JP3854763B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像表示装置に関し、例えば画像を表示する表示手段として液晶表示素子に用い、それに表示された画像情報を適切に設定した自由曲面プリズムを有する表示光学系を介して拡大して広画角で観察するようにしたヘッドマウントディスプレイ(以下「HMD」と称する。)やメガネ型ディスプレイ等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば透明体(プリズム)の表面に入射面との複数の反射面、そして射出面を設けた光学素子を用いて、液晶等の画像表示素子に表示した画像情報を拡大した虚像として観察するようにした頭部装着型の画像表示装置、所謂ヘッドマウントディスプレイが種々と提案されている。
【0003】
例えばこのようなヘッドマウントディスプレイ型の画像表示装置として、特に小型化に優れた光学系の構成が、特開平7−333551号公報,特開平8−179238号公報,特開平8−234137号公報等で提案されている。
【0004】
一方、アジムス角度により屈折力が異なる面(以下自由曲面)を含むプリズム(以下自由曲面プリズム)を用い、広画角化を図ったHMDが、例えば特開平10−75407号公報,特開平9−146037号公報(特開平10−282421号公報)等で提案されている。これらで提案されているHMDは自由曲面プリズムとは別体のレンズを眼球と自由曲面プリズムとの間に入れて表示光学系を構成しており、水平画角で60度前後の広画角を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来よりHMD等の画像表示装置では、装置を観察者の頭部に装着するために装置全体の小型化、及び軽量化を図ることが重要な課題となっている。又、表示手段に表示した画像情報を広画角で良好に観察できることが重要な課題となっている。
【0006】
特開平10−75407号公報で提案している表示光学系は眼球と自由曲面プリズムとの間にレンズを使用している。このため表示光学系が大きくなり、外界を観察するシースルー光学系を構成する場合は、眼球光軸と外界光軸を略一致させ、略ノンパワーのシースルー光学系を成り立たせようとすると、3つのプリズムが必要となり(特開平10−75407号公報の図15)、光学系全体が大きくなる傾向があった。
【0007】
また光路図より明らかなように表示光学系のディストーションが大きくなる傾向があった。
【0008】
本発明は、コンパクトな表示光学系が成り立ち、かつディストーション及び諸収差の補正が良好な広画角なHMDに最適な画像表示装置の提供を目的とする。
【0009】
この他本発明は、液晶ディスプレイなどの表示手段に表示した画像情報を観察する際、表示手段からの光束を観察者の眼球に導光するための自由曲面プリズム体を含む表示光学系の構成を適切に設定することによって、装置全体の小型化を図りつつ光量のロスを減らし、該画像情報を広画角で良好なる画質で観察することができる画像表示装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の画像表示装置は、
画像情報を表示する表示手段、該表示手段からの光を眼球へ導く光学手段、外界の光を眼球へ導いて外界の画像情報と該光学手段を介した該表示手段の画像情報との双方を観察するためのシースルー光学系を有し、該光学手段は、アジムス角度により屈折力が異なる面を2面以上含み、異なる3面以上の面から構成された正の屈折力を持つプリズム体を有し、該シースルー光学系は、補正プリズムを該光学手段中のプリズム体に隣接もしくは接合させ、隣接面もしくは接合面を部分的透過面とし、かつ眼球光軸と外界光軸を一致させて構成しており、該シースルー光学系の全系ローカル母線断面屈折力と、全系ローカル子線断面屈折力がともにノンパワーであり、該シースルー光学系を構成する前記補正プリズムのもっとも外界側の面は偏心曲面で、該シースルー光学系を構成する前記プリズム体のもっとも眼球側の面とは異なる形状をした、アジムス角度により屈折力が異なる面であり、前記補正プリズムのもっとも外界側の該偏心曲面と基準光線のヒットポイント上でのローカル母線断面上の曲率半径l_ryとローカル子線断面上の曲率半径l_rxが
