JP4004004B2 - ポリベンゾオキサゾール前駆体、絶縁材用樹脂組成物およびこれを用いた絶縁材 - Google Patents

ポリベンゾオキサゾール前駆体、絶縁材用樹脂組成物およびこれを用いた絶縁材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は絶縁材に関するものであり、更に詳しくは電気電子機器用、半導体装置用として優れた特性を有するポリベンゾオキサゾール前駆体、絶縁材用樹脂組成物およびこれを用いた絶縁材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気電子機器用、半導体装置用材料に求められている特性のなかで、電気特性と耐熱性は最も重要な特性である。特に近年、回路の微細化と信号の高速化に伴い、誘電率の低い絶縁材料が要求されている。この2つの特性を両立させるために耐熱性の高い有機系の絶縁膜が期待されている。例えば、従来から用いられている二酸化シリコン等の無機の絶縁膜は高耐熱性を示すが誘電率が高く、前述の特性について、両立が困難になりつつある。ポリイミド樹脂に代表される有機系の絶縁膜は、電気特性、耐熱性に優れ2つの特性の両立が可能であり、実際にソルダーレジスト、カバーレイ、液晶配向膜などに用いられている。
【0003】
しかしながら、近年の半導体の高機能化、高性能化にともない、電気特性、耐熱性について、著しい向上が必要とされているため、更に高性能な樹脂が必要とされるようになっている。特に誘電率について2.5を下回るような低誘電率材料が期待されており、ポリイミド樹脂においても、フッ素及びトリフルオロメチル基を高分子内に導入することにより電気特性と耐熱性を両立することが試みられているが、現時点では必要とされる水準まで達していない。
【0004】
ポリイミド樹脂以外の樹脂では、ポリベンゾオキサゾール樹脂が期待されている。ポリイミド樹脂は、イミド環にカルボキシル基を2個有していることで、電気特性に悪影響を及ぼしている。従って、一般にポリベンゾオキサゾール樹脂は、ポリイミド樹脂よりも電気特性に優れ、かつ耐熱性も同等であるため、極めて有用な樹脂である。しかし、要求されている電気特性の水準が非常に高く、これまでのポリベンゾオキサゾール樹脂では要求されている水準まで達していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、極めて低い誘電率と良好な絶縁性を示すとともに、耐熱性にも優れたポリベンゾオキサゾール前駆体、絶縁材用樹脂組成物及びこれを用いた絶縁材を提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来の問題点を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、下記(a)〜()項に記載の通りである。
(a) 一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体。
【0008】
【化4】
Figure 0004004004
【0009】
(式中、XおよびYは2価の有機基または単結合を、Zは2価の有機基を表す。R1〜R6は、H、Fまたはフルオロアルキル基であり、互いに同じであっても異なってもよい。R7およびR8は、数平均分子量が40以上100000以下でグリコール基を有する1価の有機基であり、互いに同じであっても異なってもよい。nは1〜10000の整数である。)
【0010】
(b) 前記一般式(1)のXもしくはZの一方、またはXとZの両方がフッ素基またはフルオロアルキル基を有する2価の有機基である前記(a)項に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体。
【0012】
) 前記一般式(1)のYが式(2)もしくは(3)である前記(a)項または(b)項に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体。
【0013】
【化5】
Figure 0004004004
【0014】
【化6】
Figure 0004004004
【0015】
) 前記(a)〜(c)項のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体を脱水閉環した構造を有するポリベンゾオキサゾール樹脂組成物。
【0016】
) 前記()項に記載のポリベンゾオキサゾール樹脂組成物を用いて得られた絶縁材。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体は、一般式(4)で表されるジアミン化合物と一般式(5)で表されるジカルボン酸化合物とを、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下での縮合反応等の方法や酸クロリド法により重合を行うか、
【0018】
【化7】
Figure 0004004004
(式中、XおよびYは2価の有機基または単結合を表す。R1〜R6は、H、Fまたはフルオロアルキル基であり、互いに同じであっても異なってもよい。R7およびR8は、数平均分子量が40以上100000以下でグリコール基を有する1価の有機基であり、互いに同じであっても異なってもよい。)
【0019】
【化8】
Figure 0004004004
(式中、Zは2価の有機基を表す。)
【0020】
一般式(6)で表されるビスアミノフェノール化合物と前記一般式(5)で表されるジカルボン酸化合物とを、活性エステル法や酸クロリド法により重合を行い、ポリ(ヒドロキシアミド)とした後、ポリ(ヒドロキシアミド)の水酸基に、一般式(7),(8)で表されるカルボン酸化合物や一般式(9),(10)で表されるイソシアネート化合物や一般式(11),(12)で表されるグリシジル化合物を反応させることにより、製造することができる。
