JP3832690B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、塗料、プライマーおよびアンカー剤等の表面処理剤、接着剤、粘着剤、印刷インキ等の種々の用途に好適に用いられる硬化性樹脂組成物に関するものであり、特に各種基材への密着性に優れた塗膜を形成することのできる硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、オキサゾリン基含有重合体とカルボキシル基含有重合体からなる2液型の硬化性樹脂組成物が検討されている(特公昭63−48884号公報)。また、オキサゾリン基含有重合体とカルボキシル基含有重合体からなる硬化性樹脂組成物の一液での安定性を向上させるために、カルボキシル基含有重合体のカルボキシル基を、塩基性化合物で予め中和する方法も検討されている(特開平7−118548号公報)。このようなオキサゾリン基含有重合体とカルボキシル基含有重合体からなる硬化性樹脂組成物は、架橋反応により耐水性および耐薬品性などの性能の優れた塗膜を形成することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来のオキサゾリン基含有重合体とカルボキシル基含有重合体からなる硬化性樹脂組成物は各種基材への密着性が未だ充分ではない。例えば、特開平7−118548号公報には、オキサゾリン基含有重合体とカルボキシル基含有共重合体中の共重合組成として(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等が例示されているが、このような3級アミノ基またはアミド基含有不飽和単量体では密着性が不十分である。また、特公昭63−48884号公報には、共反応性不飽和単量体としてアミノ基含有不飽和単量体が例示されているが、耐水性や耐薬品性等の塗膜の性能を向上させるためのアミノ基とオキサゾリン基の反応には、200℃以上の高温処理が必要であるため、使用用途が限定される。
【0004】
一方、ポリエチレンイミン等に代表される1級および2級アミノ基含有重合体は、1級および2級アミノ基による各種基材への密着性が良好であるため、プライマー等として多分野にわたり用いられている。さらに、1級および2級アミノ基含有重合体やポリアミドアミンなどに代表される1級アミノ基含有化合物を塗料および接着剤として用いる場合において、耐水性や耐薬品性等の塗膜の性能を向上させるために、エポキシ化合物等の架橋剤を混合することにより、硬化性樹脂組成物として用いることも検討されている。
【0005】
しかしながら、1級および2級アミノ基含有重合体は、各種基材への密着性に優れるものの、耐水性および耐薬品性等の塗膜の性能が不十分であり、これを回避するためにエポキシ化合物などの架橋剤を用いると、作業上、エポキシ樹脂による皮膚刺激性等の安全性の問題が生じるという問題がある。
したがって、本発明の課題は、150℃以下の低温にて各種基材への密着性や耐水性および耐薬品性等の性能の優れた塗膜を形成することができ、各種用途に好適に用いることができ、安全に使用可能な硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有重合体とオキサゾリン基含有重合体を含む硬化性樹脂組成物において、該カルボキシル基含有重合体が1級および/または2級アミノ基を含有することを特徴とする。
本発明においては、カルボキシル基の方がアミノ基よりもオキサゾリン基との反応性が高いので、カルボキシル基含有重合体とオキサゾリン基含有重合体を混合しても、アミノ基のうちの大部分はオキサゾリン基との反応には消費されない。特に150℃以下の低温においては顕著となる。したがって、塗膜中にアミノ基が存在することになり、塗膜の密着性が著しく向上するものである。さらに、カルボキシル基含有重合体とオキサゾリン基含有重合体を含有する硬化性樹脂組成物が従来から有する良好な耐水性や耐薬品性には全く影響を与えないものである。
【0007】
本発明において硬化性樹脂組成物とは、最終製品になったもののほか、必要に応じ添加される各種添加剤を含まない中間品をも意味する。
本発明における硬化性樹脂組成物において、1級および/または2級アミノ基が、下記一般式(I)
【0008】
【化2】
Figure 0003832690
【0009】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリール基、または、シアノ、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボアルコキシ置換のアルキル、アラルキル、アリール基であり、aは0または1、nは1以上である)
で表されるものであることが好ましい。また、1級および/または2級アミノ基を含有するカルボキシル基含有重合体が、カルボキシル基を含有する重合体のカルボキシル基の一部をアルキレンイミンを用いて1級および/または2級アミノ基に変性したものであることが好ましい。
【0010】
本発明の硬化性樹脂組成物は、塩基性化合物をさらに含有することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
カルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有する重合体(以下、重合体(A)ということがある)は、重合体1分子中にカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有する。1級および/または2級アミノ基としては、一般式(I)で示されるものが例として挙げられる。
