JP3815565B2 - 刺繍ミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は刺繍ミシンに関し、特に複数の刺繍枠が装着可能な刺繍ミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、加工布の大きさや縫製領域の大きさに応じて複数の刺繍枠を装着可能なミシンが提供されている。複数種の刺繍枠を装着可能なミシンにおいては、縫製領域の原点を決定したり、縫製領域を検出するために、装着された刺繍枠の種類を検出する必要がある。例えば、特許文献1には、刺繍枠を装着可能なミシンであって、アーム部の先端部から下方に延び、下端部に可倒式レバーを有し、左右に揺動可能な揺動腕を備えたミシンが開示されている。このミシンでは、可倒式レバーの下端部に設けられた当接部が、ミシンに装着された刺繍枠内に位置する状態で、刺繍枠をX軸の正方向及び負方向に移動させ、その当接部を刺繍枠前部及び刺繍枠後部の2箇所に当接させ、その当接した2箇所の位置から装着された刺繍枠のサイズを検出している。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−319880号公報(2頁, 3頁、全図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1のミシンにおいては、刺繍枠を装着した後、その刺繍枠をX方向の正負2方向に駆動させて刺繍枠の種類を検出しているため、刺繍枠の種類を検出するのに非常に時間がかかる。また、刺繍枠の種類を誤って装着した場合においては、刺繍枠が装着されて種類が検出された後にエラーメッセージなどにより警告されるので、その間違えた刺繍枠を外し、再度、加工布を正しい刺繍枠に装着し、その正しい刺繍枠をミシンに再び装着する必要があり、非常に無駄な労力と時間を必要とする。
【0005】
本発明の目的は、刺繍枠の種類を検知するための刺繍枠種類検知手段がキャリッジ若しくは枠ホルダーに設られた刺繍ミシンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の刺繍ミシンは、交差する2方向へ独立に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに固定された枠ホルダーとを備え、この枠ホルダーに複数種の刺繍枠を択一的に且つ着脱可能に装着するようにした刺繍ミシンであって、前記枠ホルダーは、ホルダー本体と、前記複数種の刺繍枠に対応してホルダー本体との相対位置を複数位置に位置可変に且つホルダー本体に対して固定可能な可動ホルダーとを備え、複数種の刺繍枠に対応する複数の被検出部を有する被検出体と、枠ホルダーに装着される刺繍枠に対応する被検出体の被検出部を検出する検出器とを備えた刺繍枠種類検知手段を有し、前記被検出体は可動ホルダーに装着され、前記検出器はホルダー本体かキャリッジの何れか一方に装着されたものである。
【0007】
この刺繍ミシンによれば、所望の刺繍枠を刺繍ミシンの枠ホルダーに装着するために、装着される刺繍枠に対応した位置に可動ホルダーを切換えると、可動ホルダーに装着された被検出体も共に移動するため、ホルダー本体かキャリッジの何れか一方に装着された検出器が、被検出体に形成された複数の被検出部のうち、装着される刺繍枠に対応する被検出部を検出する。
【0008】
請求項2に記載の刺繍ミシンは、交差する2方向へ独立に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに固定された枠ホルダーとを備え、この枠ホルダーに複数種の刺繍枠を択一的に且つ着脱可能に装着するようにした刺繍ミシンであって、前記枠ホルダーは、ホルダー本体と、前記複数種の刺繍枠に対応してホルダー本体との相対位置を複数位置に位置可変に且つホルダー本体に対して固定可能な可動ホルダーとを備え、複数種の刺繍枠に対応する複数の被検出部を有する被検出体と、枠ホルダーに装着される刺繍枠に対応する被検出体の被検出部を検出する検出器とを備えた刺繍枠種類検知手段を有し、前記被検出体はホルダー本体かキャリッジの何れか一方に装着され、前記検出器は可動ホルダーに装着されたものである。
【0009】
