JP3754246B2 - ロータリ圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気調和機等の冷凍装置に用いられるロータリ圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和機等の冷凍装置においてロータリ圧縮機が多用されている。このロータリ圧縮機の概略構成を図1を参照して説明する。
【0003】
図1に示すロータリ圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素20、この圧縮要素20を駆動する駆動要素30、これらを密閉して収納する密閉容器10等を主要構成としている。
【0004】
圧縮要素20は円筒状のシリンダ21を有し、このシリンダ21にローラ22が配設され、またローラ22の内側にクランク23が配設されている。
【0005】
さらに、ローラ22の外側面には、図示しないベーンが当接して、クランクの回転に伴いローラが偏心回転運動すると、ベーンはベーンスロットから出入りして、ローラ22とシリンダ21とでなす空間を吸入室と圧縮室とに区画している。
【0006】
このような圧縮要素の固定は、シリンダ21を密閉容器10に溶接して固定することにより行われている。図1では、溶接箇所をPで示し、当該溶接箇所は例えば3カ所設けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリンダ21を溶接した際に、ベーンスロットに歪みが生じてベーンがロックしたり、ローラ22の偏心回転運動への追随性が悪くなったりする問題があった。
【0008】
このことを図3を参照して説明する。図3はシリンダ21に形成されたベーンスロットの形状を模式的に示した図で、図3(a)は溶接前、図3(b)は溶接後の状態を示している。
【0009】
通常、ベーンスロット110は、切削等を経て形成されるために工作後の状態は幅が同じになっている(L1=L2)。
【0010】
しかし、このシリンダ21を密閉容器10に溶接すると、そのときに発生する歪みによりベーンスロット110のローラ22側端部が押し狭められてL3<L4≒L1の状態となって、ベーンの摺動性が悪くなり、ロックしたりする。
【0011】
これに対して、予めベーンスロット110の幅を大きく切削等して、歪みが発生した状態でベーンスロット110の最小幅がベーンの幅になるように工作することが考えられる。
【0012】
例えば、溶接等によりベーンスロット110のローラ22側端部が歪みで狭くなっても、その状態でベーンの幅になるように工作する。
【0013】
しかし、ベーンスロット110の後端部111は密閉容器10と連通しており、密閉容器10内に充満している冷媒の圧力によりベーンがローラ22に当接するように付勢される構造であるため、ベーンとベーンスロット110とがなす適正なクリアランス領域が少なくなると、圧縮室と密閉容器10内とのシール性が低下して圧縮効率を低下させてしまう問題がある。
【0014】
そこで、本発明は、シリンダを溶接して固定した際に歪みが発生しても、上記シール性を低下させることなく、かつ、ベーンがロック等を起したりしないようにして信頼性の高い、高品質なロータリ圧縮機を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、密閉容器に固着されたシリンダにローラが偏心回動自在に内設されると共に、シリンダに設けられたベーンスロットにベーンが出入自在に挿入されて、ローラの動きに追随しながら当該ローラにベーンが当接してシリンダとローラとで形成される空間を圧縮室と吸入室とに区画してなるロータリ圧縮機において、シリンダを密閉容器に固着した際に発生する歪みによりベーンスロットの幅が変化しても、ベーンの全体がベーンスロットに対して一様のクリアランスを保ちながら出入りできるようにクリアランス変動防止手段を設けて、シリンダを溶接して固定した際に歪みが発生しても、シール性を低下させることなく、かつ、ベーンがロック等を起したりしないようにして信頼性の向上及び高品質化が可能になるようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、クリアランス変動防止手段が、前記シリンダのローラ回動部分より外周側に形成された円弧状の貫通穴に架設され、前記シリンダの最外周を前記密閉容器に複数の点で固着する際に発生する歪みによる各固着点に作用する力