JP3897480B2 - 斜坑掘削機の発進方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は既に築造されている水平坑から斜め上方に向かって斜坑を掘削する掘削機の発進方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、山岳地盤に水力発電所の水圧管路等のような斜坑を掘削するには、既に築造された水平坑の斜坑掘削位置にまで斜坑掘削機を搬入し、この斜坑掘削機を斜め上方に起立させて水平坑の上方部に予め掘削しておいた一定深さの斜坑発進口に臨ませたのち、該斜坑掘削機を発進させて斜坑発進口内から斜坑を掘削するようにしているが、発進時において斜坑掘削機を滑車やウインチ等を利用して斜め上方に起立させる発進準備作業に多大な手間と労力を要すると共に危険を伴うものであり、また、その作業の完了後においても滑車やウインチ等の撤去作業を必要し、作業の煩雑化が避けられないという問題点があった。
【0003】
このような問題点を解消するために、本願出願人等は特開平8ー189285号公報に記載しているような斜坑掘削機の発進装置を開発した。この斜坑掘削機の発進装置は、水平台枠上に傾動架台を起伏自在に設け、該傾動架台上に斜坑掘削機を塔載した状態で水平台枠を斜坑掘削位置に固定させたのち、傾動架台を斜坑掘削方向に指向する角度までジャッキにより起立させて発進斜坑部に臨ませ、しかるのち、この傾動架台上に沿って斜坑掘削機を発進させるように構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、斜坑掘削位置に水平台枠を固定し、この水平台枠上の傾動架台を斜め上方に向かって起立させて該傾動架台上の斜坑掘削機を、予め斜坑掘削位置における水平坑の上方部に設けておいた一定深さの斜坑発進口に臨ませるには、水平坑と斜坑発進口とが交差する坑壁部を傾動架台の移動軌跡に沿って斜めに切除して水平坑に対して斜め下方に向いた傾斜壁面部を形成することにより、該傾斜壁面部に沿って水平坑から斜坑発進口まで傾動架台の起立を許容する空間部を設けておく必要があるが、この空間部の形成は通常、上記坑壁部を発破によって切り崩すことにより行われるために計画通りの寸法に切除するのが困難でどうしても空間部が大きくなり、傾動架台を起立させた時に該傾動架台の先端面と上記傾斜壁面部との間に隙間が発生することになる。
【0005】
この隙間が存在すると、上記傾動架台を斜坑発進口に向けたのち、斜坑掘削機の後方側における傾動架台上に順次セグメントを設置して該セグメントに推進ジャッキの反力を支持させながら斜坑掘削機を斜坑発進口内に進入させ、さらに、斜坑発進口内から斜坑を掘進していく際に、上記隙間部にはセグメントの設置ができなくなり、また、この隙間の存在によって作業者が傾動架台から斜坑掘削機内に進入する際の安全な通行路の確保が困難となる。
【0006】
そのため、斜坑発進口と傾動架台の先端間を鋼材によって架橋することが行われているが、この架橋作業は傾動架台から前方側の水平坑内の作業空間が狭く、その上、斜坑発進口内に鋼材の吊支用クレーンやウインチ等の設備を設けるには手間を要すると共にその撤去作業も必要となるので、このような設備を使用することなく全て人力で行っているのが現状であり、従って、作業能率が極めて悪くなるばかりでなく、高所での作業となるために非常に危険である。
【0007】
一方、上記隙間部をなくする方法として、発破により水平坑と斜坑発進口とが交差する坑壁部に上記傾斜壁面部を形成したのち、この傾斜壁面部の面に接合するように傾動架台を製作することも考えられるが、これでは工期が大幅に遅れることになり、そのため、どうしても予め傾動架台を製作しておく必要がある。
