JP3918445B2 - 車両の前部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車幅方向両側にフェンダを備えた車両の前部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボンネットの車幅方向両側にフェンダを備えた車両の場合、車両の前部が障害物に衝突すると、障害物はボンネットに載せ上げられ、次いで、フェンダ上縁部に打ちつけられることとなる。このように障害物がフェンダ上縁部により打撃を受けると、障害物に集中荷重による極めて大きな衝撃が及ぼされることが多い。
【0003】
これに対して、特開平11−321718号公報には、フェンダ外板の上部をボンネット近傍で下に折り曲げて車体の側方外方へ斜め下に延ばした後、端部を折り返して車体側へ斜め下に延ばし、一方、ホイールハウスを補強する中空断面構造のアッパメンバから上へエクステンションを張り出すと共に車体の側方外方へ折り曲げ、そのエクステンション先端にフェンダ外板の端部を連結することで、エクステンションとフェンダ外板とで略く字断面を形成したフェンダ構造であって、フェンダ構造を前部と後部とに区別したときに、前部フェンダにおいて略く字断面の谷の角度を小さくし、後部フェンダにおいて略く字断面の谷の角度をを大きくしたものが開示されており、かかる構成によれば、小さな障害物が主として前部フェンダに当たる一方、大きな障害物が主として後部フェンダに当たるところ、前部フェンダの下向き外力に対する剛性を小さな障害物に対応させて低く設定することができると共に後部フェンダの下向き外力に対する剛性を大きな障害物に対応させて高く設定することができ、その結果、前部フェンダに小さな障害物が当たったときには前部フェンダを十分に変形させて小さな障害物に及ぼす衝撃を確実に吸収することができ、また、後部フェンダに大きな障害物が当たったときには後部フェンダを十分に変形させて大きな障害物に及ぼす衝撃を確実に吸収することができる、との内容が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本出願の課題は、車両の前部が障害物に衝突して障害物がフェンダ上縁部に当たった際に、障害物の受ける打撃衝撃が弱くなるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車幅方向両側にフェンダを備えた車両の前部構造であって、
上記各フェンダ上部内側に設けられた縦壁部の下端に続いて車両外側に向かって斜め下向きに延びる下部フランジを形成する一方、該フェンダに対応して前後方向に延びるように設けられたホイルエプロンレインフォースメント外側上部を車両外側に向かって斜め下向きに延びる外側傾斜面に形成し、該下部フランジを該外側傾斜面に沿って配設すると共に、
上記フェンダを上記ホイルエプロンレインフォースメントに固定するフェンダ固定手段を設け、
上記フェンダ固定手段は、一端が上記フェンダに且つ他端が上記ホイルエプロンレインフォースメントにそれぞれ結合され、該フェンダに上方から所定荷重が負荷された際に該ホイルエプロンレインフォースメントの外側傾斜面の傾斜方向に伸張する伸張部材により構成され、
上記フェンダに上方から上記所定荷重が負荷された際、上記下部フランジが上記外側傾斜面に沿って車両外側に向かって斜め下向きに移動するように構成されていることを特徴とする。
【0006】
上記の構成によれば、車両の前部が障害物に衝突してその障害物がフェンダ上縁部に当たっても、フェンダが受ける上方からの荷重によって下部フランジが容易に外側傾斜面に沿って斜め下向きに移動し、それに伴ってフェンダ自体も同様に斜め下向きに移動するので、そのとき障害物が受ける打撃衝撃が弱いものとなり、安全性の向上が図られることとなる。
【0007】
ここで、かかる伸縮部材としては、蛇腹部材等を挙げることができる。また、伸縮部材は、フェンダ又はホイルエプロンレインフォースメントに一体に設けられているものであってもよい。
