JP3855924B2 - Aサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物を用いた排気ガス浄化用三元触媒 - Google Patents
Aサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物を用いた排気ガス浄化用三元触媒 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Aサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物を用いた触媒に関し、特に自動車などの内燃機関から排出される排気ガス浄化用触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などの内燃機関からの排気ガスの浄化用触媒としては、白金、ロジウム及びパラジウム等の貴金属をアルミナ等の担体基材に担持したものが主として用いられてきた。特に、ロジウムはNOXを浄化するための必須成分として用いられてきたが、その資源的不足から高価な触媒材料である。
【0003】
また、近年の地球規模での環境に対する意識の高まりから、排気ガスの浄化は質量ともに要求水準が上がってきている。このような状況から、貴金属の需要が広がり、供給不足とそれに伴う更なるコストの上昇が懸念される。
このような問題から、比較的資源として豊富であり、コスト的にも安価なパラジウムの排ガス浄化用触媒への適用が図られてきた。
【0004】
通常、触媒成分としてパラジウムを用いる場合には、高温域で酸化パラジウムの還元が生じ、パラジウム触媒のNOX浄化能が十分に得られないことが知られている。このパラジウムのNOX浄化性能を向上を図る目的で、ペロブスカイト組成を選び、助触媒として添加することが有効であることをこれまでに確認している(特願平5−292023号)。
【0005】
しかしながら、ペロブスカイトを触媒又は助触媒として用い、基材としてアルミナを用いて触媒担体を構成した場合には、高温度領域で長時間使用することにより、ペロブスカイトとアルミナとが反応し、ペロブスカイトの比表面積の低下と触媒性能の劣化とを生ずる。
また、ジルコニア系の基材の表面にペロブスカイトを高分散に担持させることにより、触媒活性を向上させようとした場合にも、アルミナに比べ劣化は少ないものの、担持されたペロブスカイト成分とジルコニアとの間に高温度領域では固相反応が生じてしまい、十分な分散効果が得られない場合がある(N.Mizuno et al.:J.Am.Chem.Soc.Vol.114、7151(1992))。
【0006】
また、Coを主成分とするペロブスカイトにおいては、高温還元雰囲気下で構造が分解してしまったり、原子価を制御することにより触媒活性を向上させるために、ストロンチウムをペロブスカイト組成に含む場合には、このストロンチウムが触媒成分であるパラジウムと高温で反応し、失活することが指摘されている(田中、高橋:自動車技術、Vol.47、p51(1993))。
【0007】
このようなCoを主成分とするペロブスカイト触媒の高温度領域における特性劣化を抑制することによって、耐久性を向上させる方法として耐還元性能の向上に効果のあるFeの含有量を多くし、ストロンチウムに代えてセリウムを置換元素とした、例えば、La0.9Ce0.1Co0.4Fe0.6O3- δを触媒成分として用い、更に固相反応を抑制するためにペロブスカイトと反応しにくい(Ce、Zr、Y)O2 系の基材を用いることにより耐久性と触媒活性との両立を図ることが試みられている(田中、高橋:自動車技術、Vol.47、p51(1993))。
【0008】
しかしながら、耐熱性を向上させる目的でFeを多く含有したペロブスカイト組成を用いると、排ガスの低温度領域から十分な触媒活性を得ることが難しくなり、貴金属成分量の増加を招く。
更に、基材の組成を選び、耐久性を向上させて、より厳しい条件下で特性劣化を生ぜず、北米や欧州の排ガス規制強化や今後厳しくなるであろうと予想される排ガス規制強化に対応しようとする場合に、現状のペロブスカイト組成では使用環境に自ずから限界が生じてしまう。
【0009】
また、各構成成分によってストロンチウムやセリウムなどの元素の特徴が触媒活性に現れるため、この様なペロブスカイトにおける触媒活性の特徴を生かして触媒を構成しようとする場合にも、構成元素による貴金属に対する触媒作用の劣化を抑制するために、構成成分と貴金属触媒との相互作用を極力抑制することが必要となる。
【0010】
更に、ペロブスカイト自体の活性を利用して、原子価制御を有効に行い、ペロブスカイト自体の触媒活性と耐久性とを向上させる触媒材料設計が重要となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、所定の組成割合を有するAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物を用いることにより、ペロブスカイトと接する酸化物との間で固相反応を抑制し、触媒作用を有するペロブスカイト型複合酸化物の耐久性や耐熱性を改善し、更に触媒作用に重要な貢献をする原子価を有効に制御するとともに、原子価制御により導入された酸素空孔が結晶格子内に高速に移動することが可能となるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物を用いた排気ガス浄化用三元触媒を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、解決する手段として、ペロブスカイト構造においてAサイト元素に対するBサイト元素の組成割合{(B−A)/B}比=αが0より大きく、一般式A1- αBO3- δで表される複合酸化物において、αのとり得る範囲が0.1<α<0.15であり、かつ、δのとり得る範囲が0≦δ≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物を用いることにより、ペロブスカイトと接する酸化物との間で固相反応を抑制し、触媒作用を有するペロブスカイト型複合酸化物の耐久性や耐熱性を改善し、更に触媒作用に重要な貢献をする原子価制御を有効に働かせ、触媒活性に重要な金属元素の価数制御と、原子価制御により導入された酸素空孔の結晶格子内の移動がAサイト欠損量により変化し、酸化還元の触媒作用に重要な酸素の放出吸収特性が、特にAサイト欠損量αのとる範囲を0.1<α<0.15で有効に作用することを見出し、本発明に到達した。
【0013】
αが0.2より大きいと、第2相の析出量が増加し、酸素の放出吸収特性が劣化して好ましくなく、また特に0.15を超えると第2相が析出して、ペロブスカイト構造が不安定となる傾向が生じ、0.1<α<0.15で酸素放出能が改善されるため特に好ましい。
【0014】