【0021】
【化9】
Figure 0004004004
(式中、Xは2価の有機基または単結合を表す。R1〜R6は、H、Fまたはフルオロアルキル基であり、互いに同じであっても異なってもよい。)
【0022】
【化10】
Figure 0004004004
(式中、R7は、数平均分子量が40以上100000以下でグリコール基を有する1価の有機基である。)
【0023】
【化11】
Figure 0004004004
(式中、R8は、数平均分子量が40以上100000以下でグリコール基を有する1価の有機基である。)
【0024】
【化12】
Figure 0004004004
(式中、R7は、数平均分子量が40以上100000以下でグリコール基を有する1価の有機基である。)
【0025】
【化13】
Figure 0004004004
(式中、R8は、数平均分子量が40以上100000以下でグリコール基を有する1価の有機基である。)
【0026】
【化14】
Figure 0004004004
(式中、R7は、数平均分子量が40以上100000以下でグリコール基を有する1価の有機基である。)
【0027】
【化15】
Figure 0004004004
(式中、R8は、数平均分子量が40以上100000以下でグリコール基を有する1価の有機基である。)
【0028】
一般式(4)で表されるジアミン化合物の例としては、式(13)〜式(17)で表される化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また2種以上を併用することも可能である。これらのうち、式(14)および式(15)で表される化合物のように、フルオロアルキル基を有するものやフッ素基を有するものは、特に低い誘電率が得られるので好ましい。さらに、樹脂の溶解性等の諸特性とのバランスをとるために、本発明の効果が得られる範囲内で、各種のビスアミノフェノール化合物と共重合を行うことも可能である。
【0029】
【化16】
Figure 0004004004
【0030】
【化17】
Figure 0004004004
【0031】
【化18】
Figure 0004004004
【0032】
一般式(5)で表されるジカルボン酸化合物の例を挙げると、イソフタル酸、テレフタル酸、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、3−フルオロフタル酸、2−フルオロフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、3,4,5,6−テトラフルオロフタル酸、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェニル−1,1’−ジカルボン酸、パーフルオロスベリン酸、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸、4,4’−オキシビス安息香酸等であるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、2種類以上のジカルボン酸化合物を組み合わせて使用することも可能である。ジカルボン酸化合物についても、フルオロフタル酸や4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェニル−1,1’−ジカルボン酸のようにフッ素基またはフルオロアルキル基を有するものは、特に低い誘電率が得られるので好ましい。
【0033】
一般式(6)で表されるビスアミノフェノール化合物の例としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス (3− アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス (3− アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3− アミノ−4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロベンゼン、2,2−ビス (3− アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。2,2−ビス (3− アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンや1,4−ビス(3− アミノ−4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロベンゼンのように、フルオロアルキル基またはフッ素基を有するものは、特に低い誘電率が得られるので好ましい。
【0034】
一般式(7),(8)で表されるカルボン酸化合物の例としては、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸や一般式(18)で表されるエチレングリコール基を有するカルボン酸化合物や一般式(19)で表されるプロピレングリコール基を有するカルボン酸化合物、ポリ(エチレングリコール)モノアルキルエーテルとジカルボン酸のハーフエステル、ポリ(プロピレングリコール)モノアルキルエーテルとジカルボン酸のハーフエステル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また2種以上を併用することも可能である。これらのうち、エチレングリコール基を有するカルボン酸化合物やプロピレングリコール基を有する化合物のようにグリコール基を有する化合物は、熱処理により分解・揮散しやすく好ましい。
