JP3870437B2 - 単結晶の成長方法及びその装置 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、チョクラルスキー法又は液体封止チョクラルスキー法により、酸化物単結晶、化合物半導体単結晶等を成長する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にGaAs等の単結晶バルクは、チョクラルスキー法(CZ法)や液体封止チョクラルスキー法(LEC法)で成長するが、成長中に部分的に多結晶が発生するという問題があった。
図7は、従来のLEC法を実施する装置の概念図である。この装置は、高圧チャンバ1の中央に、サセプタ4付設のるつぼ5を下軸3で支持し、るつぼ5には原料融液6と液体封止剤7が収容されており、上軸2に保持された種結晶8を原料融液6に浸漬して単結晶9を引き上げるものである。なお、原料融液6の周囲にはヒータ10が、単結晶9の周囲にはヒータ11が配置されており、高圧チャンバ1の内側には保温材12が配置されている。
【0003】
上記多結晶化の原因は、図8に示すように、成長結晶と原料融液との固液界面の形状が成長結晶の周辺部で凹化し、固液界面に垂直に伝播してきた転位が周辺部に集積して多結晶化すると考えられる。したがって、この種の多結晶化を防止するためには、成長結晶の固液界面周辺部の凹化を防止する必要がある。
【0004】
LEC法で固液界面の凹化を防ぐ方法として、固液界面付近に設置したヒータのパワーをできるだけ増加して成長結晶側面を局所加熱し、結晶から側方への熱の放散を抑える方法が提案されている[HITACHI CABLE REVIEW No.9 (1990)55]。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法では次のような問題がある。
▲1▼結晶側面を局所加熱するためには、ヒータ長さをある程度短くして大きなパワーをかける必要があり、その結果、ヒータに流れる電流密度が非常に大きくなり、ヒータ寿命が非常に短くなる。
【0006】
▲2▼ヒータの加熱はカーボンなどで作られたるつぼ支持用のサセプタを通して行うため、サセプタの熱伝導により上下方向に均熱化される。それ故、本質的には局所加熱をすることはできない。また、液体封止剤のB2 3 はほとんど輻射熱を通さないので、最も重要な成長界面付近を有効に加熱できない。
【0007】
▲3▼結晶の周辺部だけでなく、結晶側面全体を加熱することになるので、全体的に側方への放熱が抑制され、固液界面は全体的に融液側に大きく凸化することになるので、成長した結晶に大きな残留歪みが残ったり、その結晶から切り出したウエハの特性は面内の均一性が悪くなる。
【0008】
▲4▼チョクラルスキー法や液体封止チョクラルスキー法において、成長結晶の直径の制御性は原料融液の表面の温度分布に大きく依存するが、従来法では前記温度分布を再現性よく安定に保持することは難しく、特に、単結晶の生産性を高めるために、一度に多量の原料を用い、直径の大きなるつぼを使用すると、成長結晶とるつぼ壁の間が離れるにともない、直径制御はさらに難しくなる。
【0009】
▲5▼揮発性元素を含む単結晶の成長には、通常液体封止チョクラルスキー法が用いられるが、液体封止剤から引き上げられた成長結晶はその表面から揮発性元素が蒸発して結晶が損傷するという問題があるため、液体封止剤の表面温度を余り高くすることができなかった。その結果、成長軸方向の温度勾配を余り小さくすることができず(GaAs単結晶の成長における温度勾配は通常100℃/cm程度)、成長結晶に大きな熱応力が発生するため、結晶欠陥(転位)が多く、残留歪の高い結晶しか得られなかった。
【0010】
▲6▼そこで、液体封止チョクラルスキー法を小さな温度勾配の下で実施するために、多量の液体封止剤を使用して成長結晶の大部分を液体封止剤で覆った状態で成長することが試みられた(FEC法:Fully Encapsulated Cz 法)が、液体封止剤のB2 3 は非常に熱伝導率が小さいため、原料融液表面の温度の応答性が悪くなり、その結果、結晶直径の制御が極端に難しくなり、実用的な成長法といえるものではなかった。
