JP4000657B2 - 中空成形用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

中空成形用熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性を有し、かつ表面平滑性、靱性、押出成形性、制電性などが均衡して優れた熱可塑性樹脂組成物、特にポリアミド樹脂組成物に関するものであり、中空成形に特に好適な材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂の中空成形品は、例えば自動車のエンジンルーム内のダクト類を中心に、ポリアミド系樹脂を使用したブロー成形によって製造する技術や、チューブ類に飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリウレタンを使用した押出成形によって製造する技術が普及している。
【0003】
特に自動車燃料チューブ用としては、ポリアミド樹脂、中でもポリアミド11やポリアミド12などの柔軟ポリアミド樹脂が広く用いられているが、ブロー中空成形体やチューブ成形体内を燃料などの非導電性液体が流れる用途においては、成形体が帯電する場合があり、これを抑制することが求められている。
【0004】
そこで我々は導電性の改良された中空成形法に適した熱可塑性樹脂組成物を得るべく、熱可塑性樹脂に導電性フィラーの配合された樹脂組成物について検討を始めた。熱可塑性樹脂に導電性フィラーを混入することは、たとえば、特開昭54−113640号公報で知られているが、我々の検討では、射出成形の様に高圧で金型に押しつけられる成形方法では顕在化しないものの、ブロー成形やチューブ成形の如き中空成形法の様に、表面に高い圧力のかからない成形方法に、かかる組成物を適用すると、表面に凹凸が発生し易く、十分な表面性平滑性が得られない或いは、押出成形条件幅が狭い、押出成形機種の制約があるなどの問題が生じ、単純には適用できないことが判明した。また、表面凹凸は成形体の強度にも悪影響を及ぼすことが判った。
【0005】
一方ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂から成形された中空成形体を自動車燃料チューブなどの内燃機関周りの用途に用いる場合、環境汚染問題および燃費向上から要求されているアルコールガソリンの透過防止性に対しては十分ではないと言う懸念点も指摘されその改良も望まれている。
【0006】
そこで我々は、上記制電性及びアルコールガソリンの透過防止の問題を一挙に解決できる方法として、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性などに優れたポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略称する)と導電性の熱可塑性樹脂との多層中空成形についても想起し、かかる多層中空成形性にも適した熱可塑性樹脂組成物を得るべく検討を行い本発明に到達した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した熱可塑性樹脂および導電性フィラーからなる組成物を、特に中空成形方法に適用した場合に生じる表面平滑性の低下、強度低下の改良を課題とする。更には多層中空成形性にも優れた熱可塑性樹脂組成物の取得を課題とする。即ち本発明は、導電性で、かつ表面平滑性、靱性、押出成形性、制電性などが均衡して優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものであり、中空成形、特に多層中空成形に特に好適な材料に関するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、以下の熱可塑性樹脂組成物及びその製造法、成形体を提供する。
【0009】
(1)(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(B)カーボン粉末を1〜100重量部、および(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体を1〜100重量部配合してなる中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
【0011】
(2)ポリアミド樹脂が、アミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲である構造単位からなるポリアミド樹脂である(1)記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
【0012】
(3)ポリアミド樹脂が、メタクレゾール中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定した相対粘度が1.5〜5.0の範囲のポリアミド樹脂である(2)記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
【0013】
(4)ポリアミド樹脂が、ポリカプロアミドホモポリマーまたはカプロアミド単位が50モル%以上であるポリカプロアミドコポリマーであって、かつ98%濃硫酸溶液(ポリマー1g、濃硫酸100ml)、25℃で測定した相対粘度が、2.0〜5.5の範囲のポリアミド樹脂である(1)記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
【0018】
(5)カーボン粉末が、BET法で求められた比表面積500〜1500m/gであるカーボン粉末であることを特徴とする(1)〜(4)記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
【0019】
(6)カーボン粉末が、DBP吸油量370ml/100g以上であるカーボン粉末であることを特徴とする(1)〜(5)いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
【0020】
(7)体積固有抵抗が1010Ω・cm以下である(1)〜(6)いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
【0021】
(8)270℃、せん断速度1000/秒の条件下で測定された溶融粘度が1000〜20000ポイズである(1)〜(7)いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
【0024】
(9)(A)ポリアミド樹脂と(B)カーボン粉末、および(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体からなる熱可塑性樹脂組成物の製造法であって、(A)ポリアミド樹脂および(B)カーボン粉末を溶融混練後、得られた組成物と(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体を溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造法。
