JP3909577B2 - 指詰め防止機能を備えた引戸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、指詰め防止機能を備えた引戸に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅に用いられる引戸としては、片引きタイプのものや、引き違いタイプのものがある。片引きタイプの引戸(60)は、例えば図14(a)(b)に示すように、壁内部に設けた戸袋状の収容部(61)や、壁段差部に設けた収容部(62)に収容されて、開放するようになっている。また、引き違いタイプの引戸(60)(60)は、図14(c)に示すように、それら引戸(60)(60)が互いに重なり合って開放するようになっている。
【0003】
そして、これら引戸(60)(60)…の開閉に際しては、その表面側又は裏面側に設けた堀り込み型の引手(70)(70)…に指を引っ掛けて、引戸(60)(60)…を水平方向にスライドさせるようにしている。
【0004】
ところが、上記のような引戸(60)(60)…を全開するときには、引手(70)(70)…に引っ掛けた指が、片引きタイプの場合には、引戸(60)と収容部(61)(62)の壁体(71)(72)との隙間に、引き違いタイプの場合には、引戸(60)(60)間の隙間に夫々挟み込まれて、指詰めするといった危険性があった。特に、戸車の付いた動きのスムーズな引戸は、洋室向けで重量が重くて、すぐに止めることが難しく、指を挟む可能性が高い。
【0005】
このため、近年では、引手(70)(70)…にストッパ部材を設けて、引手(70)(70)…に引っ掛けた指が壁体(71)(72)や別の引戸(60)の端縁部(T)に当たる前に、それら端縁部(T)にストッパ部材を当接させることで、指詰めを防止するようにした構造のものが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来においては、引手(70)(70)…に対してストッパ部材が単に固定されていたり、或いは、出没可能に取り付けられている。このため、前者の場合には、指詰めを確実に防止することができるものの、引戸(60)(60)…を全開させることができず、引戸(60)(60)…の開閉機能に制約を与えていた。また、後者の場合には、ストッパ部材を引手(70)(70)…内に引っ込めれば、ストッパ部材が壁体(71)(72)や別の引戸(60)の端縁部(T)に干渉しなくなって、引戸(60)(60)…を全開させることができるが、ストッパを突出させるのを忘れて引戸(60)(60)…を全開したときには、指詰めの危険性があり、安全性が高いと言えるものではなかった。
【0007】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、開閉機能が制約されることなく、しかも安全性の高い指詰め機能を発揮する引戸の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明の引戸は、壁体や別の引戸に重なるようにして開放する引戸であって、その引戸本体の表面側又は裏面側に埋め込まれた引手本体に、指を引っ掛ける指掛部材が引戸の開閉方向に沿ってスライド自在に設けられ、前記指掛部材は、指を引っ掛けて引戸開放方向に押し込んだとき、引っ掛けた指よりも先に前記壁体や別の引戸の端縁部に当接するように、引手本体に収容された収容状態から、引手本体より突出する突出状態へ切り換えられることを特徴とする。さらに、指掛部材を突出状態で保持する保持機構が設けられている。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の参考例としての引戸 ( 1 ) は、図14(a)(b)(c)に示すような片引きタイプ或いは引き違いタイプのいずれにも適用可能である。図1は、その一例として、壁内部に設けた戸袋状の収容部(61)に収容される片引きタイプの引戸(1)を示している。この引戸(1)は、その方形板状の引戸本体(2)の表面側及び裏面側に、一対の引手(4)(4)が取り付けられている。
【0011】
引手(4)は、図2及び図3に示すように、例えば正面が開放した略凹型に形成された引手本体(5)に、指を引っ掛ける移動可能な指掛部材(6)と、この指掛部材(6)の動きに連動する指詰め防止用のストッパ部材(7)とを設けた構造となっている。
【0012】
