JP3965314B2 - カメラ用フォーカルプレンシャッタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シャッタ羽根が、シャッタ地板に枢着された複数のアームと、それらのアームの夫々に枢支された1枚以上の羽根で構成されているタイプのカメラ用フォーカルプレンシャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ用フォーカルプレンシャッタの中には、二つのシャッタ羽根(先羽根,後羽根などと称される)が、シャッタ地板を含む三つの板部材の間に構成された二つの羽根室に個別に配置されていて、撮影に際しては、それらによって形成されるスリットが、方形をした撮像面を連続的に露光していくようにしたものが知られている。そして、この形式のフォーカルプレンシャッタは、銀塩カメラにもデジタルスチルカメラにも採用されている。また、一つのシャッタ羽根が、シャッタ地板を含む二つの板部材で構成された羽根室内に配置されているものも知られているが、この形式のフォーカルプレンシャッタは、デジタルスチルカメラにだけ採用されている。
【0003】
そして、いずれの形式のフォーカルプレンシャッタの場合も、一つのシャッタ羽根は、羽根室内においてシャッタ地板に枢着された複数のアームと、それらのアームの夫々に枢支された1枚以上の羽根とで構成されており、アームが所定の角度範囲で往復回転させられると、羽根が、撮像面を覆う位置と、撮像面の前面から退避した位置との間を作動するようになっている。また、各アームと羽根との枢支構成は、アームと羽根とに形成されている孔に対して、リベット部品である連結軸の先端をアーム側から挿入して、羽根に対してかしめている。そして、そのかしめ部は、羽根の摺動面から突き出ないようにされているが、連結軸の頭部は、アームから突き出るように構成されている。
【0004】
更に、そのように構成されたシャッタ羽根は、所定の角度だけ往復回転する駆動部材によって作動させられるようになっている。ところが、その駆動部材はシャッタ地板の羽根室外の面に取り付けられているため、シャッタ地板には貫通孔が形成されていて、駆動部材に設けられた駆動ピンがその貫通孔に挿入され、羽根室内で上記のアームの一つに連結されている。そして、その貫通孔は、駆動ピンが駆動部材の回転軸を中心にして往復作動することから、通常は略円弧状をした長孔として形成されている。また、その長孔の一端には、ブチルゴムなどの弾性材料からなる緩衝部材が取り付けられていて、撮影時には、急速に作動する駆動部材を、その作動の終了段階において、制動しながら停止させるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような構成のシャッタ羽根は、外見上は、所定の平面上を規則的に作動して、所定の位置で何の問題もなく停止しているように見えるが、実際には、そのときどきによって作動方向とは異なる方向への複雑な動きを伴いながら作動している。また、停止時には、強烈な衝撃を受け、アームや羽根が一時的に変形させられている。従って、シャッタ羽根の作動に際しては、シャッタ羽根を構成している部材間の摩擦によって、また、羽根室を構成している板部材との間の摩擦によって、各部材の表面が削られて磨耗紛を発生し、羽根室内に飛散させている。
【0006】
また、シャッタ地板の羽根室外の面には、上記した駆動部材のほかにも各種の構成部材が取り付けられいるが、それらの殆どは、比較的上記の長孔の近傍位置に取り付けられている。そして、それらの部材は、セット作動時や露光作動時において、軸部材を中心にして回転したり、他の部材と摺接や当接をしたりして、微細な磨耗紛を発生させるため、それらの磨耗紛の一部は、上記の長孔から進入して、羽根室内に飛散する。また、中には、長孔から進入せず、シャッタ地板に形成された被写体光路用の開口部から進入してくるものもある。そして、それらの磨耗紛のうち、駆動部材の駆動ピンと上記の緩衝部材との当接によって生じた磨耗紛には、比較的大きいものが含まれている。更に、このほかにも、シャッタ機構以外のカメラ構成部材から発生した磨耗紛や、レンズ交換時にカメラ外から進入してきたゴミなども、羽根室内に進入してくる。
【0007】