この刺繍ミシンによれば、所望の刺繍枠を刺繍ミシンの枠ホルダーに装着するために、装着される刺繍枠に対応した位置に可動ホルダーを切換えると、可動ホルダーに装着された検出器も共に移動し、その移動した検出器が、ホルダー本体かキャリッジの何れか一方に装着された被検出体に形成された複数の検出部のうち、装着される刺繍枠に対応する被検出部を検出する。
【0010】
請求項3に記載の刺繍ミシンは、請求項1又は2に記載の刺繍ミシンにおいて、前記ホルダー本体は、キャリッジに固定されているものである。この刺繍ミシンによれば、可動ホルダーの位置のみを切換えて、枠ホルダーに所望の刺繍枠を装着可能にする。
【0011】
請求項4に記載の刺繍ミシンは、請求項1〜3の何れかの刺繍ミシンにおいて、前記検出器は、被検出部に接触する検出子を有する回転型ポテンショメータからなるものである。この刺繍ミシンによれば、被検出体の被検出部に対応して検出器の検出子が回転し、回転型ポテンショメータに内蔵された可変抵抗の抵抗値を変化させて、刺繍枠の種類を検知する。
【0012】
請求項5に記載の刺繍ミシンは、請求項1〜4の何れかに記載の刺繍ミシンにおいて、前記被検出体は、可動ホルダーの移動方向に直列的に配置された高さ又は幅寸法の異なる複数の被検出部を有するものである。この刺繍ミシンによれば、可動ホルダーの移動に伴い、被検出部が形成された被検出体も移動して、その移動方向に直列的に配置された高さ又は幅寸法の異なる複数の被検出部のうち、装着される刺繍枠に対応する被検出部が検出器により検出される。
【0013】
請求項6に記載の刺繍ミシンは、請求項1〜4の何れかに記載の刺繍ミシンにおいて、前記被検出体は、可動ホルダーの移動方向に向かって高さ又は幅寸法がテーパ状に変化するテーパ部材のテーパ面に形成された複数の被検出部を有するものである。この刺繍ミシンによれば、可動ホルダーの移動に伴い、被検出部が形成された被検出体も移動して、可動ホルダーの移動方向に向かって高さ又は幅寸法がテーパ状に変化するテーパ部材のテーパ面に形成された複数の被検出部のうち、装着される刺繍枠に対応する被検出部が検出器により検出される。
【0014】
請求項7に記載の刺繍ミシンは、請求項1〜6の何れかに記載の刺繍ミシンにおいて、前記枠ホルダーのホルダー本体に可動ホルダーをスライド可能に案内する案内機構と、ホルダー本体に可動ホルダーを固定解除可能に固定する固定機構とを設けたものである。この刺繍ミシンによれば、案内機構により装着する刺繍枠に対応した位置に可動ホルダーをホルダー本体に対してスライドさせ、その位置に固定機構により可動ホルダーを固定解除可能に固定する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態は、6種類の刺繍糸で刺繍縫製可能な多針式の刺繍ミシンであって、5種類の刺繍枠を装着可能な刺繍ミシンに本発明を適用した一例である。尚、図1に矢印で示す方向を作業者が位置する前方(Y方向)とし、作業者からみて左右方向を左右方向(X方向)とする。
【0016】
まず、多針式の刺繍ミシンMについて説明する。図1に示すように、多針式の刺繍ミシンMは、前後方向に延びるアーム部1と、このアーム部1の下側にアーム部1と略平行に設けられたシリンダベッド2と、シリンダベッド2と一体的に構成され且つシリンダベッド2の左右両側に所定間隔空けて位置し刺繍ミシンMを支持する1対の支持台3と、その支持台3の後端部からアーム部1の後端部に架けて立設する脚柱部4と、1対の支持台3に左右両端部を移動可能に支持され交差する2方向へと独立に移動可能なキャリッジ5と、アーム部1の先端部に左右方向に移動可能に装着された針棒ケース6と、キャリッジ5に固定され5種類の刺繍枠7, 7A(一部図示略)が択一的に且つ着脱可能に装着される枠ホルダー8と、刺繍枠7, 7Aの種類を検知するための刺繍枠種類検知手段9と、刺繍模様のイメージデータなどを表示可能なディスプレイ10を備え図1に示す収納位置からディスプレイ10が前方に向いた使用位置へ位置切換え可能な操作パネル11と、刺繍ミシンMの制御全般を司る制御ユニット100などを有する。
【0017】
