JP4017246B2 - アルミニウム材の塗装方法、塗装装置及び塗装前処理装置 - Google Patents

アルミニウム材の塗装方法、塗装装置及び塗装前処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム材(アルミニウム合金材を含む)に水性塗料を塗布する際のアルミニウム材の塗装方法、塗装装置及び塗装前処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、缶蓋材、建材などに適用されるアルミニウム材の塗装は、巻戻し機、塗装装置、焼付け炉、巻取り機をこの順序に配置するライン構成により実施されている。このラインには、必要に応じて、塗装下地処理または表面処理を行うための塗装前処理装置を塗装装置の前に配置して連続塗装ラインを構成したり、焼付け炉と巻取り機との間にワックス塗布装置を組込む場合もある。通常、巻戻し機と塗装前処理装置の間、および焼付け炉と巻取り機の間には緩衝装置が配設される。
【0003】
連続塗装ラインは、アルミニウム材のコイルを短時間で通板して塗装前処理および塗装を行うものであるが、アルミニウム材に水性塗料を塗布する場合、塗膜に膨れが発生し、外観異常や塗膜性能不良が生じるという問題点がある。塗膜の膨れは、塗膜重量が例えば100mg/dm2 以上のように大きい場合、焼付け時間が短い場合に特に発生し易い。
【0004】
膨れ現象は、水性塗料がきわめて乾燥し易いため、短時間の焼付け加熱によって塗膜表面のみが乾燥し、塗膜内部の水分が蒸発する際、塗膜の表面下で気体が発生して塗膜が膨れることによって生じるものであり、従来は、水性塗料の乾燥し易さによるものと考えられていた。しかし、その後の検討の結果として、塗膜の膨れは、塗装前のアルミニウム材表面の乾燥状態によっても大きく左右され、塗装前の乾燥状態が不十分であると、残っている水分が塗装焼付け時に気体となって塗膜に膨れを生ぜしめることが見出された。
【0005】
塗装前処理装置には、前処理後の水洗水を除くための水切り乾燥炉が付随しており、塗装前処理後のアルミニウム材は水洗後、雰囲気温度100℃程度の乾燥炉内を数秒間で通過するような条件で乾燥が行われるが、アルミニウム材の実体温度は100℃未満であり、高温度には保持されていない。
【0006】
水性塗料塗布時の膨れを防ぐために、塗装前処理後のアルミニウム材を、塗装に先立って50〜250℃の温度に加温し、ついでその表面に水性塗料を塗布することが提案されている。(特開平6−79233号公報)この方法は、加温により塗布直後の水性塗料中の水分を、塗膜表面の水分が蒸発するより早く表面に移動させ蒸発させることによって膨れの発生を防ごうとするものである。
【0007】
しかしながら、上記の温度域にある塗装前処理後のアルミニウム材に水性塗料を塗布した場合には、膨れは防げるものの、塗布された水性塗料による塗膜は乾燥し易いため、その流動性が妨げられ、その結果、塗膜の平滑性が損なわれ易いという別の問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アルミニウム材に水性塗料を塗布する場合における上記従来の問題点を解消するために、塗膜の膨れ現象と塗布前のアルミニウム材表面の乾燥状態との関連性についてさらに実験、検討を重ねた結果としてなされたものであり、その目的は、塗膜の膨れを防ぐとともに、平滑性にも優れた塗膜を形成することができるアルミニウム材の塗装方法、塗装装置及び塗装前処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の請求項1によれば、アルミニウム材を塗装前処理後、少なくとも表面の温度が150℃以上になるように加熱し、ついで100℃以下の温度まで冷却した後、前記アルミニウム材の表面に水性塗料を塗布することを特徴とするアルミニウム材の塗装方法が提供される。
【0010】
本発明の請求項2によれば、請求項1記載のアルミニウム材の塗装方法を実施するための装置であって、少なくとも巻戻し機、塗装装置、焼付け炉、巻取り機をこの順序に配置し前記巻戻し機と塗装装置との間に加熱装置と冷却装置とをこの順序に設け、アルミニウム材を連続的に塗装するようにしたことを特徴とするアルミニウム材の塗装装置が提供され、請求項3によれば、請求項1記載のアルミニウム材の塗装方法を実施するための装置であって、少なくとも巻戻し機、塗装前処理装置、巻取り機をこの順序に配置し、前記塗装前処理装置と巻取り機との間に加熱装置と冷却装置とをこの順序に設け、アルミニウム材を連続的に塗装前処理するようにしたことを特徴とするアルミニウム材の塗装前処理装置が提供される。
