JP3842339B2 - ニッケル水素二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル水素二次電池に関し、特に正極と負極の間に介在されるセパレータを改良したニッケル水素二次電池に係わる。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル水素二次電池としては、水酸化ニッケルを含むペースト式正極と水素吸蔵合金を含むペースト式負極との間にセパレータを介装して作製された電極群をアルカリ電解液と共に容器内に収納した構造のものが知られている。前記二次電池は、前記水素吸蔵合金の代りにカドミウム化合物を含む負極を備えたニッケルカドミウム二次電池と電圧の互換性があり、かつ前記ニッケルカドミウム二次電池に比べて高容量であるという優れた特性を有する。
【0003】
しかしながら、前記ニッケル水素二次電池はニッケルカドミウム二次電池と基本的に同じ構成を有するため、ニッケルカドミウム二次電池と同様に充電状態で高温にて保管したときの自己放電特性に問題がある。
【0004】
前記ニッケルカドミウム二次電池の高温保管時の自己放電は、(a)セパレータの酸化分解によって発生する不純物(例えば硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニア)のために起こる正極の充電生成物であるオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)の還元反応、(b)前記NiOOHの自己分解反応、の2つが起因して生じる。このうち、前記(b)のNiOOHの自己分解反応は、前記(a)のNiOOHの還元反応よりも遅いため、高温保管時の自己放電反応の主因は、前記(a)のNiOOHの還元反応であると考えられている。
【0005】
前述したセパレータの酸化分解は、ニッケルカドミウム二次電池に広く用いられている親水性を有するポリアミド繊維からなる不織布をセパレータとして用いた場合に特に顕著に現れる。これは、ポリアミド系合成樹脂繊維が酸化分解されて発生する例えば硝酸イオンのような不純物が正極のNiOOHを還元して自己放電反応を助長するためである。
【0006】
このようなことから前記ニッケルカドミウム二次電池では、前記ポリアミド系繊維よりも耐酸化性に優れるものの、基本的に疎水性であるポリオレフィン繊維を親水化処理したセパレータを使用することが試みられている。
【0007】
一方、米国特許公報のTanaka et al.(5,290,645号)には、特定の構造式を有する架橋基により架橋されたポリビニルアルコールを含むシート材料で構成された電池用セパレータが開示されている。また、前記シート材料は、親水部と疎水部を有することが開示されている。
【0008】
また、国際特許出願の国際公開公報(公開番号;WO 93/01622)の実施例4には、繊維直径が5〜10μmのポリプロピレン単繊維からなる不織布にアクリル酸をグラフト共重合させて形成されたイオン交換能が0.48(meq/g)のセパレータを用い、かつ電解液として30%の水酸化カリウムを用いるニッケル水素二次電池が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高温保管時の自己放電特性が改善されたニッケル水素二次電池を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わるニッケル水素二次電池は、水酸化ニッケルを含む正極と、水素吸蔵合金を含む負極と、セパレータと、アルカリ電解液を具備し、前記セパレータはイオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物から形成され、前記セパレータを構成する全繊維の平均直径をXμmとし、前記セパレータのカリウムイオン交換量をYmeq/gとした際に、これらは下記(1)式及び(2)式を満たし、
(0.05X+0.05)≦Y≦2.0 (1)
1≦X≦20 (2)
前記アルカリ電解液は水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムの少なくとも一方を含むとともに、前記セパレータの第1面は親水性を示し、かつ前記第1面の反対側に位置する第2面は親水部及び疎水部を有し、さらに前記セパレータは前記正極と前記負極の間に前記第2面が前記負極側に位置するように配置されていることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるニッケル水素二次電池(円筒形ニッケル水素二次電池)を図1を参照して説明する。
有底円筒状の容器1内には、ペースト式正極2とセパレータ3と負極4とを積層してスパイラル状に捲回することにより作製された電極群5が収納されている。前記負極4は、前記電極群5の最外周に配置されて前記容器1と電気的に接触している。アルカリ電解液は、前記容器1内に収容されている。中央に孔6を有する円形の第1の封口板7は、前記容器1の上部開口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケット8は、前記封口板7の周縁と前記容器1の上部開口部内面の間に配置され、前記上部開口部を内側に縮径するカシメ加工により前記容器1に前記封口板7を前記ガスケット8を介して気密に固定している。正極リード9は、一端が前記正極2に接続、他端が前記封口板7の下面に接続されている。帽子形状をなす正極端子10は、前記封口板7上に前記孔6を覆うように取り付けられている。ゴム製の安全弁11は、前記封口板7と前記正極端子10で囲まれた空間内に前記孔6を塞ぐように配置されている。中央に穴を有する絶縁材料からなる円形の押え板12は、前記正極端子10上に前記正極端子10の突起部がその押え板12の前記穴から突出されるように配置されている。外装チューブ13は、前記押え板12の周縁、前記容器1の側面及び前記容器1の底部周縁を被覆している。
【0013】
次に、前記ペースト式正極2、負極4、セパレータ3および電解液について説明する。
1)ペースト式正極2
このペースト式正極2は、活物質である水酸化ニッケル粉末に導電材料を添加し、高分子結着剤および水と共に混練してペーストを調製し、このペーストを導電性基板に充填し、乾燥した後、成形することにより作製される。
【0014】
前記導電材料としては、例えばコバルト酸化物、コバルト水酸化物等を挙げることができる。
前記高分子結着剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
【0015】
前記導電性基板としては、例えばニッケル、ステンレスまたはニッケルメッキが施された金属から形成された網状、スポンジ状、繊維状、もしくはフェルト状の金属多孔体等を挙げることができる。
【0016】
2)負極4
この負極4は、例えば、水素吸蔵合金粉末に導電材を添加し、高分子結着剤および水と共に混練してペーストを調製し、このペーストを導電性基板に充填し、乾燥した後、成形することにより製造される。
【0017】
前記水素吸蔵合金としては、格別制限されるものではなく、電解液中で電気化学的に発生させた水素を吸蔵でき、かつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出できるものであればよい。この水素吸蔵合金としては、例えばLaNi5 、MmNi5 (Mm;ミッシュメタル)、LmNi5 (Lm;ランタン富化したミッシュメタル)、またはこれらのNiの一部をAl、Mn、Co、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Bのような元素で置換した多元素系のもの、もしくはTiNi系、TiFe系のものを挙げることができる。中でも、一般式LmNix Mnyz (ただし、AはAl,Coから選ばれる少なくとも一種の金属、原子比x,y,zはその合計値が4.8≦x+y+z≦5.4を示す)で表されるものを用いることが好ましい。このような水素吸蔵合金を含む負極は、充放電サイクルの進行に伴う微粉化を抑制することができるため、前記二次電池の充放電サイクル寿命を向上することができる。
【0018】
前記高分子結着剤としては、前記正極2で用いたのと同様なものを挙げることができる。
前記導電材としては、例えばカーボンブラック等を用いることができる。
【0019】
前記導電性基板としては、パンチドメタル、エキスパンデッドメタル、穿孔剛板、ニッケルネットなどの二次元基板や、フェルト状金属多孔体や、スポンジ状金属基板などの三次元基板を挙げることができる。
【0020】
