JP3783100B2 - 液封入式防振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として自動車エンジン等の振動発生体を防振的に支承するのに用いられる液封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
自動車エンジン等の振動発生体を、その振動を車体に伝達させないように支承するマウントとして、液封入式の防振装置が知られている。
【0003】
かかる防振装置は、車体フレーム等の支持側に取付固定される筒状の本体金具と、エンジン等の振動発生体側に取付けられる上側取付金具とが、外形形状が略截頭円錐形をなすゴム材よりなる厚肉の防振基体を介して結合され、さらに前記本体金具の下部側に防振基体と対向するダイヤフラムが装着され、その両者間の内室が液封入室とされ、この液封入室が仕切体により防振基体側とダイヤフラム側の2つの液室に仕切られ、両液室がオリフィスにより連通せしめられ、オリフィスによる両液室間の液流動効果や防振基体の制振効果により、振動減衰機能と振動絶縁機能を果すように構成されている。
【0004】
さらに、前記の防振装置において、異なる周波数帯あるいは広い周波数帯で振動減衰の効果が得られるように、前記仕切体の中央部に、開口を閉塞するゴム状弾性膜を付設したもの、あるいは貫通孔に対して弁機能を果たす可動板を付設したものも知られている。
【0005】
ところが、前記の弾性膜あるいは可動板を付設したタイプの場合、例えば前記弾性膜では弾性変形の振幅に限度があって、振幅依存性の低減に制限を受け、また可動板ではその動きを制限するストッパ部に広い面で強く衝突して異音を発生する、といった問題がある。
【0006】
そこで、前記の課題を解決するものとして、本発明者らは、内部を主液室と副液室とに仕切る仕切体において、外周にオリフィス溝を有するオリフィス部材と、該オリフィス部材の下面側に接設されて該オリフィス部材を防振基体との間に支持する仕切板部材と、これら両部材間に挟まれかつオリフィス部材の内面に対して摺動させることができる開放端を有するゴム状弾性膜を備えた構造にすることを提案している(PCT/JP01/02718)。
【0007】
本発明は、前記の構造の防振装置におけるゴム状弾性膜の形態およびその支持構造をさらに改良し、異音の発生を防止できてかつ振幅依存性も低減でき、低周波数帯および中高周波数のかなり広範囲の周波数帯に亘って防振効果を発揮でき、しかも軽量でかつコスト安価に製作できる液封入式防振装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明は、防振装置本体の防振基体とこれに対向するダイヤフラムとの間に形成される内部の液封入室を、防振基体側の主液室とダイヤフラムの側の副液室とに仕切るとともに、これら両液室を連通させるオリフィスを有する仕切体を設けてなる液封入式防振装置において、前記仕切体は、外周にオリフィス溝が形成された環状壁部と複数の開孔が形成された中央板部とよりなるオリフィス部材と、該オリフィス部材の下面側に接設されて該オリフィス部材を防振基体との間に支持する仕切板部材と、前記オリフィス部材の中央板部と仕切板部材との間に形成された空間部に配置されたゴム状弾性膜とよりなり、前記ゴム状弾性膜は、その中央の板状部が前記オリフィス部材と仕切板部材とにより挟持されるとともに、該中央板状部より外方に延成されたダイヤフラム部の外周端が開放端とされ、前記開放端が前記オリフィス部材の環状壁部の内周面に対して摺動可能に接圧せしめられてなり、さらに前記オリフィス部材の中央板部と仕切板部材の前記中央板状部を挟持する部位に開孔が設けられ、該開孔部分において前記中央板状部の一部が前記主液室と副液室とに露出せしめられ、弾性変形可能な弾性膜部として形成されてなることを特徴とする。
【0009】