このようにして、羽根室内で発生したり、羽根室内に進入してきた磨耗紛などは、直接、撮像面に向かって飛来してくるものもあるが、その多くは、一旦他の構成部材に付着し、その後の振動などによって舞い上げられてから撮像面に飛来してくる。そして、それらの磨耗紛などは、銀塩カメラの場合にはフィルム面に付着することになるし、デジタルスチルカメラの場合には、通常、撮像素子の前面に配置されたフィルタ板や透明なカバー板などの表面に付着することになるが、それらの面に所定量以上付着した場合には、好適な撮影結果が得られず、拡大して再現したときには、その不具合さが画像の一部に顕在化されてしまうことになる。
【0008】
特に、デジタルスチルカメラの場合には、撮像素子やフィルタ板などを含む撮像装置が、フィルムの場合とは異なり、カメラ内に固定されているものであるため、各々の磨耗紛は数十ミクロン台の極めて微細なものであったとしても、それらが蓄積されていくことになってしまい、やがては、かなり大きな異物が付着した場合と同じようになってしまう。そのため、常に良好な画像を得られるようにするためには、撮像装置を時々クリーニングする必要があった。
【0009】
このような問題点を根本的に解決するためには、磨耗紛が最初から発生しないようにしたり、発生した磨耗紛が撮像面に絶対に飛来しないようにすればよいわけであるが、シャッタをそのように構成することは、製作上の制約などもあって現状では至難である。そこで、これまでは、現実的な方策として、磨耗紛などが少しでも撮像面に飛来して来にくくなるようにした構成が考えられ、種々提案されてきた。しかしながら、それらは、いずれも、それなりの効果が得られるものではあるが、大きな効果を期待できるものではなかった。そのため、従来の構成よりも画期的な効果の得られるシャッタ構成の実現が望まれている。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、従来の羽根室構成を大きく変えることによって、羽根室内に存在する磨耗紛などが、従来よりも極端に撮像面に飛来して来にくくなるようにしたカメラ用フォーカルプレンシャッタを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、各々の略中央部に被写体光路用の開口部を有しているシャッタ地板と補助地板とが、それらの間に少なくとも一つの羽根室を構成しており、それらの地板の少なくとも一方は、少なくとも該開口部を囲む領域が、補助板との間に粘着シートを配置した3層に構成されていて、それらの3者のうち羽根室側に配置された地板又は補助板が、複数の貫通孔によって網目状に形成されており、粘着シートは、少なくとも羽根室側の面が粘着面となっているようにする。その場合、前記粘着シートが、両面粘着シートであって、前記補助板は、その両面粘着シートによって前記地板に貼付されているようにしてもよい。
【0012】
また、本願発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタにおいては、前記少なくとも一方の地板がシャッタ地板であって、そのシャッタ地板と3層を構成している補助板と粘着シートとは、羽根室外に取り付けられた駆動部材と羽根室内に取り付けられたシャッタ羽根とを連結するためにシャッタ地板に形成されている長孔を囲む領域にまで拡張して3層を構成しているようにすると、磨耗紛などをより効果的に捕捉することが可能になる。更に、前記シャッタ地板と前記補助地板とが、共に前記の3層に構成され且つ共に羽根室側に配置されていて、それらの地板と共に3層を構成する二つの前記補助板が、一つの部材で構成されているようにすると、製作上有利になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図示した二つの実施例と一つの変形例によって説明する。そして、図1〜図5は第1実施例を説明するためのものであり、図6は第1実施例の変形例を説明するためのものであり、図7〜図11は第2実施例を説明するためのものである。尚、各実施例の構成の説明にあたっては、被写体側を表面側といい、撮影者側を背面側という。
【0014】
[第1実施例]
先ず、本実施例の構成を説明する。尚、図1は、本実施例のフォーカルプレンシャッタをカメラに組み込んだ状態で被写体側から見た平面図であって、露光作動終了直後の状態を示したものである。また、図2は、図1のA−A線断面図であり、図3は、本実施例における補助板を示した平面図であり、図4は、本実施例における粘着シートを示した平面図である。更に、図5は、本実施例におけるシャッタ地板の平面図であって、各シャッタ羽根のセット状態も示したものである。