|l_rx|<|l_ry|
の条件を満足することを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において前記補正プリズムは前記プリズム体の外界側に配置されることを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の基本となる画像表示装置の要部概略図である。図1において1はオリジナル画像となる文字や絵等の映像表示のなされる表示手段であり、例えば公知の液晶(LCD)で構成される。2は表示手段1からの光を観察者の目(瞳)7へ導光させるための結像作用をする正の屈折力のプリズム体(自由曲面プリズム体)である。表示手段1からの光はプリズム体2の入射面3に入射し、次に臨界角以上の角度で入射し、全反射する面4と凹面5で反射され、今度は面4に臨界角以下の入射角度で入射し、面4より射出し、目7に導かれる。
【0019】
プリズム体2の入射面3、面4、凹面5の3面に自由曲面を使用し、偏心収差を小さく抑制している。また面4において反射コート(アルミ蒸着100%反射)した領域9以外では、入射光がすべて臨界角条件により透過面と反射面の両作用を満足するよう曲面を設定し、これによって面4の全面で光量ロスがなく明るい表示光学系を達成している。
【0020】
表示手段1に表示した画像情報をプリズム体2を介して拡大した虚像として瞳位置7より観察している。
【0021】
ここでプリズム体2は表示光学系の一要素を構成している。図1の画像表示装置を表示手段1で表示した画像情報のみを観察する観察装置として用いるときはプリズム体2の凹面5は、AlやAg等を蒸着した鏡面反射面として用いている。
【0022】
尚、本実施形態においてプリズム体2としては反射を2度利用しているが2度以上の反射を用いた構成としても良い。
【0023】
又、後述するシースルー光学系(表示手段の画像情報と外界の画像情報の双方が観察できる光学系)として用いるときは凹面5はハーフミラー面とし、外界からの光束を直接、凹面5から導入しても良く、又図1に示すように補正用プリズム体6を用いて、プリズム体6とプリズム体2を通過した光束を用いるようにしても良い。
【0024】
本実施形態の画像表示装置を表示手段1で表示した画像情報を外界の画像情報と共に観察するシースルー光学系として用いるときには、補正用のプリズム体6を用いている。
【0025】
プリズム体6は、プリズム体2の凹面5と同形状の面6aと平面又は非球面又は自由曲面より成る光入射面6bとを有している。
【0026】
プリズム体2の凹面5とプリズム体6の面6aはハーフミラー面より成っている。
【0027】
外界の物体(不図示)からの光束はプリズム体6の光入射面6bより入射し、面6a,凹面5,そして面4を通過し、観察者の瞳7に入射している。
【0028】
図1の画像表示装置において、観察者は表示手段1で表示した画像情報と外界の物体の双方を同一視野で観察することができる。
【0029】
尚、本実施形態においては図2に示すように表示手段1とプリズム体2の入射面3との間にフィールドレンズ11を配置しても良い。これによれば表示手段1からの光束を眼球7に効率的に導光することができる。
【0030】
次に本発明の画像表示装置の実施形態の特徴について説明する。本実施形態では、眼球7と自由曲面プリズム体2との間に別体のレンズを入れず、自由曲面プリズム体2と比較的大きな液晶(対角約1インチ以上)を用い、VR(バーチャルリアリティ)・MR(ミックストリアリティ)の分野で最低限必要な水平画角50度(アスペクト比 水平4:垂直3)を確保しながら、良好な光学性能でシースルー光学系が可能なコンパクトなHMDを達成できるようにしている。
【0031】
まず、本発明で使用される母線断面、子線断面、基準光線、ローカル母線断面、ローカル子線断面の定義について説明する。従来の光学系の定義では、各面頂点座標系でz軸を光軸とすると、yz断面が従来の母線断面(メリジオナル断面)、xz断面が子線断面(サジタル断面)としている。しかし偏心光学系では面頂点が実際の面内に存在しない場合(軸はずし)もあり、この定義は有効でない。
