JP3799558B2 - 硫酸バリウムとその製造方法ならびに樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種樹脂に対する分散性に優れた硫酸バリウムとその製造ならびに応用技術に係り、詳しくは、含Ba2+水溶液と含SO4 2- 水溶液の反応を介して優れた分散性を保有する超微細な粒子性状の硫酸バリウムとその製造方法、ならびにその硫酸バリウムを配合した樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
硫酸バリウムは、一般に塩化バリウム、硫化バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、炭酸バリウム等の水溶液に硫酸塩または硫酸の水溶液を反応させる水溶液反応により製造されているが、この方法で製造される硫酸バリウムは、一次粒子径が通常0.3〜2.0μm と大きいため、例えば透明顔料または体質顔料として塗料やインキに配合した際に、硫酸バリウム粒子の光散乱のため透明性や表面光沢を損ねる問題がある。このような問題は、より微細な一次粒子径を有する硫酸バリウムを配合することにより消去することができる。
【0003】
従来、微細な硫酸バリウムを製造する技術としては、例えば硫酸ナトリウム水溶液と硫酸バリウム水溶液を反応させる段階で、硫酸ナトリウム水溶液に特定のメタリン酸塩を共存させると共に、硫酸ナトリウムのモル比を硫酸バリウムに対して化学量論的に過剰量存在させて反応させる方法(特公昭50−33984 号公報)、硫化バリウム水溶液と硫酸水溶液とを硫化バリウム濃度が過剰となるように制御し、連続的に反応槽に導き、効果的な撹拌下で極めて短時間で反応を行なう方法(特開昭57−51119 号公報)、硫酸水溶液と硫化バリウム水溶液とを反応させて硫酸バリウムを製造する方法において、硫酸に対して硫化バリウムを常に過剰に存在させると共に、水溶性ケイ酸アルカリを存在させる方法(特開昭58−120520号公報)、硫酸水溶液と特定のバリウム塩水溶液とを正確な化学量論的比率で別々に、かつ同時に噴霧して反応させ、生成した沈殿物を含む媒質を噴霧乾燥する方法(特開平2−83211 号公報)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、このような従来法で得られた硫酸バリウムは、一次粒子径は微細であるが、見掛けの二次粒子は凝集した大きな粒子となっている。そのうえ、硫酸バリウム粒子表面の不活性な表面改質までは行うことができないため、樹脂の種類によっては親和性が頗る悪くなる。このような親和性の悪い樹脂を含有する塗料に硫酸バリウムを配合すると、硫酸バリウム自身が凝集を起こして塗料粘度を増大させる結果、正常な塗料性能が得られなくなる事態が屡々発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、微細な一次粒子径を持ち、その粒子相互が二次的に凝集しても容易に脱アグロメレートすることができ、かつ各種樹脂に対して優れた分散性を発揮する硫酸バリウムの開発が強く要望されている。
【0006】
本発明者らは、前記事実に鑑み、各種樹脂系に対して優れた分散性を有する微細性状の硫酸バリウムについて鋭意研究を重ねた結果、含Ba2+水溶液および含SO4 2- 水溶液を反応させる過程でキレート能を有する有機リン化合物の存在下に反応を瞬間的に行わせ、微細粒子表面を前記キレート能を有する有機リン化合物で改質処理した硫酸バリウムは、超微細な一次粒子径を持ち、二次凝集体の脱アグロメレートが容易で、かつ各種樹脂系に対して良好な分散性を示すことを確認した。
【0007】
本発明は、かかる知見に基づいて開発されたもので、その目的は各種樹脂に対して優れた分散性を有する超微細な硫酸バリウムとその製造方法、ならびにこの硫酸バリウムを配合した樹脂組成物を提供するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る硫酸バリウムは、一次粒子の平均粒子径が0.1μm以下の微細な粒子であって、その粒子表面が、アミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、または2−ヒドロキシホスホノ酢酸で、処理されてなることを構成上の特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る硫酸バリウムの製造方法は、含Ba 2+ 水溶液と含SO 4 2- 水溶液の反応により硫酸バリウムを生成する方法において、前記反応を、