本発明の上記の目的は、ペロブスカイト構造において、Aサイト元素に対するBサイト元素の組成割合{(B−A)/B}比=αが0より大きく、一般式(A′1-xA″x)1- α(B′1-yB″y)O3- δ(式中のA′はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はPr、Ce、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B′とB″は、異なる元素であり、Mn、Co、Ti、Fe、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種とから構成されている)で表され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持されたことを特徴とする排気ガス浄化用三元触媒により達成された。
【0015】
δを0≦δ≦1としたのは、かかる範囲内でペロブスカイト構造が最も安定だからである。
【0016】
【発明の実施の形態】
Aサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物は、一般的に知られているペロブスカイトABO3- δ構造を基本構造として有し、Aサイト元素に対するBサイト元素の組成割合{(B−A)/B}比=αが0より大きく、一般式A1- αBO3- δで表されるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物とすることにより、通常のペロブスカイトABO3- δ構造に比べ、ペロブスカイトに接する酸化物との間での固相反応を抑制し、耐熱性や耐久性を改善することができる。
【0017】
特に、一般式A1- αBO3- δ中のαのとり得る範囲が0<α<0.2であることにより、ペロブスカイト構造の安定化が図られ、かつ、Aサイト欠損による原子価を制御することにより触媒作用に重要な役割を担う酸素空孔の導入を促し、酸素空孔量δのとり得る範囲が0≦δ≦1であることにより、酸素の吸収放出能の確保と耐久性の向上とが実現される。
【0018】
一般式A1- αBO3- δで表されるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物において、αのとり得る範囲が0<α<0.2であり、かつ、δのとり得る範囲が0≦δ≦1であり、希土類金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属のうちから、AはLa、Pr、Ce、Nd、Gd、Er、Y、Bi、Ba、Sr、Ca、K及びPbから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、Bは3d遷移金属元素のうち、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種の耐熱性に優れていると考えられている構成元素から、Aサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物を構成することにより、耐熱性や耐久性を改善することができる。
【0019】
一般式A1- αBO3- δで表されるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物において、式中のAはA’とA″、BはB’とB″の2種類の構成元素からなる一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd、Y及びBiから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はPr、Ce、Ba、Sr、Ca、K及びPbから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B’とB″は、Mn、Co、Ti、Fe、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0<α<0.2、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることにより、特にxを変化させることによって原子価を制御することによるBサイトの電子状態を制御し、Aサイト欠損型ペロブスカイト構造を構成させることにより、酸素の放出吸収能を向上させ、かつ、耐熱性や耐久性を改善することができる。
【0020】
一般式A1- αBO3- δで表れるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物において、式中のAはA’とA″、BはB’とB″の2種類の構成元素からなる一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δ(式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はPr、Ce、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B’とB″は、Mn、Co、Ti、Fe、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成される)で表され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0<α<0.2、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることにより、触媒活性に有効な元素の組合わせをx及びyを変化させて原子価を制御することによるBサイトの電子状態を制御し、Aサイト欠損型ペロブスカイト構造を構成させることにより、触媒活性を向上させ、かつ、耐熱性や耐久性を改善することができる。
【0021】
一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から構成され、B’はCoであり、B″はMn、Fe、Ni及びAlから成る群から構成され、かつ、α、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0<α<0.2、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることにより、Coの触媒活性を有効に利用し、x及びyを変化させて原子価を制御することによるBサイトの電子状態を制御し、Aサイト欠損型ペロブスカイト構造を構成させることにより、Coの触媒活性の特徴を維持し、耐熱性や耐久性を改善することができる。
【0022】
