JP3832530B2 - 永久磁石電動機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
発明はコンプレッサ等に用いるインナーロータ型の永久磁石電動機に係り、特に詳しくは適応的なモータを得ることができるロータ構成の永久磁石電動機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の永久磁石電動機のインナーロータ構成はロータコアに永久磁石を埋設しており、例えば図7や図8に示すものが提案されている。図7に示すように、24スロットのステータコア1内のロータコア2には、当該永久磁石電動機の極数(例えば4極)分だけ板状の永久磁石3が外径に沿って円周方向に配置され、かつそれら隣接する永久磁石3の間に磁束の短絡、漏洩を防止するためのフラックスバリア4が形成されている。なお、5は中心孔(シャフト用の孔)である。
【0003】
ここで、永久磁石3による空隙部(ステータコア1の歯と永久磁石3との間)の磁束分布が正弦波状になっているものとすると、永久磁石電動機のトルクTはT=Pn{Φa・Ia・cosβ−0.5(Ld−Lq)・I・sin2β}で表される。なお、Tは出力トルク、Φaはd,q座標軸上の永久磁石による電機子鎖交磁束、Ld,Lqはd,q軸インダクタンス、Iaはd,q座標軸上の電機子電流の振幅、βはd,q座標軸上の電機子電流のq軸からの進み角、Pnは極対数である。
【0004】
前記数式において、第1項は永久磁石3によるマグネットトルクであり、第2の2項はd軸インダクタンスと軸インダクタンスとの差によって生じるリラクタンストルクである。詳しくは、T.IEE Japan,Vol.117―D,No7,1997の論文を参照されたい。また、図8に示すロータコア2は図7に示す永久磁石3と異なる形状の永久磁石6を有する構成になっているが、前記数式の適用は明かである。
【0005】
ところで、永久磁石3,6の代表的なものとしては、安価なフェライト磁石や高価な希土類磁石がある。フェライト磁石を用いた場合、成形の容易性により種々形状の永久磁石を得ることが可能であるが、磁束密度が小さいため、ロータコアの小型化が難しい。これに対して、希土類磁石を用いた場合、磁束密度が大きいため、ロータコアの小型化が容易であるが、成形の困難性により永久磁石の形状が限られる。したがって、モータの用途やコストを考慮して、フェライト磁石あるいは希土類磁石の何れか一方を選択していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記永久磁石電動機においては、図7および図8に示すように、磁極(4極)を構成する永久磁石に一種類(例えば希土類磁石あるいはフェライト磁石の一方)のみを使用しているために、以下の欠点があった。
【0007】
例えば、フェライト磁石のみで磁極の永久磁石を構成する場合、磁束密度を上げるためにはどうしても磁石量を多くしなければならず(着磁幅を大きくしなければならず)、結果ロータコアの大半を占めることになり、q軸インダクタンスが小さく、q軸とd軸インダクタンスの差(リラクタンストルクのパラメータ;前記式参照)が小さくなり、十分なリラクタンストルクが得られない。また、希土類磁石のみで磁極の永久磁石を構成する場合、磁束密度が高いために、フェライト磁石の場合のようにロータコアの大半を占めることはないが、磁束密度が高過ぎてしまう場合があり、また前述したように高価であることから、モータのコストが高くなってしまう。このように、所望のリラクタンストルクおよび磁束密度のものを得ることが難しく、つまり選択幅が狭く、また見合った低コストのものを得ることが難しく、ひいては適応的モータを得ることが困難である。
【0008】
発明は前記課題に鑑みなされたものであり、その目的はリラクタンストルクおよび磁束密度の選択幅を広げ、かつ低コスト化を図ることができ、適応的モータが得られるようにした永久磁石電動機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、発明は、ステータコア内に磁石埋込型界磁鉄心(ロータコア)を配置してなる永久磁石電動機において、前記永久磁石電動機の界磁の磁極を構成する磁石には、ロータコア内径の周囲に沿って円周方向に極数に相当する数だけ配置される第1永久磁石と、前記第1永久磁石による磁極の境界に沿って配置される第2永久磁石とが含まれ、前記第2永久磁石を隣接磁極の共有として、前記各磁極が少なくとも3つの永久磁石により構成され、前記第1永久磁石が希土類磁石よりなり、前記第2永久磁石がフェライト磁石からなることを特徴としている。