3)セパレータ3
このセパレータ3は、イオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物から形成される。また、前記セパレータ3の全繊維の平均直径をXμmとし、前記セパレータ3のカリウムイオン交換量をYmeq/gとした際、これらは下記(1)及び(2)式を満たす。
【0021】
(0.05X+0.05)≦Y≦2.0……(1)
1≦X≦20………(2)
前記シート状物としては、例えば、前記イオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含む不織布、同繊維を含む織布もしくはこれら不織布および織布で複合化された複合シートを挙げることができる。
【0022】
前記シート状物は、イオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維のみから形成されていても良いが、イオン交換基を持たないポリオレフィン系合成樹脂繊維を含んでいても良い。
【0023】
ポリオレフィン系合成樹脂繊維としては、ポリオレフィン単一繊維、ポリオレフィン繊維からなる芯材表面に前記ポリオレフィン繊維とは異なるポリオレフィン繊維が被覆された芯鞘構造の複合繊維、互いに異なるポリオレフィン繊維同士が円形に接合された分割構造の複合繊維、ポリオレフィンとブテンとの共重合樹脂からなる繊維等を挙げることができる。前記ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
【0024】
前記シート状物を前記複合シートから形成する場合、前記複合シートを構成する各層のポリオレフィン系合成樹脂繊維の平均直径は互いに等しくても良いが、異なっていても良い。
【0025】
前記シート状物は、イオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含む内部層と、前記内部層の両面に形成され、イオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含む2枚の表面層とから構成され、かつ前記各表面層を構成する全繊維の平均直径が前記内部層を構成する全繊維の平均直径に比べて大きい3層構造の複合シートにすると良い。このような3層構造のシート状物であって、かつ前記(1)式及び(2)式を満たすセパレータは、前記表面層によって十分な強度を確保しつつ前記内部層によって多量の電解液を保持することができるため、高い強度と優れた電解液保持性とを同時に満足することができる。このセパレータと前述した特定の組成のアルカリ電解液を備えたニッケル水素二次電池は、高温保管時の自己放電特性を大幅に改善することができる。
【0026】
前記3層構造のシート状物において、前記内部層を構成する全繊維の平均直径を0.5μm〜5μmの範囲にし、かつ前記各表面層を構成する全繊維の平均直径を7μm〜20μmの範囲にすることが好ましい。また、前記表面層は、互いに平均直径が等しくても良いが、異なっていても良い。
【0027】
前記内部層における平均直径を前記範囲に限定するのは次のような理由によるものである。前記平均直径を0.5μm未満にすると、セパレータの強度が低下し、セパレータとして使用できなくなる恐れがある。また、前記平均直径が5μmを越えると、セパレータの電解液保持性が低下する恐れがある。内部層におけるより好ましい平均直径は、1μm〜3μmの範囲である。
【0028】
前記表面層における平均直径を前記範囲に限定するのは次のような理由によるものである。前記平均直径を7μm未満にすると、セパレータの機械的強度を保つことが困難になり、セパレータとして使用できなくなる恐れがある。また、前記平均直径が20μmを越えると、セパレータの電解液保持性が低下する恐れがある。表面層におけるより好ましい平均直径は、8μm〜15μmの範囲である。
【0029】
前記イオン交換基としては、例えば、COOH基、SO3 H基、OH基等を挙げることができる。前記OH基は、ポリオレフィン系合成樹脂繊維に付与された状態で強い酸性を示すものが良い。前記イオン交換基の中でも、COOH基が好適である。
【0030】
前記ポリオレフィン系合成樹脂繊維のイオン交換基は、例えば、イオン交換能を持つビニルモノマーのグラフト共重合より形成することができる。
前記ビニルモノマーとしては、例えばアクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、アクリル酸やメタクリル酸のエステル類のモノマー、ビニルピリジンモノマー、ビニルピロリドンモノマー、スチレンスルホン酸モノマー、スチレンモノマーなどの直接に酸又は塩基と反応して塩を形成し得る官能基を有するビニルモノマー、もしくは加水分解して塩を形成し得る官能基を有するビニルモノマー等を挙げることができる。前記ビニルモノマーの中でも、アクリル酸モノマーが好適である。
【0031】
前記セパレータは、そのイオン交換基保持量を示す、カリウムイオン交換量をYmeq/g(milli-equivalent per gramme )とし、かつ前記セパレータを構成する全繊維の平均直径をXμmとした際、これらが下記(1)式及び(2)式を満たす。
【0032】
(0.05X+0.05)≦Y≦2.0………(1)
1≦X≦20………(2)
前記セパレータのカリウムイオン交換量Y(meq/g)は、以下に説明する滴定法によって求められる。
【0033】
(滴定法)
まず、試料(例えばポリオレフィン繊維からなる不織布をアクリル酸によりグラフト共重合したもの)0.5〜1gを100mlのポリエチレン製広口瓶に取り、1N−HCl溶液100mlを加え、試料が浮き上がっている場合には完全に沈めた後、60℃の恒温槽に1時間保存する。つづいて、前記試料をイオン交換水200mlが入ったビーカに移し、ガラス棒で撹拌し、イオン交換水を取り替えながら洗浄液のpHが6〜7になるまで洗浄する。試料の水切りを行い、ステンレス製トレイ上に広げ、100℃の乾燥器で1時間乾燥する。冷却後、前記試料の重さを0.1mgまで量り、100mlのポリエチレン製広口瓶に移し、それら0.01N−KOH溶液を110g±0.01g加える。一方、ブランク試料として同様に100mlのポリエチレン製広口瓶に0.01N−KOH溶液を110g±0.01g採取する。ひきつづき、これらの広口瓶を60℃の恒温槽に入れ、30分間毎に軽く振り混ぜ、2時間保存する。前記各広口瓶を軽く振り混ぜた後、試料をそれぞれ取り出し、室温になるまで放冷する。放冷後の試験溶液約100gを200mlのコニカルビーカに0.01gまで量り取り、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1N−HCl溶液で中和滴定する。また、ブランク試験溶液も同様に操作して滴定する。このような滴定によりカリウムイオン交換量を下記数1に示す式により算出する。
【0034】
【数1】
Figure 0003842339
【0035】
前記セパレータを構成する全繊維の平均直径Xは、1〜20μmにする。セパレータにおいて、目付け量及び厚さを一定にして前記平均直径Xを小さくすると、繊維同士がより密に絡まり合うために繊維の目開きが小さくなって目開きの電解液保持力が高まり、電解液保持性が高くなる。しかしながら、前記平均直径Xを小さくすると、セパレータの強度が低下する。一方、目付け量及び厚さを一定にして前記平均直径Xを大きくすると、強度が向上するものの、繊維同士の絡まり合いが疎になるために繊維の目開きが大きくなって目開きの電解液保持力が低下し、電解液保持性が低下する。また、目開きが大きくなると、セパレータの被覆率が低下する。従って、前記平均直径Xを1μm未満にすると、前記セパレータの機械的強度の低下が顕著になって電池の組み立てが困難になる恐れがある。一方、前記平均直径が20μmを越えると、被覆率の低下による正負極間のショートが多発する場合がある。より好ましい平均直径Xは、3〜15μmである。
【0036】
セパレータは、前述したように目付け量及び厚さが一定の場合、平均直径Xが大きくなるにつれて繊維の目開きが大きくなるため、目開きの電解液保持力が低下し、電解液保持性が低下する。したがって、セパレータに十分な量の電解液を保持させて高温保管時の自己放電特性を改善させるためには、平均直径Xの増加に伴ってセパレータ中のイオン交換基量を増加させることにより繊維自体の親水性を高めて大きな目開きでも電解液を十分に保持できるようにする必要がある。すなわち、高温保管時の自己放電特性を改善を図るために最低限必要なカリウムイオン交換量Yは、平均直径Xを増加させた際に式(0.05X+0.05)に従って増加させる必要がある。セパレータのカリウムイオン交換量Yが式(0.05X+0.05)を満たすカリウムイオン交換量よりも少ないと、セパレータの電解液保持性が低下し、高温保管時の自己放電特性が劣化する。一方、前記イオン交換量Yが2.0meq/gを越えると、セパレータのイオン交換能が高くなり、電解液中のアルカリ金属イオンがセパレータに固定化されるため、このセパレータを備えたニッケル水素二次電池は大電流放電の際の作動電圧が低下する。前記イオン交換量Yは、下記(3)式を満たすのがより好ましい。
