JP3772376B2 - 単結晶の成長方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液体封止チョクラルスキー法により、酸化物単結晶、化合物半導体単結晶等を成長する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にGaAs等の単結晶バルクは、チョクラルスキー法(CZ法)や液体封止チョクラルスキー法(LEC法)で成長するが、成長中に部分的に多結晶が発生するという問題があった。
図6は、従来のLEC法を実施する装置の概念図である。この装置は、高圧チャンバ1の中央に、サセプタ4付設のるつぼ5を下軸3で支持し、るつぼ5には原料融液6と液体封止剤7が収容されており、上軸2に保持された種結晶8を原料融液6に浸漬して単結晶9を引き上げるものである。なお、原料融液6の周囲にはヒータ10が、単結晶9の周囲にはヒータ11が配置されており、高圧チャンバ1の内側には保温材12が配置されている。
【0003】
上記多結晶化の原因は、図7に示すように、成長結晶と原料融液との固液界面の形状が成長結晶の周辺部で凹化し、固液界面に垂直に伝播してきた転位が周辺部に集積して多結晶化すると考えられる。したがって、この種の多結晶化を防止するためには、成長結晶の固液界面周辺部の凹化を防止する必要がある。
【0004】
LEC法で固液界面の凹化を防ぐ方法として、固液界面付近に設置したヒータのパワーをできるだけ増加して成長結晶側面を局所加熱し、結晶から側方への熱の放散を抑える方法が提案されている[HITACHI CABLE REVIEW No.9 (1990)55]。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法では次のような問題がある。
▲1▼結晶側面を局所加熱するためには、ヒータ長さをある程度短くして大きなパワーをかける必要があり、その結果、ヒータに流れる電流密度が非常に大きくなり、ヒータ寿命が非常に短くなる。
【0006】
▲2▼ヒータの加熱はカーボンなどで作られたるつぼ支持用のサセプタを通して行うため、サセプタの熱伝導により上下方向に均熱化される。それ故、本質的には局所加熱をすることはできない。また、液体封止剤のB2 3 はほとんど輻射熱を通さないので、最も重要な成長界面付近を有効に加熱できない。
【0007】
▲3▼結晶の周辺部だけでなく、結晶側面全体が加熱され、側方への放熱が抑制されるため、固液界面が全体的に融液側に大きく凸化することになるので、成長した結晶に大きな残留歪みが残ったり、その結晶から切り出したウエハの特性は面内の均一性が悪くなる。
【0008】
▲4▼揮発性元素を含む単結晶の成長には、通常液体封止チョクラルスキー法が用いられるが、液体封止剤から引き上げられた成長結晶はその表面から揮発性元素が蒸発して結晶が損傷するという問題があるため、液体封止剤の表面温度を余り高くすることができなかった。その結果、成長軸方向の温度勾配を余り小さくすることができず(GaAs単結晶の成長における温度勾配は通常100℃/cm程度)、成長結晶に大きな熱応力が発生するため、結晶欠陥(転位)が多く、残留歪の高い結晶しか得られなかった。
【0009】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消し、固液界面の局所加熱によらずに、成長結晶の固液界面周辺部の凹化を抑制して多結晶化を防止し、結晶欠陥の少ない単結晶の成長方法及びその装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成を採用することにより、上記の課題の解決に成功した。
(1)液体封止チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長方法において、成長結晶の直胴部の目標直径より大きな内径を有する円筒体の先端を液体封止剤中に浸漬し、前記円筒体を引上軸と一体的に回転させながら、引上軸で成長結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の成長方法。
【0015】
)前記筒体を加熱することを特徴とする上記(1)に記載の単結晶の成長方法。
【0016】
)前記筒体の上端を閉じ、成長結晶を構成する揮発性元素の蒸気圧を前記筒体内に印加することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の単結晶の成長方法。