この液封入式防振装置によれば、仕切体に備えるゴム状弾性膜のダイヤフラム部が、オリフィス部材の環状壁部の内周面に対して摺動可能であって、主液室と副液室の液圧差により摺動変位できることに加え、オリフィス部材の中央板部と仕切板部材により挟持された中央板状部の一部が主液室と副液室の双方に露出し、主副両液室の液圧差により弾性変形可能である。そのため、振幅依存性を小さくでき、中高周波数のかなり広範囲の周波数帯に亘って動ばね定数を低減できる。また、低周波大振幅の振動時には、前記ゴム状弾性膜のダイヤフラム部の開放端がオリフィス部材の内面や仕切板部材に当接して、それ以上の摺動変位が抑制されることで、仕切体外周のオリフィスを液体が流動することにより高減衰を得ることができる。これにより、広範囲の周波数帯に亘って優れた防振効果を発揮できる。
【0010】
しかも、前記ゴム状弾性膜のダイヤフラム部が片持ち支持された状態で、その先端の開放端がオリフィス部材の環状壁部の内周面に対して摺動して該開放端から仕切板部材等に当接することになるため、弁機能を持つ可動板タイプのようにその動きを制限するストッパ部と広い面で衝突することがなく、異音(打音)の発生を低減できる。
【0011】
さらにその上、前記ゴム状弾性体は、これに隣接するオリフィス部材の中央板部と仕切板部材のいずれにも加硫接着されずに前記両部材により挟持されるため、該ゴム状弾性膜を加硫接着する場合のような補強金具を不要にでき、部品数を少なくでき、容易にかつコスト安価に製作でき、また装置の軽量化も図ることができる。
【0012】
前記の液封入式防振装置において、前記ゴム状弾性膜の支持状態の具体的構造として、前記仕切板部材の中央部が前記オリフィス部材の環状壁部の内方に向かって凸状をなし、この凸状部とオリフィス部材の環状壁部との間に環状の空間が形成されており、前記ゴム状弾性膜は、その中央板状部の下面外周部に有する厚肉の環状壁が前記凸状部の外周に嵌合されて位置決めされ、前記ダイヤフラム部が前記空間内で摺動可能に配置されてなるものとすることができる。これにより、前記ゴム状弾性膜を、オリフィス部材の中央板部と仕切板部材との間に、所定の位置にずれなく安定性良く確実に挟持し固定できる。
【0013】
前記において、前記オリフィス部材の中央板部と前記仕切板部材とには、それぞれ前記空間内のダイヤフラム部に通じる開孔を設けて、前記ゴム状弾性膜のダイヤフラム部に主液室と副液室の液圧が作用できるように設ける。
【0014】
前記の液封入式防振装置において、前記ゴム状弾性膜の中央板状部における弾性膜部が、前記オリフィス部材の開孔部分に嵌合するように凸状をなしているものが、ゴム状弾性体の挟持状態を安定化でき好ましい。
【0015】
また、前記オリフィス部材の環状壁部の内周面が中央板部の下面側に向かってアール曲面状をなして内方に張り出しており、前記ゴム状弾性膜のダイヤフラム部が前記アール曲面に略対応した湾曲形状をなしているものが好ましく、特には、前記ダイヤフラム部の開放端が、前記環状壁部の内周面と仕切板部材の上面とによる隅角部の近傍にまで延びているものがさらに好ましい。これにより、前記ダイヤフラム部の変位に伴う異音発生防止の効果が高められる。
【0016】
さらに、前記ゴム状弾性膜のダイヤフラム部の開放端が肉厚に形成されていると、オリフィス部材の環状壁部との接触面積を充分に確保でき、これによって主液室と副液室との間を液漏れなく確実に遮断でき、所定の振動減衰機能を発揮する上でさらに好適なものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0018】
この実施例の液封入式防振装置Aは、図に示すように、エンジン等の振動発生体側に取り付けられる上側取付金具2と、車体側に取り付けられる下側取付金具3と、これら両取付金具2,3を互いに連結するゴム状弾性体よりなる防振基体4と、この防振基体4に対向して下側取付金具3の側に配置されて防振基体4との間で液封入室5を構成するダイヤフラム6とを備え、これらにより防振装置本体1が構成されている。
【0019】
前記防振装置本体1内には、前記液封入室5を防振基体4側の主液室5aと前記第1ダイヤフラム6側の副液室5bとに仕切る仕切体10が設けられている。この仕切体10は、後述するように、オリフィス9とゴム状弾性膜13とを備えており、これにより異なる周波数域の振動減衰機能を発揮するようになっている。
【0020】
前記防振基体4は、振動絶縁機能を発揮するもので、略截頭円錐形状をなし、その小径側の上端部が上側取付金具2に加硫接着され、また下部の大径側外周部が筒状本体金具7に加硫接着されており、該筒状本体金具7の下端部71が下側取付金具3の開孔縁部31にかしめ固定手段により連結されている。