【0012】
【化3】
Figure 0003832690
【0013】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリール基、または、シアノ、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボアルコキシ置換のアルキル、アラルキル、アリール基であり、aは0または1、nは1以上である)
このような重合体(A)を得る方法としては、カルボキシル基含有重合体(A−1)のカルボキシル基の一部を1級および/または2級アミノ基に変性する方法、不飽和カルボン酸と(メタ)アクリル酸グリシジル等を用いて重合したカルボキシル基およびグリシジル基含有重合体のグリシジル基をアンモニア等のアミン化合物にて1級および/または2級アミノ基に変性する方法、(メタ)アクリル酸グリシジル等の不飽和グリシジル基含有単量体をアンモニア等のアミン化合物にて変性したものや、アリルアミンおよび(メタ)アクリル酸アミノエチル等の1級および/または2級アミノ基含有単量体と不飽和カルボン酸を用いて重合する方法等が挙げられる。これらの中で、カルボキシル基含有重合体(A−1)のカルボキシル基の一部を1級および/または2級アミノ基に変性する方法が最も好ましい。
【0014】
カルボキシル基含有重合体(A−1)は、少なくとも一種の不飽和カルボン酸(a−1)を含む単量体成分(a)を重合してなる。
不飽和カルボン酸(a−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、ケイ皮酸およびクロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸もしくはそのモノエステル類などを挙げることができ、これらの群から選ばれる一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0015】
不飽和カルボン酸(a−1)の含有量は、特に限定されるものではないが、重合体(A−1)中の2重量%以上が好ましい。
単量体成分(a)は、必要に応じて不飽和カルボン酸(a−1)の他に、不飽和カルボン酸(a−1)と共重合可能で、かつカルボキシル基と反応しない不飽和単量体(a−2)を使用することができる。不飽和単量体(a−2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化α,β−不飽和単量体類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体類等が挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0016】
重合体(A−1)は、単量体成分(a)を、従来公知の重合法、例えば溶液重合法、乳化重合法および懸濁重合法などにより重合される。必要に応じてメルカプタン化合物などの連鎖移動剤を用いて、重合度の制御を行ってもよい。
重合体(A−1)としては、カルボキシル基を有するものであれば特に制限はなく、溶剤溶解性、非水分散性、水溶性、水希釈性および水分散性等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0017】
重合体(A−1)中のカルボキシル基をアミノ基に変性する方法としては、アルキレンイミン(a−3)を用いる方法、ポリオキシアルキレンポリアミン等のポリアミンを用いる方法等が挙げられるが、アルキレンイミン(a−3)を用いる方法がより好ましい。
アルキレンイミン(a−3)は、下記一般式(II)
【0018】
【化4】
Figure 0003832690
【0019】
(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10はそれぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリール基または、シアノ、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボアルコキシ置換のアルキル、アリール基である)
で表されるものである。
アルキレンイミンとしては、具体的には、エチレンイミン、1,2−プロピレンイミン、1,2−ドデシレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン、フェニルエチレンイミン、ベンジルエチレンイミン、ヒドロキシエチルエチレンイミン、アミノエチルエチレンイミン、2−メチルプロピレンイミン、3−クロロプロピルエチレンイミン、メトキシエチルエチレンイミン、ドデシルアジリジニルフォルメイト、N−エチルエチレンイミン、N−(2−アミノエチル)エチレンイミン、N−(フェネチル)エチレンイミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンイミン、N−(シアノエチル)エチレンイミン、N−フェニルエチレンイミン、N−(p−クロロフェニル)エチレンイミン等を挙げることができ、これらの群から選ばれる1種または2種以上の混合物を使用することができる。中でも、エチレンイミンおよび1,2−プロピレンイミンが工業的に入手しやすく好適である。
【0020】
