JP3799667B2 - 面発光型半導体レーザ装置およびその製造方法 - Google Patents

面発光型半導体レーザ装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報処理、光通信あるいは光を用いた画像形成装置の光源として用いられる面発光型半導体レーザ装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板に対して垂直方向に、共振器が形成された面発光型半導体レーザにおいては、水平方向の構造的な対称性から偏波面の方向が一意的に決まらないという問題があった。また、プロセス上のむらのため構造的な非対称性が発生して素子間での偏波面の方向にばらつきを生じたり、あるいは同一の素子においても環境温度や注入電流量の変化により、偏波面の方向が時間的に変動するという問題があった。
【0003】
これに対し、半導体層を矩形形状に加工して偏波面の制御を行うようにした面発光型半導体レーザも提案されている(アプライドフィジックスレターズ第66巻、第8号、908頁から910頁(1995年))。この半導体レーザは、図10に示すように、InGaAsからなる3重量子井戸活性層を、GaAs層とAlAs層とを交互に積層してなる半導体多層反射膜(DBRミラー)でサンドイッチした典型的なVCSEL(Vertical cavity surface emitting laser)構造である。この例では、InGaAsからなる3重量子井戸活性層を、GaAs層とAlAs層とを交互に積層してなる半導体多層反射膜(DBRミラー)でサンドイッチした積層体に対し、短軸が<110>方向となるように配置された矩形のフォトレジストマスクを形成した後、塩素ガスを用いた反応性イオンビームエッチングにより上部半導体多層反射膜の一部を除去していわゆるポスト形状を形成する。さらに電流狭窄のため前述のポスト部の直下を除く活性層をプロトン注入により非活性化(高抵抗化)した後、所定の位置にアノード及びカソード電極を形成して完成する。このレーザはいわゆる横方向電流注入型の面発光レーザである。また光出射の方向はこの基板の裏面側である。
【0004】
また、面発光型半導体レーザのしきい値電流の低下をはかるため、半導体多層反射膜中に自然酸化膜を介在せしめ、電流狭窄を行うようにした構造も提案されている(アプライドフィジックスレターズ第65巻、第1号、97頁から99頁(1994年))。これは、偏波面の制御を目的としたものではないが、図11に示すように、InGaAsからなる3重量子井戸活性層を、GaAs層とAlAs層とを交互に積層してなる半導体多層反射膜(DBRミラー)でサンドイッチした典型的なVCSEL構造をなし、GaAs層とAlAs層との1ペアで、、GaAs層が上側に位置するように構成している。そして、フォトリソグラフィ技術とウェットエッチング技術とによって、p型GaAs層を30若しくは60μm径の円形に加工し、p型AlAs層を露呈させ、475℃に加熱した炉の中で約3分間熱処理を行う。このとき、炉の中には窒素をキャリアガスとし、95℃に保たれた水蒸気が導入されている。露出したAlAs層は横方向から徐々に酸化され、最終的には酸化されずに残った2〜8μm角の領域が形成される。酸化された領域は酸化アルミニウムとなり、殆ど電流を通さないから電流狭窄が可能となる。
【0005】
しかしながらこのような構造の面発光型半導体レーザの特性は必ずしも満足できるものではなかった。前述した従来の方法の第1では、DBRミラー部での回折損失を利用して偏波面の制御を行うようにしたとしているが、発光に寄与しなかった電子・正孔再結合をはじめとする損失分は熱となって発生するため、ポスト部の体積が比較的小さい( 6μm×4μm×2μm程度 )この素子では放熱性が十分でなく、光出力特性が制限を受けるからである。実際この論文の筆者らは短軸方向の径をこれ以上小さくしてもしきい値電流は下がらないばかりか、かえって増加してしまったとしている。さらにこの構造ではプロトン注入時の制約から電流狭窄部のアパーチャー径をポスト部の径より小さくするのが難しいのに加えて、活性領域へのキャリアの注入効率が高くないため、しきい値電流の低減には限界がある。
また、前述した従来の第2の方法では、電流が通過し、光が放出される領域の垂直断面形状がほぼ対称形であるため、偏波面は定まらず、任意の方向をとることが予想される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の方法では、安定な偏波面を維持し、光出力特性の良好な面発光型半導体レーザを得ることは出来なかった。
【0007】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、光出力特性に特段の影響を与えることなく、横モードを安定させながら偏波面を安定に維持することのできる、面発光型半導体レーザを提供することを目的とする。
