JP3997773B2 - グラム染色用試液並びに試薬キット及びこれを用いたグラム染色法 - Google Patents

グラム染色用試液並びに試薬キット及びこれを用いたグラム染色法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存安定性に優れたグラム染色用前染色試液、これを構成試薬として含んでなるグラム染色用試薬キット、及びグラム染色の改良法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラム染色法は、組織中に存在する細菌を染め分けるために考案されたものであるが、手技が簡単であり且つ経済的で、染色手技及び標本の鏡検に熟練すれば感染症起炎菌の推測が可能なことから、現在では臨床的価値の高い迅速検査法の1つとなっている。
【0003】
グラム染色法としては、前染色色素として石炭酸ゲンチアンバイオレットを用いたハッカー(Hucker)原法が知られているが、この方法は染色中に色素である石炭酸ゲンチアンバイオレットが晶析してしまう等の問題を有することから、現在では、石炭酸ゲンチアンバイオレットの代わりにクリスタルバイオレットを前染色色素として用いたハッカーの変法が一般的に使用されている。
【0004】
この方法は、試料中のグラム陽性菌及びグラム陰性菌を、▲1▼シュウ酸アンモニウム含有クリスタルバイオレット溶液で1分間染色(前染色処理)した後、▲2▼ルゴール液(ヨウ素−ヨウ化カリウム液)を数回かけて1分間媒染(媒染処理)し、次いで▲3▼純エタノールで塗抹面が無色になるまで30秒〜1分間脱色(脱色処理)し、更に▲4▼サフラニン液で1分間対比染色(後染色処理)することにより、クリスタルバイオレット由来の赤紫色に染まったグラム陽性菌とサフラニン由来の赤色に染まったグラム陰性菌を識別する方法であるが、染色手技に熟練を要するため、染色結果に個人差が生じてしまい判定結果が正確でないという問題点を有している。
【0005】
これに対して、前染色試液に炭酸水素ナトリウムを添加することで溶液を塩基性に保ち、クリスタルバイオレット(塩基性色素)の染色性を向上させたBartholomew&Mittwer法(バーミー法)があるが、この方法は、▲1▼1%クリスタルバイオレット液を注ぎ、直ちに5%炭酸水素ナトリウム液を数滴滴下し30秒間染色(前染色処理)した後、▲2▼2%ヨウ素液(0.1N水酸化ナトリウム溶液)で30秒間媒染(媒染処理)し、次いで▲3▼アセトン−エタノール混合液で塗抹面が無色になるまで数秒間脱色(脱色処理)し、更に▲4▼パイフェル液で10〜30秒間対比染色(後染色処理)することにより、当該グラム陽性菌とグラム陰性菌を識別する方法である。ハッカー変法と比較すると、前染色処理が1工程多いが、全体の染色時間は短く、また脱色処理にアセトン−エタノール混合液を用いるため処理時間が数秒程度であり手技による差が少なく正確な判定が可能であるという利点を有する。しかし、前染色試液である、クリスタルバイオレット液と炭酸水素ナトリウム液を混合して保存すると、時間の経過と共に結晶が析出してきて染色性が悪くなることが知られている。そのため、キット化するには、これらを2液とし、使用時に適宜混合するという方式を採用せざるを得なかった。しかしながら、グラム染色の自動化への対応を考えた場合、この2液化された前染色試液の使用は好ましいものではなかった。
【0006】
これに対して、前染色試液を1液化したバーミー法の変法(商品名:バーミーM染色、武藤化学(株)社製)があるが、この方法では、グラム陰性菌で染まりにくい菌があり染色性がよくない等の問題点を有する。
【0007】
このような状況下、染色性がよく、前染色試液の保存安定性に富み、且つ自動機器への対応が可能な1液化された前染色試液の開発及びこれを用いたグラム染色の改良法が望まれる現状にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、保存安定性に優れたグラム染色用前染色試液、これを構成試薬として含んでなるグラム染色用試薬キット、及びグラム染色の改良法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、クリスタルバイオレットと陰イオン界面活性剤とを含んでなるグラム染色用前染色試液、の発明である。
【0010】
また、本発明は、クリスタルバイオレットと陰イオン界面活性剤とを含んでなるグラム染色用前染色試液を構成試薬として含んでなる、グラム染色用試薬キット、の発明である。
【0011】
更に、本発明は、試料を、クリスタルバイオレットと陰イオン界面活性剤とを含んでなる前染色試液で処理した後、ヨウ素を含んでなる媒染試液で処理し、次いで極性有機溶媒を含んでなる脱色試液で処理し、更にサフラニン、石炭酸フクシン又は塩基性フクシンを含んでなる後染色試液で処理することを特徴とする、グラム染色法、の発明である。
【0012】