【0011】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消し、固液界面の局所加熱によらずに、成長結晶の固液界面周辺部の凹化を抑制して多結晶化を防止し、直径の大きなるつぼを使用しても直径の制御性が優れ、結晶欠陥の少ない単結晶の成長方法及びその装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成を採用することにより、上記の課題の解決に成功した。
(1)チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長方法において、成長結晶の直胴部の目標直径より5〜10mm大きな内径を有する円筒体の先端を原料融液中に浸漬し、原料融液を収容するるつぼ、成長結晶及び前記円筒体のいずれか1つ以上の回転数を調節することにより、固液界面形状の凹化を防止しながら結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の成長方法。
【0013】
(2)液体封止チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長方法において、成長結晶の直胴部の目標直径より5〜10mm大きな内径を有する円筒体の先端を原料融液中に浸漬し、原料融液を収容するるつぼ、成長結晶及び前記円筒体のいずれか1つ以上の回転数を調節しながら結晶を引き上げ、前記円筒体内の液体封止剤で引上結晶を保温することを特徴とする単結晶の成長方法。
【0016】
(3)前記円筒体は、その下端を僅かに内側に曲げ、前記円筒体外側の自然対流の内側への回り込みを防止することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の単結晶の成長方法
【0017】
)前記円筒体を加熱することを特徴とする上記(1)〜()のいずれか1つに記載の単結晶の成長方法。
【0018】
)前記円筒体の上端を閉じ、成長結晶を構成する揮発性元素の蒸気圧を前記円筒体内に印加することを特徴とする上記(1) 〜() のいずれか1に記載の単結晶の成長方法。
【0019】
)前記円筒体と上軸の相対回転数を調整して成長結晶の直径を制御することを特徴とする上記(1)〜()のいずれか1つに記載の単結晶の成長方法。
【0020】
(7)チョクラルスキー法又は液体封止チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長装置において、成長結晶の直胴部の目標直径より5〜10mm大きな内径を有する円筒体をその先端が原料融液中に浸漬するように支持し、原料融液を収容するるつぼを下軸で回転昇降可能に支持し、上軸の下端に種結晶を回転昇降可能に支持し、固液界面形状の変化に対応して上下の軸の回転数及び昇降速度を調節する手段を設けたことを特徴とする単結晶の成長装置。
【0022】
)前記筒体は、前記筒体の外側の自然対流が内側に回り込むことを防止するために、その下端を僅かに内側に曲げたことを特徴とする上記(7)に記載の単結晶の成長装置。
【0023】
(9)前記筒体の加熱手段を付設したことを特徴とする上記(7)又は(8)に記載の単結晶の成長装置。
【0024】
10)前記筒体として上端を閉じた筒体を用い、成長結晶を構成する揮発性元素を収容したリザーバを設け、前記リザーバを前記筒体と通気可能に接続し前記リザーバのヒータ出力を調節して筒体内の前記揮発性元素の蒸気圧を調整可能としたことを特徴とする上記()〜()のいずれか1つに記載の単結晶の成長装置。
【0025】
11)前記筒体を引上軸と一体的に回転可能に支持したことを特徴とする上記()〜(10)のいずれか1つに記載の単結晶の成長装置。
【0026】
12)前記筒体が原料融液に浮上して浸漬深さを一定に保持するように、前記筒体の重さ及び形状を調整したことを特徴とする上記()〜(10)のいずれか1項に記載の単結晶の成長装置。
【0027】
13)前記筒体を、前記上下軸と独立して回転可能に支持したことを特徴とする上記()〜(10)のいずれか1つに記載の単結晶の成長装置。
【0028】
14)前記筒体を成長装置の不動部分に固定したことを特徴とする上記()〜(10)のいずれか1つに記載の単結晶の成長装置。
【0029】
【発明の実施の態様】