【0008】
そこで、本発明の第1の特徴は、面発光型半導体レーザ装置において、半導体基板上で活性層が上部及び下部の半導体多層反射膜により挟まれ、少なくとも前記上部半導体多層反射膜が選択的に除去せしめられて半導体柱を構成し、基板と垂直方向に光を放出する面発光型半導体レーザ装置において、前記下部半導体多層反射膜と前記活性層との間に設けられた下部スペーサ層と、前記上部半導体多層反射膜と前記活性層との間に設けられた上部スペーサ層と、前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間、及び前記上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間の少なくとも一方に設けられた挿入層とを具備し、前記挿入層の周辺部は、酸化物を含む層若しくは空隙を有し、前記周辺部以外の前記挿入層の領域が電流通路と規定され、前記周辺部以外の前記挿入層の領域は、前記半導体基板に垂直な方向からみた断面形状が長軸と短軸とを有すると共に、断面径が前記半導体柱の断面径よりも小であることを特徴とする。
【0009】
望ましくは、前記半導体柱の頂部に設けられた第1の電極と、前記上部半導体多層反射膜が除去された領域に設けられた第2の電極とをさらに具備することを特徴とする。
また、望ましくは、前記半導体基板の裏面に設けられた第1の電極と、前記上部半導体多層反射膜が除去された領域に設けられた第2の電極とをさらに具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の特徴は、面発光型半導体レーザ装置の製造方法において、半導体基板上に下部半導体多層反射膜と、下部スペーサ層と、活性層と、上部スペーサ層と、上部多半導体多層反射膜とを順次積層すると共に、前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間及び上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間の一方に挿入層を介在させるように積層する積層工程と、前記挿入層を断面に露呈せしめるように、少なくとも前記上部半導体多層反射膜の一部を選択的に除去し長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる半導体柱を形成する工程と、前記半導体柱の断面から露呈する挿入層を選択的にエッチング除去し、長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる領域を残して、電流通路を規定する領域を形成するエッチング工程とを含むことを特徴とする。
望ましくは、前記挿入層がアルミニウム砒素層若しくはアルミニウムガリウム砒素層からなることを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の特徴は、面発光型半導体レーザ装置の製造方法において、半導体基板上に下部半導体多層反射膜と、下部スぺーサ層と、活性層と、上部スペーサ層と、上部多半導体多層反射膜とを順次積層すると共に、前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間及び上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間の一方に挿入層を介在させるように積層する積層工程と、前記挿入層を断面に露呈せしめるように、少なくとも前記上部半導体多層反射膜の一部を選択的に除去し長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる半導体柱を形成する工程と、前記半導体柱の断面から露呈する挿入層を選択的に酸化し、長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる領域を残して、電流通路を規定する領域を形成する酸化工程とを含むことを特徴とする。
望ましくは、前記挿入層がアルミニウム砒素層若しくはアルミニウムガリウム砒素層からなることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の特徴は、面発光型半導体レーザ装置の製造方法において、半導体基板上に下部半導体多層反射膜と、下部スぺーサ層と、活性層と、上部スペーサ層と、上部多半導体多層反射膜とを順次積層すると共に、前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間、および上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間に挿入層を介在させるように積層する積層工程と、前記挿入層を共に断面に露呈せしめるように、少なくとも前記下部半導体多層反射膜表面まで前記各層を上方から順次選択的に除去し長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる半導体柱を形成する工程と、前記半導体柱の断面から露呈する挿入層を選択的にエッチング除去し、長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる領域を残して、電流通路を規定する領域を形成するエッチング工程とを含むことを特徴とする。