【0008】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、作業員による上記隙間に対する架橋作業を必要とすることなく、傾動架台を起立させて該傾動架台上の斜坑掘削機を斜坑発進口に臨ませたのち、自動的に上記隙間に架橋を行えるようにした斜坑掘削機の発進方法とその装置を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の斜坑掘削機の発進方法は、請求項1に記載しているように、水平坑から斜め上方に向けて斜坑掘削機を発進させるに際して、水平坑の底面に固定される水平台枠と、この水平台枠上に重ね合わされると共に後端部を該水平台枠の後端部に枢着され且つ斜坑掘削機を塔載させるようにしてなる傾動架台と、この傾動架台を水平台枠に対して起伏させる起伏手段と、上記傾動架台に複数本、並列状態で且つそれぞれ単独的に傾動架台の先端から前方に向かって突出可能に内装されている延伸部材とからなる発進装置を用いて斜坑掘削機を掘削すべき斜坑側に向けて発進させる方法であって、斜坑掘削機に搭載した傾動架台を起伏手段により、搭載した斜坑掘削機が掘削すべき斜坑の方向に指向し、傾動架台の先端面が斜坑発進口の開口下傾端に連なる傾斜壁面部の上端部に隙間を介して対向する状態となるまで起立させ、この状態で、傾動架台に内装している各延伸部材を、傾斜壁面部の上端部の凹凸面に応じてそれぞれ前方に突出させ、これらの延伸部材の先端面を傾斜壁面部の上端部に斜坑発進口の開口下傾端の幅方向に沿って当接させて傾斜壁面部と傾動架台との間の隙間に架橋させ、各延伸部材の先端を該傾斜壁面部の岩盤にアンカーを打ち込むことによって固定し、その状態で、斜坑掘削機を傾動架台及び各延伸部材上を摺動させながら斜坑発進口に向かって発進させることを特徴としている。
【0010】
また、上記斜坑掘削機の発進装置は、請求項2に記載したように、水平坑から斜め上方に向けて斜坑掘削機を発進させるための斜坑掘削機の発進装置であって、水平坑の底面に固定される水平台枠と、この水平台枠上に重ね合わされると共に後端部を該水平台枠の後端部に枢着され且つ斜坑掘削機を塔載させるようにしてなる傾動架台と、この傾動架台を水平台枠に対して起伏させる起伏手段と、上記傾動架台に複数本、並列状態で且つそれぞれ単独的に傾動架台の先端から前方に向かって突出可能に内装されている延伸部材と、これらの延伸部材の先端面を斜坑発進口の開口下傾端に連なる傾斜壁面部の上端部に当接させた際に該延伸部材の先端を傾斜面部の岩盤に固定させるアンカーとからなることを特徴とする。
【0011】
【作用】
水平坑内における斜坑掘削位置に水平台枠を固定したのち、該水平台枠上に配設している傾動架台を斜め上方に向かって起立させると、この傾動架台の先端が水平坑と斜坑発進口とが交差する坑壁部に形成された傾斜壁面部に隙間を存して対向しながら移動し、斜坑掘削方向に指向する所定の角度まで起立した時に停止させる。この状態においては、該傾動架台の先端面が斜坑発進口の開口下傾端に連なる傾斜壁面部の上端部に対向すると共に傾動架台上の斜坑掘削機は斜坑発進口に臨んだ状態となる。なお、傾斜状態に起立した傾動架台の傾斜下面と水平坑との間に転倒防止架台を介在させれば、斜坑掘削機を塔載した傾動架台の不測の転倒を防止し、所定の角度に指向させた状態で一層安定的に支持しておくことができる。
【0012】
この状態にしたのち、傾動架台に内装している延伸部材を傾動架台の先端から前方に向かって突出させ、該延伸部材の先端面(前端面)を上記傾斜壁面部の上端部に当接させると、この延伸部材によって傾動架台の先端と傾斜壁面部の上端間の隙間が架橋された状態となり、この状態にして該延伸部材の先端を傾斜壁面部の上端にアンカー等によって固定する。