【0015】
図1において、シャッタ地板1の略中央部には、長方形を横長にした被写体光路用の開口部1aが形成されている。また、図2に示すように、シャッタ地板1の背面側には、所定の間隔を空けて、適宜な手段によって、中間板2と補助地板3が順に取り付けられており、シャッタ地板1と中間板2との間に先羽根の羽根室を形成し、中間板2と補助地板3との間に後羽根の羽根室を形成している。そして、中間板2と補助地板3にも、開口部1aと類似の形状をした被写体光路用の開口部が形成されているが、本実施例の中間板2は非常に薄いので、図2に明示することができず、補助地板3の開口部にだけ符号3aをつけてある。
【0016】
図1において、開口部1aの左側には、円弧状の二つの長孔1b,1cが貫通孔として形成されている。そして、長孔1b,1cの下端には、特開2002−55377号公報に記載されているような、ブチルゴムなどの弾性材料からなる周知の緩衝部材が取り付けられているが、本実施例においては、その図示を省略してある。また、シャッタ地板1の表面側には、軸1d,1e,1fが立設され、背面側には、軸1g,1h,1i,1jが立設されている。そして、それらのうち、軸1dと軸1g、及び軸1eと軸1hとは同心となるように配置されている。尚、シャッタ地板1の表面側に立設されている軸1d,1e,1fの先端には、図示していない支持板とプリント配線板(図1において、プリント配線板の輪郭を二点鎖線で示してある。但し、左側の輪郭線はシャッタ地板1の輪郭線と重なるため実線となっている。)が重ねて取り付けられており、それらのうち、シャッタ地板1側に配置された支持板には先羽根用電磁石と後羽根用電磁石が取り付けられているが、それらの取付け構成は周知であって、上記の特開2002−55377号公報にも記載されているので、図示を省略してある。
【0017】
また、シャッタ地板1の軸1d,1eには、夫々、上記の特開2002−55377号公報に記載されているような、合成樹脂製の先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材が回転可能に取り付けられているが、その構成は周知であるため、図示を省略してある。そして、それらの駆動部材は、露光作動に先立って上記の先羽根用電磁石と後羽根用電磁石に通電されたとき、磁気吸引力によって露光作動開始位置に保持され、その後、その吸引力が順に失われると、夫々の駆動ばねの付勢力によって時計方向へ回転させられるようになっている。また、それらの駆動部材には夫々背面側に駆動ピンが設けられており、上記の長孔1b,1cを貫通して、羽根室内で夫々のシャッタ羽根に連結されている。
【0018】
更に、シャッタ地板1の軸1fには、上記の特開2002−55377号公報に記載されているような、合成樹脂製のセット部材が回転可能に取り付けられているが、その構成は周知であるため、図示を省略してある。そして、そのセット部材は、復帰ばねの付勢力によって、反時計方向へ回転するように付勢されており、セット作動時には、カメラ本体側の部材によって、初期位置から、その復帰ばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させられることにより、上記の二つの駆動部材を夫々の駆動ばねの付勢力に抗してセット位置まで反時計方向へ回転させ、撮影に際しては、上記の二つの駆動部材が夫々の電磁石によって吸着保持されると、カメラ本体側の部材が退くのに伴いその復帰ばねの付勢力によって反時計方向へ回転し、初期位置へ復帰するようになっている。
【0019】
ところで、本実施例においては、シャッタ地板1の開口部1aを囲んだ領域が3層に構成されていて、シャッタ地板1の表面側には、粘着シート4と補助板5が順に取り付けられている。そこで、先ず、主に図5を用いてシャッタ地板1について説明する。シャッタ地板1の表面側には、開口部1aを囲む所定の領域に窪み1kが形成されていて、その窪み1kの四隅には夫々ねじ孔1mが形成されている。また、この窪み1kの形成されている領域は、沢山の貫通孔1nによって網目状に形成されており、その貫通孔1nの一つは、長孔1bと連設されている。
【0020】