望ましくは、前記挿入層がアルミニウム砒素層若しくはアルミニウムガリウム砒素層からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の特徴は、面発光型半導体レーザ装置の製造方法において、半導体基板上に下部半導体多層反射膜と、下部スぺーサ層と、活性層と、上部スペーサ層と、上部多半導体多層反射膜とを順次積層すると共に、前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間、および上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間に挿入層を介在させるように積層する積層工程と、前記挿入層を共に断面に露呈せしめるように、少なくとも前記下部半導体多層反射膜表面まで前記各層を上方から順次選択的に除去し長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる半導体柱を形成する工程と、前記半導体柱の断面から露呈する挿入層を選択的に酸化し、長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる領域を残して、電流通路を規定する領域を形成する酸化工程とを含むことを特徴とする。
望ましくは、前記挿入層がアルミニウム砒素層若しくはアルミニウムガリウム砒素層からなることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、偏波面を制御するために反射率を変化させる部位をメサ構造と一致させるのではなく、メサ部よりも内側に設け、高効率の電流狭窄のために供すると共に、派生する熱を比較的体積の大きいメサ構造部に放熱するようにしているため、横モードを安定させながら、偏波面を制御し、しきい値電流の低減をはかるとともに、熱による光出力特性の劣化を防ぐことができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1(a)(b)および(c)は本発明の第1の実施例の面発光型半導体レーザ装置の上面図、そのA−A’断面図およびそのB−B’断面図である。
【0017】
この面発光型半導体レーザ装置は、n型ガリウムヒ素(GaAs)基板1上に形成されたn型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜2と、アンドープのAl0.6Ga0.4Asからなる下部スペーサ層3と、この下部スペーサ層3上に形成されたアンドープのAl0.11Ga0.89量子井戸層とアンドープのAl0.3Ga0.7As障壁層とからなる量子井戸活性層4と、アンドープのAl0.6Ga0.4Asからなる上部スペーサ層5と、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜7と、p型GaAsコンタクト層8が順次積層せしめられ、上部スペーサ層5が露呈する深さまで、上部半導体多層反射膜7とp型GaAsコンタクト層8のみが発光領域の上方を除いてエッチング除去され、長軸と短軸とを有する断面矩形の角柱状の光制御領域9が形成されている。そしてここで上部半導体多層反射膜7の最下層に挿入層としてのp型のAlAs層6が介在せしめられている。そしてこのp型のAlAs層6の露呈断面が選択酸化により角柱の内方に選択的に酸化せしめられ、酸化膜6sを形成している。そしてこの酸化膜6sで囲まれた角柱状の領域が電流通路10を構成する。ここでまたこのエッチング除去された領域は酸化シリコン膜からなる表面保護膜(図示せず)によって被覆保護されている。そして表面にはCr/Auからなるp側電極11が形成されるとともに、基板裏面にはAu−Ge/Auからなるn側電極12が形成されている。
【0018】
ここでn型下部半導体多層反射膜2は、n型Al0.9Ga0.1As層とn型Al0.3Ga0.7AsGaAs層とをそれぞれ膜厚λ/(4nr)(λ:発振波長,nr:屈折率)で約40.5周期積層することによって形成されたもので、シリコン濃度は2×1018cmー3である。下部スペーサ層3は、アンドープの Al0.6Ga0.4As層から構成され、また、量子井戸活性層4は、アンドープの Al0.11Ga0.89量子井戸層(膜厚8nm×3)とアンドープのAl0.3Ga0.7As障壁層(膜厚5nm×4)との組み合わせ、上部スペーサ層5はアンドープ Al0.6Ga0.4Asから構成されており、膜厚は全体でλ/nrの整数倍とする。