JP3763614B2 - 無機硬化性組成物、無機質成形体およびその製造方法 - Google Patents

無機硬化性組成物、無機質成形体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機硬化性組成物、無機質成形体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水硬性マトリックスと短繊維の混合分散スラリーを抄造して成形した成形品は、石綿スレート、硅酸カルシウム板、パルプセメント板、スラグ石膏板などの建築材料として古くから用いられている。これらの成形品には、石綿スレートに代表されるように、多量の石綿が含まれているのが通例である。この石綿は、抄造工程や品質物性に重要な役割を果たしている。
しかし、公害問題と関連して、石綿(アスベスト)の使用については世界的に厳しい規制が実施され、石綿を使用していた分野においては、石綿の使用量の低減、究極的には無石綿化が指向されている。石綿に代わる繊維として種々の繊維、例えば、天然繊維について解繊パルプ(特開昭59−131551号公報など)、合成繊維についてビニロン繊維やポリプロピレン繊維(特開昭62−78136号公報など)、無機質繊維について炭素繊維やガラス繊維などが検討されている。また、最近では森林資源の保護や資源のリサイクル化のため、解繊パルプとして古紙パルプを使用する方法も検討されている。
【0003】
このように、脱アスベスト化を目指して様々な繊維が検討されているが、繊維の種類に応じて、それぞれ、一長一短がある。例えば、有機合成繊維を使用する場合、添加量が少な過ぎると十分な補強効果を発揮できず、多過ぎると、難燃性が低下するばかりか、繊維自身の分散性の低下に伴って成形品が不均一になる。また、セメント系の養生方法として、蒸気養生・オートクレーブ養生を採用する製品では繊維自身の熱劣化が問題となる。
難燃性を解決する手段として、パルプ繊維又は無機繊維を使用する方法が提案されているが、パルプ繊維の添加量が少なすぎると十分な補強効果が発揮できず、補強効果を発揮する程度の量で添加すると、難燃性の低下に加えて、濾水性が低下し、抄造による生産性が大きく低下する。また、無機繊維としてガラス繊維を用いると、耐アルカリ性が問題となり、炭素繊維を用いると、濾水性が高過ぎるために均一な成形品が得られないばかりか、抄造時の粉粒体の漏れによる歩留まりが低下する。また、一般に無機繊維を使用した場合は、繊維自身の表面が滑らかであり、かつセメントとの密着性も小さいため、成形品を破断した際に、いわゆる繊維の擦り抜けが起こり、繊維自身の強度は強いものの、成形品として十分な強度が発現しない。
【0004】
これらの課題を解決するため、特公平5−80425公報には、ビニロン繊維やポリアクリルニトリル繊維の極細繊維と、通常の繊維とを組み合わせて使用することが提案されている。この方法は、極細繊維の良好な粉末捕捉性と通常繊維のセメントとの密着性とを同時に合わせ持たせることができる。しかし、有機合成繊維を使用すると、無機繊維ほどではないものの、繊維の剛直性に起因して、プレス法などによる賦形時に凸凹表面が生じる虞があり、成形体を精度よく成形することが困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、抄造性、補強性とともに表面平滑性の高い無機硬化性組成物、無機質成形体およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、少量の添加により高い補強性を付与し、機械的特性を改善できる無機硬化性組成物、無機質成形体およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、濾水性および歩留りが高く、抄造による生産性が高く、円滑に無機質成形体を得ることができる無機硬化性組成物、無機質成形体およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、前記繊維と微小フィブリル化セルロース繊維とを組合せて使用すると、濾水性、歩留りおよび賦形時の表面性を大きく改善できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の無機硬化性組成物は、無機硬化性物質と補強繊維とで構成された硬化性組成物であって、補強繊維が、(A)平均繊維径0.01〜1μm、平均繊維長300〜1000μmであり、かつ軸比(L/D)が2,000〜100,000の微小フィブリル化セルロースと、(B1)平均繊維径5〜50μm、平均繊維長1〜5mmの解繊パルプ繊維と、(B2)平均繊維径5〜50μm、平均繊維長1〜10mmの有機合成繊維又は無機繊維とで構成されている。この組成物において、補強繊維の割合は、固形分換算で、硬化性組成物全体に対して1〜10重量%程度である。また、(B1)成分に対する(A)成分の割合は、(A)成分/(B1)成分=5〜80重量%程度の範囲から選択でき、(B2)成分の割合は、補強繊維全体の3〜20重量%程度の範囲から選択する場合が多い。