反応器に、アミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、または2−ヒドロキシホスホノ酢酸を含む硫酸溶液と含Ba 2+ 水溶液とを同時に注入し、
下記式で算出される平均滞留時間(t):
t=v/(A+B)
(式中、vは反応器の容量 (l) 、AおよびBはそれぞれ硫酸水溶液および含Ba 2+ 水溶液の注入速度 (l / min) を表す。)
が10秒以内となるように、該反応器を通過させること、
によって進行させることを構成上の特徴とするものである。
【0010】
さらに本発明により提供される樹脂組成物は、上記の硫酸バリウムを、樹脂100重量部当り1〜50重量部の範囲で分散配合してなるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る硫酸バリウムは、一次粒子の平均粒子径が0.1μm 以下の超微細な粒子であり、図1の電子顕微鏡写真(倍率10万倍)から考察されるように粒子形状が比較的均一であって、0.1μm を越える粗粒子部分が極めて少ないことに特徴づけられる。そのうえ、微細粒子の表面がキレート能を有する有機リン化合物で改質処理されていることが本発明の重要な構成要件となっている。なお、ここで硫酸バリウムの一次粒子の大きさは10万倍以上の倍率による電子顕微鏡観察法で測定されたものであり、また粒子表面がキレート能を有する有機リン化合物で処理されたとは、該有機リン化合物がバリウム塩を形成して粒子の表面もしくは粒子相互間に介在する状態を意味する。
【0012】
本発明によるキレート能を有する有機リン化合物で表面処理された超微細な硫酸バリウム粒子は、乾燥粉末とした際に二次的な凝集体を形成しても使用段階において容易に脱アグロメレーションでき、流動性や再分散性は頗る良好である。更に、キレート能を有する有機リン化合物での表面処理により、各種樹脂に対する相溶性、各種分散媒体における分散性も良好となることから、塗料等に配合した際に優れた透明性および塗膜光沢性を与えることが可能となる。
【0013】
硫酸バリウム粒子の表面改質処理に用いるキレート能をもつ有機リン化合物としては、アルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸(塩)が最も効果的であり、その含有量は硫酸バリウムの用途や該化合物の種類等によって変動するが、多くの場合、原料となる含SO4 2- 化合物の一部代替リン酸源として全リン酸源の反応理論量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜8重量%の範囲である。
【0014】
上記の硫酸バリウムは、含Ba2+水溶液と含SO4 2- 水溶液の反応により硫酸バリウムを生成する際、キレート能を有する有機リン化合物を同時に介在させながら瞬間的に反応させる方法で製造される。
【0015】
バリウム源となる含Ba2+化合物としては、例えば塩化バリウム、硫化バリウム、硝酸バリウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム等のバリウム塩が適宜に使用される。一方、含SO4 2- 化合物としては、硫酸または硫酸ナトリウム等の硫酸塩が挙げられる。しかし、本発明の目的には特に含Ba2+化合物として水酸化バリウム、含SO4 2- 化合物として硫酸を用いることが好ましい。この理由は、副生成物が水である関係で、目的とする超微細な硫酸バリウムの回収が容易となるためである。
【0016】
本発明で用いるキレート能を有する有機リン化合物は、反応に預かるリン酸源として上記の含SO4 2- 化合物の一部を代替して機能する成分で、例えばアミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、または2−ヒドロキシホスホノ酢酸などが代表的なものである。
【0017】
このうちアミノアルキレンホスホン酸としては、例えばニトリロトリスメチレンホスホン酸、ニトリロトリスエチレンホスホン酸、ニトリロトリスプロピレンホスホン酸、ニトリロジエチルメチレンホスホン酸、ニトリロプロピルビスメチレンホスホン酸等が、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸としては、例えばエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラエチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラプロピレンホスホン酸等が、またアルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸としては、例えばメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸などが挙げられる。これら化合物は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩で一部または全部中和させたものでもよく、また1種または2種以上であってもよい。
