JP3821185B2 - 永久磁石電動機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンプレッサ等に用いるインナーロータ型の永久磁石電動機に係り、さらに詳しく言えば、リラクタンストルクの有効利用の向上を図ってトータルトルクを大きくし、しかもロータコアの強度を高めるようにロータコア(回転子)の構成に工夫を施した永久磁石電動機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石電動機のインナーロータには、例えば図4に示す構成のものがある。図4において、ステータコア1内の磁石埋込型界磁鉄心(ロータコア)2は、ほぼ断面扇状の永久磁石3を1極当り1個埋設するとともに、円周方向に極数分だけ等間隔に配置し、かつそれら隣接する永久磁石3を異極としている。なお、4はシャフトを通す孔(中心孔)である。
【0003】
ここに、永久磁石による空隙部(ステータコアの歯と永久磁石との間)の磁束分布が正弦波状になっているものとすると、永久磁石電動機のトルクTはT=Pn{Φa・Ia・cosβ−0.5(Ld−Lq)・I2・sin2β}で表される。なお、Tは出力トルク、Φaはd,q座標軸上の永久磁石による電機子鎖交磁束、Ld,Lqはd,q軸インダクタンス、Iaはd,q座標軸上の電機子電流の振幅、βはd,q座標軸上の電機子電流のq軸からの進み角、Pnは極対数である。前記数式において、第1項は永久磁石によるマグネットトルクであり、第2の2項はd軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差によって生じるリラクタンストルクである。
【0004】
なお、詳しくは、T.IEE Japan,Vol.117―D,No7,1997の論文を参照されたい。また、前記論文によると、各極の永久磁石を多層構造とすることにより、リラクタンストルクを有効利用することが記載されている。
【0005】
例えば、ステータコア1内のロータコアは断面円弧状の永久磁石を1極当り2個配置し、つまり2層構造になっている。これは前述した1極当り1個(1層)の場合と比較して、d軸インダクタンスLdが小さく、q軸インダクタンスLqが大幅に大きくなり、これにより前記数式におけるパラメータのインダクタンス差(Ld−Lq)の値が大きく、結果モータトルクTが大きくなる。
【0006】
このように、リラクタンストルクを有効利用すれば、モータトルクTの増大を図ることができ、1極当りの永久磁石を多層構造にすれば、リラクタンストルクをより有効利用することになる。詳細は、前記論文を参照されたい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記永久磁石電動機において、ほぼ断面扇状の永久磁石3と中心孔4との距離wはロータコア(コアシート)の強度上から最小限の寸法とする必要があり、ロータコア2内にはどうしても磁石のない無駄な領域(図4の実線矢印a参照)が生じる。しかも、永久磁石の使用量(磁石量)を多くするために、断面扇状の孤の曲率半径を大きくすると、その無駄な領域が大きくなってしまう。
【0008】
そのことに伴って、永久磁石3とロータコア1の外周との間の領域(図4の実線矢印b参照)が小さくなり、q軸インダクタンスが小さくなってd軸とのインダクタンス差が小さくなるとともに、リラクタンストルクが小さくなり、したがって、モータ効率の向上が図れない。しかも、図4の実施矢印bの領域が狭くなれば、かしめ部の形成あるいはリベット通しが困難となり、ロータコア2の強度等に影響を与えることにもなる。
【0009】
また、前記論文に記載されている多層構造の永久磁石を有するロータコアの場合には、前述したような欠点を解消することができるが、1極当り複数個の永久磁石を使用することから、製造コストが高くなる。したがって、製造面では1極当り1つの永久磁石を使用することが好ましい。
【0010】
本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、1極当り1つの永久磁石を使用し、マグネットトルクおよびリラクタンストルクの有効利用を図るとともに、モータ効率を上げ、しかもロータコアの強度の向上を図ることができるようにした永久磁石電動機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ステータコア内に磁石埋込型界磁鉄心(ロータコア)を配置してなる永久磁石電動機において、前記ロータコアの1極当り断面バスタブ曲線形状の永久磁石を1つ用い、前記断面バスタブ曲線形状の底辺部をシャフト挿通用の中心孔に向けて前記永久磁石を前記ロータコアの円周方向に極数分だけ等間隔に埋設し、かつ、前記永久磁石と前記中心孔との間の領域でq軸上にかしめ部を形成するとともに、前記永久磁石と前記ロータコアの外周との間の領域でd軸上にリベットを挿通してなることを特徴としている。
