JP3857910B2 - 光導波路素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン交換法による埋込み型の光導波路素子の製造方法に関し、更に詳しく述べると、光導波路(屈折率増加部分)の中心部と周囲のガラス基板との比屈折率差を大きくした光導波路素子の製造方法に関するものである。この技術は、光導波路内への導波光の閉じ込めを強くしてデバイスを小型化・高密度集積化するのに有用である。
【0002】
【従来の技術】
各種の光通信用伝送素子、光制御素子、光センサ素子、あるいはそれらの機能を組み込んだ光集積回路などの光導波路素子を実現するためには、ガラス基板に光導波路を形成する技術が必要となる。この種の光導波路を形成する方法の一つにイオン交換法がある。イオン交換法は、ガラス基板中のイオンと溶融塩中のイオンを置き換えることによって、ガラス基板中に屈折率増加部分を形成する技術である。このようなイオン交換法による光導波路の形成においては、基板表面の影響による導波光の散乱や吸収を低減するために、また接続する光ファイバとの低損失結合のために、光導波路をガラス基板の内部に埋め込むことが行われている。
【0003】
従来技術の典型的な例は、熱イオン交換により屈折率増加部分を形成する第1のイオン交換工程と、電界印加により該屈折率増加部分を基板深さ方向に埋め込む第2のイオン交換工程を組み合わせる2段階イオン交換方法である。このようにして埋め込んだ屈折率増加部分が光導波路として機能することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
イオン交換法により形成した光導波路は、その埋め込み深さが大きくなるほど基板表面の影響(基板表面の荒れや基板表面に存在する材料などによる導波光の散乱や吸収)を受け難くなり、低損失の光導波路を実現できる。2段階イオン交換方法により屈折率増加部分を埋め込む場合、屈折率増加部分を担うイオンは電界による拡散と熱による拡散との2つの効果で埋め込まれる。しかし、電界による拡散は電界の方向にイオンが移動するが、熱による拡散はイオンがイオン濃度の濃い中心部分から放射状に拡がる。従って、埋め込み深さが大きくなればなるほど、屈折率増加部分における屈折率増加に寄与する交換イオン種の断面イオン濃度分布形状は拡がりをもち、光が伝搬するコアに相当する屈折率増加部分の中心部とクラッドに相当する周囲のガラス基板との屈折率差が小さくなる。
【0005】
また2段階イオン交換方法で屈折率増加部分を基板深さ方向に埋め込む場合、屈折率増加部分を形成するイオンは、基板深さ方向へ拡散するのと同時に、一部は基板表面から溶融塩中へ拡散してしまう。そのことも屈折率差を小さくする要因となっている。
【0006】
このような理由で、光導波路の中心部とガラス基板との比屈折率差は小さく、一般的には0.3〜0.5%程度であり、最適条件でも0.5〜0.6%が限界であった。そのため、光導波路内への導波光の閉じ込めが弱く、曲がり光導波路の曲率半径Rを小さくできないので、光導波路素子が大型化する問題があった。
【0007】
本発明の目的は、光導波路の埋込深さを大きく、且つ光導波路の中心部とガラス基板の比屈折率差を大きくでき、低損失でありながら光導波路内への導波光の閉じ込めを強くでき、それによって小型化・高密度集積化が可能な光導波路素子の製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、電界印加により屈折率増加部分を基板深さ方向に埋め込むイオン交換工程で用いるイオン交換防止膜パターンをアライメントレスで形成でき、そのためばらつきの小さな光導波路を容易に作製できるようにした光導波路素子の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルカリイオンを含有するガラス基板中のイオンと溶融塩中のイオンを、イオン交換法により置き換えることで屈折率が増加した光導波路を形成する光導波路素子の製造方法において、
(A)ガラス基板の表面を、光導波路パターンに対応する開口を設けたイオン透過防止マスクで被覆し、それを屈折率を増加させるイオンを含む溶融塩中に浸漬し前記開口からイオンを拡散させることで表面型光導波路を形成する工程、