【0035】
【化19】
Figure 0004004004
(式中、mは1以上2200以下の整数を表す。)
【0036】
【化20】
Figure 0004004004
(式中、kは1以上1700以下の整数を表す。)
【0037】
前記一般式(9),(10)で表されるイソシアネート化合物の例としては、n−ブタンイソシアネート、n−ヘキサンイソシアネート、n−ドデカンイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物や一般式(20)で表されるエチレングリコール基を有するイソシアネート化合物や一般式(21)で表されるプロピレングリコール基を有するイソシアネート化合物、ポリ(エチレングリコール)モノアルキルエーテルをジイソシアネート化合物の一方のイソシアネート基のみに反応させたもの、ポリ(プロピレングリコール)モノアルキルエーテルをジイソシアネート化合物の一方のイソシアネート基のみに反応させたもの、メタノールやエタノール等のアルコールを両末端イソシアネートのプロピレングリコールオリゴマーやエチレングリコールオリゴマーの一方のイソシアネート基のみに反応させたもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また2種以上を併用することも可能である。これらのうち、エチレングリコール基を有するカルボン酸化合物やプロピレングリコール基を有する化合物のようにグリコール基を有する化合物は、熱処理により、分解・揮散しやすく好ましい。ジイソシアネート化合物の例としては、2,4−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
【化21】
Figure 0004004004
(式中、hは、1以上2200以下の整数を表す。)
【0039】
【化22】
Figure 0004004004
(式中、jは、1以上1700以下の整数を表す。)
【0040】
前記一般式(11),(12)で表されるグリシジル化合物の例としては、フェニルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテルのグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノメチルエーテルのグリシジルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また2種以上を併用することも可能である。これらのうち、エチレングリコール基を有するカルボン酸化合物やプロピレングリコール基を有する化合物のように、グリコール基を有する化合物は、熱処理により分解・揮散しやすく好ましい。
【0041】
酸クロリド法によるポリベンゾオキサゾール前駆体の合成の例を挙げると、まず前記ジカルボン酸化合物を、N,N−ジメチルホルムアミド等の触媒存在下、過剰量の塩化チオニルと、室温から75℃で反応させ、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により留去する。その後、残査をヘキサン等の溶媒で再結晶することにより、酸クロリドであるジカルボン酸クロリドを得る。次いで、前記ビスアミノフェノール化合物または前記ジアミン化合物を、通常N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド等の極性溶媒に溶解し、ピリジン等の酸受容剤存在下で、ジカルボン酸クロリドと、−30℃から室温で反応することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得ることができる。
【0042】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体は、通常、これを溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等を1種、または2種以上混合して用いることが出来る。
【0043】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の使用する際は、まず該前駆体を上記溶剤に溶解し、適当な支持体、例えばガラス、金属、シリコーンウエハーやセラミック基盤等に塗布する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等が挙げられる。このようにして、塗膜を形成した後、加熱処理をして、脱水閉環してポリベンゾオキサゾール樹脂に変換し、ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物とすることができる。
【0044】
本発明のポリベンゾオキサゾール樹脂組成物を用いて、更に加熱することにより、一般式(1)中のYで結合されたR7およびR8が、脱離し、熱分解して揮散するこにより、微細な空隙を構成することにより、誘電率の低い膜を形成し、絶縁材を得ることができる。この際、R7およびR8の数平均分子量が、40未満であると、誘電率が効果的に低くできず、また分子量が、100000を超えるものでは、空隙が大きくなりすぎて膜の機械的強度が弱くなったり膜表面に達する連続気泡ができてしまう等の問題が発生する。
【0045】
必要により、ポリベンゾオキサゾール前駆体、各種添加剤として、界面活性剤やカップリング剤等を添加し、ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物とし、更に絶縁材とすることができる。