【0017】
)前記円筒体の内径が成長結晶の直胴部の目標直径より5〜30mm、好ましくは5〜20mm大きなものを用い、融液表面から前記円筒体先端までの距離を30mm以下、好ましくは10mm以下にし、るつぼの回転数を5rpm以上、好ましくは10〜30rpm、成長結晶は円筒体との相対回転数を0〜5rpm、好ましくは0〜3rpmで回転し、円筒体はるつぼとの相対回転数を5rpm以上、好ましくは10〜30rpmで回転することにより、固液界面の凹化を防止しながら単結晶を引き上げることを特徴とする上記(1)〜()のいずれか1つに記載の単結晶の成長方法。
【0018】
)液体封止チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長装置において、成長結晶の直胴部の目標直径より大きな内径を有する円筒体をその先端が液体封止剤中に浸漬するように支持する手段と、原料融液を収容するるつぼを下軸で回転昇降可能に支持する手段と、上軸の下端に種結晶を回転昇降可能に支持する手段と、前記円筒体を引上軸と一体的に回転可能に支持する手段と、前記形状の変化に対応して上下軸及び円筒体の回転数及びそれらの昇降速度を調節する手段を設けたことを特徴とする単結晶の成長装置。
【0023】
)前記筒体の加熱手段を付設したことを特徴とする上記()に記載の単結晶の成長装置。
【0024】
)前記筒体として上端を閉じた筒体を用い、成長結晶を構成する揮発性元素を収容したリザーバを設け、前記リザーバを前記筒体と通気可能に接続し、前記リザーバのヒータ出力を調節して筒体内の前記揮発性元素の蒸気圧を調整可能にしたことを特徴とする前記()又は()に記載の単結晶の成長装置。
【0025】
【発明の実施の態様】
本発明者等は、従来の液体封止チョクラルスキー法で成長結晶とるつぼを回転させながら、単結晶を成長するときの原料融液の自然対流と成長結晶の回転にともなう強制対流を調べたところ、原料融液及び液体封止剤の流れは、るつぼ内の上下方向の温度勾配による対流(自然対流)と、るつぼの回転による対流と、成長結晶の回転にともなう対流が相互に影響し合う。そして、液体封止剤は、るつぼに近いほどるつぼの回転数に近くなり、成長結晶に近いほど成長結晶の回転数に近くなるが、るつぼの方が液体封止剤との接触面が大きいこともあり、るつぼの回転により大きく影響される。その結果、原料融液は、るつぼの回転及びその回転の影響の強い液体封止剤の回転が、成長結晶の回転よりも大きく影響するため、図2の矢印のように、るつぼ側壁付近で上昇してから成長結晶に向かって流れる自然対流が優勢になり、成長結晶の回転による強制対流が固液界面の下方に制約され、固液界面の外周部付近の融液温度が高くなって、固液界面周辺部が凹化するものと思われる。
【0026】
そこで、本発明者等はB2 3 等の液体封止剤が大きな粘性を有することに着目し、本発明では、図1に示すように、成長結晶周囲に配置する円筒体の下端を液体封止剤中に浸漬させ、円筒体を成長装置の不動部材に固定するか、成長結晶と一体的に回転させるか、成長結晶及びるつぼから独立して回転させ、液体封止剤がるつぼの回転に影響される度合いを緩和することにより、固液界面近傍における原料融液の自然対流を抑制し、成長結晶の回転による固液界面近傍の強制対流の範囲を拡大させ、その結果、固液界面周辺部における凹化を防止しようとするものである。
【0027】
即ち、本発明では、原料融液の表面近くの自然対流を弱くして成長結晶による強制対流の範囲を拡大するために、るつぼの回転が液体封止剤の回転に与える影響を抑制するように、▲1▼成長結晶の直胴部の直径に対する円筒体の内径(直胴部の直径より5〜30mm大きい内径)、▲2▼直胴部成長時の液体封止剤の深さ、▲3▼円筒体の液体封止剤中への浸漬深さ、並びに、▲4▼るつぼ及び成長結晶の回転に対する円筒体の回転方向及び回転数を選択することが望ましい。
【0028】
また、本発明では、円筒体を加熱することにより、円筒体内の液体封止剤及び/又は引上結晶の保温を促進することができ、成長結晶から側方への放熱を抑制することができるので、固液界面周辺部における凹化を防止効果を高めることができる。
【0029】