本発明者は、チョクラルスキー法や液体封止チョクラルスキー法で単結晶を成長するときの原料融液の自然対流を調べたところ、図4の矢印のように、るつぼ側壁付近で上昇してから成長結晶に向かって流れる自然対流と、結晶の回転により固液界面付近で渦巻く強制対流が発生することが分かった。これらの対流により、固液界面の外周部付近の融液温度が高くなり、固液界面周辺部が凹化するものと思われる。
【0030】
本発明において、円筒体を原料融液に浸漬して結晶成長を行うときに、成長結晶の直径が円筒体の内径に近づくと、メニスカスが円筒体から力を受けるため、成長結晶の直径の変動を抑制する効果が期待できる。ただし、前記力は、円筒体及び成長結晶の相対的な回転数により変化するため、上記の効果を最適にするように、円筒体及び/又は成長結晶の回転数を調整することが望ましい。
【0031】
そこで、本発明では、図1のように、成長結晶の周囲に円筒体を配置し、その下端を原料融液に浸漬することにより、原料融液表面に近い自然対流を遮断し、かつ、円筒体による強制対流で成長結晶の外側まで高温の融液の流れを拡大することができるため、固液界面の周辺部における局所的な温度上昇を防ぐことができ、固液界面の凹化を防止することに成功した。また、一般に大きな直径のるつぼを用いると、成長結晶の直径制御が難しくなるが、本発明の方法では大きな直径のるつぼを使用しても直径制御が可能となり、結晶成長の生産性を向上させることができるようになった。
なお、円筒体は、成長結晶の直胴部の目標直径より5〜20mm、好ましくは5〜10mm大きな内径を有する円筒体を用いることが好ましい。
【0032】
また、本発明では、図2のように、原料融液の上に液体封止剤を収容し、図1と同様の円筒体を原料融液にまで浸漬し、上軸に取り付けた種結晶を原料融液に浸して結晶を成長させて直胴部まで引き上げると、図2のように、円筒体内の液体封止剤の厚みは、引き上げ当初より相当に厚くなるが、外側の液体封止剤の厚みは変化しないので、円筒体内外で液体封止剤の厚みに大きな差ができ、円筒体内外の圧力差により、円筒体外の原料融液表面が内部よりも高くなる。その結果、円筒体の外側において固液界面より上方に高熱伝導率の高温の原料融液の壁が形成され、固液界面付近の温度安定性を向上させることができた。
【0033】
そして、本発明では、、直胴部を引き上げるときに、るつぼの直径と関係なく、円筒体の内側の液体封止剤の厚みを相当に厚くできるので、前記FEC法と同様に、成長結晶表面からの揮発性元素の蒸発を防止することができる。その結果、固液界面付近の温度勾配を緩やかにすることができ、結晶中の熱歪みを大幅に低下できる。そして、このような状態においても、本発明の方法では前記のように成長結晶の直径制御が容易のため、結晶性の優れた単結晶を歩留り良く製造することが可能になった。
【0034】
また、円筒体を加熱するときには、円筒体内の液体封止剤及び/又は引上結晶の保温が促進され、固液界面の温度勾配を緩やかにすることができるので、上記と同様の効果を期待することができる。
さらに、円筒体の下端を内側に僅かに曲げるときには、自然対流の円筒体内への回り込みを防止することができ、自然対流の遮断効果が大きい。
【0035】
他方、上端を閉じた円筒体を用い、成長結晶を構成する揮発性元素を収容するためのリザーバと通気可能に接続し、前記リザーバの周囲に配置したヒータの出力を調節することにより、前記円筒体内の前記揮発性元素の蒸気圧を調整し、成長結晶からの揮発性元素の抜けを防止できるため、固液界面の温度勾配を緩やかにしても高品質の単結晶を得ることができる。なお、るつぼ全体を覆う気密容器に開閉機構(例えば、容器を上下に分割し、下方の容器の側壁上端に液体封止剤を収容する受け皿を設け、上方の容器の側壁下端を前記液体封止剤中に浸漬して気密を保持する機構)を設けて、揮発性元素蒸気の供給を行うこともできるが、本発明では、円筒体に前記リザーバを付設することにより、比較的に簡単な構造で前記蒸気の調整を可能にした。
【0036】
本発明で使用する筒体の形状は断面円形が一般的であるが、晶癖が強い結晶の成長においては、晶癖と同じ形状にしたり、成長軸に垂直でない方向に基板を切り出すような結晶の成長においては、断面が楕円形の筒を使用することが好ましい。