(B)表面型光導波路の直上に、表面型光導波路に沿ってイオン透過防止膜パターンを設け、表面型光導波路を電界印加法によりガラス基板中に埋め込んで埋込型光導波路を形成する工程、
を具備し、形成された埋込型光導波路は、その中心部のガラス基板表面からの埋込深さが7μm以上であって中心部は円形で周辺部ではガラス基板表面方向に尾を引くような断面形状のイオン濃度分布となり、且つ光導波路の中心部と周囲のガラス基板の比屈折率差が0.75%以上になっていて、シングルモード光導波路であることを特徴とする光導波路素子の製造方法である。
【0009】
ここで表面型光導波路の直上に設けるイオン透過防止膜パターンの幅は、表面型光導波路幅の70〜120%に設定するのが好ましい。典型的な例では、光導波路を形成する屈折率増加に寄与する交換イオン種は、Ag,Tl,Cs,Rb,Li,Kから選ばれる1種以上のイオンであり、基板ガラスはLi,Na,Kから選ばれる1種以上を含むものである。
【0011】
また本発明は、アルカリイオンを含有するガラス基板中のイオンと溶融塩中のイオンを、イオン交換法により置き換えることで屈折率が増加した光導波路を形成する光導波路素子の製造方法において、
(A)ガラス基板の表面を、光導波路パターンに対応する開口を設けた金属マスクで被覆し、それを屈折率を増加させるイオンを含む溶融塩中に浸漬し前記開口からイオンを拡散させることで表面型光導波路を形成する工程、
(B−1)ガラス基板及び金属マスクの上に、露光により可溶化するレジスト層を形成し、ガラス基板の裏面から前記金属マスクを露光マスクとしてレジスト層を露光し、露光により可溶化した部分を除去し、レジスト層及びガラス基板の表面を覆うイオン透過防止膜を形成し、リフトオフによりレジスト層とその上のイオン透過防止膜を除去し、更にエッチングにより金属マスクを除去することにより表面型光導波路の直上にイオン透過防止膜パターンを設ける工程、
(B−2)電界印加法により表面型光導波路をガラス基板中に埋め込んで埋込型光導波路を形成する工程、
を具備し、形成された埋込型光導波路は、その中心部のガラス基板表面からの埋込深さが7μm以上であって中心部は円形で周辺部ではガラス基板表面方向に尾を引くような断面形状のイオン濃度分布となり、且つ光導波路の中心部と周囲のガラス基板の比屈折率差が0.75%以上になっていて、シングルモード光導波路であることを特徴とする光導波路素子の製造方法である。
【0012】
レジスト層形成の際、レジスト層を露光感度の高い下層と露光感度の低い上層の2層構成としたり、露光により可溶化した部分を除去するときのレジスト層の断面が逆テーパ形状になるレジスト剤を使用すると、次のリフトオフ操作が容易となる。
【0013】
金属マスクは、例えばTi,Al,Cr,Au,Ptのいずれかで構成する。イオン透過防止膜パターンは、Ti,Al,Cr,Au,Ptのいずれかとし膜厚を5nm以上とするか、あるいはSiO2 又はAl2 O3 とし膜厚を100nm以上とする。これら金属マスクとなる金属膜又はイオン透過防止膜パターンとなるイオン透過防止膜は、スパッタ法又は蒸着法などで形成する。ガラス基板は、そのアルカリイオンの含有率が5〜30モル%であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る光導波路素子の一例を示す断面図であり、Aは概略の位置関係を、Bは拡大した埋込型光導波路を示している。この光導波路素子10は、アルカリイオンを含有するガラス基板12中に、イオン交換法によって屈折率が増加した埋込型光導波路14が形成されている構造である。ここで埋込型光導波路14は、その中心部(屈折率が最も高い部分)のガラス基板表面からの埋込深さdが7μm以上であり、且つ光導波路14の中心部とガラス基板の比屈折率差Δnが0.75%以上になっている。ここで、比屈折率差Δnは、
Δn={(nc −ns )/nc }×100
但し、nc :光導波路(屈折率増加部分)の中心部の屈折率
ns :ガラス基板の屈折率
で定義される値である。
【0015】
例えば、基板ガラス12は、Li,Na,Kの1種以上のイオンを含むものであり、光導波路を形成する屈折率増加に寄与する交換イオン種は、Ag,Tl,Cs,Rb,Li,Kから選ばれる1種以上のイオンとする。図1のBでは、屈折率増加に寄与する交換イオンの断面濃度分布を等濃度線で示している。この埋込型光導波路14は、基板表面に向かって尾を引くような形状に描いてある。これは以下に述べる製造方法に起因するものであり、このようなイオン濃度分布であっても光導波路としての機能には特に問題はない。
