JP3837618B2 - 縫製装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は縫製装置に関し、特に、縫製装置のカセット装着部に糸カセットが着脱される際に、糸カセットから導出される糸の糸調子の調節を確実に且つ良好に行えるように改善した技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、糸駒を収容した糸カセットをカセット装着部に着脱自在に装着し、その糸カセットから延びる糸を上糸として使用するようにした縫製装置が実用に供されている。カセット装着部に装着された糸カセットから導出される糸が、1対の糸調子皿の間に掛けられ、この糸調子皿から延びる糸が天秤に掛けれ、天秤から延びる糸が縫針の針穴に通されてセットされる。
【0003】
この種の縫製装置において、糸カセットをカセット装着部に装着する際に、糸カセットから導出される糸が1対の糸調子皿の間に自動的に掛かるようにしたものが存在する。但し、縫製可能な状態にするためには、1対の糸調子皿の間に糸が掛かった状態で、1対の糸調子皿を閉じて糸を挟持する必要がある。また、カセット装着部から糸カセットを取り外す際には、1対の糸調子皿を開放してこれら糸調子皿から糸を解き放す必要がある。
【0004】
そこで、本願出願人はカセットの着脱動作に機械的に連動して作動する糸調子皿開閉機構を備えた縫製装置を出願している(特願2002−398263号公報)。この縫製装置においては、糸カセットがカセット装着部に装着されていないとき、1対の糸調子皿は閉じた状態に保持されており、カセット装着部に糸カセットを装着していくと糸調子皿開閉機構が作動し、先ず、1対の糸調子皿が開放される。
【0005】
次に、糸カセットから導出される糸が1対の糸調子皿の間に掛かり、それと共に1対の糸調子皿が閉じられて、これら糸調子皿の間に糸が挟持される。また、糸カセットをカセット装着部から取り外す際には、前記とほぼ逆の動作が糸調子皿開閉機構により行われて、1対の糸調子皿から糸が解き放される。
【0006】
ここで、米国特許第3749039号公報には、前記糸調子皿開閉機構の一部に相当する回動可能な案内部材を糸調子皿側に設け、糸カセットを着脱することにより案内部材を回動させて、1対の糸調子皿を開閉させる技術が開示されている。また、布を押える押え足を上げることにより、1対の糸調子皿が開放する技術は存在する。また、糸カセットをカセット装着部から取り外す為に操作されるレバーを設けることも考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、糸カセットをカセット装着部に着脱する動作に機械的に連動して作動する糸調子皿開閉機構を備えた縫製装置では、この糸調子皿開閉機構と糸調子皿は、作業者が糸カセットをカセット装着部に着脱する操作により作動することになり、その作動させる力を発生させなければならない作業者の負荷が大きくなり、これにより、糸カセットをカセット装着部に着脱する際の円滑性を高めるのに限界が生じる。
【0008】
特に、本願出願人が出願した前記縫製装置では、糸カセットをカセット装着部に装着する際に、1対の糸調子皿が閉じている状態から開放して再び閉じるという動作を行うため、これらの開閉タイミングを適正なタイミングに設定することが難しく、糸カセットから導出される糸が1対の糸調子皿の間に確実に掛かり、これら糸調子皿の間に糸を確実に挟持させることができないという虞があり、こうなると、もう一度、糸カセットの装着作業をやり直すことになり非常に手間がかかる。
【0009】
本発明の目的は、作業者が糸カセットをカセット装着部に着脱する際の負荷を軽減して円滑性を高め、しかも、糸カセットから導出される糸の良好な糸調子の調節を確実に且つ良好に行うことができる縫製装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の縫製装置は、糸供給源を収容する糸収容部を有する糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部を備えた縫製装置において、前記糸カセットから導出される糸の糸調子を調節する糸調子手段であって、1対の糸調子皿とこの糸調子皿を開閉駆動させる為の電動アクチュエータとを有する糸調子手段と、前記糸カセットをカセット装着部から取外す為に操作される取外操作手段と、前記縫製装置に電源が投入されている状態で前記取外操作手段が操作された場合に、前記糸調子手段の糸調子皿を開放させるように前記電動アクチュエータを制御する糸調子制御手段と、前記取外操作手段と連動して作動し、前記縫製装置に電源が投入されていない状態で前記取外操作手段が操作されたときに前記糸調子手段の糸調子皿を開放状態にする糸調子開放機構とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