【0046】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物及び絶縁材は、半導体用層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として用いることができる。
【0047】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例の内容になんら限定されるものではない。
【0048】
酸クロリドの合成例
(合成例1)
4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェニル−1,1’−ジカルボン酸25g、塩化チオニル45ml及び乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)0.5mlを反応容器に入れ、60℃で2時間反応させた。反応終了後、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により留去した。残査をヘキサンを用いて再結晶させて、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェニル−1,1’−ジカルボン酸クロリドを得た。
【0049】
ポリ(ヒドロキシアミド)の合成例
(合成例2)
攪拌装置、窒素導入管、滴下漏斗を付けたセパラブルフラスコ中、2,2−ビス (3− アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン14.65g(0.04mol)を、乾燥したジメチルアセトアミド200gに溶解し、ピリジン7.92g(0.20mol)を添加後、乾燥窒素導入下、−15℃でジメチルアセトアミド100gに、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェニル−1,1’−ジカルボン酸クロリド16.92g(0.04mol)を溶解したものを、30分かけて滴下した。滴下終了後、室温まで戻し、室温で5時間攪拌した。その後、反応液を蒸留水1000mlに滴下し、沈殿物を集め、乾燥してポリ(ヒドロキシアミド)の粉末を得た。得られたポリ(ヒドロキシアミド)の数平均分子量は21,000、重量平均分子量は42,000であった。
【0050】
ジアミン化合物を用いたポリベンゾオキサゾール前駆体及びポリベンゾオキサゾール樹脂の実施例
(実施例1)
攪拌装置、窒素導入管、滴下漏斗を付けたセパラブルフラスコ中、前記式(14)の構造である2,2−ビス (3− アミノ−4−(1,4,7,10−テトラオキサウンデシル)フェニル)ヘキサフルオロプロパン13.17g(0.02mol)を、乾燥したジメチルアセトアミド100gに溶解し、ピリジン3.96g(0.05mol)を添加後、乾燥窒素導入下、−15℃でジメチルアセトアミド50gに、合成例1で得た4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェニル−1,1’−ジカルボン酸クロリド8.46g(0.02mol)を溶解したものを、30分掛けて滴下した。滴下終了後、室温まで戻し、室温で5時間攪拌した。その後、反応液を蒸留水1000mlに滴下し、沈殿物を集め、乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体(1)を得た。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体(1)の数平均分子量は25,000、重量平均分子量は50,000であった
【0051】
ポリベンゾオキサゾール前駆体(1)を、濃度が20重量%のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とし、スピンコーターを用いてアルミニウムを蒸着したシリコンウェハ上に塗布した。このとき、熱処理後の膜厚が、約1μmとなるように、スピンコーターの回転数と時間を設定した。塗布後、100℃のホットプレート上で、120秒間乾燥した後、窒素を流入して酸素濃度を100ppm以下に制御したオーブンを用いて、150℃30分間、250℃30分間、400℃30分間の熱処理を連続して行いポリベンゾオキサゾール樹脂とし、室温まで冷却した後、空気雰囲気のオーブンで、300℃120分間の熱処理を行い、ポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を得た。
【0052】
皮膜上に、アルミニウムを蒸着してパターニングを行い所定の大きさの電極を形成した。シリコンウェハ側のアルミニウムとこの電極による容量を測定し、測定後に皮膜の電極隣接部を酸素プラズマによりエッチングして、表面粗さ計により膜厚を測定することにより、周波数1MHzにおける誘電率を算出したところ2.3であった。この皮膜の断面をTEMにより観察したところ、平均孔径2nm非連続の空隙が観察された。また、この皮膜のIRスペクトルをFT−IRにより測定したところ、1656cm-1のアミドによる吸収は見られず1625cm-1および1053cm-1にオキサゾールによる吸収が観察され、ポリベンゾオキサゾールが生成していることが確認された。TG/DTAにより耐熱性を評価したところ、窒素雰囲気での5%重量減少温度は516℃であった。
【0053】
イソシアネート化合物を用いたポリベンゾオキサゾール前駆体及びポリベンゾオキサゾール樹脂の実施例
(実施例2)