一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から構成され、B’はMnであり、B″はFe、Ti及びCuから成る群から構成され、かつ、α、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0<α<0.2、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることにより、Mnの触媒活性を有効に利用し、x及びyを変化させて原子価を制御することによるBサイトの電子状態を制御し、Aサイト欠損型ペロブスカイト構造を構成させることにより、Mnの触媒活性の特徴を維持し、耐熱性や耐久性を改善することができる。
【0023】
一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δで表され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0<α<0.2、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持され、Pdに悪影響を及ぼすと考えられる元素の安定化を図り、Pdとの相互作用を抑制することにより、少なくともPdを含む複合酸化物触媒の耐熱性や耐久性を改善することができる。
【0024】
一般式(A’1-xA″x)1- α(Co1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から構成され、B″はMn、Fe、Ni及びAlから成る群から構成され、かつ、α、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0<α<0.2、0≦δ≦1、0≦x≦1、0<y≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持され、Pdに悪影響を及ぼすと考えられる元素の安定化を図り、Pdとの相互作用を抑制することにより、少なくともPdを含む複合酸化物触媒の耐久性を改善し、Coの触媒活性を生かしつつ、優れた排ガス浄化用三元触媒を提供することができる。
【0025】
一般式(A’1-xA″x)1- α(Mn1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から構成され、B″はFe及び/又はTiから構成され、かつ、α、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0<α<0.2、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持され、Pdに悪影響を及ぼすと考えられる元素の安定化を図り、Pdとの相互作用を抑制することにより、少なくともPdを含む複合酸化物触媒の耐熱性や耐久性を改善し、Mnの触媒活性を生かした排ガス浄化用三元触媒を提供することができる。
【0026】
Aサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物は、一般的に知られているペロブスカイトABO3- δ構造を基本構造として有し、Aサイト元素に対するBサイト元素の組成割合{(B−A)/B}比=αが0より大きく、一般式A1- αBO3- δで表わされるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物において、式中のAはアルカリ金属元素、アルカリ土類元素、希土類元素、Y及びPbから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、Bは3d遷移金属元素から選ばれたTi、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種から構成されることにより、通常のペロブスカイトABO3- δ構造に比べ、ペロブスカイトに接する酸化物との間での固相反応を抑制し、耐熱性や耐久性を改善することができる。
【0027】
特に、一般式A1- αBO3- δ中のαのとり得る範囲が0.1<α<0.15であることにより、ペロブスカイト構造の安定化が図られ、かつ、Aサイト欠損による原子価を制御することにより触媒作用に重要な役割を担う酸素空孔の導入を促し、酸素空孔量δのとり得る範囲が0≦δ≦1であることにより、酸素の吸収放出能の確保と耐久性の向上とが実現される。
【0028】
一般式A1- αBO3- δで表されるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物において、式中のAはLa、Pr、Ce、Nd、Gd、Y、Ba、Sr、Ca、K及びPbから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、BはTi、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種の耐熱性に優れていると考えられている構成元素から構成され、かつαのとり得る範囲が0.1<α<0.15であり、かつ、δのとり得る範囲が0≦δ≦1であることによりペロブスカイトの安定化が図られ、かつ、触媒作用に重要な貢献をする原子価制御を有効に働かせ、触媒活性に重要な金属元素の価数制御と、原子価制御により導入された酸素空孔の結晶格子内の移動を容易にすると共に、700℃以下の温度域で酸素の放出吸収特性を有し耐久性能の確保とを同時に可能とする。
【0029】
一般式A1- αBO3- δで表されるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物において、式中のAはA’とA″、BはB’とB″の2種類の構成元素からなる一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はPr、Ce、Ba、Sr、Ca、K及びPbから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B’とB″は、異なる元素であり、Mn、Co、Ti、Fe、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることにより、特にxを変化させることによって原子価を制御することによるBサイトの電子状態を制御し、Aサイト欠損型ペロブスカイト構造を構成させることにより、700℃以下の温度域で酸素の放出吸収能を向上させ、かつ、耐熱性及び耐久性を改善することができる。x≦1、0≦y≦1としたのは、かかる範囲内でペロブスカイト構造が最も安定だからである。
【0030】