【0011】
また、本発明の請求項によれば、請求項1記載のアルミニウム材の塗装方法を実施するための装置であって、少なくとも巻戻し機、塗装前処理装置、塗装装置、焼付け炉、巻取り機をこの順序に配置し、前記塗装前処理装置と塗装装置との間に加熱装置と冷却装置とをこの順序に設け、アルミニウム材を連続的に塗装するようにしたことを特徴とするアルミニウム材の塗装装置が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、アルミニウム材の塗装は、例えば、図1に示すようなアルミニウム材の連続塗装ライン1で行われる。このアルミニウム材の連続塗装ライン1の基本構成は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の圧延板などのコイル状アルミニウム材の巻戻し機2と、その巻戻し機2から供給されたアルミニウム材Sに水性塗料を塗布する塗装装置3と、塗膜を焼付け硬化させるための焼付け炉4と、塗装焼付け処理後のアルミニウム材Sを巻き取る巻取り機5からなる。
【0013】
巻戻し機2と塗装装置3との間に、本発明の加熱・冷却装置6を介設させる。巻戻し機2から供給されたアルミニウム材Sは緩衝装置7を通じて塗装前処理装置8に導入され、リン酸クロメート処理などの前処理を施される。
【0014】
塗装前処理装置8により前処理されたアルミニウム材Sは、加熱・冷却装置6にて加熱乾燥後冷却される。アルミニウム材Sは、加熱・冷却装置6の加熱装置6Aにより、まず、その表面温度(実体温度)が150℃以上になるように加熱され、短時間で完全な乾燥状態にされる。上限温度については、特に限定はないが、実用上は、省エネルギーの観点や設備的な面から250℃以下とするのが好ましい。
【0015】
表面温度を150℃以上とすることにより、短時間でしかも完全な乾燥状態が得られる。150℃より低い温度では乾燥時間が長くなり、完全な乾燥状態が得にくい。加熱方法には限定がないが、赤外線加熱、高周波加熱、誘導加熱、電気、ガス炉などによる加熱が例示される。
【0016】
アルミニウム材の表面乾燥後、塗布後の水性塗料の流動性を確保するために、冷却装置6Bにより100℃以下の温度(アルミニウム材表面実体温度)まで冷却する。100℃以下の温度まで冷却しない場合は、水性塗料がすぐに乾燥し流動性が妨げられる。好ましくは、50℃以下で室温以上、水性塗料の温度と同程度の温度まで冷却するのがよい。100℃以下の温度への冷却は自然冷却によるのが好ましいが、塗装ラインの構成上、塗装前までに100℃以下の温度に冷却し難い場合には、空冷などの強制冷却を行う装置を設けてもよい。
【0017】
上記冷却後のアルミニウム材の表面塗装は、塗装装置3により、エポキシ樹脂系水性塗料、アクリル樹脂系水性塗料、エポキシ−アクリル樹脂系水性塗料等の水性塗料を使用して常法に従って行われる。塗装後のアルミニウム材Sは、焼付け炉4内で塗装焼付け処理がなされ、緩衝装置9を経て巻取り機5により巻き取られ製品となる。
【0018】
上記は、連続塗装ラインを使用してアルミニウム材の塗装までを連続的に行う方法、装置について述べたが、塗装前処理と塗装処理を別のラインで実施することもある。この場合には、巻戻し機2、塗装前処理装置8、加熱・冷却装置6、巻取り機5をこの順序で配置して(図示せず)、塗装前処理ラインを構成し、塗装前処理したアルミニウム材を別のラインで塗装処理する。
【0019】
本発明においては、塗装前処理後のアルミニウム材表面を150℃以上に加熱することにより安定した乾燥表面を得、その後100℃以下に冷却して水性塗料を塗布することによって、水性塗料の流動性を確保し、膨れが無く且つ平滑性に優れた塗膜を有する塗装アルミニウム材を得ることができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、これらの実施例は、本発明の好ましい一実施態様を説明するためのものであり、これによって本発明が制限されるものではない。
【0021】
実施例1