【0016】
光導波路14のガラス基板表面からの埋込深さdを7μm以上、より好ましくは10μm以上まで深くすることによって、基板表面の影響(表面荒れや表面に設けた部材などの影響)を受け難くなり、低損失化が可能となる。しかも、光導波路14の中心部と周囲のガラス基板12の比屈折率差を0.75%以上、より好ましくは0.90%以上と大きくすることによって、光導波路14内への導波光の閉じ込めが強くなり、曲がり光導波路の曲率半径を小さくできるため、小型化・高密度集積化が可能となる。
【0017】
図2は本発明に係る光導波路素子の製造方法の一例を示す工程説明図である。この方法は、表面型光導波路を形成する第1のイオン交換工程と、その表面型光導波路を電界印加法によりガラス基板中に埋め込む第2のイオン交換工程との2段階イオン交換方法を利用している。
【0018】
まず表面型光導波路を形成する第1のイオン交換工程は、詳細に見ると、
(1)ガラス基板12の表面を、光導波路パターンに対応する開口20を設けたイオン透過防止マスク22で被覆する工程、
(2)そのガラス基板を、屈折率を増加させるイオンを含む溶融塩中に浸漬し前記開口20からイオンを拡散させることで表面型光導波路24を形成する工程、
(3)付着しているイオン透過防止マスクを除去する工程、
からなる。
【0019】
これら(1)〜(3)の表面型光導波路を形成する第1のイオン交換工程は、従来技術と同様であってよい。ガラス基板中のイオンと溶融塩中のイオンとの交換が生じ、熱拡散によってガラス基板の表面直下に屈折率増加部分(表面型光導波路24)が形成される。
【0020】
次に、表面型光導波路を電界印加法によりガラス基板中に埋め込む第2のイオン交換工程は、詳細に見ると、
(4)形成されている表面型光導波路24の直上に、該表面型光導波路24に沿ったイオン透過防止膜パターン26を設ける工程、
(5)表面型光導波路を電界印加法によりガラス基板中に埋め込むことで埋込型光導波路14を形成する工程、
(6)付着しているイオン透過防止膜パターンを除去する工程、
からなる。このようにして光導波路素子10が得られる。電界を印加する第2のイオン交換工程において、表面型光導波路24の直上にイオン透過防止膜パターン26を設けており、この点が本発明の特徴である。
【0021】
この第2のイオン交換工程では、屈折率増加部分がイオン透過防止膜パターンによって保護され、ガラス基板が溶融塩に接触していても屈折率増加を担うイオンが溶融塩に接することはなく、溶融塩中に拡散するのを防ぐことができる。
【0022】
また、イオン透過防止膜パターンを形成して電界を印加すると、イオン透過防止膜パターンの直下は溶融塩側からのイオンの供給が無くなるため、イオン透過防止膜パターンの両端から中心方向に向かおうとする電界と、それによるイオンの流れが生じる。この様子をシミュレートした結果を図3に示す。ここで、符号30は溶融塩を示し、符号32で示す各曲線は電流密度の分布を表している。図3に示す通り、電流の流れる方向はイオン透過防止膜パターン26から真下では両端から中心方向に向かっている。この電流密度の流れる方向が、熱による拡散方向を打ち消す作用を果たすため、屈折率増加部分(光導波路)の断面イオン濃度分布形状を拡がらせることなく電界印加による深い埋め込みを実現できるのである。
【0023】
屈折率増加部分が電界印加イオン交換によってガラス基板中に埋め込まれていく様子のシミュレーション結果を図4に示す。Aはイオン交換処理開始時点でのイオン濃度分布、Bは電界印加10分後のイオン濃度分布、Cは電界印加20分後のイオン濃度分布を示している。第1のイオン交換工程で得られた屈折率増加部分のイオン濃度分布は、第2のイオン交換工程で拡がることなく深さ方向に埋め込まれることが確認できた。Cに示すように、埋め込まれた光導波路14は、周辺部ではイオン透過防止膜パターンの影響でガラス基板表面方向に尾を引くようなイオン濃度分布となるが、イオン濃度の高い中心部ではほぼ円形状となるため、前述のように光導波路としては特に問題なく使用できる。
【0024】