【0032】
本発明は偏心系なので偏心系に対応したローカル母線断面、ローカル子線断面を新たに定義する。表示手段1の画像中心(シースルーのときは外界画像中心)と眼球7の中心を通る光線(以下、基準光線)と各面との交点、所謂ヒットポイント上で、基準光線の入射光と射出光を含む面をローカル母線断面とし、ヒットポイントを含みローカル母線断面と垂直で、各面頂点座標系の子線断面(通常の子線断面)と平行な面をローカル子線断面として定義して、以下に本発明の特徴を記述する。
【0033】
本実施形態の画像表示装置は画像情報を表示する表示手段1、該表示手段の光を眼球7へ導く光学手段を有し、該光学手段はアジムス角度により屈折力が異なる面を3面以上含む正の屈折力を持つプリズム体2を有し、該プリズム体2の該表示手段1にもっとも近いプリズム面3は、アジムス角度により屈折力が異なる面であり、ローカル母線断面上で正の屈折力を持つ局所曲率半径領域が、負の屈折力をもつ局所曲率半径領域で挟まれていることを特徴とする。
【0034】
表示手段1である液晶の画像を正の屈折力をもつ自由曲面プリズム体2で拡大して観察するが、広画角になればなるほど周辺のディストーション及び諸収差(回転対称な一般収差、偏心収差)の補正は難しくなる。
【0035】
そこで本発明に係る自由曲面プリズム体2では、プリズムのメインパワーを持つ面(図1の凹面5)に自由曲面を採用して、メインパワー面での偏心収差の発生を少なくする。
【0036】
メインパワー面で補正しきれなかった偏心収差は、メインパワー面に近い他の面(図1の面4)を自由曲面化して収差がキャンセルするような面形状にして補正する。これだけでもある程度の収差補正は可能であるが、全体収差のバランスがとれない。
【0037】
そこで表示手段(LCD1)近傍のプリズム面(図1の入射面3)を自由曲面化して全体収差のバランスをとっている。
【0038】
特に広画角になる程、全体収差のバランスをとることが難しくなる。表示手段に1番近い入射面3では図1のように各画角の光線が重ならないため、この面を自由曲面にすると各画角ごとに独立した収差補正が可能であり、全体収差のバランスをとることが容易となる。
【0039】
表示手段1にもっとも近いプリズム面3を上記のような局所曲率半径の特徴を満たす面形状にして広画角にしても全系の偏心ディストーションの発生が少なく、全体収差のバランスもよく、液晶またはフィールドレンズと自由曲面プリズム体2との間の距離(以下、ワーキングディスタンス)も比較的確保しやすくしている。
【0040】
特にローカル母線断面上の周辺の負の屈折力領域は、偏心ディストーションを良好にし、ローカル母線断面上の中心付近の正の屈折力領域は、ワーキングディスタンスを確保している。
【0041】
次にプリズム体2の特徴について説明する。該プリズム体2は、眼球7にもっとも近い面より光の通過とは逆に、透過面4、反射面5、反射面4、透過面3で配置されている。該プリズム面と基準光線のヒットポイント上でのローカル子線断面上の屈折力が、眼球側より順に、負の透過面4、正の反射面5、負の反射面4の順序で配置されることを特徴とする。
【0042】
本発明は、表示手段(液晶)1からのプリズム体2に入った光は上記の2つの反射面(図1では凹面5と面4)によりローカル母線断面上で折り畳められ、プリズム体2の透過面4を射出し眼球7に導きかれる。この光線の折り畳みにより薄いプリズム体が達成されているが、ローカル母線断面上でプリズム面が偏心しているため、一般収差(回転対称)よりも偏心収差の補正が大きいため、上記局所曲率半径の条件を採用して解決している。
【0043】
しかしローカル子線断面上は偏心収差発生が少ないため、別の収差補正が必要である。そこで各プリズム面と基準光線のヒットポイント上でのローカル子線断面上の屈折力を、眼球側から、対称性のある負,正,負の屈折力の収差が容易にキャンセルできるパワー配置にして、表示手段の画像中心付近のローカル子線断面上での一般収差(回転対称)を良好に補正している。
