JP3767111B2 - 噴射弁 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、供給される流体の圧力により開弁して流体の噴射を行う噴射弁に関し、噴射時の応答性を向上させ、簡易な構造で組立や調整をも容易化させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりこの種の噴射弁としては、例えばエンジンを駆動させるための混合気を作成するためにエンジンの吸気部に備えられ、加圧された燃料の圧力により弁体を開弁すると共に燃料を噴射する燃料噴射弁がある。
図5(a),(b)は、この燃料噴射弁101の断面構成を説明する図であり、図5(a)には全体の構成が示され、図5(b)は図5(a)のノズル先端部を拡大した図である。
【0003】
燃料噴射弁101には、燃料噴射タイミングに合わせて所定の圧力に加圧される燃料が燃料供給管102により供給される。
【0004】
燃料供給管102は、その先端部にフランジ状に突出する固定フランジ部102aを備え、接続スリーブ103の一方の端部に設けられた接続孔103aにOリング104と固定プラグ105により密封性を保って固定される。
【0005】
そして、接続スリーブ103の他方の端部に設けられた接続孔103bには、燃料噴射弁101の筒状のボディ106が圧入等の方法により密封固定されている。また、ボディ106の噴射側の内周にはスリーブ107が嵌合固定され、スリーブ107の内周にはバルブシート108が嵌合固定されている。
【0006】
バルブシート108には、バルブシート面108aに当接する球状の鋼球弁体109aとそれに接続するロッド109bからなる弁体部109が挿通されている。
【0007】
ロッド109bの鋼球弁体109aの反対側には、スプリングリテーナ109cが固定されている。そして、スリーブ107の燃料供給管102側の端部を固定台座部としたスプリング110により、このスプリングリテーナ109cを図において上方に付勢することによって、鋼球弁体109aの閉弁状態を保つようにしている。
【0008】
バルブシート108の噴射側の端部には、先端に燃料を霧化噴射するための燃料噴射孔111aを有するノズルプレート111が取り付けられている。112は、燃料噴射弁101の先端を保護する筒状のノズルキャップである。
【0009】
この燃料噴射弁101の動作を簡単に説明すると、燃料供給管102により所定の圧力で供給される燃料は、スプリング110が収容される接続室113、スリーブ107、バルブシート108の内径部の通路108bを経て鋼球弁体109aまで導かれ、所定の圧力により鋼球弁体109aを押圧して開弁させ、燃料噴射孔111aから噴射される。
【0010】
尚、エンジンの状態に応じた噴射タイミングや噴射量は、不図示のコントロールユニットで決定される。そして燃料加圧ポンプ、加圧された燃料の圧力を一定の範囲内に調整するプレッシャレギュレータ及び流量調節を行う電磁弁等を備えた分配装置により、燃料が断続的な圧力波を伴いながらエンジンの型式や気筒数に応じた所定本数の燃料供給管102に対して分配・供給され、各燃料噴射弁から噴射される。
【0011】
従って、この燃料噴射弁101は供給される燃料の圧力により開弁するもので燃料が所定の圧力以下の場合に弁を閉弁方向に保持して燃料の噴射を行なわず、供給される燃料の圧力が高い時のみ開弁して燃料噴射を行うものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成の燃料噴射弁101に対し、次のような問題を解決課題として製品の競争力を維持するためにさらなる改善が望まれている。
【0013】
a)燃料噴射弁101の構成が複雑で大型化してしまうこと。
【0014】
b)弁体部109の組み立てが、スリーブ107にバルブシート108を圧入し、ロッド109b及びスプリング110を組み合わせて装着した後に、ロッド109bの先端と鋼球弁体109aをバルブシート108のバルブシート面108a近傍にて溶接するという方法で行なっているため、組み立て工程が複雑で難しく、組み立て性が低いこと。
【0015】
c)開弁時に可動部となる構成部材が、スプリング110,スプリングリテーナ109c,ロッド109b及び鋼球弁体109aとなり、可動部の質量が大きくなってしまう。従って、圧力印加時の応答性が悪化し、特に短いパルス幅の時の噴射流量特性が低下する。
【0016】