【0018】
硫酸バリウムの生成は、上記3種類の原料成分を反応させることにより行われるが、キレート能を有する有機リン化合物は全リン酸源の反応理論量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜8重量%の範囲に設定する。この含有量が、0.1重量%未満では有機リン酸バリウムの生成が不足して、硫酸バリウム粒子表面における形成が不十分となるため硫酸バリウムの粒子成長を阻止することが困難となる。10重量%を上回る含有量では添加量の割には効果の向上が少なく、経済面から実用性に乏しくなる。
【0019】
キレート能を有する有機リン化合物の存在下に反応させるには、通常、硫酸(塩)水溶液に該化合物を予め溶解した混合液と含Ba2+溶液とを接触させる手段が採られるが、他の方法として、キレート能を有する有機リン化合物の水溶液中で硫酸塩水溶液と含Ba2+水溶液とを接触させる方法を採用してもよい。
【0020】
この際、上記の反応を瞬間的に行わせることが本発明にとって重要な条件となる。この瞬間反応とは、反応系内でバックミキシングが生じない状態で、連続的に可及的短時間内に硫酸バリウムの沈澱生成を行わせることである。バックミキシングのない状態での反応は、両原料液を混合して反応させる反応系において常に両液の直接的な接触混合のみによって行われ、反応時に反応系内の共通イオンや析出粒子等の反応生成物によって影響を受けることはない。このような反応は、小容積の反応系に両反応液を速やかに導入すると共に、反応生成物を速やかに系外に排出することにより達成される。
【0021】
このようなバックミキシングのない状態で連続的に反応を行うためには、反応器として強力な撹拌効果を発揮する小容積混合装置が使用される。かかる手段としては、例えば遠心ポンプを反応槽として一定割合で配合したキレート能を有する有機リン化合物を含む硫酸水溶液と水酸化バリウム水溶液を瞬時に連続反応させる方法、またはスタティックミキサーを反応槽として同様に瞬時連続反応を行う方法があるが、特に後者の方法を採ることが好ましい。
【0022】
スタティックミキサーは、その構造が長方形の板を左右逆方向に180度捩れたエレメントを必要な数だけ管内に交互に配列した構造を備えているため、該スタティックミキサーを通過する流体は、エレメントにより流れの分割、流れの反転、流れの転換の三つの混合作用を受け、均一に瞬時に混合し反応する。したがって、原料の含Ba2+水溶液とキレート能を有する有機リン化合物を含有する含SO4 2- 水溶液は瞬時に混合反応すると共に、反応系内では全くバックミキシングが生ずることなく排出されるので、従来のバッチ方式あるいはポンプ方式等の撹拌型反応槽での共通イオン効果などバックミキシング作用を受けながら硫酸バリウム粒子の調製を行ったものより、常に安定的に均質微細な硫酸バリウム粒子を連続的に得ることができる。
【0023】
含Ba2+化合物とキレート能を有する有機リン化合物を含む含SO4 2- 化合物とのモル比は、バリウム塩または硫酸塩のいずれかが過剰の状態でもよいが、好ましくは正確な化学量論的比率で反応させることである。しかし、反応時のpHは、通常5〜8、好ましくは7付近の中性領域で行うことが好ましい。この理由は、生成した硫酸バリウム粒子を水洗い等の頻雑な操作を行う必要がなしに回収することができるからである。
【0024】
反応温度は、原料の含Ba2+化合物の水に対する溶解度にもよるが、一般的に高温測では平均粒子径が大きくなる傾向があることから、70℃以下で反応を行うことが望ましい。
【0025】
反応は、反応器にキレート能を有する有機リン化合物を含む硫酸溶液(A液)と含Ba2+水溶液(B液)とを同時に注入し、反応器を通過させることによって進行させるが、この際反応器を通過する原料系の平均滞留時間(t)が10秒以内、好ましくは1秒以下になるような条件で反応を行う。反応系内における原料系の平均滞留時間t(秒)は、t=v/A+Bの関係式〔式中、vは反応器の容量(l) 、AおよびBはそれぞれ硫酸水溶液および含Ba2+水溶液の注入速度(l/min)を表す〕に基づいて算出することができる。
