JP3735162B2 - モルタル等の吹付け装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、掘削後のトンネル内壁にモルタルを吹き付ける等、吹付け施工に関する技術分野に属するもので、具体的には、トンネル掘進機のエレクター装置に着脱可能なモルタル等の吹付け装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘削後、その内壁にモルタルを吹き付ける作業は、従来、作業員が吹付け用ガンノズルを手で持ちながら行うという方法によるものが殆どであった。
しかし、この方法は、吹付けにムラが生じ易いことや、吹付け用ガンノズル、ホースの重量および吹付け時の反動により作業者への労働負担が非常に大きいという欠点を有することから、現場ではその吹付け施工の改善が望まれていたものである。また昨今のトンネルの大断面化に伴い、内壁上部への吹付け作業における作業者の安全性、足場の位置替え回数の増加等による作業時間の遅延、といった諸問題も発生してきたことから、近年ではこの吹付け作業をロボットにより行わせる態様が主流となってきており、自走式のもの等各種の装置が現場で使用されるに至っている。
さてこのような背景のもとで、トンネル掘進機による大断面トンネル掘削後のモルタル吹付け作業(セグメント既設後の表面吹付け等)においては、このトンネル掘進機後部に設けられた、たとえばセグメント設置用のエレクターに吹付け用ガンノズルを取り付けて吹付けを行うという方法が提案されており、装置自体が自走式の吹付けロボットに比べて安価に製作できるというメリットを有することから、実用化が進んでいる吹付け施工形態となっているものである。
【0003】
ここで、この種の吹付け装置の従来例を示すと、その構成は以下のようになっている。
まず、ブラケットを介してエレクターに固定アームが取り付けられており、この固定アームの同一軸線上(延長方向)に、伸縮自在な可動アームが取り付けられている。固定アームと可動アームには油圧シリンダーが付設され、このシリンダーの伸縮により可動アームの伸縮が行われる。そして、可動アームの先端部には、油圧ヒンジにより回動自在とされたガンノズル支持部が取り付けられ、このガンノズル支持部にモルタル吹付け用のガンノズルが固定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の構成による吹付け装置は、下記に示す問題点を包含していた。
1)可動アームが固定アームの延長方向に取り付けられていること、および、可動アームはシリンダーの伸縮に従動して伸縮が行われることにより、可動アームを最小に縮めたときであっても、シリンダーの、いわゆるデッドストローク分だけ固定アーム先端部から突出することになり、吹付け直後における吹付け箇所のチェック作業等、トンネル掘進機後部における諸作業時には、この可動アームの突出部分が非常に邪魔なものとなる。
2)ガンノズルを回動させるために使用する油圧ヒンジは一般に高価であり、また大型で重量もあるために、それを支える可動アームも強度的に大きいものが必要となり、全体的に高価な装置となってしまう。
【0005】
本発明はこのような課題を解消するために創作されたものであり、安価に製作可能であって、可動アーム縮小時の格納スペースの小さい、エレクターに着脱自在なモルタル等の吹付け装置を提供することを目的としているものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記の目的を達成するために以下の手段を用いた。
まず、第1の手段として、
エレクターに着脱自在に取り付けられる固定アームと、この固定アームの軸線と平行となるように配設される可動アームと、可動アームを可動アームの軸線方向に沿って移動させる移動手段と、可動アーム先端部に設けられるノズル支持部と、ノズル支持部を、可動アームの軸線方向回りに回動させる回動手段と、ノズル支持部に着脱自在に取り付けられる吹付けノズルと、から構成してなるようにした。
特に、可動アームを固定アームと平行に配設することにより、格納時においては、可動アームをエレクター先端部より引っ込ませることが可能となるため、諸作業時の安全性が確保されることになる。
【0007】
次に、第2の手段として、可動アームの移動手段を以下のような構成とした。
前記固定アームおよび可動アームに摺動可能となるアーム支持部材に設けられたスプロケットを、固定アームおよび可動アームに形成されたローラーチェーン又はラックに噛合させ、アーム支持部材に取り付けられた駆動源でスプロケットを回転移動させることにより、アーム支持部材および可動アームを移動させるようにした。
