JP3777992B2 - 回転電機用回転子及び信号発電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導子が誘導子支持リングでヨークの筒部外周に固定されている回転電機用回転子及び信号発電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関においては、その点火時期を決めるためにクランク軸のクランク角を検出する必要がある。このクランク軸のクランク角の検出は、回転子を内燃機関のクランク軸に取り付けた信号発電機で行っていた。
【0003】
従来の信号発電機として使用する回転電機用回転子3は、図4に示すように底部1aの外周から筒部1bが一体に立上げられられている磁性材よりなるヨーク1を備え、誘導子(リラクタ)2を筒部1bの開口側の外周に突設した構造であった。この回転子(回転電機用回転子)3と、回転する誘導子2に対向する位置に固設されて該誘導子2が固定子鉄心4の先端を横切る毎に電気信号を発電する信号発電子5とにより信号発電機が構成されている。誘導子2は、筒部1bからの一体削り出しや、筒部1bからのプレスによる打ち出し等により形成されている。信号発電子5は、図示しない内燃機関のクランクケース等に固定されている。
【0004】
また、ヨーク1の底部1aの中央からは筒部1bに対して同心状に筒状のボス1cが突設され、このボス1cが図示しない内燃機関のクランク軸に嵌められてヨーク1が回転駆動されるようになっている。
【0005】
一方、ヨーク1の筒部1bの内周には、磁石発電機の界磁用の永久磁石6が取付けられ、これらヨーク1と永久磁石6により磁石発電機の回転子が構成され、永久磁石6に対向するようにヨーク1内には図示しないが磁石発電機の固定子が配置され、この固定子は内燃機関のクランクケース等に固定されている。
【0006】
しかしながら、このような構造の信号発電機では、磁石発電機の永久磁石6から発生した漏洩磁束7が外に出て誘導子2からヨーク1を通じて該永久磁石6に戻る磁路が構成され易い。この漏洩磁束7による磁路によって信号発電子5がノイズを発生している。
【0007】
このようなノイズを軽減する1つの手段として、図5に示すように誘導子2を環状をなす誘導子支持リング8の外周に突設しておき、この誘導子支持リング8を筒部1bの開口側の外周の一部を縮径した縮径凹部1dに嵌めて、焼嵌め,圧入等で固定した信号発電機が提案されている。
【0008】
このような信号発電機では、誘導子支持リング8とヨーク1の筒部1bとの間に微細なエアギャップが存在し、このエアギャップが磁気抵抗となって漏洩磁束7を弱めてノイズを低減することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示す構造の回転電機用回転子及び信号発電機では、誘導子支持リング8とヨーク1の筒部1bとの間の微細なエアギャップによる磁気抵抗を利用して漏洩磁束7を弱めてノイズを低減しているので、磁気抵抗が小さく、ノイズの低減効果が小さい問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、ノイズを従来より小さくできる回転電機用回転子及び信号発電機を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、誘導子支持リングの内周の凹部を有効に利用してノイズを従来より小さくできる回転電機用回転子及び信号発電機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、底部の外周から筒部が一体に立上げられられているヨークを備え、誘導子を径方向に突設した誘導子支持リングが筒部の外周に嵌められて固定され、誘導子支持リングと筒部との間には少なくとも誘導子が存在する箇所にエアギャップが設けられている回転電機用回転子を改良するものである。
【0013】
【0014】
本発明に係る回転電機用回転子においては、誘導子支持リングの内周の幅方向の片側の肉厚をテーパ状に減らすテーパ形の凹部が誘導子支持リングの全周にわたって設けられて、このテーパ形の凹部により前記エアギャップが形成されている。またこの凹部は、ヨークの筒部の開口端側に存在するように設けられている。