【0012】
この場合、請求項2に記載されているように、前記永久磁石の断面バスタブ曲線形状の底辺および両斜辺部を直線的し、その角部を丸め、前記永久磁石の両端部の一方の角側にフラックスバリア用の孔を形成し、他方の角側を所定角度でカットすることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図3を参照して詳しく説明する。なお、図中、図4と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0014】
本発明の永久磁石電動機は、1極当り1つの永久磁石の形状を断面曲線状(例えば扇状等)に限定せず、ロータコアを有効的に利用可能な形状とし、つまり隣接する異極の永久磁石の間の距離を接近させ、しかも永久磁石とロータコアの外周との間の領域を広くする形状にすればよいことに着目し、例えば断面形状をバスタブ曲線に沿った形にすることで、隣合う永久磁石同士の間の領域を小さくし、かつ永久磁石とロータコアの外周との間の領域を広くできることに着目したものである。
【0015】
そのため、図1および図2示すように、この三相四極の永久磁石電動機のロータコア(磁石埋込型界磁鉄心;以下コアと記す)10は、1極当り1つの断面バスタブ曲線形状の永久磁石(例えばフェライト磁石)11と、この断面バスタブ曲線形状の底部(凸部)を中心孔4に向けて配置し、この永久磁石11を円周方向に4つ埋設し、かつ隣接する極の永久磁石11を異極に埋設している。
【0016】
なお、永久磁石11は、断面バスタブ曲線形状であるといっても、永久磁石11の使用量(磁石量)が、従来の断面扇状の永久磁石3と同程度とするため、その厚さが大きく、つまり変形の断面バスタブ曲線状であるいうことができる。また、図4に示す実線矢印aに対応する領域を有効利用することができることから、永久磁石の使用量(磁石量)が従来と変わらず、あるいはそれ以上となり、マグネットトルクの有効利用が可能となる。
【0017】
この場合、永久磁石11の両斜辺(側辺)は、ほぼ直線であり、かつ隣接する極の永久磁石11の斜辺同士はほぼ平行であり、つまりその間隔(q軸を含む幅)は所定値(少なくともコアシートの厚さ)である。しかも、その間隔は連続的でステータコア1からの磁束の路(磁路)を確保し、またロータコア10の内周部と外周部とを連結する働きをする。
【0018】
永久磁石11の断面バスタブ曲線形状のうち、底部は直線的で中心孔4に近いが、その距離は従来例で説明したように、必要最小限の値とし、ロータコア10の強度に配慮を図る。さらに、その底部が直線的であることから、この底部と両斜辺との結合により、ロータコア10の内周部にはほぼ正方形の領域が現れるため、永久磁石11と中心孔4との間の領域にはかしめ部12を形成することができる。
【0019】
永久磁石11の断面バスタブ曲線状の内側は凹部となり、永久磁石11とロータコア10の外周との間の領域c(図4に示す実線矢印bに対応する領域)が広くなっている。したがって、リベット13を余裕をもって通すことができ、またステータコア1からの磁束の路(磁路)を確保することができるため、インダクタンス差(Ld−Lq)の値が大きくなる。また、永久磁石11の端部(断面バスタブ形状の上部縁)には、フラックスバリア用の孔14が形成され、磁束の漏洩、短絡を防止している。
【0020】
ところで、図2に示すように、断面バスタブ曲線状の永久磁石11の両端部について、一方の角側(永久磁石11の外側角)にフラックスバリア用の孔14を形成し、他方の角側(永久磁石11の内側角)を所定角度(例えばロータコア10の外周に沿った角度)でカットする(同図の実線矢印d,e参照)。すると、永久磁石11の厚さ(幅)をより大きくしても、その他方の角がロータコア10からはみ出さない。したがって、永久磁石11の使用量(磁石量)をより大きくすることができ、従来と同じあるいはそれ以上のマグネットトルクを得えることができる。
【0021】
また、永久磁石11を埋設する孔およびフラックスバリア用の孔は角張っているが、少なくとも永久磁石11を埋設する周りの角張っている箇所(例えば図2に示すfないしmの角)にRを施すとよい。すなわち、丸めることにより、永久磁石11の形状も丸まった断面バスタブ曲線形状となり、永久磁石11を埋設する際の角の欠け等を防止することができるからである。
【0022】