【0037】
(0.05X+0.15)≦Y≦1.2………(3)
前記セパレータ3の厚さは、0.15mm〜0.3mmの範囲にすることが好ましい。
【0038】
前記セパレータ3の目付け量は、30g/m2 〜70g/m2 の範囲にすることが好ましい。前記目付け量を30g/m2 未満にすると、前記セパレータ3の強度が低下する恐れがある。一方、前記目付け量が70g/m2 を越えると、電池容量が低下する恐れがある。より好ましい目付け量は、40g/m2 〜60g/m2 の範囲である。
【0039】
前記セパレータは、例えば、以下に示す(a)〜(c)の方法により作製することができる。
(a)平均直径が1〜20μmのポリオレフィン系合成樹脂繊維製シート状物をイオン交換能を持つビニルモノマーを含む溶液に浸漬して引き上げた後、前記シート状物にエネルギービームを照射して前記ビニルモノマーをグラフト共重合させる。このような方法によりイオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物から形成され、かつ前記(1)式及び前記(2)式を満たすセパレータが作製される。
【0040】
(b)平均直径が1〜20μmのポリオレフィン系合成樹脂繊維製シート状物にエネルギービームを照射した後、イオン交換能を有するビニルモノマーを含む溶液に前記シート状物を浸漬して前記ビニルモノマーをグラフト共重合させる。このような方法によりイオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物から形成され、かつ前記(1)式及び前記(2)式を満たすセパレータが作製される。
【0041】
(c)イオン交換能を有するビニルモノマーを含む溶液中に平均直径が1〜20μmのポリオレフィン系合成樹脂繊維製シート状物を浸漬すると同時に前記シート状物にエネルギービームを照射して前記ビニルモノマーをグラフト共重合させる。このような方法によりイオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物から形成され、かつ前記(1)式及び前記(2)式を満たすセパレータが作製される。
【0042】
前記ポリオレフィン系合成樹脂繊維製シート状物としては、例えば、ポリオレフィン系合成樹脂繊維からなる不織布、同繊維からなる織布もしくはこれら不織布および織布で複合化された複合シートを挙げることができる。前記不織布は、例えば乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法等によって作製される。このような方法のうち、スパンボンド法、メルトブロー法は繊維径の細い不織布を作製することができるため、正極と負極の間のショート防止の点で有利である。
【0043】
前記複合シートとしては、ポリオレフィン系合成樹脂繊維からなる内部層と、前記内部層の両面に形成され、ポリオレフィン系合成樹脂繊維からなる2枚の表面層とから構成され、かつ前記各表面層を構成するポリオレフィン系合成樹脂繊維の平均直径が前記内部層を構成するポリオレフィン系合成樹脂繊維の平均直径に比べて大きい3層積層物を用いることができる。
【0044】
前記エネルギービームとしては、例えば、例えば紫外線、電子線、X線のような電離放射線が採用される。
前記セパレータは、第1面が親水性で、かつこの第1面の反対側の第2面が親水部と疎水部を有するようなイオン交換基分布を有していても良い。このようなセパレータは前記正極と前記負極との間に前記第2面が前記負極側に位置するように配置される。前記親水部は前記セパレータの表面のうちイオン交換基が存在する領域であり、また、前記疎水部は前記セパレータ表面のうちイオン交換基が存在しない領域である。
【0045】
前記セパレータの疎水部は、例えば前記シート状物にエンボス加工を施して部分的にフィルム化するようなイオン交換基を有するビニルモノマーのグラフト共重合が阻害される処理を施すことにより形成することができる。前記エンボス加工は、円形、四角形のような角形状、ストライプ状等任意である。また、前記セパレータの疎水部は前記不織布、織布または複合シートに繊維径の太いポリオレフィン径樹脂繊維の織布を張り合わせることによっても形成される。
【0046】
前記セパレータの第2面は、前記疎水部の面積比率が2〜25%であることが好ましい。前記疎水部の面積比率を2%未満にすると、疎水部を設けたことによる過充電時の内圧上昇を抑制する効果が見られない恐れがある。一方、前記疎水部の面積比率が25%を越えると、このセパレータを備えた二次電池は大電流放電時の作動電圧が低下する恐れがある。より好ましい疎水部の面積比率は、8〜20%である。
【0047】
前記セパレータの前記第1面は、疎水部が面積比率で10%以下存在していても良い。第1面において、疎水部が存在する場合にはその面積比率が前記第2面の疎水部の面積比率より小さくする必要がある。また、前記セパレータの第1面は、全面にイオン交換基が存在していても良い。このような形態のセパレータをペースト式正極と負極の間に前記第2面が負極側、つまり前記第1面が正極側に位置するように配置することによって、負極側に比べて正極側のセパレータ面(第1面)にアルカリ電解液を多く保持することができる。その結果、前記正極表面には電解液膜が存在するため、ニッケル水素二次電池の高温保管時において、前記負極から発生した水素ガスが前記セパレータを透過して正極に到達するのを前記電解液膜により防止することができ、高温保管時の自己放電特性を大幅に向上することができる。
【0048】
イオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物から形成され、第1面が親水性を示すと共に第2面が親水部と疎水部を有し、かつ前記(1)式及び前記(2)式を満たすセパレータは、例えば、平均直径が1〜20μmのポリオレフィン系合成樹脂繊維からなるシート状物の第1面にエンボス加工を施してエンボス面をフィルム化する工程と、前記シート状物をイオン交換能を持つビニルモノマーを含む溶液に浸漬して、その第1面と反対側の第2面のフィルム化された部分を除く前記シート状物両面に前記溶液を付着させる工程と、前記シート状物にエネルギービームを照射して前記溶液の付着面において前記ビニルモノマーをグラフト共重合させる工程とを具備する方法により作製することができる。
【0049】
具体的には、例えば次の(1)に説明する方法により作製することができる。
(1)まず、図2〜図4に示すように平均直径が1〜20μmのポリオレフィン系合成樹脂繊維からなるシート状物(例えば不織布)21の両面(第1面22、第2面23)のうち、第1面22側からエンボス加工を施す。このエンボス加工により、前記シート状物に複数の円形状凹部24が形成されると共に前記凹部24の底面(エンボス面)にフィルム化された部分(フィルム部)25が形成される。同時に、前記凹部24に対応する前記シート状物21の前記第2面23の部分も、フィルム化された面になる。
【0050】
次いで、前記シート状物をイオン交換能を持つビニルモノマーを含む溶液に浸漬して引き上げる。この時、前記シート状物21は前述した図3に示すように前記凹部24底面にフィルム部25が形成されているため、前記フィルム部25の両面には前記溶液が付着されず、前記両面以外の領域、つまり不織布部分に前記溶液を付着される。ただし、前記フィルム部25の凹部24側の面22においては、前記凹部24内に前記溶液が充満されるために、実質的に前記凹部24側の面には前記溶液が接触されるようになる。
【0051】
次いで、前記シート状物にエネルギービームを照射して前記溶液の付着面において前記ビニルモノマーをグラフト共重合させる。このような工程により前記凹部側のシート状物の第1面全体は前記ビニルモノマーがグラフト共重合されて親水化される。前記シート状物の第2面のうち、前記凹部底部のフィルム部では前記溶液が付着さず、これ以外の第2面の領域に前記溶液が付着されている。その結果、前記シート状物の第2面において前記凹部底部のフィルム部の領域が疎水部となり、他の領域が親水部となる。
【0052】