シリンダーによる移動手段に比べて、デッドストロークが無い分、移動距離を大きくすることができ、また、アーム支持部材を固定アーム上で移動させるとともに、可動アームをアーム支持部材に対して相対移動させる構成とすることにより、さらに大きな移動距離を得ることが可能となる。
【0008】
また、第3の手段として、ノズル支持部の回動手段を以下のように構成した。
前記ノズル支持部に形成されたインターナルギヤに、平歯車を噛合させ、前記可動アームに取り付けられた駆動源により平歯車を回転させることにより、ノズル支持部を回動させるようにした。
油圧ヒンジを使用する場合に比べて、安価に製作可能であり、また小型軽量に製作できるため、可動アーム等に荷重負担がかからず、装置全体の小型化が可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る吹付け装置がトンネル掘進機のエレクターに取り付けられている状態を示す説明図であり、図2は吹付け装置の側面図であり、図2(a)は可動アーム延伸時の状態図、図2(b)は可動アーム縮小時の状態図、図3は図2(a)におけるA−A断面図、図4はノズル支持部の詳細図(一部断面図)、図5は図4におけるB−B断面図、図6は吹付け装置の吹付け施工を示す斜視図である。
【0010】
「エレクターの説明」
まず、図1に示すように、トンネル掘進機Kの後方内部には、回転体駆動装置Pのギヤと噛合して、トンネル軸回りに回転する回転体Dが配設されており、この回転体Dの周縁部に、エレクターEが取り付けられている。本発明に係る吹付け装置が取り付けられるこのエレクターEとしては、支保工組立用、セグメント組立用、または多目的用等、その種類において限られるものではなく、後述するように固定アームが適宜に取り付けられる部位を有していれば、その形状も図面に示すものに限られない。
【0011】
さて、エレクターEの側面(図1においては紙面手前側)に、本発明に係る吹付け装置1が取り付けられる。
具体的には、ブラケット4および5により固定アーム2が、その両端部において固定されているもので、エレクターEと平行に、つまりトンネル軸と平行に配置される。なお、本実施形態では、この固定アーム2を円管部材としている。
そして、固定アーム2の下方には、同じく円管部材である可動アーム3が、固定アーム2の軸線と平行となるように配設されており、その先端部には、ノズル支持部20が設けられている。このノズル支持部20は、モルタル吹付け用の吹付けノズルを支持固定する部位であり、その構成は以下のようになっている。
可動アーム3の先端部に、断面略L字状でリング形状のスペーサ24が溶接等の方法で固定されており、その外周には、軸受25を介してリング形状の回転部材23が嵌着されている。この回転部材23の外周には、吹付けノズルホルダー27が固定される。
ノズル支持部20は以上のように構成され、吹付けノズルホルダー27にモルタル吹付け用の吹付けノズル26が公知方法により着脱自在に取り付けられる。
【0012】
「移動手段の説明」
次に、可動アーム3をその軸方向において移動させるための移動手段について説明する。
上述したように、固定アームと可動アームを平行に配置させる構成とすれば、可動アームの移動手段として油圧シリンダーを用いることによっても、縮小時には可動アームをエレクター先端部から引っ込ませることが可能となるものであるが、本実施形態では、シリンダー機構に比べてより大きな移動距離を確保するため、可動アームの移動手段を以下のような構成とした。
固定アーム2の下部および可動アーム3の上部に、それぞれの軸方向に沿って、チェーン取付け部材6を介してローラーチェーン7を付設し、この上下のローラーチェーン7に噛合するようにスプロケット15を配置し、このスプロケット15の駆動源となるモータ31が取着されたアーム支持部材10を固定アーム2および可動アーム3に架け渡した構造としたものである。
このアーム支持部材10は、可動アーム3を固定アーム2に対して移動可能に接続させる機能を有するもので、固定アーム2および可動アーム3に対して摺動可能となっており、図3に示すように、本体部材となる筐体11の内部には、固定アーム2および可動アーム3をそれぞれ上下左右方向において支持すべく、第1ローラ12、第2ローラ13、第3ローラ14が軸受(図示せず)を介して取り付けられている。
そして、このアーム支持部材10は、固定アーム2の先端側(図2(a)において右側)に位置するときに、可動アーム3の末端側(図2(a)において左側)に位置するように配置される。このように配置させることで、可動アーム3の移動距離を最も大きく得ることができる。