【0037】
前記円筒体の設置の仕方には、▲1▼原料融液に浮上させる方法、▲2▼るつぼ及び引上軸の回転に対して独立し、装置の不動部材に固定保持させる方法、及び、▲3▼引上軸と一体的に回転させる方法、▲4▼引上軸及びるつぼの回転とは独立して回転させる方法がある。
【0038】
▲1▼浮上法は、円筒体の重さ及び形状を調整することにより、上記の浸漬深さを一定に保持できる利点がある。一方、円筒体は原料融液に浮上しているため、液体封止剤の回転と共に回転するので、強制対流を制御する機能はない。なお、浮上法においても、円筒体をるつぼの中心軸に一致させるために、支柱等により円筒体を中央に保持することが好ましい。
【0039】
▲2▼独立して固定保持する方法は、図5に示すように、円筒体の上端をチャンバ内の断熱材等の不動部材に固定するものである。円筒体の浸漬深さを一定にするために、融液深さの減少速度と、下軸の上昇速度を一致させる必要がある。この方法は上記▲1▼の方法と比べて対流制御効果は大きい。
【0040】
▲3▼引上軸と一体的に回転する方法は、図6に示すように、円筒体の上端を上軸で支持するものであり、成長結晶の引き上げに伴い円筒体を降下させる移動機構を設ける必要がある。なお、円筒体を結晶と共に回転すると、固液界面付近の対流制御効果は最も大きい。
▲4▼引上軸及びるつぼの回転とは独立して回転させる方法は、円筒体の回転数を引上軸及びるつぼの回転に対して自由に選択できる利点がある。
なお、本発明の円筒体は、カーボン、pBN、石英等で作ることができる。
【0041】
【実施例】
〔実施例1〕
円筒体を原料融液に浮上させてLEC法でGaAs単結晶を成長させた。成長結晶の直胴部の目標直径を110mmとし、内径120mm、厚さ1mmのpBN製の円筒体を原料融液に浮上させたところ、原料融液中の浸漬深さは10mmであった。なお、カーボン製サセプタを有する内径200mmのpBN製るつぼにはGaAs原料10kg、B2 3 500gを投入し、直胴部成長時のるつぼの回転数を10rpm、種結晶の回転数は逆方向に2rpm、同引き上げ速度を5mm/Hで結晶成長を行った。
【0042】
得られた結晶は長さが200mmで最大直径が110mmの単結晶であった。その単結晶の固液界面の形状を調べるために成長軸に沿ってスライスし、濃度50%のHF40ccと、CrO3 100gと、水520ccからなるエッチング液にウエハを浸漬し、光を照射しながら10分間エッチングをして結晶の成長縞を観察すると、図9のように周辺部ではほぼ水平であり、固液界面周辺部の凹化を実質的に抑えられたことが分かる。
【0043】
〔実施例2〕
円筒体を図6のように上軸の引き上げ結晶と同じ回転数で回転させる点を除いて、実施例1と同様にしてGaAs単結晶を成長させた。断面が円形でない上軸を円筒体上部に開けた上軸断面と同じ形状の穴に通してセットし、上軸の回転が円筒体に伝わるようにした。また、円筒体は上下に動かないように、断熱材で支持した。円筒体の浸漬量は、結晶の成長にともなう原料融液深さの減少速度と同じ速度で下軸を上昇させることによって一定に保った。
得られた結晶は長さが210mmで最大直径が108mmの単結晶であった。実施例1と同様に成長縞を観察すると、図10のように、固液界面周辺部は凸化の傾向が認められ、円筒体による強制対流の効果が認められた。
【0044】
〔比較例1〕
円筒体を省略した以外は実施例1と同様にしてGaAs単結晶を成長させた。
得られた結晶は長さが200mmで最大直径が111mmであった。実施例1と同様に成長縞を観察すると図11のように、固液界面周辺部は凹化の傾向が顕著に認められ、矢印の部分から多結晶化が認められた。
【0045】
〔比較例2〕
また、円筒体の内径を結晶の目標直径+5mmより小さくした場合には、結晶直径がなかなか目標直径まで太らず、むりやり太らせると太らせると円筒体に接触して円筒体が持ち上げられ、結晶成長を続行することができなかった。
他方、円筒体の浸漬深さを10mmとし、内径を結晶の目標直径より+20mm大きくした場合には、比較例1と同様に固液界面周辺部の凹化が認められ、比較例1と同様に多結晶が発生していた。
【0046】
〔実施例3〕