糸調子手段により糸カセットから導出される糸の糸調子が調節される。縫製装置に電源が投入されている状態で取外操作手段が操作されると、糸カセットがカセット装着部から取外されるが、取外操作手段が操作された場合に、糸調子制御手段により糸調子手段の電動アクチュエータが制御されて前記糸調子が開放される。これにより、作業者が糸カセットをカセット装着部から取り外す際の負荷を軽減して円滑性を高め、糸カセットから導出される糸の糸調子の調節を確実に且つ良好に行うことが可能になる。
【0012】
前記取外操作手段が操作されたことを検出するリミットスイッチ等の検出手段を設け、この検出手段からの信号に基づいて、糸調子制御手段が糸調子手段の電動アクチュエータを制御するようにしてもよい。この場合、検出手段は、取外操作手段が操作されたことを直接的に検出するものであってもよいし、糸カセットがカセット装着部から取り外されたことを検出するものであってもよい。
取外操作手段が操作された場合に、糸調子制御手段により電動モータが制御されて糸調子手段が開放されるため、糸カセットから導出される糸が糸調子手段から確実に解き放されて、糸が糸調子手段に引っ掛かることなく、カセット装着部からの糸カセットの取り外しをスムーズに行うことができる。
縫製装置に電源が投入されていない状態で取外操作手段が操作されたとき、その取外操作手段と連動して糸調子開放機構が作動し、この糸調子解放機構により糸調子手段が開放状態に切り換えられる。この糸調子解放機構による糸調子開放タイミングを、糸調子制御手段による糸調子開放タイミングよりも早めに設定することが望ましく、取外操作手段が操作された場合には、糸調子手段を敏速に開放状態にして、糸カセットの取り外しに備えることができる。電源が入っていない状態で、糸調子制御手段が機能しない場合にも、取外操作手段が操作された場合に、糸調子手段を開放させることができるため、糸カセットから導出される糸が糸調子手段に引っ掛かることなく、カセット装着部からの糸カセットの取り外しをスムーズに行うことができる。
【0013】
請求項2の縫製装置は、請求項1の発明において、前記糸カセットが前記カセット装着部に装着されたことを検出するカセット検出手段と、前記カセット検出手段により前記糸カセットが検出された時から所定時間経過した後に、前記糸に張力を付与するように前記電動アクチュエータを制御する糸調子制御手段とを備えたこと特徴とするものである。糸調子手段により糸カセットから導出される糸の糸調子が調節される。糸カセットがカセット装着部に装着されると、その糸カセットがカセット検出手段により検出され、その検出時から所定時間経過した後に、糸調子制御手段により糸調子手段の電動アクチュエータが制御されて、糸カセットから導出される糸に張力が付与される。
カセット検出手段により糸カセットが検出されてから所定時間経過した後に、糸調子手段により糸カセットから導出される糸に張力が付与されるようにしたので、糸を確実に糸調子手段に掛けて、その糸を糸調子手段で確実に挟持させることができる。
前記糸調子手段は、1対の糸調子皿と、これら糸調子皿を開閉させる電動モータ等のアクチュエータを有するので、この場合、1対の糸調子皿の間に糸カセットから導出される糸が掛けられた状態で、これら糸調子皿を閉じることにより、その糸に張力が付与されるようになる。
【0014】
請求項3の縫製装置は、請求項2の発明において、前記所定時間を30msec以下に設定したことを特徴とするものである。ここで、糸調子手段が開放状態になるのと連動して、針棒が所定の待機位置に切り換えられるように構成してもよい。
【0015】
実験的に、前記所定時間を30msecよりも大きくした場合には、糸カセットの装着動作に対してずれた針棒の作動となって、作業者がビックリする虞があるが、前記所定時間を30msec以下という微小な時間に設定することにより、針棒も糸カセットの装着と同時にほぼ作動することになり、不意に針棒が作動してビックリするという問題を解決することができる。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態は、糸供給源を収容する糸収容部を有する糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部を備えた家庭用ミシンに、本発明を適用した場合の一例である。