【0013】
こうして、傾動架台の先端と傾斜壁面部の上端間の隙間に延伸部材を架橋状態に固定したのち、傾動架台上の斜坑掘削機を発進させる。この際、予め、水平台枠の後方側に推進反力受台を設置しておき、この推進反力受台によって斜坑掘削機の推進反力を受止させると共に一定距離の推進毎に斜坑掘削機と推進反力受台間にセグメントを介在させながら斜坑掘削機を傾動架台上から上記延伸部材上を通過させて該斜坑掘削機により斜坑発進口の延長方向に斜坑を掘削する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1乃至図4において、斜坑掘削機Aの発進装置は、既設の水平坑Bにおける斜坑掘削位置の底面に固定される水平台枠1と、この水平台枠1上に重ね合わされて配設されていると共にその後端部を該水平台枠1の後端部に起伏自在に枢着されてあり且つ上記斜坑掘削機Aを上載させる傾動架台2と、この傾動架台2を起伏させる起伏手段3と、上記傾動架台2に内装されてジャッキ又はウインチ等の押出手段4により傾動架台2の長さ方向に移動して傾動架台2の先端から前方に向かって突出可能にしてなる一定長さを有する棒状の延伸部材5とから構成されている。
【0015】
上記発進装置の構造をさらに詳しく述べると、水平台枠1は平面長方形状に形成されていてその前後両側部に、上記水平坑Bに敷設されたレールR上を走行する車輪1aを回転自在に軸支している一方、この水平台枠1上に配設した上記傾動架台2は同じく平面長方形状の枠からなる。この傾動架台2の幅は図5に示すように、斜坑掘削機Aの外径(横幅)に略等しく形成されていると共に長さは斜坑掘削機Aの長さよりもやや長く形成されてあり、その両側部に長さ方向に適宜間隔毎に上面が斜坑掘削機Aの下側周面に沿う多角形状面又は凹弧面2bに形成されたキャンバー2aを一体的に固着して、これらのキャンバー2a上に斜坑掘削機Aをそのカッター等の掘削部A1側を前方に向けた状態で前後方向に摺動自在に載置させるように構成している。
【0016】
さらに、上記傾動架台2には図5に示すように、幅方向に一定間隔毎にこの傾動架台2と略々同じ長さを有する複数の固定角筒体6がその前端開口部を傾動架台2の先端面(前端面)に一致させ且つ長さ方向を傾動架台2の長さ方向に向けて並列状態に固着している。なお、これらの固定角筒体6を上記キャンバー2a内にその上面がキャンバー2aの上面と面一に連続するように埋設状態に固定してキャンバー2aと共に斜坑掘削機Aの下側周面を載置させるように構成しているが、上面をキャンバー2aの上面に一致させることなくキャンバー2a内に全体的に埋設した構造としておいてもよく、或いはキャンバー2aの上面から少なくともその上端部を突出させた状態に固定してキャンバー2aに斜坑掘削機Aを受止させることなくこれらの固定角筒体6の上面によって斜坑掘削機Aを受止させるように構成しておいてもよい。
【0017】
これらの各固定角筒体6の前半部内には、固定各筒体6の1/2程度の長さを有する鋼製角パイプ又は角棒からなる上記棒状の延伸部材5が摺動自在に挿嵌されていてそれぞれの固定各筒体6の開口前端から突出可能にしていると共に、後部内には図4に示すように、延伸部材5の押出手段4である油圧ジャッキ4Aが固定されている。そして、各油圧ジャッキ4Aのピストンロッド4aの先端面をそれぞれ対応する延伸部材5の後端面に当接させてあり、該油圧ジャッキ4Aのピストンロッドを4aを伸長させることにより延伸部材5をそれぞれの固定角筒体6の開口前端から単独的に突出させるように構成している。なお、油圧ジャッキ4Aのピストンロッド4aを延伸部材5の後端に一体的に連結してピストンロッド4aを伸縮させることにより延伸部材5を固定角筒体6の開口前端から出没自在に構成しておいてもよい。