アルキレンイミンを用いてカルボキシル基を変性すると、−COO−基に、一般式(I)で表される1級および/または2級アミノ基が結合したもの、すなわち下記式で表される基が得られる。
【0021】
【化5】
Figure 0003832690
【0022】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、a、nは一般式(I)と同様)
ここで理論的にはnは1以上であるが、カルボキシル基とアルキレンイミンとの反応においては、反応時のカルボキシル基とアルキレンイミンの比率に関わらず、1つのカルボキシル基にアルキレンイミンが1分子反応したものと、2分子以上反応したものを含む分布のある生成物となる。したがって、平均するとnは1を越えるものとなる。
【0023】
アルキレンイミンによって変性されるカルボキシル基は、重合体(A−1)中の不飽和カルボン酸(a−1)量として1〜10重量%が好ましく、重合体(B)のオキサゾリン基との反応のために、重合体(A−1)中の不飽和カルボン酸(a−1)量として1重量%以上のカルボキシル基を残存させることが好ましい。アルキレンイミンによって変性されるカルボキシル基が、重合体(A−1)中の不飽和カルボン酸(a−1)量として1重量%未満では、形成された塗膜の密着性が低下するために好ましくなく、10重量%をこえると形成された塗膜の耐水性等の性能が低下するため好ましくない。未変性の重合体(A−1)中の不飽和カルボン酸量が1重量%未満では重合体(B)との反応に際して実質有効量とはなりえず、形成された塗膜の耐水性等の性能が低下するため好ましくない。
【0024】
本発明におけるカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有する重合体(A)において、一般式(I)のn=1である重合体(A)を得る方法としては、アリルアミンや(メタ)アクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有不飽和単量体を用いる方法が挙げられる。しかしながら、アリルアミンは他の不飽和単量体との低重合性のため、種々の用途に適した重合体(A)を得ることは困難であり、また(メタ)アクリル酸アミノエチルは、不安定な単量体のため使用には特別な配慮が必要となる。しかしながら、ここに挙げたカルボキシル基含有重合体(A−1)のカルボキシル基をアルキレンイミンによってアミノ基に変性する方法は、上記の問題がなく、カルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有する重合体(A)を容易に得ることができる優れた方法である。
【0025】
重合体(A)中のカルボキシル基は、オキサゾリン基と高い反応性を有する。したがって、一液型として好適に用いるため、あるいは二液型であっても可使時間を長くするためには、カルボキシル基を塩基性化合物で中和することが好ましい。
塩基性化合物としては、アンモニア;メチルアミン等の1級アミン;ジメチルアミン等の2級アミン;トリエチルアミン等の3級アミン;ジメチルエタノールアミン、n−ブチルアミン、ジエチルアミンなどの脂肪族アミン;シクロへキシルアミン等の環状脂肪族アミン;ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジン、N−エチルモルホリン、ピリジン等のヘテロ環状アミン;ベンジルアミン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアリニン等の芳香族アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハライド;酢酸テトラメチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩;硫酸水素テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム無機酸塩;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、モノヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の(ヒドロキシ)アルキルアンモニウムヒドロキシド;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;バリウム、ストロンチウム、カルシウム、ランタンなどの遷移金属の水酸化物、[Pt(NH3 6 ]OH4 等の錯塩の遊離塩等を挙げることができ、これらの一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0026】
上記塩基性化合物は、重合体(A)中のカルボキシル基の中和に要する理論量の0.3〜3倍モル使用されることが好ましい。塩基性化合物の量が、理論中和量の0.3倍モル未満では、未中和のカルボキシル基のために一液での安定性が低下し、塩基性化合物量が3倍モルを越えると、架橋反応性および塗膜の性能を低下させるため好ましくない。
【0027】
なお、中和を行うのは重合体(A)の段階に限られず、重合体(A−1)の段階で中和を行い、その後にアミノ基に変性して重合体(A−1)を得てもよい。
オキサゾリン基含有重合体(以下、重合体(B)ということがある)としては、下記一般式(III )
【0028】
【化6】
Figure 0003832690
【0029】