【0007】
前記無機硬化性組成物は、無機質成形体、例えば、抄造体を得る上で有用である。
本発明の方法では、前記無機硬化性組成物の水性スラリーを抄造し、無機質成形体を製造する。この方法において、水性スラリーを抄造し、無機質抄造体を硬化させて無機質成形体を得てもよい。
なお、本明細書において、セルロース繊維の「平均繊維長」は、重さ加重平均繊維長を意味する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の無機硬化性組成物を構成する無機硬化性物質および補強繊維について詳細に説明する。
[無機硬化性物質]
無機硬化性物質には、セメント、例えば、気硬性セメント(セッコウ、消石灰やドロマイトプラスターなどの石灰);水硬性セメント(例えば、ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、アルミナセメント、急硬高強度セメント、焼きセッコウなどの自硬性セメント;石灰スラグセメント、高炉セメントなど;混合セメント)などが含まれる。好ましいセメントには、例えば、セッコウ、ドロマイトプラスターおよび水硬性セメントなどが含まれる。
【0009】
無機硬化性物質の割合は、セメント成形体の用途や強度などに応じて選択でき、例えば、固形分換算で、無機硬化性組成物全体に対して30〜90重量%、好ましくは40〜90重量%、さらに好ましくは50〜90重量%程度である。
[補強繊維]
本発明の特色は、(A)微小フィブリル化セルロース(以下、単に微小セルロース繊維という場合がある)と、(B1)解繊パルプ繊維および(B2)有機合成繊維又は無機繊維から選択された少くとも一種の繊維(B)とを組合せて補強繊維を構成する点にある。
[微小フィブリル化セルロース(A)]
微小セルロース繊維(A)は、単に細かい繊維であるだけでなく、多数の枝分かれ構造を有し、フィブリル化している。そのため、抄造において少量の添加量でも濾水性・歩留まりを大幅に改善できる。特に耐火性を重要視する場合、有機繊維は多量に配合できず、炭素繊維などの無機繊維を配合すると、剛直で、表面が平滑であるため、濾水性が高過ぎ、しばしば製品の品質に悪影響を及ぼす。このような繊維系に、微小セルロース繊維を少量添加すると、濾水性を改善できるとともに、物性を低下させることなく抄造体を製造できる。また、微小セルロース繊維が互いに絡み合うため、網目状構造を形成し、その結果として微小粉末の白水への漏れが少なくなり歩留まりが向上するだけでなく、安定した品質の製品が製造可能となる。
【0010】
微小セルロース繊維(A)の平均繊維径は、例えば、0.01〜1μm(例えば、0.01〜0.8μm)、好ましくは0.03〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.3μm程度であり、平均繊維径0.1〜0.3μm程度である場合が多い。また、微状セルロース繊維の平均繊維長は、例えば、100〜1000μm(例えば、100〜900μm)、好ましくは200〜900μm、好ましくは300〜800μm程度であり、400〜600μm程度である場合が多い。さらに、微小セルロース繊維の軸比(L/D)は、例えば、2,000〜100,000、好ましくは5,000〜80,000、さらに好ましくは10,000〜70,000程度であり、25,000〜75,000程度である場合が多い。さらに、微小セルロース繊維の比表面積は、例えば、100〜300m2 /g、好ましくは150〜250m2 /g程度である。
【0011】
微小セルロース繊維のセルロース原料としては、例えば、パルプ(木材パルプ、竹パルプ、バガスパルプ、リンターパルプなど)が使用でき、パルプは、バージンパルプであってもよく、新聞紙などの古紙パルプなどであってもよい。
微小セルロース繊維の製造方法は特に制限されない。微小セルロース繊維は、例えば、高圧ホモジナイザーなどを用いて、高剪断力、高衝撃力をセルロース繊維に作用させ、セルロースを高度に裂解して、微細化するととも極度にミクロフィブリル化することにより調製できる。このような微小セルロース繊維は、例えば、ダイセル化学工業(株)から商品名「セリッシュ」として入手できる。
微小セルロース繊維の添加量は、スラリー粘度,濾水性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、補強繊維全体の5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30重量%程度である。
【0012】
無機硬化性組成物全体に対する微小セルロース繊維の使用量は、例えば、無機硬化性組成物全体の0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%程度である。
さらに、(B1)成分に対する(A)成分の割合は、例えば、(A)成分/(B1)成分=5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%(例えば、10〜30重量%)程度である。