攪拌装置、窒素導入管、滴下漏斗を付けたセパラブルフラスコへ、ドライボックス中で、乾燥したNMP60g中に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1.25g(0.005mol)を溶解する。乾燥窒素導入下、系の温度を20℃に制御しながら、平均分子量1200のポリ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル12.00g(0.01mol)をNMP60gに溶解した溶液を、滴下漏斗から滴下する。20℃で1時間攪拌を行った後、NMP80gに水酸基が0.01molとなる濃度に合成例2で得たポリ(ヒドロキシアミド)粉末を溶解した溶液を滴下する。滴下終了後、50℃で12時間攪拌を行うことによりポリベンゾオキサゾール前駆体(2)のNMP溶液を得た。得られた前駆体の数平均分子量は90,000、重量平均分子量は180,000であった。実施例1のポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を得る工程においてポリベンゾオキサゾール前駆体(1)を濃度が20重量%のNMP溶液に替えてポリベンゾオキサゾール前駆体(2)の濃度が15重量%のNMP溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を作製し、評価した。
【0054】
(実施例3)
攪拌装置、窒素導入管、滴下漏斗を付けたセパラブルフラスコへ、ドライボックス中で、乾燥したNMP120g中に、数平均分子量2500の両末端イソシアネートのプロピレングリコールオリゴマー12.50g(0.005mol)を溶解する。乾燥窒素導入下、系の温度を20℃に制御しながら、メタノール0.32g(0.01mol)を滴下漏斗から滴下する。20℃で1時間攪拌を行った後、NMP80gに水酸基が0.01molとなる濃度に合成例2で得たポリ(ヒドロキシアミド)粉末を溶解した溶液を滴下する。滴下終了後、50℃で12時間攪拌を行うことにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体(3)のNMP溶液を得た。得られた前駆体の数平均分子量は170,000、重量平均分子量は340,000であった。
実施例1のポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を得る工程においてポリベンゾオキサゾール前駆体(1)を濃度が20重量%のNMP溶液に替えてポリベンゾオキサゾール前駆体(3)の濃度が15重量%のNMP溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を作製し、評価した。
【0055】
グリシジル化合物を用いたポリベンゾオキサゾール前駆体及びポリベンゾオキサゾール樹脂の実施例
(実施例4)
攪拌装置、窒素導入管、滴下漏斗を付けたセパラブルフラスコへ、乾燥したNMP120g中に水酸基が0.01molとなる濃度に合成例2で得たポリ(ヒドロキシアミド)粉末を溶解する。乾燥窒素導入下、系の温度を20℃に制御しながら、NMP80g中に数平均分子量3100のポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテルのグリシジルエーテル31.00g(0.01mol)を溶解した溶液を滴下漏斗から滴下する。滴下終了後、20℃で1時間、続いて50℃で12時間攪拌を行うことにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体(4)のNMP溶液を得た。得られた前駆体の数平均分子量は180,000、重量平均分子量は360,000であった。
実施例1のポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を得る工程においてポリベンゾオキサゾール前駆体(1)を濃度が20重量%のNMP溶液に替えてポリベンゾオキサゾール前駆体(4)の濃度が15重量%のNMP溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を作製し、評価した。
【0056】
カルボン酸化合物を用いたポリベンゾオキサゾール前駆体及びポリベンゾオキサゾール樹脂の実施例
(実施例5)
攪拌装置、窒素導入管、滴下漏斗を付けたセパラブルフラスコへ、乾燥したNMP200g中に水酸基が0.01molとなる濃度に合成例2で得たポリ(ヒドロキシアミド)粉末と、数平均分子量2500のポリ(プロピレングリコール)モノアルキルエーテルとジカルボン酸のハーフエステル25.00g(0.01mol)を、を溶解する。乾燥窒素導入下、系の温度を20℃に制御しながら、NMP20g中にジシクロヘキシルカルボジイミド2.06g(0.01mol)を溶解した溶液を、滴下漏斗から滴下する。滴下終了後、20℃で12時間攪拌を行った後、吸引濾過を行い副生成物であるジシクロヘキシルカルボジウレアの固形物を濾別することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体(5)のNMP溶液を得た。得られた前駆体の数平均分子量は150,000、重量平均分子量は300,000であった。
実施例1のポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を得る工程においてポリベンゾオキサゾール前駆体(1)を濃度が20重量%のNMP溶液に替えてポリベンゾオキサゾール前駆体(5)の濃度が15重量%のNMP溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を作製し、評価した。
【0057】
表1に実施例2〜5の評価結果を示す。
【表1】
Figure 0004004004
【0058】
(比較例1)