したがって、前述した工程によってイオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物からなり、前記シート状物の第1面が親水性を示し、この第1面と反対側の第2面が親水部と疎水部を有し、かつ前述した関係式を満たすセパレータが作製される。
【0053】
前記シート状物の第1面側へのエンボス加工は、例えば互いに反対方向に回転して対向配置された表面が平滑な第1ロールおよび表面に複数のピンポイント形状の突起が形成された第2ロールを用意し、これらロールを例えば120℃〜180℃に加熱すると共にこれらロール間に前記シート状物を供給して前記第1ロール表面と前記第2ロールの複数の突起との間で前記シート状物のポリオレフィン系合成樹脂繊維を加圧して熱融着することによりなされる。前記第2ロール表面に形成された突起の形状は、ピンポイントの他に例えば先端面の形状が正方形のもの、先端面の形状が菱形のものを挙げることができる。
【0054】
前記エネルギービームとしては、前述したのと同様なものが用いられる。
また、前記セパレータは次の(2)に示す方法によって作製することができる。
【0055】
(2)まず、ポリオレフィン系合成樹脂繊維からなる不織布の片面に径の太いポリオレフィン系合成樹脂繊維からなり、かつ目開きの大きな織布を貼着してシート状物とする。このシート状物において、前記織布の未貼着面が第1面、前記織布の貼着面が第2面とする。つづいて、前記シート状物をイオン交換基を有するビニルモノマーを含む溶液に浸漬して引き上げる。この時、前記シート状物の第2面に貼着された織布には、前記溶液が付着されず、前記織布の目開き部に位置する前記不織布と、前記第1面に表出された不織布とに前記溶液が付着される。ひきつづき、前記シート状物に前述した紫外線のようなエネルギービームを照射すると、前記溶液の付着面において前記ビニルモノマーをグラフト共重合させる。このような工程において、前記溶液が全面に付着された前記シート状物の第1面では、前記ビニルモノマーのグラフト共重合により親水化される。一方、前記織布が貼着されたシート状物の第2面では前記織布の目開き部に位置する不織布に前記溶液が付着されているため、その部分のみで前記ビニルモノマーのグラフト共重合がなされる。つまり、前記シート状物の第2面においては前記織布の領域が疎水部となり、他の領域が親水部となる。
【0056】
したがって、前述した工程にによりポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物から形成され、かつ親水性の第1面と、親水部と疎水部とを持つ第2面とを有し、前記(1)式及び前記(2)式を満たすセパレータが作製される。
【0057】
2)アルカリ電解液
前記電解液は、水酸化リチウム(LiOH)または水酸化ナトリウム(NaOH)の少なくとも一方を含む。このような電解液としては、例えば、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム(KOH)及び水酸化リチウムの混合液、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムの混合液、水酸化カリウム、水酸化リチウム及び水酸化ナトリウムの混合液、水酸化リチウム及び水酸化ナトリウムの混合液を挙げることができる。
【0058】
前記電解液が少なくとも水酸化リチウムを含む場合、前記電解液中の水酸化リチウムの濃度は0.1N〜1.5Nの範囲が好ましい。前記電解液中の水酸化リチウムの濃度が前記範囲を外れると、ニッケル水素二次電池の高温保管時の自己放電特性が低下する恐れがある。より好ましい濃度は、0.3N〜1.3Nの範囲である。
【0059】
前記電解液が少なくとも水酸化ナトリウムを含む場合、前記電解液中の水酸化ナトリウムの濃度は0.5N〜6.0Nの範囲が好ましい。前記電解液中の水酸化ナトリウムの濃度が前記範囲を外れると、ニッケル水素二次電池の高温保管時の自己放電特性が低下する恐れがある。より好ましい濃度は、1.0N〜5.0Nの範囲である。
【0060】
本発明に係るニッケル水素二次電池は、水酸化ニッケルを含む正極と、水素吸蔵合金を含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在されたセパレータと、アルカリ電解液を具備し、前記セパレータはイオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物から形成され、前記セパレータを構成する全繊維の平均直径をXμmとし、前記セパレータのカリウムイオン交換量をYmeq/gとした際に、これらは下記(1)式及び(2)式を満たし、
(0.05X+0.05)≦Y≦2.0 (1)
1≦X≦20 (2)
前記アルカリ電解液は水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムの少なくとも一方を含む。
【0061】
前記(1)式及び前記(2)式を満足するセパレータと、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウムの少なくとも1方を含むアルカリ電解液とを備えることによって、ニッケル水素二次電池の高温保管時における自己放電の進行を抑制することができる。同時に、前記二次電池は、大電流放電特性及び充放電サイクル寿命を向上することができる。
【0062】
更に、前記セパレータのイオン交換基分布を第1面が親水性で、第2面が親水部及び疎水部を有するものにし、このような構成のセパレータを正極および負極の間に前記第1面が前記正極側に接するように配置すると、前記二次電池の高温保管時の自己放電特性を更に改善することができる。
【0063】
ニッケル水素二次電池を高温環境下において保管すると、負極の水素吸蔵合金の平衡圧に応じて電池内の水素分圧が高くなる場合がある。電池内の水素分圧が上昇すると、水素ガスがセパレータを透過して正極に到達し、前記正極のNiOOHを還元する場合がある、つまり自己放電が進行する場合がある。前述した形態及び配置を有するセパレータは正極側の電解液量を負極側に比べて多くすることができるため、前記正極表面に電解液が多く存在する層、つまり電解液膜が存在し、この電解液膜によって前記水素ガスが前記セパレータを透過して前記正極に到達するのを防止できる。その結果、高温保管時の自己放電特性を大幅に向上することができる。
【0064】
また、前記セパレータは、親水部と疎水部を有する第2面が負極表面と接するため、負極表面に撥水性を付与することができる。このため、前記負極は、この表面と表面上の電解液と酸素ガスとで形成され、過充電時に正極から発生する酸素ガスを消費する三相界面の量を増加させることができる。このような負極は、過充電時の酸素ガス消費速度を増大することができるため、前記二次電池の過充電時の内圧上昇を抑制することができる。また、前記三相界面は逆充電時に前記正極から発生する水素ガスの吸収速度も増加させることができるため、三相界面が増加することによって逆充電時の内圧上昇を抑えることができる。
【0065】
したがって、前述した構成及び配置のセパレータは、電解液の分布を正極側で多くし、前記負極側では疎水部が出現するように制御することができるため、高温保管時の自己放電特性が向上され、かつ過充電時の内圧上昇が抑制されたニッケル二次電池を提供することができる。
【0066】
なお、前述した図1では正極2と負極4の間にセパレータ3を介在して渦巻状に捲回し、有底円筒状の容器1内に収納したが、本発明のニッケル水素二次電池はこのような構造に限定されない。例えば、ペースト式正極と負極とをその間に前記セパレータを介在して交互に重ねることによって作製された積層物を有底矩形筒状の容器内に収納して角形ニッケル水素二次電池を構成してもよい。
【0067】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
<ペースト式負極の作製>
市販のランタン富化したミッシュメタルMmおよびNi、Co、Mn、Alを用いて高周波炉によって、MmNi3.6 Co0.8 Mn0.4 Al0.2 の組成からなる水素吸蔵合金を作製した。前記水素吸蔵合金を機械粉砕し、これを200メッシュの篩を通過させた。得られた水素吸蔵合金粉末100重量部に対してポリアクリル酸ナトリウム0.4重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.1重量部、ポリテトラフルオロエチレンのディスパージョン(比重1.5,固形分60wt%)1.5重量部および導電材としてカーボン粉末0.8重量部を水55重量部と共に混合することによって、ペーストを調製した。このペーストをパンチドメタルに塗布、乾燥した後、加圧成型することによってペースト式負極を作製した。