[解繊パルプ繊維(B1)]
解繊パルプ繊維(B1)、すなわちパルプ繊維としては、叩解により得られる種々のパルプ、例えば、木材パルプ、竹パルプ、バガスパルプ、リンターパルプなどが使用でき、木材パルプは、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプのいずれであってもよい。また、解繊パルプ繊維としては、NUKP,NBKPなどのバージンパルプ、新聞紙、段ボールなどの古紙パルプ、あるいはそれらの再生品などを使用することができる。
【0013】
解繊パルプ繊維(B1)は短繊維として使用される。解繊パルプ繊維(B1)の平均繊維径は、例えば、5〜50μm(例えば、10〜50μm)、好ましくは10〜40μm,さらに好ましくは10〜30μm程度であり、平均繊維長は、例えば、1〜5mm(例えば、2〜5mm)、好ましくは2〜4mm程度である。
パルプ繊維の添加量は、補強性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、補強繊維全体の20〜90重量%、好ましくは30〜85重量%、さらに好ましくは50〜80重量%程度である。
無機硬化性組成物全体に対するパルプ繊維の使用量は、例えば、無機硬化性組成物全体の0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%、さらに好ましくは2〜5重量%程度である。
【0014】
[有機合成繊維又は無機繊維(B2)]
補強繊維は、成型品に耐衝撃性を付与したり成形品の難燃性を向上させるため、有機合成繊維や無機繊維を含んでいてもよい。有機繊維には、例えば、レーヨン繊維、アセテート繊維、オレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアクリロニトリル繊維などのアクリル系繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン繊維(ポリビニルアルコール繊維)、ポリ塩化ビニル繊維、フェノール繊維などが含まれる。
無機繊維には、例えば、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、金属繊維などが例示できる。
有機合成繊維又は無機繊維はそれぞれ単独で又は二種以上混合して使用でき、有機合成繊維と無機繊維とを組合せて使用してもよい。
【0015】
有機合成繊維及び無機繊維(B2)は短繊維として使用される。有機合成繊維及び無機繊維(B2)の平均繊維径は、例えば、5〜50μm(例えば、10〜50μm)、好ましくは10〜40μm,さらに好ましくは10〜30μm程度であり、平均繊維長は、例えば、1〜10mm(例えば、2〜8mm)、好ましくは2〜10mm(例えば、3〜6mm)、さらに好ましくは3〜8mm(例えば、3〜6mm)程度である。
繊維(B2)の割合は、例えば、補強繊維全体の0〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは5〜15重量%程度の範囲から選択できる。有機合成繊維及び/又は無機繊維(B2)の割合が20重量%を越えると、繊維の分散性が低下し、成形品の物性に悪影響を及ぼすとともに、表面平滑性,地合が低下しやすい。
【0016】
無機硬化性組成物全体に対する繊維(B2)の使用量は、例えば、無機硬化性組成物全体の0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%程度である。
補強繊維は、(A)微小フィブリル化セルロースと、(B1)解繊パルプ繊維および(B2)繊維の少くともいずれか一方の繊維(B)とで構成されていればよいが、(A)微小フィブリル化セルロースと、(B1)解繊パルプ繊維と、(B2)有機合成繊維及び/又は無機繊維とで構成する場合が多い。
前記微小セルロース繊維(A)と、解繊パルプ繊維(B1)および繊維(B2)から選択された少くとも一種の繊維(B)とで構成された補強繊維の割合は、固形分換算で、硬化性組成物全体の1〜10重量%(例えば、1〜7重量%)、好ましくは2〜5重量%、さらに好ましくは3〜5重量%程度である。
【0017】
本発明の無機硬化性組成物、特にセメント系成形用組成物は、例えば、前記セメントと水とのペースト組成物(セメントペースト)として使用してもよく、セメントと水と骨材(例えば、砂、ケイ砂、パーライト、バーミキュライトなどの細骨材や軽量骨材、砕石、砂利などの粗骨材)を含むモルタル組成物やコンクリート組成物として使用してもよい。
無機硬化性組成物には、抄造体の寸法安定性を向上させるため、マイカなどの無機分散剤(充填剤)を添加してもよい。無機硬化性組成物は、さらに必要に応じて、セメント混和剤を含んでいてもよい。
セメント混和剤には、例えば、水溶性バインダー、減水剤や流動化剤、着色剤、硬化剤、塩化カルシウムなどの硬化促進剤、ポリアクリルアミドなどで構成された凝固剤、ポリビニルアルコール,ベントナイトなどの増粘剤、アルミニウム粉末などの発泡剤、合成樹脂エマルジョンなどの防水剤、可塑剤などの種々の添加剤を含んでいてもよい。
