JP3869314B2 - 排ガス脱硝装置およびこれに用いる尿素気化器 - Google Patents
排ガス脱硝装置およびこれに用いる尿素気化器 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス脱硝装置およびこれに用いる尿素気化装置に関し、特に窒素酸化物を含有する排ガス、例えばディーゼル機関からの排ガスの処理において、尿素を窒素酸化物の還元剤として用いる排ガス脱硝装置およびこれに用いる尿素気化器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球温暖化の問題がクローズアップされており、化石燃料を大量に消費して生成される窒素酸化物の排出量の低減が急務である。特にディーゼル機関から排出されるガスは、PM(粒子)、窒素酸化物を含有する排ガスであり、この窒素酸化物は、ガソリンエンジンからのそれより、燃焼温度が高いことから、高濃度で、排ガス中の酸素濃度が高いこともあって、ガソリンエンジン排ガスの三元触媒のように、排ガス中の炭化水素を利用した窒素酸化物の還元効果を得ることができないので低減が難しいとされている。このような窒素酸化物の低減対策として、エンジン排気系統に尿素水を直接噴射供給する方法がボッシュ社などから提案されている。尿素は液体で取り扱いが容易であることに加えて、肥料にも使用されるように安価であることから、脱硝剤としては適切であるが、その安定運用は難しい。また尿素は常温では固体であり、水に溶けやすい性質を持ち、加熱すると、低温で溶融するが、複雑な有機化合物が生成されることから、気化は難しいとされている。また液体の状態で、燃焼排ガス中に噴霧するのは、単純で安定な運用が可能なように推測されがちではあるが、実際は、ノズル閉塞が発生しやすいと言われている。
【0003】
図7は、従来の尿素水の直接噴射による排ガス脱硝方法の一例を示したものである(特開2001−317346)。ディーゼル機関の排ガス14は、酸化触媒の充填された酸化室8で酸化された後、連絡菅15を通り、脱硝触媒を充填した脱硝室9に入るが、連絡管に設けられたノズル12により、タンク11から供給される尿素水11が噴霧される。10はポンプである。排ガスに吹き込んだ尿素は、雰囲気温度が400℃を越えることから、気化し、脱硝室9内で窒素酸化物を還元する。
【0004】
しかしながらこの装置は、ノズル12の噴射部分から、触媒部分までの距離が十分に取れないことに加えて、雰囲気温度が変化するといった、尿素分解に関しては難しい環境での供給となっているので、安定した尿素分解およびアンモニアの供給が困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの尿素吹き込み装置では、噴霧ノズル12の部分やその後部において尿素の熱分解生成物であるシアヌル酸((HNCO)3)、イソシアン酸(3HNCO)や固形物のビュレットが、その搬送の過程で配管内に付着して閉塞するという大きな問題がある。
【0006】
本発明の課題は、尿素の熱分解生成物であるシアヌル酸やイソシアン酸などの付着を防止して、閉塞を起こさないで連続運転を可能にする尿素気化器およびこれを用いた排ガス脱硝装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本願で特許請求される発明は下記のとおりである。
(1)窒素酸化物含有排ガスの流路と、該流路に設けられた窒素酸化物の還元剤の供給手段と、前記還元剤の供給手段の後流側に設けられた排ガス脱硝部とを有する排ガス脱硝装置であって、前記還元剤の供給手段は、尿素水を噴出させる尿素水噴出部と、該尿素水噴出部から噴出した尿素水を蒸発させる蒸発部と、その後流部に設けられた、尿素を加水分解する加水分解部と、これらの部分で発生したアンモニアを含むガスを、前記排ガス中に噴射供給する還元剤噴射部とを有し、前記蒸発部と前記加水分解部のうち、少なくとも前記蒸発部の内部および外部にはヒータを設け、前記蒸発部は前記尿素水噴霧に必要な空間部分と、微粒化した尿素粒子を受け止める受液部とからなり、該受液部上には尿素水の蒸発を促進するために後記加水分解部の充填物よりも熱伝導率の良好な物質からなる充填物を充填し、前記加水分解部には、尿素の加水分解を促進する充填物を充填したことを特徴とする排ガス脱硝装置。
【0008】
(2)前記蒸発部と加水分解部を別容器として形成し、それぞれに温度制御装置を設けたことを特徴とする(1)に記載の排ガス脱硝装置。