針棒ケース6には、下端部に縫針13(一本のみ図示)が装着された6本の針棒を有する針棒選択機構(図示略)が設けられており、針棒選択機構により針棒ケース6が左右に移動し、6本の針棒のうち1本の針棒が選択され、その選択された針棒には、脚柱部4に設けられたミシンモータ107(図9参照)の駆動力がアーム部1に設けられた針棒上下駆動機構(図示略)等を介して伝達されて、縫針13と共に上下動する。各縫針13には、アーム部1の後半部に設置された糸立装置16に載置された6個の糸駒(図示略)から糸調子器14や天秤15等を経由して上糸が供給され、ミシンモータ107により回転駆動するシリンダベッド2の糸輪捕捉器(図示略)との協動により、キャリッジ5に固定された枠ホルダー8に装着された刺繍枠7, 7Aに保持されている加工布に刺繍模様が縫製される。尚、糸立装置16は、図1に示す収納位置から、後方に開いたV字形状に位置切換え可能に構成されている。
【0018】
次に、枠ホルダー8が固定されるキャリッジ5について説明する。図2〜図7に示すように、キャリッジ5は、Y方向駆動力伝達機構(図示略)を介して伝達されるY方向駆動モータ110(図9参照)の駆動力によりY方向に移動するY方向キャリッジ20と、X方向駆動モータ24の駆動力によりY方向キャリッジ20が移動するY方向に対して交差するX方向に相対移動可能なX方向キャリッジ21であって枠ホルダー8が装着されるX方向キャリッジ21で構成されている。
【0019】
Y方向キャリッジ20の左右端部には、左右の支持台3のガイド溝22(一方のみ図示)に挿通された1対の脚部材23(一方のみ図示)が装着され、Y方向駆動モータ110の駆動力がY方向駆動力伝達機構や脚部材23を介してY方向キャリッジ20に伝達され、Y方向キャリッジ20は、刺繍枠7が装着された枠ホルダー8をX方向キャリッジ21と共にY方向に移動させる。
【0020】
図2に示すように、X方向キャリッジ21には、Y方向キャリッジ20の左端部に設けられたX方向駆動モータ24の出力軸25とY方向キャリッジ20の右端部に設けられた軸部材26とに亙って装着されたタイミングベルト27が1対の連結ピン29により2箇所で連結されている。X方向駆動モータ24の駆動力は、タイミングベルト27を介してX方向キャリッジ21に伝達し、その駆動力により、X方向キャリッジ21は、Y方向キャリッジ20に形成されたガイド溝30に係合された1対の係合部材31がガイド溝30にガイドされつつ、Y方向キャリッジ20に対してX方向に相対移動する。
【0021】
次に、5つの刺繍枠7, 7Aが装着可能な枠ホルダー8について説明する。図2〜図6に示すように、枠ホルダー8は、X方向キャリッジ21の連結部材32に固定されたホルダー本体35と、5種類の刺繍枠7, 7Aに対応して5箇所の位置にホルダー本体35との相対位置を位置可変に且つホルダー本体35に対して固定可能な可動ホルダー36と、ホルダー本体35の下面に装着されホルダー本体35を可動ホルダー36と共に挟持する補助プレート37と、ホルダー本体35に対して可動ホルダー36をスライド可能に案内する案内機構38と、ホルダー本体35に可動ホルダー36を固定解除可能に固定する固定機構39と、可動ホルダー36を位置決めするための位置決め機構40等を有する。
【0022】
ホルダー本体35は、前端部が下方に屈曲した平面視略矩形板状で枠ホルダー8の左端部から右端部の略全幅に亙って形成された本体部41と、可動ホルダー36に対向するように本体部41の右端部から前方に延びるように設けられた右腕部42とを有する。本体部41は、X方向キャリッジ21に固定された連結部材32の上面に2本のビス43, 44で固定されている。右腕部42の先端部には、刺繍枠7の係合溝95に係合する係合ピン45が立設され、その後方には前方から刺繍枠7の腕部93, 94が嵌入されて、その腕部93, 94を挟持可能な板バネ46が装着されている。
【0023】
可動ホルダー36は、ホルダー本体35の本体部41の上面部に連結された連結部50と、連結部50に一体形成され連結部50の左端部から前方に延びる左腕部51と、連結部50の中央部から右端部にかけて立設する立設部52と、立設部52の上端部から後方に延び被検出体80が装着される装着部53とを有する。左腕部51には、右腕部42の係合ピン45と対向する位置に刺繍枠7の係合孔96に係合する係合ピン54が立設され、その後方に刺繍枠7の腕部93, 94を挟持する板バネ55が装着されている。