円筒体を図5のように回転しないように断熱材に固定した点を除いて、実施例1と同様の装置を用いてGaAs単結晶を成長させた。るつぼの回転数は10rpm、成長結晶の回転数は2rpmに設定した。
得られた結晶は長さが200mmで最大直径が110mmの単結晶であった。実施例1と同様に成長縞を観察すると、固液界面周辺部の形状は、実施例1と実施例2の間であった。
得られた結晶から(100) ウエハを切りだして溶融KOHでエッチングし、転位密度の面内分布を調べて図12に示した。転位密度の面内平均値は57300cm-2であった。
【0047】
〔実施例4〕
実施例3において、B2 3 の投入量を500gから1000gに倍増した以外は、実施例3と同様にして結晶成長を行った。直胴部の結晶成長時には、円筒体内のB2 3 の厚みは、実施例3の約2倍であった。
得られた結晶は長さが190mmで最大直径が113mmの単結晶であった。コーン部が若干急成長のため平均直径が少し太めであったが、直径変動は実施例1と同じレベルで直径の制御性は極めて良好であった。得られた結晶から(100) ウエハを切りだして溶融KOHでエッチングし、転位密度の面内分布を調べた。結果を実施例3と対比して図12に示した。B2 3 の厚みが増すにしたがって成長軸方向の温度勾配が減少し、その結果として転位密度を少なくすることができた。転位密度の面内平均値は29700cm-2と、実施例3より減少させることができた。
【0048】
〔実施例5〕
図3のように上端を閉じた円筒体を用い、Asリザーバを接続して円筒体内にAs蒸気を負荷した点を除いて、実施例3と同様にしてGaAs単結晶を成長させた。成長前のB2 3 中の成長軸方向の温度勾配は、実施例3が約100℃/cmであったのに対し、As蒸気圧下での成長であったこともあり、実施例5では約30℃/cmまで小さく抑えることができた。
【0049】
得られた結晶は長さが220mmで最大直径が107mmの単結晶であった。一般に温度勾配が小さな状態でGaAs単結晶を成長させると、As抜けがあったが、ここで得たGaAs単結晶は表面は金属光沢をしており、Asの蒸発は全く認められなかった。温度勾配が小さいため、固液界面の中央部における凸化は少なめであったが、固液界面周辺部は実施例3とほとんど変わらなかった。得られた結晶から(100) ウエハを切りだして溶融KOHでエッチングし、転位密度の面内分布を調べたところ、図12にみるように、転位密度は実施例4よりもさらに減少しており、転位密度の面内平均値は7420cm-2であった。
【0050】
〔比較例3〕
実施例3において、るつぼの回転数を10rpmで一定とし、結晶回転数を変化させて結晶と筒体の相対回転数の直径制御性の影響を調べた。即ち、結晶回転数を2rpmから5rpmに速くすると(るつぼの回転方向とは逆回転)、メニスカスが筒体から受ける力が大きすぎ、成長中にメニスカスの一部が落下した。他方、結晶の回転を停止すると、メニスカスが受ける力が小さすぎ、結晶直径が筒体に接触するまで大きくなった。なお、メニスカスの落下は、結晶の一部が融液から切断される現象であり、成長結晶にエグレが生ずる。
【0051】
〔実施例6〕
実施例3において、PBN製の円筒体の外周にカーボンヒータをコーティングしたものを用い、円筒体を加熱し、結晶の回転数を5rpmで回転すると、比較例3と同様の結果になったが、回転を停止した状態で結晶成長を行っても、結晶直径は変化せず、円筒体との接触は認められなかった。
【0052】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、成長結晶の固液界面周辺部の凹化を防止することができ、転位の集積による多結晶化を防止できるようになった。また、成長結晶の直径制御性が改善され、結晶の歩留りを向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の円筒体で原料融液の対流が変化する状況を説明した図である。
【図2】本発明の円筒体を液体封剤を経て原料融液中に浸漬させ、直胴部の結晶を引き上げるときの固液界面付近の状態を説明するための説明図である。
【図3】本発明の円筒体にAsリザーバを接続した結晶成長装置の説明図である。
【図4】従来のCZ法における原料融液の自然対流により、成長結晶の固液界面周辺部が凹化する状況を説明した図である。