即ち、本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、陰イオン界面活性剤を含有するグラム染色用前染色試液を用いてグラム染色を行うことにより、従来のグラム染色法が有する、前染色試液が2液化されているため自動機器に対応できない、この2液化された前染色試液を混合すると結晶が析出してしまい染色性が悪くなる等の欠点を克服し、1液化された前染色試液を用いることによる自動機器への対応が可能となり、またこの1液化された前染色試液を用いれば結晶を生じずに保存安定性に優れ、且つ染色性に優れた染色像が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明に使用する陰イオン界面活性剤としては、例えばN-アシルグルタミン酸、N-アシルアラニン、N-アシルグリシン、これらの塩等のアミノ酸系陰イオン界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、オレイン酸、コール酸、N-ドデカノイルサルコシン酸、これらの塩等が挙げられ、中でもN-ドデカノイルサルコシン酸、N-アシルグルタミン酸、コール酸、これらの塩等が好ましく、就中、N-ドデカノイルサルコシン酸塩がより好ましい。これらは夫々単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0014】
アミノ酸系陰イオン界面活性剤として挙げられるN-アシルグルタミン酸、N-アシルアラニン及びN-アシルグリシン中のアシル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数6〜18、好ましくは炭素数12〜18のものが挙げられ、具体的には、例えばヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、ミリストイル基、ペンタデカノイル基、パルミトイル基、ヘプタデカノイル基、ステアロイル基等が挙げられ、中でも、例えばラウロイル基、ミリストイル基、パルミトリル基、ステアロイル基等が好ましい。
【0015】
アルキルベンゼンスルホン酸及びアルキル硫酸中のアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数8〜18、好ましくは10〜14のものが挙げられ、具体的には、例えばn−オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、n−デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、sec-ウンデシル基、tert-ウンデシル基、ネオウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、sec-ドデシル基、tert-ドデシル基、ネオドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、sec-トリデシル基、tert-トリデシル基、ネオトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、sec-テトラデシル基、tert-テトラデシル基、ネオテトラデシル基、n−ペンタデシル基、イソペンタデシル基、sec-ペンタデシル基、tert-ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、イソへキサデシル基、sec-へキサデシル基、tert-へキサデシル基、ネオへキサデシル基、n−ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、sec-ヘプタデシル基、tert-ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、n−オクタデシル基、イソオクタデシル基、sec-オクタデシル基、tert-オクタデシル基、ネオオクタデシル基等が挙げられ、中でも、例えば炭素数10〜14のものが好ましく、就中、n−ドデシル基が特に好ましい。
【0016】
N-アシルグルタミン酸、N-アシルアラニン、N-アシルグリシン、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、オレイン酸、コール酸、N-ドデカノイルサルコシン酸の塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられ、中でもナトリウムが好ましい。
【0017】