イオン透過防止膜としては、Ti,Al,Cr,Au,Pt等の金属膜、あるいはSiO2 ,Al2 O3 等のセラミック膜がある。イオン透過防止膜パターンの両端から中心への電流密度の流れを起こすために、その膜厚は、金属膜の場合には5nm以上、セラミック膜の場合には100nm以上であることが望ましい。なお、イオン透過防止膜は、スパッタ法あるいは蒸着法で形成することができる。
【0025】
基板用のガラスは、Ag,Tl,Cs,Rb,Li,Kイオンのいずれか1種とイオン交換可能なLi,Na,Kのいずれか1種以上を含む材質が望ましい。上記のような屈折率増加効果をもたせるためには、ガラス基板中に含まれるアルカリイオンの含有量は、5〜30モル%とするのが望ましい。ガラス材料としては、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、テルライトガラス、ビスマスガラス、鉛ガラス、カルコゲナイトガラスなどがある。
【0026】
ところで上記の光導波路素子の製造方法では、ガラス基板の表面に形成した表面型光導波路の直上に、アライメントしてイオン透過防止膜パターンを形成している。しかし、光導波路素子の小型化・高密度化に伴い、形成する光導波路の幅が狭まると、光導波路とイオン透過防止膜パターンのアライメント精度がサブミクロン・オーダーというような非常に厳しい制約が生じる。その場合、ミスアライメント量が1μm以上になると、光導波路の形状、埋め込み深さが設計値からずれてしまうため、製造時の歩留まりが低下する。アライメント精度を上げるには、より高精度の高価な設備を必要とし、製造効率も低下する。
【0027】
図5は、本発明に係る光導波路素子の製造方法の他の例を示す工程説明図であり、上記の技術的課題を解決できる方法を示している。この方法も、表面型光導波路を形成する第1のイオン交換工程と、その表面型光導波路を電界印加法によりガラス基板中に埋め込む第2のイオン交換工程との2段階イオン交換方法を利用している。
【0028】
表面型光導波路を形成する第1のイオン交換工程は、詳細に見ると、
(a)ガラス基板12の表面を、光導波路パターンに対応する開口40を設けた金属マスク42で被覆する工程、
(b)それを屈折率を増加させるイオンを含む溶融塩中に浸漬し前記開口40からイオンを拡散させることで表面型光導波路24を形成する工程、
からなる。この方法では金属マスク42はそのまま残しておく。
【0029】
第2のイオン交換工程の前段階で、イオン透過防止膜パターンを形成する。その工程を詳細に見ると、
(c)ガラス基板12及び金属マスク42の上に、露光により可溶化するフォトレジストを塗布しレジスト層46を形成する工程、
(d)ガラス基板12の裏面から金属マスク42を露光マスクとして光を照射することにより、セルフアライメント法でレジスト層46を露光する工程、
(e)露光により可溶化したレジスト部分を除去する工程、
(f)レジスト層46及び露出したガラス基板12の表面を覆うイオン透過防止膜48を形成する工程、
(g)リフトオフによりレジスト層46とその上のイオン透過防止膜48を除去する工程、
(h)エッチングにより金属マスク42を除去することにより表面型光導波路24の直上にイオン透過防止膜パターン50を設ける工程、
からなる。
【0030】
第2のイオン交換工程は、
(i)溶融塩中で電界を印加する電界印加法により、表面型光導波路をガラス基板12中に埋め込むことで埋込型光導波路14を形成する工程、
からなり、最後に
(j)エッチングによりイオン透過防止膜パターン50を除去する工程、
を経て光導波路素子10を製造する。
【0031】
第1のイオン交換工程で用いる金属マスクは、Ti,Al,Cr,Au,Ptのいずれかとする。(d)の露光工程では、この金属マスク自身が、その上に形成したレジスト層に対する露光マスクとなる。ガラス基板が光透過性であることを利用して、裏面側からの光照射で金属マスクの開口部のレジスト層を露光し、その部分を可溶化するのである。従って、ミスアライメントが生じる恐れは全くない。
【0032】
イオン透過防止膜の材料は、前記の例と同様であってよい。但し、(h)の工程で、エッチングにより金属マスクを除去する際にイオン透過防止膜パターンが残らねばならない。そのためには、金属マスクとイオン透過防止膜パターンの材質を変えて金属マスクの方が選択的にエッチングされるようにしてもよいし、イオン透過防止膜パターンの膜厚を厚くして、金属マスクのエッチングによる除去の方が早く完了するようにしてもよい。