p型のAlAs層6は膜厚λ/(4nr)で、カーボン濃度は3×1018cmー3である。また、上部半導体多層反射膜7は、p型Al0.9Ga0.1As層と p型Al0.7Ga0.3AsGaAs層とをそれぞれ 膜厚λ/(4nr)(λ:発振波長,nr:屈折率)で交互に30周期積層することによって形成されたもので、カーボン濃度は3×1018cmー3である。最後にp型コンタクト層8は膜厚5nmで、カーボン濃度は1×1020cmー3である。上部半導体多層反射膜7の周期数を下部半導体多層反射膜2の周期数よりも少なくしているのは、反射率に差をつけて出射光を基板上面から取り出すためである。ドーパントの種類についてはここで用いたものに限定されることなく、n型であればセレン、p型であれば亜鉛やマグネシウムなどを用いることも可能である。周期については光の取り出し方向を基板表面側、裏面側のいずれかに取るかで決定され、周期が増えるにつれて反射率は高くなる。さらにまた、選択酸化により高抵抗化する領域に囲まれた電流注入領域は短軸と長軸との比が5:6から1:6の矩形あるいは楕円形状とするのが望ましい。一方、この比が5:6を越えると偏波面は安定せず、1:6に満たないと横モードが安定化しない。
【0019】
また、AlAs層は選択酸化により電流通路10を規定したが、選択エッチングにより空隙を形成し電流通路10を規定するようにしてもよい。
【0020】
ここでは、発振波長λ:780nmのレーザ光を取り出すように設計した。
【0021】
この構成によれば、角柱状の光制御領域9の内部におけるキャリアの通過経路が、矩形若しくは楕円の極めて狭い領域に限定されるから、キャリアが量子井戸活性層4に効率よく注入され発振しきい値電流が大幅に低下し、同時に放射光の内短軸方向に発散する光が効果的に回折損失を受け、横モードが安定化されると共に出射光の偏波面が長軸方向に規定される。さらに角柱状の光制御領域9の径は利得を生じる領域のそれに比べてはるかに大きいので、放熱特性も十分であり、光出力が増大しても偏波面を安定に維持することができる。
【0022】
次に、この面発光型半導体レーザ装置の製造工程について説明する。
【0023】
まず、図2に示すように、有機金属気相成長(MOCVD)法により、n型ガリウムヒ素(GaAs)(100)基板1上に、n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜2と、アンドープのAl0.6Ga0.4Asからなる下部スペーサ層3と、アンドープのAl0.11Ga0.89量子井戸層とアンドープのAl0.3Ga0.7As障壁層とからなる量子井戸活性層4と、アンドープのAl0.6Ga0.4Asからなる上部スペーサ層5と、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜7と、p型GaAsコンタクト層8とを順次積層する。
そして基板を成長室から取出し、酸化シリコン膜あるいは窒化シリコン膜などの絶縁膜21を形成しフォトリソグラフィ技術により、図3に示すように、20μm×30μmの矩形のレジストマスク22を形成する。ここでこの矩形は短軸が<011>方向となるように合わせる。
【0024】
そしてさらに、図4に示すように、このレジストマスク22および絶縁膜21をマスクとして、 SiCl4ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、AlAs層6が露出せしめられる深さまで半導体層をエッチング除去して、光制御領域9となる角柱状のメサ構造部を形成する。
【0025】
続いてこの基板を、高温の水蒸気を充満させた石英管内で基板を400℃に加熱し、約10分間の熱処理を行うことにより露出したAlAs層6が外側断面から徐々に酸化され、酸化膜6sが形成され、図5に示すように、最終的には酸化されずに残った領域が4μm×6μm程度の矩形形状となる。なお、ここで熱処理による酸化に代えて、硫酸過酸化水素溶液(H2SO4:H22:H2O=1:1:5)柱に約30秒間浸すようにしても良く、これにより、AlAs層6はいわゆるサイドエッチングにより外側断面から選択的に除去される。
【0026】
この後メサ構造上面の絶縁膜21をバッファード弗酸により除去してから、フォトリソグラフィ技術により、図6に示すように、メサ構造上面には環状のp側電極11を形成し、基板裏面には全面にn側電極12を形成して、図1に示した本発明にかかる第1の実施例の面発光型半導体レーザ装置が完成する。
【0027】
なお、前記実施例では、上部スペーサ層5と上部半導体多層反射膜7との間にAlAs層6を介在させるようにしたが、下部スペーサ層3と下部半導体多層反射膜2との間にAlAs層6を介在させるようにしてもよく、また両方に介在させる様にしても良い。このように両側に設ける様にすれば、活性層の上下両方向で電流狭窄を行う事ができるため、活性領域へのより効率的な電流注入が可能となり、いっそうしきい値電流を低減することができる。ただこの場合は、下部スペーサ層3の下に位置するAlAs層6断面が露呈する深さまで半導体層をエッチング除去する必要がある。