また、図4に示されているように、粘着シート4は、外形が上記の窪み1kよりも若干小さくて、四隅には夫々孔4aを有し、略中央部には、シャッタ地板1の開口部1aよりも若干大きな開口部4bを有している。そして、この粘着シート4は、両面が粘着面となっていても差し支えないが、少なくともシャッタ地板1側の面は粘着面となっている。従って、本実施例の場合には、シャッタ地板1の窪み1kに沢山の貫通孔1nが形成されているため、その粘着面のかなりの領域が、羽根室内に露出されていることになる。
【0021】
また、図3に示されているように、補助板5は、外形が上記の粘着シート4と略同じであり、四隅には夫々孔5aを有し、略中央部には、粘着シート4の開口部4bと略同じ大きさの開口部5bを有している。この補助板5は、柔軟性のある粘着シート4を保護すると共に、シャッタ地板1の窪み1kの形成領域が薄く且つ網目状になっているので、板面を適正に維持できるようにするための補強の役目もしている。そして、この補助板5は、粘着シート4と重ねて、四つのビス6によって、シャッタ地板1のねじ孔1mにねじ止めされている。
【0022】
他方、補助地板3の開口部3aを囲む領域も、上記のシャッタ地板1の場合と同様に3層に構成されている。即ち、図2に示されているように、補助地板3の背面側には窪み(符号なし)が形成されていて、その窪みの形成領域には沢山の貫通孔3bが形成されている。また、その窪み内においては、粘着シート7と補助板8とが重ねられ、ビス9によって補助地板3にねじ止めされている。そして、粘着シート7と補助板8にも略中央部に、補助地板3の開口部3aよりも若干大きな開口部7a,8aが形成されている。また、粘着シート7は少なくとも補助地板3側の面が粘着面となっていて、その粘着面のかなりの領域が、羽根室内に露出されている。
【0023】
次に、羽根室内に配置されている先羽根と後羽根の構成を説明する。先ず、先羽根は、シャッタ地板1の軸1g,1iに対して回転可能に取り付けられた二つのアーム10,11と、それらの先端部に向けて順に枢支された2枚の羽根12,13とで構成されていて、羽根13がスリット形成羽根となっている。また、アーム10の根元側には長孔10aが形成されていて、上記した図示していない先羽根用駆動部材の駆動ピンがそこに嵌合している。そして、この先羽根は、シャッタ地板1と中間板2の間に構成された羽根室内において、二つのアーム10,11をシャッタ地板1側にし、羽根13,羽根12の順に重ねて配置されている。
【0024】
他方、後羽根は、シャッタ地板1の軸1h,1jに対して回転可能に取り付けられた二つのアーム14,15と、それらの先端部に向けて順に枢支された2枚の羽根16,17とで構成されていて、羽根17がスリット形成羽根となっている。また、アーム14の根元側には長孔14aが形成されていて、上記した図示していない後羽根用駆動部材の駆動ピンがそこに嵌合している。そして、この後羽根は、中間板2と補助地板3の間に構成された羽根室内において、二つのアーム14,15を補助地板3側にし、羽根17,羽根16の順に重ねて配置されている。
【0025】
次に、本実施例の作動を説明する。図1は、露光作動終了直後の停止状態を示している。このとき、軸1dに取り付けられている図示していない先羽根用駆動部材は、先羽根用駆動ばねの付勢力によって時計方向へ回転し、その駆動ピンが長孔1bの下端に取り付けられた図示していない緩衝部材に接触して、この停止状態が維持されている。そして、このとき、先羽根の2枚の羽根12,13は重畳されて、開口部1aの下方位置に格納されている。他方、軸1eに取り付けられている図示していない後羽根用駆動部材は、後羽根用駆動ばねの付勢力によって時計方向へ回転し、その駆動ピンが長孔1cの下端に取り付けられた図示していない緩衝部材に接触して、この停止状態が維持されている。そして、このとき、後羽根の2枚の羽根16,17は展開されて被写体光路を遮断している。
【0026】
本実施例のセット作動は、図示していないカメラ本体側の部材が、軸1fに取り付けられている図示していないセット部材を、その復帰ばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させることによって行なわれる。そして、セット部材はその時計方向への回転によって、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材とを、それらの駆動ばねの付勢力に抗して、両者のタイミングを若干ずらせて、反時計方向へ回転させていく。そのため、先羽根は、アーム10が先羽根用駆動部材の駆動ピンによって反時計方向へ回転させられ、それによって2枚の羽根12,13が相互の重なりを小さくしつつ上方へ移動し、後羽根は、アーム14が後羽根用駆動部材の駆動ピンによって反時計方向へ回転させられ、それによって2枚の羽根16,17が相互の重なりを大きくしつつ上方へ移動していく。