【図5】本発明の円筒体を断熱材に固定する場合の説明図である。
【図6】本発明の円筒体を上軸で支持する場合の説明図である。
【図7】従来のLEC法を実施するための装置の概念図である。
【図8】従来の固液界面における多結晶化の状況を説明するための図である。
【図9】実施例1で得た結晶の成長縞を示した模式図である。
【図10】実施例2で得た結晶の成長縞を示した模式図である。
【図11】比較例1(従来のLEC法)で得た結晶の成長縞を示した模式図である。
【図12】実施例3、4、5で得た結晶から切り出した(100) ウエハの転位密度の面内分布を示したグラフである。

Claims (12)

  1. チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長方法において、成長結晶の直胴部の目標直径より5〜10mm大きな内径を有する円筒体の先端を原料融液中に浸漬し、原料融液を収容するるつぼ、成長結晶及び前記円筒体のいずれか1つ以上の回転数を調節しながら結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の成長方法。
  2. 液体封止チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長方法において、成長結晶の直胴部の目標直径より5〜10mm大きな内径を有する円筒体の先端を原料融液中に浸漬し、原料融液を収容するるつぼ、成長結晶及び前記円筒体のいずれか1つ以上の回転数を調節することにより、固液界面形状の凹化を防止しながら結晶を引き上げ、前記円筒体内の液体封止剤で引上結晶を保温することを特徴とする単結晶の成長方法。
  3. 前記筒体を加熱することを特徴とする請求項1又は2に記載の単結晶の成長方法。
  4. 前記筒体の上端を閉じ、成長結晶を構成する揮発性元素の蒸気圧を前記筒体内に印加することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の単結晶の成長方法。
  5. 前記筒体と上軸の相対回転数を調整して成長結晶の直径を制御することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の単結晶の成長方法。
  6. チョクラルスキー法又は液体封止チョクラルスキー法で原料融液から結晶を引き上げる単結晶の成長装置において、成長結晶の直胴部の目標直径より5〜10mm大きな内径を有する円筒体をその先端が原料融液中に浸漬するように支持し、原料融液を収容するるつぼを下軸で回転昇降可能に支持し、上軸の下端に種結晶を回転昇降可能に支持し、固液界面形状の変化に対応して上下の軸の回転数及び昇降速度を調節する手段を設けたことを特徴とする単結晶の成長装置。
  7. 前記筒体の加熱手段を付設したことを特徴とする請求項6に記載の単結晶の成長装置。
  8. 前記筒体として上端を閉じた筒体を用い、成長結晶を構成する揮発性元素を収容したリザーバを設け、前記リザーバを前記筒体と通気可能に接続し、前記リザーバのヒータ出力を調節して筒体内の前記揮発性元素の蒸気圧を調整可能にしたことを特徴とする請求項6又は7に記載の単結晶の成長装置。
  9. 前記筒体を引上軸と一体的に回転可能に支持したことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の単結晶の成長装置。
  10. 前記筒体が原料融液に浮上して浸漬深さを一定に保持するように、前記筒体の重さ及び形状を調整したことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の単結晶の成長装置。
  11. 前記筒体を、前記上下軸と独立して回転可能に支持したことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の単結晶の成長装置。
  12. 前記筒体を成長装置の不動部分に固定したことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の単結晶の成長装置。
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