【0026】
10秒以内の平均滞留時間とするには、スタティックミキサー等に供給する原料水溶液の最大流速に特に制限はなく、スタティックミキサーの長さ、エレメント数、内径等にもよるが、通常1.2l/min 以上、好ましくは1.5l/min 以上で原料水溶液を供給し、反応を行うことが好ましい。また、原料濃度も特に限定的ではないが、多くの場合、生成する硫酸バリウムのスラリー濃度が5重量%以上、好ましくは10〜30重量%の範囲になるように調整する。
【0027】
上記反応により、微細な硫酸バリウムを生成させた後は、常法により濾過分離、乾燥および粉砕の各処理を順次に施して製品とするが、本発明ではスラリーの微小液滴と乾燥を同時に行う噴霧乾燥を適用することが好ましい。噴霧乾燥が好適な理由は、乾燥に長時間を要すると一次粒子が堅い二次凝集化を起こし易く、再分散が困難となり、また粒子が微細であるため濾過操作が容易に行えなくなるため、操作を簡略化してこれらの難点を排除することにある。
【0028】
上記の工程で得られる硫酸バリウムは、一次平均粒子径が通常0.01〜0.2μm の範囲にあり、平均一次粒子径が0.1μm 以下の均一で超微細な粒子性状を有している。このような均一かつ超微細な硫酸バリウム粒子が生成するのは、含Ba2+化合物と含SO4 2- 化合物との反応による硫酸バリウムの生成反応と、含Ba2+化合物とキレート能を有する有機リン化合物との反応による上記有機リン化合物のバリウム塩生成反応が同一反応系内で進行するため、生成した有機リン化合物のバリウム塩が硫酸バリウムの粒子成長を抑える機能を営み、同時にスタティックミキサー等による瞬間反応の作用とが相俟って、均一性のある超微細な硫酸バリウムの生成に寄与するためと推測される。
【0029】
本発明で得られた硫酸バリウムは、各種樹脂に配合される充填剤、体質顔料、分散助剤、または沈降防止剤、防錆顔料として使用することができる。特に一次粒子径が0.19μm 以下のものは、可視光の波長を反射することがないため透明性に優れた顔料として有用である。
【0030】
本発明に係る超微細な硫酸バリウムを充填剤として各種樹脂に配合してシート、フィルム、容器等の樹脂成形品を得る場合にマトリックスとなる樹脂類としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、熱可塑性アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。また、体質顔料として使用する場合のビヒクルとなる塗膜形成用樹脂としては、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラニン樹脂、グアナジン樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂、含フッ素樹脂等を挙げることができる。特に、塗料の体質顔料として用いる場合、光沢性や質感良好な塗膜を得ることができる。
【0031】
上記樹脂類に対する本発明に係る硫酸バリウムの添加量は、樹脂またはその用途にもよるが、例えばシート、フィルム、容器等の各種樹脂成型品を得る場合には、従来の充填剤配合量の範囲でよく、通常、樹脂100重量部に対して、1〜50重量%である。また、塗膜形成用の体質顔料として用いる場合にも、通常塗料ビヒクルに対して1〜50重量%である。樹脂配合に当たり、強力な剪断分散処理を施すことにより、二次的に凝集した硫酸バリウム粒子は容易に脱アグロメレートされ、極めて分散性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1
水酸化バリウム〔Ba(OH)2 ・8H2O〕206.6gを水893.4gに溶解してA液を調製した。また97重量%濃度の硫酸62.3gとメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の60重量%濃度水溶液3.3g(全リン酸源の反応理論量に対して3重量%)を水977.0gに溶かし、B液を調製した。これらA液とB液を50℃に加温した後、ポンプを用いて1.5l/min の流速でスタティックミキサー〔ノリタケカンパニーリミテッド社製;4/1-N40−170−0〕A液およびB液を同時に供給し、反応系内で瞬間的に反応させて硫酸バリウムの水性スラリーを得た。ついで、濾過分離し、120℃で2時間乾燥、粉砕して硫酸バリウムの白色粉末を得た。得られた硫酸バリウムの白色粉末を電子顕微鏡で10万倍に拡大して平均一次粒子径を測定したところ、0.01μm であった。図1は、本実施例で得られた超微細な硫酸バリウムの粒子構造を示した電子顕微鏡写真(倍率10万倍)であるが、極めて均一かつ微細な粒子性状を呈していることが判る。
