の押圧を解除して、スリーブ14を駆動部材22に対して相対回転させることができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、制限手段としてギヤ50、パウル52及び圧縮コイルスプリング54を使用した構成としたが、図6に示すウエビング巻取装置80のプリテンショナ機構82の如く、リングクラッチ44の一方向への回転のみを許可して他方向への回転を制限するスプリングクラッチ84を制限手段として使用した構成としてもよい。
【0046】
【発明の効果】
請求項1に記載のウエビング巻取装置では、フォースリミッタ機構により巻取軸が他方向へ回転される際に、巻取軸の回転が駆動部材に伝達されないため、フォースリミッタ荷重をエネルギー吸収部材が変形するための荷重のみによって決定することができ、フォースリミッタ荷重の設定の自由度を広げることができる。
【0047】
請求項2に記載のウエビング巻取装置では、プリテンショナ機構により駆動部材が一方向へ回転される際に、リングクラッチの内周面及び係止山並びに駆動部材の係止谷によりカムプレートがスリーブ側へ配置されるため、容易かつ確実に駆動部材と一体にスリーブを回転させて、スプールを一方向へ回転できる。
【0048】
一方、フォースリミッタ機構によりスリーブが他方向へ回転される際には、リングクラッチの係止山及び窪み部、駆動部材の係止谷並びに制限手段によりカムプレートが反スリーブ側へ配置されるため、容易かつ確実にカムプレートによるローラの押圧を解除して、スリーブを駆動部材に対して相対回転させることができる。
【0049】
請求項3に記載のウエビング巻取装置では、プリテンショナ機構により駆動部材が一方向へ回転する際に、カムプレートの傾斜面によりローラがスリーブに係合するため、一層容易かつ確実に駆動部材と一体にスリーブを回転させて、スプールを一方向へ回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置のプリテンショナ機構主要部の通常時における内部構造を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置のプリテンショナ機構主要部のプリテンショナ機構作動時における内部構造を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置のプリテンショナ機構主要部のフォースリミッタ機構作動時における内部構造を示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置の概略構成を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置の主要部を示す断面図(図1及び図4の5−5線断面図)である。
【図6】本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置の別例を示す側面図である。
【図7】従来のウエビング巻取装置におけるフォースリミッタ荷重(縦軸)とウエビングの引出量(横軸)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ウエビング巻取装置
14 スリーブ
16 スプール(巻取軸)
18 ウエビング
20 プリテンショナ機構
22 駆動部材
24 周壁
30 係止谷(クラッチ手段)
32 中空部
36 カムプレート
38 傾斜面
40 ローラ
44 リングクラッチ(クラッチ手段)
46 係止山(クラッチ手段)
48 窪み部(クラッチ手段)
50 ギヤ(制限手段、クラッチ手段)
52 パウル(制限手段、クラッチ手段)
54 圧縮コイルスプリング(制限手段、クラッチ手段)
80 ウエビング巻取装置
82 プリテンショナ機構
84 スプリングクラッチ(制限手段、クラッチ手段)
Claims (3)
- 一方向へ回転されることでウエビングを巻き取ると共に他方向へ回転されることで前記ウエビングを引き出す巻取軸と、
車両の緊急時に前記巻取軸を前記一方向へ回転させることで前記ウエビングを巻き取るプリテンショナ機構と、
変形可能なエネルギー吸収部材を有し、車両の緊急時に前記ウエビングへの乗員の荷重により前記エネルギー吸収部材を変形させることで前記巻取軸を前記他方向へ回転させて前記ウエビングを引き出すフォースリミッタ機構と、
を備えたウエビング巻取装置であって、
前記巻取軸に設けられ、前記巻取軸と常に一体に回転するスリーブと、
略円筒状の周壁を有して前記スリーブを前記周壁で取り囲んだ状態で設けられ、前記プリテンショナ機構により前記一方向へ回転される駆動部材と、
前記駆動部材の周壁に形成され、前記周壁の内部と外部とを連通させる中空部と、
前記中空部内に設けられ、前記スリーブ側及び反スリーブ側へ配置自在とされたカムプレートと、
前記中空部内における前記カムプレートと前記スリーブとの間に設けられ、前記駆動部材が前記一方向へ回転される際に前記カムプレートが前記スリーブ側に配置されると前記カムプレートに押圧されて前記スリーブに係合するローラと、前記カムプレートに対応して前記駆動部材の周壁外周に設けられ、前記プリテンショナ機構により前記駆動部材を前記一方向へ回転させる際には前記カムプレートを前記スリーブ側へ配置させて前記ローラを前記スリーブに係合させることで前記駆動部材と一体に前記スリーブを回転させる一方、前記フォースリミッタ機構により前記巻取軸を介して前記スリーブを前記他方向へ回転させる際には前記カムプレートを前記反スリーブ側へ配置させることで前記スリーブの前記駆動部材に対する相対回転を許可するクラッチ手段と、
を備えたことを特徴とするウエビング巻取装置。 - 前記クラッチ手段は、
前記駆動部材の周壁外面に周方向に沿って形成され、前記駆動部材内側へ窪んだ形状とされた係止谷と、
略円筒状とされて前記駆動部材の周壁を取り囲んだ状態で設けられたリングクラッチと、
前記係止谷に対応して前記リングクラッチの内周面に形成され、前記リングクラッチ内側に突出した形状とされて前記係止谷内に挿入された係止山と、
前記カムプレートに対応して前記リングクラッチの内周面に外側に窪んだ形状とされて形成され、前記係止谷の前記一方向側端部が前記係止山に係合された際に前記カムプレートを挿入可能とされた窪み部と、
前記リングクラッチに設けられ、前記リングクラッチの前記他方向への回転を制限する制限手段と、
を有し、かつ、前記プリテンショナ機構により前記駆動部材を前記一方向へ回転させる際には前記係止谷の前記他方向側端部が前記係止山に係合することで前記駆動部材と前記リングクラッチとを一体に回転させた状態で前記カムプレートを前記リングクラッチの内周面に係止させて前記カムプレートを前記スリーブ側へ配置させる一方、前記フォースリミッタ機構により前記スリーブが前記他方向へ回転される際には前記制限手段により前記リングクラッチの前記他方向への回転が制限された状態で前記ローラを介して前記駆動部材が前記他方向へ所定角度回転されて前記係止谷の前記一方向側端部が前記係止山に係合することで前記カムプレートを前記窪み部に挿入させて前記カムプレートを前記反スリーブ側へ配置させる、
ことを特徴とする請求項1記載のウエビング巻取装置。 - 前記カムプレートの前記スリーブ側側壁に前記他方向側に向かうに従い前記スリーブ側に接近する傾斜面を形成し、
かつ、前記プリテンショナ機構により前記駆動部材が前記一方向へ回転する際には前記クラッチ手段により前記カムプレートを前記スリーブ側へ配置させた状態で前記傾斜面が前記ローラに対し前記一方向側へ回転して前記傾斜面に前記ローラが押圧されることで前記ローラが前記スリーブに係合する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のウエビング巻取装置。
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