【0033】
レジスト層形成の際、図6のAに示すように、レジスト層60を露光感度の高い下層60aと露光感度の低い上層60bの2層構成とする方法もある。このようにすると、ガラス基板12の裏面側から露光して可溶化部分を除去したレジスト層は、図6のAに示すような構造となる。レジスト層形成の際、形成されるレジスト層の断面が逆テーパ形状になるレジスト剤を使用する方法もある。このようにすると、ガラス基板の裏面側から露光して可溶化部分を除去したレジスト層64は、図6のBに示すような構造となる。いずれにしても、このように上部が張り出すような形状とすると、イオン透過防止膜の一部を取り除くリフトオフ操作を容易に行うことができる。
【0034】
【実施例】
(実施例)
アルカリイオンとしてNaイオンのみが含まれるアルミノボロシリケート系ガラス基板上に所定の光導波路パターンに対応した開口を有するイオン透過防止マスクを形成した。そして、第1のイオン交換工程では、硝酸銀よりなる溶融塩中(溶融塩温度:260℃)で60分間のイオン交換を行い、ガラス基板の表面直下に屈折率増加部分を形成した。次に、エッチングによりイオン透過防止マスクを除去した後、前記工程で形成した屈折率増加部分の直上にイオン透過防止膜パターンを形成した。更に、第2のイオン交換工程として、Naイオンを含有する溶融塩中(溶融塩温度:260℃)に浸漬しながらイオン透過防止膜パターンが形成されている側を正電位とし反対側を負電位とするように、直流電源によりガラス基板にほぼ垂直に電界(電界強度:150V/mm)を印加し、20分間のイオン交換を行い屈折率増加部分(光導波路)を埋め込んだ。最後に、エッチングによりイオン透過膜パターンを除去した。
【0035】
(比較例)
上記実施例で、第1のイオン交換工程後にイオン透過防止膜パターンを形成せず、それ以外は全く同じ手順で光導波路を作製した。
【0036】
上記実施例と比較例で作製した光導波路の屈折率増加イオンの濃度プロファイルをBSE(後方散乱電子線)により分析した。その結果、実施例で作製した光導波路は埋め込み深さ7μm以上で、しかも光導波路の中心部とガラス基板の比屈折率差が1.0%以上であることが確認でき、屈折率増加部分の断面イオン濃度分布形状を拡がらせることなく電界印加による埋め込みが達成できることが判明した。それに対して比較例で作製した光導波路は、埋め込み深さは7μm以上であるが、光導波路の中心部とガラス基板の比屈折率差は0.5〜0.6%が限界であった。
【0037】
上記実施例で作製した光導波路は、幅が約10μmであり、シングルモードの光が伝搬することが確認できた。
【0038】
【発明の効果】
本発明は上記の製造方法を用いたことによって、埋込深さが7μm以上となるようにイオン交換法によって埋込型光導波路が形成され、その光導波路の中心部とガラス基板との比屈折率差を0.75%以上とした光導波路素子が得られるから、低損失でありながら導波光の閉じ込めが強く、曲がり導波路の曲率半径を小さくできるため、小型化・高密度集積化が可能となりシングルモードの光を伝搬できる。
【0039】
また本発明方法は、ガラス基板の表面に形成した表面型光導波路の直上にイオン透過防止膜パターンを設け、電界印加法によりガラス基板中に埋め込む光導波路素子の製造方法であるから、屈折率増加部分が拡がるのを抑制しつつ埋め込むことができるため、光導波路の中心部とガラス基板の比屈折率差を大きくでき、しかも光導波路を深く埋め込むことができる。
【0040】
更に本発明方法は、ガラス基板が光透過性であることを利用して、第1のイオン交換工程で用いる金属マスクを、その上に形成したレジスト層に対する露光マスクとして、裏面側からの光照射で金属マスクの開口部のレジストを露光する方法であるので、ミスアライメントが発生する恐れは全くなく、高価な設備を必要とせずに容易にイオン透過防止膜パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光導波路素子の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係る光導波路素子の製造方法の一例を示す工程説明図。
【図3】電流密度の分布をシミュレートした結果の説明図。