【0024】
図6に示すように、補助プレート37は、矩形板状に形成され、補助プレート37の左右両端部には、固定機構39のネジ部65a, 66aを螺合するための1対のネジ孔67, 68と、そのネジ孔67, 68の内側には、案内機構38の案内ピン61a, 61bが形成され、後述する固定機構39によりホルダー本体35を可動ホルダー36と共に挟持する。
【0025】
案内機構38は、ホルダー本体35の本体部41の左端部から中央部にかけて形成された第1案内溝60と、補助プレート37に立設され第1案内溝60に係合する1対の案内ピン61a, 61bと、可動ホルダー36の連結部50の中央部から右端部に形成された第2案内溝62と、第2案内溝62とホルダー本体35のピン孔43aを挿通し連結部材32のネジ孔(図示略)に螺合するビス43と、案内ピン61a, 61bを嵌合するために可動ホルダー36の左端部に形成された1対のピン穴63a, 63bで構成されている。案内機構38は、可動ホルダー36がホルダー本体35に対して左右方向に相対移動する場合に、ピン穴63a, 63bに嵌合された案内ピン61a, 61bを第1案内溝60が案内すると共に、ビス43を第2案内溝62が案内することで、可動ホルダー36を左右方向に案内する。
【0026】
固定機構39は、下端部にネジ部65a, 66aが形成された1対の固定ツマミ65, 66と、ネジ部65a, 66aを螺合するための1対のネジ孔67, 68が形成された補助プレート37などで構成されている。固定ツマミ65, 66のネジ部65a, 66aを、可動ホルダー36に形成されたピン穴69a, 69bとホルダー本体35の第1案内溝60に挿通させて、ネジ孔67, 68に螺合させる。固定ツマミ65, 66が、図2, 図3の実線で示す位置にあるときは、固定ツマミ65, 66と補助プレート37とで可動ホルダー36とホルダー本体35を挟持することで、可動ホルダー36をホルダー本体35に対して相対移動不能に固定し、一方、固定ツマミ65, 66を平面視にて時計方向に回動させて、図2, 図3に鎖線で示す位置に切換えると、ネジ部65a, 66aとネジ孔67, 68との螺合が緩み、補助プレート37が下方に移動し、固定ツマミ65, 66と補助プレート37との挟持によるホルダー本体35と可動ホルダー36の固定が解除され、補助プレート37と共に可動ホルダー36がホルダー本体35に対して左右方向の相対移動が可能になる。
【0027】
位置決め機構40は、可動ホルダー36にビス72で固定された位置決め部材71と、可動ホルダー36に形成された挿通穴73と、ホルダー本体35に形成された5個の位置決め孔74a〜74eで構成されている。位置決め部材71は前端部が可動ホルダー36に固定された板バネ部71aと、その板バネ部71aの後端部に設けられ下方に突出した半球状の係合凸部71bとを有し、係合凸部71bを挿通穴73を挿通させて位置決め孔74a〜74eの何れかに係合させることで、5つの刺繍枠7, 7Aの何れかを保持可能な位置に可動ホルダー36が位置決めされる。
【0028】
例えば、図2, 図3に示すように、係合凸部71bが位置決め孔74aに嵌合し、枠ホルダー8が一番大きな刺繍枠7を装着可能な状態から、固定機構39による可動ホルダー36の固定を解除し、案内機構38により左右方向に可動ホルダー36を案内しつつ、係合凸部71bが位置決め孔74cに嵌合可能な位置まで可動ホルダー36を右方に移動させて、再度、固定機構39により可動ホルダー36を固定すると、図4に示すように、枠ホルダー8は三番目に大きな刺繍枠7Aを装着可能な状態になる。
【0029】
次に、5種類の刺繍枠7, 7Aを検出するための刺繍枠種類検知手段9について説明する。図3, 図5, 図7に示すように、刺繍枠種類検知手段9は、可動ホルダー36の装着部53に装着された合成樹脂製の被検出体80と、X方向キャリッジ21の連結部材32に付設され且つ枠ホルダー8に装着された刺繍枠7, 7Aに対応する被検出体80の被検出部82a〜82eを検出する検出器83とを備えている。
【0030】