ところで、上記問題を解決するためには、まず燃料噴射弁の構成を簡素化することが考えられる。そこで、米国特許第4932374号を参照すると、図6に示されるようにダイアフラムを利用して噴射弁のノズル部200を構成するものがある。
【0017】
図6(a)はノズル部200の要部断面構成図、図6(b)は図6(a)のV101−V101矢視図、図6(c)はノズル部200から燃料が噴射されている状態を説明する図である。
【0018】
このノズル部200の構成は、一方の端部201aに中央部に連通孔202を有する閉塞端部203とした筒状のスリーブ201と、筒状のスリーブ201の閉塞端部203の外側を覆う薄い円板状部材からなるダイアフラム205とから構成されている。
【0019】
ダイアフラム205は、連通孔202と対向しない外側位置に複数の噴射孔206を備えている。そして、スリーブ201に所定圧力の燃料が供給されると、燃料の供給圧力により、ダイアフラム205が図6(c)のように外側に向かって膨らむように変形し、矢印A101に示される経路によって噴射孔206から燃料を噴射する。
【0020】
しかしながら、このノズル部200の構成では、燃料を噴射しない時の連通孔202の閉鎖は、ダイアフラム205の中央部領域205aにより行なうので、完全な閉弁状態とすることが難しく、燃料漏れを容易に発生してしまうことが懸念される。
【0021】
また、開弁圧力は連通孔202からのダイアフラム205を変形させる燃料の圧力となるので、組み立て時あるいは組み立て後の段階で容易に開弁圧力を変更することが難しく、開弁圧力のバラツキが大きくなってしまうという問題があり、このままの構成では、図5の燃料噴射弁101の代替構成として使用することは不可能であった。
【0022】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、小型化が可能となる簡単な構成であると共に、組み立て性や調整作業性等の製造性を向上させること、噴射応答性や燃料漏れ防止等の機能特性を向上させること、を達成する噴射弁を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
筒状のバルブシート部材の一端に形成されたシート面に当接する弁体と、この弁体を前記シート面に付勢して閉弁状態とする付勢手段とを備え、
バルブシート部材に供給される流体の圧力により、前記弁体が付勢手段の付勢力に抗して前記シート面から離間し開弁する噴射弁であって、
前記付勢手段は、弁体に向かって延びる支持腕とこの支持腕の輪郭に沿った開口部及び流体を噴射する噴射孔とを有する板バネであり、
前記板バネの開口部からの流体の漏れを防止するゴム状弾性膜を備えることを特徴とする。
【0024】
これにより、弁体は板バネによる支持腕により付勢される。そして、流体の圧力により弁体が開弁すると、シート面と弁体との隙間から流出した流体は、板バネに備えられた噴射孔より外部に噴射される。
【0025】
また、前記板バネは円板状であり、その支持腕は中央部から外周に向かう複数本の切り込みにより形成され、
前記ゴム状弾性膜は、板バネの少なくとも一方の面を覆うことを特徴とすることも好適である。
【0026】
これにより、支持腕は弁体を安定して付勢し、またゴム状弾性膜により支持腕を形成するための切り込みを覆うことができる。
【0027】
また、シート面に対する板バネの位置を変更することにより、前記支持腕の弁体への付勢力を調整可能とする板バネ保持部材を備えることを特徴とすることも好適である。
【0028】
これにより、支持腕の弁体への付勢力が調整可能となり、噴射弁の開弁圧力を調整することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を適用した実施の形態の噴射弁を図1に基づいて説明する。噴射弁1は、例えばエンジンを駆動させるための混合気を作成するために、エンジンの吸気部に設けられ、不図示のコントロールユニットで決定されるエンジンの状態に応じた噴射タイミングや噴射量となるように流体としての燃料を噴射するものとして使用される。
【0030】
そして、このような用途に使用される場合の噴射弁1には、不図示の燃料加圧ポンプ及びプレッシャレギュレータにより一定圧に加圧されると共に、所定のタイミングで開閉弁する電磁弁により断続的な圧力波を伴う燃料が供給される。そして、噴射弁1は燃料の圧力に応じて開弁して燃料を噴射する。