【0010】
本発明において、前記2永久磁石には、磁極の境界に沿って互いに平行として配置される断面長方形の2つの永久磁石が含まれてよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を図1ないし図6を参照して詳しく説明する。発明の永久磁石電動機は、各磁極の永久磁石を複数で、かつ異なる材料で構成すれば、種々のリラクタンストルクおよび磁束密度のものを選択することができ、かつ低コスト化が可能となり、しかもモータの回転に支障を来さないことに着目したものである。
【0012】
そのため、図1および図2に示すように、この永久磁石電動機のロータコア10は、各磁極を希土類磁石の永久磁石11とフェライト磁石の永久磁石12とで構成し、かつ永久磁石12を隣接磁極の共有にしている。永久磁石11は断面長方形(薄めの板状)をなしてコア内径(中心孔14)の周囲に沿って円周方向に極数(例えば4極)に相当する数だけ配置され、永久磁石12は断面長方形(厚めの板状)をなして永久磁石11による磁極の境界上でコア半径の1/3程度から外径方向に配置されている。したがって、各磁極は永久磁石11と永久磁石12,12の3つで構成される。また、永久磁石11の両端部と永久磁石12のコア内径側端部との間には磁束の短絡、漏洩を防止するためにフラックスバリア用の孔13が設けられている。なお、14はシャフト用の中心孔で、15はステータコアである。
【0013】
図3を参照してリラクタンストルクおよび磁束密度について説明する。なお、図中、線矢印の曲線は磁束を表している。この場合、各磁極毎に希土類磁石の永久磁石11と、隣接磁極で共有の永久磁石12,12とを配置していることから、磁束密度を大きくすることが可能であり、また図3の線枠Aに示すように、各磁極のコア外径側ほど広い領域をとることが可能である。したがって、図3に示す線枠Aを広くとり、つまりこの磁石の占める割合を減らし、電磁鋼板からなるコアの占める割合を増やすことができることから、d軸インダクタンスに比べてq軸インダクタンスが大きくとれ、q軸とd軸インダクタンスの差(リラクタンストルクのパラメータ)が大きくなり、リラクタンストルクが大きくなる。
【0014】
また、フェライト磁石と希土類磁石の併用により磁束密度が抑えられ、例えば全てを希土類磁石で構成した場合と比較して磁束密度が低くなり、つまり磁束密度が高過ぎず、適切な磁束密度を選択することができる。しかも、例えば全てをフェライト磁石で構成する場合、必要とする磁束密度を得ようとすると、永久磁石の厚さ(着磁幅)が製造上の限界を越えることもあるが、フェライト磁石と希土類磁石とを併用することにより磁束密度を調整することができ、つまり着磁幅以外の方法で所望の磁束密度を容易に得ることができる。なお、永久磁石11と永久磁石12との間に設けたフラックスバリア用の孔13により、磁束の短絡、漏洩を防止することができるため、特に永久磁石11による磁束誤差が小さく、つまり必要とする磁束密度をより容易に得ることができる。
【0015】
このように、希土類磁石の永久磁石11によって磁束密度を上げ、あるいは磁束密度を下げ、フェライト磁石の永久磁石12によって磁束密度を微妙に調整することができ、つまり最適な磁束密度を容易に得ることができる。しかも、安価なフェライト磁石を併用することにより希土類磁石の使用量が抑えられ、例えば磁極を全て希土類磁石で構成した場合と比較して安価に済ませることができ、低コスト化を図ることができる。また、前述した理由により、リラクタンストルクおよび磁束密度を選択幅(自由度)の幅を広げることができ、ひいては適応的モータを容易に得ることができる。
【0016】
図2に示すように、ロータコア10にあっては、電磁鋼板をプレスで打ち抜いて金型内で自動積層して得、永久磁石11,12を埋設して着磁するが、そのプレスの際に予め少なくとも永久磁石11,12の形状孔を形成しておく。また、同時にフラックスバリア用の孔13も形成するとよい。したがって、従来の製造工程と変わらず、つまりコスト的には従来と変わらず、コストアップにならずに済む。また、前述により形成されるロータコアを組み込んでブラシレスDCモータとし、空気調和機の圧縮機モータ等として利用すれば、コストをアップすることなく、空気調和機の性能アップ(運転効率の上昇、振動や騒音の低下)が図れる。