一般式A1- αBO3- δで表れるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物において、式中のAはA’とA″、BはB’とB″の2種類の構成元素からなる一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δ(式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はPr、Ce、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B’とB″は、異なる元素であり、Mn、Co、Ti、Fe、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成される)で表され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1とすることにより、触媒活性に有効な元素の組合わせをx及びyを変化させて原子価制御によるBサイトの電子状態を制御し、Aサイト欠損型ペロブスカイト構造を構成させることにより、触媒活性の向上と耐熱性及び耐久性を改善することができる。
【0031】
一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B’はCoであり、B″はMn、Fe、Ni及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、かつ、α、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y<1であることにより、Coの触媒活性を有効に利用し、x及びyを変化させて原子価を制御することによるBサイトの電子状態を制御し、Aサイト欠損型ペロブスカイト構造を構成させることにより、Coの触媒活性の特徴を維持し、耐熱性及び耐久性を改善することができる。
【0032】
一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B’はMnであり、B″はFe、Ti及びCuから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、かつ、α、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることにより、Mnの触媒活性を有効に利用し、x及びyを変化させて原子価を制御することによるBサイトの電子状態を制御し、Aサイト欠損型ペロブスカイト構造を構成させることにより、Mnの触媒活性の特徴を維持し、耐熱性や耐久性を改善することができる。
【0033】
本発明の請求項1記載の排気ガス浄化用三元触媒は、基材としてγ−アルミナ又はジルコニアを含み、ペロブスカイト構造において、Aサイト元素に対するBサイト元素の組成割合{(B−A)/B}比=αが0より大きく、一般式(A′1-xA″x)1- α(B′1-yB″y)O3- δ(式中のA′はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はPr、Ce、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B′とB″は、異なる元素であり、Mn、Co、Ti、Fe、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種とから構成されている)で表され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0<y≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持され、Pdに悪影響を及ぼすと考えられる元素の安定化を図り、Pdとの相互作用を抑制することにより、少なくともPdを含む複合酸化物触媒の耐熱性及び耐久性を改善することができる。
【0034】
本発明の請求項2記載の排気ガス浄化用三元触媒は、基材としてγ−アルミナ又はジルコニアを含み、一般式(A’1-xA″x)1- α(Co1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B″はMn、Fe、Ni及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、かつ、α、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0<y≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持され、Pdに悪影響を及ぼすと考えられる元素の安定化を図り、Pdとの相互作用を抑制することにより、少なくともPdを含む複合酸化物触媒の耐久性を改善し、Coの触媒活性を生かしつつ、優れた排ガス浄化用三元触媒を提供することができる。
【0035】
本発明の請求項3記載の排気ガス浄化用三元触媒は、基材としてγ−アルミナ又はジルコニアを含み、一般式(A’1-xA″x)1- α(Mn1-yB″y)O3- δで表され、式中のA’はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B″はFe及び/又はTiから構成され、かつ、α、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持され、Pdに悪影響を及ぼすと考えられる元素の安定化を図り、Pdとの相互作用を抑制することにより、少なくともPdを含む複合酸化物触媒の耐熱性及び耐久性を改善し、Mnの触媒活性を生かした排ガス浄化用三元触媒を提供することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例及び試験例によって更に説明する。
【0037】
参考例1
La0.9Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末は、以下に示す方法(特開平2−74505号公報に記載された方法と同様である)により製造された。
ランタン、コバルト及び鉄の炭酸塩又は水酸化物(平均粒径約2〜3μmの粉末を使用)を出発原料として、それぞれモル比でLa:Co:Fe=9:5:5と成るように加え、ボールミルで粉砕混合した(粉砕後、混合粉の平均粒径約1μm)。
得られた混合物100重量部に対してクエン酸約64重量部と純水400重量部とを加え、60±5℃で反応させた。
反応を終了した後、得られたスラリーを120℃で脱水して複合クエン酸塩を得た。得られた複合クエン酸塩を600℃で1時間大気中で仮焼した後、1100℃で5時間本焼を行い、La0.9Co0.5Fe0.5O3- δ複合酸化物粉末を製造した。
尚、以下の参考例、実施例及び比較例についても、特に断らない限り、出発原料である炭酸塩や水酸化物の種類や混合比を変更した他は、参考例1と全く同様な方法によりペロブスカイト粉末を製造した。
【0038】
参考例2
La0.875Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0039】
参考例3
La0.85Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0040】