(3)前記蒸発部には、充填物として金属またはセラミックスの粒子またはハニカムが充填されていることを特徴とする(1)ないし(2)のいずれかに記載の排ガス脱硝装置。
【0009】
(4)前記加水分解部には、尿素の加水分解を促進する充填物として、γアルミナまたは炭酸カリウム(K2CO3)を担持した粒子が充填されていることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の排ガス脱硝装置。
(5)筒状容器内に、尿素水噴出部、尿素水蒸発部、尿素加水分解部および分解ガス出口部を順に形成した尿素気化器であって、該尿素水噴出部に尿素水噴霧ノズルを設置し、その下部に前記噴霧に必要な空間部分と、微粒化した尿素粒子を受け止める受液部とを順次設けて尿素水蒸発部を形成し、該尿素加水分解部には、尿素の加水分解を促進する充填物を充填し、該尿素水蒸発部の受液部上に、前記加水分解部の充填物よりも熱伝導率の良好な尿素水の蒸発を促進する充填物を充填するとともに、前記蒸発部と前記加水分解部のうち、少なくとも前記状蒸発部の内部および外部にはヒータを設けたことを特徴とする尿素気化器。
【0010】
(6)前記尿素水噴出部は、尿素水噴出ノズルと、該尿素水噴出ノズルを尿素気化器本体に装着するためのフランジ部とを有し、該フランジ部は、前記尿素水噴出ノズルを取り囲み、かつ、該フランジ部の内周に沿って接線方向に気体を供給するように気体供給孔が設けられていることを特徴とする(5)記載の尿素気化器。
【0011】
(7)前記受液部上の充填物が金属またはセラミックスの粒子またはハニカムである(5)または(6)記載の尿素気化器。
(8)前記加水分解部には、尿素の加水分解を促進する充填物として、γアルミナまたは炭酸カリウム(K2CO3)を担持した粒子が充填されていることを特徴とする(5)ないし(7)のいずれかに記載の尿素気化器。
【0012】
本発明においては、尿素気化器の容器を均一加熱し、内部に向けて尿素水(尿素濃度30%〜50%)を吹き込むと、容器内部で水と尿素が蒸発し、内部に充填した触媒粒子、例えばγアルミナ粒子、炭酸カリウムを担持した粒子等の表面において下式に示すように尿素が加水分解し、アンモニアガスが生成される。
【0013】
(NH2)2CO+H2O→2NH3+CO2
気化器の内部は、450℃以上を保持する構成とし、尿素が加熱分解する過程で発生するシアヌル酸やイソシアン酸などの固体が副生しないように、急速蒸発加熱を促進する構造とすることが好ましい。通常、高温に保った容器に尿素水を噴射すると、液滴を受ける面での温度が低下し、固体が析出して閉塞につながり、また内部の温度制御が極めて難しい。本発明では、液体噴霧における蒸発部分に着目し、尿素噴霧流量が著しく変化しても、容器内部の温度変動を抑制できるように蒸発面の伝熱促進に注力した構造、具体的には、加水分解部に充填したγアルミナ粒子等の上部(または前流側)に、これよりも熱伝導率の優れるシリコンカーバイドや、鉄、ステンレスの球、メタルハニカム等を充填した構造とした。これらの充填物は熱伝導が良好である上、球構造、ハニカム構造であることから、尿素水の液滴が衝突する際、凹凸部で受け止めることになることから、蒸発量の増加が期待できる。また容器内部と外部にヒータを設けた場合には、これらのヒータからの熱伝達率の向上に寄与する。
【0014】
また尿素水噴霧ノズルの周囲、すなわち気化器本体に該ノズルを固定するフランジ部に気体供給孔を設け、ここから該フランジ部の内周に沿って下方に冷却用気体(例えば空気)を供給することにより、ノズル周辺の析出物による詰まり等を防止するようにした。
【0015】
【発明の実施の形態】
【実施例】
以下、本発明の尿素気化器の一実施例を図1に示す。この装置は、筒状容器30の頂上部から下方に向けて、尿素水入口部、尿素水蒸発部(5)、尿素加水分解部(7)および分解ガス出口部(31)を順に形成し、該尿素水入口部に尿素水インジェクタ1を設置し、その下部に噴霧に必要な空間部分として尿素水噴霧部6と、微粒化した尿素粒子を受け止める受液部(スクリーン4)を順次設け、該スクリーン4上の受液部に尿素水の蒸発を促進する充填物5を充填したものである。容器30は、内部ヒータ2と外周ヒータ3で均一加熱され、容器内部が可能な限り均一な温度になるように制御される。尿素水は、装置の最上部分に位置するインジェクタ1によって容器30内部に向かって噴霧供給される。噴霧された尿素水は、装置内部の蒸発部充填物5に衝突し、瞬時に蒸発する。ここでインジェクタ1から、当該蒸発部充填物までの空間部分(尿素水噴霧部6)は、尿素水の噴霧及び微粒化に必要な空間である。尿素水は、一旦この空間に充満し、容器の壁にも衝突付着するが、ここも外周ヒータ3によって高温に保持されていることから、尿素の蒸発に寄与する。蒸発した水と尿素は、容器下部の加水分解充填物7に到達し、これでアンモニアと二酸化炭素(CO2)に分解され、分解ガスは出口31から取り出され、ディーゼル排ガス系に噴出される。図中、34は充填物の支持固定のためのスクリーンである。