引手本体(5)は、その正面側周縁部から張り出したフランジ(10)を、引戸本体(2)の表面又は裏面に当接させるようにして、引戸本体(2)に形成された貫通孔(11)に嵌め込まれている。なお、一対の引手(4)(4)は、それらの引手本体(5)(5)の背面板(18)(18)同士を合わせるようにして、貫通孔(11)に収まっている。
【0013】
指掛部材(6)は、例えば木製素材からなり、引戸(1)を開放するときに指を引っ掛けるもので、引手本体(5)内に引戸(1)のスライド方向すなわち開閉方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。
【0014】
そして、この指掛部材(6)の図において左側方向(引戸開放方向)の端部にはカム部(16)が形成され、このカム部(16)が、引手本体(5)の正面ガイド板(17)と背面板(18)との間に配置されている。また、指掛部材(6)の図において右側方向(引戸閉塞方向)の端部は、引手本体(5)の正面開口部(20)に臨んでいる。さらに、指掛部材(6)の背面側には、引手本体(5)の背面板(18)に取り付けた板バネ(21)の突部に係合する係合溝(22)が形成されている。なお、図において、(23)は、引戸(1)を閉塞するときに指を引っ掛ける別の指掛部材であって、引手本体(5)内に固定されている。
【0015】
ストッパ部材(7)は、例えば金属製素材からなり、略半円柱状に形成されている。このストッパ部材(7)は、引手本体(5)の正面ガイド板(17)に支持されて、出没自在に取り付けられている。なお、ストッパ部材(7)の背面側端部には、ストッパ部材(7)が突出したときに、正面ガイド板(17)に係合にしてストッパ部材(7)の抜けを防止する係止片(24)が形成されている。
【0016】
上記構成において、引戸(1)を開放する場合には、図4に示すように、引手(4)の正面開口部(20)より挿入した指を指掛部材(6)に引っ掛けて、その指掛部材(6)を引戸開放方向に押し込む。すると、図5に示すように、指掛部材(6)が引戸開放方向へスライドして、そのカム部(16)によってストッパ部材(7)が押し出されて、引手本体(5)に収容された収容状態から、引手本体(5)より突出する突出状態に切り換わる。
【0017】
このとき、ストッパ部材(7)の係止片(24)が正面ガイド板(17)に係合して、指掛部材(6)の引戸開放方向へのスライドが規制される。さらに、引手本体(5)側の板バネ(21)の突部が指掛部材(6)の係合溝(22)に係合して、指掛部材(6)の引戸閉塞方向への戻りも規制されて、ストッパ部材(7)が突出状態で保持される。すなわち、板バネ(21)と係合溝(22)によって、ストッパ部材(7)を突出状態で保持する保持機構が構成されている。
【0018】
そして、この状態で、引戸(1)を開放方向へスライドさせていくと、指掛部材(6)に引っ掛けた指よりも先に、突出状態のストッパ部材(7)が、図14に示すような収納部(61)(62)の壁体(71)(72)や別の引戸(1)の端縁部(T)に当接する。なお、図1の場合には、壁体(71)の端縁部における縦框(75)に当接する。
【0019】
これによって、引戸(1)の開放方向へのスライドが規制されて、指掛部材(6)に引っ掛けた指が、壁体(71)(72)と引戸(1)との隙間、或いは、引戸(1)(1)間の隙間に挟み込まれることがなく、引戸開放時の指詰めを確実に防止することができる。また、ストッパ部材(7)は、保持機構によって突出状態で保持されているので、端縁部(T)への当接時の衝撃によって、ストッパ部材(7)が収納状態に戻ってしまうといった不具合も生じ難い。
【0020】
突出状態のストッパ部材(7)を強く押し込むと、引手本体(5)側の板バネ(21)と指掛部材(6)の係合溝(22)との係合が解除されて、指掛部材(6)が引戸閉塞方向へスライドする。そして、この指掛部材(6)が、引戸本体(5)の背面板(18)から突出した突片(25)に当接して元の位置に戻ることで、ストッパ部材(7)が、突出状態から収容状態へ戻るようになっている。
【0021】
従って、ストッパ部材(7)を押し込んで収容状態とすることで、引戸(1)のストッパ部材(7)と端縁部(T)との干渉をなくして、引戸(1)を収容部(61)(62)に収容したり、別の引戸(1)に対してずれを生じることなく重ね合わせて、引戸(1)を全開状態とすることができる。
【0022】
別の参考例としての引戸(1)の引手(30)においては、図6及び図7に示すように、その指掛部材(31)が、例えば略L字形に形成されて、引手本体(5)内に引戸(1)の開閉方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。
【0023】