を相殺するように力の伝達パスを形成する梁により構成し、シリンダを溶接して固定した際に歪みが発生しても、シール性を低下させることなく、かつ、ベーンがロック等を起したりしないようにして信頼性の向上及び高品質化が可能になるようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項2にかかる発明は、クリアランス変動防止手段は、シリンダを密閉容器に固着する前におけるベーンスロットの幅がローラ側に適宜広がるように形成して構成して、シリンダを溶接して固定した際に歪みが発生しても、シール性を低下させることなく、かつ、ベーンがロック等を起したりしないようにして信頼性の向上及び高品質化が可能になるようにしたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図を参照して説明する。図1は本実施の形態に係るロータリ圧縮機の構成を示す図で、冷媒を圧縮する圧縮要素20、この圧縮要素20を駆動する駆動要素30、これらを密閉して収納する密閉容器10等を主要構成としている。
【0019】
密閉容器10は、筒状のシェル部12とこれにアーク溶接等により溶接されたエンドキャップ11により形成されて、エンドキャップ11には駆動要素30に電力を供給する際の中継端子をなすターミナル46が設けられると共に、圧縮された冷媒を機外に吐出す吐出管45が設けられている。
【0020】
また、シェル部12には、機外から圧縮要素20に冷媒を導く吸入管40が銀ロウ等により溶接して固着され、その底部はオイルが貯留するオイル溜44となっている。
【0021】
駆動要素30は、所謂磁極集中巻方式のDCブラシレスモータ等からなるもので、回転子32とシェル部12に固着された固定子31とから構成され、その回転軸33が圧縮要素20に連結されて回転力を伝達するようになっている。
【0022】
回転軸33は、第1軸受47及び第2軸受48により回動自在に支持されている。
【0023】
圧縮要素20には、上述した吸入管40が挿嵌されると共に、吐出口41が設けられている。この吐出口41には、図示しない吐出バルブが設けられており、冷媒がこの吐出バルブで規定される吐出圧に達すると吐出口41から密閉容器10内に吐出される。
【0024】
従って、アキュムレータ7を介して機外から供給された冷媒は、吸入管40から圧縮要素20に吸入され、ここで圧縮された後吐出口41から密閉容器10内に吐出され、吐出管45から機外に吐出されることになる。
【0025】
圧縮要素20は円筒状のシリンダ21を有し、このシリンダ21にローラ22が内設されている。
【0026】
このローラ22は円筒状に形成され、その内側にクランク23が配設されると共に、ローラ22の外側面にベーンが当接している。
【0027】
クランク23は回転軸33に固着されて(又は一体形成されて)設けられているので、クランク23の回転によりローラ22は偏心回転運動するようになる。
【0028】
このときローラ22における外側面の一端がシリンダ21と常に所定のクリアランスで接するので、シリンダ21とローラ22との間には三日月状の空間が形成される。
【0029】
そして、ベーンがローラ22の外側面に当接しているので、このベーンにより三日月状の空間は図示しない吸入室と圧縮室とに区画される。
【0030】
ベーンにより三日月状空間が区画されて形成される吸入室と圧縮室との容積比は、ローラ22の回転に従い変化し、吸入室の容積が拡張すると、圧縮室の容積は縮小して冷媒が圧縮されるようになる。
【0031】
このような圧縮要素20を密閉容器10に固定するには、密閉容器10内に収納されたシリンダ21を溶接(例えば、図1におけるP点)して固定するが、このとき歪みが発生してベーンが挿入されているベーンスロットの寸法が狂い、ベーンがロック等する問題がある。
【0032】
そこで本発明では、シリンダを密閉容器に固着した際に発生する歪みによる力がベーンスロットに大きく作用しないようにして、このベーンスロットの幅変化を抑えるようにしたものである。
【0033】
シリンダには部材の軽量化や潤滑油を底に戻すため等を目的として、円弧状の貫通穴27が形成されているが、このような形状のシリンダを密閉容器に溶接すると、歪みが発生し、これにより一点鎖線で示すような力が作用してベーンスロットの幅が変化する。
【0034】