実施例1のポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を得る工程においてポリベンゾオキサゾール前駆体(1)のかわりに合成例2で得たポリ(ヒドロキシアミド)粉末を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を作製し、評価した。皮膜とした場合の誘電率は2.6であり、IRスペクトルからはポリベンゾオキサゾールが生成していることが確認され、TG/DTAによる窒素雰囲気での5%重量減少温度は516℃であった。
【0059】
(比較例2)
実施例1のポリベンゾオキサゾール前駆体(1)を得る工程において2,2'−ビス (3− アミノ−4−(1,4,7,10−テトラオキサウンデシル)フェニル)ヘキサフルオロプロパン13.17g(0.02mol)のかわりに2,2−ビス (3− アミノ−4−メトキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.89g(0.02mol)を用いた以外は実施例1と同様にして、合成を行いポリベンゾオキサゾール前駆体(5)を得た。得られた前駆体の数平均分子量は22,000、重量平均分子量は44,000であった。
実施例1のポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を得る工程においてポリベンゾオキサゾール前駆体(1)のかわりにポリベンゾオキサゾール前駆体(5)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を作製し、評価した。皮膜とした場合の誘電率は2.6であり、IRスペクトルからはポリベンゾオキサゾールが生成していることが確認され、TG/DTAによる窒素雰囲気での5%重量減少温度は516℃であった。
【0060】
(比較例3)
実施例3のポリベンゾオキサゾール前駆体(3)を得る工程において、数平均分子量2500の両末端イソシアネートのプロピレングリコールオリゴマー50.00g(0.02mol)のかわりに数平均分子量120,000の両末端イソシアネートのポリ(プロピレングリコール)120.00g(0.001mol)を用い、溶液の粘度が高くなり攪拌が困難になることを避けるために、NMPの量を2倍にした以外は実施例3と同様にして、ポリベンゾオキサゾール前駆体(6)のNMP溶液を得た。得られた前駆体の数平均分子量は3,171,000、重量平均分子量は6,342,000であった。
実施例1のポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を得る工程においてポリベンゾオキサゾール前駆体(1)のかわりにポリベンゾオキサゾール前駆体(6)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂の被膜を作製し、皮膜の誘電率の測定を行ったところ、短絡により測定できなかった。
【0061】
実施例1〜4の本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体を用いて作製したポリベンゾオキサゾール皮膜はいずれも誘電率が低く2.0〜2.3であり、さらに耐熱性が高いという良好な特性を示した。
【0062】
比較例1では一般的なポリベンゾオキサゾール前駆体であるポリ(ヒドロキシアミド)粉末を用いたため、耐熱性は同等で良好であるが誘電率は実施例1〜4より大幅に高い2.6であった。
【0063】
比較例2では一般式(4)で示されるR7およびR8の数平均分子量が40未満と小さかったために、誘電率は2.6と一般的なポリベンゾオキサゾール前駆体であるポリ(ヒドロキシアミド)粉末を用いた場合と同様に、実施例1〜4より大幅に高かった。
【0064】
比較例3では一般式(4)で示されるR7およびR8の数平均分子量が100000を超える高分子量物であったために、膜厚約1μmの皮膜を形成した場合には上下に貫通する穴が生成してしまい上下電極がショートしてしまった。
【0065】
【発明の効果】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体、絶縁材用樹脂組成物およびこれを用いた絶縁材は、電気特性および熱特性、特に誘電率が非常に低い固形物を得ることができる材料である。従って、半導体装置の層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張版のカバーコートなどとして極めて有用なものでる。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体。
    Figure 0004004004
    (式中、XおよびYは2価の有機基または単結合を、Zは2価の有機基を表す。R1〜R6はH、Fまたはフルオロアルキル基であり、互いに同じであっても異なってもよい。R7およびR8は数平均分子量が40以上100000以下でグリコール基を有する1価の有機基であり、互いに同じであっても異なってもよい。nは1〜10000の整数である。)
  2. 一般式(1)のXもしくはZの一方、またはXとZの両方がフッ素基またはフルオロアルキル基を有する2価の有機基である請求項1記載のポリベンゾオキサゾール前駆体。
  3. 一般式(1)のYが式(2)もしくは(3)である請求項1または2記載のポリベンゾオキサゾール前駆体。
    Figure 0004004004
    Figure 0004004004
  4. 請求項1〜のいずれかに1項に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体を脱水閉環した構造を有するポリベンゾオキサゾール樹脂組成物。
  5. 請求項に記載のポリベンゾオキサゾール樹脂組成物を用いて得られた絶縁材。
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