図8( a) 〜図8( e) に示すように、被検出体80は、可動ホルダー36の移動方向に直列的に配置され、5種類の刺繍枠7, 7Aに対応して右方から左方へと高くなる5つの被検出部82a〜82eが形成されている。隣接する被検出部82a〜82eの中央部の間隔は、位置決め機構40の位置決め孔74a〜74eの間隔と略同じ間隔に形成されている。
【0031】
検出器83は、回転型ポテンショメータであって、前方に突出し、被検出体80の被検出部82a〜82eに接触する検出子84を有し、検出器83の上端部には配線87が接続されている。検出子84は、検出器83に内蔵された巻バネにより正面視にて軸部85の周りを時計回りに付勢されている。この検出器83は、軸部85の周りを検出子84が回動することで、検出器83に内蔵された可変抵抗の抵抗値が変化し、その抵抗値の変化若しくはその抵抗値の変化に伴う電流値の変化を信号として送信するものである。尚、連結部材32には、前方に延びるストッパー86が設けられ、検出子84が被検出部82a〜82eとの接触を外れて、巻バネにより更に時計周りに付勢されても、一定角度回転した位置で停止される。
【0032】
次に、図8(a)〜図8(e)を参照しつつ、刺繍枠種類検知手段9による刺繍枠7, 7Aの種類の検出方法について説明する。可動ホルダー36が左右方向に移動されると、可動ホルダー36に装着された被検出体80も移動するため、被検出体80に形成された被検出部82a〜82eに接触している検出器83の検出子84が軸部85の周りを回動し、可動ホルダー36を位置決め機構40により所望の位置に位置決めすると、その可動ホルダー36の位置に対応した被検出部82a〜82eに検出器83の検出子84が接触するので、枠ホルダー8に装着される刺繍枠7, 7Aの種類を検出可能になる。
【0033】
例えば、図2に示すように一番大きな刺繍枠7を取り付けるために、位置決め孔74aに係合凸部71bを係合させて、可動ホルダー36を固定すると、図8( a) に示すように、検出子84は、被検出部82aに接触した状態になり、装着される刺繍枠7を検出可能になる。また、図4に示すように三番目に大きな刺繍枠7Aを装着するために、位置決め孔74cに係合凸部71bを係合させて、可動ホルダー36を固定すると、図8( c) に示すように、検出子84は、被検出部82cに接触した状態になり、装着される刺繍枠7Aが検出可能になる。
【0034】
他の刺繍枠を装着する場合にも同様に、係合凸部71bを位置決め孔74bに係合した状態では、図8( b) に示すように、検出子84が被検出部82bに接触した状態になり、係合凸部71bを位置決め孔74dに係合した状態では、図8( d) に示すように、検出子84が被検出部82dに接触した状態になり、係合凸部71bを位置決め孔74eに係合した状態では、図8( e) に示すように検出子84が被検出部82eに接触した状態になり、夫々装着される刺繍枠が検出可能になる。
【0035】
次に、刺繍枠7について説明する。図2に示すように、刺繍枠7は、内側に縫製領域90が形成された刺繍枠本体91と、その刺繍枠本体91の外側に外嵌され加工布を刺繍枠本体91と共に挟持する外枠92と、刺繍枠本体91の両端部に固定された1対の腕部93, 94とを有する。腕部93, 94は共に同じ構造をしており、各腕部93, 94には、ホルダー本体35の右腕部42の係合ピン45が係合する係合溝95と、左腕部51の係合ピン54が係合する係合孔96が形成されている。刺繍枠7Aの構造は、刺繍枠7と大きさが異なる以外は略同様の構成のため説明を省略する。
【0036】
刺繍枠7を枠ホルダー8に装着する場合には、刺繍枠7の前方をやや上方に傾けた状態にし、刺繍枠7の両腕部93, 94を前方から板バネ46, 55と右腕部42, 左腕部51との間に嵌入し、所定長さ嵌入したら、刺繍枠7を水平にし、左腕部51の係合ピン54を腕部93の係合孔96に、右腕部42の係合ピン45を腕部94の係合溝95に、夫々係合させる。尚、刺繍枠7の腕部93, 94が同一構造のため、刺繍枠7の左右を逆にして、枠ホルダー8に装着することも可能である。
【0037】