【0044】
またプリズム体の材質の屈折率Ndについては、下記の条件式を満たすのが良い。
【0045】
1.54<Nd<1.85 ‥‥‥(1)
条件式(1)の下限値を下回ると、LCD1またはフィールドレンズと自由曲面プリズム体2とのワーキングディスタンスが十分確保できなくなる。又上限値を上回ると材料(ガラス、プラスチック)が特殊材料になるため、自由曲面プリズム体の製造が難しくなる。
【0046】
また基準光線と該プリズム体2のもっとも眼球7に近い透過面4とのヒットポイント上での、ローカル母線断面上の該透過面の接線と基準光線とのなす角度をαとした時、下記の条件式を満たすのが良い。
【0047】
70°< α <95° ‥‥‥(2)
条件式(2)は、プリズム体2のもっとも眼球に近い透過面が全反射する面4であり、全反射する面4のチルト偏心量に関するものであり、下限値を下回るとプリズム厚が厚くなり、特にシースルー光学系を付加させた時、光学系が外界側に出っ張り大型化する。上限値を上回ると面4が外界側にチルト偏心し、凹面5のチルト偏心量も大きくなるため、偏心収差発生が大きくなり補正が難しくなる。
【0048】
また自由曲面プリズム体2は、表示手段1にもっとも近い面3より順に、透過面3、反射面4、反射面5、そして透過面4の順序で配置され、該表示手段1のローカル母線断面上での最周辺画像のうち、眼球7より遠いほう側の最周辺画像と眼球中心とを通る光線が、該プリズム面をヒットするポイントでのローカル母線断面上の屈折力が、表示手段1側より光の通過順に、負の透過面、正の反射面、正の反射面、そして透過面の順序で配置されている。
【0049】
本発明では表示手段(液晶)1からの光がプリズム体2の入射面3を透過し、面4で全反射し、凹面5で反射され面4を通過する。このような自由曲面プリズム体2を使ったHMDでは、図1のLCD1のローカル母線断面上の下側(F3)の部分の位置がHMDの厚さに大きな影響を与える。
【0050】
LCD1のローカル母線断面上での最周辺画像(F3)から発する光線において、プリズム面に上記のようなパワーを持たせると、LCDが外界側に出っ張らないのでHMDを薄くすることができる。
【0051】
最周辺画像(F3)から発する光線は、上記入射面3、面4、凹面5を経て、面4を臨界角度以下で入射して透過する。この時LCD1の最周辺画像F3の位置と眼球7の中心とを通る光線が、面4を透過する時のヒットポイント上でのローカル母線断面上の屈折力を正となるようにしている。これによって最周辺画像(F3)の収差も十分補正できるようにしている。
【0052】
また眼球7にもっとも近い透過面4は、透過作用と全反射作用の両作用を持つ面である。
【0053】
この面は全反射する面4であり、臨界角条件により透過作用と全反射作用の両作用を使い分け、光の原理的なロスをなくして明るい光学系を達成している。
【0054】
本発明の画像表示装置をシースルー光学系として使用する構成は以下の通りである。画像情報を表示する表示手段1、該表示手段1からの光を眼球7へ導く光学手段2、外界の光を眼球7へ導くシースルー光学系を有している。
【0055】
ここで該光学手段は、アジムス角度により屈折力が異なる面(自由曲面)を2面以上含み、異なる3面以上の光学面から構成された正の屈折力を持つプリズム体2を有している。該シースルー光学系は、別体の補正プリズム6を該光学手段中のプリズム体2に隣接もしくは接合させ、隣接面もしくは接合面を部分的透過面とし、シースルー光学系の光学的屈折力はほとんどなく、眼球光軸と外界光軸は略一致している。
【0056】
シースルー光学系のもっとも外界側の偏心曲面6bは、シースルー光学系のもっとも眼球側の曲面4とは異なる面形状をした、アジムス角度により屈折力が異なる面である。このときシースルー光学系のもっとも外界側の該偏心曲面6bと基準光線のヒットポイント上でのローカル母線断面上の曲率半径l_ryとローカル子線断面上の曲率半径l_rxが以下の条件式を満たすのが良い。
【0057】
|l_rx|<|l_ry| ‥‥‥(3)