【0008】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車両の前部が障害物に衝突した際に障害物が受ける打撃衝撃が弱いものとなり、安全性の向上が図られることとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る車両の前部構造を示す。この車両の前部構造は、フロントガラスGの前方に延びエンジンルームを覆うボンネット1を有している。ボンネット1前端直下の車幅方向両側にはヘッドランプ2,2が、また、ボンネット1前端直下で両ヘッドランプ2,2に挟まれた位置にはグリルが、さらに、両ヘッドランプ2,2及びグリル3の直下には車幅方向に延びるフロントバンパ4が、そして、ボンネット1の車幅方向両側にはフェンダ5,5がそれぞれ設けられている。フェンダ5で覆われたタイヤハウスではフロントタイヤTが装着されており、また、フェンダ5の後方にはフロントドアDが配置されている。
【0011】
図2及び3は、車両前面視左側のフェンダ5の車体への取付構造を示す。
【0012】
フェンダ5は、車両前側部を覆うフェンダ本体5aと、そのフェンダ本体5a上部で車両内側に折り返されて前後方向に細長く延びるように形成された縦壁部5bと、縦壁部5bの下端に続いて車両外側に向かって斜め下向きに延びる下部フランジ5cとを有しており、その折り返し部分によってフェンダ上縁部5dを構成している。縦壁部5bには、その下部に矩形の作業穴6が間隔をおいて形成されている。また、下部フランジ5cには、その中間部分に下端を有して縦壁部5b側に向かって延び、縦壁部5bの作業穴6の下辺中央に開口する細長い欠切部7が形成されている。
【0013】
フェンダ5が取り付けられる車体側のホイルエプロンレインフォースメント8は、開口側が下向きとされたアッパパネル8aと、その開口部を閉じるようにアッパパネル8aに接合された板状のロアパネル8bとからなり、フェンダ5より車両内側に前後方向に延びるように設けられている。このホイルエプロンレインフォースメント8の外側上部は、車両外側に向かって斜め下向きに延びる外側傾斜面9に形成されており、フェンダ5の下部フランジ5cに対応してその傾斜長さが下部フランジ5cと略同一となっている。また、この外側傾斜面9には、フェンダ5の欠切部7の下端位置に対応してボルト孔が形成されている。このボルト孔にワッシャ10を通したフェンダ固定用ボルト11が挿通されており、これがフェンダ固定部材を構成している。
【0014】
そして、フェンダ5の下部フランジ5cは、ホイルエプロンレインフォースメント8の外側傾斜面9に沿って両者が重なるように配設されている。ワッシャ10を通した固定用ボルト11は、下部フランジ5cに形成された欠切部の下端位置に外側から挿通され、ワッシャ10及びボルト頭を下部フランジ5cに係合させて外側傾斜面に形成されたボルト孔に通され、その内側でナットで締められている。ここで、このボルト留め作業は、作業穴6から工具を差し入れることにより行われる。このようにして、ワッシャ10及びボルト頭とホイルエプロンレインフォースメント8の外側傾斜面9との間にフェンダ5の下部フランジ5cが挟持された形態の車体にフェンダ5を係止固定した取付構造が構成される。
【0015】
この車両の前部が障害物に衝突した際の前部構造の動作について説明する。
【0016】
まず、車両の前部が障害物に衝突した際、フロントバンパ4が障害物の下部に当たり、障害物が車両側に傾倒してボンネット1に載せ上げられる。
【0017】
次いで、ボンネット1に載せ上げられた障害物は、その上部が勢いよく下方変位し、その下方変位位置がフェンダ位置の場合、フェンダ上縁部5dに当たる。このとき、フェンダ5が受ける上方からの荷重によって固定用ボルト11が下部フランジ5cの欠切部7に案内されて係止固定位置が欠切部7の下端から開口した上端に向かって移動することとなり、それによって下部フランジ5cがホイルエプロンレインフォースメント8の外側傾斜面9に沿って車両外側に向かって斜め下方に移動すると共にそれに伴ってフェンダ5自体も同様に移動する。
【0018】
上記の車両の前部構造によれば、車両の前部が障害物に衝突してその障害物がフェンダ上縁部に当たっても、フェンダ5が受ける上方からの荷重によってフェンダ5の下部フランジ5cが容易にホイルエプロンレインフォースメント8の外側傾斜面9に沿って斜め下向きに移動し、それに伴ってフェンダ5自体も同様に斜め下向きに移動するので、そのとき障害物が受ける打撃衝撃が弱いものとなり、安全性の向上が図られることとなる。