【0068】
<ペースト式正極の作製>
水酸化ニッケル粉末90重量部および水酸化コバルト粉末10重量部からなる混合粉体に、前記水酸化ニッケル粉末に対してカルボキシメチルセルロース0.3重量部、ポリテトラフルオロエチレンの懸濁液(比重1.5,固形分60重量%)を固形分換算で1.0重量部添加し、これらに純水を30重量部添加して混練することによりペーストを調製した。つづいて、このペーストをニッケルメッキ繊維基板内に充填した後、更にその両表面に前記ペーストを塗布し、乾燥し、ローラプレスを行って圧延することによりペースト式正極を作製した。
【0069】
<セパレータの作製>
ポリプロピレン樹脂をスパンボンド法を用いて平均直径が10μmの長繊維からなり、目付け量が50g/m2 で、厚さが0.20mmの不織布を作製した。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させ、各不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維を主体とする不織布からなり、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が0.8meq/gのセパレータを作製した。
【0070】
前述した(1)式、(0.05X+0.05)≦Y≦2.0によると、前記セパレータを構成する全繊維の平均直径Xが10μmであるとき、高温保管時の自己放電特性及び大電流放電特性を優れたものにするのに必要なカリウムイオン交換量Yの範囲は0.55≦Y≦2.0になる。従って、得られたセパレータは平均直径Xとカリウムイオン交換量Yが前述した式(1)及び式(2);1≦X≦20を同時に満たしている。
【0071】
次いで、前記セパレータを前記負極と前記正極との間に介装し、渦巻状に捲回して電極群を作製した。このような電極群と0.1NのLiOHおよび7.9NのKOHからなる電解液を有底円筒状容器に収納して前述した図1に示す構造を有するAAサイズの円筒形ニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0072】
(実施例2)
アルカリ電解液として0.3NのLiOHおよび7.7NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0073】
(実施例3)
アルカリ電解液として0.5NのLiOHおよび7.5NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0074】
(実施例4)
アルカリ電解液として1.0NのLiOHおよび7.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0075】
(実施例5)
アルカリ電解液として1.3NのLiOHおよび6.7NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0076】
(実施例6)
アルカリ電解液として1.5NのLiOHおよび6.5NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0077】
(実施例7)
アルカリ電解液として0.5NのNaOHおよび7.5NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0078】
(実施例8)
アルカリ電解液として1.0NのNaOHおよび7.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0079】
(実施例9)
アルカリ電解液として2.0NのNaOHおよび6.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0080】
(実施例10)
アルカリ電解液として4.0NのNaOHおよび4.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0081】
(実施例11)
アルカリ電解液として5.0NのNaOHおよび3.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0082】
(実施例12)
アルカリ電解液として6.0NのNaOHおよび2.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0083】
(比較例1)
アルカリ電解液として8.0NのKOH水溶液を用いること以外は、実施例1と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0084】
(比較例2)
ポリプロピレン繊維からなる芯材の表面にポリエチレン樹脂が被覆された芯鞘型を有し、平均直径が15μmの複合繊維と、ポリプロピレン繊維からなる芯材の表面にエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂が被覆された芯鞘型構造を有し、平均直径が15μmの複合繊維を混合し、乾式法によって、目付け量が50g/m2 、厚さが0.20mmの不織布からなるセパレータを作製した。得られたセパレータのカリウムイオン交換量を前述した滴定法によって測定したところ、0meq/gであった。
【0085】
次いで、前記セパレータを実施例1と同様な負極と正極との間に介装し、渦巻状に捲回して電極群を作製した。このような電極群と8.0NのKOHからなる電解液を有底円筒状容器に収納して前述した図1に示す構造を有するAAサイズの円筒形ニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0086】
得られた実施例1〜12および比較例1,2の二次電池について、20℃の雰囲気において1CmAで150%充電した後、1CmAで電池電圧が1.0Vに達するまで放電する充放電サイクルを3回繰り返した。その後、1CmAで150%充電した状態で20℃で2時間放置した後、40℃の恒温槽に14日間保管した。貯蔵後、20℃で2時間放置し、1CmAで電池電圧が1.0Vに達するまで放電し、放電容量(残存容量)を測定した。40℃の恒温槽で14日間保管する前の1CmAで150%充電し、1CmAで電池電圧が1.0Vまで放電した時の放電容量をC´0 とし、40℃の恒温槽で14日間保管した後の放電容量を残存容量C´R とした時、容量残存率を下記式から求めた。この容量残存率から自己放電特性を判断した。
【0087】
容量残存率(%)=(C´R /C´0 )×100
実施例1〜6及び比較例1、2の二次電池における電解液中の水酸化リチウム濃度と容量残存率との関係を図5に示す。また、実施例7〜12及び比較例1、2の二次電池における電解液中の水酸化ナトリウム濃度と容量残存率との関係を図6に示す。
【0088】
図5及び図6から明らかなように、実施例1〜12の二次電池は、比較例1、2の二次電池に比べて40℃の高温保管時の自己放電を抑制できることがわかる。このことから、ニッケル水素二次電池の高温保管時の自己放電特性を改善するには、前述した2つの式を満足するセパレータを用い、同時に水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムの少なくとも1方を含むアルカリ電解液を用いることが重要であることがわかる。
【0089】
(実施例13)
ポリプロピレン樹脂からメルトブロー法により平均直径Xが1μmのポリプロピレン繊維からなり、目付け量が50g/m2 で、厚さが0.2mmの不織布を作り、この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。この不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維を主体とする不織布からなるカリウムイオン交換量が0.1meq/gのセパレータを作製した。なお、カリウムのイオン交換量は、前述した滴定法によって測定した。
【0090】
次いで、前記セパレータを実施例1と同様な負極と実施例1と同様な正極との間に介装し、渦巻状に捲回して電極群を作製した。このような電極群と7NのKOHおよび1NのLiOHからなる電解液を有底円筒状容器に収納して前述した図1に示す構造を有するAAサイズの円筒形ニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0091】
(実施例14)