(式中、R11、R12、R13、R14はそれぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリールまたは置換アリール基であり、R15は不飽和結合を有する非環状有機基である)
で表される不飽和オキサゾリン(b−1)を必須成分として含む単量体成分(b)を重合したものが挙げられる。
【0030】
不飽和オキサゾリン(b−1)としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの群から選ばれる一種または二種以上の混合物を使用することができる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手しやすく好適である。
【0031】
不飽和オキサゾリン(b−1)の含有量は、特に限定されるものではないが、重合体(B)中の5重量%以上が好ましい。5重量%未満では形成された塗膜の耐水性等の性能が低下するため好ましくない。
単量体成分(b)は、必要に応じて不飽和オキサゾリン(b−1)の他に、不飽和オキサゾリン(b−1)と共重合可能で、かつオキサゾリン基と反応しない不飽和単量体を使用することができ、上記不飽和単量体(a−2)と同様のものを使用しうる。これらの不飽和単量体は1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0032】
重合体(B)は、単量体成分(b)を、重合体(A−1)と同様に従来公知の重合法により重合することにより得られる。必要に応じてメルカプタン化合物などの連鎖移動剤を用いて重合度の制御を行ってもよいのも同様である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記カルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有する重合体(A)、およびオキサゾリン基含有重合体(B)を含有するものである。重合体(A)と重合体(B)の混合の割合は、特に限定されるものではないが、各種基材への密着性や耐水性および耐薬品性等の優れた塗膜を形成するためには、重合体(A)中のカルボキシル基1当量に対して、重合体(B)中のオキサゾリン基を0.1〜3.0当量になるように混合することが好ましい。より好ましくは、0.3〜2.0当量である。0.1当量未満では、反応が不十分であるため形成された塗膜の耐水性等の性能が低下するため好ましくなく、3.0当量を越えると未反応の重合体(B)の増加のため、同様に形成された塗膜の耐水性等の性能が低下するため好ましくない。なお、ここでいう「重合体(A)のカルボキシル基」には、塩基性化合物で中和されたカルボキシル基を含む。
【0033】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記重合体(A)および(B)に、塩基性化合物やその他の添加剤を必要に応じて混合したものであるが、混合方法および混合順序は特に限定されない。より一液での安定性を上げるためには、重合体(A)と塩基性化合物の混合物に、重合体(B)を添加混合することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてフィラーや顔料、顔料分散剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、流動性調整剤、界面活性剤等の添加剤を使用してもよい。
【0034】
本発明の硬化性樹脂組成物は、一液型で用いてもよいし、二液型で用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合体(A)および(B)の調製に用いられる単量体成分(a)、アルキレンイミン(a−3)、塩基性化合物、および単量体成分(b)中の単量体と化合物の種類および量を適宜選択することにより、例えば、塗料、プライマーおよびアンカー剤等の表面処理剤、接着剤、粘着剤、印刷インキ等の種々の用途に好適に用いることができる。
【0035】
本発明の硬化性樹脂組成物の使用方法は公知の方法によればよく、フィルム等の基板上に塗布後、所定温度で乾燥および加熱硬化して塗膜形成すればよい。加熱硬化の際には、150℃以下の温度で加熱硬化して塗膜形成することができる。得られた塗膜は各種基材への密着性に優れたものとなる。各種基材としては特に限定されないが、ポリプロピレン、PET、ポリスチレン、木材などの有機基材;金属(たとえば、鉄、アルミニウム、銅)、ガラスなどの無機基材等が挙げられる。また、ポリスチレンでも、例えば耐熱性等の特性を付与するために、マレイミド−スチレン系の共重合体で一部変性した、変性ポリスチレン等の成形体表面に対しても、良好な密着性が得られる。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
(参考例1)(カルボキシル基含有重合体(A−1)の合成、およびカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基含有重合体(A)の合成)