次に、コンピュータ101を有し刺繍ミシンMの制御全般を司る制御ユニット100について、図9のブロック図に基づいて説明する。制御ユニット100には、CPU102とROM103とRAM104とこれらを接続するバス105などを含むコンピュータ101と、操作パネル11などが接続されてコンピュータ101に入出力するための入出力インターフェース106と、その入出力インターフェース106に接続されたミシンモータ107の駆動回路108と、X方向駆動モータ24のための駆動回路109、Y方向駆動モータ110のための駆動回路111などを有する。ROM103には、刺繍枠7, 7Aの種類を判別するための刺繍枠種類判別プログラムなどが読出し可能に記録されている。RAM104には、検出器83から読み込んだ電流値などの各種データが格納される。
【0038】
次に、制御ユニット100が、検出器83の信号により装着される刺繍枠7, 7Aの種類を判別する刺繍枠種類判別プログラムについて説明する。所望の刺繍枠7, 7Aを装着するために、可動ホルダー36を位置決め機構40により所定の位置に位置決めすると、所望の刺繍枠7, 7Aに対応した被検出体80の被検出部82a〜82eの何れかに接触した位置で保持された検出子84の回転角度に応じて検出器83の可変抵抗が所定の抵抗値を示している状態で、検出器83に所定の電圧を付加すると、その抵抗値に応じた電流が流れ、その電流を制御ユニット100が信号として読み込み、その電流により装着される刺繍枠7, 7Aを判別する。例えば、図2に示すように、係合凸部71bが位置決め孔74aに係合している状態では、制御ユニット100に電流値I1が読み込まれ、図4に示すように、係合凸部71bが位置決め孔74cに係合している状態では、制御ユニット100に電流値I3が読み込まれる。
【0039】
即ち、所望の刺繍枠7, 7Aを装着するために移動された可動ホルダー36の位置に対応して、検出子84が所定角度回転して被検出部82a〜82eの何れかに接触することで、検出器83の可変抵抗が変化し、被検出部82a〜82eに対応した電流値I1〜I5の何れかが検出器83には流れ、制御ユニット100がその電流値I1〜I5を読み込む。制御ユニット100は、その検出器83から読み込んだ電流値I1〜I5に基づいて刺繍枠7, 7A等の種類を判別する。刺繍枠7, 7Aを判別した制御ユニット100は、その装着される刺繍枠7, 7Aが、作業者が選択したイメージデータなどに対応していない場合には、操作パネル11のディスプレイ10に警告メッセージを表示したり、警告音を発して、作業者に刺繍枠7, 7Aが適当でないことを伝える。
【0040】
次に、以上説明した刺繍ミシンMの作用及び効果について説明する。可動ホルダー36を移動させて、位置決め機構40により所望の刺繍枠7, 7Aに対応した位置に可動ホルダー36を位置決めすることで、刺繍枠種類検知手段9の検出器83の検出子84が被検出体80の5つの被検出部82a〜82eのうち装着される刺繍枠7, 7Aに対応した被検出部82a〜82eを検出して、装着される刺繍枠7, 7Aが検出可能に構成されているので、刺繍枠7, 7Aの種類を検出する時間を大幅に短縮することができる。刺繍枠7, 7Aを装着しなくても、装着される刺繍枠7, 7Aの種類を検出可能なため、刺繍枠7, 7Aを装着する前に警告を発することができ、誤った刺繍枠7, 7Aを装着することがなくなり、正しい刺繍枠7, 7Aを再度枠ホルダー8に装着する時間や、正しい刺繍枠7, 7Aに再度加工布を装着する時間を省くことができる。
【0041】
枠ホルダー8は、可動ホルダー36だけを移動させて位置切換えすることで、全ての刺繍枠7, 7Aに対応可能に構成されているので、刺繍枠7, 7Aを装着するための作業を簡単化することができる。キャリッジ5に検出器83が固定されているため、刺繍ミシンMの構成部材に配線87が絡まることもなく、検出器83の配線87の接続を簡単化することができる。検出器83に安価な回転型ポテンショメータを用いることで、刺繍ミシンMの製造コストを削減することができる。被検出体80を被検出部82a〜82eが形成されただけの簡単な構造にすることができる。案内機構38, 固定機構39を備えているため、可動ホルダー36の位置切換えを簡単化することができる。
【0042】
次に、前記実施の形態を部分的に変更した変更の形態について説明する。
【0043】