【0026】
図1〜図4に示すように、家庭用のミシンMは、水平なベッド面を有するベッド部1と、ベッド部1の右端部分に立設された脚柱部2と、脚柱部2の上部からベッド部1と対向するように左方へ延びるアーム部3と、アーム部3の左端部分に設けられた頭部4とを有する。頭部4には、糸カセット10が着脱自在に装着されるカセット装着部5が設けられ、カセット装着部5に装着された糸カセット10から導出される糸11が上糸として使用される。
【0027】
アーム部3(の頭部4)には、縫製開始スイッチ、縫製終了スイッチ、等々の操作スイッチ類6(図14参照)が設けられている。また、アーム部3には、画面を正面に向けた液晶ディスプレイ7が設けられ、その液晶ディスプレイ7の表面にタッチパネル8(図14参照)が設けられている。
【0028】
図2、図4、図9、図10に示すように、頭部4には、針棒12、天秤13、糸カセット10から導出される糸11の糸調子を調節する糸調子機構14、取外操作部材60が操作された場合に糸調子機構14を開放状態にする糸調子開放機構15、糸カセット10をカセット装着部5に装着する際に糸11を針棒12に装着された縫針12aの針穴に自動的に糸通しする糸通し機構16、糸カセット10をカセット装着部5に装着する際に糸11を針棒12の糸掛け部等に自動的に糸掛けする糸掛け機構17、針棒12を上下動させる針棒上下動機構18、針棒12を揺動させる針棒揺動機構19、天秤駆動機構等が設けられている。
【0029】
図3、図4に示すように、カセット装着部5に装着された糸カセット10から導出される糸11は、糸調子機構14の1対の糸調子皿41,42の間の糸調子軸40(図11等参照)に上側から掛けられ、その糸調子軸40から下流側へ延びる糸11が天秤13に掛けられ、天秤13から下流側へ延びる糸11が針棒12に装着された縫針12aの針穴に通されて縫製可能にセットされる。
【0030】
一方、ベッド部1にはボビン装着部(図示略)が設けられ、このボビン装着部に装着されたボビン(図示略)から延びる糸が下糸として使用される。また、ベッド部1には、釜機構(図示略)が設けられている。上糸と下糸を縫製可能にセットした状態で、ミシンモータ9(図14参照)が駆動されると、針棒上下動機構18により針棒12が上下動され、これに同期して釜機構が駆動されて、その釜機構によりベッド部1の針板1aよりも下側に下降した縫針12a付近の上糸11が引っ掛けられ、その上糸11と下糸とが交絡して縫目が形成される。
【0031】
ここで、糸カセット10について説明する。
図5〜図8に示すように、糸カセット10は、カセット本体20と、カセット本体20に枢着された開閉部材21とを有し、これらの内部に糸供給源である糸駒22を収容する糸収容部23が形成されている。開閉部材21には糸立棒24が取り付けられ、開閉部材21を前側へ開くと(図7参照)、糸立棒24への糸駒22の着脱が可能になり、糸駒22が糸立棒24に装着された状態で、開閉部材21を閉めるとその糸駒22が収容部23に収容される。
【0032】
糸駒22からは糸11が上側へ延びて収容部23外に導出され、そこから、カセット本体20と開閉部材21の左端間の糸経路25を通って、糸カセット10の左下端部の糸掛け部26aに導かれてそこに掛けられ、そこから右方へ延びて仕切壁27の下端部の糸掛け部26bと糸カセット10の右下端部の糸掛け部26cに掛けられ、そこから前方へ延びてから糸掛け部26dに掛けられてUターンし、左方へ延びて糸保持部28に保持されて、更に左方へ延びる糸11は、糸保持部28の左側の刃29で切断された状態の糸端が刃29の近くの糸掛け部26eに掛けられる。
【0033】
以上のように糸11をセットした糸カセット10は、カセット装着部5に装着された状態のものでなく、カセット装着部5に装着するために準備された状態のものである。さて、この糸カセット10の右端部分には、後方と下方を開口した天秤ガイドスペース30がほぼ上下全長に亙って形成され、糸カセット10の下端部分の中央部分に下方を開口した糸調子スペース31が形成され、これらのスペース30,31が仕切壁27により仕切られている。
【0034】
カセット装着部5には糸カセット10を下降させて挿入していくが、その際に、天秤ガイドスペース30に天秤13とこの天秤13をガイドする天秤ガイド13a(図2等参照)が下側から入り込み、糸調子スペース31に糸調子機構14の糸調子軸40と1対の糸調子皿41,42が下側から入り込む。尚、糸調子軸40等が糸カセット10と干渉しないように、カセット本体20の後壁下端部に切欠き20aが形成されている。糸カセット10をカセット装着部5に少し挿入したところで、先ず、天秤ガイドスペース30に入り込んだ天秤13に、糸11の糸掛け部26b,26cの間の糸部分11aが引っ掛かる。