【0028】
なお、前記実施例では各半導体層は有機金属気相成長法で形成したが、これに限定されることなく分子線エピタキシー(MBE)法などによっても良い。
【0029】
また、半導体柱形成のためのマスクとして用いる絶縁膜についても、酸化シリコン膜に限定されることなく窒化シリコン膜など他の材料を用いても良い。
【0030】
さらにまた、前記実施例ではAlAs層6を選択的に除去するためのエッチングに硫酸過酸化水素溶液を用いたがAl組成比に対するエッチングレートの選択性が高いものが望ましく、Al組成比が高くなるにつれてエッチングレートが急激に増大する硫酸過酸化水素水溶液は最適である。また他のエッチャントとしては水酸化アンモニウム過酸化水素水溶液などを用いても良い。
【0031】
さらにまた、前記実施例では電流通路をなす矩形若しくは楕円形状について、短軸が<011>方向となるようにしたが、これに限定されることなく、最終的な電流通路の形状が所望の形になればよく、例えば短軸が<01ー1>方向となるようにしても、あるいは<011>方向に対して任意の角度をなすように設定しても何等問題はない。ただし通常用いられる円形の活性領域を有する面発光レーザにおいては,TEモードの方向により規定される偏波面の方向が<01ー1>方向、あるいは<011>方向となる確率が高い事が知られているから、短軸方向を<01ー1>方向、あるいは<011>方向としておけばより効果的に偏波面を安定化させることができる。
【0032】
また、前記実施例ではAlAs層の選択酸化の際、加熱する温度を400℃とした場合について説明したが、これに限定されることなく、最終的な電流通路の大きさが所望の値となるよう制御できる条件であればよい。温度をあげると酸化速度が上昇し、短時間で所望の酸化領域を形成する事ができるが、400℃程度がもっとも制御しやすい温度であった。
【0033】
また、半導体柱形成のためのエッチングに際しては、ウエットエッチングの場合、上層と下層でエッチング液にさらされる時間が異なることから、半導体柱の底部に向かうにつれて面積が広がるいわゆるテーパ形状が形成され、直径の小さな半導体柱が作りにくいという問題があるが、ドライエッチングの場合、反応性イオンビームエッチング(RIBE)法や反応性イオンエッチング(RIE)法を用いれば、半導体柱の側壁が、垂直あるいはアンダーカット形状をとるようにすることもでき、直径の小さな半導体柱も容易に形成することができる。このときのエッチングガスとしては 、Cl2、BCl3、SiCl4 あるいはArとCl2の混合ガス等が用いられる。
【0034】
このようにして作製された面発光型半導体レーザ装置の動作は、以下に示すごとくである。
ここで、p型GaAsコンタクト層8およびp型上部半導体多層反射膜7は発光領域の上方を除いてエッチング除去され、かつ、挿入層6が外側から選択的に酸化されて酸化膜6Sとなり、p側電極から注入されたキャリアの通路はこの半導体柱である光制御領域9内において酸化膜6sで規定されている。そして、量子井戸層に注入されたキャリアは電子−正孔再結合により光を放出し、この光は上部と下部の半導体多層反射膜によって反射され、利得が損失を上回ったところでレーザ発振を生ずる。レーザ光は基板表面に設けられた電極の窓部から出射される。
【0035】
次に本発明の第2の実施例の面発光型半導体レーザ装置およびその製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
【0036】
前記第1の実施例では、p側電極11とn側電極12とは反対側の面に形成したが、同一面側に形成してもよく、これにより、駆動回路などと集積化するに適した構造であるといえる。この場合は、図7に示すように、下部半導体多層反射膜32が露呈せしめられる深さまで選択的に除去せしめられ角柱状の光制御領域39が形成されている。そしてその外側に所定の間隔を隔てて、環状をなすようにn側電極42が形成されている。
【0037】
すなわち、半絶縁性のガリウムヒ素(GaAs)基板31上に形成されたn型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜32と、アンドープのAl0.6Ga0.4Asからなる下部スペーサ層33と、この下部スペーサ層33上に形成されたアンドープのAl0.11Ga0.89量子井戸層とアンドープのAl0.3Ga0.7As障壁層とからなる量子井戸活性層34と、アンドープのAl0.6Ga0.4Asからなる上部スペーサ層35と、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜37と、p型GaAsコンタクト層38が順次積層せしめられ、上部スペーサ層35が露呈する深さまで、上部半導体多層反射膜37とp型GaAsコンタクト層38のみが発光領域の上方を除いてエッチング除去され、長軸と短軸とを有する断面矩形の角柱状の光制御領域39が形成されている。