【0018】
このように延伸部材5を摺動自在に内装した複数本の固定角筒体6を一体に設けている傾動架台2の後端部下面にはブラケット2cが突設してあり、このブラケット2cと水平台枠1の後端面に突設したブラケット1bとを枢軸1cによって傾動架台2が水平台枠1に対して上方に向かって起立可能に枢着している。さらに、傾動架台2の前半部両側端に、側面横長長方形状の適宜高さの姿勢保持枠7、7の下端を固着させてあり、傾動架台2の両側端から上方に突出したこれらの姿勢保持枠7、7の対向内面を斜坑掘削機Aの前半部の両側周面から下周面に亘って受止する凹弧面に形成している。
【0019】
また、水平台枠1は傾動架台2よりも幅広く形成されていて、平面から見た場合、図4に示すようにその両側端部が傾動架台2の両側端面から姿勢保持枠7、7の厚みに略等しい幅だけ突出させてあり、この突出した両側端部と傾動架台2と一体の上記姿勢保持枠7、7とを図3に示すように、リンク機構8を介して連結すると共に該リンク機構8と水平台枠2の両側端部とを油圧ジャッキ9によって連結して傾動架台2の上記起伏手段3を構成している。詳しくは、リンク機構8を互いに屈折自在に枢着8cした一対リンク8a、8bより構成して一方のリンク8aの端部を上記姿勢保持枠7の後端面に回動自在に枢着8dすると共に他方のリンク8bを水平台枠1の前側両側端部の上面に回動自在に枢着8eし、さらに、その枢着部8eに上記油圧ジャッキ9の外底部を回動自在に枢着していると共に該油圧ジャッキ9のピストンロッド9aを上記一方のリンク8aの中央部に枢着9bして該ピストンロッド9aを伸縮させることによりリンク機構8を介して傾動架台2を起伏させるように構成している。なお、傾動架台2又は上記姿勢保持枠7の適所に、傾動架台2が起立した際に斜坑掘削機Aがずり落ちるのを防止する係止部材(図示せず)を設けておいてもよい。
【0020】
さらに、起伏手段3としては、リンク機構8と油圧ジャッキ9とから構成する以外に、例えば、螺子機構のように回転による螺子送りによって傾動架台2を起伏させるようにした手段を採用してもよい。また、リンク機構8を採用することなく、油圧ジャッキ9等の伸縮機構を水平台枠1と傾動架台2との間に直接連結させた起伏手段3を構成しておいてもよい。
【0021】
10は傾動架台2を起立、傾動させて発進させる際に、該傾動架台2上の斜坑掘削機Aの後端面を支持する推進反力受台で、水平設置枠部10a と傾斜受止枠部10b と傾斜補強枠部10c とからなり、傾斜受止枠部10b の傾斜面は掘削すべき斜坑Cの中心線に略直交する面に形成されている。11は斜坑掘削機Aの後端部内周面に固着した複数本の推進ジャッキで、そのロッド端に取付けているスプレッダ11a を上記推進反力受台10の傾斜受止枠部10b 上に受止させるように構成している。なお、この推進ジャッキ11は斜坑掘削機Aに取付けることなく、斜坑掘削機Aの後端面と推進反力受台10の傾斜受止枠部10b との間に介在させるようにしてもよい。又、この推進ジャッキ11に替えて螺子機構等による推進手段を採用してもよい。
【0022】
12は傾動架台2を所定の角度まで起立させた際に、該傾動架台2の底面と水平坑Bの底面との間に介在させる転倒防止架台で、その両側枠の幅を上記水平台枠1の幅よりも大きくして該水平台枠1を跨ぐようにして下端を水平坑Bの底面上に設置させるようにしていると共に、後面を斜坑掘削角度と略同一角度に傾斜した傾斜枠部12a に形成し、この傾斜枠部12a によって所定角度まで起立した傾動架台2の底面(下面)を図2、図6に示すように、受止させるように構成している。