【0035】
その後、糸カセット10をカセット装着部5に挿入していくと、前記糸部分11aが掛かった天秤13に対して糸掛け部26a,26bが下降していくが、この糸部分11aよりも下流側の糸11は糸保持部28に保持された状態が維持されるため、糸収容部23の糸駒22から糸11が引き出されていって、例えば、糸カセット10を2/3程度挿入したときの糸部分11aは図1、図2のような山型になる。糸カセット10をカセット装着部5に装着すると、図3、図4に示すように、糸掛け部26a,26bの間の糸部分11bが、糸調子スペース31に入り込んだ1対の糸調子皿41,42の間の糸調子軸40に引っ掛かる。
【0036】
次に、糸調子機構14について説明する。
図9〜図13に示すように、糸調子機構14は、フレーム40aに固定されて前方へ延びる糸調子軸40と、糸調子軸40に固定的に外嵌された前糸調子皿41と、前糸調子皿41に面接触可能に糸調子軸40に外嵌された後糸調子皿42と、糸調子軸40に外装されて後糸調子皿42を前方の前糸調子皿41に付勢する圧縮コイルバネからなる糸調子バネ42aと、1対の糸調子皿41,42を開閉させるパルスモータ44(これが電動アクチュエータに相当する)を含む開閉機構部43とを有する。
【0037】
図12、図13に示すように、開閉機構部43は、パルスモータ44、駆動ギヤ45、カム部材46、リンク部材47、連桿部材48、回動リンク部材49、引っ張りコイルバネ50、押動リンク部材51、開放レバー部材52を有する。パルスモータ44の出力軸に固着された駆動ギヤ45がカム部材46のギヤ部46aに噛合している。リンク部材47はその中央部が支軸47aを介して前後軸心回りに枢支されて、上端部のカム従動子47bがカム部材46のカム溝46bに係合し、下端部のピン47cが、連桿部材48の中央部分の長穴48aに係合している。連桿部材48は左右方向へ移動自在にガイド支持されている。
【0038】
回動リンク部材49は、その中央部が支軸49aを介して鉛直軸心回りに枢支されて、引っ張りコイルバネ50により反時計回り方向へ付勢されている。回動リンク部材49の後端部の係合部49bが、連桿部材48の左端の長穴49bに係合し、回動リンク部材49の右端部のピン49cが押動リンク部材51の中央部の長穴51bに係合している。押動リンク部材51はその右端部が支軸51aを介して鉛直軸心回りに枢支され、開放レバー部材52は後糸調子皿42に固定されている。
【0039】
図12に示すように、カム溝46bの同径のカム溝部46b1にカム従動子47bが係合しているとき、1対の糸調子皿41,42が閉じた状態になる。カム溝部46b1は約80度に亙って形成され、カム従動子47bがカム溝部46b1に係合した状態を維持して、前記約80度に対応する角度範囲でパルスモータ44を駆動することができる。
【0040】
これは、パルスモータ44と駆動ギヤ45が針棒揺動機構19の一部として兼用されているからであり、これにより、1対の糸調子皿41,42を閉じた状態にしたまま、針棒12を揺動させることが可能になる。尚、針棒揺動機構19は、パルスモータ44、駆動ギヤ45、駆動ギヤ45に噛合するギヤ19a、ギヤ19aに固定的に設けられたカム19bを有し、回転するカム19bにより針棒12の揺動動作を発生させるようにしている。
【0041】
一方、図13に示すように、パルスモータ44が駆動されて、カム部材46が矢印で示す時計回り方向へ回動され、カム溝46bのカム溝部46b2にカム従動子47bが係合して、カム部材46の中心側へ移動していくと、リンク部材47、連桿部材48、回動リンク部材49が連動して矢印の方向へ移動し、前方へ移動する押動リンク部材51の左部のレバー部51cにより開放レバー部材52が前方へ押動され、これにより、後糸調子皿42が傾くように移動して1対の糸調子皿41,42はこれらの間に隙間ができて開放される。
【0042】
1対の糸調子皿41,42が開放した状態で、糸カセット10がカセット装着部5に装着されると、糸カセット10から導出される糸11の前記糸部分11bが、1対の糸調子皿41,42の間の糸調子軸40に引っ掛かる。そして、パルスモータ44が駆動されて、カム部材46が矢印と反対の反時計回り方向へ回動されると、引っ張りコイルバネ50の付勢力により、回動リンク部材49が元の位置に戻るため、糸調子バネ42aにより1対の糸調子皿41,42が閉じる。尚、1対の糸調子皿41,42が開放した状態で、針棒12は図9に鎖線で示す左基線位置に移動された状態になる。