【0026】
(10)(1)〜(8)いずれか記載の多層中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
【0027】
(11)(1)〜(8)いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された中空成形体。
【0028】
(12)(1)〜(8)いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物を用い、共押出成形法により製造された多層中空成形体。
【0029】
(13)(イ)(1)〜(8)いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物及び(ロ−1)ポリフェニレンスルフィド樹脂を少なくとも30重量%以上含有する樹脂組成物の少なくとも2種の樹脂組成物を用い、共押出成形法により製造された多層中空成形体。
【0030】
(14)(イ)(1)〜(8)いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物及び(ロ−2)ポリアミド樹脂を少なくとも30重量%以上含有する樹脂組成物の少なくとも2種の樹脂組成物を用い、共押出成形法により製造された多層中空成形体。
【0034】
本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマまたはコポリマを各々単独または混合物の形で用いることができる。
【0035】
本発明において、有用なポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0036】
中でもアミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲である構造単位からなるポリアミド樹脂でがより優れた靱性を得る意味で好適であり、あるいはポリアミドとしてはポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ナイロン610、ナイロン6T/12共重合体などが例示できる。
【0037】
これらポリアミド樹脂の重合度にはとくに制限がなく、例えば98%濃硫酸溶液(ポリマー1g、濃硫酸100ml)、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜7.0の範囲、特に2.0〜6.5、更には2.0〜5.5の範囲が例示でき、或いは、メタクレゾール中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定した相対粘度が1.0〜7.0の範囲、特に1.5〜5.0の範囲のポリアミド樹脂が例示できる。
【0038】
なかでも、アミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲である構造単位からなるポリアミド樹脂であり、かつメタクレゾール中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定した相対粘度が1.5〜5.0の範囲の比較的高粘度のポリアミド樹脂が、優れた表面平滑性、靱性、中空成形体成形性を得る意味において特に好ましい。
【0044】
次に(B)カーボン粉末(以下、導電性フィラーと呼ぶこともある。)について説明する。カーボン粉末はその原料、製造法からアセチレンブラック、ガスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラックなどに分類される。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、その原料、製造法は特に限定されないが、アセチレンブラック、ファーネスブラックが特に好適に用いられる。またカーボン粉末は、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分などの特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、これら特性に特に制限は無いが、強度、電気伝導度のバランスの点から、平均粒径が500nm以下、特に5〜100nm、更には10〜70nmが好ましい。また表面積(BET法)は10m /g以上、更には3010m /g以上、特に500〜1500m /gが好ましい。またDBP吸油量は50ml/100g以上、特に100ml/100g、更に370ml/100g以上が好ましい。また灰分は0.5%以下、特に0.3%以下が好ましい。
【0051】
かかるカーボン粉末はチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。また溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
【0053】
上記導電性フィラーは、2種以上を併用して用いても良い。かかる導電性フィラーの中で、特にカーボン粉末が強度、コスト的に特に好適に用いられる。
【0054】
本発明で用いられる導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性と流動性、機械的強度などとのバランスの点から、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部の範囲が好ましく選択される。
【0055】
またかかる樹脂組成物は、十分な帯電防止性能を得る意味で、その体積固有抵抗が1010Ω・cm以下であることが好ましい。但し上記導電性フィラー、の配合は一般に強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため目標とする導電レベルが得られれば、上記導電性フィラーの配合量はできるだけ少ない方が望ましい。目標とする導電レベルは用途によって異なるが、通常体積固有抵抗が100Ω・cmを越え、1010Ω・cm以下の範囲である。
【0056】
次に本発明において(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体を配合することは、優れた靭性、押出成形性を得る意味おいて好ましい。
【0067】