【0015】
このような構造にすると、誘導子の所での誘導子支持リングとヨークの筒部との間のエアギャップが従来に比べて大きくなり、このため磁気抵抗が大きくなり、誘導子を通る漏洩磁束が小さくなり、ノイズを従来より小さくすることができる。
【0016】
また本発明は、底部の外周から筒部が一体に立上げられられているヨークを備え、誘導子を径方向に突設した誘導子支持リングが筒部の外周に嵌められて固定され、誘導子支持リングと筒部との間には少なくとも誘導子が存在する箇所にエアギャップが設けられている構造の回転子と、回転する誘導子に対向する位置に固設されていて該誘導子が横切る毎に電気信号を発生する信号発電子とを備えた信号発電機を改良するものである。
【0017】
【0018】
本発明に係る信号発電機においては、誘導子支持リングの内周の幅方向の片側の肉厚を テーパ状に減らすテーパ形の凹部が誘導子支持リングの全周にわたって設けられて、このテーパ形の凹部により前記エアギャップが形成されている。またこの凹部は、ヨークの筒部の開口端側に存在するように設けられている。
【0019】
このような構造にすると、誘導子の所での誘導子支持リングとヨークの筒部との間のエアギャップが従来に比べて大きくなり、このため磁気抵抗が大きくなり、誘導子を通る漏洩磁束が小さくなり、ノイズを従来より小さくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の回転電機用回転子3を用いた信号発電機の実施の形態の第1例を示した要部縦断面図である。なお、前述した図5と対応する部分には同一符号を付けて示している。
【0021】
本例の回転電機用回転子3を用いた信号発電機では、環状をなす誘導子支持リング8の内周の幅方向の一方側の肉厚をテーパ状に減らすテーパ形の凹部9が全周にわたって設けられている。この誘導子支持リング8の外周に誘導子(リラクタ)2が一体に突設されている。回転電機用回転子3の回転中心方向の誘導子2の寸法Dは、該誘導子2が対向する信号発電子5の固定子鉄心4の寸法と同等以上の寸法となっている。この誘導子2を支持する誘導子支持リング8は、凹部9をヨーク1の筒部1bの開口端側1beに存在させて該筒部1bの外周の縮径凹部1dに嵌められ、焼嵌め,圧入等で固定されている。この凹部9により誘導子支持リング8とヨーク1の筒部1b外周との間に、全周にわたってエアギャップ10が形成されている。その他の構成は、前述した図5と同様になっている。
【0022】
このような構造の回転電機用回転子3及びこれを用いた信号発電機によれば、誘導子2の所での誘導子支持リング8とヨーク1の筒部1bとの間のエアギャップ10が従来に比べて大きくなり、このため磁気抵抗が大きくなり、誘導子2を通る漏洩磁束7が小さくなり、ノイズを従来より小さくすることができる。
【0023】
このように、凹部10をヨーク1の筒部1bの開口端側1beに存在させて誘導子支持リング8が該筒部1bの外周の縮径凹部1dに嵌められていると、この凹部10が筒部1bの開口端側1beにオープンになって、この凹部10を有効利用して磁気抵抗を大きくすることができる。
【0024】
これとは逆に、図2に示すように、凹部10をヨーク1の筒部1bの開口端側1beとは反対側に向けて、誘導子支持リング8を該筒部1bの外周の縮径凹部1dに嵌めると、凹部10が筒部1bに設けられた縮径凹部1dの立上がり段部1dtで塞がれ、凹部10の役割が半減し、磁気抵抗が図1の構造より小さくなってしまって好ましくない。
【0025】
特に、図1のように回転電機用回転子3の回転中心方向の誘導子2の1個当たりの断面積が、該誘導子2が対向する信号発電子5の固定子鉄心4の断面積と同等以上になっており、且つ誘導子2を支持する誘導子支持リング8が凹部9をヨーク1の筒部1bの開口端側1beに存在させて該筒部1bの外周の縮径凹部1dに嵌められていると、信号発電子5の固定子鉄心4に対向する誘導子2の寸法D内で、凹部9が筒部1bの開口端側1beにオープンになり、この凹部9を有効利用して磁気抵抗を大きくすることができる。
【0026】