【0043】
この糸調子機構14の開閉機構部43を介して1対の糸調子皿41、42の開閉制御を行うために、糸カセット10がカセット装着部5に装着されたことを検出するカセット検出手段としてのカセット検出スイッチ72(図14参照)が設けられている。このカセット検出スイッチ72は、例えば、リミットスイッチからなり、カセット装着部5の下端付近部に取り付けられて、カセット装着部5に糸カセット10が装着された状態でONになり、糸カセット10が取り外された状態でOFFになる。
【0044】
次に、糸調子開放機構15について説明する。
図9、図12(a)、図13(a)に示すように、糸調子開放機構15は、糸カセット10をカセット装着部5から取外す為に操作される取外操作手段としての取外操作部材60と、この取外操作部材60の操作力を伝達するリンク機構を含む操作力伝達機構部61と、この操作力伝達機構部61を介して伝達された操作力で前方へ移動される糸開放部材62とを有する。
【0045】
取外操作部材60が操作されて、糸開放部材62が前方へ移動すると、糸開放部材62の押動部62aにより押動リンク部材51のレバー部51cが前方へ押され、これにより、前記同様に、1対の糸調子皿41,42が開放される。このとき、回動リンク部材49は時計回り方向へ回動し、その係合部49bが右方へ移動するが、係合部49bは連桿部材48の長穴48bに対して右方へ移動可能に係合しているため、連桿部材48は移動されることはない。
【0046】
次に、ミシンMの制御系について説明する。
図14に示すように、ミシンMの制御装置70は、CPU70a、ROM70b、RAM70c、入力インターフェース70d、出力インターフェース70eを有する。入力インターフェース70dに、操作スイッチ類6、タッチパネル8、主軸回転角検出センサ71、カセット検出スイッチ72が電気的に接続され、出力インターフェース70eに、ミシンモータ9、パルスモータ44、液晶ディスプレイ7、ランプ類73を夫々駆動する為の駆動回路74a〜74dが電気的に接続されている。尚、制御装置70が本発明の糸調子制御手段に相当する。
【0047】
図15に示すように、ROM70bには、ミシンMの制御プログラムが格納されており、その制御プログラムは、縫製する為の縫製制御プログラム、カセット装着部5に糸カセット10を着脱する為の糸調子制御プログラムと針棒位置制御プログラムを含むカセット着脱制御プログラム、液晶ディスプレイ7に各種情報を表示させる為の表示制御プログラム等を備えている。
【0048】
カセット着脱制御プログラムは、カセット検出スイッチ72により糸カセット10が検出された時から所定時間(30msec)経過した後に、糸カセット10から導出される糸11に張力を付与するように糸調子機構14を制御可能に構成した第1ルーチンと、取外操作部材60が操作された場合に、糸11の糸調子を所定の糸調子(0:開放状態)にするように糸調子機構14を制御可能に構成した第2ルーチンとを備えている。
【0049】
次に、制御装置70が実行するカセット着脱制御を含む制御について、図16、図17のフローチャートに基づいて説明する。但し、フローチャート中のSi(i=1、2、3・・・)は各ステップを示す。尚、S1〜S4、S6〜S12が前記第1ルーチンが相当し、S14〜S19が前記第2ルーチンに相当する。
【0050】
図16に示すように、この制御は、1msec毎のインターバル割り込みにより開始され、ミシンモータ9が停止中のとき(S1;Yes )S2へ移行し、主軸角度が糸カセット挿入可能角度範囲のとき(S2;Yes )S3へ移行し、カセット検出スイッチ72がONになって、糸カセット10がカセット装着部5に装着されたと判断されると(S3;Yes )S4へ移行して、針振りカウンターTに30(msec)がセットされ(S4)S5へ移行する。S1〜S3の何れかがNoの判定のときには、その後S5へ移行する。
【0051】
ここで、主軸の回転角度は、針棒12(縫針12a)が上限位置となる針上位置の主軸の回転角度を0度(360度)として、エンコーダ等からなる主軸回転角検出センサ71からの情報に基づいて演算され、S2における糸カセット挿入可能角度範囲として、例えば、20〜50度が予め設定されている。
【0052】