【0031】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明を適用した第1の実施の形態の噴射弁1の断面構成説明図であり、図1(b)は図1(a)のノズル先端部を拡大した図、図1(c)は図1(b)を矢視V1−V1から見た図である。
【0032】
噴射弁1は、筒状のバルブシート部材2の一方の端部(図において上端側)に、燃料供給管3がOリング4とプラグ5により密封性を保って接続・固定されている。そして、燃料は燃料供給管3によりバルブシート2の内径部2aを経て他方の端部に形成されたシート面2bへと導入される。
【0033】
シート面2bには鋼球弁体6が当接しており、鋼球弁体6の閉弁状態において流路を閉じている。
【0034】
この鋼球弁体6は、付勢手段としての板バネ7により閉弁方向に付勢・支持されている。板バネ7は円板状を呈しており、両面を薄いゴム状弾性膜8により覆われている。
【0035】
板バネ7は、図2(a)に示されるように、円板の中央部に円形打ち抜き部7aがあり、この円形打ち抜き部7aから外周方向に向かう4つの扇形の切り込み7b(複数)が形成されている。そして、隣り合う扇形の切り込み7bの斜辺7c(複数)の間を、鋼球弁体6を付勢する支持腕7d(複数)としている。
【0036】
各支持腕7dは、板バネ7の外周端部7eから鋼球弁体6に向かう軸方向に、先端部7f(円形打ち抜き部7aの輪郭の一部)がせり上がるように曲げられ、鋼球弁体6の開弁ストロークに対応させている。
【0037】
また、外周端部7eと支持腕7dの根元の間の領域には、燃料を噴射するための噴射孔7gが、この実施の形態においては対向させて2個設けられている。尚、噴射孔7gを支持腕7dに設けることも可能であるが、噴射方向及び噴射形状を安定させるために、支持腕7d以外の領域に設けることが好ましい。
【0038】
ゴム状弾性膜8は、加硫成形や接着貼り付け等の方法により板バネ7の両面に一体的に成形され、板バネ7の開口部としての円形打ち抜き部7aや扇形の切り込み7bを覆っている。但し、噴射孔7gの周囲だけは開口部8aとして存在させていない。
【0039】
従って、図1(c)に示されるように噴射弁1のノズル先端側から見た場合には、斜線により示されたゴム状弾性膜8が表面に現れており、板バネ7は内部に隠された状態となり開口部8aに位置する噴射孔7g以外の箇所を直接的にみることはできない。
【0040】
また、板バネ7は、板バネ保持部材としてのノズルスリーブ9の内向きフランジ部9aにより外周端部7e(ゴム状弾性膜8に覆われている)を支持されており、板バネ7の鋼球弁体6に対する付勢力(セット荷重)の調整を、ノズルスリーブ9のバルブシート部材2との軸方向の相対位置関係を調整することにより行なうことが可能となっている。この実施の形態では、組み立て時にノズルスリーブ9をバルブシート部材2に圧入嵌合する際の位置を定めている。
【0041】
ノズルスリーブ9と板バネ7との接合部は、カシメ等の方法により密封されており、バルブシート部材2の端面2cと板バネ7との間の隙間10に流入した燃料が噴射孔7g以外より漏れることをなくしている。従って、この隙間10はバルブシート部材2の端面2cと板バネ7及びノズルスリーブ9の軸方向壁9bにより密閉された室となっている。
【0042】
このような構成の噴射弁1によると、板バネ7により閉弁方向に付勢されている鋼球弁体6が、噴射タイミングで加圧供給される燃料の圧力により付勢力に抗して噴射方向(図において下側)に移動して開弁すると、燃料がシート面2bから供給され、隙間10を通過して噴射孔7gより噴射される。
【0043】
噴射タイミング以外では供給される燃料の圧力は低く、板バネ7により鋼球弁体6は付勢され閉弁状態となっている。
【0044】
従って、鋼球弁体6のシート面2bへの付勢保持を簡単な構成の板バネ7により行なうことができ、噴射弁1の構成が簡易なものとなり小型化することができる。それに伴い、組み立てやセット荷重の調整も簡単に行なうことができ製造性を向上させることが可能となる。
【0045】
また、弁機構としては鋼球弁体6を使用することにより閉弁時の燃料漏れが少なく、開弁時にはシート面を通過する燃料の流れを阻害することなくスムーズな流れとなる。さらに、付勢手段が板バネ7により構成されているので、可動部の構成及び質量が低減し噴射応答性等の機能特性を向上することができる。
【0046】