【0023】
さらに、この転倒防止架台12の傾斜枠部12a の両側部には複数個のボルト孔12b を穿設している一方、上記傾動架台2の両側端部にもこれらのボルト孔12b に対向する複数個のボルト孔2dを穿設してあり、ボルト孔2d、12b 間をボルト・ナット13で連結するように構成している。
【0024】
次に、以上のように構成した斜坑掘削機Aの発進装置を用いて、斜坑掘削機Aを掘削すべき斜坑C側に向け、斜行発進させて斜坑Cを掘削する方法について説明する。まず、傾動架台2を備えている水平台枠1を既設水平坑Bの底面に敷設されたレールR上を走行させて斜坑掘削位置で停止させる。この際、予め、水平台枠1上に水平状態に折り重ねている傾動架台2上に斜坑掘削機Aを載置して斜坑掘削位置まで搬送してもよく、斜坑掘削位置で該傾動架台2上に斜坑掘削機Aを載置してもよい。また、斜坑掘削機Aを傾動架台2上にワイヤ等で固定しておき、発進時にその固定を解くようにしてもよい。
【0025】
既設水平坑Bにおける斜坑掘削位置には、該水平坑Bと掘削すべき斜坑Cとの交点部分から水平坑Bの前方延長方向に向かって水平台枠1が仮設置可能な長さを有する水平坑部B'が設けられている。この水平坑部B'は底面が水平坑Bの面一で且つ水平坑Bの径よりも小径に形成されてあり、これらの水平坑Bと水平坑部B'との連設部分における上周壁面に上記斜坑Cの掘削方向である斜め前方に向かって斜坑掘削機Aの前端部が挿入可能な深さと径を有する斜め上向きの斜坑発進口C1が掘削、形成されている。さらに、この斜坑発進口C1を介して段差が生じている水平坑Bと水平坑部B'との坑壁部、即ち、水平坑部B'と斜坑発進口C1とが交差する坑壁部を発破等によって斜めに切除して水平坑部B'の後端上周壁面から斜坑発進口C1の開口下傾端に向かって斜め上方に傾斜した傾斜壁面部Dを形成している。
【0026】
そして、上記傾斜壁面部Dは斜坑掘削機Aを上載した上記傾動架台2の先端面との間に隙間Fを存するように該傾動架台2の移動軌跡に沿って設けられていると共に、該傾斜壁面部Dが面している斜坑発進口C1の下方部は水平坑Bから斜坑発進口C1まで傾動架台2の起立を許容する空間部Eに形成されている。なお、水平坑Bの中間部から斜坑Cを掘削する場合には水平坑Bの前方延長部を水平坑部B'に利用でき、水平坑Bの延長部が存在しない場合には水平台枠1の長さに略等しい長さの水平坑部B'を掘削する。また、斜坑発進口C1の下向き延長線上における水平坑Bの底面には推進反力受台10の設置用ピット14が掘削されている。
【0027】
斜坑掘削位置まで走行した発進用装置の水平枠台1は、図2に示すように、その前端を固定用金物15を介してピン16により固定アンカー17に連結することによってその位置に固定され、さらに、水平枠台1の後端部下面と水平坑Bの底面との間にライナー18を介在させて水平枠台1が横方向に傾動するのを防止する。なお、水平枠台1を斜坑掘削位置に固定させる前に、該水平枠台1を水平坑部B'内に挿入しておき、その状態で推進反力受台10をピット14内に設置してアンカー19により固定し、該推進反力受台10の固定後、水平枠台1を斜坑掘削位置まで後退させて固定する。
【0028】