【0027】
ところで、このセット作動は、軸1fで回転するセット部材が、軸1dに取り付けられている先羽根用駆動部材と、軸1eに取り付けられている後羽根用駆動部材とを押して回転させるため、セット部材と各駆動部材との間には滑り摩擦が生じる。しかも、このセット作動は、各駆動部材を夫々の駆動ばねの付勢力に抗して行うので、その摩擦抵抗力は極めて大きい。そのため、それらの摩擦面からは磨耗紛が発生する。また、それらの部材の回転部からも磨耗紛の発生することがある。そして、それらの磨耗紛の一部は、やがて、長孔1b,1cから羽根室内に進入してくるし、遠くへ飛散したものは開口部1aから羽根室内に進入してくることになる。尚、このセット行程とは直接関係はないが、シャッタ機構以外のカメラ機構(例えば、ミラー駆動機構)から発生した磨耗紛や、レンズ交換時にカメラ内に入ったゴミなども、同じようにして開口部1aや長孔1b,1cから羽根室内に進入してくることになる。
【0028】
図5には、このようにして行われた先羽根と後羽根のセット作動終了状態が示されている。そして、このときには、先羽根の2枚の羽根12,13が被写体光路を遮断していて、後羽根の2枚の羽根16,17は重畳されて開口部1aの上方位置に格納されている。また、セット部材は、直ちに初期位置へ復帰せず、撮影が行われるまで、このセット完了位置にとどまっている。
【0029】
その後、撮影に際して、カメラのレリーズボタンが押されると、先ず、図示していない先羽根用電磁石と後羽根用電磁石に通電される。そのため、上記の先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材に取り付けられている鉄片部材が、それらの電磁石に吸着保持される。次に、上記のセット部材が、その復帰ばねの付勢力によって反時計方向へ回転され初期位置へ復帰して停止する。そして、このセット部材が復帰作動を開始するときには、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材とは、夫々の電磁石に吸着されているので、セット部材はそれらに対して摺動することになり、そこで磨耗紛を発生させることになるが、それらの一部も、上記のようにして羽根室内に進入してくるようになる。
【0030】
このようにして、セット部材が初期位置へ復帰した後、最初に先羽根用電磁石に対する通電が断たれ、所定時間後には後羽根用電磁石に対する通電が断たれて、先羽根と後羽根による露光作動が行われる。そこで、先ず、先羽根用電磁石に対する通電が断たれると、先羽根用駆動部材が、先羽根用駆動ばねの付勢力によって時計方向へ急速に回転させられる。そのため、アーム10が時計方向へ回転させられ、先羽根の2枚の羽根12,13は相互の重なり量を大きくしつつ下方へ移動する。次に、後羽根用電磁石に対する通電が断たれると、後羽根用駆動部材は後羽根用駆動ばねの付勢力によって時計方向へ急速に回転させられる。そのため、アーム14が時計方向へ回転させられ、後羽根の2枚の羽根16,17は、相互の重なり量を小さくしつつ下方へ移動する。
【0031】
このようにして、先羽根と後羽根が、それらのスリット形成羽根13,17の間に形成したスリットにより、撮像面を連続的に露光していくことになるが、その露光作動の最終段階には、先ず、先羽根用駆動部材の駆動ピンが、長孔1bの下端に取り付けられている図示していない緩衝部材に当接し、その緩衝部材を圧縮させることによって制動されてから停止する。その結果、先羽根の2枚の羽根は、開口部1aの下方位置に格納状態となって静止する。このように、先羽根用駆動部材の駆動ピンが緩衝部材に当接した直後に、今度は、後羽根用駆動部材の駆動ピンが、長孔1cの下端に取り付けられている図示していない緩衝部材に当接し、制動されてから停止する。その結果、後羽根の2枚の羽根は、被写体光路を完全に遮断した状態となって静止するが、その状態が図1に示された状態である。
【0032】