参考例4
La0.81Ce0.09Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0041】
参考例5
La0.72Sr0.18Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0042】
参考例6
La0.81K0.09Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0043】
参考例7
La0.72Ba0.18Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0044】
参考例8
La0.81Pb0.09Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0045】
参考例9
La0.81Pr0.09Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0046】
参考例10
La0.9Co0.8Fe0.2O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0047】
参考例11
La0.9Co1.0O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0048】
参考例12
Nd0.9Mn1.0O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0049】
参考例13
La0.9MnO3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0050】
参考例14
La0.9Mn0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0051】
参考例15
La0.81K0.09Mn0.8Cu0.2O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0052】
参考例16
Y0.81Ca0.09Mn1.0O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0053】
参考例17
La0.81Sr0.09Mn0.9Ti0.1O3- δで示されるペロブスカイト粉末を、Tiの出発原料としてシュウ酸塩を用いた他は、参考例1と全く同様にして製造した。
【0054】
実施例1
Gd0.875 Mn1.0 O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0055】
参考例18
La0.47Sr0.47Co0.98Ni0.02O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0056】
実施例2
La0.7Sr0.175Co0.8Fe0.2O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0057】
参考例19
La0.81Sr0.09Co0.95Al0.05O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0058】
参考例20
La0.81Ba0.09Co0.5Mn0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0059】
参考例21
ランタン、コバルトの炭酸塩(平均粒径約2〜3μmの粉末を使用)を出発原料として、それぞれモル比でLa:Co=8.75:10となるように加え、ボールミルで粉砕混合した(粉砕後、混合粉の平均粒径約1μm)。以下参考例1と同様にしてLa0.875CoO3- δで示されるペロブスカイト粉末を製造した。
【0060】
参考例22
La0.875MnO3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0061】
参考例23
La0.78Ce0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0062】
参考例24
La0.78Sr0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0063】
参考例25
La0.78K0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0064】
参考例26
La0.78Ba0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0065】
参考例27
La0.78Pb0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0066】
参考例28
Nd0.875MnO3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0067】
参考例29
La0.455Ba0.42Mn0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0068】
参考例32
La0.78K0.1Mn0.8Cu0.2O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0069】
実施例3
Y0.78Ca0.1MnO3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0070】
実施例4
La0.78Sr0.1Mn0.9Ti0.1O3- δで示されるペロブスカイト粉末を、Tiの原料に蓚酸塩を用いる以外の他は、参考例21と同様にして製造した。
【0071】
実施例5
Gd0.78Pr0.1MnO3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0072】
実施例6
La0.44Sr0.44Co0.98Ni0.02O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0073】
実施例7
La0.78Sr0.1Co0.95Al0.05O3- δで示されるペロブスカイト粉末を、Alの出発原料に水酸化物を用いる以外の他は、参考例21と同様にして製造した。
【0074】
実施例8
La0.78Ba0.1Co0.5Mn0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0075】
比較例1
La1.0Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0076】
比較例2
La0.9Sr0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0077】