S5のその他のインターバル処理の後、カセット検出スイッチ72がON状態で、糸カセット10がカセット装着部5に装着されているとき(S6;Yes )S7へ移行し、主軸角度が針振り可能角度範囲のときに(S7;Yes )S8へ移行する。ここで、S7における針振り可能角度範囲とてし、基本的には縫針12aが針板1aよりも上側に位置する回度範囲とすればよいが、例えば、280〜75度が予め設定されている。
【0053】
次に、針振りカウンターTが0でないとき(S8;No)S9へ移行し、針振りカウンターTが(T−1)にディクリメントされ(S9)S10へ移行し、針振りカウンターTが0のときには(S10;Yes )S11へ移行する。S6〜S8、S10の何れかがNoの判定のときには、その後S13へ移行する。
【0054】
S10がYes の判定のとき、次にS11において、パルスモータ44の駆動が開始され
て、カム部材13が図12(a)に示す位置に回動され、これにより、針棒12が糸カセット挿入可能位置(左基線位置であり、針穴への糸通し機構16による糸通しが良好に行える位置である)から正規の針振り位置(例えば、針棒が鉛直となる中立位置)へ動かされ、これと共にS12において、1対の糸調子皿41,42が閉じられ、S14へ移行する。
【0055】
図17に示すように、S13のその他のインターバル処理の後、糸カセット10がカセット装着部5から抜かれたと判断されると(S14;Yes )、ミシンモータ9が作動中のときには(S15;Yes )、ミシンモータ9の駆動停止処理(S16)が行われた後、主軸角度が前記針振り可能角度範囲のときには(S17)S18へ移行する。
【0056】
S18においては、パルスモータ44の駆動が開始されて、カム部材13が図12(a)に示す位置に回動され、これにより、針棒12が前記正規の針振り位置から前記糸カセット挿入可能位置へ動かされ、これと共にS19において、1対の糸調子皿41,42が開放され、その後、その他のインターバル処理(S20)が行われた後に終了する。S14、S17においてNoの判定のときには、その後S20へ移行する。
【0057】
以上のように、このミシンMによれば、糸駒22を収容する糸収容部23を有する糸カセット10が着脱自在に装着されるカセット装着部5を備えたものであり、糸カセット10から導出される糸11の糸調子を調節する糸調子機構14と、糸カセット10がカセット装着部5に装着されたことを検出するカセット検出スイッチ72とを設け、制御装置70により、カセット検出スイッチ72により糸カセット10が検出された時から所定時間(30msec)経過した後に、糸11に張力を付与するように糸調子機構14を制御するようにした。
【0058】
従って、カセット検出スイッチ72により糸カセット10が検出されてから所定時間(30msec)経過した後に、糸調子機構14により糸カセット10から導出される糸11に張力が付与されるようにしたので、糸11を確実に糸調子機構14の糸調子軸40に掛けて、その糸11を糸調子機構14の1対の糸調子皿41,42で確実に挟持させることができる。つまりは、糸カセット10から導出される糸11の糸調子の調節を確実に且つ良好に行うことが可能になる。
【0059】
前記所定時間を30msecよりも大きくした場合には、糸カセット10の装着動作に対してずれた針棒12の、前記糸カセット挿入可能位置から正規の針振り位置への作動となって、作業者がビックリする虞があるが、前記所定時間を30msecに設定することにより、針棒12も糸カセット10の装着と同時にほぼ作動することになり、不意に針棒12が作動してビックリするという問題を解決することができる。
【0060】
また、このミシンMによれば、糸カセット10をカセット装着部5から取外す為に操作される取外操作部材60を設け、制御装置70により、取外操作部材60が操作された場合に、糸11の糸調子を所定の糸調子にするように、つまり、取外操作部材60が操作された場合に、糸調子機構14の1対の糸調子皿41,42を開放させるように、糸調子機構14を制御するようにした。
【0061】
制御装置70により糸調子機構14が制御されて開放されるため、糸カセット10から導出される糸11が糸調子機構14から確実に解き放されて、糸が糸調子機構14に引っ掛かることなく、カセット装着部5からの糸カセット10の取り外しをスムーズに行うことができ、作業者が糸カセット10をカセット装着部5から取り外す際の負荷を軽減して円滑性を高め、糸カセット10から導出される糸11の糸調子の調節を確実に且つ良好に行うことが可能になる。
【0062】