ところで、上記のようにして各駆動部材が急速に時計方向へ回転するとき、それらの回転部や夫々の駆動ばねから磨耗紛を発生させることがあるが、それらの磨耗紛についても、開口部1aや長孔1b,1cから羽根室内に進入してくるものがある。また、磨耗紛は、羽根室内においても発生する。例えば、各アームの回転部や、羽根同士の摺接面や、羽根と板部材(シャッタ地板1,中間板2,補助地板3)との摺接面からも発生する。また、とりわけ問題になるものとしては、羽根をアームに枢支するために用いている連結軸の存在がある。この連結軸は比較的軟質の鋼材で製作されたリベット部品であって、アームに形成されている孔に嵌合されているが、それらが相互に回転することから磨耗紛を発生させるし、その連結軸の頭部がアームの表面から突き出ていることから、シャッタ地板1や補助地板3との摺接によっても磨耗紛を発生させる。
【0033】
更に問題なのは、長孔1b,1cの下端部に取り付けられている図示していない緩衝部材の存在である。上記したように、露光作動の終了時には、各駆動部材の駆動ピンが、それらの緩衝部材に当接して停止するが、そのとき、各駆動部材は、駆動ピンにより緩衝部材を圧縮して制動されつつ停止する。そのため、その圧縮過程においては、駆動ピンが緩衝部材の表面を引き伸ばしつつ擦るので、磨耗紛を発生させる。そして、その場合に発生する磨耗紛は、他から発生した磨耗紛よりも比較的大きいものが含まれている。
【0034】
そして、このようにして羽根室内に進入してきた磨耗紛などや、羽根室内で発生した磨耗紛の中には、直接、撮像面に向けて飛来してくるものもないではないが、その殆どのものは、一旦羽根室内の部材面に付着し、その後、シャッタが作動したり、その他の振動が生じるたびに舞い上がり、それらの一部が撮像面に向けて飛来してくるものと考えられている。しかしながら、本実施例は、粘着シート4,7のかなりの粘着面が、各地板1,3の貫通孔1n,3bから羽根室内に露出しているので、それらの粘着面に飛来した磨耗紛などは確実に捕捉され、再度舞い上がることがなくなる。従って、その結果として、撮像面に飛来し付着する磨耗紛などが従来よりも少なくなる。
【0035】
次に、図2と同じようにして断面で示した図6を用いて、上記した第1実施例の変形例を説明する。この変形例は、実質的には、第1実施例における補助板5,8の構成を変えただけのものである。そのため、図6においては、図2に記載の部材,部位と実質的に同じものには同じ符号を付け、それらについての説明を省略する。先ず、この変形例においては、粘着シート4,7は、いずれも両面が粘着面となっている。また、補助板18は、第1実施例における補助板5,8を一つの部材で構成したものであり、図6においてU字状をしていて、被写体光路用の二つの開口部18a,18bを有している。そして、この補助板18は、ビスなどを用いずに、粘着シート4,7に貼付することによって、地板1,3と一体化されている。
【0036】
この構成からも分かるように、この変形例の場合は、第1実施例の場合よりも部品点数が非常に少なくなっているので、コストの低減化が可能となる。その他、機能上のことについては、上記の第1実施例の場合で説明したことが、この変形例に対しても適用される。尚、この補助板18は、最初から断面U字状の部材として製作されているが、補助板18を合成樹脂製とする場合には、1枚の板部材の二箇所にスリ割りを設けておき、組立時に、その二箇所を折り曲げながら粘着シート4,7に順に貼付していくようにすると、一層、コストの低減が可能になる。
【0037】
[第2実施例]
次に、図7〜図11を用いて、第2実施例の構成を説明する。尚、図7は、本実施例のフォーカルプレンシャッタをカメラに組み込んだ状態で被写体側から見た平面図であって、露光作動終了直後の状態を示したものである。また、図8は、図7のB−B線断面図であり、図9は、本実施例におけるシャッタ地板の平面図であって、各シャッタ羽根のセット状態も示したものである。更に、図10は、本実施例における粘着シートを示した平面図であり、図11は、本実施例における補助板を示した平面図である。
【0038】
本実施例が第1実施例と実質的に異なる点は、3層構成の配置関係が異なっていることである。従って、特に混乱を生じることがないと考えられるため、第1実施例の部材,部位に相当するものには、形状が異なっていても同じ符号を用いて説明することにし、第1実施例の構成と実質的に同じ点については、その説明を省略する。先ず、本実施例においても、シャッタ地板1の開口部1aを囲んだ領域が3層に構成されているが、図8から分かるように、粘着シート4と補助板5は、シャッタ地板1の背面側に順に取り付けられている。そこで、先ず、主に図9を用いてシャッタ地板1について説明する。本実施例のシャッタ地板1は、第1実施例のように沢山の貫通孔を形成していない。そのため、表面側から見た場合、従来と全く変わらない。そして、背面側には、位置決め用の二つのピン1pが設けられている。