【0021】
前記上側取付金具2は、平板状をなしており、その中央部には取付けボルト21が上向きに突設されている。22は位置決め用の突起であり、これにより自動車エンジン等のパワーユニットに対して位置決めして固定できるようになっている。23は上側取付金具2に溶接手段等により固設されたスタビライザであり、防振基体4の変形による上側取付金具2の大変位時に、前記防振基体4の大径側の一部に設けられた張り出し部42に対して当接することで、それ以上の上下方向の変位を規制するストッパー作用を果すように設けられている。前記張り出し部42には、前記筒状本体金具7の開口端の一部からの延出部7aが埋設されている。
【0022】
前記下側取付金具3は、有底の概略円筒形状をなし、フランジ状の開口縁部31が前記筒状本体金具7の下端部71によりかしめ固定されている。またこの下側取付金具3の底壁部3aには車体側への取付ボルト3bが圧入手段により下向きに突設されている。前記下側取付金具3と前記ダイヤフラム6との間が空気室8として形成されている。
【0023】
前記ダイヤフラム6は、可撓性のゴム膜を有するとともに、その外周部に環状の支持金具61の内端が加硫接着により埋設一体化されており、該支持金具61が前記下側取付金具3のフランジ状の開口縁部31に載置され、後述するように仕切体10の外周端部とともに筒状本体金具7の下端部71でかしめ固定されている。
【0024】
そして、前記仕切体10については、図に示すように、オリフィス部材11と、仕切板部材12と、ゴム状弾性膜13とから構成されている。 前記オリフィス部材11は、主としてアルミニウム等の金属材やエンジニアリングプラスチック等の所要の強度を持つプラスチックス材によるモールド成形品よりなり、外周に断面略横U状のオリフィス溝91が形成された環状壁部14と、該環状壁部14の内方を覆いかつ下部に逆U字状の空間を形成するように内周に連接された中央板部15とよりなる。そしてこのオリフィス部材11は、前記環状壁部14の外周が、前記筒状本体金具7の内周に対し防振基体4と一体形成されたシールゴム層41を介して気密に嵌着されることにより、前記オリフィス溝91とシールゴム層41により囲まれた空間がオリフィス9として形成されている。前記環状壁部14の上端外周縁部が防振基体4の主液室5a側の周縁部に形成された段部30に対し押接せしめられている。
【0025】
前記環状壁部14の外周におけるオリフィス溝91の上壁部には、主液室5a側の出入口9aが形成されている。オリフィス溝91の下壁部は環状壁部14の下端よりやや上にあって、該下壁部の下側に後述する仕切板部材12とによりオリフィス溝92を画成しており、前記下壁部に有する連通口9cにより前記オリフィス溝91と連通している。このオリフィス溝92の仕切板部材12の部分には副液室5b側の出入口9bが形成されている。前記オリフィス溝91,92には、それぞれ前記出入口9a,9bと前記連通口9cとの間に短絡を防止する隔壁部93,94が設けられている。オリフィス溝92の隔壁部94は、オリフィス部材11側の壁部94aと仕切板部材12側の凸壁94bとが突き合わされることにより形成される。前記オリフィス溝は必ずしも図のように2段に形成する必要はなく、その長さも適宜設定できる。
【0026】
前記中央板部15には、主液室5aから該中央板部下方の空間に連通する複数の開孔16が形成され、さらに中央部にも後述する開孔17が形成されている。前記環状壁部14の内周面は前記中央板部15の下面側に向かってアール曲面状をなして内方に張り出しており、図の場合、該アール曲面部11aが前記中央板部15の下面に対して段差を付けて形成されており、これにより、後述するゴム状弾性膜13のダイヤフラム部34と中央板部15の下面との間に空隙を保有できるようになっている。
【0027】
仕切板部材12は、鉄板等の板状体から一体にプレス成形されてなるものであって、中央部においてゴム状弾性膜13を嵌合保持するための円筒状をなす上向きの凸状部12aと、前記オリフィス部材11の環状壁部14の下面に当接してこれを上側に押圧支持する平板部12bと、該平板部12bの外周端部からオリフィス溝92を形成するように折曲形成されて外方に延びかつ下側取付金具3とともにかしめ固定される外周固定部12cとからなる。