【図4】屈折率増加部分の断面イオン濃度分布形状の経時的変化を示す説明図。
【図5】本発明に係る光導波路素子の製造方法の他の一例を示す工程説明図。
【図6】それに用いるレジスト形状の他の例を示す説明図。
【符号の説明】
10 光導波路素子
12 ガラス基板
14 埋込型光導波路
20 開口
22 イオン透過防止マスク
24 表面型光導波路
26 イオン透過防止膜パターン
Claims (9)
- アルカリイオンを含有するガラス基板中のイオンと溶融塩中のイオンを、イオン交換法により置き換えることでガラス基板中に屈折率が増加した光導波路を形成する光導波路素子の製造方法において、
ガラス基板の表面を、光導波路パターンに対応する開口を設けたイオン透過防止マスクで被覆し、それを屈折率を増加させるイオンを含む溶融塩中に浸漬し前記開口からイオンを拡散させることで表面型光導波路を形成する工程、
該表面型光導波路の直上にイオン透過防止膜パターンを設け、表面型光導波路を電界印加法によりガラス基板中に埋め込んで埋込型光導波路を形成する工程、
を具備し、形成された埋込型光導波路は、その中心部のガラス基板表面からの埋込深さが7μm以上であって中心部は円形で周辺部ではガラス基板表面方向に尾を引くような断面形状のイオン濃度分布となり、且つ光導波路の中心部と周囲のガラス基板の比屈折率差が0.75%以上になっていて、シングルモード光導波路であることを特徴とする光導波路素子の製造方法。 - 表面型光導波路の直上に設けるイオン透過防止膜パターンの幅が、表面型光導波路幅の70〜120%に設定されている請求項1記載の光導波路素子の製造方法。
- アルカリイオンを含有するガラス基板中のイオンと溶融塩中のイオンを、イオン交換法により置き換えることでガラス基板中に屈折率が増加した光導波路を形成する光導波路素子の製造方法において、
ガラス基板の表面を、光導波路パターンに対応する開口を設けた金属マスクで被覆し、それを屈折率を増加させるイオンを含む溶融塩中に浸漬し前記開口からイオンを拡散させることで表面型光導波路を形成する工程、
ガラス基板及び金属マスクの上に、露光により可溶化するレジスト層を形成し、ガラス基板の裏面から前記金属マスクを露光マスクとしてレジスト層を露光し、露光により可溶化した部分を除去し、レジスト層及び露出したガラス基板の表面を覆うイオン透過防止膜を形成し、リフトオフによりレジスト層とその上のイオン透過防止膜を除去し、更にエッチングによって金属マスクを除去することにより表面型光導波路の直上にイオン透過防止膜パターンを設ける工程、
電界印加法により表面型光導波路をガラス基板中に埋め込んで埋込型光導波路を形成する工程、
を具備し、形成された埋込型光導波路は、その中心部のガラス基板表面からの埋込深さが7μm以上であって中心部は円形で周辺部ではガラス基板表面方向に尾を引くような断面形状のイオン濃度分布となり、且つ光導波路の中心部と周囲のガラス基板の比屈折率差が0.75%以上になっていて、シングルモード光導波路であることを特徴とする光導波路素子の製造方法。 - レジスト層形成の際、レジスト層を露光感度の高い下層と露光感度の低い上層の2層構成とする請求項3記載の光導波路素子の製造方法。
- レジスト層形成の際、露光により可溶化した部分を除去したときのレジスト層の断面が逆テーパ形状になるレジスト剤を使用する請求項3記載の光導波路素子の製造方法。
- イオン透過防止膜パターンが、Ti,Al,Cr,Au,Ptのいずれかからなり、その膜厚が5nm以上である請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波路素子の製造方法。
- イオン透過防止膜パターンが、SiO2 又はAl2 O3 からなり、その膜厚が100nm以上である請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波路素子の製造方法。
- 金属マスクとなる金属膜又はイオン透過防止膜を、スパッタ法又は蒸着法で形成する請求項1乃至7のいずれかに記載の光導波路素子の製造方法。
- アルカリイオンの含有率が5〜30モル%のガラス基板を用いる請求項1乃至8のいずれかに記載の光導波路素子の製造方法。
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