さらに、本発明では、上端を閉じた円筒体を用い、成長結晶を構成する揮発性元素を収容するためのリザーバと通気可能に接続し、前記リザーバの周囲に配置したヒータの出力を調節することにより、前記円筒体内の前記揮発性元素の蒸気圧を調整し、成長結晶からの揮発性元素の抜けを防止できるため、固液界面の温度勾配を緩やかにしても高品質の単結晶を得ることができる。なお、るつぼ全体を覆う気密容器に開閉機構を設けて、揮発性元素蒸気の供給を行うこともできるが、本発明では、円筒体に前記リザーバを付設するという比較的簡単な構造で前記蒸気の調整を可能にした。
【0030】
本発明で使用する筒体の形状は断面円形が一般的であるが、晶癖が強い結晶の成長においては、晶癖と同じ形状にしたり、成長軸に垂直でない方向に基板を切り出すような結晶の成長においては、断面が楕円形の筒を使用することが好ましい。
【0031】
前記円筒体の設置の仕方には、▲1▼るつぼ及び引上軸の回転に対して独立し、装置の不動部材に固定保持させる方法、▲2▼引上軸と一体的に回転させる方法、及び、▲3▼引上軸及びるつぼの回転とは独立して回転させる方法がある。
【0032】
▲1▼独立して固定保持する方法は、図3に示すように、円筒体の上端をチャンバ内の断熱材等の不動部材に固定するものである。円筒体の浸漬深さを一定にするために、融液深さの減少速度と、下軸の上昇速度を一致させる必要がある。
【0033】
▲2▼引上軸と一体的に回転する方法は、図4に示すように、円筒体の上端を上軸で支持するものであり、成長結晶の引き上げに伴い円筒体を降下させる移動機構を設ける必要がある。なお、円筒体を結晶と共に回転すると、円筒体による強制対流の効果が最も大きい。
【0034】
▲3▼引上軸及びるつぼの回転に対して独立して回転させる方法は、円筒体をるつぼ及び成長結晶と独立して回転可能に支持するものであり、3者の回転数を適宜に選択することにより、所望の対流を得ることができる。
なお、本発明の円筒体は、カーボン、pBN、石英等で作ることができる。
【0035】
【実施例】
〔実施例1〕
円筒体を断熱材に固定した図3の成長装置を用いてLEC法でGaAs単結晶を成長させた。成長結晶の直胴部の目標直径を110mmとし、円筒体の内径を120mm、厚さ1mmのpBN製の円筒体を用い、pBN製の直径200mmのるつぼにGaAs原料を10kg、液体封止剤B2 3 800gを投入し、直胴部成長時の液体封止剤B2 3 の厚みが約23mmで、直胴部成長時のるつぼの回転数を10rpm、種結晶の回転数を2rpm、同引き上げ速度を5mm/Hで結晶成長を行った。なお、円筒体の先端は、原料融液から5mm上になるようにした。
【0036】
得られた結晶は長さが210mmで平均直径が108mmの単結晶であった。その単結晶の固液界面の形状を調べるために成長軸に沿ってスライスし、濃度50%のHFと、CrO3 100gと、水520ccからなるエッチング液にウエハを浸漬し、光を照射しながら10分間エッチングをして結晶の成長縞を観察すると、図8のように固液界面周辺部ではほぼ水平であり、周辺部におけるの凹化を実質的に抑えられたことが分かる。また、得られた結晶から(100)ウエハを切りだして溶融KOHでエッチングして転位密度の面内分布を調べたところ、図11の●印のようになっており、平均転位密度は58800cm-2であった。
【0037】
〔実施例2〕
円筒体を図4のように成長結晶と同じ回転数で回転させる点を除いて、実施例1と同様にしてGaAs単結晶を成長させた。断面が円形でない上軸を円筒体上部に開けた上軸断面と同じ形状の穴に通してセットし、上軸の回転が円筒体に伝わるようにした。また、円筒体は上下に動かないように、断熱材で支持した。円筒体先端と原料融液表面の位置関係は、結晶の成長にともなう原料融液深さの減少速度と同じ速度で下軸を上昇させることによって一定に保った。
得られた結晶は長さが200mmで平均直径が110mmの単結晶であった。実施例1と同様に成長縞を観察すると、図9のように、固液界面周辺部には凸化の傾向が認められた。
【0038】
〔比較例1〕
円筒体を省略した以外は実施例1と同様にしてGaAs単結晶を成長させた。得られた結晶は長さが200mmで最大直径が111mmであった。実施例1と同様に成長縞を観察すると、図10のように、固液界面周辺部には凹化の傾向が顕著に認められ、矢印の部分から多結晶化が認められた。
【0041】
〔実施例3〕
図5のように上端を閉じた円筒体を用い、Asリザーバを接続して円筒体内にAs蒸気を負荷した点を除いて、実施例1と同様にしてGaAs単結晶を成長させた。成長前のB2 3 中の成長軸方向の温度勾配は、実施例1が約100℃/cmであったのに対し、As蒸気圧下での成長であったこともあり、実施例3では約30℃/cmまで小さく抑えることができた。