比較例3
La0.9K0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0078】
比較例4
La0.8Ba0.2Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0079】
比較例5
La0.9Pb0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0080】
比較例6
La1.0Co0.8Fe0.2O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0081】
比較例7
La1.0Co1.0O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0082】
比較例8
Nd1.0Mn1.0O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0083】
比較例9
La1.0Mn0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0084】
比較例10
La0.9K0.1Mn0.8Cu0.2O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0085】
比較例11
Y0.9Ca0.1Mn1.0O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0086】
比較例12
La0.9Sr0.1Mn0.9Ti0.1O3- δで示されるペロブスカイト粉末をTiの出発原料としてシュウ酸塩を用いた他は、参考例1と全く同様にして製造した。
【0087】
比較例13
GdMnO3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0088】
比較例14
La0.5Sr0.5Co0.98Ni0.02O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0089】
比較例15
La0.8Sr0.2Co0.8Fe0.2O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0090】
比較例16
La0.9Sr0.1Co0.95Al0.05O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0091】
比較例17
La0.9Ba0.1Co0.5Mn0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例1と全く同様にして製造した。
【0092】
比較例18
La1.0Mn1.0O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0093】
比較例19
La1.0Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0094】
比較例20
La0.9Ce0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と全く同様にして製造した。
【0095】
比較例21
La0.9Ba0.1Co0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0096】
比較例22
La0.5Ba0.5Mn0.5Fe0.5O3- δで示されるペロブスカイト粉末を参考例21と同様にして製造した。
【0097】
試験例1
参考例1〜11及び比較例1〜7で得られたペロブスカイトについて、ペロブスカイトと接する酸化物との間での固相反応の抑制効果について検討した。Aサイト欠損型と従来のペロブスカイトにおける基材のγ−アルミナに対する固相反応性は、下記の条件下で耐久と評価を行うことにより判断した。
【0098】
(固相反応評価法)
1)評価試料の作製
(1)各仕様のペロブスカイト粉末:γ−アルミナ=1:2(重量比)となるように秤量
(2)秤量粉末を瑪瑙乳鉢で1時間乾式混合
(3)混合粉を1トン/cm2で約3×5×20mm3の直方体に成形
(4)成形体を900℃又は1100℃で5時間大気中で加熱熱処理により耐久
2)X線回折による固相反応評価
(1)生成相のX線回折ピークの強度の測定
(2)ペロブスカイトと生成相とのX線回折ピークの強度比の測定
【0099】
900℃及び1100℃で耐久された参考例1と比較例1における固相反応した後のX線回折パターンの一例を図1に示す。図1(a)、(b)に示すように、900℃における耐久では、通常のペロブスカイトLa1.0Co0.5Fe0.5O3 - δ(比較例1)をアルミナと反応させることにより、LaAlO3とスピネル相との生成が確認された。
【0100】
これらの反応生成物を生じる固相反応を進行させることにより、ペロブスカイトの分解やそれに伴う比表面積の低下が生じ、その結果ペロブスカイトの触媒活性が低下すると考えられる。この結果は、これまでのペロブスカイトの基材との反応による劣化機構がスピネル相の生成が反応のトリガーであるという結果に加えて、LaAlO3の生成が関与していることを意味している。
【0101】
更に、1100℃における耐久においても、固相反応による生成相は見られるが、参考例1によるAサイト欠損型の方が固相反応を抑止していることが判る。このことは、Aサイト欠損型ペロブスカイトLa0.9Co0.5Fe0.5O3- δ(参考例1)においては、LaAlO3の生成を抑制し、Aサイト欠損型とすることにより、ペロブスカイトの分解やそれに伴う比表面積の低下を抑制することができることを意味している。
【0102】
また、ジルコニア系の基材の表面にペロブスカイトを高分散させて担持した場合にも、ペロブスカイト成分とジルコニアとの間に高温度領域で固相反応が生じてしまい、十分な分散効果が得られない(N.Mizuno et al.:J.Am.Chem.Soc.Vol.114、7151(1992))という研究結果にも対応するもので、これらの結果を基に系を単純化するためにLaCoO3- δを例にとり、基材との固相反応式を模式的に図2に示した。
【0103】
このような解析結果に基づき、上記の(固相反応評価法)にある手順に従い評価用試料を作製し、1100℃で耐久を行った。この際、得られたペロブスカイトに対する生成相LaAlO3のX線回折ピーク強度比(I〔LaAlO3〕/I〔ペロブスカイト〕)を指標にして、固相反応によるペロブスカイトの劣化の度合を評価した。
得られた結果を各ペロブスカイト組成におけるLaAlO3の生成割合I〔LaAlO3〕/I〔ペロブスカイト〕として表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