このように水平枠台1を固定したのち、該水平枠台1とその上に折り畳まれた傾動架台2とを連結している起伏手段3の油圧ジャッキ9のロッドを伸長させると、リンク機構8を介して傾動架台2が後端枢着部1cを中心として上方に回動して、斜坑発進口C1の下方空間部Eをその先端が水平坑部B'の後端上周壁面から斜坑発進口C1の開口下傾端に連なった傾斜壁面部Dに沿って移動しながら起立していく。この起立によって傾動架台2のキャンバー2a上に載置されている斜坑掘削機Aが後方に滑り落ちようとするが、傾動架台2に設けている係止部材(図示せず)によって後方側への滑動(前方側へは係止部材から離間して自由に滑動できる)を阻止することができ、或いは、推進反力受台10の傾斜受止枠部10a に推進ジャッキ11のスプレッダ11a を当接させることによって阻止する。
【0029】
傾動架台2が一定の角度まで起立して斜坑掘削機Aが掘削すべき斜坑Cの方向に指向し、該傾動架台2の先端面(前端面)が斜坑発進口C1の開口下傾端に連なる上記傾斜壁面部Dの上端部に隙間Fを介して対向すると共に傾動架台2上の斜坑掘削機Aは斜坑発進口に臨んだ状態となった時に、起伏手段3の油圧ジャッキ9の作動を停止させ、傾斜した傾動架台2の底面と水平坑Bの底面との間に転倒防止架台12を介在させて、その傾斜枠部12a で傾動架台2の底面を受止させ、ボルト・ナット13によって傾斜枠部12a と傾動架台2とを一体に固着すると共に転倒防止架台12の下端を水平坑Bの底面にアンカーを打ち込むことによって固定する。この状態にすることによって傾動架台2が確実に上記傾斜角度を維持すると共に前後左右方向への転倒を防止される。
【0030】
この状態にしたのち、傾動架台2のキャンバー2aの幅方向に小間隔毎に並列している複数本の固定角筒体6の後部内に固定している押出手段4である油圧ジャッキ4Aのピストンロッド4aを伸長させることにより、各固定角筒体6に内装している延伸部材5をそれぞれの固定角筒体6の先端から前方に突出させ、これらの延伸部材5の先端面を上記傾斜壁面部Dの上端部に斜坑発進口C1の開口下傾端の幅方向に沿って当接させて傾斜壁面部Dと傾動架台2との間の隙間Fにこれらの延伸部材5を架橋させた状態にする。そして、傾斜壁面部Dの上端部に当接した各延伸部材5の先端を該傾斜壁面部Dの岩盤にアンカー20を打ち込むことによって固定する。
【0031】
こうして、傾動架台2の先端と傾斜壁面部Dの上端間の隙間Fに延伸部材5を架橋状態に固定したのち、推進反力受台10に反力を受止させて推進ジャッキ11を伸長させると、斜坑掘削機Aが傾動架台2のキャンバー2aの凹弧面上を摺動しながら、斜坑発進口C1に向かって発進する。この時、斜坑掘削機Aが傾動架台2の前半両側端部に突設している姿勢保持枠7によって左右方向の妄動を規制されながら斜坑発進口C1に向かって正確に推進する。
【0032】
推進ジャッキ11による1ストローク分の推進が行われると、推進ジャッキ11を順次収縮させてそのスプレッダ11a と推進反力受台10の傾斜受止枠部10b との間に1リング分のセグメントSを介在させ、このセグメントSに推進反力を受止させて再び、推進ジャッキ11を伸長させることにより斜坑掘削機Aを前進させ、この作業を繰り返すことによって斜坑掘削機Aの前端部を上記延伸部材5上を通過させて斜坑発進口C1内に進入させる。
【0033】
斜坑発進口C1の切羽面に斜坑掘削機Aの前端掘削部A1が当接した位置まで斜坑掘削機Aが前進すると、該掘削部A1の前端面に設けているカッターを回転させながら推進ジャッキ11を伸長させて斜坑Cの掘進を開始する。この時、斜坑掘削機Aはその胴部に設けている後述するグリッパA5、A6が斜坑発進口C1内に達していなくて斜坑掘削壁面にグリッパA5、A6を圧着させることができないために、斜坑掘削機Aのカッターを回転して掘進すると、その回転反力によって斜坑掘削機Aがローリングするので、斜坑掘削機Aを傾動架台2にワイヤ等で前後動可能に且つ回転不能に固定しておく。このようにして、斜坑掘削機Aが斜坑Cを掘進しながら全長が斜坑発進口C1から斜坑B内に没入した状態となれば、発進用装置、即ち、傾動架台2を備えた水平台枠1や推進反力受台10、転倒防止架台12等を撤去する。
