JP3832568B2 - 圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は真空成膜装置に用いられる圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧力勾配型プラズマ発生装置を利用した真空成膜装置として、例えば図8に示すようなイオンプレーティング装置10が知られている。このイオンプレーティング装置10は、真空容器11に圧力勾配型プラズマ発生装置20が取り付けられており、その圧力勾配型プラズマ発生装置20の外周には発生させたプラズマビームをガイドするためのコイル30が配設されている。また、圧力勾配型プラズマ発生装置20には、プラズマビームを収束するための第一の中間電極91および第二の中間電極101が並設されていて、この第一の中間電極91には環状の磁石94が内蔵され、第二の中間電極101には収束コイル102がそれぞれ内蔵されている。
【0003】
真空容器11内は、基板60が天井部に吊り下げられるように支持されて配置されていると共に、該基板60には負バイアス用の直流電源が接続されている。そして、真空容器11の底面には基板60と対向するようにハース(陽極)50が配置され、その外周には環状の補助陽極51が配置されている。また、真空容器11の側壁には、真空容器11内にキャリアガスを導入するためのガス導入口11aと、真空容器11内を排気するための排気口11bとが形成されている。
【0004】
圧力勾配型プラズマ発生装置20は、一端に導体板21を備えており、この導体板21に形成されたキャリアガス導入口22からキャリアガス(Ar等の不活性ガス)が導入されるようになっている。また、この導体板21には可変電源70のマイナス端が接続され、プラス端はそれぞれ抵抗器R1およびR2を介して第一の中間電極91および第二の中間電極101に接続されている。また、ハース50は、可変電源70ならびに抵抗器R1およびR2に接続されている。
【0005】
こうして構成されたイオンプレーティング装置10は、圧力勾配型プラズマ発生装置20のキャリアガス導入口22からキャリアガスが導入されると、圧力勾配型プラズマ発生装置20内で放電が開始され、プラズマビーム40が発生する。発生したプラズマビーム40は、内部に環状の磁石94およびコイル102が内蔵された第一の中間電極91および第二の中間電極101の中心の通路(オリフィス)に収束させられ、コイル30と補助陽極51の磁石にガイドされて、陽極として用いられるハース50および補助陽極51に到達し、ハース50に収容された蒸着材料52がジュール加熱されて蒸発する。こうして蒸発された蒸着材料52からの蒸着金属粒子はプラズマビーム40によってイオン化・活性化され、このイオン粒子が負電圧の印加された基板60の表面に付着し、基板60上に膜が形成されるようになっている。
【0006】
図9は、上記イオンプレーティング装置10の圧力勾配型プラズマ発生装置20の第一の中間電極91をより詳細に示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)のC−C線断面図を示している。
【0007】
以下図9を参照して第一の中間電極91の構成を説明すると、第一の中間電極91は、中心部にプラズマビームを収束し通過させる貫通口(オリフィス)93を有するドーナッツ形状をしており、内部が中空構造となっているケース92の該中空内に、プラズマビームを収束させてオリフィス93の中を通過させるための磁石94が支持固定され収納された構造となっている。このとき、ケース92は、外形に沿った略円形の3つのシール部92a、92b、92cで溶接接合されることで、環状の磁石94がケース92の内部に収納されるようになっている。なお、上記シール部92a、92b、92cは、溶接接合のほか、Oリングやパッキンを挟んでネジ止めしたものでも良い。
【0008】
また、ケース92と磁石94との隙間には冷却溶媒95が流通されている。冷却溶媒95は、放電電子もしくはイオン衝撃または陰極からの熱などによってケース92が破壊されることを防ぐために中間電極91全体を冷却するためのものであり、図10(a)の垂直断面図および(b)の水平断面図に示すように、中間電極91内のケース92と磁石94との隙間を流通するようになっている。即ち、ケース92の側面には配管用の穴95a、95bが開けられ、その穴95a、95bに配管を取り付け、ケース92と磁石94の隙間に冷却溶媒95を流すことで、中間電極91全体を冷却してプラズマ発生時の熱から保護する構造となっている。なお、図9(c)に示す96は中間電極91のオリフィス93近傍が直接プラズマビームに接することないように覆っているカバーであり、タングステンなどのスパッタ率の低い金属やカーボン等で成っている。
【0009】
なお、第一の中間電極91の構造を例に環状の磁石94を用いた例で説明してきたが、第二の中間電極101のように収束コイル102を用いて収束磁場を作るようにした構造も同様である。ただし、コイルを用いた構造の場合には、ケースの外から水密を確保した状態で配線が行われる。また、上記イオンプレーティング装置10はあくまでも一例であり、圧力勾配型プラズマ発生装置20、ハース50、基板60の配置は装置の構成によって様々なものがある。また、イオンプレーティング装置を例に説明してきたが、そのほか圧力勾配型プラズマ発生装置を使ったプラズマCVD装置などの真空成膜装置に対しても同様である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来の圧力勾配型プラズマ発生装置20の中間電極91の構造は、ドーナッツ形状をしたケース92の中空構造の中に環状の磁石94もしくはコイルが配置された構成となっているので、オリフィス93の近傍で冷却溶媒95が滞りやすく、その付近の冷却効率が悪いといった問題があった。