そしてここで上部半導体多層反射膜37の最下層に挿入層としてのp型のAlAs層36が介在せしめられている。そしてこのp型のAlAs層36の露呈断面が選択酸化により角柱の内方に選択的に酸化せしめられ、酸化膜36sを形成している。そしてこの酸化膜6sで囲まれた角柱状の領域が電流通路40を構成する。ここでまたこのエッチング除去された領域は酸化シリコン膜からなる表面保護膜(図示せず)によって被覆保護されている。そして角柱状の光制御領域39表面にはCr/Auからなるp側電極41が形成されるとともに、その外側表面には環状をなすようにAu−Ge/Auからなるn側電極42が形成されている。
【0038】
次に本発明の第3の実施例として、横方向電流注入型の半導体レーザに適用した例について説明する。
【0039】
図8に示すように、上部半導体多層反射膜57から上部スペーサ層55の一部の深さに到達するまで除去され角柱状の光制御領域59が形成されている。そして、上部半導体多層反射膜57と上部スペーサ層55との間にはAlAs層56が介在せしめられ、断面から選択的に酸化されて電流通路60を規定している。そして角柱状の光制御領域59の外側に所定の間隔を隔てて、環状をなすように上部スペーサ層55上にp側電極61が形成され、またn型ガリウムヒ素(GaAs)基板51の裏面側にn側電極62が形成されている。
【0040】
すなわち、n型のガリウムヒ素(GaAs)基板51上に形成されたn型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜52と、アンドープのAl0.6Ga0.4Asからなる下部スペーサ層53と、この下部スペーサ層53上に形成されたアンドープのAl0.11Ga0.89量子井戸層とアンドープのAl0.3Ga0.7As障壁層とからなる量子井戸活性層54と、アンドープの Al0.6Ga0.4Asからなる上部スペーサ層55と、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜57とが順次積層せしめられ、 上部スペーサ層55の一部の深さまで、上部半導体多層反射膜57と共に発光領域の上方を除いてエッチング除去され、長軸と短軸とを有する断面矩形の角柱状の光制御領域59が形成されている。そしてここで上部半導体多層反射膜57の最下層に挿入層としてのp型のAlAs層56が介在せしめられている。そしてこのp型のAlAs層56の露呈断面が選択酸化により角柱の内方に選択的に酸化せしめられ、酸化膜56sを形成している。そしてこの酸化膜56sで囲まれた角柱状の領域が電流通路60を構成する。そして角柱状の光制御領域59の外側表面には環状をなすようにCr/Auからなるp側電極61が形成されるとともに、基板の裏面側にはAu−Ge/Auからなるn側電極62が形成されている。
【0041】
この構造ではメサ構造部が電流通路となっていないため、素子抵抗を大幅に低減する事ができる。
【0042】
なお、前記実施例では上部半導体多層反射膜をp型とし、下部半導体多層反射膜をn型としたが、これに限定されることなく導電型を反対にすることも可能である。一般にp型層はn型層に比べバンド不連続に起因する素子抵抗の増大が懸念されるため、層数が増えることはレーザ特性を劣化させる要因となり好ましくない。前記実施例では出射光を基板上面から取り出す関係から、上部半導体多層反射膜の方が下部半導体多層反射膜に比べ層数が少ない。このため上部半導体多層反射膜の導電型をp型としたが、逆に出射光を基板裏面から取り出す場合には、層数の多い上部半導体多層反射膜の導電型をn型とするのが望ましい。別の観点からみれば、素子抵抗は面積に反比例するので、柱状に加工する上部半導体多層反射膜は素子抵抗を増大させる要因となる。従って同じ面積ならp型層よりも素子抵抗を小さくすることのできるn型層を上部半導体多層反射膜とすることは好ましいとも考えられる。光の取り出し方向や導電型による素子抵抗の違いを勘案しながら、総合的な見地から導電型を決める必要がある。
【0043】
なお、前記実施例では、量子井戸活性層を構成する材料としてGaAs/AlGaAs系半導体を用いたが、これに限定されることなく、例えば量子井戸活性層にGaAs/InGaAs系あるいは、InP/InGaAsP系半導体を用いることも可能である。これらの量子井戸層からの発光波長はGaAs基板に対して透過であるから、この場合基板裏面から出射光を取り出すのが容易であリ、プロセス上の手間を省く事ができる。