アミノ酸系陰イオン界面活性剤として挙げられるN-アシルグルタミン酸及びその塩の具体例としては、例えばN-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン〔商品名:アミソフト(R)CT−12、味の素(株)社製〕、N-ラウロイル−グルタミン酸トリエタノールアミン〔商品名:アミソフト(R)LT−12、味の素(株)社製〕、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム〔商品名:アミソフト(R)CK−12、味の素(株)社製〕、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム〔商品名:アミソフト(R)CS−11、味の素(株)社製〕、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム〔商品名:アミソフト(R)LS−11、味の素(株)社製〕、ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム〔商品名:アミソフト(R)MS−11、味の素(株)社製〕、N-ミリストリル-L-グルタミン酸カリウム〔商品名:アミソフト(R)MK−11、味の素(株)社製〕、N-ステアロイル-L-グルタミン酸二ナトリウム〔商品名:アミソフト(R)HS−11、味の素(株)社製〕、N-ステアロイル-L-グルタミン酸二ナトリウム〔商品名:アミソフト(R)HS−11、味の素(株)社製〕、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸〔商品名:アミソフト(R)CA、味の素(株)社製〕、N-ラウロイル-L-グルタミン酸〔商品名:アミソフト(R)LA、味の素(株)社製〕、N-ミリストイル-L-グルタミン酸〔商品名:アミソフト(R)MA、味の素(株)社製〕、N-ステアロイル-L-グルタミン酸〔商品名:アミソフト(R)HA、味の素(株)社製〕等が挙げられ、中でも、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン〔商品名:アミソフト(R)CT−12、味の素(株)社製〕、N-ラウロイル−グルタミン酸トリエタノールアミン〔商品名:アミソフト(R)LT−12、味の素(株)社製〕、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム〔商品名:アミソフト(R)CS−11、味の素(株)社製〕、ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム〔商品名:アミソフト(R)MS−11、味の素(株)社製〕等が好ましい。
【0018】
アミノ酸系陰イオン界面活性剤として挙げられるN-アシルアラニン、N-アシルグリシン及びその塩の具体例としては、例えばN-ヤシ油脂肪酸アシルグリシリンカリウム〔商品名:アミライト(R)GCK−11(F)、味の素(株)社製〕、N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミン〔商品名:アミライト(R)ACT−12、味の素(株)社製〕等が挙げられる。
【0019】
本発明に係る陰イオン界面活性剤のより好ましい具体例としては、例えばN-ドデカノイルサルコシン酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム等が挙げられ、更に好ましいものとしては、N-ドデカノイルサルコシン酸ナトリウムが挙げられる。
【0020】
本発明に係るグラム染色用前染色試液としては、上記した如き陰イオン界面活性剤とクリスタルバイオレットを低級アルコール含有水溶液に溶解させたものが挙げられる。
【0021】
当該クリスタルバイオレットの前染色試液中の濃度は、通常0.05〜2w/v%、好ましくは0.2〜0.6w/v%である。
【0022】
当該陰イオン界面活性剤の前染色試液中の濃度は、通常0.02〜5v/v%、好ましくは0.05〜0.25v/v%である。
【0023】
当該低級アルコールとしては、クリスタルバイオレット及び陰イオン界面活性剤を溶解するものであれば特に限定されないが、通常炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール等が挙げられ、中でもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、就中、エタノールがより好ましい。これらは夫々単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
【0024】
当該前染色試液中の低級アルコール濃度は、通常1〜40v/v%、好ましくは15〜25v/v%である。
【0025】
また、当該前染色試液中には、緩衝剤を通常pH5.5〜9.0、好ましくはpH6.0〜7.0となるように適宜添加させることが好ましい。
【0026】
当該緩衝剤の具体例としては、例えばBis(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)等のグッド緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等が挙げられ、中でもBis−Tris、MES、BES、PBS等が好ましい。これらは夫々単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明に係るグラム染色用試薬キットは、上記の如きグラム染色用前染色試液を構成試薬として含んでなるものであり、具体的には、更に、ヨウ素を含んでなる媒染試液、極性有機溶媒を含んでなる脱色試液、及びサフラニン、石炭酸フクシン又は塩基性フクシンを含んでなる後染色試液を構成試薬として含んでなるものである。