なお、前記ロータコア10の製造においては、コアプレス金型を用いて自動プレスで電磁鋼板を打ち抜き、金型内でかしめて一体的に形成するコア積層方式(自動積層方式)を採用する。
【0023】
このプレス加工工程において、中心孔4、永久磁石11の埋設孔、かしめ部12、リベット13を通す孔およびフラックスバリア用の孔14を打ち抜き、図3に示すように、自動的にプレスし、コアシート10aをかしめながら積層してロータコア10を形成する。なお、永久磁石11の埋設孔とフラックスバリア用の孔14とは一体化した孔である。
【0024】
しかる後、永久磁石11の孔に成形した低コストのフェライト磁石を埋設し、かつ永久磁石11を厚さ方向(ロータコア10の径方向)に磁気配向し、着磁する。また、図3に示すように、ロータコア10の両端部に蓋をした後、リベット14を通してかしめて当該ロータコア10の製造が終了する。
【0025】
図1について追加的に説明すると、これは、永久磁石電動機が三相四極モータとした場合であり、24スロットのステータコア10にはU相、V相およびW相の電機子巻線が施され、外径側の電機子巻線がU相、内径側の電機子巻線がW相、その中間の電機子巻線がV相になっているが、スロット数や電機子巻線数が異なってもよい。
【0026】
また、前述したロータコア10をブラシレスDCモータに利用し、例えば空気調和機のコンプレッサ等に適用すれば、空気調和機の性能アップ、信頼性の向上が図れる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によると、ステータコア内にロータコアを配置してなる永久磁石電動機において、前記ロータコアの1極当り断面バスタブ曲線形状の永久磁石を1つ用い、前記断面バスタブ曲線形状の底辺部をシャフト挿通用の中心孔に向けて前記永久磁石を前記ロータコアの円周方向に極数分だけ等間隔に埋設してなるので、断面バスタブ曲線形状によりロータコア内を有効に利用することができるため、永久磁石の使用量(磁石量)を減らすこともなく、またステータコアからの磁束の路(磁路)を確保することにより、マグネットトルクおよびリラクタンストルクを有効利用することができ、ひいてはモータ効率を上げることができるという効果がある。また、前記永久磁石と前記中心孔との間の領域でq軸上にかしめ部を形成するとともに、前記永久磁石と前記ロータコアの外周との間の領域でd軸上にリベットを挿通するようにしたことにより、かしめ部の形成およびリベット通しに余裕をもつことができ、ロータコアの強度を保つことができるという効果がある。
【0028】
請求項2に記載の発明によると、請求項1において、前記永久磁石の断面バスタブ曲線形状の底辺および両斜辺部を直線的にし、その角部を丸め、前記永久磁石の両端部の一方の角側にフラックスバリア用の孔を形成し、他方の角側を所定角度でカットしてなるので、請求項1の効果に加え、角の丸めにより永久磁石をロータコアに埋設する際の角の欠け等を防止することができ、またフラックスバリアにより磁束の漏洩、短絡を防止することができる。さらに、一角をカットすることにより、断面バスタブ曲線形状の厚さ(幅)を大きくして永久磁石の使用量(磁石)を多くし、マグネットトルクの増大を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による永久磁石電動機の実施形態を示す概略的な平面図。
【図2】本発明の実施形態に含まれる1極分の永久磁石を示す概略的な平面図。
【図3】本発明の実施形態に含まれるロータコアを示す概略的な断面図。
【 図4】従来の永久磁石電動機を示す概略的な平面図。
【符号の説明】
1 ステータコア
4 中心孔(シャフト用)
10 ロータコア(磁石埋込型界磁鉄心)
11 永久磁石(ロータコア10の)
12 かしめ部
13 リベット
14 孔(フラックスバリア用)
Claims (2)
- ステータコア内に磁石埋込型界磁鉄心(ロータコア)を配置してなる永久磁石電動機において、
前記ロータコアの1極当り断面バスタブ曲線形状の永久磁石を1つ用い、前記断面バスタブ曲線形状の底辺部をシャフト挿通用の中心孔に向けて前記永久磁石を前記ロータコアの円周方向に極数分だけ等間隔に埋設し、かつ、前記永久磁石と前記中心孔との間の領域でq軸上にかしめ部を形成するとともに、前記永久磁石と前記ロータコアの外周との間の領域でd軸上にリベットを挿通してなることを特徴とする永久磁石電動機。 - 前記永久磁石の断面バスタブ曲線形状の底辺および両斜辺部を直線的にし、その角部を丸め、前記永久磁石の両端部の一方の角側にフラックスバリア用の孔を形成し、他方の角側を所定角度でカットしてなる請求項1に記載の永久磁石電動機。
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