本発明で好適に用いられる酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などのポリオレフィン系樹脂にマレイン酸無水物、琥珀酸無水物、フマル酸無水物などが共重合されたオレフィン系共重合体などが挙げられ、より具体的にはエチレン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−ブテン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−ブテンーマレイン酸無水物共重合体、エチレン−マレイン酸無水物共重合体、プロピレン−マレイン酸無水物共重合体あるいは無水マレイン酸変性SBS、SIS、SEBS、SEPS、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などが例示できる。
【0068】
かかるオレフィン系共重合体の共重合様式には特に制限はなく、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などいずれの共重合体様式であっても良い。
【0069】
上記(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体の配合量は、靭性、表面平滑性、押出成形性などの点から、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、1〜100重量部の範囲が選択され、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部の範囲が選択される。
【0070】
また上記(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体はその2種以上を併用しても良い。
【0071】
更に上記の(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体と、官能基を含有しない(D)オレフィン系(共)重合体を併用することも可能である。
【0072】
かかる官能基を含有しない(D)オレフィン系(共)重合体としては例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体、SBS、SIS、SEBS、SEPSなどが挙げられる。
【0073】
中でもエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体が特に好ましい。
【0074】
かかる(D)オレフィン系(共)重合体は2種以上を併用して用いても良い。
【0075】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、多層中空成形用、特に(ロ−1)ポリフェニレンスルフィド樹脂を少なくとも30重量%以上含有する樹脂組成物あるい(ロ−2)ポリアミド樹脂を少なくとも30重量%以上含有する樹脂組成物との多層成形に優れた組成物である。
【0076】
ここで(ロ−2)に用いられるポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6ーアミノカプロン酸、11ーアミノウンデカン酸、12ーアミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、εーアミノカプロラクタム、ωーラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4ー/2,4,4ートリメチルヘキサメチレンジアミン、5ーメチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1ーアミノー3ーアミノメチルー3,5,5ートリメチルシクロヘキサン、ビス(4ーアミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3ーメチルー4ーアミノシクロヘキシル)メタン、2,2ービス(4ーアミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2ークロロテレフタル酸、2ーメチルテレフタル酸、5ーメチルイソフタル酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマまたはコポリマを各々単独または混合物の形で用いることができる。本発明において、有用なポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0077】
中でもアミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲である構造単位からなるポリアミド樹脂でがより優れた靱性を得る意味で好適であり、あるいはポリカプロアミドホモポリマーまたはカプロアミド単位が50モル%以上であるポリカプロアミドコポリマーが特に好ましい。かかるポリアミドとしてはポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド(ナイロン6)などが例示できる。
【0078】
これらポリアミド樹脂の重合度にはとくに制限がなく、例えば98%濃硫酸溶液(ポリマー1g、濃硫酸100ml)、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜7.0の範囲、特に2.0〜6.5、更には2.5〜5.5の範囲が例示でき、或いは、メタクレゾール中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定した相対粘度が1.0〜7.0の範囲のポリアミド樹脂が例示できる。
【0079】
なかでも、アミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲である構造単位からなるポリアミド樹脂が、優れた表面平滑性、靱性、中空成形体成形性を得る意味において好ましい。
【0080】
また本発明の(ロ−2)ポリアミド樹脂樹脂組成物は、ポリアミド以外の成分を70重量%以下、好ましくは50重量%以下含んでいても良い。かかるポリアミド以外の成分としては特に制限は無いが、好ましい配合成分としては上記(A)で例示した熱可塑性樹脂や(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂、あるいは官能基を含有しないオレフィン系(共)重合体上記が挙げられ、その詳細は上記と同様であり省略する。
【0081】
次に(ロ−1)に用いられるポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂という)とは、下記構造式で示される繰り返し単位を
【化3】
Figure 0004000657
70モル%以上、より好ましくは90モル%以上を含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%未満では、耐熱性が損なわれるので好ましくない。またP PS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満を、下記の構造式を有する繰り返 し単位等で構成することが可能である。
【0082】
【化4】
Figure 0004000657