【0034】
斜坑掘削機Aは公知のように、前端にカッター等の掘削部A1を有する前胴A2と中胴A3、後胴A4を有し、前後胴A2、A4が中胴A3を介して互いに伸縮自在に連結していると共にこれらの前後胴A2 A4に掘削した斜坑Cの壁面に着脱自在に圧着するフロントグリッパA5とリヤグリッパA6とを夫々備えている。そして、リヤグリッパA6を掘削壁面に圧着させて掘削機全体を支持させた状態で前胴A2を前方に伸長させながら斜坑Cを掘進し、一定長の斜坑Cの掘削後、フロントグリッパA5を掘削地盤に圧着させる一方、リヤグリッパA6を掘削地盤からの圧着を解き、後胴A4を前胴A2側に引き寄せると共に斜坑掘削機Aの後方部にセグメントSを順次組立てる作業を繰り返しながら斜坑Cを掘進していくものである。なお、斜坑発進口C1の長さを斜坑掘削機Aの長さより長くしておくと、斜坑掘削機Aが発進用装置上にあるときは、ローリングが生じないので、傾動架台2に回転不能に固定する必要もなく、掘削開始からフロントグリッパA5とリヤグリッパA6を斜坑発進口C1の壁面に押し付けることによってローリングを防止することができる。
【0035】
また、傾動架台2の先端と斜坑発進口C1の下端に連なる上記傾斜壁面部Dの上端間の隙間Fには複数本の延伸部材5が架橋状態で固定されているので、この延伸部材5上にセグメントSを配設することができると共に該延伸部材5上を通じて傾動架台2側と斜坑掘削機A側との通行路の確保が可能となるものである。
【0036】
なお、以上の実施例において、延伸部材5の押出手段4としては油圧ジャッキ4Aを用いているが、その他の手段、例えば、図7に示すようにウインチ41を用いた押出手段を採用してもよい。即ち、各固定角筒体6内に該固定角筒体6の開口前端から突出可能に配設されている延伸部材5の後端下部にワイヤ42の先端を連結すると共にこのワイヤ42を固定角筒体6の開口前端の下縁部に回転自在に軸支されたシーブ43に掛け渡したのち、水平台枠1の後方における水平坑B上に設置したウインチ42にガイドシーブ44を介して巻装し、ウインチ42をワイヤ42の巻き戻し方向に作動させることにより、固定角筒体6から延伸部材5を突出させるように構成してもよい。また、傾動架台2のキャンバー2aに複数本の延伸部材5を並列状態に配設することなく、一枚の湾曲板状の延伸部材を傾動架台2の先端からジャッキ等によって突出させるように構成しておいてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、水平坑の底面に固定される水平台枠上に斜坑掘削機を塔載させる傾動架台を重ね合わせ状態で配設して該傾動架台の後端を水平台枠の後端に起伏自在に枢着してなる発進装置において、上記傾動架台にこの傾動架台の先端から前方に向かって突出可能な延伸部材を内装していることを特徴とするものであるから、水平架台を斜坑掘削位置に配設することによって簡単に斜坑掘削機の発進準備を完了することができると共に、水平架台上の傾動架台を上方に起立させることによって該傾動架台上の斜坑掘削機を円滑且つ正確に掘削すべき斜坑の発進口に臨ませることができるのは勿論、傾動架台に前方に向かって突出可能な延伸部材を内装しているので、傾動架台を起立させて斜坑掘削機を斜坑発進口に臨ませたのち、この延伸部材を油圧ジャッキ等の押出手段によって前方に突出させれば、該延伸部材の先端を人手を要することなく正確且つ迅速に斜坑発進口の開口下端側の壁面部に当接させることができ、従って、斜坑発進口の開口下端と傾動架台の先端間の隙間に自動的に且つ安全に延伸部材を架橋させることができて、この延伸部材上におけるセグメントの配設や該延伸部材上を通じての傾動架台側と斜坑掘削機側との通行路の確保が可能となるものである。