そこで、本実施の形態では、前記シリンダのローラ回動部分より外周側に形成された円弧状の貫通穴27に、図5に示すような梁52(52a,52b)を架設して、前記シリンダの最外周を前記密閉容器に複数の点で固着する際に発生する歪みによる各固着点に作用する力を相殺するように力の伝達パスを形成し、歪みにより発生する力がベーンスロット51に作用しないように、またはこのベーンスロット51に作用する力を小さくするようにしている。
【0035】
なお、図5は本実施の形態にかかるロータリ圧縮機におけるシリンダ50の上面図で、溶接点が3カ所(P1,P2,P3)の場合を示している。
【0036】
溶接点で発生する歪みによる力fは、貫通穴27等の存在のため完全に対称性は満たされないが略中心Oに向う。
【0037】
そこで、溶接点P1に働く力fを考えると、この力の溶接点P2方向の分力はf1となり、ベーンスロット51方向の分力はf3となる。この力fと分力f1とのなす角度が小さいため、分力f1は力fに略匹敵する大きさとなる。
【0038】
そこで、この溶接点P1に働く分力f1が溶接点P2に働く分力f1により相殺されるように力の伝達パスを形成すべく梁52を設けている。
【0039】
これにより、各溶接点P1、P3に働く力が小さくなるので、ベーンスロット51の方向に作用する分力f3も小さくなって、ベーンスロット51の幅変化を抑制することが可能になる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1にかかる発明によれば、シリンダを密閉容器に固着した際に発生する歪みによりベーンスロットの幅が変化しても、ベーンの全体がベーンスロットに対して一様のクリアランスを保ちながら出入りできるようにクリアランス変動防止手段を設けたので、シリンダを溶接して固定した際に歪みが発生しても、シール性を低下させることなく、かつ、ベーンがロック等を起したりしないようにして信頼性の向上及び高品質化が可能になる。
【0041】
また、クリアランス変動防止手段が、シリンダを密閉容器に複数の点で固着し、その際に発生する歪みによる各固着点に作用する力を相殺するように力の伝達パスを形成する梁により構成したので、シリンダを溶接して固定した際に歪みが発生しても、シール性を低下させることなく、かつ、ベーンがロック等を起したりしないようにして信頼性の向上及び高品質化が可能になる。
【0042】
請求項2にかかる発明によれば、クリアランス変動防止手段をシリンダを密閉容器に固着する前におけるベーンスロットの幅がローラ側に適宜広がるように形成して構成したので、シリンダを溶接して固定した際に歪みが発生しても、シール性を低下させることなく、かつ、ベーンがロック等を起したりしないようにして信頼性の向上及び高品質化が可能になる。
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の説明に適用されるロータリ圧縮機の構成図である。
【図2】 実施の形態の説明に適用されるシリンダの上面図である。
【図3】 従来の技術の説明に適用されるベーンスロットの構成を示す図である。
【符号の説明】
10 密閉容器
20 圧縮要素
21,50 シリンダ
22 ローラ
25,51 ベーンスロット
27 貫通穴
30 駆動要素
52(52a,52b) 梁
Claims (2)
- 密閉容器に固着されたシリンダにローラが偏心回動自在に内設されると共に、前記シリンダに設けられたベーンスロットにベーンが出入自在に挿入されて、前記ローラの動きに追随しながら当該ローラに前記ベーンが当接して前記シリンダとローラとで形成される空間を圧縮室と吸入室とに区画してなるロータリ圧縮機において、
前記シリンダを前記密閉容器に固着した際に発生する歪みにより前記ベーンスロットの幅が変化しても、前記ベーンの全体が前記ベーンスロットに対して一様のクリアランスを保ちながら出入りできるようにクリアランス変動防止手段を設け
該クリアランス変動防止手段が、前記シリンダのローラ回動部分より外周側に形成された円弧状の貫通穴に架設され、前記シリンダの最外周を前記密閉容器に複数の点で固着する際に発生する歪みによる各固着点に作用する力を相殺するように力の伝達パスを形成する梁であることを特徴とするロータリ圧縮機。 - 前記クリアランス変動防止手段は、前記シリンダを密閉容器に固着する前における前記ベーンスロットの幅が前記ローラ側に適宜広がるように形成して構成したことを特徴とする請求項1記載のロータリ圧縮機。
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