ポリプロピレン樹脂からメルトブロー法により平均直径Xが1μmのポリプロピレン繊維からなり、目付け量が50g/m2 で、厚さが0.2mmの不織布を作った。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維を主体とする不織布からなり、前述した滴定法によるカリウムイオン交換量が1.0meq/gのセパレータを作製した。このセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0092】
(実施例15)
ポリプロピレン樹脂からメルトブロー法により平均直径Xが1μmのポリプロピレン繊維からなり、目付け量が50g/m2 で、厚さが0.2mmの不織布を作った。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維を主体とする不織布からなり、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が2.0meq/gのセパレータを作製した。このセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0093】
前述した(1)式によると、セパレータを構成する全繊維の平均直径Xが1μmであるとき、高温保管時の自己放電特性及び大電流放電特性を向上するために必要な前記カリウムイオン交換量Yの範囲は0.1≦Y≦2.0になる。従って、得られた実施例13〜15の二次電池のセパレータは平均直径Xとカリウムイオン交換量Yが前述した(1)式及び(2)式を満たしている。
(実施例16)
ポリプロピレン樹脂にブテンを共重合させた共重合樹脂からなる繊維を作り、この繊維50重量%とポリプロピレン樹脂繊維50重量%とを混合し、湿式法により平均直径Xが20μmで、目付け量が50g/m2 で、厚さが0.2mmの不織布を作製した。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維及びCOOH基を有する共重合樹脂繊維を主体とする不織布から形成され、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が1.1meq/gセパレータを作製した。
【0094】
このようなセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
(実施例17)
ポリプロピレン樹脂にブテンを共重合させた共重合樹脂からなる繊維を作り、この繊維50重量%とポリプロピレン樹脂繊維50重量%とを混合し、湿式法により平均直径Xが20μmで、目付け量が50g/m2 で、厚さが0.2mmの不織布を作製した。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維及びCOOH基を有する共重合樹脂繊維を主体とする不織布から形成され、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が1.5meq/gセパレータを作製した。このようなセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
(実施例18)
ポリプロピレン樹脂にブテンを共重合させた共重合樹脂からなる繊維を作り、この繊維50重量%とポリプロピレン樹脂繊維50重量%とを混合し、湿式法により平均直径Xが20μmで、目付け量が50g/m2 で、厚さが0.2mmの不織布を作製した。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維及びCOOH基を有する共重合樹脂繊維を主体とする不織布から形成され、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が2.0meq/gセパレータを作製した。このようなセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0095】
前述した(1)式によると、セパレータを構成する全繊維の平均直径Xが20μmであるとき、高温保管時の自己放電特性及び大電流放電特性を向上するために必要な前記カリウムイオン交換量Yの範囲は1.0≦Y≦2.0になる。従って、得られた実施例16〜18の二次電池のセパレータは平均直径Xとカリウムイオン交換量Yが前述した(1)式及び(2)式を満たしている。
(比較例3)
ポリプロピレン樹脂からメルトブロー法により平均直径Xが1μmのポリプロピレン繊維からなり、目付け量が50g/m2 で、厚さ0.2mmの不織布を作り、この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維を主体とする不織布からなり、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が0.05meq/gのセパレータを作製した。このようなセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
(比較例4)
ポリプロピレン樹脂からメルトブロー法により平均直径Xが1μmのポリプロピレン繊維からなり、目付け量が50g/m2 で、厚さ0.2mmの不織布を作り、この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維を主体とする不織布からなり、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が2.5meq/gのセパレータを作製した。このようなセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
(比較例5)
ポリプロピレン樹脂にブテンを共重合させた共重合樹脂からなる繊維を作り、この繊維50重量%とポリプロピレン樹脂繊維50重量%とを混合し、湿式法により平均直径Xが20μmで、目付け量が50g/m2 で、厚さ0.2mmの不織布を作製した。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維及びCOOH基を有する共重合樹脂繊維を主体とする不織布から形成され、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が0.6meq/gのセパレータを作製した。このようなセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
(比較例6)
ポリプロピレン樹脂にブテンを共重合させた共重合樹脂からなる繊維を作り、この繊維50重量%とポリプロピレン樹脂繊維50重量%とを混合し、湿式法により平均直径Xが20μmで、目付け量が50g/m2 で、厚さ0.2mmの不織布を作製した。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維及びCOOH基を有する共重合樹脂繊維を主体とする不織布から形成され、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が2.5meq/gのセパレータを作製した。このようなセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
(比較例7)
ポリプロピレン樹脂からメルトブロー法により平均直径Xが0.5μmのポリプロピレン繊維からなり、目付け量が50g/m2 で、厚さ0.2mmの不織布を作り、この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維を主体とする不織布からなり、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が1.0meq/gのセパレータを作製した。このようなセパレータは、強度不足のために正極と負極との間に介装されて渦巻状に捲回される際に破断したため、このセパレータから二次電池を作製できなかった。
(比較例8)
ポリプロピレン樹脂にブテンを共重合させた共重合樹脂からなる繊維を作り、この繊維50重量%とポリプロピレン樹脂繊維50重量%とを混合し、湿式法により平均直径Xが25μmで、目付け量が50g/m2 で、厚さ0.2mmの不織布を作製した。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維及びCOOH基を有する共重合樹脂繊維を主体とする不織布から形成され、前述した滴定法によるカリウムのイオン交換量が1.0meq/gのセパレータを作製した。このようなセパレータを用いること以外は、実施例13と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0096】