この際、αが0.2以上の組成領域においては、第二相の析出が見られ、Aサイトペロブスカイト単一相を得ることができなかった。また、表1から明らかなように、比較例1〜7に示す組成に対して、参考例1〜11にあるような組成、一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δで表され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0<α<0.2、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物とすることにより、LaAlO3の生成を抑制し、ペロブスカイトの耐久性を向上させることが可能となる。
【0106】
また、Aサイト欠損型とすることにより、触媒作用に重要な貢献をする原子価を有効に制御することが可能であることを、格子欠陥論を用いた理論的な考察から論証することが可能である。LaCoO3- δを例にとり、ペロブスカイトの触媒活性を向上させる原子価制御を説明すると、Aサイトをしめる+3価のLaの一部を電荷の異なる+2価のSrで置換することにより酸化活性を大きく向上させることができるが、これは雰囲気中の酸素濃度により、次の化学反応式に従い、酸素が可逆的に出入りすることによると考えられる(田中、高橋:自動車技術、Vol.47p51(1993))。
La3+ 1-X Sr2+ x Co3+ 1-x Co4+ x O3 <====>
La3+ 1-X Sr2+ x Co3+ 1-x + 2 δCo4+ x-2 δO3-δ + (1/2δ)O2
【0107】
同様の議論がMn系ペロブスカイトにおいても可能であり、Aサイトを異なる原子価で、即ち+2価のSr、+1価のK、それとAサイト欠損(+3価のLa空孔)で置換したときの酸素欠損量δの関係を図3に示す。図3から明らかなように、反応に関わる酸素の出入りをAサイトを異なる原子価で置換し制御していることになる。
【0108】
ここで示されたようにAサイト欠損は、SrやKの置換による通常の原子価制御で導入される酸素空孔よりも多く導入されることを示している。このことは、担持された貴金属触媒の性能に悪影響を及ぼし易い置換元素量を減じても原子価を有効に制御することができることを意味する。更に加えて、これまで述べてきたように基材との固相反応を抑制し、耐久性を併せ持った触媒活性に優れたペロブスカイト複合酸化物の実現を可能とするものである。
次に、ペロブスカイトの耐久性と触媒活性の向上に本発明が有効であることを試験例2による評価法をもって検討した。
【0109】
試験例2
参考例12〜15及び比較例8、18、9〜10のペロブスカイトについて、ペロブスカイトと接するアルミナとの間での固相反応による触媒特性の劣化について検討した。Aサイト欠損型と従来のペロブスカイトにおける基材のγ−アルミナにおいて生じる固相反応による触媒活性の劣化の抑制効果は、下記の条件下で耐久と評価を行うことにより判断した。
【0110】
(触媒活性評価法I)
1)評価試料の作製
(1)各仕様のペロブスカイト粉末:γ−アルミナ=1:2(重量比)となるように秤量
(2)秤量粉末を瑪瑙乳鉢で1時間乾式混合
(3)混合粉を900℃で10時間大気中で加熱熱処理により耐久
2)反応評価
(1)反応評価ガス
C3H6:2200ppm
O2:4.5%
He:残
(2)反応特性評価
昇温しながら転換率が50%となる温度(T50)を測定
【0111】
参考例12〜15及び比較例8、18、9〜10における触媒活性評価結果を表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
表2に示すように、耐久後の評価結果は、各実施例共、対応する比較例に比べてT50は低く、触媒活性は上回り、Aサイト欠損型とすることにより、耐久後の触媒活性の向上に有効であることが判る。
また、Pdを担持させた後のペロブスカイトの耐久性能の向上にも有効であることを試験例3による評価法をもって検討した。
【0114】
試験例3
参考例16〜20、実施例1〜2及び比較例11〜17のペロブスカイトについて、Pdを担持させたペロブスカイトと接するアルミナとの間での固相反応による触媒特性の劣化について検討した。Aサイト欠損型と従来のペロブスカイトにおける基材のγ−アルミナにおいて生じる固相反応による触媒活性の劣化の抑制効果は、下記の条件下で耐久と評価を行うことにより判断した。
【0115】
(触媒活性評価法II)
1)評価試料の作製
(1)各仕様のペロブスカイト粉末に塩化パラジウム溶液を用い、2重量%
Pdを担持
(2)Pdを担持された各仕様についてペロブスカイト粉末:γ−アルミナ=1:2(重量比)となるように秤量
(3)秤量粉末を瑪瑙乳鉢で1時間乾式混合
(4)混合粉を900℃で10時間大気中で加熱熱処理により耐久
2)反応評価
(1)反応評価ガス
C3H6:2200ppm
O2:4.5%
He:残
(2)反応特性評価
昇温しながら転換率が50%となる温度(T50)を測定
【0116】
実施例16〜20、実施例1〜2及び比較例11〜17における触媒活性の評価結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
【0118】
耐久後の評価結果は、各参考例及び実施例共、対応する比較例に比べT50は低く、触媒活性は上回っており、Aサイト欠損型とすることにより、耐久後の触媒活性の向上に有効であること示している。このことは、Pdを担持させた後のペロブスカイト触媒の耐久性能の向上にも有効であることを意味している。
【0119】
試験例4
参考例1、11、13、21、22、比較例7、18、19のペロブスカイトについて、ペロブスカイトの触媒活性の指標の一つとなる酸素放出挙動を評価するために、熱重量分析を行った。耐久性能に優れ、同時に酸素放出性能を改善されたAサイト欠損型ペロブスカイトと従来のペロブスカイトにおける酸素放出性能の比較検討は、下記の条件下で熱重量分析を行うことにより判断した。
【0120】
(評価法)
1)評価装置
(1)パーキンエルマー社製 TGA7
2)測定条件
(1)測定温度領域:室温から1200℃
(2)測定雰囲気:ドライエアー
(3)昇温速度:10℃/min
【0121】
参考例11及び21と比較例7における熱重量分析結果を図4に示す。200℃から400℃の温度領域で、La0.9Co0.5O3 −δ(参考例11)は、通常のペロブスカイトLa1.0CoO3 −δ(比較例7)に比べ酸素放出能が抑制されている。実際に浄化触媒として用いる場合には、耐久性、耐熱性に加えて、触媒活性の更なる向上が望まれる。La0.875CoO3 −δ(参考例21)にあるAサイト欠損型ペロブスカイトとすることにより、これまでのAサイト欠損型ペロブスカイト組成に比べ、700℃以下の温度領域で酸素放出能が改善されていることがわかる。同様に、参考例13及び22と比較例18の比較結果を図5に示す。さらに、参考例1及び2と比較例19の比較結果を図6に示す。