さらに、前記実施例では矩形のものについて説明したが図9に示すように楕円形の光制御領域9及び電流通路10を形成してもよい。また、矩形が若しくは楕円形状の短軸対長軸の比率を2:3とする場合について述べたが、これに限定されることなく、5:6から1:6程度の範囲で選択可能である。ただし偏波面の制御のためには横モードの安定化が必須の条件であることから、最終的に形成冴える電流通路の大きさが所定の大きさになるように設定する必要がある。一般に面発光レーザの横モードは出射口での径が10μm以下の場合、0次基本モードで安定化するとされているから、長軸の長さは少なくとも10μm以下、望ましくは、6μm程度に設定する。比率をあげると偏波面の安定化には寄与するものの取り出せる光出力は減少するため、適切な値に設定する必要がある。
【0044】
また、矩形や楕円形に限らず、長軸と短軸を有する2回対称形状、例えば長円形などでも適用可能である。
【0045】
なお、本発明の構成要件を満足する範囲内で他の方法によっても実現可能であることはいうまでもない。例えば実施例では電流経路を光出射側に設けたが、その反対側に設けても、反射率に変化を与える事ができるので同様の効果を得る事が可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、活性層近傍に、局所的に楕円または矩形所の光の反射率の異なる領域を設けるようにしているため、出射光の偏波面をその長軸方向に安定化させることが出来、これらの素子を同一基板上に集積化した際、すべての素子の偏波面をばらつきなく一方向に揃える事ができる。また注入電流を増加しても、光透過領域の形に比べてメサ構造部の径を十分に大きくする事ができるため発熱を抑制し、広い出力範囲にわたって光出力特性を劣化させることなく偏波面を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の面発光型半導体レーザ装置を示す図
【図2】同半導体レーザ装置の製造工程図
【図3】同半導体レーザ装置の製造工程図
【図4】同半導体レーザ装置の製造工程図
【図5】同半導体レーザ装置の製造工程図
【図6】同半導体レーザ装置の製造工程図
【図7】本発明の第2の実施例の面発光型半導体レーザ装置を示す図
【図8】本発明の第3の実施例の面発光型半導体レーザ装置を示す図
【図9】本発明の第1の実施例の変形例を示す上面説明図
【図10】従来例の半導体レーザ装置を示す図
【図11】従来例の半導体レーザ装置を示す図
【符号の説明】
1 n型ガリウムひ素(GaAs)基板
2 n型下部半導体多層反射膜
3 n型下部スペーサ層
4 量子井戸活性層
5 p型上部スぺーサ層
6 P型AlAs層
7 p型上部半導体多層反射膜
8 p型GaAsコンタクト層
9 光制御領域
10 電流通路
11 p側電極
12 n側電極
13a 長軸側電流通路断面
13b 短軸側電流通路断面
21 絶縁膜
22 フォトレジスト
31 半絶縁性ガリウムひ素(GaAs)基板
32 n型下部半導体多層反射膜
33 n型下部スペーサ層
34 量子井戸活性層
35 p型上部スぺーサ層
36 P型AlAs層
37 p型上部半導体多層反射膜
38 p型GaAsコンタクト層
39 光制御領域
40 電流通路
41 p側電極
42 n側電極
43a 長軸側電流通路断面
43b 短軸側電流通路断面
51 n型ガリウムひ素(GaAs)基板
52 n型下部半導体多層反射膜
53 n型下部スペーサ層
54 量子井戸活性層
55 p型上部スぺーサ層
56 P型AlAs層
57 p型上部半導体多層反射膜
58 p型GaAsコンタクト層
59 光制御領域
60 電流通路
61 p側電極
62 n側電極
63a 長軸側電流通路断面
63b 短軸側電流通路断面

Claims (8)

  1. 半導体基板上で活性層が上部及び下部の半導体多層反射膜により挟まれ、少なくとも前記上部半導体多層反射膜が選択的に除去せしめられて半導体柱を構成し、基板と垂直方向に光を放出する面発光型半導体レーザ装置において、
    前記下部半導体多層反射膜と前記活性層との間に設けられた下部スペーサ層と、
    前記上部半導体多層反射膜と前記活性層との間に設けられた上部スペーサ層と、
    前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間、及び前記上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間の少なくとも一方に設けられた挿入層と
    を具備し、
    前記挿入層の周辺部は、酸化物を含む層若しくは空隙を有し、
    前記周辺部以外の前記挿入層の領域が電流通路と規定され、
    前記周辺部以外の前記挿入層の領域は、前記半導体基板に垂直な方向からみた断面形状が長軸と短軸とを有すると共に、断面径が前記半導体柱の断面径よりも小である
    ことを特徴とする面発光型半導体レーザ装置。
  2. 前記半導体柱の頂部に設けられた第1の電極と、
    前記上部半導体多層反射膜が除去された領域に設けられた第2の電極と
    をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の面発光型半導体レーザ装置。