【0039】
また、図10に示されている本実施例の粘着シート4は、両面とも粘着面であって、右上及び左下の二つの隅に夫々孔4aを有し、略中央部には、シャッタ地板1の開口部1aと同じ大きさの開口部4bを有している。更に、左下方位置には、シャッタ地板1の長孔1bよりも若干大きな長孔4cを有している。そして、この粘着シート4は、二つの孔4aを、シャッタ地板1の二つのピン1pに嵌合させて、シャッタ地板1の羽根室側の面に貼付されている。
【0040】
更に、図11に示されているように、本実施例の補助板5は、外形が上記の粘着シート4と略同じであり、右上及び左下の二つの隅に夫々孔5aを有し、略中央部には、粘着シート4の開口部4bと略同じ大きさの開口部5bを有している。また、この補助板5は、沢山の貫通孔5cによって網目状に形成されており、その貫通孔5cの一つは、粘着シート4に形成された長孔4cと同じ形状の長孔を連設している。そして、この補助板5は、二つの孔5aを、シャッタ地板1の二つのピン1pに嵌合させて、粘着シート4に貼付されている。その結果、本実施例の場合には、補助板5に沢山の貫通孔5cが形成されているため、粘着シート4の粘着面が、かなり羽根室内に露出されていることになる。
【0041】
他方、補助地板3の開口部3aを囲む領域も、上記のシャッタ地板1の場合と同様に3層に構成されている。即ち、図8に示されているように、補助地板3の羽根室側にはピン3cが設けられていて、そこに先ず、両面とも粘着面となっている粘着シート7を、その孔を嵌合させておいて補助地板3に貼付し、次に、補助板8を、その孔を嵌合させることによって粘着シート7に貼付している。従って、補助板8にも沢山の貫通孔が形成されているため、粘着シート7の粘着面が、かなり羽根室内に露出されていることになる。このほか、先羽根と後羽根の構成は、第1実施例の場合と全く同じである。その他、本実施例の作動も含めて機能上のことは、上記の第1実施例の場合で説明したことが、本実施例の場合にも適用される。
【0042】
このように、本実施例の構成は、第1実施例の構成において、シャッタ地板1と補助板5の配置関係を反対にし、且つ補助地板3と補助板8の配置関係を反対にしたものであるが、このように構成すると、沢山のシャッタ構成部材を取り付けるシャッタ地板1を、より複雑な形状にしなくて済むという利点がある。また、本実施例において、粘着シート4,7の片面だけを粘着面とし、ビスによって地板1,3に取り付けるようにしても差し支えないが、両面とも粘着面とすれば、ビスが不要になるという利点がある。更に、本実施例の場合には、粘着シート4,7と補助板5,8とを大きくし、地板1,3と3層を構成している領域が、シャッタ地板1の長孔1bを完全に囲む領域まで拡張されているが、このようにすると、長孔1bから羽根室内に進入してくる磨耗紛などに対して、極めて有利となる。磨耗紛は、どうしてもカメラの下方へ溜まりがちになることから、本実施例の場合には、長孔1bを囲む領域に対してだけ拡張しているが、長孔1cを囲む領域までも拡張すれば、より有利になることは言うまでもない。
【0043】
尚、上記の各実施例においては、地板1(3)や補助板5(8)に形成されている貫通孔1n,3bの縁が、開口部1a(3a),5b(8a)の周囲を除き、羽根12,13,16,17の作動方向(上下方向)に対して斜めになるように形成されている。これは、作動中に各羽根が撓んで、それらの作動方向の縁が、貫通孔の縁に引っかからないように配慮したためであるが、本発明は、そのように形成することに限定されない。
【0044】
また、上記の各実施例においては、シャッタ地板1と補助地板3の両方に粘着シート4,7を取り付けているが、本発明は、一方の地板に取り付けるだけでも構わない。但し、その場合には、撮像面側に配置される方の地板に取り付ける方が効果的である。従って、上記の各実施例の場合には、補助地板3に取り付けた方が効果的ということになるが、デジタルスチルカメラにシャッタを取り付ける場合、シャッタ地板1を撮像面側にして取り付けることもあるので、そのようにした場合には、シャッタ地板1に取り付けた方が効果的ということになる。更に、シャッタ地板1と補助地板3の両方に取り付ける場合であっても、両方を同じ構成にする必要はなく、例えば、シャッタ地板1側を第2実施例のように構成し、補助地板3側を第1実施例のように構成しても差し支えない。