条件式(3)は該プリズム体2が自由曲面を採用した時、最低2面以上ないと自由曲面プリズム体のローカル母線断面とローカル子線断面の焦点距離をほぼ等しくすることができないため2面以上としている。
【0058】
そしてシースルー光学系を形成する場合、図1のような補正プリズム6を、自由曲面プリズム体2の凹面5に隣接もしくは接合させ、凹面5をハーフミラーとし、補正プリズム6の外界の面6bは、シースルー光学系の光学的屈折力がほぼノンパワーになるように、かつ眼球光軸と外界光軸が略一致するように設定している。
【0059】
このとき面6bを、シースルー光学系の収差発生を抑制するために、シースルー光学系のもっとも眼球側の面4の面形状とは違った面形状にしている。
【0060】
さらに補正プリズム6の外界側の面6bは自由曲面であり、ローカル母線断面上の曲率を、ローカル子線断面上の曲率よりゆるく設定することにより、シースルー光学系のローカル母線断面上で発生する偏心収差を少なくしている。またシースルー光学系のもっとも眼球側の曲面4も同じように自由曲面とし、ローカル母線断面上の曲率をローカル子線断面上の曲率よりゆるく設定して、シースルー光学系の収差がローカル母線断面・ローカル子線断面ともにキャンセルされ、かつシースルー光学系の全系ローカル母線断面屈折力と全系ローカル子線断面屈折力をともにノンパワーにしている。
【0061】
該補正プリズム6は該プリズム体2の外界側に配置している。これによって、仮に補正プリズム6を取りはずしたとしても、自由曲面プリズム体2だけで十分に表示光学系がそのまま成り立つようにしている。又、表示光学系を単独に作製しておいて、後で補正プリズムを外界側に付加して簡単にシースルー光学系が形成できるようにしている。
【0062】
透過作用と全反射作用の両作用を持つ全反射面を含む正の屈折力を持つプリズム体2において、該全反射面内の透過作用領域以外の領域の1部に反射コーティングし、該反射コーティング領域(100%反射)と透過作用領域の間の領域は、透過作用領域に近づくにつれて反射率が徐々に低下するコーティングをしても良い。このような構成は特開平9−265048号公報に記述がある。
【0063】
これは反射コーティング領域と透過作用領域の境界が見えてしまい好ましくないため、境界を反射率が徐々に低下するコーティングにして見えなくするものである。しかし特開平9−265048号公報で提案されている構成では反射コーティング領域と透過作用領域との間がほとんどなく、その間の領域に透過作用領域に近づくにつれて反射率が徐々に低下するコーティングを実際はつけるとできない。
【0064】
そこで本発明では、図1のように全反射面のローカル母線断面において、透過作用領域以外の領域のうちLCDに近い側約2/3の領域9を反射コーティングを施し、残り約1/3の領域10を透過作用領域に近づくにつれて反射率が徐々に低下するコーティングを施している。
【0065】
こうすることにより反射率が徐々に低下するコーティングをつけることができるようにしている。なお反射コーティングする領域9及び反射率が徐々に低下するコーティングする領域10は、ともにアルミニウムのような金属ミラーを使用すると色付きがなく好ましい。
【0066】
本実施形態では全反射する面のうちの該反射コーティングする領域9に入射する光線の1部の光線は臨界角以下で入射している。これは自由曲面プリズム体2の面4で、すべての光線を臨界角以上で入射させて、全反射させ光量ロスをなくし、広画角化を行なうとすると、画面上部の残像収差が大きくなる。
【0067】
そこで本発明は面4の上部の領域9を反射コーティングして、臨界角以下で光を入射させて反射するようにし、面4の下部は従来のように全反射させている。
【0068】
これにより光のロスも少なく、面4の上部での面形状制限もなくなり、設計自由度が増え画面上部付近の収差を低減することができるようにしている。
【0069】
各プリズム面と基準光線のヒットポイント上でのローカル母線断面上の屈折力が、LCD1にもっとも近いプリズム面(入射面3)より正、次の反射面(全反射面4)が負、さらに次の反射面(凹面鏡5)が正であるようにしている。
【0070】