誘導子支持リング8をプレス抜きで製作すると、ブランク面には図3(A)に示すような凹部9が発生するため、この凹部9で誘導子支持リング8とヨーク1の筒部1b外周との間に全周にわたってエアギャップ10を形成することができる。
【0027】
プレス抜き工法を精密剪断法で行った場合は、ブランク面は全剪断面となるが、図3(B)に示すような凹部9よりなる抜きテーパつくため、この凹部9で誘導子支持リング8とヨーク1の筒部1b外周との間に全周にわたってエアギャップ10を形成することができる。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
なお、永久磁石6からの漏洩磁束7は、該永久磁石6として希土類磁石等の高磁束密度のものを用いると大きくなるので、本発明によれば誘導子2を通るこの漏洩磁束7を低減できて、非常に好適である。
【0032】
上述した本願の幾つかの発明の要部構成と、効果を述べると次のようになる。
【0033】
(1) 底部の外周から筒部が一体に立上げられられているヨークを備え、誘導子を径方向に突設した誘導子支持リングが前記筒部の外周に嵌められて固定され、前記誘導子支持リングと前記筒部との間には少なくとも前記誘導子が存在する箇所にエアギャップが設けられている回転電機用回転子において、
前記エアギャップは少なくとも前記誘導子に対応する箇所で前記誘導子支持リングの内周をその肉厚を減らす方向に後退させて形成した凹部により形成されていることを特徴とする回転電機用回転子。
【0034】
(2) 底部の外周から筒部が一体に立上げられられているヨークを備え、誘導子を径方向に突設した誘導子支持リングが前記筒部の外周に嵌められて固定され、前記誘導子支持リングと前記筒部との間には少なくとも前記誘導子が存在する箇所にエアギャップが設けられている回転電機用回転子において、
前記エアギャップは前記誘導子支持リングの内周の幅方向の片側の縁部を肉厚を減らす方向に後退させて形成された凹部により形成されていることを特徴とする回転電機用回転子。
【0035】
このような(1)(2)の構造にすると、誘導子の所での誘導子支持リングとヨークの筒部との間のエアギャップが従来に比べて大きくなり、このため磁気抵抗が大きくなり、誘導子を通る漏洩磁束が小さくなり、ノイズを従来より小さくすることができる。
【0036】
(3) 前記凹部を前記筒部の開口端側に存在させて前記誘導子支持リングが前記筒部の外周の縮径凹部に嵌められていることを特徴とする前記(2)に記載の回転電機用回転子。
【0037】
このように誘導子支持リングの内周の凹部の向きを配置すると、この凹部が筒部の開口端側にオープンになって、この凹部を有効利用して磁気抵抗を大きくすることができる。
【0038】
(4) 底部の外周から筒部が一体に立上げられられているヨークを備え、誘導子を径方向に突設した誘導子支持リングが前記筒部の外周に嵌められて固定され、前記誘導子支持リングと前記筒部との間には少なくとも前記誘導子が存在する箇所にエアギャップが設けられている構造の回転子と、回転する前記誘導子に対向する位置に固設されていて該誘導子が横切る毎に電気信号を発生する信号発電子とを備えた信号発電機において、
前記エアギャップは少なくとも前記誘導子に対応する箇所で前記誘導子支持リングの内周をその肉厚を減らす方向に後退させて形成された凹部により形成されていることを特徴とする信号発電機。
【0039】
(5) 底部の外周から筒部が一体に立上げられられているヨークを備え、誘導子を径方向に突設した誘導子支持リングが前記筒部の外周に嵌められて固定され、前記誘導子支持リングと前記筒部との間には少なくとも前記誘導子が存在する箇所にエアギャップが設けられている構造の回転子と、回転する前記誘導子に対向する位置に固設されていて該誘導子が横切る毎に電気信号を発生する信号発電子とを備えた信号発電機において、
前記エアギャップは前記誘導子支持リングの内周の幅方向の片側の縁部を肉厚を減らす方向に後退させて形成された凹部により形成されていることを特徴とする信号発電機。
【0040】
このような(4)(5)の構造にすると、誘導子の所での誘導子支持リングとヨークの筒部との間のエアギャップが従来に比べて大きくなり、このため磁気抵抗が大きくなり、誘導子を通る漏洩磁束が小さくなり、ノイズを従来より小さくすることができる。