また、ケース92の中空構造内に磁石94もしくはコイルを収容保持した状態で磁石94とオリフィス93との間に冷却溶媒95の流路となるスペースを形成するためには、ケース92のシール部92a、92bを構造上このオリフィス93の近傍に形成せざるを得ず、オリフィス93近傍はプラズマビームの収束部分となるために放電電子もしくはイオン衝撃または陰極からの熱などによってシール部92a、92bが破壊されやすく、長期に亘って使用するにあたり耐久性に問題があった。特に上述したオリフィス93近傍で冷却溶媒95が滞りやすいといった問題と合わせると耐久性の面でさらに問題であった。また、ケース92内の冷却溶媒95中に磁石94もしくはコイルが置かれていることになるため、冷却溶媒95によって磁石94が劣化して割れることで中心磁場の状態が経時変化してしまったり、コイルの配線が腐食断線してしまったりといった問題もあり、こうした問題の解決が課題とされるものとなっていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した従来の課題を解決するための具体的手段として、中央部に貫通口を有し且つ内部に中空を有するケースと、該ケースに固定されプラズマビームを前記貫通口に収束させて通過させるための環状の磁石もしくはコイルと、前記ケースの中空内を流通して全体を冷却するための冷却溶媒と、から成る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造において、前記ケースは側面が外周に沿って窪んでおり、その窪みに前記磁石もしくはコイルが嵌め込まれた構造となっていることを特徴とする圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造を提供することで課題を解決するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明に係る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造の第一実施形態を示す断面図であり、全体の真空成膜装置(例えばイオンプレーティング装置)や圧力勾配型プラズマ発生装置の構成は従来例(図8)と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0014】
本発明に係る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極1は、中心部にプラズマビームを収束し通過させる貫通口(オリフィス)3を有するドーナッツ形状をし、内部が中空構造となっているケース2に、プラズマビームを収束させてオリフィス3の中を通過させるための磁石4が支持固定されている。このとき、ケース2は、外形に沿った略円形の3つのシール部2a、2b、2cで溶接接合されることで、ケース2の内部を中空構造としている。なお、上記シール部2a、2b、2cは溶接接合のほか、Oリングやパッキンを挟んでネジ止めしたものでも良い。
【0015】
そして、このケース2の中空内を冷却溶媒5が流通するようになっている。この冷却溶媒5は、放電電子もしくはイオン衝撃または陰極からの熱などによってケース2が破壊されることを防ぐために中間電極1全体を冷却するためのものであり、後で説明するように中間電極1の中空内を流通するようになっている。
【0016】
以上の点については従来例と同様であるが、本発明ではケース2の側面が外周面に沿って窪んだ形状をしており、その窪みに磁石4が嵌め込まれた構成となっている。即ち、図2(a)に示すように環状の磁石4を、(b)に示すように4aと4bの2分割にし、(c)に示すようにケース2の側面から窪みに嵌め込んで固定している。なお、磁石4の代わりにコイルを用いた場合は、図3に示すようにケース2側面の窪みに薄い絶縁シート等を敷いてその上から絶縁皮膜付きの銅線を巻くことでコイル4cが設けられている。
【0017】
上記構成とすることで、従来はケース2内に収容され冷却溶媒5中に置かれていた磁石4もしくはコイルをケース2の外(冷却溶媒5の流路の外)に取り出し、冷却溶媒5による磁石4の劣化やコイル配線の断線防止が図れる。
【0018】
次に冷却溶媒5の流路について図4に沿って説明する。ケース2の側面の磁石4もしくはコイルが嵌め込まれる窪み以外の箇所にはケース2の中空内に通じる配管用の2つの穴が開けられ、その穴に配管5a、5bが取り付けられている。そして、まず、(a)に示すように配管5aから冷却溶媒5が流入され、▲1▼の矢印の方向に流れる。そして、ケースの中空内に形成された仕切壁2d、2eによってオリフィス3近傍に流れ込み、(b)に示すようにオリフィス3に沿って▲2▼の方向に流れて、磁石4を挟んだ反対側に流れ込む。そして、(c)に示すように仕切壁2f、2gに沿って▲3▼の方向に流れ、(d)に示すようにオリフィス3に沿って▲4▼の方向に流れて、(a)に示すように仕切壁2d、2eに沿って▲5▼の方向に流れ、配管5bから流出されるようになっている。こうして、ケース2の中空内を冷却溶媒5がムラなく循環し、特に中間電極1の中で最も熱を持つオリフィス3の近傍に沿って冷却溶媒5の流路を形成し、中間電極1全体を均等に冷却してプラズマ発生時の熱から保護するようになっている。なお、図1において6は、中間電極1のオリフィス3近傍が直接プラズマビームに接することないように覆っているカバーであり、タングステンなどのスパッタ率の低い金属やカーボン等で成っている。
【0019】