【0034】
次に、焼付型アルキド樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、“ベツコゾールJ-524 ”非揮発分60%〕17.5重量部とメラミン樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、“スーパーベツカミンJ-820 ”非揮発分50%〕8.9重量部とキシレン4.9重量部とからなる混合ワニスに上記の硫酸バリウム粉末を15重量部加え、ペイントコンディショナーで60分間、120分間、180分間の時間をかけて分散させた後、各ワニスを6ミルのアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、常温で乾燥後、140℃で20分間焼付けた。このようにして得られた塗膜およびブランクとして樹脂単独の塗膜についてグロスメーターによって20°/20°鏡面反射率を測定し、塗膜の光沢を評価した。その結果を、表1に示した。なお、比較のために市販の硫酸バリウムについても同様に評価し、その結果を表1に併載した。
【0035】
また、上記組成の混合ワニス100重量部に製造した硫酸バリウム粉末および市販の硫酸バリウム粉末を0〜30重量部それぞれ添加して透明塗料を調製し、その透明塗料をガラス板上に6ミルのアプリケーターを用いて並列塗布し、常温で乾燥後、140℃の温度で20分間焼付け、膜厚68μの塗膜を形成した。この塗膜につき、垂直光線の透過率をハンター系L値にて測定し、塗膜の透明度を評価した。その結果を硫酸バリウム(顔料)の添加量と対比して表2に示した。
【0036】
比較例1
97重量%濃度の硫酸64.2gを水975.8gに溶かしてB液とした。その他は実施例1と同一条件でスタティックミキサーによりA液とB液とを反応させた後、濾過分離し、120℃で2時間乾燥、粉砕して硫酸バリウムの白色粉末を得た。得られた硫酸バリウムの白色粉末につき、実施例1と同様にして平均一次粒子径を測定したところ、0.05μm であった。図2は、本比較例で得られた硫酸バリウムの粒子構造を示した電子顕微鏡写真(倍率10万倍)であるが、図1に比べて粒径が極めて大きく、かつ不均一であることが認められる。
【0037】
得られた硫酸バリウム粉末につき、実施例1と同様にして塗料塗膜の光沢度ならびに透明度を評価し、その結果を表1および表2に併載した。
【0038】
実施例2
水酸化バリウム〔Ba(OH)2 ・8H2O〕206.6gを水893.4gに溶かしてA液とした。97重量%濃度の硫酸64.13gとエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の60重量%濃度水溶液0.107g(全リン酸源の反応理論量に対して0.1重量%)を水977.0gに溶かしてB液とした。A液とB液を50℃に加温した後、ポンプを用いて1.5l/min の流速でスタティックミキサー〔ノリタケカンパニーリミテッド社製;4/1-N40−170−0〕に同時に供給し、瞬間反応させて硫酸バリウムの水性スラリーを得た。ついで、得られた水性スラリーを2.5l/min の流速で2500rpm のアトマイザーに供給し、200℃の空気気流中に噴霧して噴霧乾燥し、硫酸バリウムの白色粉末を得た。得られた硫酸バリウムの白色粉末の平均一次粒子径を10万倍の電子顕微鏡写真で求めたところ、0.01μm であった。
【0039】
得られた硫酸バリウム粉末につき、実施例1と同様にして塗料塗膜の光沢度ならびに透明度を評価し、その結果を表1および表2に併載した。
【0040】
実施例3
実施例2のB液を、97重量%濃度の硫酸63.56gとニトリロトリスメチレンホスホン酸の60重量%濃度水溶液1.07g(全リン酸源の反応理論量に対して1重量%)を水977.0gに溶かした組成に代え、その他は実施例2と同一条件により白色粉末の硫酸バリウムを製造した。得られた硫酸バリウムの白色粉末の平均一次粒子径は、0.01μm であった。
【0041】
得られた硫酸バリウム粉末につき、実施例1と同様にして塗料塗膜の光沢度ならびに透明度を評価し、その結果を表1および表2に併載した。
【0042】
実施例4