【0038】
さらに、上記延伸部材を傾動架台に複数本、並列状態で内装し、且つそれぞれの延伸部材を油圧ジャッキ等の押出手段によって単独的に傾動架台の先端から突出可能に構成しているので、斜坑発進口の開口下端側における延伸部材の先端当接壁面が凹凸面であっても、その凹凸面に応じて各延伸部材を突出させて全ての延伸部材の先端を確実に対向壁面に当接させることができ、延伸部材を壁面に強固に固定することができて一層安定した延伸部材の架橋構造を形成し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 斜坑掘削機を発進用装置を配設した状態の簡略縦断側面図、
【図2】 斜坑掘削機を斜坑掘削側に向けた状態の発進装置の側面図、
【図3】 傾動架台を水平台枠上に折り畳んだ状態の側面図、
【図4】 その簡略平面図、
【図5】 発進装置の簡略正面図、
【図6】 斜坑を掘削している状態の簡略側面図、
【図7】 延伸部材の押出手段の他の例を示す側面図。
【符号の説明】
1 水平台枠
2 傾動架台
3 起伏手段
4 押出手段
4A 油圧ジャッキ
5 延伸部材
6 固定角筒体
10 推進反力受台
11 推進ジャッキ
A 斜坑掘削機
B 水平坑
C 斜坑
C1 斜坑発進口
D 傾斜壁面部
E 空間部
Claims (2)
- 水平坑から斜め上方に向けて斜坑掘削機を発進させるに際して、水平坑の底面に固定される水平台枠と、この水平台枠上に重ね合わされると共に後端部を該水平台枠の後端部に枢着され且つ斜坑掘削機を塔載させるようにしてなる傾動架台と、この傾動架台を水平台枠に対して起伏させる起伏手段と、上記傾動架台に複数本、並列状態で且つそれぞれ単独的に傾動架台の先端から前方に向かって突出可能に内装されている延伸部材とからなる発進装置を用いて斜坑掘削機を掘削すべき斜坑側に向けて発進させる方法であって、斜坑掘削機に搭載した傾動架台を起伏手段により、搭載した斜坑掘削機が掘削すべき斜坑の方向に指向し、傾動架台の先端面が斜坑発進口の開口下傾端に連なる傾斜壁面部の上端部に隙間を介して対向する状態となるまで起立させ、この状態で、傾動架台に内装している各延伸部材を、傾斜壁面部の上端部の凹凸面に応じてそれぞれ前方に突出させ、これらの延伸部材の先端面を傾斜壁面部の上端部に斜坑発進口の開口下傾端の幅方向に沿って当接させて傾斜壁面部と傾動架台との間の隙間に架橋させ、各延伸部材の先端を該傾斜壁面部の岩盤にアンカーを打ち込むことによって固定し、その状態で、斜坑掘削機を傾動架台及び各延伸部材上を摺動させながら斜坑発進口に向かって発進させることを特徴とする斜坑掘削機の発進方法。
- 水平坑から斜め上方に向けて斜坑掘削機を発進させるための斜坑掘削機の発進装置であって、水平坑の底面に固定される水平台枠と、この水平台枠上に重ね合わされると共に後端部を該水平台枠の後端部に枢着され且つ斜坑掘削機を塔載させるようにしてなる傾動架台と、この傾動架台を水平台枠に対して起伏させる起伏手段と、上記傾動架台に複数本、並列状態で且つそれぞれ単独的に傾動架台の先端から前方に向かって突出可能に内装されている延伸部材と、これらの延伸部材の先端面を斜坑発進口の開口下傾端に連なる傾斜壁面部の上端部に当接させた際に該延伸部材の先端を傾斜面部の岩盤に固定させるアンカーとからなることを特徴とする斜坑掘削機の発進装置。
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