【0028】
ヨウ素を含んでなる媒染試液としては、通所この分野で使用されるもの、例えばBartholomew&Mittwerの変法で使用されるもの等が好ましく挙げられ、これを調製する場合には、ヨウ素を例えば水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液に溶解させたもの等が挙げられる。
【0029】
当該ヨウ素の媒染試液中の濃度としては、通常0.1〜0.3w/v%、好ましくは0.15〜0.25w/v%であり、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物は、好ましくは0.4〜0.8w/v%となるように適宜添加される。
【0030】
極性有機溶媒を含んでなる脱色試液としては、例えばアルコール類、ケトン類又はこれらの混合溶液が挙げられる。
【0031】
アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2-ブタノール等が挙げられ、中でもメタノール、エタノールが好ましい。
【0032】
ケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、γ-ブチロラクトン等が挙げられ、中でもアセトンが好ましい。
【0033】
これらの混合溶液としては、例えばエタノールとアセトンの混合溶液が好ましく挙げられる。
【0034】
脱色試液中に含まれる当該アルコール類の濃度としては、通常40〜100v/v%、好ましくは60〜100v/v%であり、当該ケトン類の濃度としては、通常0〜60v/v%、好ましくは0〜40v/v%である。
【0035】
本発明に係るサフラニン、石炭酸フクシン又は塩基性フクシンを含んでなる後染色試液としては、例えばサフラニン液、石炭酸フクシン液、パイフェル液、塩基性フクシン液等が挙げられる。これらは、市販のものを用いてもよいし、常法により適宜調製したものを通常の濃度で用いてもよい。
【0036】
尚、当該後染色試液は、試料が患者検体の場合はサフラニン液が好ましく、純培養菌の場合には石炭酸フクシン液、パイフェル液又は塩基性フクシン液が好ましい。また、嫌気性グラム陰性桿菌等の染色性の弱い菌が存在する試料の場合はパイフェル液が好ましい。
【0037】
本発明に係るグラム染色法としては、例えば以下の通りである。
【0038】
先ず、試料を塗抹、乾燥させた後、アルコール固定を行ったサンプルを、本発明に係る陰イオン界面活性剤とクリスタルバイオレット溶液を含んでなる前染色試液で4〜37℃で0.5〜1分間処理した後、ヨウ素を含んでなる媒染試液で4〜37℃で0.5〜1分間処理し、次いで極性有機溶媒を含んでなる脱色試液で4〜37℃で5秒〜10秒間処理し、更にサフラニン液、石炭酸フクシン又は塩基性フクシンを含んでなる後染色試液で4〜37℃で5秒〜10秒間処理すればよい。また、これらの処理の間にサンプルを適宜水等で洗浄処理することが好ましい。得られた染色像は、クリスタルバイオレット溶液由来の色(紫〜黒紫色)に染色されている場合はグラム陽性菌と認識され、サフラニン液又はパイフェル液由来の色(赤色)に染色されている場合はグラム陰性菌と認識される。
【0039】
これらの試液中の構成要素の具体例、濃度等の好ましい態様は、上記した通りである。
【0040】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0041】
【実施例】
実施例1.
〔サンプル作製〕
グラム染色で染まりにくいといわれるグラム陽性菌である、純培養菌2種4例〔黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus):No.37,352、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes):No.41、329〕を用い塗抹標本を作製した。乾燥後、アルコ−ル固定を行い完全に乾燥させてから染色操作を行った。
【0042】
Figure 0003997773
【0043】
〔染色処理〕
(1)前染色試液をサンプル上に満載し、室温で30秒間反応させた。その後、水で静かに洗浄した。
(2)媒染試液をサンプル上に満載し、室温で30秒間反応させた。その後、水で静かに洗浄した。
(3)脱色試液で室温で数秒間脱色し、水で静かに洗浄した。
(4)パイフェル液をサンプル上に満載し、室温で10秒間反応させた。水で静かに洗浄し自然乾燥後、鏡検した。その結果を表1に示す。また黄色ブドウ球菌No.352の染色像を図1に示す。
【0044】
比較例1.(従来1液法)
〔サンプル作製〕
実施例1と同様にして調製したものを用いた。
〔試液及び染色操作〕
「バーミーM染色」キット(武藤化学(株)社製)を用い、キット添付の説明書に記載の標準操作法に従って染色を行った。その結果を表1に合わせて示す。また黄色ブドウ球菌No.352の染色像を図2に示す。
【0045】
比較例2(従来2液法)
〔サンプル作製〕
実施例1と同様にして調製したものを用いた。
〔試液及び染色操作〕