本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、通常50〜20,000ポイズ(320℃、せん断速度1,000sec-1)のものが使用され、100〜5000ポイズの範囲がより好ましい。 かかるPPS樹脂は通常公知の方法即ち特公昭45−3368号公報に記載さ れる比較的分子量の小さな重合体を得る方法或は特公昭52−12240号公報 や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る 方法などによって製造できる。本発明において上記の様に得られたPPS樹脂を 空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減 圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン 、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物によ る活性化など種々の処理を施した上で使用することももちろん可能である。
【0083】
PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンな どの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望 する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常 、170〜280℃が選択され、好ましくは200〜270℃であり、時間は通 常0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この加熱処理温度と時間の両者をコントロールすることにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置で あってもよいが、効率よくしかもより均一に処理ためには回転式あるいは撹拌
翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0084】
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱 処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜 100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理 の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であって もよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0085】
本発明で用いられるPPS樹脂は脱イオン処理を施されたPPS樹脂であることが好ましい。かかる脱イオン処理の具体的方法としては酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理および有機溶剤洗浄処理などが例示でき、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いても良い。
【0086】
PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する作用 などを有しないものであれば特に制限はないが、例えばN−メチルピロリドン、 ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチル スルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセト ン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒 、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル 系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、 ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、 メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレン グリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレング リコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン などの芳香族炭化水素系溶媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN− メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの使用 が好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用 される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せ しめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である 。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常 温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率 が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られ る。また有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
【0087】
PPS樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現する ため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理 の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧で或いは圧力 容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水の 多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の 浴比が選択される。
【0088】
PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、 必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はPPSを 分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン 酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハ ロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノ カルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン 酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、 炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢酸、塩酸がより好 ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸または塩など を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また洗浄に用い る水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味 で蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
【0089】
また本発明の(ロ−1)ポリフェニレンスルフィド樹脂樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド以外の成分を70重量%以下、好ましくは50重量%以下含んでいても良い。かかるポリフェニレンスルフィド以外の成分としては特に制限は無いが、好ましい配合成分としては上記(A)で例示した熱可塑性樹脂や(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂、あるいは官能基を含有しないオレフィン系(共)重合体上記が挙げられ、その詳細は上記と同様であり省略する。
【0090】
またエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランの(ロ)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物への添加は、優れた機械的強度、靱性の向上に有効である。
【0091】
かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などなどが挙げられ、中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、が特に好ましい。
【0092】
かかるアルコキシシラン化合物の好ましい添加量は通常ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、0.05〜5重量部の範囲が選択され、0.1〜3重量部の範囲がより好ましく選択される。
【0093】
さらに本発明の(A)熱可塑性樹脂組成物及び(ロ−1)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、(ロ−2)ポリアミド樹脂組成物には、目的、用途に応じ、本発明の範囲を損なわない範囲で、繊維状および/または非繊維状充填材を配合しても良い。かかる繊維状および/または非繊維状充填材の具体例としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状および/または非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
【0094】
更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物及び(ロ−1)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、(ロ−2)ポリアミド樹脂組成物には、可塑剤、結晶核剤、着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などの通常の添加剤を添加することができる。
【0096】
かかる優れた表面平滑性を得るためには、上述したように(A)ポリアミド樹脂として比較的高分子量のポリアミド樹脂を適用することが有効である。
【0097】
また多くの場合、(A)ポリアミド樹脂はペレット状で入手できるが、このペレットを粉砕するなどして、重量平均粒子径が2mm以下の顆粒または粉末状とし、これを(B)導電性フィラ−と溶融混練する方法も表面平滑性向上に有効である。またかかる重量平均粒子径が2mm以下の顆粒または粉末をペレット状の(A)ポリアミド樹脂と併用しても良い。
【0098】
更に(A)ポリアミド樹脂と(B)導電性フィラ−及び(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体を用いる場合、(A)ポリアミド樹脂および(B)導電性フィラ−を溶融混練後、得られた組成物と(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体を溶融混練する方法も表面平滑性向上に有効である。
【0099】
本発明の樹脂組成物は、270℃、せん断速度1000/秒で測定された溶融粘度が1000〜20000ポイズ、特に1000〜10000ポイズであることが好ましい。これは特に(A)ポリアミド樹脂として、アミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲である構造単位からなるポリアミド樹脂などを用いた場合にはかなり高粘度であり、通常の中空成形には好ましい要件とは言い難い。しかし、本発明の一つの目的である(イ)熱可塑性樹脂組成物及び(ロ−1)ポリフェニレンスルフィド樹脂を少なくとも30重量%以上含有する樹脂組成物の少なくとも2種の樹脂組成物を用い、共押出成形法により製造された多層中空成形体を得る場合には、融点の高い(ロ−1)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物層と(イ)熱可塑性樹脂組成物層を積層するために(イ)熱可塑性樹脂組成物が少なくとも250℃以上の温度に晒され、かかる温度条件で優れた成形性を得る意味において、(イ)熱可塑性樹脂組成物は上述の如き高い溶融粘度を有することが好ましい。
【0100】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製方法は、上記優れた表面性が得られれば特に制限はなく、例えば原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど通常公知の溶融混合機に供給して熱可塑性樹脂の融点より10〜80℃高い温度、好ましくは20〜50℃高い温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。
【0101】