しかも、このミシンMでは、取外操作部材60と連動して作動し、取外操作部材60が操作されたときに糸調子機構14の1対の糸調子皿41,42を開放状態にする糸調子開放機構15を設けた。この糸調子開放機構15による糸調子開放タイミングを、制御装置70による糸調子開放タイミングよりも早めに設定することにより、取外操作部材60が操作された場合には、糸調子機構14の1対の糸調子皿41,42を敏速に開放状態にして、糸カセット10の取り外しに備えることができる。
【0063】
また、電源が入っていない状態で、糸調子機構14の制御装置70による制御が機能しない場合にも、取外操作部材60が操作された場合に、糸調子機構14の1対の糸調子皿41,42を開放させることができるため、糸カセット10から導出される糸11が糸調子機構14に引っ掛かることなく、カセット装着部5からの糸カセット10の取り外しをスムーズに行うことができる。
【0064】
次に、変更形態について説明する。
1]前記実施形態の糸カセットは一例を開示したもにすぎず、適用可能な糸カセットとして、例えば、糸駒等に糸を巻いた糸供給源ではなく、糸を塊状にした糸供給源を収容部に収容して使用する糸カセットとしてもよい。また、糸収容部を覆う壁を少なくとも1つ省略し、糸立棒等の保持部に糸駒等を保持して収容するようにしてもよい。
【0065】
2]前記糸調子開放機構15を省略し、取外操作部材60が操作されても、その操作力で糸調子機構14が開放されないようにしてもよい。
3]取外操作部材60が操作されたことを直接検出する検出スイッチを設け、この検出スイッチにより、取外操作部材60が操作されたこと(つまり、糸カセット10がカセット装着部5から取り外されたことを間接的に)検出して、糸調子機構14を制御して1対の糸調子皿41,42を開放するように制御するようにしてもよい。
4]前記所定時間として,30msec以外の時間(例えば、20msec、40msec等の種々の時間)を予め設定するようにしてもよい。
【0066】
5]前記糸調子機構14と針棒揺動機構19において、パルスモータ44を共通のアクチュエータとする必要はなく、これら機構14,19に夫々独立の電動モータ等のアクチュエータを設けた構成にしてもよい。更に、このように構成した場合には、ユーザーが糸調子の設定を変更操作したときには、その変更された糸調子になるように、この糸調子機構14の為の独立のアクチュエータを作動させるようにする。即ち、縫製のために糸調子を自動的に変化させるアクチュエータで、糸カセット排出時の糸調子を開放するように構成してもよい。
6]この場合、糸調子機構14の1対の糸調子皿41,42を開放させる為のアクチュエータとしてソレノイドアクチュエータを適用してもよい。この場合、ソレノイドアクチュエータで糸調子皿42を直接的に押動して、1対の糸調子皿41,42を開放させるようにしてもよい。
【0067】
7]制御装置70のROM70bに格納されている、糸調子制御プログラムを含むカセット着脱制御プログラムは、前記ミシンMと同等のミシンに適用できるものであり、このカセット着脱制御プログラム、或いは、その中の糸調子制御プログラム自体を、インターネットを介して、或いは、CDやMDやFD等の記録媒体に記録してその記録媒体と共にユーザー等に供給してもよい。
8]その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加して実施可能である。
【0068】
【発明の効果】
請求項1の縫製装置によれば、糸カセットから導出される糸の糸調子を調節する為に1対の糸調子皿とこの糸調子皿を開閉駆動させる電動アクチュエータとを有する糸調子手段と、糸カセットをカセット装着部から取外す為に操作される取外操作手段と、縫製装置に電源が投入されている状態で取外操作手段が操作された場合に、前記糸調子手段の糸調子皿を開放するように電動アクチュエータを制御する糸調子制御手段とを設けたので、作業者が糸カセットをカセット装着部から取り外す際の負荷を軽減して円滑性を高め、糸カセットから導出される糸の糸調子の調節を確実に且つ良好に行い、糸カセットをカセット装着部からスムーズに取り外すことが可能になる。
【0069】
糸調子制御手段は、縫製装置に電源が投入された状態で取外操作手段が操作された場合に前記糸調子手段の糸調子皿を開放させるので、糸カセットから導出される糸が糸調子手段から確実に解き放されて、糸が糸調子手段に引っ掛かることなく、カセット装着部からの糸カセットの取り外しをスムーズに行うことができる。
【0070】