尚、板バネ7の鋼球弁体6に対するセット荷重や付勢ストロークを変更する必要がある場合には、支持腕7dの太さを変化させたり、あるいは図2(b)に示されるように、円形打ち抜き部7a’から周方向に折れ曲がる切り込み溝7b’により、U字状の支持腕7d’を形成することも可能である。この場合においても、開口部となる切り込み溝7b’はゴム状弾性膜により覆われており、切り込み溝7b’から燃料が漏れることはない。
【0047】
(実施の形態2)
図3は、第2の実施の形態の噴射弁21のノズル先端部の構成を表わす要部断面構成図である。この図において第1の実施の形態と同様の構成部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
この実施の形態においては、板バネ27の表面を覆うゴム状弾性部材28が鋼球弁体6と反対側の面にのみ形成されている。
【0049】
従って、鋼球弁体6は板バネ27の支持腕27dに直接接触しているので、長期間の使用による鋼球弁体6と接触する部位のゴム状弾性部材28の劣化や変形あるいは破損に伴う、問題を防ぐことが可能となる。
【0050】
即ち、セット荷重が安定することで開弁圧力は安定し、また噴射される燃料の噴射形状も一定とすることができる。その他の作用・効果は第1の実施の形態の噴射弁1と同様である。
【0051】
(実施の形態3)
図4は、第3の実施の形態の噴射弁31のノズル先端部の構成を表わす要部断面構成図である。この図において第1の実施の形態と同様の構成部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
この第3の実施の形態の噴射弁31においては、鋼球弁体6を付勢する板バネ37の曲がり方向が、第1及び第2の実施の形態とは反対に、噴射方向に膨らむ断面形状となっている。
【0053】
板バネ37の表面を覆うゴム状弾性部材38は、鋼球弁体6と反対側の面全面と、鋼球弁体6の面の外周部に形成されている。又、噴射孔37gはシート面2bに接近した位置で、支持腕37d上に形成されている。
【0054】
このように、板バネ37の曲がり方向を外向きとすることで、バルブシート部材2の端面2cと板バネ37との間の隙間10’の容積を小さく設定することができ、燃料のデッドソーク量の低減を図ることができる。また、圧力損失の少ない領域に噴射孔37gが設けられているので、整った燃料の噴射形状とすることができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によると、弁体の付勢保持を簡単な構成の板バネにより行なうことができ、噴射弁の構成が簡易なものとなり小型化することができる。
【0056】
それに伴い、組み立てやセット荷重の調整も簡単に行なうことができ製造性を向上させることが可能となる。
【0057】
また、弁機構としては弁体を閉弁させるので閉弁時の燃料漏れが少なく、可動部の構成及び質量も低減し噴射応答性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は第1の実施の形態の噴射弁の断面構成説明図であり、図1(b)はそのノズル部を拡大した図、図1(c)は矢視V1−V1図である。
【図2】図2は板バネの図。
【図3】図3は第2の実施の形態の噴射弁のノズル部の拡大断面図。
【図4】図4は第3の実施の形態の噴射弁のノズル部の拡大断面図。
【図5】図5は従来の噴射弁の断面構成説明図。
【図6】図6は従来の噴射弁のノズル部の断面構成説明図。
【符号の説明】
1,21,31 噴射弁
2 バルブシート部材
2a 内径部
2b シート面
3 燃料供給管
4 Oリング
5 プラグ
6 鋼球弁体(弁体)
7 板バネ(付勢手段)
7a 円形打ち抜き部
7b 扇形の切り込み
7c 斜辺
7d 支持腕
7e 外周端部
7f 先端部
7g 噴射孔
8 ゴム状弾性膜
8a 開口部
9 ノズルスリーブ(板バネ保持部材)
9a フランジ部
9b 軸方向壁
10 隙間
【発明の属する技術分野】
本発明は、供給される流体の圧力により開弁して流体の噴射を行う噴射弁に関し、噴射時の応答性を向上させ、簡易な構造で組立や調整をも容易化させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりこの種の噴射弁としては、例えばエンジンを駆動させるための混合気を作成するためにエンジンの吸気部に備えられ、加圧された燃料の圧力により弁体を開弁すると共に燃料を噴射する燃料噴射弁がある。