【0018】
前記水溶性バインダーとしては、例えば、水溶性セルロース誘導体[セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロースなどのアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースなどのカルボキシルアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロースなど)]、ポリビニルアルコールなどが例示され、前記減水剤や流動化剤としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、亜硫酸法パルプ廃液、オキシカルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物などのスルホン酸塩(トリアジン系分散剤)、アビエチン酸などの松やに成分のアルカリ金属塩などで構成された、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤などが例示できる。
【0019】
前記無機硬化性組成物は、無機硬化性物質と、(A)微小フィブリル化セルロースと、(B1)解繊パルプ繊維および(B2)有機合成繊維又は無機繊維から選択された少くとも一種の繊維(B)とで構成された補強繊維とを、必要に応じて前記添加剤とともに混合することにより調製できる。
本発明の無機硬化性組成物は、成形性が高いため、種々の成形法、例えば、流し込み、抄造,吹き付け、プレスなどの種々の成形法で無機質成形体(繊維強化セメント成形体)を得ることができる。特に、無機硬化性組成物は抄造性に優れている。そのため、好ましい無機質成形体には、前記成分を含むスラリーを、ハチェック(丸網)式やプレス式などの抄造法を利用して抄造することにより得られる抄造体が含まれる。抄造体は、1枚の抄造シートであってもよく、複数枚の抄造シートを積層した積層体であってもよい。
【0020】
本発明の方法では、無機硬化性物質と補強繊維とで構成された水硬化性組成物の水性スラリーを抄造し、無機質成形体(繊維強化セメント成形体)を調製する。その際、前記補強繊維として、(A)微小フィブリル化セルロースと、(B1)解繊パルプ繊維、および(B2)有機合成繊維又は無機繊維から選択された少くとも一種の繊維(B)とで構成された補強繊維を用いる。このような抄造により高品質のコンクリート製品(セメント成形体)を効率よく生産できる。
前記スラリーの抄造は慣用の方法、例えば、抄造機を用いる抄造法などにより行うことができる。スラリー濃度は抄造性を損わない限り特に制限されず、例えば、0.1〜30重量%程度であってもよい。抄造による成形体は表面平滑性が高いとともに、前記(A)微小セルロース繊維と繊維(B)とで補強されている。特に、(A)微小セルロース繊維により、繊維間の絡み合いが強固であり、抄造体(成形体)の機械的特性を改善できるとともに、濾水性のみならず粉粒体に対する高い捕捉能により歩留りを高めることができる。
【0021】
前記無機質成形体(繊維強化セメント成形体)は、1又は複数の抄造シートを積層し、必要に応じて加圧成形した後、硬化させることにより得る場合が多い。繊維強化セメント成形体の硬化は、慣用の方法(例えば、常温常圧養生、常圧蒸気養生,水中養生、オートクレーブ養生など)で養生することにより行うことができる。
本発明の無機質成形体は、例えば、カーテンウォール、壁材などのコンクリートパネル、コンクリートブロックなどの製造に有用である。成形品は、形状などに応じて種々の用途、例えば、床材、内装材、外装材、遮音材などの建材用成形品として利用できる。
【0022】
【発明の効果】
本発明では、補強繊維が微小セルロース繊維と叩解セルロース繊維又は有機合成又は無機繊維との組合せにより構成されているため、抄造性、補強性とともに表面平滑性が高い。また、補強繊維の少量の添加により高い補強性を付与でき、曲げ強度や衝撃強度の大きな成形体を得ることができる。さらには、濾水性および歩留りが高く、抄造による生産性を改善でき、円滑に無機質成形体を得ることができる。
【0023】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
石膏、スラグ、パーライト、ワラストナイト、ビニロン繊維(平均繊維径15μm,平均繊維長6mm,クラレ(株)製,ビニロンRM182−6)、消石灰、解砕パルプ繊維[ミキサー解砕処理したNUKP繊維(重さ加重平均繊維長2.76mm,平均繊維径15μm、軸比約200]および微小セルロース繊維[NUKPを高圧ホモジナイザーで処理した微小セルロース繊維(重さ加重平均繊維長0.51mm,平均繊維径0.1μm、軸比約5100)]を用い、表1に示される配合処方に従って、1リットルのスラリー(固形分濃度2重量%)を調製した。パルプ繊維1重量部に対する微小セルロース繊維の割合は25重量%である。セルロース繊維の繊維長は測定機(KAJAANI社製,型式FS-200)で測定し、重さ加重平均繊維長を記載し、繊維径は、光学顕微鏡を用いた観察結果に基づいて、最も代表的な値を記載した。