取外操作手段と連動して作動し、縫製装置に電源が投入されていない状態で取外操作手段が操作されたときに前記糸調子手段の糸調子皿を開放状態にする糸調子開放機構を設けたので、この糸調子開放機構による糸調子開放タイミングを、糸調子制御手段による糸調子開放タイミングよりも早めに設定することができ、取外操作手段が操作された場合には、糸調子手段を敏速に開放状態にして、糸カセットの取り外しに備えることができる。また、電源が入っていない状態で、糸調子制御手段が機能しない場合にも、取外操作手段が操作された場合に、糸調子手段を開放させることができるため、糸カセットから導出される糸が糸調子手段に引っ掛かることなく、カセット装着部からの糸カセットの取り外しをスムーズに行うことができる。
【0071】
請求項2の縫製装置によれば、糸カセットがカセット装着部に装着されたことを検出するカセット検出手段と、カセット検出手段により糸カセットが検出された時から所定時間経過した後に、前記糸に張力を付与するように糸調子手段を制御する糸調子制御手段とを設けたので、カセット検出手段により糸カセットが検出されてから所定時間経過した後に、糸調子手段により糸カセットから導出される糸に張力が付与されるようになり、糸を確実に糸調子手段に掛けて、その糸を糸調子手段で確実に挟持させ、つまりは、糸カセットから導出される糸の糸調子の調節を確実に且つ良好に行うことが可能になる。
【0072】
請求項3の縫製装置によれば、前記所定時間を30msec以下に設定したので、前記所定時間を30msecよりも大きくした場合には、糸カセットの装着動作に対してずれた針棒の作動となって、作業者がビックリする虞があるが、前記所定時間を30msec以下という微小な時間に設定することにより、針棒も糸カセットの装着と同時にほぼ作動することになり、不意に針棒が作動してビックリするという問題を解決することができる。
【0073】
【0074】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るミシン(糸カセット装着途中状態)の正面図である。
【図2】ミシン(糸カセット装着途中状態)の頭部を切り欠いた正面図である。
【図3】ミシン(糸カセット装着状態)の正面図である。
【図4】ミシン(糸カセット装着状態)の頭部を切り欠いた正面図である。
【図5】糸カセットの正面図である。
【図6】糸カセットの背面図である。
【図7】糸カセット(開閉部材開放状態)の左側面図である。
【図8】糸カセットの底面図である。
【図9】ミシンの頭部内の前側の正面図である。
【図10】ミシンの頭部内の前側の正面図である。
【図11】糸調子機構の糸調子皿等の平面図である。
【図12】糸調子機構を閉じた状態の(a)は平面図(b)は側面図である。
【図13】糸調子機構を開放した状態の(a)は平面図(b)は側面図である。
【図14】ミシンの制御系のブロック図である。
【図15】制御装置のROMに格納されているプログラムを示す図表である。
【図16】糸調子制御を含むフローチャートの前半である。
【図17】糸調子制御を含むフローチャートの後半である。
【符号の説明】
M ミシン
5 カセット装着部
10 糸カセット
14 糸調子機構
15 糸調子開放機構
22 糸駒
23 糸収容部
60 取外操作部材
70 制御装置
72 カセット検出スイッチ

Claims (3)

  1. 糸供給源を収容する糸収容部を有する糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部を備えた縫製装置において、
    前記糸カセットから導出される糸の糸調子を調節する糸調子手段であって、1対の糸調子皿とこの糸調子皿を開閉駆動させる為の電動アクチュエータとを有する糸調子手段と、
    前記糸カセットをカセット装着部から取外す為に操作される取外操作手段と、
    前記縫製装置に電源が投入されている状態で前記取外操作手段が操作された場合に、前記糸調子手段の糸調子皿を開放させるように前記電動アクチュエータを制御する糸調子制御手段と、
    前記取外操作手段と連動して作動し、前記縫製装置に電源が投入されていない状態で前記取外操作手段が操作されたときに前記糸調子手段の糸調子皿を開放状態にする糸調子開放機構と、
    を備えたことを特徴とする縫製装置。
  2. 前記糸カセットが前記カセット装着部に装着されたことを検出するカセット検出手段と、前記カセット検出手段により前記糸カセットが検出された時から所定時間経過した後に、前記糸に張力を付与するように前記電動アクチュエータを制御する糸調子制御手段と、
    を備えたこと特徴とする請求項1に記載の縫製装置。
  3. 前記所定時間を30msec以下に設定したことを特徴とする請求項2に記載の縫製装置。
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