「グラム染色液B&Mワコー」キット(和光純薬工業(株)社製)を用い、キットに添付の説明書に記載の標準操作法に従って染色を行った。その結果を表1に合わせて示す。また、黄色ブドウ球菌No.352の染色像を図3に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003997773
【0047】
〔考察〕
実施例1、比較例1及び2により得られた、グラム染色により特に染まりにくい菌といわれる黄色ブドウ球菌No.37及びNo.352、化膿性連鎖球菌No.41及びNo.329の染色像を比較すると、表1及び図1〜3の結果から明らかなように、黄色ブドウ球菌No.37、並びに化膿性連鎖球菌No.41及びNo.329については染色像に差が殆ど見られなかった。しかしながら、黄色ブドウ球菌No.352については、比較例1(従来1液法)により得られた染色像のみが、少し赤く染まってしまい、また染色面積が少なく(図2参照。)、判定が不明瞭となることがわかった。
【0048】
一方、実施例1(本発明に係る2液法)により得られた黄色ブドウ球菌No.352の染色像は、比較例2(従来2液法)により得られた黄色ブドウ球菌No.352の染色像よりもより青みの強い鮮明なものであった。
【0049】
これらの結果から、本発明の前染色試液或いはこれを構成試薬として含んでなるグラム染色用試薬キットを用いることにより、従来のものよりも簡便に且つ鮮明な染色像が得られることが判る。
【0050】
【発明の効果】
以上のことから明らかな如く、本発明は、保存安定性に優れたグラム染色用前染色試液、これを構成試薬として含んでなるグラム染色用試薬キット、及びこれらを用いるグラム染色の改良法を提供するものである。本発明を用いれば、従来のグラム染色よりも鮮明な染色像が得られ、前染色試液の保存安定性も向上させることができ、更に、前染色液が1液化されているため、自動機器への対応が可能となる等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の方法により得られた、黄色ブドウ球菌No.352のグラム染色像である。
【図2】比較例1の方法により得られた、黄色ブドウ球菌No.352のグラム染色像である。
【図3】比較例2の方法により得られた、黄色ブドウ球菌No.352のグラム染色像である。

Claims (10)

  1. クリスタルバイオレットと陰イオン界面活性剤とを含んでなる、グラム陽性菌染色試液
  2. 陰イオン界面活性剤が、炭素数8〜18のアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数8〜18のアルキル硫酸塩、アミノ酸系陰イオン界面活性剤、オレイン酸塩、コール酸塩又はN-ドデカノイルサルコシン酸塩である、請求項1に記載の染色試液。
  3. 陰イオン界面活性剤が、N-ドデカノイルサルコシン酸ナトリウム、炭素数6〜18のN-アシルグルタミン酸ナトリウム又はコール酸ナトリウムである、請求項1に記載の染色試液。
  4. クリスタルバイオレットと陰イオン界面活性剤とを含んでなるグラム陽性菌染色試液を構成試薬として含んでなる、グラム染色用試薬キット。
  5. 更に、ヨウ素を含んでなる媒染試液、極性有機溶媒を含んでなる脱色試液、及びサフラニン、石炭酸フクシン又は塩基性フクシンを含んでなるグラム陰性菌染色試液を構成試薬として含んでなる、請求項4に記載の試薬キット。
  6. 陰イオン界面活性剤が、炭素数8〜18のアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数8〜18のアルキル硫酸塩、アミノ酸系陰イオン界面活性剤、オレイン酸塩、コール酸塩又はN-ドデカノイルサルコシン酸塩である、請求項4に記載の試薬キット。
  7. 陰イオン界面活性剤が、N-ドデカノイルサルコシン酸ナトリウム、炭素数6〜18のN-アシルグルタミン酸ナトリウム又はコール酸ナトリウムである、請求項4に記載の試薬キット。
  8. 試料を、塗抹、乾燥させた後、アルコール固定を行った後、陰イオン界面活性剤とクリスタルバイオレット溶液を含んでなるグラム陽性菌染色試液で処理した後、ヨウ素を含んでなる媒染試液で処理し、次いで極性有機溶媒を含んでなる脱色試液で処理し、更にサフラニン、石炭酸フクシン又は塩基性フクシンを含んでなるグラム陰性菌染色試液で処理することを特徴とする、グラム染色法。
  9. 陰イオン界面活性剤が、炭素数8〜18のアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数8〜18のアルキル硫酸塩、アミノ酸系陰イオン界面活性剤、オレイン酸塩、コール酸塩又はN-ドデカノイルサルコシン酸塩である、請求項8に記載のグラム染色法。
  10. 陰イオン界面活性剤が、N-ドデカノイルサルコシン酸ナトリウム、炭素数6〜18のN-アシルグルタミン酸ナトリウム又はコール酸ナトリウムである、請求項8に記載のグラム染色法。
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