以上の構成により、モータ31を駆動させれば、スプロケット15が固定アーム2に形成されたローラーチェーン7に噛合いながら回転移動し、アーム支持部材10が固定アーム2上を移動するとともに、アーム支持部材10に対して、可動アーム3が相対的に移動するものである。
【0013】
なお、上述のローラーチェーンの代わりに、固定アームおよび可動アームにラックを形成して、このラックの歯形形状に合うスプロケットを用いることによっても上述の構成の場合と同一の効果が得られる。
【0014】
「回動手段の説明」
次に、ノズル支持部20を可動アーム3の軸線方向回りに回動させるための回動手段について説明する。
回動手段としては、油圧ヒンジを使用したり、また各種歯車機構を利用できるが、本実施形態では、小型化の可能な内歯車機構を採用している。
すなわち、回転部材23の側面に円弧状のインターナルギヤ22を取付け、このインターナルギヤ22に平歯車21を噛合させ、モータ32により回転駆動させるものである。
また、このノズル支持部20の回動距離を制御する方法として、本実施形態では、リミットスイッチを使用しており、インターナルギヤ22の左右端部に板状部材の、凸部28aを有したストライカ28を設けて、その凸部28aを、スペーサ24に取り付けた2つのリミットスイッチ29に当接させる構造とすることで、その回動距離を制御させるようにしている。
【0015】
上記構成からなる吹付け装置1の作用は次の通りである。
まず、作業者は、トンネル掘進機Kの回転体Dを所定角度回転させ、モルタルの吹付けを開始する位置に吹付け装置1をセットさせる(このとき可動アーム3は最も延伸した状態であるとする)。
セットが完了したら、モルタル圧送供給装置およびエアコンプレッサー(共に図示せず)を動作させ、ホース33を通して吹付けノズル26からモルタルを噴出させる。モータ32が作動し、平歯車21、インターナルギヤ22の内歯車機構を介して、吹付けノズル26がトンネル断面方向に回動を始める。そして、インターナルギヤ22に取り付けたストライカ28の凸部28aがノズル支持部20に設けられた一方のリミットスイッチ29に当接すると、モータ32は停止、逆回転駆動を開始する。このように、左右2つのリミットスイッチ29により、吹付けノズル26はその回動量が規制されることになり、図6に示すようなトンネル断面方向における回動往復運動をしながら所定部位の吹付けを行う。
またモータ32の作動と同時に、モータ31が作動し、スプロケット15が固定アーム2に形成されたローラーチェーン7に噛合しながら回転移動することにより、アーム支持部材10がトンネル掘進機K側に移動するとともに、可動アーム3もアーム支持部材に対し同方向に相対移動されることになり、トンネル軸方向のモルタル吹付けが行われる。
そして、所定の部位まで達して吹付けを終了したら、回転体Dを所定角度回転させ、未塗装の部位に吹付け装置1を位置させて、同様の吹付け工程を繰り返していく。
【0016】
なお、これら一連の動作は、リモコン装置により自動制御することが可能であり、ノズル支持部の回動速度、および可動アームの移動速度を予めセットしておくことにより、ムラのない均一な吹付け施工が可能となる。
また、エレクター自体の可動機構と連動させることも勿論可能であり、これにより多様な吹付けパターンが実現される。
【0017】
また本発明は、トンネル内壁表面へのモルタル吹付けを主対象として創作されたものであるが、モルタル吹付けに限らず、コンクリート吹付けやその他の耐火材被覆施工などにも本吹付け装置は使用可能である。
【0018】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、その形状については、図面に記載したものに限られず、エレクターの仕様に合わせる等、本発明の主旨を逸脱しない範囲で設計変更することが可能である。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係るモルタル等の吹付け装置によれば次のような効果を奏する。
(1)可動アームを固定アームと平行に配設することにより、可動アーム縮小時には該可動アームの先端部をエレクター装置の先端部より引っ込ませることが可能であり、格納スペースの小さい吹付け装置が実現できる。
(2)また、可動アームの移動手段として既述した手段を用いれば、可動アームの移動距離を大きくすることが可能であり、吹付け面積の大きい吹付け装置が実現できる。