【0019】
また、フェンダ5の縦壁部5bにフェンダ5をホイルエプロンレインフォースメント8に取付固定する作業のための作業穴6を設けているので、作業穴6から工具を差し入れて作業することができ、また、作業スペースを広く確保できることから、その作業性を著しく良好なものとすることができる。
【0020】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る車両の前部構造における車両前面視左側のフェンダ5の車体への取付構造を示す。なお、実施形態1での同一部位は同一符号で示す。
【0021】
このフェンダ5の車体への取付構造では、フェンダ5の下部フランジ5cがホイルエプロンレインフォースメント8の外側傾斜面9よりも広く形成されており、外側傾斜面9に接触する接触部分5eと、その接触部分5eの縦壁部5b側に位置する外側傾斜面9に接触しない非接触部分5fとが設けられている。そして、車両の前部が障害物に衝突して障害物上部がフェンダ上縁部5dに当たった際には、接触部分5eに続いて非接触部分5fがホイルエプロンレインフォースメント8の外側傾斜面9に接触するように下部フランジ5cが外側傾斜面9に沿って車両外側に向かって斜め下方に移動する。
【0022】
その他の構成及び車両の前部が障害物に衝突した際の前部構造の動作は実施形態1と同一である。
【0023】
上記の車両の前部構造によれば、フェンダ5の下部フランジ5cに、ホイルエプロンレインフォースメント8の外側傾斜面9に接触する接触部分5eと、その接触部分5eの縦壁部5b側に位置する外側傾斜面9に接触しない非接触部分5fとを設けているので、下部フランジ5cの移動代が多く確保され、これによって障害物が受ける打撃衝撃を確実に弱いものにすることができる。
【0024】
その他の作用・効果は実施形態1と同一である。
【0025】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係る車両の前部構造におけるフェンダ5のホイルエプロンレインフォースメント8への固定構造を示す。なお、実施形態1での同一部位は同一符号で示す。
【0026】
この固定構造では、フェンダ5の縦壁部5bの作業穴6に対応した下部フランジ5c上部に間欠的なコの字状の切り込みが入れられて形成された矩形のフェンダ固定部材12によりフェンダ固定手段が構成されている。すなわち、このフェンダ固定部材12は、その左右側端のそれぞれが相互に間隔をおいて設けられた2箇所の脆弱部12a,12aにより下部フランジ5cに接続されている一方、中央に設けられたボルト挿通孔にフェンダ固定用ボルト13が挿通され、そのフェンダ固定用ボルト13がホイルエプロンレインフォースメント8の外側傾斜面9のボルト孔に通され、その内側でナットで締められている。そして、車両の前部が障害物に衝突して障害物上部がフェンダ上縁部5dに当たった際には、下部フランジ5cとフェンダ固定部材12とを接続する脆弱部12a,12aが破壊し、下部フランジ5cが外側傾斜面9に沿って車両外側に向かって斜め下方に移動してフェンダ5が車体から脱落する。
【0027】
その他の構成、車両の前部が障害物に衝突した際の前部構造の動作、及び作用並びに効果は実施形態1と同一である。
【0028】
なお、実施形態3では、下部フランジ5cに脆弱部12aが接続されたフェンダ固定部材12を構成したが、特にこれに限定されるものではなく、フェンダをホイルエプロンレインフォースメントに固定するために用いられるボルトに脆弱部を設けたものでフェンダ固定部材を構成したもの等であってもよい。
【0029】
(実施形態4)
図6は、実施形態4に係る車両の前部構造におけるフェンダのホイルエプロンレインフォースメントへの固定構造を示す。なお、実施形態1での同一部位は同一符号で示す。
【0030】