1)被検出体80の被検出部82a〜82eが前後方向に向くように、被検出体80を装着してもよい。このように被検出体80を装着する場合には、検出器83の検出子84もその被検出部82a〜82eに接触可能に装着し、被検出体80の幅の違いを検出器83により検出し、刺繍枠の種類を検出する。
【0044】
2)図10に示すように、被検出体80の被検出部82a〜82eの段差をなくし、被検出体80Aをテーパ状に変化するテーパ部材に構成し、そのテーパ面に複数の被検出部81を形成してもよい。このように被検出体80を形成した場合には、夫々の刺繍枠に対応した電流値の閾値を設定し、その閾値により、検出器83に流れる電流から刺繍枠7, 7Aの種類を検出する。このように被検出体80Aを構成する場合にも、検出器83により検出可能ならば、被検出部81を上下左右方向の何れに向けてもよい。
【0045】
3)平面状の刺繍枠7, 7Aのみならず、帽子の周りに刺繍縫製可能な帽子枠を装着可能に構成し、このように構成した場合、その帽子枠をもポテンショメータなどの検出器で検出可能に構成することが望ましい。
【0046】
4)上述の実施の形態は、多針式の刺繍ミシンMに本発明を適用したが、単針式の刺繍ミシンなど複数種の刺繍枠を装着可能な刺繍ミシンならばよく、特に刺繍ミシンの形式を限定するものではない。
【0047】
5)上述の実施の形態においては、可動ホルダー36を作業者が手動で位置切換えする刺繍ミシンMに本発明を適用したが、作業者が操作パネルで選択したイメージデータなどに基づいて、可動ホルダーを自動で位置を切換えることができる刺繍ミシンに本発明を適用してもよい。
【0048】
6)上述の実施の形態においては、ホルダー本体35をキャリッジ5(X方向キャリッジ21)に対して固定しているが、可動ホルダーと同様にホルダー本体をもキャリッジに対して移動可能に構成してもよい。即ち、左腕部51と右腕部42との両方をそれぞれ別々の可動ホルダーに取り付けて、両方の可動ホルダーを左右に移動可能に構成してもよい。
【0049】
7)上述の実施の形態においては、検出器83をキャリッジ5(X方向キャリッジ21)に装着しているが、被検出体の被検出部を検出可能ならば、ホルダー本体に装着してもよい。
【0050】
8)上述の実施の形態においては、被検出体80を可動ホルダー36に装着し、検出器83をキャリッジ5に装着したが、被検出体をキャリッジ若しくはホルダー本体に装着し、検出器を可動ホルダーに装着してもよい。
【0051】
本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施の形態に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
【0052】
【発明の効果】
請求項1に記載の刺繍ミシンにおいては、所望の刺繍枠に対応した位置に可動ホルダーを切換えるだけで、刺繍枠種類検知手段が装着される刺繍枠を検知可能に構成されているので、刺繍枠の種類を検知する時間を大幅に短縮することができる。誤った刺繍枠を装着する前に警告を発することもでき、正しい刺繍枠を再度取り付ける時間や、加工布を正しい刺繍枠に再度取り付ける時間を省くことができる。
【0053】
請求項2に記載の刺繍ミシンにおいては、請求項1に記載の刺繍ミシンと同様の効果を奏することができる。
【0054】
請求項3に記載の刺繍ミシンにおいては、可動ホルダーのみを位置切換えするだけで、枠ホルダーに所望の刺繍枠を装着できるため、刺繍枠を装着するための作業を簡単化することができる。ホルダー本体に検出器を装着した場合には、ホルダー本体がキャリッジに固定されているため、検出器からの配線を簡単化することができ、刺繍ミシンの構成部材に配線が絡まることもない。その他、請求項1又は2と同様の効果を奏することができる。
【0055】
請求項4に記載の刺繍ミシンにおいては、検出器に安価な回転型ポテンショメータを採用することで、刺繍ミシンの製造コストを削減することができる。その他、請求項1〜3と同じ効果を奏することができる。
【0056】
請求項5に記載の刺繍ミシンにおいては、被検出体の構造を簡単化することができる。その他、請求項1〜4と同じ効果を奏することができる。
【0057】
請求項6に記載の刺繍ミシンにおいては、被検出体の構造を簡単化することができる。その他、請求項1〜4と同じ効果を奏することができる。