【0024】
そして、下記の方法で、濾水性および歩留りを測定したところ、表1に示す結果が得られた。
濾水性:
80メッショの金網を通過するスラリーの濾過速度を基準とし、スラリー500mlを濾過するのに要した時間を測定した。
歩留り:
仕込んだ固形分量と、濾水性の測定の際に金網上に残留した固形分の重量比とから算出した。
比較例1
微小セルロース繊維に代えて解砕セルロース繊維を用い、セルロース繊維を解砕パルプ繊維で構成する以外、実施例1と同様にして濾水性および歩留りを測定したところ、表1に示す結果が得られた。
【0025】
比較例2
解砕パルプ繊維に代えて微小セルロース繊維を用い、解砕パルプ繊維を微小セルロース繊維で構成する以外、実施例1と同様にして濾水性および歩留りを測定したところ、表1に示す結果が得られた。
【0026】
【表1】
Figure 0003763614
【0027】
表1に示されるように、比較例1および比較例2では濾水性および歩留りを高いレベルでバランスよく向上させることが困難であるのに対して、実施例1では、濾水性および歩留りの双方を向上できる。
実施例2および比較例3
石膏、スラグ、パーライト、ワラストナイト、ビニロン繊維(平均繊維径15μm,平均繊維長6mm,クラレ(株)製,ビニロンRM182−6)、消石灰、解砕パルプ繊維[解砕処理したNBKP繊維(重さ加重平均繊維長3.05mm,平均繊維径15μm、軸比約200)]および微小セルロース繊維[新聞故紙を高圧ホモジナイザーで処理して得られた微小セルロース繊維(重さ加重平均繊維長0.72mm,平均繊維径0.2μm、軸比約3500)]を用い、表2に示される配合処方に従って混合し、少量の凝集剤(市川毛織(株)製,IKフロック)を添加しながら、スラリー混合物を丸網抄造成形した後、60℃で1日蒸気養生し、60℃で1日乾燥することにより無機質板を得た。なお、パルプ繊維1重量部に対する微小セルロース繊維の割合は30重量%である。
【0028】
実施例2において、濃度14.4重量%のスラリーを抄造したところ、白水のスラリー濃度は1.4重量%であり、歩留り90%で抄造できた。
比較例3
微小セルロース繊維に代えて解砕パルプ繊維を用い、セルロース繊維を解砕パルプ繊維で構成する以外、実施例2と同様にして無機質板を得た。
得られた無機質板(抄造板)について、曲げ強度、衝撃強度、表面平滑性(地合)、難燃性を評価した。曲げ強度は、JIS A 1408に準じて測定し、衝撃強度は、球形重り(直径3cm、重さ300g)を高さ40cmと、高さ100cmから落下させ、落下に伴って生成する窪みの直径を測定することにより評価した。また、表面平滑性(地合)は目視で判定し、難燃性はJIS A 1321に準じて測定した。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
Figure 0003763614
【0030】
全セルロース繊維の添加量が同じであるため、実施例2および比較例3の難燃試験では大きな差が認められなかったが、比較例3に比べて実施例2の抄造板では、曲げ強度、衝撃強度、表面平滑性(地合)が大きく改善されている。

Claims (11)

  1. 無機硬化性物質と補強繊維とで構成された硬化性組成物であって、補強繊維が、(A )平均繊維径0.01〜1μm、平均繊維長300〜1000μmであり、かつ軸比(L/D)が2,000〜100,000の微小フィブリル化セルロースと、(B1)平均繊維径5〜50μm、平均繊維長1〜5mmの解繊パルプ繊維と、(B2)平均繊維径5〜50μm、平均繊維長1〜10mmの有機合成繊維又は無機繊維とで構成されている無機硬化性組成物。
  2. 補強繊維の割合が、固形分換算で、硬化性組成物全体の1〜10重量%である請求項1記載の無機硬化性組成物。
  3. 補強繊維の割合が、固形分換算で、硬化性組成物全体の1〜5重量%である請求項1記載の無機硬化性組成物。
  4. (B1)成分に対する(A )成分の割合が、(A )成分/(B1)成分=5〜80重量%である請求項1記載の無機硬化性組成物。
  5. (B1)成分に対する(A )成分の割合が、(A )成分/(B1)成分=10〜50重量%である請求項1記載の無機硬化性組成物。
  6. (B2)成分の割合が、補強繊維全体の3〜20重量%である請求項1記載の無機硬化性組成物。
  7. 無機硬化性物質がセメントである請求項1記載の無機硬化性組成物。
  8. 請求項1記載の無機硬化性組成物で構成されている無機質成形体。
  9. 無機硬化性組成物の抄造体である請求項8記載の無機質成形体。
  10. 請求項1記載の無機硬化性組成物の水性スラリーを抄造し、無機質成形体を製造する方法。
  11. 水硬化性組成物の水性スラリーを抄造し、無機質抄造体を硬化させる請求項10記載の無機質成形体の製造方法。
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