これらの結果から明らかなようにAサイト欠損量αを0.1<α<0.15とすることにより酸素放出性能に優れたAサイト欠損型ペロブスカイトが得られることがわかる。
次に、ペロブスカイトの耐久性と触媒活性向上に有効であることを試験例5による評価法をもって検討した。
【0122】
試験例5
参考例21〜22、2、23〜30及びそれに対応する比較例7、18〜20、2〜3、21、5、8、22、10のペロブスカイトについて、ペロブスカイトと接するアルミナと間での固相反応による触媒活性劣化と触媒活性の向上効果を検討した。耐久性、耐熱性と酸素放出性能を改善されたAサイト欠損型ペロブスカイトと従来のAサイト欠損型ペロブスカイトにおける触媒性能の検討は、試験2の触媒活性評価法Iと同様の条件下で耐久と評価を行うことにより判断した。
【0123】
参考例21〜22、2、23〜30及びそれに対応する比較例7、18〜20、2〜3、21、5、8、22、10における触媒活性評価結果を表4に示す。耐久後の評価結果は、各参考例共、対応する比較例に比べT50は低く、触媒活性は上回り、Aサイト欠損量αを0.1<α<0.15とすることにより、耐久後の触媒活性向上に有効であることが分かる。
【0124】
【表4】
【0125】
さらに、Pdを担持させた後のペロブスカイトの耐久性能向上にも有効であることを試験例6による評価法をもって検討した。
【0126】
試験例6
実施例3〜8及び比較例11〜14、16〜17のペロブスカイトについて、Pdを担持させたペロブスカイトと接するアルミナとの間での固相反応による触媒活性劣化について検討した。Aサイト欠損型と従来のペロブスカイトにおける基材のγ−アルミナにおいて生じる固相反応による触媒活性劣化の抑制効果は、試験例3の触媒活性評価法IIと同様の条件下で耐久と評価を行うことにより判断した。
【0127】
実施例3〜8及び比較例11〜14、16〜17における触媒活性評価結果を表5に示す。耐久後の評価結果は、各実施例共、対応する比較例に比べT50は低く、触媒活性は上回り、Aサイト欠損量とすることにより、耐久後の触媒活性向上に有効であることを示している。即ち、Pdを担持させた後のペロブスカイト触媒の耐久性能向上にも有効であることがわかる。
【0128】
【表5】
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、一般式(A’1-xA″x)1- α(B’1-yB″y)O3- δで表され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持されたことを特徴とする排気ガス浄化用三元触媒は、LaAlO3の生成が抑制され、耐久性を有し、触媒活性に優れた排気ガス浄化用三元触媒を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ペロブスカイト/アルミナ混合粉焼結体のX線回折パターンである。このX線回折パターンは従来のペロブスカイトLa1.0Co0.5Fe0.5O3- δ(比較例1)とLa0.9Co0.5Fe0.5O3- δ(参考例1)との比較である。
【図2】 LaCoO3- δ/基材(アルミナ、ジルコニア)系における固相反応式である。
【図3】 Mn系ペロブスカイトにおける原子価制御の効果を比較した図である。
【図4】 La1 −αCoO3- δにおけるαが0.0である従来のペロブスカイト(比較例7)と本発明によるLa0.9CoO3- δ(参考例11)及びLa0.875CoO3- δ(参考例21)との熱重量分析結果を比較して示す線図である。
【図5】 La1 −αMnO3- δにおけるαが0.0である従来のペロブスカイト(比較例18)とLa0.9MnO3- δ(参考例13)及びLa0.875MnO3- δ(参考例22)との熱重量分析結果を比較して示す線図である。
【図6】 La1 −αCo0.5Fe0.5O3- δにおけるαが0.0である従来のペロブスカイト(比較例19)とLa0.9Co0.5Fe0.5O3- δ(参考例1)及びLa0.875Co0.5Fe0.5O3- δ(参考例2)との熱重量分析結果を比較して示す線図である。
Claims (3)
- 基材としてγ−アルミナ又はジルコニアを含み、
ペロブスカイト構造において、Aサイト元素に対するBサイト元素の組成割合{(B−A)/B}比=αが0より大きく、一般式(A′1-xA″x)1- α(B′1-yB″y)O3- δ(式中のA′はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はPr、Ce、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B′とB″は、異なる元素であり、Mn、Co、Ti、Fe、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種とから構成されている)で表され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持されたことを特徴とする排気ガス浄化用三元触媒。 - 基材としてγ−アルミナ又はジルコニアを含み、
一般式(A′1-xA″x)1- α(Co1-yB″y)O3- δで表され、式中のA′はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B″はMn、Fe、Ni及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0<y≦1であるAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持されたことを特徴とする排気ガス浄化用三元触媒。 - 基材としてγ−アルミナ又はジルコニアを含み、
一般式(A′1-xA″x)1- α(Mn1-yB″y)O3- δで表され、式中のA′はLa、Nd、Gd及びYから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、A″はCe、Pr、Ba、Sr、Ca及びKから成る群から選ばれた少なくとも1種から構成され、B″はFe及び/又はTiから構成され、かつα、δ、x、yのとり得る範囲がそれぞれ0.1<α<0.15、0≦δ≦1、0≦x≦1、0≦y≦1であることを特徴とするAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物に貴金属として少なくともPdが担持されたことを特徴とする排気ガス浄化用三元触媒。
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