【0058】
請求項7に記載の刺繍ミシンにおいては、所望の刺繍枠を装着するために、可動ホルダーの位置を切換えて固定する作業を簡単化することができる。その他、請求項1〜6と同じ効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る刺繍ミシンの全体図である。
【図2】一番大きい刺繍枠が装着された枠ホルダー周辺の平面図である。
【図3】枠ホルダーの左側の後半部の拡大平面図である。
【図4】三番目に大きな刺繍枠が装着された枠ホルダー周辺の平面図である。
【図5】枠ホルダーの後半部の左側面図である。
【図6】枠ホルダーの左側の後半部の概略の分解斜視図である。
【図7】検出器の正面図である。
【図8】検出器及び被検出体の作動説明図である。
【図9】制御ユニットを説明する図である。
【図10】変更の形態に係る被検出体の斜視図である。
【符号の説明】
M 刺繍ミシン
5 キャリッジ
7, 7A 刺繍枠
8 枠ホルダー
9 刺繍枠種類検知手段
35 ホルダー本体
36 可動ホルダー
38 案内機構
39 固定機構
80, 80A 被検出体
82a〜82e, 81 被検出部
83 検出器
84 検出子
Claims (7)
- 交差する2方向へ独立に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに固定された枠ホルダーとを備え、この枠ホルダーに複数種の刺繍枠を択一的に且つ着脱可能に装着するようにした刺繍ミシンであって、
前記枠ホルダーは、ホルダー本体と、前記複数種の刺繍枠に対応してホルダー本体との相対位置を複数位置に位置可変に且つホルダー本体に対して固定可能な可動ホルダーとを備え、
複数種の刺繍枠に対応する複数の被検出部を有する被検出体と、枠ホルダーに装着される刺繍枠に対応する被検出体の被検出部を検出する検出器とを備えた刺繍枠種類検知手段を有し、
前記被検出体は可動ホルダーに装着され、前記検出器はホルダー本体かキャリッジの何れか一方に装着されたことを特徴とする刺繍ミシン。 - 交差する2方向へ独立に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに固定された枠ホルダーとを備え、この枠ホルダーに複数種の刺繍枠を択一的に且つ着脱可能に装着するようにした刺繍ミシンであって、
前記枠ホルダーは、ホルダー本体と、前記複数種の刺繍枠に対応してホルダー本体との相対位置を複数位置に位置可変に且つホルダー本体に対して固定可能な可動ホルダーとを備え、
複数種の刺繍枠に対応する複数の被検出部を有する被検出体と、枠ホルダーに装着される刺繍枠に対応する被検出体の被検出部を検出する検出器とを備えた刺繍枠種類検知手段を有し、
前記被検出体はホルダー本体かキャリッジの何れか一方に装着され、前記検出器は可動ホルダーに装着されたことを特徴とする刺繍ミシン。 - 前記ホルダー本体は、キャリッジに固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の刺繍ミシン。
- 前記検出器は、被検出部に接触する検出子を有する回転型ポテンショメータからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の刺繍ミシン。
- 前記被検出体は、可動ホルダーの移動方向に直列的に配置された高さ又は幅寸法の異なる複数の被検出部を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の刺繍ミシン。
- 前記被検出体は、可動ホルダーの移動方向に向かって高さ又は幅寸法がテーパ状に変化するテーパ部材のテーパ面に形成された複数の被検出部を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の刺繍ミシン。
- 前記枠ホルダーのホルダー本体に可動ホルダーをスライド可能に案内する案内機構と、ホルダー本体に可動ホルダーを固定解除可能に固定する固定機構とを設けたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の刺繍ミシン。
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