また、ストッパ部材(32)は、例えば引手本体(5)の周縁部に沿うようにして略コ字形に形成されて、その開放部側の両端部が引手本体(5)に枢着されている。また、ストッパ部材(32)の両端部付近には、引手本体(5)の内側へ向けて略半円状の軸部(33)(33)が突設されている。
【0024】
そして、引戸(1)を開放する場合には、図6に示すように、指掛部材(31)に指を引っ掛けて引戸開放方向に押し込む。すると、図7に示すように、指掛部材(31)が引戸開放方向へスライドして、その引戸開放方向側の端部によってストッパ部材(32)の軸部(33)(33)が押され、これによってストッパ部材(32)がその両端部を中心として回転し、引手本体(5)に収容された収容状態から、引手本体(5)より突出する突出状態に切り換わる。
【0025】
このとき、指掛部材(31)が引手本体(5)内に形成した台部(35)に当接して、指掛部材(31)の引戸開放方向へのスライドが規制される。さらに、引手本体(5)側の板バネ(21)の突部が指掛部材(31)の係合溝(36)に係合して、指掛部材(31)の引戸閉塞方向への戻りも規制されて、ストッパ部材(32)が突出状態で保持される。
【0026】
この状態で、引戸(1)を開放方向へスライドさせていくと、指掛部材(31)に引っ掛けた指よりも先に、突出状態のストッパ部材(32)が、図14に示すような収納部(61)(62)の壁体(71)(72)や別の引戸(1)の端縁部(T)に当接して、指詰めが防止される。
【0027】
突出状態のストッパ部材(32)を強く押し込むと、その軸部(33)(33)によって指掛部材(31)が元の位置に戻され、ストッパ部材(7)が、突出状態から収容状態へ戻って、引戸(1)を全開状態とすることができる。
【0028】
なお、その他の構成及び動作は、図1乃至図5に示す参考例の場合と同様であり、図1乃至図5に示す参考例の場合と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。
【0029】
この発明の一実施形態に係る引手(1)の引手(40)においては、図8及び図9に示すように、指掛部材(41)をストッパ部材としても機能させることで、ストッパ部材を廃止した構造となっている。
【0030】
この指掛部材(41)は、例えば略L字形に形成されて、その上面及び下面には、図10に示すように、引手本体(5)の上面板(39)に形成されたガイド用溝(42)を貫通するスライド軸(43)(43)が夫々突設されている。一方、引手本体(5)の上面板(39)には、固定軸(44)が突設され、この固定軸(44)と上側のスライド軸(43)との間には、引っ張りバネ(45)が介装されている。
【0031】
そして、引戸(1)を開放する場合には、図8に示すように、指掛部材(41)に指を引っ掛けて引戸開放方向に押し込む。すると、図9に示すように、そのスライド軸(43)が引手本体(5)のガイド用溝(42)に案内されて、指掛部材(41)が引戸開放方向へスライドし、引手本体(5)に収容された収容状態から、引手本体(5)より突出する突出状態に切り換わる。
【0032】
このとき、図10に示すように、指掛部材(41)のスライド軸(43)は、開閉方向と直交する方向に沿って延びるガイド用溝(42)の一端部に案内されていて、しかも伸長した引っ張りバネ(45)の付勢力によって、引戸閉塞方向に引っ張られているので、指掛部材(41)が突出状態で保持される。すなわち、引っ張りバネ(45)とガイド用溝(42)の一端部によって、指掛部材(41)を突出状態で保持する保持機構が構成されている。
【0033】
この状態で、引戸(1)を開放方向へスライドさせていくと、指掛部材(41)に引っ掛けた指よりも先に、突出状態の指掛部材(41)の引戸開放方向側の端部が、図14に示すような収納部(61)(62)の壁体(71)(72)や別の引戸(1)の端縁部(T)に当接して、指詰めが防止される。また、指掛部材(41)は、保持機構によって突出状態で保持されているので、端縁部(T)への当接時の衝撃によって、指掛部材(41)が収納状態に戻ってしまうといった不具合も生じ難い。
【0034】
突出状態の指掛部材(41)を引っ張りバネ(45)の付勢力に抗して押し込むと、そのスライド軸(43)がガイド用溝(42)の一端部から抜け出して、その後は引っ張りバネ(45)の付勢力によって、図10において2点鎖線で示すように、スライド軸(43)がガイド用溝(42)の他端部に戻され、これによって指掛部材(41)が収容状態に戻って、引戸(1)を全開状態とすることができる。
【0035】