また上記(A)ポリアミド樹脂および(B)導電性フィラ−を溶融混練後、得られた組成物と(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体を溶融混練する多段混練法として、1段目の配合物を主ホッパ−から供給し、2段目の配合物をサイドフィ−ダ−から供給する方法も挙げられる。
【0102】
更に、少量添加剤成分を用いる場合には、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形加工前に添加して成形に供することももちろん可能である。
【0103】
本発明の組成物は、チューブ成形体、ブロー成形体など中空成形体の製造に好適であり、共押出による多層中空成形体の製造には特に好適である
このようにして得られた本発明の中空成形体は、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、靱性および成形品外観に優れ、かかる特徴からボトル、タンクおよびダクトなどのブロー成形品、パイプ、チューブ、燃料チューブなどの押出成形品として、自動車部品特に内燃機関用途、電気・電子部品、および薬品用途に有効であるが、かかる中空成形法に限らず、丸棒などの他の押出成形法、射出成形法、トランスファー成形法など、他の成形法への適用ももちろん可能である。
【0104】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
【0105】
また、以下の実施例における表面平滑性、ノッチ付き衝撃強度、チューブ靱性は、次の方法により行った。
【0106】
[表面平滑性]樹脂組成物ペレットをメルトインデクサー(東洋精機社製、Type Cー5059D2−1、オリフィス直径0.0825インチ、長さ0.315インチ)に投入し、熱可塑性樹脂の融点+60℃で5分滞留後、荷重5kgでガットを押し出した。この操作を10回行い10本のガットを得た。かかるガットをプロジェクター(ニコン社製、プロファイルプロジェクター、Vー12)にて投影し、ガット表面の高さ25μm以上の突起物の数を観察した。観察は、10本のガット各5cm、計50cmについて行い、1cm当たりに観察される突起物数に割返した。
【0107】
[ノッチ付き衝撃強度]導電性樹脂組成物ペレットを(A)熱可塑性樹脂の融点+50℃、金型温度80℃の条件下、射出成形に供し、測定サンプルを成形した。このサンプルを用い、ASTMD256法に準じてノッチアイゾット衝撃強度を測定した。
【0108】
[体積固有抵抗]樹脂組成物ペレットを用い、樹脂温度:(A)熱可塑性樹脂の融点+50℃、金型温度70℃の条件下、厚み0.3cm、直径100mmの成形体を射出成形にて成形し、これをサンプルとした。測定には、タケダ理研工業(株)製TR6877 Computing Digital Multimeterをもちいた。
【0109】
[溶融粘度測定]樹脂組成物ペレットを用い、フローテスターにより270℃、せん断速度1000/秒の条件下での溶融粘度を測定した。
【0110】
[チューブ低温靱性評価]長さ30cmのチューブを10本用意し、これを−40℃の冷却装置中で4時間放置した。チューブを冷却装置から取り出し、0.454kgの錘を304.8mmの高さからチューブ上へ落下し、チューブの破壊の有無を観察した。
【0111】
[実施例及び比較例で用いた配合材]
(A)ポリアミド樹脂
A−1:ナイロン12(相対粘度2.2)ペレット
A−2:ナイロン12(相対粘度1.4)ペレット
【0112】
A−4:ナイロン12(相対粘度2.2)を粉砕し重量平均粒径0.8mmの粉末状とした。
【0113】
なお上記相対粘度はメタクレゾール中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定した。また重量平均粒径は、遠心沈降法により測定した。
【0114】
A−5:ナイロン6(相対粘度2.4)ペレット
相対粘度は98%濃硫酸溶液(ポリマー1g、濃硫酸100ml)、25℃で測定した。
【0116】
(B)導電性フィラー
B−1:カ−ボンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株) EC600JD、DBP吸油量495ml/100g、BET法表面積 1270m/g、平均粒径30nm、灰分0.2%
B−2:カーボンブラック(三菱化成工業(株)三菱導電性カーボンッブラック #3050、DBP吸油量180ml/100g、BET法表面積 75m/g、灰分0.2%
(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体
C−3:無水マレイン酸(0.5wt%)変性エチレンプロピレンラバー
(D)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマー
D−1:エチレン/ブテン−1=82/18(重量%)共重合体
(ロ)層を構成する樹脂組成物
ロ−1:ポリフェニレンスルフィド(310℃、せん断速度1000/秒における溶融粘度が900ポイズ)55重量%、ナイロン12(上記A−1)20重量%、官能基を含有する熱可塑性樹脂(上記C−2)25重量%からなる組成物。 ロ−2:ナイロン12(東レ(株)“リルサン”AESN O TL)
実施例1、9
表1に示す各配合材料を表1に示す割合でドライブレンドし、タンブラーにて2分間予備混合した後、シリンダー温度を(A)ポリアミド樹脂の融点+35℃に設定した2軸押出機で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、1晩乾燥した。かかるペレットを用い、衝撃強度および体積固有抵抗測定用の成形体を成形し、表面平滑性、溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0117】
実施例2、3、5、7
表1に示す各配合材料のうち(A)ポリアミド樹脂および(B)導電性フィラーを表1に示す割合でドライブレンドし、タンブラーにて2分間予備混合した後、シリンダー温度を(A)ポリアミド樹脂の融点+35℃に設定した2軸押出機で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、1晩乾燥した。次にかかるペレットと(C)酸無水物基含有オレフィン系共重合体((D)官能基を含有しないエラストマー)をタンブラーにて2分間予備混合した後、シリンダー温度を(A)ポリアミド樹脂の融点+35℃に設定した2軸押出機で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、1晩乾燥した。かかるペレットを用い、衝撃強度および体積固有抵抗測定用の成形体を成形し、表面平滑性、溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0118】
比較例2