得られた実施例13〜18および比較例3,5の二次電池について、前述した実施例1〜12の二次電池について行ったのと同様な方法により40℃での自己放電特性を測定し、その結果を図7〜8に示す。
【0097】
図7から明らかなように、本発明の実施例13〜15の二次電池は比較例3の二次電池に比べて高温保管時の自己放電特性が向上されることがわかる。また、図8から明らかなように、本発明の実施例16〜18の二次電池は比較例5の二次電池に比べて高温保管時の自己放電特性が向上されることがわかる。
【0098】
また、実施例13〜18及び比較例8の二次電池について、電極群作製後の絶縁不良発生率を測定した。電極群作製後の絶縁不良の測定は、電極群を100個作製した直後に絶縁抵抗計によって500Vの電圧を印加した際の絶縁抵抗値を測定することによって行った。その結果を下記表1に示す。
【0099】
【表1】
Figure 0003842339
【0100】
表1から明らかなように、本発明の実施例13〜18の二次電池は、電極群作製時に絶縁抵抗不良が発生するのを回避できることがわかる。これは、実施例13〜18に使用されているセパレータが緻密であるために捲回時の正負極間のショートを防止できるからである。
【0101】
さらに、実施例13〜18及び比較例4,6の二次電池について、0.3CmAで150%充電した後、2CmAで電池電圧が1.0Vに達するまで放電した際の放電容量を測定し、大電流放電特性を評価した。放電容量は、2CmA放電で電池電圧が1.0Vに達するまでの時間から算出した。
【0102】
前記大電流放電特性試験の結果を下記表2及び表3に示す。表2においては、実施例13の放電容量を100として実施例14〜15及び比較例4の放電容量を表した。また、表3においては、実施例16の放電容量を100として実施例17〜18及び比較例6の放電容量を表した。
【0103】
【表2】
Figure 0003842339
【0104】
【表3】
Figure 0003842339
【0105】
表2から明らかなように、本発明の実施例13〜15の二次電池は、比較例4に比べて大電流放電特性が優れていることがわかる。また、表3から明らかなように、本発明の実施例16〜18の二次電池は、比較例6に比べて大電流放電特性が優れていることがわかる。これは、比較例4,6の二次電池に用いられるセパレータのイオン交換量が高いため、電解液中のアルカリ金属イオンがセパレータに固定化され、大電流放電時の作動電圧が低下したことによるものである。
(実施例19)
ポリプロピレン樹脂をスパンボンド法を用いて繊維径が10μmの長繊維からなり、目付け量が50g/m2 で、厚さが0.20mmの不織布を作製した。つづいて、表面が平滑な第1ロールと、表面に複数のピンポイント状の凹凸が形成された第2ロールとを相互に対向して配置し、これらロールを互いに反対方向に回転させると共に130℃に加熱した後、これらロール間に前記不織布を通過させて前記第1ロールと前記第2ロールの凸部とで加圧すると共に熱融着させてエンボス加工を施した。このエンボス加工により、前記シート状物に複数の円形状凹部が形成されると共に前記凹部の底面(エンボス面)にフィルム化された部分(フィルム部)が形成される。同時に、前記凹部に対応する前記シート状物の前記第2面の部分も、フィルム化された面になる。前記フィルム部の面積比率は、前記不織布の第2面に対して16%とした。ひきつづき、前記不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させた。この不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによりセパレータを作製した。
【0106】
得られたセパレータは、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維及びCOOH基を持たないポリプロピレン繊維を主体とする不織布であって、エンボス加工された第1面が親水化され、かつ前記第1面と反対側の第2面のうちフィルム部以外の領域が親水化され、前記フィルム部が疎水部として残存した。前記第2面の疎水部は面積率16%であった。また、前記セパレータの親水部について、アクリル酸モノマーのグラフト共重合割合を前述した滴定法により測定した。その結果、カリウムのイオン交換量は0.8meq/gであった。前述した(1)式は、セパレータを構成する全繊維の平均直径が10μmの時、0.55≦Y≦2.0となる。従って、前記セパレータは、前記(1)式及び前記(2)式を同時に満足する。
【0107】
次いで、前記セパレータを実施例1と同様な負極と正極との間に前記セパレータの親水部と疎水部を有する第2面が前記負極と対向するように介装し、渦巻状に捲回して電極群を作製した。このような電極群と0.1NのLiOHおよび7.9NのKOHからなる電解液を有底円筒状容器に収納して前述した図1に示す構造を有するAAサイズの円筒形ニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0108】
(実施例20)
アルカリ電解液として0.3NのLiOHおよび7.7NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0109】
(実施例21)
アルカリ電解液として0.5NのLiOHおよび7.5NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0110】
(実施例22)
アルカリ電解液として1.0NのLiOHおよび7.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0111】
(実施例23)
アルカリ電解液として1.3NのLiOHおよび6.7NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0112】
(実施例24)
アルカリ電解液として1.5NのLiOHおよび6.5NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0113】
(実施例25)
アルカリ電解液として0.5NのNaOHおよび7.5NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0114】
(実施例26)
アルカリ電解液として1.0NのNaOHおよび7.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0115】
(実施例27)
アルカリ電解液として2.0NのNaOHおよび6.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0116】
(実施例28)
アルカリ電解液として4.0NのNaOHおよび4.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0117】
(実施例29)
アルカリ電解液として5.0NのNaOHおよび3.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0118】
(実施例30)
アルカリ電解液として6.0NのNaOHおよび2.0NのKOHからなる混合液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0119】
(比較例9)
アルカリ電解液として8.0NのKOH水溶液を用いること以外は、実施例19と同様なニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0120】
得られた実施例19〜30および比較例9の二次電池について、前述した実施例1〜12の二次電池について行ったのと同様な方法により40℃での自己放電特性を測定し、その結果を図9〜10に示す。なお、図9及び図10には比較例2の結果を併記する。
【0121】
実施例19〜24及び比較例2、9の二次電池における電解液中の水酸化リチウム濃度と容量残存率との関係を図9に示す。また、実施例25〜30及び比較例2、9の二次電池における電解液中の水酸化ナトリウム濃度と容量残存率との関係を図10に示す。
【0122】