【0042】
得られた結晶は長さが215mmで平均直径が107mmの単結晶であった。一般に温度勾配が小さな状態でGaAs単結晶を成長させると、As抜けがあったが、ここで得たGaAs単結晶は表面は金属光沢をしており、Asの蒸発は全く認められなかった。温度勾配が小さいため、固液界面の中央部における凸化は少なめであったが、固液界面周辺部は実施例1とほとんど変わらなかった。得られた結晶から(100) ウエハを切りだして溶融KOHでエッチングし、転位密度の面内分布を調べたところ、図11の▲印のようになっており、平均転位密度は7750cm-2であった。
【0043】
〔実施例4〕
実施例1において、PBN製の円筒体の外周にカーボンヒータをコーティングしたものを用い、円筒体を加熱し、その他の条件を実施例1と同様にして成長を行った。その結果、固液界面の周辺部の凹化は、実施例1よりもさらに改善されており、図9と同様に凸化の傾向が認められた。この効果は、円筒体の加熱により、結晶から側方への放熱が抑制されたためと思われる。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、成長結晶の固液界面周辺部の凹化を防止することができ、転位の集積による多結晶化を防止できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、円筒体の下端を液体封止剤中に浸漬するときの、原料融液の対流の状況を説明した図である。
【図2】従来のLEC法における原料融液の対流の状況を説明した図である。
【図3】本発明の円筒体を断熱材に固定する場合の説明図である。
【図4】本発明の円筒体を上軸で支持する場合の説明図である。
【図5】本発明の円筒体にV族原料リザーバを接続した結晶成長装置の説明図である。
【図6】従来のLEC法を実施するための装置の概念図である。
【図7】従来の固液界面における多結晶化の状況を説明するための図である。
【図8】実施例1で得た結晶の成長縞を示した模式図である。
【図9】実施例2で得た結晶の成長縞を示した模式図である。
【図10】比較例1(従来のLEC法)で得た結晶の成長縞を示した模式図である。
【図11】実施例3、4、5で得た結晶から切り出した(100) ウエハの転位密度の面内分布を示したグラフである。

Claims (6)

  1. 液体封止チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長方法において、成長結晶の直胴部の目標直径より大きな内径を有する円筒体の先端を液体封止剤中に浸漬し、前記円筒体を引上軸と一体的に回転させながら、引上軸で成長結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の成長方法。
  2. 前記筒体を加熱することを特徴とする請求項1に記載の単結晶の成長方法。
  3. 前記筒体の上端を閉じ、成長結晶を構成する揮発性元素の蒸気圧を前記筒体内に印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の単結晶の成長方法。
  4. 液体封止チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長装置において、成長結晶の直胴部の目標直径より大きな内径を有する円筒体をその先端が液体封止剤中に浸漬するように支持する手段と、原料融液を収容するるつぼを下軸で回転昇降可能に支持する手段と、上軸の下端に種結晶を回転昇降可能に支持する手段と、前記円筒体を引上軸と一体的に回転可能に支持する手段と、前記形状の変化に対応して上下軸及び円筒体の回転数及びそれらの昇降速度を調節する手段を設けたことを特徴とする単結晶の成長装置。
  5. 前記筒体の加熱手段を付設したことを特徴とする請求項に記載の単結晶の成長装置。
  6. 前記筒体として上端を閉じた筒体を用い、成長結晶を構成する揮発性元素を収容したリザーバを設け、前記リザーバを前記筒体と通気可能に接続し、前記リザーバのヒータ出力を調節して筒体内の前記揮発性元素の蒸気圧を調整可能にしたことを特徴とする請求項4又は5に記載の単結晶の成長装置。
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