【0017】
なお、少なくとも永久磁石11の形状孔およびフラックスバリア用の孔13は一体的、つまり連結した孔にしてもよい。また、永久磁石12のコア外径側の箇所が遠心力に耐えられるように、十分な強度をもたせる。さらに、ステータコア15は図7および図8と同様でよいことから、その説明を省略する。
【0018】
図4は前記実施の形態の変形例である。なお、図中、図3と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この永久磁石電動機のロータコア10は、前記実施の形態の永久磁石12を2つに分割した形で、つまり断面長方形(前実施例より薄めの板状)をなすフェライト永久磁石の永久磁石16a,16bを磁極境界に沿ってコア内径の1/3程度から外径方向に配置している。したがって、各磁極は永久磁石11および永久磁石16a,16bの3つで構成される。
【0019】
この場合、永久磁石16a,16bの着磁幅が前実施例(図3参照)より小さくなるが、例えば永久磁石16a,16bを永久磁石12より長く、かつ希土類磁石の永久磁石11の着磁幅を図3より大きくすれば、図3と同程度の磁束密度とすることができる。
したがって、磁束密度については前実施例と変わらず、またコアの磁石占有率が上がることもなく、つまり図3と同様に永久磁石のない領域を広くとることができることから、d軸インダクタンスに比べてq軸インダクタンスが大きくとれ、q軸とd軸インダクタンスとの差が大きくなり、リラクタンストルクが大きくなる。また、永久磁石16a,16bのコア外径側端部とコア外径との間の箇所における負担が軽くなるため、その箇所の強度が遠心力に十分耐えるようになる。
【0020】
図5は発明のロータコアの変形例である。なお、図中、図3と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この永久磁石電動機のロータコア10は、図3に示す実施例のフェライト磁石と希土類磁石とを逆し、つまり永久磁石11に代えてフェライト磁石の永久磁石17を配置し、永久磁石12に代えて希土類磁石の永久磁石18を配置している。
【0021】
永久磁石17は断面多角形(例えば変形六角形)をなしてコア内径の周囲に沿って円周方向に極数に相当する数だけ配置されている。この永久磁石17は永久磁石18より小さい分長くし、かつ着磁幅を大きくし、磁束密度を補っている。永久磁石18は断面長方形(厚めの板状)をなして永久磁石17による磁極の境界上でコア半径の2/3程度から外径方向に配置されている。この永久磁石18は永久磁石12より小さいが、希土類磁石であることから、永久磁石12と変わらない磁束密度を発生する。
【0022】
したがって、この変形例のロータコア10にあっては、前実施例とほぼ同程度の磁束密度を発生することが期待でき、またコアの磁石占有率がそれほど上がることもなく、つまり図3と同程度に永久磁石のない領域を広くとることができることから、d軸インダクタンスに比べてq軸インダクタンスが大きくとれ、q軸とd軸インダクタンスとの差が大きくなり、リラクタンストルクが大きくなる。なお、永久磁石18の端部側にフラックスバリアを設けるようにしてもよいが、永久磁石18のコア外径側端部がコアの外径にできるだけ近づけるようにすれば、フラックスバリアを設けずに済む。
【0023】
図6は図5に示す実施の形態の変形例である。なお、図中、図5と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この永久磁石電動機のロータコア10は、前記永久磁石18を2つに分割した形で、つまり断面長方形(薄めの板状)をなす希土類永久磁石の永久磁石19a,19bを磁極境界に沿ってコア内径の2/3程度から外径方向に配置している。したがって、各磁極は永久磁石17および永久磁石19a,19bの3つで構成される。
【0024】