【0028】
この仕切板部材12は、前記外周固定部12cにおいて図のようにかしめ固定された状態において、平板部12bが前記オリフィス部材11の環状壁部14の下面に当接することにより、オリフィス部材11の中央板部15との間にゴム状弾性膜13が収容配置される空間部18が形成される。またこのとき、前記凸状部12aは、オリフィス部材11の環状壁部14の内方で前記空間部18内に突出しており、その上端面と前記中央板部15との間にゴム状弾性膜13を挟持できるようになっている。この凸状部12aのために、前記空間部18は前記凸状部12aとその外方の前記環状壁部14との間で環状をなしている。また前記の凸状部12aの上端面には開孔19が形成されている。さらに前記平板部12bの一部に前記空間部18に通じる貫通孔12dが形成されている。
【0029】
ゴム状弾性膜13は、中央部の比較的厚肉の板状部33と、該中央板状部33より外方に延成されたダイヤフラム部34とを有してなり、前記空間部18内において、前記中央板状部33が前記オリフィス部材11の中央板部15と仕切板部材12の凸状部12aの上端面との間に挟持されることにより、該ダイヤフラム部34の外周端が開放端35とされ、該開放端35が前記オリフィス部材11の環状壁部14の内周面に対して摺動可能に接圧せしめられている。このダイヤフラム部34が配置される前記空間部18は、前記オリフィス部材11の中央板部15に有する開孔16と、前記仕切板部材12の平板部12bの一部に有する貫通孔12dにより、前記主液室5aおよび副液室5bそれぞれ連通しており、これにより、前記ダイヤフラム部34は、主液室5aと副液室5bとの液圧差により摺動変位できるようになっている。
【0030】
また、前記の中央板状部33を挟持する前記オリフィス部材11の中央板部15と、前記仕切板部材12の凸状部12aの中央部位にそれぞれ開孔17,19が設けられているため、該開孔部分において前記中央板状部33の中央部が前記主液室5aと副液室5bとに露出せしめられ、弾性変形可能な弾性膜部33aとされている。図の場合、前記中央板状部33の前記弾性膜部33aの上面が、前記オリフィス部材11の開孔17の部分に嵌合する凸状をなしており、径方向のずれを防止できるようになっている。
【0031】
前記ゴム状弾性膜13は、その中央板状部33の下面外周部に厚肉の環状壁36が形成されて、中央部分が厚肉の逆カップ状とされており、前記環状壁36が前記凸状部12aの外周に嵌合されることにより位置決めされて、前記中央板状部33が前記中央板部15と前記凸状部12aの間に挟持されている。またこのように中央板状部33が挟持され、片持ち支持された状態において、前記ダイヤフラム部34が前記空間部18内で摺動可能に配置されている。
【0032】
前記ダイヤフラム部34は、前記環状壁36の外方において断面略逆U字形をなし、前記オリフィス部材11の環状壁部14内周面、特に中央板部の下面に向かって張り出したアール曲面部11aに略対応した湾曲形状をなしており、さらにその先端の開放端35が前記環状壁部14の内周面と仕切板部材12の上面とによる隅角部の近傍にまで延びており、開放端35の摺動変位量を少なくして、摺動変位に伴う異音発生を防止効果を高めるようになっている。なお、空間部18において前記ダイヤフラム部34が通常の液圧状態にあるとき、図1および図3に示すように、ダイヤフラム部34の上下に液体が流通できる空隙を確保するようになっている。
【0033】
前記ダイヤフラム部34の開放端35は、断面円形の丸みをもった状態でやや厚肉に形成されており、前記環状壁部14との接触面積を確保してかつ摺動変位が円滑に行え、主液室5aと副液室5bとの間を液漏れなく確実に遮断できるようになっている。
【0034】