(3)さらに、ノズル支持部の回動手段として既述した手段を用いれば、ノズル支持部自体を安価に製作でき、また、小型軽量にできるので、それを支える可動アーム等の荷重負担が低減され、全体的に小型軽量の吹付け装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吹付け装置を備えたトンネル掘進機の側断面図である。
【図2】吹付け装置の側面図であり、図2(a)は可動アーム延伸時の状態図、図2(b)は可動アーム縮小時の状態図である。
【図3】図2(a)におけるA−A断面図である。
【図4】ノズル支持部の断面図である。
【図5】図4におけるB−B断面図である。
【図6】本発明に係る吹付け装置の吹付け施工を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 吹付け装置
2 固定アーム
3 可動アーム
4、5 ブラケット
6 チェーン取付け部材
7 ローラーチェーン
10 アーム支持部材
11 筐体
12 第1ローラ
13 第2ローラ
14 第3ローラ
15 スプロケット
20 ノズル支持部
21 平歯車
22 インターナルギヤ
23 回転部材
24 スペーサ
25 軸受
26 吹付けノズル
27 吹付けノズルホルダー
28 ストライカ
29 リミットスイッチ
31、32 モータ
33 ホース
K トンネル掘進機
P 回転体駆動装置
D 回転体
E エレクター
Claims (3)
- トンネル掘進機のエレクターに着脱自在なモルタル等の吹付け装置であって、
エレクターに着脱自在に取り付けられる固定アームと、
この固定アームの軸線と平行となるように配設される可動アームと、
可動アームを可動アームの軸線方向に沿って移動させる移動手段と、
可動アーム先端部に設けられるノズル支持部と、
ノズル支持部を、可動アームの軸線方向回りに回動させる回動手段と、
ノズル支持部に着脱自在に取り付けられる吹付けノズルと、
から構成されることを特徴とするモルタル等の吹付け装置。 - 前記移動手段は、
前記固定アームおよび可動アームに摺動可能となるアーム支持部材に設けられたスプロケットを、固定アームおよび可動アームに形成されたローラーチェーン又はラックに噛合させ、
アーム支持部材に取り付けられた駆動源によりスプロケットを回転移動させ、アーム支持部材および可動アームを移動させるものである請求項1に記載のモルタル等の吹付け装置。 - 前記回動手段は、
前記ノズル支持部に形成されたインターナルギヤに、平歯車を噛合させ、
前記可動アームに取り付けられた駆動源により平歯車を回転させることによって、ノズル支持部を回動させるものである請求項1または請求項2に記載のモルタル等の吹付け装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19651896A JP3735162B2 (ja) | 1996-07-25 | 1996-07-25 | モルタル等の吹付け装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19651896A JP3735162B2 (ja) | 1996-07-25 | 1996-07-25 | モルタル等の吹付け装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1037691A JPH1037691A (ja) | 1998-02-10 |
| JP3735162B2 true JP3735162B2 (ja) | 2006-01-18 |
Family
ID=16359080
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP19651896A Expired - Fee Related JP3735162B2 (ja) | 1996-07-25 | 1996-07-25 | モルタル等の吹付け装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3735162B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2019027117A (ja) * | 2017-07-28 | 2019-02-21 | 株式会社熊谷組 | 吹付方法 |
-
1996
- 1996-07-25 JP JP19651896A patent/JP3735162B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH1037691A (ja) | 1998-02-10 |
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