図5(a),(b)は、この燃料噴射弁101の断面構成を説明する図であり、図5(a)には全体の構成が示され、図5(b)は図5(a)のノズル先端部を拡大した図である。
【0003】
燃料噴射弁101には、燃料噴射タイミングに合わせて所定の圧力に加圧される燃料が燃料供給管102により供給される。
【0004】
燃料供給管102は、その先端部にフランジ状に突出する固定フランジ部102aを備え、接続スリーブ103の一方の端部に設けられた接続孔103aにOリング104と固定プラグ105により密封性を保って固定される。
【0005】
そして、接続スリーブ103の他方の端部に設けられた接続孔103bには、燃料噴射弁101の筒状のボディ106が圧入等の方法により密封固定されている。また、ボディ106の噴射側の内周にはスリーブ107が嵌合固定され、スリーブ107の内周にはバルブシート108が嵌合固定されている。
【0006】
バルブシート108には、バルブシート面108aに当接する球状の鋼球弁体109aとそれに接続するロッド109bからなる弁体部109が挿通されている。
【0007】
ロッド109bの鋼球弁体109aの反対側には、スプリングリテーナ109cが固定されている。そして、スリーブ107の燃料供給管102側の端部を固定台座部としたスプリング110により、このスプリングリテーナ109cを図において上方に付勢することによって、鋼球弁体109aの閉弁状態を保つようにしている。
【0008】
バルブシート108の噴射側の端部には、先端に燃料を霧化噴射するための燃料噴射孔111aを有するノズルプレート111が取り付けられている。112は、燃料噴射弁101の先端を保護する筒状のノズルキャップである。
【0009】
この燃料噴射弁101の動作を簡単に説明すると、燃料供給管102により所定の圧力で供給される燃料は、スプリング110が収容される接続室113、スリーブ107、バルブシート108の内径部の通路108bを経て鋼球弁体109aまで導かれ、所定の圧力により鋼球弁体109aを押圧して開弁させ、燃料噴射孔111aから噴射される。
【0010】
尚、エンジンの状態に応じた噴射タイミングや噴射量は、不図示のコントロールユニットで決定される。そして燃料加圧ポンプ、加圧された燃料の圧力を一定の範囲内に調整するプレッシャレギュレータ及び流量調節を行う電磁弁等を備えた分配装置により、燃料が断続的な圧力波を伴いながらエンジンの型式や気筒数に応じた所定本数の燃料供給管102に対して分配・供給され、各燃料噴射弁から噴射される。
【0011】
従って、この燃料噴射弁101は供給される燃料の圧力により開弁するもので燃料が所定の圧力以下の場合に弁を閉弁方向に保持して燃料の噴射を行なわず、供給される燃料の圧力が高い時のみ開弁して燃料噴射を行うものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成の燃料噴射弁101に対し、次のような問題を解決課題として製品の競争力を維持するためにさらなる改善が望まれている。
【0013】
a)燃料噴射弁101の構成が複雑で大型化してしまうこと。
【0014】
b)弁体部109の組み立てが、スリーブ107にバルブシート108を圧入し、ロッド109b及びスプリング110を組み合わせて装着した後に、ロッド109bの先端と鋼球弁体109aをバルブシート108のバルブシート面108a近傍にて溶接するという方法で行なっているため、組み立て工程が複雑で難しく、組み立て性が低いこと。
【0015】
c)開弁時に可動部となる構成部材が、スプリング110,スプリングリテーナ109c,ロッド109b及び鋼球弁体109aとなり、可動部の質量が大きくなってしまう。従って、圧力印加時の応答性が悪化し、特に短いパルス幅の時の噴射流量特性が低下する。
【0016】
ところで、上記問題を解決するためには、まず燃料噴射弁の構成を簡素化することが考えられる。そこで、米国特許第4932374号を参照すると、図6に示されるようにダイアフラムを利用して噴射弁のノズル部200を構成するものがある。
【0017】
図6(a)はノズル部200の要部断面構成図、図6(b)は図6(a)のV101−V101矢視図、図6(c)はノズル部200から燃料が噴射されている状態を説明する図である。
【0018】
このノズル部200の構成は、一方の端部201aに中央部に連通孔202を有する閉塞端部203とした筒状のスリーブ201と、筒状のスリーブ201の閉塞端部203の外側を覆う薄い円板状部材からなるダイアフラム205とから構成されている。