実施例2のB液を、97重量%濃度の硫酸57.7gと2−ヒドロキシホスホノ酢酸6.42g(全リン酸源の反応理論量に対して10重量%)を水975.8gに溶かた組成に代え、その他は実施例2と同一条件により白色粉末の硫酸バリウムを製造した。得られた硫酸バリウムの白色粉末の平均一次粒子径は、0.01μm であった。
【0043】
得られた硫酸バリウム粉末につき、実施例1と同様にして塗料塗膜の光沢度ならびに透明度を評価し、その結果を表1および表2に併載した。
【0044】
【表1】
【0045】
表1の結果から、本発明の実施例による硫酸バリウムはワニス中に一次粒子まで容易に分散し、樹脂単独(ブランク)の塗膜とほとんど変わらない光沢の優れた塗膜を得ることができることが認められた。
【0046】
【表2】
【0047】
表2から、実施例の硫酸バリウムを顔料とした塗膜は比較例1や市販品を顔料とした場合に比べ、顔料添加量を多くしても透明度の減少は極めて少なく、良好な透明塗膜が形成されることが判る。
【0048】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によればキレート能を有する有機リン化合物で表面改質された超微細で均一な一次粒子径を備え、粒子相互が凝集した場合にも容易に脱アクロメレートし得る粒子性状の硫酸バリウムを提供することができる。この硫酸バリウムは、含Ba2+水溶液と含SO4 2- 水溶液をキレート能を有する有機リン化合物の存在下で瞬間反応させる本発明の製造方法により効率よく工業生産することが可能となる。また、本発明の硫酸バリウムは各種樹脂類に対する分散性が極めて優れているから、これを配合することにより高品質の樹脂組成物を提供することができる。特に体質顔料として配合した塗料の塗膜には、良好な光沢性と透明性が同時に付与し得る効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた硫酸バリウム粉末の粒子構造を示した電子顕微鏡写真(拡大倍率:10万倍)である。
【図2】比較例1で得られた硫酸バリウム粉末の粒子構造を示した電子顕微鏡写真(拡大倍率:10万倍)である。
Claims (7)
- 一次粒子の平均粒子径が0.1μm以下の微細な粒子であって、その粒子表面が、アミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、または2−ヒドロキシホスホノ酢酸で、処理されてなることを特徴とする硫酸バリウム。
- 含Ba 2+ 水溶液と含SO 4 2- 水溶液の反応により硫酸バリウムを生成する方法において、前記反応を、
反応器に、アミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、または2−ヒドロキシホスホノ酢酸を含む硫酸溶液と含Ba 2+ 水溶液とを同時に注入し、
下記式で算出される平均滞留時間(t):
t=v/(A+B)
(式中、vは反応器の容量 (l) 、AおよびBはそれぞれ硫酸水溶液および含Ba 2+ 水溶液の注入速度 (l / min) を表す。)
が10秒以内となるように、該反応器を通過させること、
によって進行させることを特徴とする硫酸バリウムの製造方法。 - 含Ba 2+ 水溶液と含SO 4 2- 水溶液の反応を、スタティックミキサーを反応槽として用いて行なわせることを特徴とする請求項2記載の硫酸バリウムの製造方法。
- 含Ba 2+ 水溶液と含SO 4 2- 水溶液の反応を、遠心ポンプを反応槽として用いて行なわせることを特徴とする請求項2記載の硫酸バリウムの製造方法。
- アミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、または2−ヒドロキシホスホノ酢酸を、全リン酸源の反応理論量に対して0.1〜10重量%の範囲に設定する請求項2〜4いずれか1項記載の硫酸バリウムの製造方法。
- 含Ba2+水溶液が水酸化バリウム水溶液、含SO4 2- 水溶液が硫酸水溶液である請求項2〜5いずれか1項記載の硫酸バリウムの製造方法。
- 請求項1記載の硫酸バリウムを、樹脂100重量部当り1〜50重量部の範囲で分散配合してなることを特徴とする樹脂組成物。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34653795A JP3799558B2 (ja) | 1995-12-12 | 1995-12-12 | 硫酸バリウムとその製造方法ならびに樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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