(A)ポリアミド樹脂としてA−2を用い、酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体を用いなかった以外は、実施例1と同様にして溶融混練、ペレタイズ、乾燥を行った。かかるペレットを用い、衝撃強度および体積固有抵抗測定用の成形体を成形し、表面平滑性、溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0119】
チューブ成形評価(1)
外層にロー2、内層に実施例または比較例2で得られたペレットを用い、外径:8mm、内径:6mm、外層厚み:0.8mm、内層厚み:0.2mmの2層チューブを成形した。成形装置としては、樹脂温度240℃に設定した65mmの2台の単軸押出機、この2台の押出機から吐出された樹脂をアダプターによって集めてチューブ状に成形するダイス、チューブを冷却し寸法制御するサイジングダイ、および引取機からなるものを使用、引き取り速度50cm/分でチューブ成形を行い、内面平滑性、チューブ低温靭性評価用のサンプルを採取した。比較例2のペレットを用いた場合、内面に突起物が認められ、平滑性に劣る結果であった。またチューブ低温靭性評価では、10本中5本で割れが認められた。一方、実施例2のペレットを用いた場合、内面平滑性は良好であり、またチューブ低温靭性評価では、10本中1本も割れが認められなかった。
【0120】
チューブ成形評価(2)
外層にロー2、中間層にロー1、内層に実施例3または比較例2で得られたペレットを用い、外径:8mm、内径:6mm、外層厚み:0.7mm、中間層厚み0.15mm、内層厚み:0.1mmの3層チューブを成形した。成形装置としては、樹脂温度210〜290℃に設定した65mmの3台の単軸押出機、この3台の押出機から吐出された樹脂をアダプター(温度270〜290℃)によって集めてチューブ状に成形するダイス、チューブを冷却し寸法制御するサイジングダイ、および引取機からなるものを使用、引き取り速度50cm/分でチューブ成形を行い、内面平滑性、チューブ低温靱性評価用のサンプルを採取した。
【0121】
比較例2のペレットを用いた場合、内面に突起物が認められ、平滑性に劣る結果であった。またチューブ低温靱性評価では、10本中6本で割れが認められた。また比較例2を用いた場合、粘度が低すぎるために溶融状態でチューブが扁平になり真円性に劣る結果であった。一方、実施例2のペレットを用いた場合、内面平滑性は良好であり、またチューブ低温靱性評価では、10本中1本も割れが認められなかった。
【0122】
【表1】
Figure 0004000657

Claims (14)

  1. (A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(B)カーボン粉末を1〜100重量部、および(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体を1〜100重量部配合してなる中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
  2. ポリアミド樹脂が、アミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲である構造単位からなるポリアミド樹脂である請求項1記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
  3. ポリアミド樹脂が、メタクレゾール中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定した相対粘度が1.5〜5.0の範囲のポリアミド樹脂である請求項2記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
  4. ポリアミド樹脂が、ポリカプロアミドホモポリマーまたはカプロアミド単位が50モル%以上であるポリカプロアミドコポリマーであって、かつ98%濃硫酸溶液(ポリマー1g、濃硫酸100ml)、25℃で測定した相対粘度が、2.0〜5.5の範囲のポリアミド樹脂である請求項1記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
  5. カーボン粉末が、BET法で求められた比表面積500〜1500m/gであるカーボン粉末であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
  6. カーボン粉末が、DBP吸油量370ml/100g以上であるカーボン粉末であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
  7. 体積固有抵抗が1010Ω・cm以下である請求項1〜6いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
  8. 270℃、せん断速度1000/秒の条件下で測定された溶融粘度が1000〜20000ポイズである請求項1〜7いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
  9. (A)ポリアミド樹脂と(B)カーボン粉末、および(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体からなる熱可塑性樹脂組成物の製造法であって、(A)ポリアミド樹脂および(B)カーボン粉末を溶融混練後、得られた組成物と(C)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体を溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造法。
  10. 請求項1〜8いずれか記載の多層中空成形用熱可塑性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜8いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された中空成形体。
  12. 請求項1〜8いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物を用い、共押出成形法により製造された多層中空成形体。
  13. (イ)請求項1〜8いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物及び(ロ−1)ポリフェニレンスルフィド樹脂を少なくとも30重量%以上含有する樹脂組成物の少なくとも2種の樹脂組成物を用い、共押出成形法により製造された多層中空成形体。
  14. (イ)請求項1〜8いずれか記載の中空成形用熱可塑性樹脂組成物及び(ロ−2)ポリアミド樹脂を少なくとも30重量%以上含有する樹脂組成物の少なくとも2種の樹脂組成物を用い、共押出成形法により製造された多層中空成形体。
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