この固定構造では、フェンダ5の縦壁部5bの作業穴6に対応した下部フランジ5c上部にその外側傾斜面9に沿った一対の切り込みが相互に間隔をおいて形成されており、その両切り込みによって挟まれるように形成された舌片が上下に繰り返し折り返された蛇腹部材14(伸張部材)によりフェンダ固定手段が構成されている。この蛇腹部材14は、その先端側に固定部14aが設けられており、その固定部14aの中央に設けられたボルト挿通孔にフェンダ固定用ボルト15が挿通され、ホイルエプロンレインフォースメント8の上面のボルト孔にそのフェンダ固定用ボルト15が通され、その内側でナットで締められている。そして、車両の前部が障害物に衝突して障害物上部がフェンダ上縁部5dに当たった際には、蛇腹部材14が下部フランジ5cの傾斜方向に伸張し、下部フランジ5cが外側傾斜面9に沿って車両外側に向かって斜め下方に移動し、それに伴ってフェンダ5自体も同様に斜め下向きに移動する。
【0031】
その他の構成、車両の前部が障害物に衝突した際の前部構造の動作、及び作用並びに効果は実施形態1と同一である。
【0032】
なお、実施形態4では、蛇腹部材14で伸張部材を構成したが、特にこれに限定されるものではなく、他の構成の伸張部材が用いられたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1に係る車両の前部構造の斜視図である。
【図2】 実施形態1のフェンダの取付構造を内側から示した構成図である。
【図3】 実施形態1のフェンダの取付構造を外側から示した構成図である。
【図4】 実施形態2のフェンダの取付構造を示す断面構成図である。
【図5】 実施形態3のフェンダのホイルエプロンレインフォースメントへの固定構造を示す斜視図である。
【図6】 実施形態4のフェンダのホイルエプロンレインフォースメントへの固定構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ボンネット
2 ヘッドランプ
3 グリル
4 フロントバンパ
5 フェンダ
5a フェンダ本体
5b 縦壁部
5c 下部フランジ
5d フェンダ上縁部
5e 接触部分
5f 非接触部分
6 作業穴
7 欠切部
8 ホイルエプロンレインフォースメント
8a アッパパネル
8b ロアパネル
9 外側傾斜面
10 ワッシャ
11,13,15 フェンダ固定用ボルト
12 フェンダ固定部材
12a 脆弱部
14 蛇腹部材(伸張部材)
14a 固定部
Claims (1)
- 車幅方向両側にフェンダを備えた車両の前部構造であって、
上記各フェンダ上部内側に設けられた縦壁部の下端に続いて車両外側に向かって斜め下向きに延びる下部フランジを形成する一方、該フェンダに対応して前後方向に延びるように設けられたホイルエプロンレインフォースメント外側上部を車両外側に向かって斜め下向きに延びる外側傾斜面に形成し、該下部フランジを該外側傾斜面に沿って配設すると共に、
上記フェンダを上記ホイルエプロンレインフォースメントに固定するフェンダ固定手段を設け、
上記フェンダ固定手段は、一端が上記フェンダに且つ他端が上記ホイルエプロンレインフォースメントにそれぞれ結合され、該フェンダに上方から所定荷重が負荷された際に該ホイルエプロンレインフォースメントの外側傾斜面の傾斜方向に伸張する伸張部材により構成され、
上記フェンダに上方から上記所定荷重が負荷された際、上記下部フランジが上記外側傾斜面に沿って車両外側に向かって斜め下向きに移動するように構成されていることを特徴とする車両の前部構造。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001084223A JP3918445B2 (ja) | 2001-03-23 | 2001-03-23 | 車両の前部構造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001084223A JP3918445B2 (ja) | 2001-03-23 | 2001-03-23 | 車両の前部構造 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
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Country Status (1)
| Country | Link |
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2001
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