上記の構成による液封入式防振装置Aの製造においては、仕切体10を構成する前記オリフィス部材11、前記仕切板部材12およびゴム状弾性膜13をそれぞれ別に成形しておく。そして、液中において、防振基体4を介して上側取付金具2と結合されている筒状本体金具7の下方側開口の側を上向きにセットして、内部の空気を排除した状態で、上記のように製作されたオリフィス部材11を、前記筒状本体金具7の内周にシールゴム層41を介して気密に圧入し、その上端外周縁部を防振基体4の液室側周縁部の段部30に当接させる。さらにその上から、ゴム状弾性膜13を環状壁36の側を上向きにして前記オリフィス部材11の環状壁部14の内方に嵌込むとともに、仕切板部材12を、筒状本体金具7のかしめ前の拡開した下端部71の内側に形成された段部に当接する位置まで圧入または挿入する。またこの際、仕切板部材12の前なき凸状部12aを前記環状壁36の内側に嵌合する。次いで、第1のダイヤフラム6の環状の支持金具61を圧入または挿入する。
【0035】
こうして、前記ダイヤフラム6と防振基体4との間に液体を封入した後、これを大気中に取出し、前記筒状本体金具7の下端部71に下側取付金具3の開口縁部31を嵌め込んで、該下端部71でかしめ固定し、組み立てを完了する。
【0036】
このようにすれば、仕切体10は、防振基体4の段部30と下側取付金具3の開口縁部31との間で挟圧保持され、しかもその内部のゴム状弾性膜13がオリフィス部材11の中央板部15と仕切板部材12の間に挟圧保持されることになる。
【0037】
これにより、所定の長さおよび断面積を有するオリフィス9を含む防振装置本体1の内部に液体を封入した液封入式の防振装置Aを容易に組み立てることができる。すなわち、オリフィス部材11と、仕切板部材12およびゴム状弾性膜13を液層内で別々に圧入または挿入でき、かつ大気中でかしめ固定することができ、組立工程を簡略化できる。仕切体10の部品数が少なくできることもあって、容易にかつコスト安価に製作でき、また装置の軽量化も図ることができる。
【0038】
前記の構成による本発明の液封入式防振装置Aは、上側取付金具2をエンジン等のパワーユニットの側に連結し、また下側取付金具3を車体側メンバに取付けて使用する。
【0039】
この使用において、上側取付金具2に取付けたエンジン等の振動発生体から伝わる振動に対して、オリフィス9による液流動効果やゴム状弾性膜13による摺動変位及び変形作用により防振効果が発揮される。
【0040】
特に、この液封入式防振装置Aは、仕切体10に備える前記ゴム状弾性膜13のダイヤフラム部34の開放端35が、オリフィス部材11の環状壁部14の内周面に対し接圧して、主液室5aと副液室5bの間を遮断でき、かつ両液室の液圧差により摺動変位でき、さらにダイヤフラム部34自体が弾性変形できることで、所定の振動減衰機能を発揮できる。これに加えて、前記オリフィス部材11の中央板部15と仕切板部材12により挟持された中央板状部33の一部が、主液室5aと副液室5bの双方に露出して、両液室の液圧差により弾性変形可能な弾性膜部33aとされている。そのため、この弾性膜部33によっても振動を減衰でき、以て振幅依存性を小さくでき、中高周波数のかなり広範囲の周波数帯に亘って動ばね定数を低減できる。
【0041】
また、低周波大振幅の振動時には、前記ゴム状弾性膜13のダイヤフラム部34の開放端35がオリフィス部材11の環状壁部内周のアール曲面部11aによる張り出し形状により、または仕切板部材12に当接することにより、それ以上の摺動変位が抑制される。そのため、仕切体10外周のオリフィス9を液体が流動することで、高減衰を得ることができる。例えば、主液室5a側の液圧が上昇したときは、図4のように、ゴム状弾性膜13のダイヤフラム部34の開放端35が仕切板部材12に当接することによりそれ以上下方への摺動変位が阻止される。また副液室5bの側の液圧が高くなると、環状壁部14の内周面のアール曲面部11aに当接してそれ以上の摺動変位が規制される。
【0042】
したがって、例えばオリフィス9を低周波大振幅のシェイク振動(例えば10〜15Hz)対策用のオリフィスとして機能させ、またゴム状弾性膜13によって中高周波数のアイドル振動(30〜40Hz)を減衰できるように機能させることにより、広範囲の周波数帯に亘って優れた防振効果を発揮できる。
【0043】