【0016】
図2は、図1における尿素水噴霧用インジェクタ1およびその取付部分の説明図、図3は、図2のIII-III線に沿って切断した矢視方向の平面図である。
【0017】
インジェクタ1は、インジェクタ本体1Aに尿素水導入管31およびノズル20を設けたものからなり、尿素水が噴出されるインジェクタノズル20の周囲には、空気が流通する程度の間隔を隔てて一対のフランジ21および22が設けられている。インジェクタ本体1は段差部32を有し、該段差部32は、上部フランジ21上に支持されている。上部フランジ21には気体供給孔24が窄設され、下部フランジ22には、該気体供給孔24と連通して気体噴出孔23が設けられている。該気体噴出孔23は、図3に示すように、ノズル20とフランジ21または22との間の間隙に開口し、ノズル20の周囲に接線方向に空気を供給し、ノズルを空気流によって冷却するとともに、噴霧された気液を冷却する。すなわち、冷却用の空気は、上部フランジの気体供給孔24から上部フランジ21に供給され、上部フランジ内の流路を通り、上部フランジと下部フランジの間の流路に供給され、次いで中央部のインジェクタ1との隙間から下方の蒸発部充填物5に向けて供給される。
【0018】
なお、尿素水を噴霧するノズル20としては、尿素水のみを噴霧する1流体ノズル、および尿素水と気体を混合して噴霧する2流体ノズルのどちらを用いてもよい。またインジェクタ1の流量調整は、機械式の他に電磁(ソレノイド)式で行うものでもよい。いずれの方式においても,昇温時(噴霧が行われていない)にはノズル自体高温になって、ノズル内部に残存している尿素水が熱分解して固形物を形成してノズル閉塞したり、電磁式であれば耐熱温度が、例えば130℃以下と低いので、故障する問題があるが、本発明による冷却機構を持ったインジェクタおよび気化器の採用によって、尿素水が熱分解過程で発生するシアヌル酸やイソシアン酸の副生が阻止され、安定したインジェクタの運用が可能になる。従って本発明は、ディーゼル燃焼排ガスのパイプが閉塞することを回避できることに加えて、気化器内部においても当該固形物の付着成長が無いことから、長期間にわたって安定な運転が継続できる効果を有する。
【0019】
図4は、本発明の排ガス脱硝装置を用いた排ガス浄化系統の一例を示す説明図である。この装置は、酸化触媒反応器8の出口に設けられた、窒素酸化物含有排ガスの流路としての管15と、該流路に設けられた窒素酸化物の還元剤の供給手段(ノズル12)と、前記排ガス流路の還元剤供給手段の後流側に設けられた排ガス脱硝反応器9とを有する排ガス脱硝装置であり、前記還元剤供給手段として、図1に示したような尿素気化器1を用いたものである。尿素水は、タンク11からポンプ10によって約0.3MPaまで加圧された後、インジェクタ1および気化器13によって気化され、ノズル12からディーゼル系排ガス中に供給され、ここで脱硝反応器9に入ってNO還元触媒表面で反応し、排ガス中のNOがN2に還元される。
【0020】
なお、比較として上記気化器で充填物を用いない場合、尿素の噴霧液滴は、ヒータ表面や壁に直接衝突して、一部が蒸発するものの、蒸発部分の熱容量が低いことが原因で温度低下し、シアヌル酸、イソシアン酸その他の固形物を生成して蓄積し、また粗大な液滴は蒸発せずに容器下部にまで到達する。この位置はヒータがないことから低温で、尿素の結晶を生成しやすい。
【0021】
図5は、本発明の他の実施例を示すもので、図1と異なる点は、蒸発を促進する充填物として、メタルハニカムを用い、加水分解部の充填物7(γアルミナ)の劣化を抑制するために気化器本体13から加水分解部を切り離した構造としたものである。この実施例によれば、加水分解部の充填物の劣化を抑え、長寿命化を図ることができる。
【0022】
図6は、図1における気化器本体30を傾斜させて設置した実施例を示す。この実施例では、装置本体の傾斜によって噴霧液の下降が緩和されるので、図1で設けた受液部のスクリーン4が省略されている。
【0023】
【発明の効果】