なお、その他の構成及び動作は、図1乃至図5に示す参考例の場合と同様であり、図1乃至図5に示す参考例の場合と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。
【0036】
この発明の別の実施形態に係る引戸(1)の引手(50)も、上記引手(40)と同様に、指掛部材(51)をストッパ部材としても機能させることで、ストッパ部材を廃止した構造となっている。
【0037】
そして、指掛部材(51)は、図11乃至図13に示すように、例えば略L字形に形成されて、その背面側が湾曲面(52)となっており、その湾曲面(52)を引手本体(5)の引戸開放方向側の縁部(53)に当接させながら、スライドするようになっている。なお、指掛部材(51)としては、このような中実構造のものだけに限らず、例えば内部をくり抜いて軽量化を図った構造のものであっても良い。その他の構成及び動作は、図8乃至図10に示す上記実施形態の場合と同様であり、図8乃至図10に示す上記実施形態の場合と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。
【0038】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【0040】
例えば、ストッパ部材としても機能する指掛部材を、収容状態から突出状態へ切り換える機構としては、上記実施形態に示すような機構に限定されず、各種機構を適用しても良い。さらに、指掛部材の保持機構としても、指掛部材を突出状態で保持することができるものであれば、どのような機構を適用しても良い。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明の引戸は、その引手の指掛部材に指を引っ掛けて引戸開放方向へ押し込むと、指掛部材が収容状態から突出状態へ切り換わる構造となっているので、指掛部材に指を引っ掛けて引戸を開放するときには、常に指掛部材が突出して指詰めを確実に防止することができ、安全性の向上を図ることができる。しかも、指掛部材を収容状態に戻せば、引戸を全開させることができるので、引戸の開閉機能に支障をきたすこともない。さらに、引手部分だけでこのような指詰め防止機能を実現しているので、構造が簡単で、引戸のデザインとしても自然である。加えて、このように指掛部材にストッパ機能を持たせることで、部材の共有化を図ることができ、部品点数を削減して製造コストの低減を図ることができる。
【0044】
また、指掛部材を突出状態で保持することができるので、指掛部材が不用意に収容状態に戻ることがなく、指詰めの危険性をさらに低減して、安全性のより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の参考例としての引戸の斜視図である。
【図2】 同じくその引手部分の正面図である。
【図3】 同じくその引手部分の横断面図である。
【図4】 同じくその引手に指を引っ掛けた状態を示す斜視図である。
【図5】 引戸開放時の引手部分の横断面図である。
【図6】 別の参考例としての引戸の引手に指を引っ掛けた状態を示す斜視図である。
【図7】 引戸開放時の引手部分の横断面図である。
【図8】 この発明の一実施形態に係る引戸の引手に指を引っ掛けた状態を示す斜視図である。
【図9】 引戸開放時の引手部分の横断面図である。
【図10】 引手部分の平面図である。
【図11】 別の実施形態に係る引戸の引手に指を引っ掛けた状態を示す斜視図である。
【図12】 引戸開放時の引手部分の横断面図である。
【図13】 引手部分の平面図である。
【図14】 引戸の使用状態を示す図である。
【符号の説明】
(1) 引戸
(2) 引戸本体
(5) 引手本体
(40)(50) 引手
(41)(51) 指掛部材
(71)(72) 壁体
(T) 端縁部
Claims (2)
- 壁体や別の引戸に重なるようにして開放する引戸であって、その引戸本体の表面側又は裏面側に埋め込まれた引手本体に、指を引っ掛ける指掛部材が引戸の開閉方向に沿ってスライド自在に設けられ、前記指掛部材は、指を引っ掛けて引戸開放方向に押し込んだとき、引っ掛けた指よりも先に前記壁体や別の引戸の端縁部に当接するように、引手本体に収容された収容状態から、引手本体より突出する突出状態へ切り換えられることを特徴とする指詰め防止機能を備えた引戸。
- 指掛部材を突出状態で保持する保持機構が設けられている請求項1記載の指詰め防止機能を備えた引戸。
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