図9から明らかなように、実施例19〜24の二次電池は、比較例2、9の二次電池に比べて40℃の高温保管時の自己放電を抑制できることがわかる。また、図10から明らかなように、実施例25〜30の二次電池は、比較例2、9の二次電池に比べて40℃の高温保管時の自己放電を抑制できることがわかる。更に、図5と図9、図6と図10を比較することによって、前記(1)式及び前記(2)式を満たすシート状物であって、かつ第1面が親水性で、第2面が親水部と疎水部を有するセパレータを備え、前記セパレータが正極と負極の間に前記第2面が前記負極と対向するように配置されたニッケル水素二次電池は、両面のイオン交換基量が等しく、かつ前記(1)式及び前記(2)式を満たすセパレータを備えたニッケル水素二次電池に比べて高温保管時の自己放電特性を向上できることがわかる。
【0123】
また、得られた実施例19〜30及び比較例1、2の二次電池について、電池内圧を測定した。電池内圧の測定は、実施例19〜30及び比較例1、2の電池を図11に示す圧力測定装置の容器内に収納して行った。
【0124】
すなわち、各電池内圧測定装置はアクリル樹脂製のケース本体31とキャップ32とからなる電池ケースを備える。前記ケース本体31の中心部には、AAサイズの電池の金属容器と同一の内径および高さを有する空間33が形成されている。前記空間33内部には、前記二次電池Cが収納されている。前記二次電池Cは、有底円筒形容器の上端に封口板が取り付けられずに開放されている。前記ケース本体31上には、前記キャップ32がパッキング34およびOリング35を介してボルト36およびナット37により気密に固定されている。前記キャップ32には、圧力検出器38が取り付けられている。負極からの負極リード39と正極からの正極リード40は前記パッキング34と前記Oリング35との間を通して導出されている。
【0125】
このような電池内圧測定装置により実施例19〜30及び比較例1、2の二次電池について0.5CmAの電流で480%充電した際の最大電池内圧を測定し、その結果を下記表4、5に示す。
【0126】
【表4】
Figure 0003842339
【0127】
【表5】
Figure 0003842339
【0128】
表4から明らかなように、実施例19〜24の二次電池は、比較例1、2の二次電池に比べて過充電時の最大電池内圧が低いことがわかる。また、表5から明らかなように、実施例25〜30の二次電池は、比較例1、2の二次電池に比べて過充電時の最大電池内圧が低いことがわかる。
【0129】
従って、実施例19〜30の二次電池は、高温保管時の自己放電特性を実施例1〜12の二次電池に比べて向上できるのみならず、過充電時の内圧上昇を抑制できることがわかる。これは、セパレータのイオン交換基量を表裏で異ならせたこと、つまり、第1面をイオン交換基により親水化し、前記第1面の反対側の第2面がイオン交換基による親水部とイオン交換基非形成領域である疎水部を有する構成にし、このようなセパレータを負極と正極との間に前記第2面が前記負極と対向するように介装したことに起因する。
【0130】
(実施例31)
ポリプロピレン樹脂からメルトブロー法によって、平均直径が3μmのポリプロピレン繊維からなり、目付け量が18g/m2 の不織布(内部層)を1枚作製した。また、ポリプロピレン繊維からなる芯材の表面にポリエチレン樹脂が被覆された芯鞘形構造を有する平均直径が15μmの複合繊維から目付け量が18g/m2 の不織布(表面層)を2枚作製した。ポリプロピレン単繊維製不織布を複合繊維製不織布で挟み、これら不織布を熱融着により一体化した。得られた3層構造の不織布を構成する繊維の平均直径は11μmになった。また、前記3層構造の不織布の目付け量は54g/m2 で、厚さは0.15mmであった。この不織布をアクリル酸水溶液に浸漬した後、紫外線を照射してアクリル酸モノマーをグラフト共重合させ、前記不織布を洗浄して未反応のアクリル酸を除去した後、乾燥することによって、セパレータを作製した。
【0131】
得られたセパレータは、イオン交換基としてCOOH基を有するポリプロピレン繊維製不織布を主体とする内部層と、前記内部層の両面に積層され、COOH基を持つ複合繊維を主体とする不織布からなる2枚の表面層とから形成された3層構造を有するものであった。前記各表面層の繊維の平均直径は前記内部層の繊維の平均直径に比べて大きい。また、前記セパレータの前述した滴定法によるカリウムイオン交換量は0.8meq/gであった。
【0132】
次いで、前記セパレータを実施例1と同様な負極と実施例1と同様な正極との間に介装し、渦巻状に捲回して電極群を作製した。このような電極群と7NのKOHおよび1NのLiOHからなる電解液を有底円筒状容器に収納して前述した図1に示す構造を有するAAサイズの円筒形ニッケル水素二次電池を組み立てた。 前述した(1)式、(0.05X+0.05)≦Y≦2.0によると、セパレータを構成する全繊維の平均直径Xが11μmであるとき、高温保管特性及び大電流放電特性を向上させるのに必要なカリウムイオン交換量Yの範囲は0.6≦Y≦2.0になる。従って、この実施例31の二次電池のセパレータは前述した式(1)及び(2)式(1≦X≦20)を満たしている。
【0133】
得られた実施例31の二次電池について、前述した実施例1〜12の二次電池について行ったのと同様な方法により40℃での自己放電特性を測定し、その結果を図12に示す。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、高温保管時の自己放電特性が改善され、大電流放電特性が優れ、かつ長寿命化を達成したニッケル水素二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るニッケル水素二次電池を示す斜視図。
【図2】本発明のセパレータの作製工程を示す平面図。
【図3】図2のIII −III 線に沿う断面図。
【図4】図2の要部拡大平面図。
【図5】本発明の実施例1〜6および比較例1、2のニッケル水素二次電池における容量残存率と電解液中の水酸化リチウム濃度との関係を示す特性図。
【図6】 本発明の実施例7〜12および比較例1、2のニッケル水素二次電池における容量残存率と電解液中の水酸化ナトリウム濃度との関係を示す特性図。
【図7】本発明の実施例13〜15および比較例3のニッケル水素二次電池における容量残存率とセパレータのイオン交換量との関係を示す特性図。
【図8】本発明の実施例16〜18および比較例5のニッケル水素二次電池における容量残存率とセパレータのイオン交換量との関係を示す特性図。
【図9】本発明の実施例19〜24および比較例2、9のニッケル水素二次電池における容量残存率と電解液中の水酸化リチウム濃度との関係を示す特性図。
【図10】本発明の実施例25〜30および比較例2、9のニッケル水素二次電池における容量残存率と電解液中の水酸化ナトリウム濃度との関係を示す特性図。
【図11】本発明の実施例19〜30のニッケル水素二次電池における電池内圧を測定するための電池内圧測定装置を示す断面図。
【図12】本発明の実施例31における高温での保管日数と容量残存率との関係を示す特性図。
【符号の説明】
1…容器、2…ペースト式正極、3…セパレータ、4…負極、7…封口板、8…絶縁ガスケット、11…安全弁。

Claims (2)

  1. 水酸化ニッケルを含む正極と、水素吸蔵合金を含む負極と、セパレータと、アルカリ電解液を具備し、
    前記セパレータはイオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含むシート状物から形成され、前記セパレータを構成する全繊維の平均直径をXμmとし、前記セパレータのカリウムイオン交換量をYmeq/gとした際に、これらは下記(1)式及び(2)式を満たし、
    (0.05X+0.05)≦Y≦2.0 (1)
    1≦X≦20 (2)
    前記アルカリ電解液は水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムの少なくとも一方を含むとともに、前記セパレータの第1面は親水性を示し、かつ前記第1面の反対側に位置する第2面は親水部及び疎水部を有し、さらに前記セパレータは前記正極と前記負極の間に前記第2面が前記負極側に位置するように配置されていることを特徴とするニッケル水素二次電池。
  2. 前記シート状物は、前記イオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含む内部層と、前記内部層の両面に形成され、前記イオン交換基を有するポリオレフィン系合成樹脂繊維を含む2枚の表面層とから構成され、かつ前記各表面層を構成する全繊維の平均直径が前記内部層を構成する全繊維の平均直径に比べて大きい請求項1記載のニッケル水素二次電池。
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