請求項1〜5記載の発明によれば、ディーゼル機関燃焼排ガスのように窒素酸化物含有ガスの脱硝を、尿素水を用いて配管等への固形物の付着を防止しつつ、安定して行うことができる。
【0024】
また請求項6〜10記載の発明によれば、尿素水が熱分解過程で発生するシアヌル酸、イソシアン酸その他の副生を阻止し、ディーゼル燃焼排ガスのパイプが閉塞することを回避できることに加えて、気化器内部においても当該固形物の付着成長が無いことから、長期間にわたって安定な運転が継続できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の尿素気化器の一実施例を示す説明図。
【図2】図1の尿素水インジェクタノズル付近の詳細断面図。
【図3】図2のIII-III線に沿った矢視方向平面図。
【図4】本発明の尿素気化器を用いた排ガス脱硝装置の一実施例を示す系統図。
【図5】本発明の尿素気化器の他の実施例を示す説明図。
【図6】尿素気化器を傾斜させた本発明の他の実施例を示す説明図。
【図7】従来の尿素直接噴射式排ガス脱硝装置例を示す説明図。
【符号の説明】
1…インジェクタ、2…内部ヒータ、3…外周ヒータ、4…スクリーン、5…蒸発部充填物、6…尿素水噴霧部、7…加水分解部充填物、9…脱硝反応器、12…吹込みノズル、13…気化器本体、30…筒状容器、31…分解ガス出口。
Claims (8)
- 窒素酸化物含有排ガスの流路と、該流路に設けられた窒素酸化物の還元剤の供給手段と、前記還元剤の供給手段の後流側に設けられた排ガス脱硝部とを有する排ガス脱硝装置であって、前記還元剤の供給手段は、尿素水を噴出させる尿素水噴出部と、該尿素水噴出部から噴出した尿素水を蒸発させる蒸発部と、その後流部に設けられた、尿素を加水分解する加水分解部と、これらの部分で発生したアンモニアを含むガスを、前記排ガス中に噴射供給する還元剤噴射部とを有し、前記蒸発部と前記加水分解部のうち、少なくとも前記蒸発部の内部および外部にはヒータを設け、前記蒸発部は前記尿素水噴霧に必要な空間部分と、微粒化した尿素粒子を受け止める受液部とからなり、該受液部上には尿素水の蒸発を促進するために後記加水分解部の充填物よりも熱伝導率の良好な物質からなる充填物を充填し、前記加水分解部には、尿素の加水分解を促進する充填物を充填したことを特徴とする排ガス脱硝装置。
- 前記蒸発部と加水分解部を別容器として形成し、それぞれに温度制御装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載の排ガス脱硝装置。
- 前記蒸発部には、充填物として金属またはセラミックスの粒子またはハニカムが充填されていることを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の排ガス脱硝装置。
- 前記加水分解部には、尿素の加水分解を促進する充填物として、γアルミナまたは炭酸カリウム(K2CO3)を担持した粒子が充填されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の排ガス脱硝装置。
- 筒状容器内に、尿素水噴出部、尿素水蒸発部、尿素加水分解部および分解ガス出口部を順に形成した尿素気化器であって、該尿素水噴出部に尿素水噴霧ノズルを設置し、その下部に前記噴霧に必要な空間部分と、微粒化した尿素粒子を受け止める受液部とを順次設けて尿素水蒸発部を形成し、該尿素加水分解部には、尿素の加水分解を促進する充填物を充填し、該尿素水蒸発部の受液部上に、前記加水分解部の充填物よりも熱伝導率の良好な尿素水の蒸発を促進する充填物を充填するとともに、前記蒸発部と前記加水分解部のうち、少なくとも前記蒸発部の内部および外部にはヒータを設けたことを特徴とする尿素気化器。
- 前記尿素水噴出部は、尿素水噴出ノズルと、該尿素水噴出ノズルを尿素気化器本体に装着するためのフランジ部とを有し、該フランジ部は、前記尿素水噴出ノズルを取り囲み、かつ、該フランジ部の内周に沿って接線方向に気体を供給するように気体供給孔が設けられていることを特徴とする請求項5記載の尿素気化器。
- 前記受液部上の充填物が金属またはセラミックスの粒子またはハニカムである請求項5または6記載の尿素気化器。
- 前記加水分解部には、尿素の加水分解を促進する充填物として、γアルミナまたは炭酸カリウム(K2CO3)を担持した粒子が充填されていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の尿素気化器。
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