攪拌機、環流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた1Lのフラスコに、イソプロピルアルコール280部とn−ブトキシエタノール126部を仕込んだ後、窒素を導入しつつ80℃に昇温した。メタクリル酸80.5部、メチルメタクリレート63部、ブチルアクリレート136.5部、スチレン70部およびアゾビスイソブチロニトリル9部からなる単量体混合物を2時間にわたって滴下した。滴下終了後、80℃で6時間熟成した後冷却し、トリエチルアミン41.4部を添加し、均一に混合して不揮発分44.4%のカルボキシル基含有重合体(A−1A)を得た。この重合体に、37%エチレンイミン水溶液61.6部を40℃以下にて30分にわたり滴下した。滴下終了後80℃に昇温し、4時間反応後冷却し、脱イオン水84部を添加し、均一に混合して不揮発分40.0%の重合体(A1)を得た。この重合体(A1)のカルボキシル基は、滴定により酸価89.9mgKOH/gであり、n=1.6であった。
(参考例2)(カルボキシル基含有重合体(A−1)の合成、およびカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基含有重合体(A)の合成)
参考例1と同様なフラスコに、脱イオン水397部と25%アニオン系活性剤(ハイテノール18E、第一工業製薬製)水溶液40部を仕込んだ後、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。アクリル酸48部、メチルメタクリレート56.8部、ブチルアクリレート157.2部およびスチレン138部からなる単量体混合物40部をフラスコ内に添加し15分攪拌を行った後、1.75%過酸化水素水溶液4.6部と3%L−アスコルビン酸水溶液4.2部を添加し、重合を開始した。重合開始15分後から残りの単量体混合物を1時間30分にわたって滴下した。この間1.75%過酸化水素水溶液41部と3%L−アスコルビン酸水溶液37部を、単量体混合物と同様に1時間30分にわたってフラスコ内に滴下した。滴下終了後、70℃で2時間熟成した後冷却し、25%アンモニア水13.6部を添加し、均一に混合して不揮発分43.9%のカルボキシル基含有重合体(A−1B)を得た。この重合体に、13%エチレンイミン水溶液220.3部を40℃以下にて60分にわたり滴下した。滴下終了後50℃に昇温し、4時間反応後冷却し、不揮発分38.0%の重合体(A2)を得た。この重合体(A2)のカルボキシル基は、滴定により酸価52.2mgKOH/gであり、n=2.5であった。
(参考例3)(カルボキシル基含有重合体(A−1)からのカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基含有重合体(A)の合成)
参考例1と同様なフラスコに、市販のアクリル系水分散樹脂(酸価50mgKOH/g、アンモニア中和、不揮発分49%)(A−1C)700部を仕込み、3.6%エチレンイミン水溶液172.9部を40℃以下にて60分にわたり滴下した。滴下終了後50℃に昇温し、4時間反応後冷却し、不揮発分40.0%の重合体(A3)を得た。この重合体(A3)のカルボキシル基は、滴定により酸価23.1mgKOH/gであり、n=1.5であった。
(参考例4)(カルボキシル基含有重合体(A−1)の調製、およびカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基含有重合体(A)の合成)
参考例1と同様なフラスコに、市販のアクリル−スチレン系樹脂(酸価235mgKOH/g)300部、イソプロピルアルコール60部、脱イオン水332.2部と25%アンモニア水71.3部を仕込み、80℃に昇温し溶解させ、不揮発分39.3%のカルボキシル基含有重合体(A−1D)を得た。均一に溶解後冷却し、エチレンイミン9部を40℃以下にて30分にわたり滴下した。滴下終了後80℃に昇温し、4時間反応後冷却し、不揮発分40.0%の重合体(A4)を得た。この重合体(A4)のカルボキシル基は、滴定により酸価182.6mgKOH/gであり、n=1.5であった。
(比較参考例1)(カルボキシル基および3級アミノ基含有重合体の合成)
参考例1と同様なフラスコに、イソプロピルアルコール280部とN−ブトキシエタノール126部を仕込んだ後、窒素を導入しつつ80℃に昇温した。メタクリル酸35部に、トリエチルアミン41.4部を冷却下に添加し中和したメタクリル酸トリエチルアミン中和物76.4部、メチルメタクリレート63部、ブチルアクリレート136.5部、スチレン70部、ジメチルアミノエチルメタクリレート45.5部およびアゾビスイソブチロニトリル9部からなる単量体混合物を2時間にわたって滴下した。滴下終了後、80℃で6時間熟成した後冷却し、不揮発分44.4%のカルボキシル基および3級アミノ基含有重合体(A1’)を得た。
(参考例5)(オキサゾリン基含有重合体(B)の合成)
参考例1と同様なフラスコに、脱イオン水547部と25%アニオン系活性剤(ハイテノールN−08、第一工業製薬製)水溶液48部を仕込み、適量の25%アンモニア水にてpHを9.0に調製した後、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。過硫酸カリウムの5%水溶液40部を添加した後、ブチルアクリレート208部、スチレン112部および2−イソプロペニル−2−オキサゾリン80部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、2時間熟成した後冷却した。冷却後適量の25%アンモニア水にてpH8.0に調整し、不揮発分40.0%のオキサゾリン基含有重合体(B−1)を得た。
(参考例6)(オキサゾリン基含有重合体(B)の合成)