こうすると正の凹面鏡5で発生した偏心収差を、負の全反射面4でキャンセルさせ、正の入射面3でワーキングディスタンスを確保する役目をする。またプリズム体2を射出する時の透過面(全反射面)4と基準光線のヒットポイント上でローカル母線断面屈折力は正であるようにしている。
【0071】
これは凹面鏡5が全プリズム面の内、もっとも強い正の屈折力をもちチルト偏心しているため、収差の発生が大きい。
【0072】
そこでチルト偏心が比較的少ない面4の透過部分に正のパワーを分担させて、凹面鏡の負担を減らし、良好な光学性能を得ている。
【0073】
各プリズム面と基準光線のヒットポイント上でのローカル子線断面における屈折力については前述したが、LCD1のローカル母線断面の上側(F2)と下側(F3)の画像についても同様のことが言える。LCD1のローカル母線断面の上側(F2)及び下側(F3)の画像と眼球中心を通る光線が、各プリズム面をヒットするポイントでのローカル子線断面と平行な断面上の屈折力が、眼球7側より順に、負の透過面4、正の反射面5、負の反射面4そして透過面3の順序で配置されている。
【0074】
こうすると表示手段1のローカル母線断面上の上側(F2)及び下側(F3)の画像を通る光線が各プリズム面をヒットするポイント上のローカル子線断面と平行な断面上で、眼球7側から対称性のある負,正,負の屈折力の収差が容易にキャンセルできるパワー配置になり、表示手段1の画像上部付近及び画像下部付近のローカル子線断面と平行な断面上での一般収差(回転対称)を良好に補正できるようにしている。
【0075】
又、本実施形態においては、基準光線上での全系のローカル子線断面の焦点距離をl_fx(2−5)、面4の反射におけるローカル子線断面の焦点距離をl_fx4とした時、
−1.5<l_fx4/l_fx(2−5)<−0.5 ‥‥‥(4)
を満たすのが良い。条件式(4)の下限値を下回ると、ローカル子線断面上で全反射する面の負のパワーが弱くなり、ローカル子線断面上でのプリズム内光路が長くなり、自由曲面プリズム体2の厚さが厚くなる。
【0076】
又上限値を超えると全反射する面の負のパワーが強くなりすぎ、凹面5の正のパワー面との収差キャンセルがうまくできなくなる。
【0077】
また表示手段1の画像F3から眼球7の中心光線上での全反射する面4の反射におけるローカル母線断面の焦点距離をF3l_fy4、画像F3から眼球7の中心光線上での凹面5のローカル母線断面の焦点距離をF3l_fy3とした時、
0<F3l_fy3/F3l_fy4<1 ‥‥‥(5)
を満たすのが良い。
【0078】
条件式(5)の下限値を下回ると、画像F3から眼球7の中心光線上での全反射する面4の反射におけるローカル母線断面上のパワーが負になり、LCD1の画像F3の部分の外界側への出っ張りが大きくなる。また上限値を超えると画像F3から眼球7の中心光線上での全反射する面の反射におけるローカル母線断面上の正のパワーが強くなり、画像F3から眼球7の中心光線上での入射面におけるローカル母線断面上で強い負のパワーが要求され、LCD1の画像F3の光路部分で十分なワーキングディスタンスを確保できない。
【0079】
尚、後述する数値例の局所曲率半径データ1〜7は、実施例1〜7の自由曲面プリズム体の入射面(LCDにもっとも近い面)のローカル母線断面上(x=0)の局所曲率半径ry(yの範囲は、入射面の外形寸法を面頂点座標系で示したもの)の数値列である。
【0080】
次に本発明の画像表示装置の実施形態の各要素の表示方式の詳細について説明する。
【0081】
図2〜図8は各々本発明の画像表示装置の後述する数値実施例1〜7の要部断面図(ローカル母線断面図、添え字がy)であり、第1面(眼球7)の面頂点座標系は図1に示している。
【0082】
図9は数値実施例4(図5)の光学系をシースルー光学系として用いたときのローカル母線断面図であり、外界側からの順方向に通過する状態の光線トレースを示している。
【0083】
本発明の光学系では各面の面頂点をy軸方向でのシフト偏心、x軸回りのチルト偏心しかさせていないため、従来の母線断面とローカル母線断面は同一断面であるが、各面の従来の子線断面とローカル子線断面は異なる。