しかも、前記ゴム状弾性膜13のダイヤフラム部34が片持ち支持された状態で、その先端の開放端35がオリフィス部材11の環状壁部14の内周面に対して摺動して該開放端35から仕切板部材12等に当接することになるため、弁機能を持つ可動板タイプのようにストッパ部に対して広い面で衝突することがなく、異音(打音)の発生を低減できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の液封入式防振装置は、異音の発生を防止できてかつ振幅依存性も低減でき、低周波数帯および中高周波数のかなり広範囲の周波数帯に亘って防振効果を発揮でき、しかも部品数が少なく軽量でかつコスト安価に製作でき、以て、主として自動車エンジン等の振動発生体を防振的に支承するのに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液封入式防振装置の1実施例を示す縦断面図である。
【図2】同上の仕切部の構成部材を分解して示す一部を断面で示す斜視図である。
【図3】同上の防振装置の仕切部の要部の拡大断面図である。
【図4】ゴム状弾性膜のダイヤフラム部の変形状態を示す一部の断面図である。
【符号の説明】
A 液封入式防振装置
1 防振装置本体
2 上側取付金具
3 下側取付金具
4 防振基体
5 液封入室
5a 主液室
5b 副液室
6 ダイヤフラム
7 筒状本体金具
9 オリフィス
10 仕切体
11 オリフィス部材
11a アール曲面部
12 仕切板部材
12a 凸状部
12b 平板部
12c 外周固定部
12d 貫通孔
13 ゴム状弾性膜
14 環状壁部
15 中央板部
16,17,19 開孔
18 空間部
31 開口縁部
33 中央板状部
33a 弾性膜部
34 ダイヤフラム部
35 開放端
36 環状壁
61 支持金具
71 下端部
91,92 オリフィス溝

Claims (6)

  1. 防振装置本体の防振基体とこれに対向するダイヤフラムとの間に形成される液封入室を、防振基体側の主液室とダイヤフラムの側の副液室とに仕切るとともに、これら両液室を連通させるオリフィスを有する仕切部を設けてなる液封入式防振装置において、
    前記仕切部は、外周にオリフィス溝が形成された環状壁部と複数の開孔が形成された中央板部とよりなるオリフィス部材と、該オリフィス部材の下面側に接設されて該オリフィス部材を防振基体との間に支持する仕切板部材と、前記オリフィス部材の中央板部と仕切板部材との間に形成された空間部に配置されたゴム状弾性膜とよりなり、
    前記ゴム状弾性膜は、その中央の板状部が前記オリフィス部材と仕切板部材とにより挟持されるとともに、該中央板状部より外方に延成されたダイヤフラム部の外周端が開放端とされ、前記開放端が前記主液室と副液室の液圧差により前記オリフィス部材の環状壁部の内周面に対して摺動可能に接圧せしめられてなり、さらに前記オリフィス部材の中央板部と仕切板部材の前記中央板状部を挟持する部位に開孔が設けられ、該開孔部分において前記中央板状部の一部が前記主液室と副液室とに露出せしめられ、弾性変形可能な弾性膜部として形成されてなることを特徴とする液封入式防振装置。
  2. 前記仕切板部材の中央部が前記オリフィス部材の環状壁部の内方にに向かって凸状をなし、この凸状部とオリフィス部材の環状壁部との間に環状の空間が形成されており、前記ゴム状弾性膜は、その中央板状部の下面外周部に有する厚肉の環状壁が前記凸状部の外周に嵌合されて位置決めされ、前記ダイヤフラム部が前記空間内で摺動可能に配置されてなる請求項1に記載の液封入式防振装置。
  3. 前記オリフィス部材の中央板部と前記仕切板部材とにそれぞれ前記空間に通じる開孔が設けられてなる請求項1または2に記載の液封入式防振装置。
  4. 前記中央板状部の弾性膜部が、前記オリフィス部材の開孔部分に嵌合する凸状をなしている請求項1または2に記載の液封入式防振装置。
  5. 前記オリフィス部材の環状壁部の内周面が中央板部の下面側に向かってアール曲面状をなして内方に張り出しており、前記ゴム状弾性膜のダイヤフラム部が前記アール曲面に略対応した湾曲形状をなしている請求項1または2に記載の液封入式防振装置。
  6. 前記ゴム状弾性膜のダイヤフラム部の開放端が肉厚に形成されてなる請求項1または2に記載の液封入式防振装置。
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