【0019】
ダイアフラム205は、連通孔202と対向しない外側位置に複数の噴射孔206を備えている。そして、スリーブ201に所定圧力の燃料が供給されると、燃料の供給圧力により、ダイアフラム205が図6(c)のように外側に向かって膨らむように変形し、矢印A101に示される経路によって噴射孔206から燃料を噴射する。
【0020】
しかしながら、このノズル部200の構成では、燃料を噴射しない時の連通孔202の閉鎖は、ダイアフラム205の中央部領域205aにより行なうので、完全な閉弁状態とすることが難しく、燃料漏れを容易に発生してしまうことが懸念される。
【0021】
また、開弁圧力は連通孔202からのダイアフラム205を変形させる燃料の圧力となるので、組み立て時あるいは組み立て後の段階で容易に開弁圧力を変更することが難しく、開弁圧力のバラツキが大きくなってしまうという問題があり、このままの構成では、図5の燃料噴射弁101の代替構成として使用することは不可能であった。
【0022】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、小型化が可能となる簡単な構成であると共に、組み立て性や調整作業性等の製造性を向上させること、噴射応答性や燃料漏れ防止等の機能特性を向上させること、を達成する噴射弁を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
筒状のバルブシート部材の一端に形成されたシート面に当接する弁体と、この弁体を前記シート面に付勢して閉弁状態とする付勢手段とを備え、
バルブシート部材に供給される流体の圧力により、前記弁体が付勢手段の付勢力に抗して前記シート面から離間し開弁する噴射弁であって、
前記付勢手段は、弁体に向かって延びる支持腕とこの支持腕の輪郭に沿った開口部及び流体を噴射する噴射孔とを有する板バネであり、
前記板バネの開口部からの流体の漏れを防止するゴム状弾性膜を備えることを特徴とする。
【0024】
これにより、弁体は板バネによる支持腕により付勢される。そして、流体の圧力により弁体が開弁すると、シート面と弁体との隙間から流出した流体は、板バネに備えられた噴射孔より外部に噴射される。
【0025】
また、前記板バネは円板状であり、その支持腕は中央部から外周に向かう複数本の切り込みにより形成され、
前記ゴム状弾性膜は、板バネの少なくとも一方の面を覆うことを特徴とすることも好適である。
【0026】
これにより、支持腕は弁体を安定して付勢し、またゴム状弾性膜により支持腕を形成するための切り込みを覆うことができる。
【0027】
また、シート面に対する板バネの位置を変更することにより、前記支持腕の弁体への付勢力を調整可能とする板バネ保持部材を備えることを特徴とすることも好適である。
【0028】
これにより、支持腕の弁体への付勢力が調整可能となり、噴射弁の開弁圧力を調整することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を適用した実施の形態の噴射弁を図1に基づいて説明する。噴射弁1は、例えばエンジンを駆動させるための混合気を作成するために、エンジンの吸気部に設けられ、不図示のコントロールユニットで決定されるエンジンの状態に応じた噴射タイミングや噴射量となるように流体としての燃料を噴射するものとして使用される。
【0030】
そして、このような用途に使用される場合の噴射弁1には、不図示の燃料加圧ポンプ及びプレッシャレギュレータにより一定圧に加圧されると共に、所定のタイミングで開閉弁する電磁弁により断続的な圧力波を伴う燃料が供給される。そして、噴射弁1は燃料の圧力に応じて開弁して燃料を噴射する。
【0031】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明を適用した第1の実施の形態の噴射弁1の断面構成説明図であり、図1(b)は図1(a)のノズル先端部を拡大した図、図1(c)は図1(b)を矢視V1−V1から見た図である。
【0032】
噴射弁1は、筒状のバルブシート部材2の一方の端部(図において上端側)に、燃料供給管3がOリング4とプラグ5により密封性を保って接続・固定されている。そして、燃料は燃料供給管3によりバルブシート2の内径部2aを経て他方の端部に形成されたシート面2bへと導入される。
【0033】