参考例1と同様なフラスコに、イソプロピルアルコール400部を仕込み、窒素を導入しつつ60℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の10%水溶液200部を添加した後、エチルアクリレート80部、メチルメタクリレート120部および2−イソプロペニル−2−オキサゾリン200部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。滴下終了後、内温を70℃に昇温し、3時間熟成した後冷却した。冷却後適量の25%アンモニア水にてpH8.0に調整し、不揮発分40.0%のオキサゾリン基含有重合体(B−2)を得た。
(実施例1〜8および比較例1〜9)
カルボキシル基含有重合体(A−1)、カルボキシル基および1級および/または2級アミノ基含有重合体(A)およびオキサゾリン基含有重合体(B)を用いて、表1に示した配合組成において、硬化性樹脂組成物を調製した。
【0037】
これらの組成物を、下記方法による評価を行い、評価結果を表1に併記した。なお、乾燥条件は全て120℃で30分とした。
密着性1:コロナ放電処理OPPフィルムとPETフィルム上に、組成物をNo.5のバーコーターにて塗布後加熱乾燥させ、冷却後に粘着テープを塗膜上に貼った後、強制剥離を行った。
【0038】
◎;剥離なし、○;僅かに剥離、△;一部剥離、×;剥離
密着性2:ガラス板、鉄板およびポリスチレン(PS)フィルム上に、組成物をNo.28バーコーターにて塗布後加熱乾燥させた。冷却後にカッターナイフとガイドを用いて1mm角の碁盤目100個を塗膜に入れ、粘着テープを碁盤目上に貼った後、強制剥離を行った。基材上に剥離せず残存した碁盤目角の数を測定した。また、基材として板状のポリスチレンや、マレイミド−ポリスチレン系の共重合体で一部変性した変性ポリスチレン等の熱可塑性プラスチックの成形体表面に対しても、上記と同様な密着性テストを行った。その結果、上記の各種基材に対するテスト結果と同様に、密着性は良好であった。上記のマレイミド変性ポリスチレンの組成としては特に限定するものではない。例えば、被試験体はポリスチレンとN−シクロヘキシルマレイミド−スチレン共重合体との変性物で、その重量比が、ポリスチレン/N−シクロヘキシルマレイミド−スチレン共重合体で60/40のものを用いた。さらに当該N−シクロヘキシルマレイミド−スチレン共重合体の組成は、N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの重量比で20/80のものを用いた。これら成形体は、通常の射出成形装置で、2mmの厚みの板状の成形品を成形して得ることができる。
【0039】
耐溶剤性:上記密着性2と同様にガラス板上に塗膜を形成させた後、メチルエチルケトンをしみこませた脱脂綿にて50回のラビングを行い、塗膜の状態を観察した。
◎;変化なし、○;僅かにキズ、△;艶引け等変化、×;塗膜の破れまたは溶解
耐水性:上記密着性2と同様にガラス板上に塗膜を形成させた後、塗膜上にガラスの円柱を立て、脱イオン水を入れて常温で16時間の耐水スポット試験を行った。
【0040】
◎;変化なし、○;僅かに蛍光、△;白化またはブリスター等変化、×;塗膜の破れまたは溶解
貯蔵安定性:組成物を50℃の恒温槽にて3日間貯蔵し、組成物の変化を観察した。
◎;変化なし、○;僅かに増粘、△;増粘、×;ゲル化
【0041】
【表1】
Figure 0003832690
【0042】
1):80%エピクロンEM−85(ビスフェノールA型エポキシ、油化シェルエポキシ製)分散液
2):ポリスチレンのみの成形体
3):ポリスチレンとN−シクロヘキシルマレイミド−スチレン共重合体との変性物の成形体
【0043】
【発明の効果】
本発明によると、従来のカルボキシル基含有重合体とオキサゾリン基含有重合体を含む硬化性樹脂組成物が有する良好な耐水性および耐薬品性を損なうことなく、150℃以下の低温にて各種基材への密着性に優れた塗膜を形成することができ、かつ安全に使用可能な硬化性樹脂組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. カルボキシル基含有重合体とオキサゾリン基含有重合体を含む硬化性樹脂組成物において、該カルボキシル基含有重合体が1級および/または2級アミノ基を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 1級および/または2級アミノ基が、下記一般式(I)で表されるものである請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 0003832690
    (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリール基、または、シアノ、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボアルコキシ置換のアルキル、アラルキル、アリール基であり、aは0または1、nは1以上である)
  3. 1級および/または2級アミノ基を含有するカルボキシル基含有重合体が、カルボキシル基を含有する重合体のカルボキシル基の一部をアルキレンイミンを用いて1級および/または2級アミノ基に変性したものである請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 塩基性化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
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