  3. 前記半導体基板の裏面に設けられた第1の電極と、
    前記上部半導体多層反射膜が除去された領域に設けられた第2の電極と
    をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の面発光型半導体レーザ装置。
  4. 半導体基板上に下部半導体多層反射膜と、下部スペーサ層と、活性層と、上部スペーサ層と、上部多半導体多層反射膜とを順次積層すると共に、
    前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間及び上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間の一方に挿入層を介在させるように積層する積層工程と、
    前記挿入層を断面に露呈せしめるように、少なくとも前記上部半導体多層反射膜の一部を選択的に除去し長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる半導体柱を形成する工程と、
    前記半導体柱の断面から露呈する挿入層を選択的にエッチング除去し、長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる領域を残して、電流通路を規定する領域を形成するエッチング工程と
    を含むことを特徴とする面発光型半導体レーザ装置の製造方法。
  5. 半導体基板上に下部半導体多層反射膜と、下部スぺーサ層と、活性層と、上部スペーサ層と、上部多半導体多層反射膜とを順次積層すると共に、
    前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間及び上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間の一方に挿入層を介在させるように積層する積層工程と、
    前記挿入層を断面に露呈せしめるように、少なくとも前記上部半導体多層反射膜の一部を選択的に除去し長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる半導体柱を形成する工程と、
    前記半導体柱の断面から露呈する挿入層を選択的に酸化し、長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる領域を残して、電流通路を規定する領域を形成する酸化工程と
    を含むことを特徴とする面発光型半導体レーザ装置の製造方法。
  6. 半導体基板上に下部半導体多層反射膜と、下部スぺーサ層と、活性層と、上部スペーサ層と、上部多半導体多層反射膜とを順次積層すると共に、
    前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間、および上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間に挿入層を介在させるように積層する積層工程と、
    前記挿入層を共に断面に露呈せしめるように、少なくとも前記下部半導体多層反射膜表面まで前記各層を上方から順次選択的に除去し長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる半導体柱を形成する工程と、
    前記半導体柱の断面から露呈する挿入層を選択的にエッチング除去し、長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる領域を残して、電流通路を規定する領域を形成するエッチング工程と
    を含むことを特徴とする面発光型半導体レーザ装置の製造方法。
  7. 半導体基板上に下部半導体多層反射膜と、下部スぺーサ層と、活性層と、上部スペーサ層と、上部多半導体多層反射膜とを順次積層すると共に、
    前記下部スペーサ層と前記下部半導体多層反射膜との間、および上部スペーサ層と前記上部半導体多層反射膜との間に挿入層を介在させるように積層する積層工程と、
    前記挿入層を共に断面に露呈せしめるように、少なくとも前記下部半導体多層反射膜表面まで前記各層を上方から順次選択的に除去し長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる半導体柱を形成する工程と、
    前記半導体柱の断面から露呈する挿入層を選択的に酸化し、長軸と短軸とを有する2回対称形状を有してなる領域を残して、電流通路を規定する領域を形成する酸化工程と
    を含むことを特徴とする面発光型半導体レーザ装置の製造方法。
  8. 前記挿入層は、アルミニウム砒素層若しくはアルミニウムガリウム砒素層からなることを特徴とする請求項4乃至7記載の面発光型半導体レーザ装置の製造方法。
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