シート面2bには鋼球弁体6が当接しており、鋼球弁体6の閉弁状態において流路を閉じている。
【0034】
この鋼球弁体6は、付勢手段としての板バネ7により閉弁方向に付勢・支持されている。板バネ7は円板状を呈しており、両面を薄いゴム状弾性膜8により覆われている。
【0035】
板バネ7は、図2(a)に示されるように、円板の中央部に円形打ち抜き部7aがあり、この円形打ち抜き部7aから外周方向に向かう4つの扇形の切り込み7b(複数)が形成されている。そして、隣り合う扇形の切り込み7bの斜辺7c(複数)の間を、鋼球弁体6を付勢する支持腕7d(複数)としている。
【0036】
各支持腕7dは、板バネ7の外周端部7eから鋼球弁体6に向かう軸方向に、先端部7f(円形打ち抜き部7aの輪郭の一部)がせり上がるように曲げられ、鋼球弁体6の開弁ストロークに対応させている。
【0037】
また、外周端部7eと支持腕7dの根元の間の領域には、燃料を噴射するための噴射孔7gが、この実施の形態においては対向させて2個設けられている。尚、噴射孔7gを支持腕7dに設けることも可能であるが、噴射方向及び噴射形状を安定させるために、支持腕7d以外の領域に設けることが好ましい。
【0038】
ゴム状弾性膜8は、加硫成形や接着貼り付け等の方法により板バネ7の両面に一体的に成形され、板バネ7の開口部としての円形打ち抜き部7aや扇形の切り込み7bを覆っている。但し、噴射孔7gの周囲だけは開口部8aとして存在させていない。
【0039】
従って、図1(c)に示されるように噴射弁1のノズル先端側から見た場合には、斜線により示されたゴム状弾性膜8が表面に現れており、板バネ7は内部に隠された状態となり開口部8aに位置する噴射孔7g以外の箇所を直接的にみることはできない。
【0040】
また、板バネ7は、板バネ保持部材としてのノズルスリーブ9の内向きフランジ部9aにより外周端部7e(ゴム状弾性膜8に覆われている)を支持されており、板バネ7の鋼球弁体6に対する付勢力(セット荷重)の調整を、ノズルスリーブ9のバルブシート部材2との軸方向の相対位置関係を調整することにより行なうことが可能となっている。この実施の形態では、組み立て時にノズルスリーブ9をバルブシート部材2に圧入嵌合する際の位置を定めている。
【0041】
ノズルスリーブ9と板バネ7との接合部は、カシメ等の方法により密封されており、バルブシート部材2の端面2cと板バネ7との間の隙間10に流入した燃料が噴射孔7g以外より漏れることをなくしている。従って、この隙間10はバルブシート部材2の端面2cと板バネ7及びノズルスリーブ9の軸方向壁9bにより密閉された室となっている。
【0042】
このような構成の噴射弁1によると、板バネ7により閉弁方向に付勢されている鋼球弁体6が、噴射タイミングで加圧供給される燃料の圧力により付勢力に抗して噴射方向(図において下側)に移動して開弁すると、燃料がシート面2bから供給され、隙間10を通過して噴射孔7gより噴射される。
【0043】
噴射タイミング以外では供給される燃料の圧力は低く、板バネ7により鋼球弁体6は付勢され閉弁状態となっている。
【0044】
従って、鋼球弁体6のシート面2bへの付勢保持を簡単な構成の板バネ7により行なうことができ、噴射弁1の構成が簡易なものとなり小型化することができる。それに伴い、組み立てやセット荷重の調整も簡単に行なうことができ製造性を向上させることが可能となる。
【0045】
また、弁機構としては鋼球弁体6を使用することにより閉弁時の燃料漏れが少なく、開弁時にはシート面を通過する燃料の流れを阻害することなくスムーズな流れとなる。さらに、付勢手段が板バネ7により構成されているので、可動部の構成及び質量が低減し噴射応答性等の機能特性を向上することができる。
【0046】
尚、板バネ7の鋼球弁体6に対するセット荷重や付勢ストロークを変更する必要がある場合には、支持腕7dの太さを変化させたり、あるいは図2(b)に示されるように、円形打ち抜き部7a’から周方向に折れ曲がる切り込み溝7b’により、U字状の支持腕7d’を形成することも可能である。この場合においても、開口部となる切り込み溝7b’はゴム状弾性膜により覆われており、切り込み溝7b’から燃料が漏れることはない。
【0047】
(実施の形態2)
図3は、第2の実施の形態の噴射弁21のノズル先端部の構成を表わす要部断面構成図である。この図において第1の実施の形態と同様の構成部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