被塗装材として、アルミニウム合金圧延板(JIS A5182材、板厚:0.285mm)を使用し、塗装前処理としてリン酸クロメート処理を施して、昇温速度26.8°C/秒で、板材の表面温度が154℃になるまで加熱し、保持時間を無しとして、直ちに板材の表面温度が40℃になるまで冷却した。ついで、水性塗料としてエポキシ樹脂系塗料を用い、塗膜重量143mg/dm2 となるように塗装した後、昇温速度17.5℃/秒(PMT=200°C)の条件で焼き付け処理した。その後塗膜外観を目視にて観察し、膨れの有無、塗膜の平滑性を調べた。結果を表1に示す。
【0022】
実施例2〜7
実施例1と同じアルミニウム合金圧延板を使用し、塗装前処理としてリン酸クロメート処理を施した後、加熱温度とその時の昇温速度、冷却温度、塗膜重量を表1に示すように変え、他の条件は実施例1と全く同一として塗装アルミニウム合金板を得、実施例1と同様に塗膜外観を目視観察した。結果を表1に示す。表1にみられるように、本発明に従う試験材には、膨れが認められず、平滑性にも優れた塗膜が形成された。
【0023】
【表1】
Figure 0004017246
《表注》塗装外観 ○:膨れ無く平滑性良好
【0024】
比較例8〜13
実施例1と同じアルミニウム合金圧延板を使用し、塗装前処理としてリン酸クロメート処理を施した後、加熱温度とその時の昇温速度、冷却温度、塗膜重量を表2に示すように変え、他の条件は実施例1と全く同一として塗装アルミニウム合金板を得、実施例1と同様に塗膜外観を目視観察した。比較例8〜12は、加熱温度が本発明の150℃以上の条件より低い温度とし、冷却温度は本発明の100℃以下の条件としたものであり、比較例13は、加熱温度が193℃で本発明に従う150℃以上の条件とし、冷却温度は本発明の100℃以下の条件より高い150℃としたものである。結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
Figure 0004017246
《表注》塗装外観 ×:膨れ有り ××:平滑性不良
【0026】
表2に示すように、加熱温度が本発明の150℃以上の条件より低い温度とした試験材No.8〜12は、材料表面の乾燥状態が十分でないことに起因して塗膜に膨れが生じた。また、冷却温度を本発明の100℃以下の条件より高い150℃とした試験材No.13は塗料の流動性がわるいため、塗膜の平滑性が劣っている。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、塗装前処理工程と塗装工程との間で、塗装すべきアルミニウム材を150℃以上に加熱しその後100℃以下に冷却する処理を行うから、常に塗装前の被塗装材表面の乾燥状態を一定にすることが可能となり、外観の優れた水性塗料塗装材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム材の連続塗装ライン
2 巻戻し機
3 塗装装置
4 焼付け炉
5 巻取り機
6 加熱・冷却装置
6A 加熱装置
6B 冷却装置
7 緩衝装置
8 塗装前処理装置
9 緩衝装置
S アルミニウム材

Claims (4)

  1. アルミニウム材(アルミニウム合金材を含む、以下同じ)を塗装前処理後、少なくとも表面の温度が150℃以上になるように加熱し、ついで100℃以下の温度まで冷却した後、前記アルミニウム材の表面に水性塗料を塗布することを特徴とするアルミニウム材の塗装方法。
  2. 請求項1記載のアルミニウム材の塗装方法を実施するための装置であって、少なくとも巻戻し機、塗装装置、焼付け炉、巻取り機をこの順序に配置し前記巻戻し機と塗装装置との間に加熱装置と冷却装置とをこの順序に設け、アルミニウム材を連続的に塗装するようにしたことを特徴とするアルミニウム材の塗装装置。
  3. 請求項1記載のアルミニウム材の塗装方法を実施するための装置であって、少なくとも巻戻し機、塗装前処理装置、巻取り機をこの順序に配置し前記塗装前処理装置と巻取り機との間に加熱装置と冷却装置とをこの順序に設け、アルミニウム材を連続的に塗装前処理するようにしたことを特徴とするアルミニウム材の塗装前処理装置。
  4. 請求項1記載のアルミニウム材の塗装方法を実施するための装置であって、少なくとも巻戻し機、塗装前処理装置、塗装装置、焼付け炉、巻取り機をこの順序に配置し、前記塗装前処理装置と塗装装置との間に加熱装置と冷却装置とをこの順序に設け、アルミニウム材を連続的に塗装するようにしたことを特徴とするアルミニウム材の塗装装置。
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