【0045】
また、上記の各実施例においては、先羽根と後羽根と称した二つのシャッタ羽根を備えているが、本発明は、デジタルスチルカメラに用いられる一つのシャッタ羽根を備えたフォーカルプレンシャッタにも適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、シャッタ地板と補助地板の少なくとも一方は、少なくとも該開口部を囲む領域が、補助板との間に粘着シートを配置した3層になっていて、それらの3者のうち羽根室側に配置された地板又は補助板が、複数の貫通孔によって網目状に形成されており、粘着シートは、少なくとも羽根室側の面が粘着面となるように構成されているから、製作が容易であって且つ粘着面を大きくすることが可能であり、磨耗紛などを効果的に捕捉することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】カメラに組み込まれた状態で被写体側から見た第1実施例の平面図であって、露光作動終了直後の状態を示したものである。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】第1実施例における補助板の平面図である。
【図4】第1実施例における粘着シートの平面図である。
【図5】第1実施例におけるシャッタ地板の平面図であって、各シャッタ羽根のセット状態も示したものである。
【図6】第1実施例の変形例を、図2と同様な断面で示した断面図である。
【図7】図1と同様にして見た第2実施例の平面図であって、露光作動終了直後の状態を示したものである。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】第2実施例におけるシャッタ地板の平面図であって、各シャッタ羽根のセット状態も示したものである。
【図10】第2実施例における粘着シートの平面図である。
【図11】第2実施例における補助板の平面図である。
【符号の説明】
1 シャッタ地板
1a,3a,4b,5b,7a,8a,18a,18b 開口部
1b,1c,4c,10a,14a 長孔
1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j 軸
1k 窪み
1m ねじ孔
1n,3b,5c,8c 貫通孔
1p,3c ピン
2 中間版
3 補助地板
4,7 粘着シート
5,8,18 補助板
6,9 ビス
10,11,14,15 アーム
12,13,16,17 羽根

Claims (4)

  1. 各々の略中央部に被写体光路用の開口部を有しているシャッタ地板と補助地板とが、それらの間に少なくとも一つの羽根室を構成しており、それらの地板の少なくとも一方は、少なくとも該開口部を囲む領域が、補助板との間に粘着シートを配置した3層に構成されていて、それらの3者のうち羽根室側に配置された地板又は補助板が、複数の貫通孔によって網目状に形成されており、粘着シートは、少なくとも羽根室側の面が粘着面となっていることを特徴とするカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
  2. 前記粘着シートが、両面粘着シートであって、前記補助板は、その両面粘着シートによって前記地板に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
  3. 前記少なくとも一方の地板がシャッタ地板であって、そのシャッタ地板と3層を構成している補助板と粘着シートとは、羽根室外に取り付けられた駆動部材と羽根室内に取り付けられたシャッタ羽根とを連結するためにシャッタ地板に形成されている長孔を囲む領域にまで拡張して3層を構成していることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
  4. 前記シャッタ地板と前記補助地板とが、共に前記の3層に構成され且つ共に羽根室側に配置されていて、それらの地板と共に3層を構成する二つの前記補助板が、一つの部材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
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