この実施の形態においては、板バネ27の表面を覆うゴム状弾性部材28が鋼球弁体6と反対側の面にのみ形成されている。
【0049】
従って、鋼球弁体6は板バネ27の支持腕27dに直接接触しているので、長期間の使用による鋼球弁体6と接触する部位のゴム状弾性部材28の劣化や変形あるいは破損に伴う、問題を防ぐことが可能となる。
【0050】
即ち、セット荷重が安定することで開弁圧力は安定し、また噴射される燃料の噴射形状も一定とすることができる。その他の作用・効果は第1の実施の形態の噴射弁1と同様である。
【0051】
(実施の形態3)
図4は、第3の実施の形態の噴射弁31のノズル先端部の構成を表わす要部断面構成図である。この図において第1の実施の形態と同様の構成部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
この第3の実施の形態の噴射弁31においては、鋼球弁体6を付勢する板バネ37の曲がり方向が、第1及び第2の実施の形態とは反対に、噴射方向に膨らむ断面形状となっている。
【0053】
板バネ37の表面を覆うゴム状弾性部材38は、鋼球弁体6と反対側の面全面と、鋼球弁体6の面の外周部に形成されている。又、噴射孔37gはシート面2bに接近した位置で、支持腕37d上に形成されている。
【0054】
このように、板バネ37の曲がり方向を外向きとすることで、バルブシート部材2の端面2cと板バネ37との間の隙間10’の容積を小さく設定することができ、燃料のデッドソーク量の低減を図ることができる。また、圧力損失の少ない領域に噴射孔37gが設けられているので、整った燃料の噴射形状とすることができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によると、弁体の付勢保持を簡単な構成の板バネにより行なうことができ、噴射弁の構成が簡易なものとなり小型化することができる。
【0056】
それに伴い、組み立てやセット荷重の調整も簡単に行なうことができ製造性を向上させることが可能となる。
【0057】
また、弁機構としては弁体を閉弁させるので閉弁時の燃料漏れが少なく、可動部の構成及び質量も低減し噴射応答性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は第1の実施の形態の噴射弁の断面構成説明図であり、図1(b)はそのノズル部を拡大した図、図1(c)は矢視V1−V1図である。
【図2】図2は板バネの図。
【図3】図3は第2の実施の形態の噴射弁のノズル部の拡大断面図。
【図4】図4は第3の実施の形態の噴射弁のノズル部の拡大断面図。
【図5】図5は従来の噴射弁の断面構成説明図。
【図6】図6は従来の噴射弁のノズル部の断面構成説明図。
【符号の説明】
1,21,31 噴射弁
2 バルブシート部材
2a 内径部
2b シート面
3 燃料供給管
4 Oリング
5 プラグ
6 鋼球弁体(弁体)
7 板バネ(付勢手段)
7a 円形打ち抜き部
7b 扇形の切り込み
7c 斜辺
7d 支持腕
7e 外周端部
7f 先端部
7g 噴射孔
8 ゴム状弾性膜
8a 開口部
9 ノズルスリーブ(板バネ保持部材)
9a フランジ部
9b 軸方向壁
10 隙間
Claims (3)
- 筒状のバルブシート部材の一端に形成されたシート面に当接する弁体と、この弁体を前記シート面に付勢して閉弁状態とする付勢手段とを備え、
バルブシート部材に供給される流体の圧力により、前記弁体が付勢手段の付勢力に抗して前記シート面から離間し開弁する噴射弁であって、
前記付勢手段は、弁体に向かって延びる支持腕とこの支持腕の輪郭に沿った開口部及び流体を噴射する噴射孔とを有する板バネであり、
前記板バネの開口部からの流体の漏れを防止するゴム状弾性膜を備えることを特徴とする噴射弁。 - 前記板バネは円板状であり、その支持腕は中央部から外周に向かう複数本の切り込みにより形成され、
前記ゴム状弾性膜は、板バネの少なくとも一方の面を覆うことを特徴とする請求項1に記載の噴射弁。 - シート面に対する板バネの位置を変更することにより、前記支持腕の弁体への付勢力を調整可能とする板バネ保持部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の噴射弁。
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