この場合、永久磁石19a,19bの着磁幅が前実施例(図5参照)より多少小さくなるが、例えば永久磁石19a,19bを大きくし(半径方向に長くし)、かつフェライト磁石の永久磁石17の着磁幅を図5より小さくすれば、図5と同程度の磁束密度とすることができる。したがって、磁束密度については前実施例と変わらず、またコアの磁石占有率が上がることがあっても、下がることがなく、つまり図3と同様に永久磁石のない領域を広くとることができることから、d軸インダクタンスに比べてq軸インダクタンスが大きくとれ、q軸とd軸インダクタンスとの差が大きくなり、リラクタンストルクが大きくなる。なお、永久磁石19a,19bの端部側にフラックスバリアを設けるようにしてもよいが、永久磁石19a,19bのコア外径側端部がコアの外径に極めて近づけるようにすれば、フラックスバリアを設けずに済み、これによりコア外径側端部のコア強度をより維持することができる。
【0025】
このように、フェライト磁石と希土類磁石とを種々組み合わせることにより、種々なリラクタンストルクおよび磁束密度を選択することができ、つまりそれらの選択度を広げることができる。なお、図4ないし図6に示した実施の形態について、図1ないし図3の実施の形態と同様の効果を奏することは明かである。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ステータコア内に磁石埋込型界磁鉄心(ロータコア)を配置してなる永久磁石電動機において、前記永久磁石電動機の界磁の磁極を構成する磁石には、ロータコア内径の周囲に沿って円周方向に極数に相当する数だけ配置される第1永久磁石と、前記第1永久磁石による磁極の境界に沿って配置される第2永久磁石とが含まれ、前記第2永久磁石を隣接磁極の共有として、前記各磁極が少なくとも3つの永久磁石により構成され、前記第1永久磁石が希土類磁石よりなり、前記第2永久磁石がフェライト磁石からなる構成としたことにより、磁石のない範囲を各磁極のコア外径側ほど広く、d軸インダクタンスに比べてq軸インダクタンスを大きくすることでq軸とd軸インダクタンスの差を大きく、つまり、リラクタンストルクを大きくすることができる。また、フェライト磁石の磁束密度が低いことから、希土類磁石との併用によって磁束密度を調節して適切な磁束密度を得て所望の磁束密度を得易くすることができ、つまり、リラクタンストルクおよび磁束密度の選択幅を広げ、磁束密度の選択幅を広げることができる。しかも安価なフェライト磁石を併用することで、低コスト化を図ることができ、ひいては適応的モータを得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の一形態を示す永久磁石電動機の概略的平面図。
【図2】 図1に示す永久磁石電動機のロータの概略的縦断面図。
【図3】 図1に示す永久磁石電動機のロータの概略的拡大平面図。
【図4】 図1に示す永久磁石電動機のロータの変形例を説明するための概略的平面図。
【図5】 図1に示す永久磁石電動機のロータの変形例を説明するための概略的平面図。
【図6】 図1に示す永久磁石電動機のロータの変形例を説明するための概略的平面図。
【図7】 従来の永久磁石電動機の概略的平面図。
【図8】 従来の永久磁石電動機の概略的平面図。
【符号の説明】
10 ロータコア(磁石埋込型界磁鉄心)
11,18,19a,19b 永久磁石(希土類磁石)
12,16a,16b,17 永久磁石(フェライト磁石)
13 孔(フラックスバリア用)
14 中心孔(シャフト用)
15 ステータコア

Claims (2)

  1. ステータコア内に磁石埋込型界磁鉄心(ロータコア)を配置してなる永久磁石電動機において、
    前記永久磁石電動機の界磁の磁極を構成する磁石には、ロータコア内径の周囲に沿って円周方向に極数に相当する数だけ配置される第1永久磁石と、前記第1永久磁石による磁極の境界に沿って配置される第2永久磁石とが含まれ、前記第2永久磁石を隣接磁極の共有として、前記各磁極が少なくとも3つの永久磁石により構成され、前記第1永久磁石が希土類磁石よりなり、前記第2永久磁石がフェライト磁石からなることを特徴とする永久磁石電動機。
  2. 前記2永久磁石には、磁極の境界に沿って互いに平行として配置される断面長方形の2つの永久磁石が含まれる請求項1に記載の永久磁石電動機。
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