【0084】
尚、前述した従来の母線断面、子線断面は従来の近軸(genera1 paraxial axis)の定義であり、ローカル母線断面、ローカル子線断面はこれから述べるローカル近軸(local-paraxial axis)での定義である。
【0085】
さらにローカル近軸では偏心系に対応したローカル曲率半径・ローカル面間隔・ローカル焦点距離・ローカル屈折力の定義も以下に説明する。
【0086】
本発明では表示手段1の画像中心から射出し、観察面(眼球7)の中心に入射する中心光線を基準光線とし、従来の各面の面頂点基準の曲率半径・面間隔・焦点距離・屈折力でなく、基準光線の各面でのヒットポイント点(入射点)を基準としたローカル曲率半径・ローカル面間隔・ローカル焦点距離・ローカル屈折力を用いている。
【0087】
ここでローカル曲率半径は光学面のヒットポイント点上でのローカルな曲率半径(ローカル母線断面上の曲率半径、ローカル子線断面上の曲率半径)をいう。
【0088】
又ローカル面間隔は現在の面と次の面との、2つのヒットポイント間の距離(基準光線上の距離、空気換算なしの値)の値をいう。又ローカル焦点距離はローカル曲率半径・面の前後の屈折率・ローカル面間隔より、従来の焦点距離計算方法(近軸追跡)で計算した値である。ローカル屈折力はローカル焦点距離の逆数の値である。
【0089】
尚、本発明の各実施例では従来の曲率半径・面間隔・偏心量・屈折率・アッべ数と、ローカル曲率半径・面の屈折率・ローカル面間隔・ローカル焦点距離を示している。
【0090】
本発明の実施例として7つの実施例をあげた。実施例1〜7の数値データを表1〜7に示し、光路断面図を図2〜8に示した。実施例4のプリズム体2に対して補正プリズム体6を追加してシースルー光学系としたときの数値データは表8に示し、光路断面図を図9に示した。
【0091】
表1〜8の従来近軸では(genera1 paraxial axis)、母線断面曲率半径ry・子線断面曲率半径rx・面間隔d(第1面の面頂点座標系と平行)・偏心量(母線断面上において、第1面の面頂点座標系に対する各面の面頂点の平行偏心量をshift、傾き偏心量をtilt度)・d線の屈折率nd、アッベ数νdを示し、FFSは自由曲面を表している。またMがついたものは反射面であり、d線の屈折率ndは逆符号とした。
【0092】
尚、表1〜7は眼球7から液晶側(表示手段)7への逆トレースで数値データは示されており、表8は光が物体側から瞳(7)に向かう順トレースの数値データである。FFS(自由曲面)の定義式を以下に示す。
【0093】
(各面の面頂点座標系で)
【0094】
【数1】
【0095】
各c1、c5‥‥は各々自由曲面係数である。
【0096】
(注意:本実施例での自由曲面の場合、自由曲面係数の中に近軸に関与する係数があるため、従来近軸の母線断面曲率半径ry・子線断面曲率半径rxの値が面頂点上での実際の母線断面曲率半径ry・子線断面曲率半径rxと一致しない。そこでポイント(0,0)つまり面頂点上での実際の母線断面曲率半径ry・子線断面曲率半径rxも示した。)またローカル近軸(local-paraxial axis)ではローカル曲率半径local_ry,local_rx・ローカル面間隔local_d(反射面は逆符号)・ローカル焦点距離local_fy,local_fx・面の屈折率nd(反射面は逆符号)を示している。
【0097】
また各面でのヒットポイント座標(面頂点を0.0)と全系ローカル焦点距離・画角も示した。
【0098】
さらにローカル近軸(local-paraxial axis)の下には、基準光線と各面のヒットポイントでなく、LCDのローカル母線断面上での、LCD最周辺画像F2(上側)と眼球中心を通る光線と各面とのヒットポイント上での、ローカル曲率半径local_ry,local_rx・ローカル面間隔local_d(反射面は逆符号)・ローカル焦点距離local_fy,local_fx・面の屈折率nd(反射面は逆符号)・各面でのヒットポイント座標(面頂点を0,0)・全系ローカル焦点距離もlocal paraxial