ここで、中間電極1のケース2のシール部2a、2b、2cは、中間電極1内に冷却溶媒5の流路となる中空構造を形成するために外形に沿った略円形のものであるが、従来のようにケースの中空内に磁石やコイルを保持する構造を有する必要がないため、オリフィス3から離れた位置とすることが可能となる。つまり、プラズマビームの収束部分となり熱が集中してしまうオリフィス3近傍からシール部2a、2b、2cを離すことで、シール部の破壊を防ぐことができる。
【0020】
なお、シール部2a、2b、2cは、図1に示す第一実施形態のほかに、例えば図5乃至図7に示す第二実施形態乃至第四実施形態であっても良い。特に、図6に示す第三実施形態では、シール部を中間電極1の陽極側の2a、2bの2箇所のみとし、中空構造を変更したものであり、陰極側にシール部を形成していないことで、陰極からの熱などの影響を防げる構造となっている。また、図7に示す第四実施形態も同じく、シール部2a、2bを2箇所のみとし、これらシール部2a、2bを中間電極1の側面に形成したものであり、シール部2a、2bがオリフィス3から最も離れた位置であるため、シール部の保護の点でより効果が発揮されるものである。また、これら図6および図7は、シール部が2箇所のみであるため製造コスト削減にも効果がある。
【0021】
なお、上記実施形態で述べた配管5a、5bの位置および冷却溶媒5の流路はあくまでも一例であり、中間電極1内を冷却溶媒5が循環できる構造であれば良い。
【0022】
また、上記実施形態はいずれも圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造に関するものであり、従来例と同様に本中間電極構造を有する圧力勾配型プラズマ発生装置を用いた様々な構成のイオンプレーティング装置やプラズマCVD装置などの真空成膜装置に適用可能であることは言うまでもない。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極のケース側面が外周に沿って窪んでおり、その窪みにプラズマビームを収束させて貫通口を通過させるための環状の磁石もしくはコイルが嵌め込まれた構造としたことで、従来はケース内に収容され冷却溶媒中に置かれていた磁石もしくはコイルをケースの外(冷却溶媒の流路の外)に取り出し、冷却溶媒による磁石の劣化やコイル配線の断線防止が図れるといった効果を奏するものである。また、ケースの中空内を冷却溶媒がムラなく循環し、特に中間電極の中で最も熱を持つオリフィス近傍に沿って冷却溶媒の流路を形成したため、従来のような冷却溶媒の滞りがなくなって、中間電極全体が均等に冷却されるといった効果を奏するものである。さらに、中間電極のケースのシール部は、中間電極内に冷却溶媒の流路となる中空構造をつくるために外形に沿った略円形のものであるが、従来のようにケースの中空内に磁石やコイルを保持する構造を有する必要がないため、オリフィスから離れた位置とすることが可能となり、プラズマビームの収束部分となって熱が集中してしまうオリフィス近傍からシール部を離すことで、シール部の破壊を防ぐことができるといった効果をも奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造の第一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造として磁石を用いた例を説明する説明図である。
【図3】本発明に係る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造としてコイルを用いた例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る中間電極内の冷却溶媒の流れを説明する説明図である。
【図5】本発明に係る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極の第二実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極の第三実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極の第四実施形態を示す断面図である。
【図8】従来例におけるイオンプレーティング装置の一例を示す断面図である。
【図9】従来例における圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は縦断面図である。
【図10】従来例における中間電極内の冷却溶媒の流れを説明する説明図であり、(a)は垂直断面図、(b)は水平断面図である。
【符号の説明】
1……中間電極
2……ケース
2a,2b,2c……シール部
2d,2e,2f,2g……仕切壁
3……貫通口(オリフィス)
4……磁石
4a,4b……分割磁石
4c……コイル
5……冷却溶媒
5a,5b……冷却溶媒用配管
6……カバー

Claims (1)

  1. 中央部に貫通口を有し且つ内部に中空を有するケースと、該ケースに固定されプラズマビームを前記貫通口に収束させて通過させるための環状の磁石もしくはコイルと、前記ケースの中空内を流通して全体を冷却するための冷却溶媒と、から成る圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造において、
    前記ケースは側面が外周に沿って窪んでおり、その窪みに前記磁石もしくはコイルが嵌め込まれた構造となっていて、
    更に、前記ケースの内部に中空を形成するためのシール部を、前記ケース側面の外周に沿って形成したことを特徴とする圧力勾配型プラズマ発生装置の中間電極構造。
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