【0041】
(6) 前記回転子の回転中心方向の前記誘導子の1個当たりの断面積が、該誘導子が対向する前記信号発電子の固定子鉄心の断面積と同等以上になっており、且つ前記誘導子を支持する前記誘導子支持リングは前記凹部を前記筒部の開口端側に存在させて前記筒部の外周の縮径凹部に嵌められていることを特徴とする前記(5)に記載の信号発電機。
【0042】
このようになっていると、信号発電子の固定子鉄心に対向する誘導子の寸法内で、凹部が筒部の開口端側にオープンになって、この凹部を有効利用して磁気抵抗を大きくすることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明においては、誘導子支持リングの内周の幅方向の片側の肉厚をテーパ状に減らすテーパ形の凹部を誘導子支持リングの全周にわたって、かつヨークの筒部の開口端側に存在するように設けて、このテーパ形の凹部により、誘導子が存在する箇所での誘導子支持リングとヨークの筒部との間のエアギャップを形成するようにしたので、誘導子の所での誘導子支持リングとヨークの筒部との間のエアギャップを従来に比べて大きくして、漏洩磁束の通路の磁気抵抗を大きくすることができ、誘導子を通る漏洩磁束を小さくして、ノイズを従来より小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る回転電機用回転子及び信号発電機の実施の形態の第1例を示す要部縦断面図である。
【図2】 凹部を図1とは逆向きにして誘導子支持リングをヨークの筒部に嵌めた比較例の回転電機用回転子及び信号発電機の要部縦断面図である。
【図3】 (A)(B)は誘導子支持リングの内周の凹部の2種の例を示す要部縦断図である。
【図4】 従来の回転電機用回転子及び信号発電機の一例の要部縦断面図である。
【図5】 従来の回転電機用回転子及び信号発電機の他の例の要部縦断面図である。
【符号の説明】
1 ヨーク
1a 底部
1b 筒部
1be 開口端側
1c ボス
1d 縮径凹部
1dt 立上がり段部
2 誘導子(リラクタ)
3 回転子(回転電機用回転子)
4 固定子鉄心
5 信号発電子
6 永久磁石
7 漏洩磁束
8 誘導子支持リング
9 凹部
10 エアギャップ
Claims (2)
- 底部の外周から筒部が一体に立上げられられているヨークを備え、誘導子を径方向に突設した誘導子支持リングが前記筒部の外周に嵌められて固定され、前記誘導子支持リングと前記筒部との間には少なくとも前記誘導子が存在する箇所にエアギャップが設けられている回転電機用回転子において、
前記誘導子支持リングの内周の幅方向の片側の肉厚をテーパ状に減らすテーパ形の凹部が該誘導子支持リングの全周にわたって形成されて、該テーパ形の凹部により前記エアギャップが形成され、
前記凹部は、前記ヨークの筒部の開口端側に存在するように設けられていることを特徴とする回転電機用回転子。 - 底部の外周から筒部が一体に立上げられられているヨークを備え、誘導子を径方向に突設した誘導子支持リングが前記筒部の外周に嵌められて固定され、前記誘導子支持リングと前記筒部との間には少なくとも前記誘導子が存在する箇所にエアギャップが設けられている構造の回転子と、回転する前記誘導子に対向する位置に固設されていて該誘導子が横切る毎に電気信号を発生する信号発電子とを備えた信号発電機において、
前記誘導子支持リングの内周の幅方向の片側の肉厚をテーパ状に減らすテーパ形の凹部が該誘導子支持リングの全周にわたって形成されて、該テーパ形の凹部により前記エアギャップが形成され、
前記凹部は、前記ヨークの筒部の開口端側に存在するように設けられていることを特徴とする信号発電機。
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| JP2001040437A JP3777992B2 (ja) | 2001-02-16 | 2001-02-16 | 回転電機用回転子及び信号発電機 |
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