ray<F2>として追加した。
【0099】
この時の数値データおよび計算値は、ローカル近軸の基準光線(眼球中心とLCD中心を通る光線)を、LCD最周辺画像F2(上側)と眼球中心を通る光線に置き換えて計算した。またLCD最周辺画像F3(下側)についても同様にlocal paraxial ray<F3>として追加した。
【0100】
表9では7つの実施例1〜7について、各面及び全系のローカル母線断面焦点距離・ローカル子線断面焦点距離(基準光線)、F2から眼球中心光線上での各面及び全系のローカル母線断面焦点距離・ローカル子線断面焦点距離、F3から眼球中心光線上での各面及び全系のローカル母線断面焦点距離・ローカル子線断面焦点距離についてまとめた。
【0101】
次に本発明の各実施例の数値例を以下に示す。
【0102】
【外1】
【0103】
【外2】
【0104】
【外3】
【0105】
【外4】
【0106】
【外5】
【0107】
【外6】
【0108】
【外7】
【0109】
【外8】
【0110】
【外9】
【0111】
【外10】
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、コンパクトな表示光学系が成り立ち、かつディストーション及び諸収差の補正が良好な広画角なHMDに最適な画像表示装置を達成することができる。
【0113】
この他本発明によれば、液晶ディスプレイなどの表示手段に表示した画像情報を観察する際、表示手段からの光束を観察者の眼球に導光するための自由曲面プリズム体を含む表示光学系の構成を適切に設定することによって、装置全体の小型化を図りつつ光量のロスを減らし、該画像情報を広画角で良好なる画質で観察することができる画像表示装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像表示装置の実施形態の要部概略図
【図2】 本発明の画像表示装置の実施形態1の要部概略図
【図3】 本発明の画像表示装置の実施形態2の要部概略図
【図4】 本発明の画像表示装置の実施形態3の要部概略図
【図5】 本発明の画像表示装置の実施形態4の要部概略図
【図6】 本発明の画像表示装置の実施形態5の要部概略図
【図7】 本発明の画像表示装置の実施形態6の要部概略図
【図8】 本発明の画像表示装置の実施形態7の要部概略図
【図9】 本発明の画像表示装置をシースルー光学系としたときの要部概略図
【符号の説明】
1 LCD
2 自由曲面プリズム
3 入射面
4 全反射面
5 凹面鏡
6 補正用自由曲面プリズム
7 眼球
8 眼球光軸
9 反射コーティング領域
10 反射率が徐々に低下するコーティング領域
11 フィールドレンズ
Claims (2)
- 画像情報を表示する表示手段、該表示手段からの光を眼球へ導く光学手段、外界の光を眼球へ導いて外界の画像情報と該光学手段を介した該表示手段の画像情報との双方を観察するためのシースルー光学系を有し、該光学手段は、アジムス角度により屈折力が異なる面を2面以上含み、異なる3面以上の面から構成された正の屈折力を持つプリズム体を有し、該シースルー光学系は、補正プリズムを該光学手段中のプリズム体に隣接もしくは接合させ、隣接面もしくは接合面を部分的透過面とし、かつ眼球光軸と外界光軸を一致させて構成しており、該シースルー光学系の全系ローカル母線断面屈折力と、全系ローカル子線断面屈折力がともにノンパワーであり、該シースルー光学系を構成する前記補正プリズムのもっとも外界側の面は偏心曲面で、該シースルー光学系を構成する前記プリズム体のもっとも眼球側の面とは異なる形状をした、アジムス角度により屈折力が異なる面であり、前記補正プリズムのもっとも外界側の該偏心曲面と基準光線のヒットポイント上でのローカル母線断面上の曲率半径l_ryとローカル子線断面上の曲率半径l_rxが
|l_rx|<|l_ry|
の条件を満足することを特徴とする画像表示装置。 - 前記補正プリズムは前記プリズム体の外界側に配置されることを特徴とする請求項1の画像表示装置。
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